JP3558925B2 - 温風暖房装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温風暖房装置に関し、特に、運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力よりも高く制御することにより室内の温度を素早く上昇させるホットダッシュ機能を有する温風暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、温風暖房装置の暖房原理について、石油ファンヒータを例にとって概説する。図13および図14は、従来技術における石油ファンヒータの構成を示す概略図である。図13は正面の断面図を、図14は側面の断面図をそれぞれ表わしている。図13および図14を参照して、従来技術における石油ファンヒータは、燃料タンク1301と、燃料圧送用電磁ポンプ1303と、送油パイプ1305と、気化器1307と、バーナ1311と、燃焼室1309とを含んでいる。
【0003】
まず、燃料タンク1301内の燃料は燃料圧送用電磁ポンプ1303によって送油パイプ1305を通って気化器1307に送られる。気化器1307は、図示しない気化器ヒータによって加熱され、送られてきた燃料を気化させる。燃料は、気化器1307によりガス状にされた後、バーナ1311により燃焼させられる。この燃焼によって、燃焼室1309内の温度が上昇する。
【0004】
石油ファンヒータは、さらに、燃焼室1309の背面側に設けられた送風ファン1313と、送風ファン1313を駆動させるための送風用モータ1315とを含んでいる。燃焼室1309内での燃焼が開始されると送風用モータ1315に通電され、燃焼室1309内で暖められたガスは、送風ファン1313により、常温の空気と混合されながら温風として装置外に送風される。この排出される温風により室内の空気が暖められる。
【0005】
このような石油ファンヒータ等の温風暖房装置では、暖房運転を開始した時から一刻も早く快適な室内温度を得るために、運転開始時には通常運転時の温風暖房能力よりも大きい能力でもって暖房運転を行なうという、いわゆるホットダッシュ機能が付加されていることが多い。
【0006】
ホットダッシュ機能には、例えば、実開公昭62−22465や実開公平2−62252などに示されるように、より最適な暖房運転を開始できるように、運転開始前の室内温度を考慮して運転開始時の温風暖房能力を決定するというものがある。すなわち、室内の温度を測定し、運転開始からしばらくの間、その測定値に基づいて通常運転時の燃焼能力よりも大きい燃焼量で燃焼を行なうというものである。
【0007】
また、特開昭58−102047や特開平2−148318などに示されるように、室内温度のみならず、体感温度をも考慮して、運転開始時の暖房能力を設定するという技術も見られる。これは、室内温度と体感温度との差異を考慮し、測定された室内温度に基づいて、体感温度を予測し、ユーザが設定した温度設定値を一定条件下に変更させるというものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来技術では、いずれも室内温度のみに基づいて初期暖房能力を制御している。そして、この基となる室内温度は多くの場合装置付近の所定の雰囲気温度を測定したものである。したがって、例えば、冷たい壁、窓、天井等の近くでこれらからの輻射の影響を大きく受ける部分の温度というものは考慮されていないことになる。
【0009】
一般に、装置付近の雰囲気温度で代表される室内温度と、壁、窓、天井等の近くでこれらからの輻射の影響を大きく受ける部分の温度とは必ずしも一致しない。測定された室内温度が同じでも、例えば、前に暖房装置で一度室内を暖めていた場合は、壁、窓、天井等の温度も上昇しており、付近の温度も室内温度と同程度に上昇していると考えられるが、初めて暖房した場合は、壁、窓、天井等の温度は低い状態であるため、これらからの輻射により、付近の温度は測定された室内温度よりも低くなると考えられる。
【0010】
しかし、測定された室内温度のみからは、これらの、壁、窓、天井等による輻射の影響を考慮することができない。したがって、室内温度のみに基づいて制御する従来技術では、測定された温度が同じであれば、上記両ケースとも同じ暖房能力でもってホットダッシュ燃焼を行なうことになる。
【0011】
このため、少し前まで暖房されていたような場合には、高い暖房能力でもって運転が開始されると、必要以上に温度上昇の立ち上がりを生じることになり、すぐに希望する室温以上となってしまう。このことを考慮して、運転開始時の暖房能力を少し低下させてホットダッシュを行うと、初めて暖房がされたような場合には、暖房能力が不十分であり、満足のいく室温になるためには、多くの時間を要することになる。
【0012】
つまり、同じ暖房能力では、一方のケースに対しては暖房能力が過剰、あるいは、不足となることが当然予測され、快適な室温を実現することが困難になるということである。さらに、燃焼の過不足はエネルギー消費面においても不適切かつ不経済であると言える。
【0013】
また、仮に、測定された室内温度が適当なものであったとしても、従来技術では、運転開始時の暖房能力を決定する際に、ユーザが希望する室温に対する考慮が全くされていない。
【0014】
本発明はかかる実状に鑑みて考え出されたものであり、その第1の目的は、暖房装置の使用状況を考慮することにより、運転初期において適切な暖房能力の制御を行ない、暖房効果を速やかに発揮できる温風暖房装置を提供することである。
【0015】
また、第2の目的は、運転開始時において、ユーザの意思を考慮したより細やかで適切な暖房能力の制御を可能とすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のある局面に従うと、温風暖房装置は、液体燃料を気化する気化器と、前記気化器の温度を検知する気化器温度検知部と、前記検知された気化器の温度に基づいて、温風暖房能力を制御する制御部とを含む。
【0017】
この発明に従うと、気化器の温度を検知することにより、暖房装置の使用状況、ひいては、室内全体の真の温度状況をある程度把握することが可能となる。したがって、運転初期において、より適切な暖房能力の制御を行なうことができ、暖房効果を速やかに発揮できる温風暖房装置を提供することが可能となる。
【0018】
好ましくは、温風暖房装置は、室温を設定する室温設定部と、室温を検知する室温検知部とをさらに備え、制御部は、検知された気化器の温度と設定された室温と検知された室温とに基づいて温風暖房能力を制御する。
【0019】
これによると、装置の使用状況を考慮すると共に、設定された室温と検知された室温との関係も考慮するため、運転開始時において、ユーザの意思を反映したより細やかで適切な暖房能力の制御が可能となる。
【0020】
また、制御部は、運転開始時の温風暖房能力を決定する決定部を含むことが好ましい。これにより、より適切な暖房運転の立ち上がりを実現することが可能となる。
【0021】
また、好ましくは、決定部は、検知された気化器の温度が所定値A未満である場合、暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力よりも高く設定する。これにより、以前に装置が使用されてから時間が経っている場合でも、暖房効果を速やかに得ることができる。
【0022】
さらに、好ましくは、決定部は、検知された気化器の温度が前記所定値A以上である場合、暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力と等しく設定する。これにより、以前に装置が使用されてから間がない場合には、無駄なエネルギーの消費を抑えることができる。
【0023】
また、好ましくは、決定部は、第1の設定部と第2の設定部とを含み、第1の設定部は、検出された気化器の温度が所定値B未満である場合において、設定された室温と検出された室温との差が所定値C以上であるときに、その差に応じて暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力よりも高く設定し、第2の設定部は、検出された気化器の温度が所定値B未満である場合において、設定された室温と検出された室温との差が所定値C未満であるときに、暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力と等しく設定する。
【0024】
これにより、以前に装置が使用されてから時間が経っている場合でも、ユーザの意思を考慮した適切な暖房能力の制御が可能となるため、暖房効果を速やかに得ることができる。
【0025】
さらに、好ましくは、制御部は、さらに第3の設定部を含み、第3の設定部は、検出された気化器の温度が所定値B以上である場合において、第1の設定部による設定よりも低く暖房運転開始時の温風暖房能力を設定する。
【0026】
これにより、以前に装置が使用されてから間がない場合にも、ユーザの意思を考慮した適切な暖房能力の制御が可能となるため、無駄なエネルギーの消費を抑えることができる。
【0027】
また、好ましくは、制御部は、検知された気化器の温度に基づいて、設定された室温を設定変更する変更部と、変更部による設定変更を解除する解除部とを含む。
【0028】
暖房装置の使用状況に応じて、温度設定値が変更されるとともに、必要に応じてその変更が解除されるため、適切な暖房能力の制御が行なえ、暖房効果を速やかに発揮することができる。
【0029】
また、好ましくは、変更部は、検出された気化器の温度が所定値D未満である場合、設定された室温を一定値だけ高く設定変更する第1の変更部を含む。
【0030】
以前に装置が使用されてから時間が経っている場合には、設定された室温を高く変更することにより、一層適切な暖房能力の制御が可能となり、暖房効果を速やかに得ることができる。
【0031】
また、好ましくは、変更部は、検出された気化器の温度が所定値D以上である場合、設定された室温を一定値だけ低く設定変更する第2の変更部を含む。
【0032】
以前に装置が使用されてから間がない場合には、設定された室温を低く変更することにより、一層適切な暖房能力の制御が可能となり、無駄なエネルギーの消費を抑えることができる。
【0033】
さらに、好ましくは、解除部は、検知された室温が変更部により変更された設定値以上になると、変更部による設定変更を解除する。
【0034】
これによると、室内を早急に室温設定値に近づける必要のある運転初期を過ぎれば、通常運転時の暖房能力に戻るため、ユーザが当初設定した室温を保つことが可能になる。
【0035】
また、好ましくは、解除部は、暖房運転開始から一定時間を経過すると、変更部による設定変更を解除する。
【0036】
熱容量の大きな空間においては、一定時間が経過するとほぼ室温が一定になるため、その時点で通常運転時の暖房能力に戻すことにより、ユーザが当初設定した室温を保つことが可能になる。
【0043】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
[第1の実施の形態]
図1および図2は、本発明の実施の形態の一つである石油ファンヒータ1の基本構成を示す概略図である。図1は正面の断面図を、図2は側面の断面図をそれぞれ表わしている。
【0044】
図1および図2を参照して、石油ファンヒータ1は、ユーザが希望する室内温度を設定入力する室内温度設定部121と、室内温度を検知する室温サーミスタ119と、燃料を溜めるための燃料タンク101と、燃料タンク内の燃料をポンプアップする燃料圧送用電磁ポンプ103と、送油パイプ105と、燃料を気化するための気化器107と、気化器107の温度を検知するための気化器サーミスタ117と、気化された燃料を燃焼させるためのバーナ111と、燃焼室109と、燃焼室109の背面側に設けられた送風ファン113と、送風ファン113を駆動させるための送風用モータ115とを含んでいる。
【0045】
石油ファンヒータ1の暖房原理は、従来技術と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。なお、石油ファンヒータ1の温風暖房能力は、燃料圧送式電磁ポンプ103による送油量で決定される燃焼量と、送風ファン113の回転数により決定される温風の送風量とで調整される。
【0046】
図3は、石油ファンヒータ1の機能ブロック図を示している。本図に示すように、石油ファンヒータ1は、機能的に大別すると、気化器温度検知部としての気化器サーミスタ117と、温風暖房能力を決定する要因となる燃料圧送式電磁ポンプ103および送風ファン113と、これらを駆動させる回路305および307と、気化器サーミスタ117からの気化器温度情報に基づいて駆動回路305および307を制御するマイクロコンピュータ300とで構成される。
【0047】
そして、マイクロコンピュータ300は、気化器温度と予め設定されている所定値とを比較判定する気化器温度判定部301と、気化器温度判定部301からの判定結果を受けて、駆動回路305および307に制御信号を発する制御部303とで構成されている。
【0048】
次に、石油ファンヒータ1におけるホットダッシュ制御が行われる手順について説明する。図4は、マイクロコンピュータ300により、運転開始時に石油ファンヒータ1の温風暖房能力が制御される流れを示したフローチャートである。図4を参照して、石油ファンヒータ1は、運転スイッチがONされると、まず、ステップS401において、気化器サーミスタ117による気化器107の温度が検知される。
【0049】
次に、ステップS403において、気化器107の温度(KT)が予め設定していた設定温度(SKT)以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。つまり、ここで、暖房装置の使用状況が判断されることになる。
【0050】
気化器107の温度が設定温度未満の場合は、ステップS407において、燃料の燃焼量を通常の120%、送風ファン113を通常通りとすることにより、温風暖房能力を通常時よりも高い能力に設定する。
【0051】
つまり、この場合は温風暖房装置1を以前に使用していないか、あるいは使用していたとしても、使用を終了してからある程度の時間が経過していると考えられるため、室内の壁、窓等の輻射の影響により周囲の温度は低い状態にあると予想できる。したがって、運転開始時には、より早い暖房効果を得るために通常運転よりもかなり高めの暖房運転を行うようにしている。
【0052】
一方、気化器107の温度が設定温度以上の場合は、ステップS405において、燃料の燃焼量を通常の110%、送風ファン113を通常通りとすることにより、ステップS407の処理における設定よりは低く温風暖房能力を設定する。
【0053】
この場合は、以前に温風暖房装置1を使用し終わってから間がなく、室内の壁、窓等の温度もある程度上昇したままであると考えられる。したがって、暖房運転開始時においてもある程度暖房能力を抑えることにより、エネルギー消費の無駄を防止する必要があるからである。
【0054】
なお、運転開始時にステップS407またはステップS405において設定された温風暖房能力でもって運転が開始された後は、室温サーミスタ119により検知された室温(RT)が、室温設定部121の設定温度(SRT)に達すると、運転初期のホットダッシュモードが解除され、通常時の運転モードに変更される。
【0055】
このように、石油ファンヒータ1では、気化器107の温度を検知することにより、室内の温度状況をある程度予測した上で温風暖房能力を制御することができる。したがって、運転開始時において、快適な室温を実現するためのより適切な制御が可能となる。
【0056】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態における石油ファンヒータ2について説明する。石油ファンヒータ2の基本構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態である石油ファンヒータ1の構成と同様である。
【0057】
図5は、石油ファンヒータ2の機能ブロック図を示している。本図に示すように、石油ファンヒータ2のマイクロコンピュータ500は、室温検知部としての室温サーミスタ119と、室温設定部121と、燃料圧送式電磁ポンプ103の駆動回路305と、送風ファン113の駆動回路307とに接続されている。
【0058】
ここで、マイクロコンピュータ500は、室温サーミスタ119による室温検知結果と室温設定部121による室温設定値とを比較判断する室温判定部501と、室温判定部501の結果を受けて駆動回路305、307に制御信号を送信する制御部503とを含んでいる。
【0059】
つまり、マイクロコンピュータ500は、室温サーミスタ119と室温設定部121とからの情報に基づいて、温風暖房能力を決定する要因となる燃料圧送式電磁ポンプ103および送風ファン113を制御する。
【0060】
次に、図6において、このマイクロコンピュータ500によって運転開始時に石油ファンヒータ2の温風暖房能力が制御される流れをフローチャートにて示す。図6を参照して、石油ファンヒータ2は、運転スイッチがONされると、まず、ステップS601において、室温サーミスタ119により室温(RT)が検知される。
【0061】
次に、ステップS603において、室温設定部121による設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が30℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧30℃?)。30℃以上であれば、ステップS611において、燃料の燃焼量を通常時の130%、送風ファンを通常時の110%にそれぞれ設定する。逆に、30℃未満であれば、ステップS605の処理に進む。
【0062】
続いて、ステップS605では、室温設定部121による設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が20℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧20℃?)。20℃以上であれば、ステップS613において、燃料の燃焼量を通常時の120%、送風ファンを通常時通りにそれぞれ設定する。逆に、20℃未満であれば、ステップS607の処理に進む。
【0063】
そして、ステップS607においては、設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が10℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧10℃?)。10℃以上であれば、ステップS615において、燃料の燃焼量を通常時の110%、送風ファンを通常時通りにそれぞれ設定し、20℃未満であれば、ステップS609において、通常通りの暖房運転能力が設定される。
【0064】
そして、運転開始時にステップS611、ステップS613またはステップS615において適切に設定された温風暖房能力でもって運転が開始された後は、室温サーミスタ119により検知された室温(RT)が、室温設定部121の設定温度(SRT)に達すると、運転初期のホットダッシュモードが解除され、通常時の運転モードに変更される。
【0065】
このように、室内温度のみでなく、ユーザが設定した設定温度をも考慮して運転開始時の暖房運転能力を設定するため、ユーザの意図を反映したより細やかで適切な制御が可能となる。
【0066】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態における石油ファンヒータ3について説明する。石油ファンヒータ3の基本構成も、図1および図2に示す第1の実施の形態である石油ファンヒータ1の構成と同様である。
【0067】
図7は、石油ファンヒータ3の機能ブロック図を示している。本図に示すように、石油ファンヒータ3のマイクロコンピュータ700は、室温検知部としての室温サーミスタ119と、室温設定部121と、気化器温度設定部としての気化器サーミスタ117と、燃料圧送式電磁ポンプ103の駆動回路305と、送風ファン113の駆動回路307とに接続されている。
【0068】
ここで、マイクロコンピュータ700は、室温サーミスタ119による室温検知結果と室温設定部121による室温設定値とを比較判断する室温判定部501と、気化器サーミスタ117による気化器温度検知結果と予め設定している所定値とを比較判断する気化器温度判定部301と、室温判定部501と気化器温度判定部301との結果を受けて駆動回路305、307に制御信号を送信する制御部703とを含んでいる。
【0069】
つまり、マイクロコンピュータ700は、室温サーミスタ119と室温設定部121と気化器サーミスタ117とからの情報に基づいて、温風暖房能力を決定する燃料圧送式電磁ポンプ103および送風ファン113を制御する。
【0070】
次に、図8において、このマイクロコンピュータ700により運転開始時に石油ファンヒータ3の温風暖房能力が制御される流れをフローチャートにて示す。図8を参照して、石油ファンヒータ3は、運転スイッチがONされると、まず、ステップS801において、室温サーミスタ119により室温(RT)が、そして、気化器サーミスタ117により気化器温度(KT)がそれぞれ検知される。
【0071】
次に、ステップS803において、室温設定部121による設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が30℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧30℃?)。30℃以上であれば、ステップS811において、気化器温度(KT)が予め設定された所定値(SKT)以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。
【0072】
ステップS811において、気化器温度が所定値未満であると判断されると、ステップS813において、燃料の燃焼量は通常時の130%、送風ファンは通常時の110%にそれぞれ設定される。逆に、所定値以上であると判断されると、ステップS815において、ステップS813の場合より少し温風暖房能力を低下させて、燃料の燃焼量は通常の120%、送風ファンは通常通りにそれぞれ設定される。
【0073】
一方、ステップS803において、室温設定部121による設定室温と検知された室温との差が30℃未満であると判断されれば、ステップS805の処理に進み、設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が20℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧20℃?)。20℃以上であれば、ステップS817において、気化器温度(KT)が予め設定された所定値(SKT)以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。
【0074】
ステップS817において、気化器温度が所定値未満であると判断されると、ステップS815において、燃料の燃焼量は通常時の120%、送風ファンは通常通りにそれぞれ設定される。逆に、所定値以上であると判断されると、ステップS819において、ステップS815の場合より少し温風暖房能力を低下させて、燃料の燃焼量は通常の110%、送風ファンは通常通りにそれぞれ設定される。
【0075】
一方、ステップS805において、室温設定部121による設定室温と検知された室温との差が20℃未満であると判断されれば、ステップS807の処理に進み、設定室温と検知された室温との差が10℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧10℃?)。10℃以上であれば、ステップS821において、気化器温度が予め設定された所定値以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。
【0076】
ステップS821において、気化器温度が所定値未満であると判断されると、ステップS819において、燃料の燃焼量は通常時の110%、送風ファンは通常通りにそれぞれ設定される。逆に、所定値以上であると判断されると、ステップS809において、ステップS819の場合より少し温風暖房能力を低下させて、燃料の燃焼量、送風ファンとも通常通りに設定される。
【0077】
そして、このように運転開始時に適切に設定された温風暖房能力でもって運転が開始された後は、室温サーミスタ119により検知された室温が、室温設定部121の設定温度に達すると、運転初期のホットダッシュモードが解除され、通常時の運転モードに変更される。
【0078】
このように、気化器温度、および、室内温度と設定温度との差を考慮することにより、石油ファンヒータ3の使用状況を基にして室内の温度状況をある程度予測できるとともに、ユーザの室温に対する希望を細やかに反映することができる。したがって、運転開始時において、より適切な立ち上がりを得るための温風暖房能力の制御が可能となり、無駄なエネルギー消費を行なうことなく、速やかに快適な暖房効果を実現することが可能となる。
【0079】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態における石油ファンヒータ4について説明する。石油ファンヒータ4の基本構成も、図1および図2に示す第1の実施の形態である石油ファンヒータ1の構成と同様である。
【0080】
図9は、石油ファンヒータ4の機能ブロック図を示している。本図に示すように、石油ファンヒータ4のマイクロコンピュータ900は、室温検知部としての室温サーミスタ119と、室温設定部121と、気化器温度検知部としての気化器サーミスタ117と、燃料圧送式電磁ポンプ103の駆動回路305および送風ファン113の駆動回路307である負荷回路911とに接続されている。
【0081】
ここで、マイクロコンピュータ900は、気化器サーミスタ117による気化器温度検知結果と予め設定している所定値とを比較判断する気化器温度判定部301と、気化器温度判定部301の判定結果を受けて室温設定部121の設定温度を変更する室温設定変更部905と、タイマ909と、室温サーミスタ119による室温検知結果と室温設定部121による設定室温とを比較判断する室温判定部501と、室温判定部501の判定結果またはタイマ909からの出力を受けて室温設定変更部905による変更を解除し、室温設定部121の設定温度をユーザが設定した元の温度に戻す設定変更解除部907と、気化器温度判定部301および室温判定部501の結果を受けて負荷回路911に制御信号を送信する制御部903とを含んでいる。
【0082】
つまり、マイクロコンピュータ900は、室温サーミスタ119と室温設定部121と気化器サーミスタ117とからの情報に基づいて、負荷回路911を制御する。
【0083】
具体的には、まず、気化器サーミスタ117の情報に基づいて室温設定部121の設定温度を変更し、変更された設定室温を基にした室温判定部501による判定結果と気化器温度判定部301による判定結果とに基づいて、運転開始時の温風暖房能力を制御する。次に、室温判定部501による判定結果、あるいは、タイマ909からの情報に基づいて設定変更を解除し、設定変更を解除した後は、室温サーミスタ119と室温設定部とからの情報に基づいて負荷回路911を制御する通常の室温制御を行なう。
【0084】
次に、図10において、マイクロコンピュータ900により石油ファンヒータ4の温風暖房能力が制御される流れをフローチャートにて示す。図10を参照して、石油ファンヒータ4は、運転スイッチがONされると、タイマ909の運転も開始される。そして、まず、ステップS1001において、気化器サーミスタ117により気化器温度(KT)が検知される。次に、ステップS1003において、気化器温度(KT)が予め設定された所定値(SKT)以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。
【0085】
ここで気化器温度が所定値未満であると判断されると、ステップS1009において、室温設定部121において設定されている温度(SRT)が一定値、例えば2〜3℃だけ高めに変更設定される(SRT=SRT+2〜3℃)。そして、ステップS1011において、燃焼が開始される。
【0086】
つまり、この場合は石油ファンヒータ4を以前に使用していないか、あるいは使用していたとしても、使用を終了してからある程度の時間が経過していると考えられるため、室内の壁、窓等の温度も低い状態にあると予想できる。したがって、室内温度設定を一定値だけ高く変更することにより、室内設定温度に依存する運転開始時の暖房能力を通常運転よりもかなり高めに制御することになる。
【0087】
続いて、ステップS1013において、室温サーミスタ119により室温(RT)検知が行なわれ、ステップS1015において、設定温度、すなわち、変更後の温度と検知された室温との比較が行なわれる(RT≧SRT?)。
【0088】
検知された室温が変更後の設定温度以上になると、ステップS1019において、設定変更解除処理が行なわれる。すなわち、設定変更解除部907により、設定変更された室温設定部の温度変更が解除され、ユーザが設定した元の設定温度に戻される(SRT=SRT−2〜3℃)。そして、ステップS1007の処置に進み、設定変更解除後の元の設定温度(SRT)と検知される室温(RT)との差に基づいて暖房運転を行なうという、通常の室温制御運転が行なわれる。
【0089】
一方、ステップS1015において、検知された室温が変更後の設定温度に達しない場合は、ステップS1017の処理に進み、燃焼時間が所定時間、例えば30分を経過したか否かが判断される。そして、経過していなければ、ステップS1013の処理に戻り、経過していれば、ステップS1019の設定変更解除処理に進む。
【0090】
つまり、検知された室温が、変更後の設定温度以上になれば、ステップS1019の設定変更解除処理は開始されるわけであるが、設定温度以上にならなくても、一定時間、例えば30分が経過すると(ステップS1017の判断がYesの場合)、自動的に開始されることになる。これは、熱容量の大きな部屋などでは室温が上昇する時間が遅いため、変更後の設定温度には達しないが、ある程度近い値で室温が安定する場合があることを考慮したためである。
【0091】
次に、ステップS1003において、気化器温度が予め設定された所定値以上であると判断された場合は、ステップS1005において、設定温度をそのままの状態にして初期燃焼が開始される。
【0092】
この場合は、以前に石油ファンヒータ4を使用し終わってから間がなく、室内の壁、窓等の温度もある程度上昇したままであると考えられる。したがって、暖房運転開始時においても不必要に暖房能力を高めることによるエネルギー消費の無駄を防止する必要があるからである。
【0093】
そして、運転開始時に適切に設定された温風暖房能力でもって運転が開始された後、室温サーミスタ119により検知された室温が、室温設定部121の設定温度に達すると、運転初期のホットダッシュモードが解除され、ステップS1007において、通常の室温制御運転が行なわれる。
【0094】
このように石油ファンヒータ4では、気化器107の温度を検知することにより、室内の温度状況をある程度予測した上で室内設定温度を補正変更する。したがって、運転開始時において適切な温風暖房能力の設定が可能になると共に、検知された室温は上昇しているが、室内にいる人はまだ寒いと感じる状態でホットダッシュ制御が終了するというような不都合も回避することができる。
【0095】
<変形例1>
次に、第4の実施の形態である石油ファンヒータ4の一つの変形例を示す。図11は、変形例1における、石油ファンヒータの温風暖房能力が制御される流れを示すフローチャートである。本図に示すように、変形例1における石油ファンヒータの処理の流れは、図10における処理の流れと、ステップS1003の判断結果後の処理において逆となっている。
【0096】
すなわち、本図においては、気化器サーミスタ117により検知された気化器温度が、予め設定されている所定値以上のときに、ステップS1109において、室温設定変更処理が行なわれる。ただし、図10のステップS1009の処理とは異なり、以前に石油ファンヒータを使用し終わってから間がないと考えられる場合の処理であるため、室内温度は、設定温度よりも、一定値、例えば2℃低く設定変更される(SRT=SRT−2℃)。
【0097】
そして、ステップS1011においては、検知される室温と低めに設定変更された温度とに基づいて、ホットダッシュ燃焼が行なわれる。また、ステップS1015では、検知される室温が、変更後の設定温度、すなわち、低めの設定温度以上になると、ステップS1019において、設定変更が解除される。したがって、暖房運転開始時においても不必要に暖房能力を高めることによるエネルギー消費の無駄が防止されることになる。
【0098】
一方、ステップS1003において、気化器サーミスタ117により検知された気化器温度が、予め設定されている所定値未満のときは、ステップS1005において気化器サーミスタ117、室温サーミスタ119および室温設定部からの値に基づくのホットダッシュ燃焼が行なわれることになる。
【0099】
このように、気化器107の温度を検知することにより、室内の温度状況をある程度予測した上で室内設定温度を補正変更できるため、不必要なホットダッシュ燃焼によるエネルギー消費の無駄を防止することができる。
<変形例2>
なお、図10および図11においては、室内温度変更処理(ステップS1009およびステップS1109)を行うのは、室内温度(RT)設定温度(SRT)以上か未満かのいずれか一方の場合であったが、図12に示すように、複数種類の室内温度変更処理を行なうようにしてもよい。
【0100】
すなわち、図12に示すように、ステップS1003において、所定値を複数、例えば、SKT1とSKT2の2つを設けて(SKT1<SKT2)、検知された気化器温度(KT)が、所定値SKT1未満のときは(KT<SKT1)、ステップS1009において、室内温度設定値を高めに変更し、所定値SKT2以上のときは(KT≧SKT2)、ステップS1109において、室内温度設定値を低めに変更し、所定値SKT1以上SKT2未満のときは(SKT1≦KT<SKT2)、変更処理を行なわずにステップS1005において、すぐにホトダッシュ燃焼を行なうようにしてもよい。このように細分化することにより、より適切な暖房効果を期待することができる。
【0101】
なお、図4、図6、および、図8等においては、検知された気化器温度の比較対象となる所定値を1つにしているが、複数設けるようにしてもよい。さらに、図6、図8においては、検知された室温と設定温度との差を3段階に分けて考慮しているが、これに限られず、装置に応じてより適切な段階に分けることが可能である。
【0102】
また、図4、図6、および、図8では具体的に温風暖房能力を示しているが、この数値の温風暖房能力に限られず、それ以上またはそれ以下の能力に設定してもよい。
【0103】
また、図5、図7、および、図9においては、室温設定部121をマイクロコンピュータの中に配置し、室温設定スイッチを外に設けるようにしてもよい。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内ですべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一つである石油ファンヒータ1の基本構成を示すための正面の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一つである石油ファンヒータ1の基本構成を示すための側面の断面図である。
【図3】石油ファンヒータ1の機能ブロック図である。
【図4】マイクロコンピュータ300により、運転開始時に石油ファンヒータ1の温風暖房能力が制御される流れを示したフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態における石油ファンヒータ2の機能ブロック図である。
【図6】マイクロコンピュータ500により、運転開始時に石油ファンヒータ2の温風暖房能力が制御される流れを示したフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態における石油ファンヒータ3の機能ブロック図である。
【図8】マイクロコンピュータ700により、運転開始時に石油ファンヒータ3の温風暖房能力が制御される流れを示したフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態における石油ファンヒータ4の機能ブロック図である。
【図10】マイクロコンピュータ900により、石油ファンヒータ4の温風暖房能力が制御される流れを示すフローチャートである。
【図11】変形例1における、石油ファンヒータの温風暖房能力が制御される流れを示すフローチャートである。
【図12】変形例2における石油ファンヒータの、複数種類の室内温度変更処理を行なう場合のフローチャートである。
【図13】従来技術における石油ファンヒータの構成を示すための正面の断面図である。
【図14】従来技術における石油ファンヒータの構成を示すための側面の断面図である。
【符号の説明】
1、2、3、4 石油ファンヒータ
101 燃料タンク
103 燃料圧送用電磁ポンプ
105 送油パイプ
107 気化器
109 燃焼室
111 バーナ
113 送風ファン
115 送風用モータ
117 気化器サーミスタ
119 室温サーミスタ
121 室温設定部
【発明の属する技術分野】
本発明は、温風暖房装置に関し、特に、運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力よりも高く制御することにより室内の温度を素早く上昇させるホットダッシュ機能を有する温風暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、温風暖房装置の暖房原理について、石油ファンヒータを例にとって概説する。図13および図14は、従来技術における石油ファンヒータの構成を示す概略図である。図13は正面の断面図を、図14は側面の断面図をそれぞれ表わしている。図13および図14を参照して、従来技術における石油ファンヒータは、燃料タンク1301と、燃料圧送用電磁ポンプ1303と、送油パイプ1305と、気化器1307と、バーナ1311と、燃焼室1309とを含んでいる。
【0003】
まず、燃料タンク1301内の燃料は燃料圧送用電磁ポンプ1303によって送油パイプ1305を通って気化器1307に送られる。気化器1307は、図示しない気化器ヒータによって加熱され、送られてきた燃料を気化させる。燃料は、気化器1307によりガス状にされた後、バーナ1311により燃焼させられる。この燃焼によって、燃焼室1309内の温度が上昇する。
【0004】
石油ファンヒータは、さらに、燃焼室1309の背面側に設けられた送風ファン1313と、送風ファン1313を駆動させるための送風用モータ1315とを含んでいる。燃焼室1309内での燃焼が開始されると送風用モータ1315に通電され、燃焼室1309内で暖められたガスは、送風ファン1313により、常温の空気と混合されながら温風として装置外に送風される。この排出される温風により室内の空気が暖められる。
【0005】
このような石油ファンヒータ等の温風暖房装置では、暖房運転を開始した時から一刻も早く快適な室内温度を得るために、運転開始時には通常運転時の温風暖房能力よりも大きい能力でもって暖房運転を行なうという、いわゆるホットダッシュ機能が付加されていることが多い。
【0006】
ホットダッシュ機能には、例えば、実開公昭62−22465や実開公平2−62252などに示されるように、より最適な暖房運転を開始できるように、運転開始前の室内温度を考慮して運転開始時の温風暖房能力を決定するというものがある。すなわち、室内の温度を測定し、運転開始からしばらくの間、その測定値に基づいて通常運転時の燃焼能力よりも大きい燃焼量で燃焼を行なうというものである。
【0007】
また、特開昭58−102047や特開平2−148318などに示されるように、室内温度のみならず、体感温度をも考慮して、運転開始時の暖房能力を設定するという技術も見られる。これは、室内温度と体感温度との差異を考慮し、測定された室内温度に基づいて、体感温度を予測し、ユーザが設定した温度設定値を一定条件下に変更させるというものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来技術では、いずれも室内温度のみに基づいて初期暖房能力を制御している。そして、この基となる室内温度は多くの場合装置付近の所定の雰囲気温度を測定したものである。したがって、例えば、冷たい壁、窓、天井等の近くでこれらからの輻射の影響を大きく受ける部分の温度というものは考慮されていないことになる。
【0009】
一般に、装置付近の雰囲気温度で代表される室内温度と、壁、窓、天井等の近くでこれらからの輻射の影響を大きく受ける部分の温度とは必ずしも一致しない。測定された室内温度が同じでも、例えば、前に暖房装置で一度室内を暖めていた場合は、壁、窓、天井等の温度も上昇しており、付近の温度も室内温度と同程度に上昇していると考えられるが、初めて暖房した場合は、壁、窓、天井等の温度は低い状態であるため、これらからの輻射により、付近の温度は測定された室内温度よりも低くなると考えられる。
【0010】
しかし、測定された室内温度のみからは、これらの、壁、窓、天井等による輻射の影響を考慮することができない。したがって、室内温度のみに基づいて制御する従来技術では、測定された温度が同じであれば、上記両ケースとも同じ暖房能力でもってホットダッシュ燃焼を行なうことになる。
【0011】
このため、少し前まで暖房されていたような場合には、高い暖房能力でもって運転が開始されると、必要以上に温度上昇の立ち上がりを生じることになり、すぐに希望する室温以上となってしまう。このことを考慮して、運転開始時の暖房能力を少し低下させてホットダッシュを行うと、初めて暖房がされたような場合には、暖房能力が不十分であり、満足のいく室温になるためには、多くの時間を要することになる。
【0012】
つまり、同じ暖房能力では、一方のケースに対しては暖房能力が過剰、あるいは、不足となることが当然予測され、快適な室温を実現することが困難になるということである。さらに、燃焼の過不足はエネルギー消費面においても不適切かつ不経済であると言える。
【0013】
また、仮に、測定された室内温度が適当なものであったとしても、従来技術では、運転開始時の暖房能力を決定する際に、ユーザが希望する室温に対する考慮が全くされていない。
【0014】
本発明はかかる実状に鑑みて考え出されたものであり、その第1の目的は、暖房装置の使用状況を考慮することにより、運転初期において適切な暖房能力の制御を行ない、暖房効果を速やかに発揮できる温風暖房装置を提供することである。
【0015】
また、第2の目的は、運転開始時において、ユーザの意思を考慮したより細やかで適切な暖房能力の制御を可能とすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のある局面に従うと、温風暖房装置は、液体燃料を気化する気化器と、前記気化器の温度を検知する気化器温度検知部と、前記検知された気化器の温度に基づいて、温風暖房能力を制御する制御部とを含む。
【0017】
この発明に従うと、気化器の温度を検知することにより、暖房装置の使用状況、ひいては、室内全体の真の温度状況をある程度把握することが可能となる。したがって、運転初期において、より適切な暖房能力の制御を行なうことができ、暖房効果を速やかに発揮できる温風暖房装置を提供することが可能となる。
【0018】
好ましくは、温風暖房装置は、室温を設定する室温設定部と、室温を検知する室温検知部とをさらに備え、制御部は、検知された気化器の温度と設定された室温と検知された室温とに基づいて温風暖房能力を制御する。
【0019】
これによると、装置の使用状況を考慮すると共に、設定された室温と検知された室温との関係も考慮するため、運転開始時において、ユーザの意思を反映したより細やかで適切な暖房能力の制御が可能となる。
【0020】
また、制御部は、運転開始時の温風暖房能力を決定する決定部を含むことが好ましい。これにより、より適切な暖房運転の立ち上がりを実現することが可能となる。
【0021】
また、好ましくは、決定部は、検知された気化器の温度が所定値A未満である場合、暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力よりも高く設定する。これにより、以前に装置が使用されてから時間が経っている場合でも、暖房効果を速やかに得ることができる。
【0022】
さらに、好ましくは、決定部は、検知された気化器の温度が前記所定値A以上である場合、暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力と等しく設定する。これにより、以前に装置が使用されてから間がない場合には、無駄なエネルギーの消費を抑えることができる。
【0023】
また、好ましくは、決定部は、第1の設定部と第2の設定部とを含み、第1の設定部は、検出された気化器の温度が所定値B未満である場合において、設定された室温と検出された室温との差が所定値C以上であるときに、その差に応じて暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力よりも高く設定し、第2の設定部は、検出された気化器の温度が所定値B未満である場合において、設定された室温と検出された室温との差が所定値C未満であるときに、暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力と等しく設定する。
【0024】
これにより、以前に装置が使用されてから時間が経っている場合でも、ユーザの意思を考慮した適切な暖房能力の制御が可能となるため、暖房効果を速やかに得ることができる。
【0025】
さらに、好ましくは、制御部は、さらに第3の設定部を含み、第3の設定部は、検出された気化器の温度が所定値B以上である場合において、第1の設定部による設定よりも低く暖房運転開始時の温風暖房能力を設定する。
【0026】
これにより、以前に装置が使用されてから間がない場合にも、ユーザの意思を考慮した適切な暖房能力の制御が可能となるため、無駄なエネルギーの消費を抑えることができる。
【0027】
また、好ましくは、制御部は、検知された気化器の温度に基づいて、設定された室温を設定変更する変更部と、変更部による設定変更を解除する解除部とを含む。
【0028】
暖房装置の使用状況に応じて、温度設定値が変更されるとともに、必要に応じてその変更が解除されるため、適切な暖房能力の制御が行なえ、暖房効果を速やかに発揮することができる。
【0029】
また、好ましくは、変更部は、検出された気化器の温度が所定値D未満である場合、設定された室温を一定値だけ高く設定変更する第1の変更部を含む。
【0030】
以前に装置が使用されてから時間が経っている場合には、設定された室温を高く変更することにより、一層適切な暖房能力の制御が可能となり、暖房効果を速やかに得ることができる。
【0031】
また、好ましくは、変更部は、検出された気化器の温度が所定値D以上である場合、設定された室温を一定値だけ低く設定変更する第2の変更部を含む。
【0032】
以前に装置が使用されてから間がない場合には、設定された室温を低く変更することにより、一層適切な暖房能力の制御が可能となり、無駄なエネルギーの消費を抑えることができる。
【0033】
さらに、好ましくは、解除部は、検知された室温が変更部により変更された設定値以上になると、変更部による設定変更を解除する。
【0034】
これによると、室内を早急に室温設定値に近づける必要のある運転初期を過ぎれば、通常運転時の暖房能力に戻るため、ユーザが当初設定した室温を保つことが可能になる。
【0035】
また、好ましくは、解除部は、暖房運転開始から一定時間を経過すると、変更部による設定変更を解除する。
【0036】
熱容量の大きな空間においては、一定時間が経過するとほぼ室温が一定になるため、その時点で通常運転時の暖房能力に戻すことにより、ユーザが当初設定した室温を保つことが可能になる。
【0043】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
[第1の実施の形態]
図1および図2は、本発明の実施の形態の一つである石油ファンヒータ1の基本構成を示す概略図である。図1は正面の断面図を、図2は側面の断面図をそれぞれ表わしている。
【0044】
図1および図2を参照して、石油ファンヒータ1は、ユーザが希望する室内温度を設定入力する室内温度設定部121と、室内温度を検知する室温サーミスタ119と、燃料を溜めるための燃料タンク101と、燃料タンク内の燃料をポンプアップする燃料圧送用電磁ポンプ103と、送油パイプ105と、燃料を気化するための気化器107と、気化器107の温度を検知するための気化器サーミスタ117と、気化された燃料を燃焼させるためのバーナ111と、燃焼室109と、燃焼室109の背面側に設けられた送風ファン113と、送風ファン113を駆動させるための送風用モータ115とを含んでいる。
【0045】
石油ファンヒータ1の暖房原理は、従来技術と同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。なお、石油ファンヒータ1の温風暖房能力は、燃料圧送式電磁ポンプ103による送油量で決定される燃焼量と、送風ファン113の回転数により決定される温風の送風量とで調整される。
【0046】
図3は、石油ファンヒータ1の機能ブロック図を示している。本図に示すように、石油ファンヒータ1は、機能的に大別すると、気化器温度検知部としての気化器サーミスタ117と、温風暖房能力を決定する要因となる燃料圧送式電磁ポンプ103および送風ファン113と、これらを駆動させる回路305および307と、気化器サーミスタ117からの気化器温度情報に基づいて駆動回路305および307を制御するマイクロコンピュータ300とで構成される。
【0047】
そして、マイクロコンピュータ300は、気化器温度と予め設定されている所定値とを比較判定する気化器温度判定部301と、気化器温度判定部301からの判定結果を受けて、駆動回路305および307に制御信号を発する制御部303とで構成されている。
【0048】
次に、石油ファンヒータ1におけるホットダッシュ制御が行われる手順について説明する。図4は、マイクロコンピュータ300により、運転開始時に石油ファンヒータ1の温風暖房能力が制御される流れを示したフローチャートである。図4を参照して、石油ファンヒータ1は、運転スイッチがONされると、まず、ステップS401において、気化器サーミスタ117による気化器107の温度が検知される。
【0049】
次に、ステップS403において、気化器107の温度(KT)が予め設定していた設定温度(SKT)以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。つまり、ここで、暖房装置の使用状況が判断されることになる。
【0050】
気化器107の温度が設定温度未満の場合は、ステップS407において、燃料の燃焼量を通常の120%、送風ファン113を通常通りとすることにより、温風暖房能力を通常時よりも高い能力に設定する。
【0051】
つまり、この場合は温風暖房装置1を以前に使用していないか、あるいは使用していたとしても、使用を終了してからある程度の時間が経過していると考えられるため、室内の壁、窓等の輻射の影響により周囲の温度は低い状態にあると予想できる。したがって、運転開始時には、より早い暖房効果を得るために通常運転よりもかなり高めの暖房運転を行うようにしている。
【0052】
一方、気化器107の温度が設定温度以上の場合は、ステップS405において、燃料の燃焼量を通常の110%、送風ファン113を通常通りとすることにより、ステップS407の処理における設定よりは低く温風暖房能力を設定する。
【0053】
この場合は、以前に温風暖房装置1を使用し終わってから間がなく、室内の壁、窓等の温度もある程度上昇したままであると考えられる。したがって、暖房運転開始時においてもある程度暖房能力を抑えることにより、エネルギー消費の無駄を防止する必要があるからである。
【0054】
なお、運転開始時にステップS407またはステップS405において設定された温風暖房能力でもって運転が開始された後は、室温サーミスタ119により検知された室温(RT)が、室温設定部121の設定温度(SRT)に達すると、運転初期のホットダッシュモードが解除され、通常時の運転モードに変更される。
【0055】
このように、石油ファンヒータ1では、気化器107の温度を検知することにより、室内の温度状況をある程度予測した上で温風暖房能力を制御することができる。したがって、運転開始時において、快適な室温を実現するためのより適切な制御が可能となる。
【0056】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態における石油ファンヒータ2について説明する。石油ファンヒータ2の基本構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態である石油ファンヒータ1の構成と同様である。
【0057】
図5は、石油ファンヒータ2の機能ブロック図を示している。本図に示すように、石油ファンヒータ2のマイクロコンピュータ500は、室温検知部としての室温サーミスタ119と、室温設定部121と、燃料圧送式電磁ポンプ103の駆動回路305と、送風ファン113の駆動回路307とに接続されている。
【0058】
ここで、マイクロコンピュータ500は、室温サーミスタ119による室温検知結果と室温設定部121による室温設定値とを比較判断する室温判定部501と、室温判定部501の結果を受けて駆動回路305、307に制御信号を送信する制御部503とを含んでいる。
【0059】
つまり、マイクロコンピュータ500は、室温サーミスタ119と室温設定部121とからの情報に基づいて、温風暖房能力を決定する要因となる燃料圧送式電磁ポンプ103および送風ファン113を制御する。
【0060】
次に、図6において、このマイクロコンピュータ500によって運転開始時に石油ファンヒータ2の温風暖房能力が制御される流れをフローチャートにて示す。図6を参照して、石油ファンヒータ2は、運転スイッチがONされると、まず、ステップS601において、室温サーミスタ119により室温(RT)が検知される。
【0061】
次に、ステップS603において、室温設定部121による設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が30℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧30℃?)。30℃以上であれば、ステップS611において、燃料の燃焼量を通常時の130%、送風ファンを通常時の110%にそれぞれ設定する。逆に、30℃未満であれば、ステップS605の処理に進む。
【0062】
続いて、ステップS605では、室温設定部121による設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が20℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧20℃?)。20℃以上であれば、ステップS613において、燃料の燃焼量を通常時の120%、送風ファンを通常時通りにそれぞれ設定する。逆に、20℃未満であれば、ステップS607の処理に進む。
【0063】
そして、ステップS607においては、設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が10℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧10℃?)。10℃以上であれば、ステップS615において、燃料の燃焼量を通常時の110%、送風ファンを通常時通りにそれぞれ設定し、20℃未満であれば、ステップS609において、通常通りの暖房運転能力が設定される。
【0064】
そして、運転開始時にステップS611、ステップS613またはステップS615において適切に設定された温風暖房能力でもって運転が開始された後は、室温サーミスタ119により検知された室温(RT)が、室温設定部121の設定温度(SRT)に達すると、運転初期のホットダッシュモードが解除され、通常時の運転モードに変更される。
【0065】
このように、室内温度のみでなく、ユーザが設定した設定温度をも考慮して運転開始時の暖房運転能力を設定するため、ユーザの意図を反映したより細やかで適切な制御が可能となる。
【0066】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態における石油ファンヒータ3について説明する。石油ファンヒータ3の基本構成も、図1および図2に示す第1の実施の形態である石油ファンヒータ1の構成と同様である。
【0067】
図7は、石油ファンヒータ3の機能ブロック図を示している。本図に示すように、石油ファンヒータ3のマイクロコンピュータ700は、室温検知部としての室温サーミスタ119と、室温設定部121と、気化器温度設定部としての気化器サーミスタ117と、燃料圧送式電磁ポンプ103の駆動回路305と、送風ファン113の駆動回路307とに接続されている。
【0068】
ここで、マイクロコンピュータ700は、室温サーミスタ119による室温検知結果と室温設定部121による室温設定値とを比較判断する室温判定部501と、気化器サーミスタ117による気化器温度検知結果と予め設定している所定値とを比較判断する気化器温度判定部301と、室温判定部501と気化器温度判定部301との結果を受けて駆動回路305、307に制御信号を送信する制御部703とを含んでいる。
【0069】
つまり、マイクロコンピュータ700は、室温サーミスタ119と室温設定部121と気化器サーミスタ117とからの情報に基づいて、温風暖房能力を決定する燃料圧送式電磁ポンプ103および送風ファン113を制御する。
【0070】
次に、図8において、このマイクロコンピュータ700により運転開始時に石油ファンヒータ3の温風暖房能力が制御される流れをフローチャートにて示す。図8を参照して、石油ファンヒータ3は、運転スイッチがONされると、まず、ステップS801において、室温サーミスタ119により室温(RT)が、そして、気化器サーミスタ117により気化器温度(KT)がそれぞれ検知される。
【0071】
次に、ステップS803において、室温設定部121による設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が30℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧30℃?)。30℃以上であれば、ステップS811において、気化器温度(KT)が予め設定された所定値(SKT)以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。
【0072】
ステップS811において、気化器温度が所定値未満であると判断されると、ステップS813において、燃料の燃焼量は通常時の130%、送風ファンは通常時の110%にそれぞれ設定される。逆に、所定値以上であると判断されると、ステップS815において、ステップS813の場合より少し温風暖房能力を低下させて、燃料の燃焼量は通常の120%、送風ファンは通常通りにそれぞれ設定される。
【0073】
一方、ステップS803において、室温設定部121による設定室温と検知された室温との差が30℃未満であると判断されれば、ステップS805の処理に進み、設定室温(SRT)と検知された室温(RT)との差が20℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧20℃?)。20℃以上であれば、ステップS817において、気化器温度(KT)が予め設定された所定値(SKT)以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。
【0074】
ステップS817において、気化器温度が所定値未満であると判断されると、ステップS815において、燃料の燃焼量は通常時の120%、送風ファンは通常通りにそれぞれ設定される。逆に、所定値以上であると判断されると、ステップS819において、ステップS815の場合より少し温風暖房能力を低下させて、燃料の燃焼量は通常の110%、送風ファンは通常通りにそれぞれ設定される。
【0075】
一方、ステップS805において、室温設定部121による設定室温と検知された室温との差が20℃未満であると判断されれば、ステップS807の処理に進み、設定室温と検知された室温との差が10℃以上であるか否かが判断される(SRT−RT≧10℃?)。10℃以上であれば、ステップS821において、気化器温度が予め設定された所定値以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。
【0076】
ステップS821において、気化器温度が所定値未満であると判断されると、ステップS819において、燃料の燃焼量は通常時の110%、送風ファンは通常通りにそれぞれ設定される。逆に、所定値以上であると判断されると、ステップS809において、ステップS819の場合より少し温風暖房能力を低下させて、燃料の燃焼量、送風ファンとも通常通りに設定される。
【0077】
そして、このように運転開始時に適切に設定された温風暖房能力でもって運転が開始された後は、室温サーミスタ119により検知された室温が、室温設定部121の設定温度に達すると、運転初期のホットダッシュモードが解除され、通常時の運転モードに変更される。
【0078】
このように、気化器温度、および、室内温度と設定温度との差を考慮することにより、石油ファンヒータ3の使用状況を基にして室内の温度状況をある程度予測できるとともに、ユーザの室温に対する希望を細やかに反映することができる。したがって、運転開始時において、より適切な立ち上がりを得るための温風暖房能力の制御が可能となり、無駄なエネルギー消費を行なうことなく、速やかに快適な暖房効果を実現することが可能となる。
【0079】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態における石油ファンヒータ4について説明する。石油ファンヒータ4の基本構成も、図1および図2に示す第1の実施の形態である石油ファンヒータ1の構成と同様である。
【0080】
図9は、石油ファンヒータ4の機能ブロック図を示している。本図に示すように、石油ファンヒータ4のマイクロコンピュータ900は、室温検知部としての室温サーミスタ119と、室温設定部121と、気化器温度検知部としての気化器サーミスタ117と、燃料圧送式電磁ポンプ103の駆動回路305および送風ファン113の駆動回路307である負荷回路911とに接続されている。
【0081】
ここで、マイクロコンピュータ900は、気化器サーミスタ117による気化器温度検知結果と予め設定している所定値とを比較判断する気化器温度判定部301と、気化器温度判定部301の判定結果を受けて室温設定部121の設定温度を変更する室温設定変更部905と、タイマ909と、室温サーミスタ119による室温検知結果と室温設定部121による設定室温とを比較判断する室温判定部501と、室温判定部501の判定結果またはタイマ909からの出力を受けて室温設定変更部905による変更を解除し、室温設定部121の設定温度をユーザが設定した元の温度に戻す設定変更解除部907と、気化器温度判定部301および室温判定部501の結果を受けて負荷回路911に制御信号を送信する制御部903とを含んでいる。
【0082】
つまり、マイクロコンピュータ900は、室温サーミスタ119と室温設定部121と気化器サーミスタ117とからの情報に基づいて、負荷回路911を制御する。
【0083】
具体的には、まず、気化器サーミスタ117の情報に基づいて室温設定部121の設定温度を変更し、変更された設定室温を基にした室温判定部501による判定結果と気化器温度判定部301による判定結果とに基づいて、運転開始時の温風暖房能力を制御する。次に、室温判定部501による判定結果、あるいは、タイマ909からの情報に基づいて設定変更を解除し、設定変更を解除した後は、室温サーミスタ119と室温設定部とからの情報に基づいて負荷回路911を制御する通常の室温制御を行なう。
【0084】
次に、図10において、マイクロコンピュータ900により石油ファンヒータ4の温風暖房能力が制御される流れをフローチャートにて示す。図10を参照して、石油ファンヒータ4は、運転スイッチがONされると、タイマ909の運転も開始される。そして、まず、ステップS1001において、気化器サーミスタ117により気化器温度(KT)が検知される。次に、ステップS1003において、気化器温度(KT)が予め設定された所定値(SKT)以上か否かが判断される(KT≧SKT?)。
【0085】
ここで気化器温度が所定値未満であると判断されると、ステップS1009において、室温設定部121において設定されている温度(SRT)が一定値、例えば2〜3℃だけ高めに変更設定される(SRT=SRT+2〜3℃)。そして、ステップS1011において、燃焼が開始される。
【0086】
つまり、この場合は石油ファンヒータ4を以前に使用していないか、あるいは使用していたとしても、使用を終了してからある程度の時間が経過していると考えられるため、室内の壁、窓等の温度も低い状態にあると予想できる。したがって、室内温度設定を一定値だけ高く変更することにより、室内設定温度に依存する運転開始時の暖房能力を通常運転よりもかなり高めに制御することになる。
【0087】
続いて、ステップS1013において、室温サーミスタ119により室温(RT)検知が行なわれ、ステップS1015において、設定温度、すなわち、変更後の温度と検知された室温との比較が行なわれる(RT≧SRT?)。
【0088】
検知された室温が変更後の設定温度以上になると、ステップS1019において、設定変更解除処理が行なわれる。すなわち、設定変更解除部907により、設定変更された室温設定部の温度変更が解除され、ユーザが設定した元の設定温度に戻される(SRT=SRT−2〜3℃)。そして、ステップS1007の処置に進み、設定変更解除後の元の設定温度(SRT)と検知される室温(RT)との差に基づいて暖房運転を行なうという、通常の室温制御運転が行なわれる。
【0089】
一方、ステップS1015において、検知された室温が変更後の設定温度に達しない場合は、ステップS1017の処理に進み、燃焼時間が所定時間、例えば30分を経過したか否かが判断される。そして、経過していなければ、ステップS1013の処理に戻り、経過していれば、ステップS1019の設定変更解除処理に進む。
【0090】
つまり、検知された室温が、変更後の設定温度以上になれば、ステップS1019の設定変更解除処理は開始されるわけであるが、設定温度以上にならなくても、一定時間、例えば30分が経過すると(ステップS1017の判断がYesの場合)、自動的に開始されることになる。これは、熱容量の大きな部屋などでは室温が上昇する時間が遅いため、変更後の設定温度には達しないが、ある程度近い値で室温が安定する場合があることを考慮したためである。
【0091】
次に、ステップS1003において、気化器温度が予め設定された所定値以上であると判断された場合は、ステップS1005において、設定温度をそのままの状態にして初期燃焼が開始される。
【0092】
この場合は、以前に石油ファンヒータ4を使用し終わってから間がなく、室内の壁、窓等の温度もある程度上昇したままであると考えられる。したがって、暖房運転開始時においても不必要に暖房能力を高めることによるエネルギー消費の無駄を防止する必要があるからである。
【0093】
そして、運転開始時に適切に設定された温風暖房能力でもって運転が開始された後、室温サーミスタ119により検知された室温が、室温設定部121の設定温度に達すると、運転初期のホットダッシュモードが解除され、ステップS1007において、通常の室温制御運転が行なわれる。
【0094】
このように石油ファンヒータ4では、気化器107の温度を検知することにより、室内の温度状況をある程度予測した上で室内設定温度を補正変更する。したがって、運転開始時において適切な温風暖房能力の設定が可能になると共に、検知された室温は上昇しているが、室内にいる人はまだ寒いと感じる状態でホットダッシュ制御が終了するというような不都合も回避することができる。
【0095】
<変形例1>
次に、第4の実施の形態である石油ファンヒータ4の一つの変形例を示す。図11は、変形例1における、石油ファンヒータの温風暖房能力が制御される流れを示すフローチャートである。本図に示すように、変形例1における石油ファンヒータの処理の流れは、図10における処理の流れと、ステップS1003の判断結果後の処理において逆となっている。
【0096】
すなわち、本図においては、気化器サーミスタ117により検知された気化器温度が、予め設定されている所定値以上のときに、ステップS1109において、室温設定変更処理が行なわれる。ただし、図10のステップS1009の処理とは異なり、以前に石油ファンヒータを使用し終わってから間がないと考えられる場合の処理であるため、室内温度は、設定温度よりも、一定値、例えば2℃低く設定変更される(SRT=SRT−2℃)。
【0097】
そして、ステップS1011においては、検知される室温と低めに設定変更された温度とに基づいて、ホットダッシュ燃焼が行なわれる。また、ステップS1015では、検知される室温が、変更後の設定温度、すなわち、低めの設定温度以上になると、ステップS1019において、設定変更が解除される。したがって、暖房運転開始時においても不必要に暖房能力を高めることによるエネルギー消費の無駄が防止されることになる。
【0098】
一方、ステップS1003において、気化器サーミスタ117により検知された気化器温度が、予め設定されている所定値未満のときは、ステップS1005において気化器サーミスタ117、室温サーミスタ119および室温設定部からの値に基づくのホットダッシュ燃焼が行なわれることになる。
【0099】
このように、気化器107の温度を検知することにより、室内の温度状況をある程度予測した上で室内設定温度を補正変更できるため、不必要なホットダッシュ燃焼によるエネルギー消費の無駄を防止することができる。
<変形例2>
なお、図10および図11においては、室内温度変更処理(ステップS1009およびステップS1109)を行うのは、室内温度(RT)設定温度(SRT)以上か未満かのいずれか一方の場合であったが、図12に示すように、複数種類の室内温度変更処理を行なうようにしてもよい。
【0100】
すなわち、図12に示すように、ステップS1003において、所定値を複数、例えば、SKT1とSKT2の2つを設けて(SKT1<SKT2)、検知された気化器温度(KT)が、所定値SKT1未満のときは(KT<SKT1)、ステップS1009において、室内温度設定値を高めに変更し、所定値SKT2以上のときは(KT≧SKT2)、ステップS1109において、室内温度設定値を低めに変更し、所定値SKT1以上SKT2未満のときは(SKT1≦KT<SKT2)、変更処理を行なわずにステップS1005において、すぐにホトダッシュ燃焼を行なうようにしてもよい。このように細分化することにより、より適切な暖房効果を期待することができる。
【0101】
なお、図4、図6、および、図8等においては、検知された気化器温度の比較対象となる所定値を1つにしているが、複数設けるようにしてもよい。さらに、図6、図8においては、検知された室温と設定温度との差を3段階に分けて考慮しているが、これに限られず、装置に応じてより適切な段階に分けることが可能である。
【0102】
また、図4、図6、および、図8では具体的に温風暖房能力を示しているが、この数値の温風暖房能力に限られず、それ以上またはそれ以下の能力に設定してもよい。
【0103】
また、図5、図7、および、図9においては、室温設定部121をマイクロコンピュータの中に配置し、室温設定スイッチを外に設けるようにしてもよい。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内ですべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一つである石油ファンヒータ1の基本構成を示すための正面の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一つである石油ファンヒータ1の基本構成を示すための側面の断面図である。
【図3】石油ファンヒータ1の機能ブロック図である。
【図4】マイクロコンピュータ300により、運転開始時に石油ファンヒータ1の温風暖房能力が制御される流れを示したフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態における石油ファンヒータ2の機能ブロック図である。
【図6】マイクロコンピュータ500により、運転開始時に石油ファンヒータ2の温風暖房能力が制御される流れを示したフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態における石油ファンヒータ3の機能ブロック図である。
【図8】マイクロコンピュータ700により、運転開始時に石油ファンヒータ3の温風暖房能力が制御される流れを示したフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態における石油ファンヒータ4の機能ブロック図である。
【図10】マイクロコンピュータ900により、石油ファンヒータ4の温風暖房能力が制御される流れを示すフローチャートである。
【図11】変形例1における、石油ファンヒータの温風暖房能力が制御される流れを示すフローチャートである。
【図12】変形例2における石油ファンヒータの、複数種類の室内温度変更処理を行なう場合のフローチャートである。
【図13】従来技術における石油ファンヒータの構成を示すための正面の断面図である。
【図14】従来技術における石油ファンヒータの構成を示すための側面の断面図である。
【符号の説明】
1、2、3、4 石油ファンヒータ
101 燃料タンク
103 燃料圧送用電磁ポンプ
105 送油パイプ
107 気化器
109 燃焼室
111 バーナ
113 送風ファン
115 送風用モータ
117 気化器サーミスタ
119 室温サーミスタ
121 室温設定部
Claims (12)
- 液体燃料を気化する気化器と、
前記気化器の温度を検知する気化器温度検知手段と、
前記検知された気化器の温度に基づいて温風暖房能力を制御する制御手段とを含む、温風暖房装置。 - 室温を設定する室温設定手段と、
室温を検知する室温検知手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記検知された気化器の温度と前記設定された室温と前記検知された室温とに基づいて温風暖房能力を制御する、請求項1に記載の温風暖房装置。 - 前記制御手段は、運転開始時の温風暖房能力を決定する決定手段を含む、請求項1または2に記載の温風暖房装置。
- 前記決定手段は、前記検知された気化器の温度が所定値A未満である場合、暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力よりも高く設定する、請求項3に記載の温風暖房装置。
- 前記決定手段は、前記検知された気化器の温度が所定値A以上である場合、暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力と等しく設定する、請求項3または4に記載の温風暖房装置。
- 前記決定手段は、第1の設定手段と第2の設定手段とを含み、
前記第1の設定手段は、前記検出された気化器の温度が所定値B未満である場合において、前記設定された室温と前記検出された室温との差が所定値C以上であるときに、前記差に応じて暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力よりも高く設定し、
前記第2の設定手段は、前記検出された気化器の温度が所定値B未満である場合において、前記設定された室温と前記検出された室温との差が所定値C未満であるときに、暖房運転開始時の温風暖房能力を通常運転時の能力と等しく設定する、請求項3に記載の温風暖房装置。 - 前記決定手段は、さらに第3の設定手段を含み、
前記第3の設定手段は、前記検出された気化器の温度が所定値B以上である場合において、前記第1の設定手段による設定よりも低く暖房運転開始時の温風暖房能力を設定する、請求項6に記載の温風暖房装置。 - 前記制御手段は、前記検知された気化器の温度に基づいて、前記設定された室温を設定変更する変更手段と、
前記変更手段による設定変更を解除する解除手段とを含む、請求項2〜7のいずれかに記載の温風暖房装置。 - 前記変更手段は、前記検出された気化器の温度が所定値D未満である場合、前記設定された室温を一定値だけ高く設定変更する第1の変更手段を含む、請求項8に記載の温風暖房装置。
- 前記変更手段は、前記検出された気化器の温度が所定値D以上である場合、前記設定された室温を一定値だけ低く設定変更する第2の変更手段を含む、請求項8または9に記載の温風暖房装置。
- 前記解除手段は、前記検知された室温が前記変更手段により変更された設定値以上になると、前記変更手段による設定変更を解除する、請求項8〜10のいずれかに記載の温風暖房装置。
- 前記解除手段は、暖房運転開始から一定時間を経過すると、前記変更手段による設定変更を解除する、請求項8〜11のいずれかに記載の温風暖房装置。
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