実施形態1
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明を適用した暖房システムの概略構成の一例を示す。図示の暖房システム1は、暖房用の熱媒として温水を生成する温水暖房熱源機(暖房熱源機)2と、この温水暖房熱源機2で生成された温水(熱媒)を利用して居室内の暖房を行う暖房端末として、温水暖房熱源機2から高温(たとえば、80℃)の温水の供給を受ける高温暖房端末装置(詳細は図示しないが、たとえばファンコンベクタ等の暖房装置)3と、温水暖房熱源機2から低温(たとえば、60℃)の温水の供給を受ける低温暖房端末装置(図示例では床暖房装置4)とを主要部として備えている。
上記温水暖房熱源機2は、該温水暖房熱源機2の各部を制御するコントローラ(制御手段)10を備えた燃焼装置で構成され、上記暖房端末との間に循環させる温水を生成する公知の態様の熱交換器5と、この熱交換器5を加熱するバーナ6とを有している。
上記バーナ6は、灯油などの液体燃料を気化させて燃焼させるいわゆる気化燃焼式のバーナで構成されており、このバーナ6には液体燃料を気化させるための気化器61と、該気化器61を加熱・昇温させるための電気ヒータ(ヒータ)62とが備えられている。すなわち、このバーナ6は、気化器61が所定の燃焼可能温度まで加熱・昇温されることによって液体燃料が燃焼可能な状態(つまり、気化された状態)になるものであり、電気ヒータ62への通電によって電気ヒータ62が発熱して気化器61が加熱されるように構成されている。なお、この電気ヒータ62への通電は、上記コントローラ10によって制御されている(詳細は後述する)。
また、図において符号63はバーナノズルを示しており、気化器61で気化された液体燃料に着火することによってこのバーナノズル63に火炎が形成され、上記熱交換器5が加熱される。
そして、このように構成されたバーナ6は、その燃焼/停止並びに燃焼能力が上記コントローラ10によって制御可能に構成されている。そして、このバーナ6には図示しない点火装置が備えられるとともに、バーナノズル63に形成される火炎を検出するためのフレームロッド(炎電流検出手段)64が備えられており、このフレームロッド64に流れる炎電流の電流値が上記コントローラ10で検出・監視可能とされている。
なお、図において、符号7はバーナ6に燃焼用の空気を送り込むための燃焼用ファンを示しており、また、符号8は気化器61に液体燃料を供給する燃料供給管を示している。
そして、本実施形態に示す温水暖房熱源機2は、上述したように、高温暖房端末装置3と低温暖房端末装置(床暖房装置4)の2種類の暖房端末に対してそれぞれ高温と低温の温水供給が可能とされており、これらの暖房端末に温水を供給するための循環配管として、高温暖房端末装置3に対して高温の温水を供給するための内部高温往き管12と、低温暖房端末装置である床暖房装置4に低温の温水を供給するための内部低温往き管13と、これら高温暖房端末装置3及び床暖房装置4で放熱して戻ってくる温水を再び熱交換器5に取り込むための内部戻り管14とが備えられている。
具体的には、上記内部高温往き管12は、その一端が熱交換器5の一端(温水吐出側)に接続されるとともに、その他端が温水暖房熱源機2の外部に設けられた外部高温往き管20を介して高温暖房端末装置3の温水導入口(図示せず)に接続されている。そして、高温暖房端末装置3の温水戻り口(図示せず)が温水暖房熱源機2の外部に設けられた外部戻り管21を介して一端が熱交換器5の他端(温水戻り側)に接続された内部戻り管14の他端に接続されている。
そして、上記内部戻り管14には後述するコントローラ10により運転/停止の制御が可能な循環ポンプ17が設けられており、この循環ポンプ17を運転させることによって、熱交換器5から出力される温水が、内部高温往き管12、外部高温往き管20、高温暖房端末装置3、外部戻り管21、内部戻り管14を経て熱交換器5に循環できるように構成されている。
一方の内部低温往き管13は、後述するコントローラ10で開閉制御が可能な熱動弁18を備えており、その一端が上記循環ポンプ17の下流側(吐出側)で上記内部戻り管14と接続されるとともに、その他端が温水暖房熱源機2の外部に設けられた外部低温往き管22を介して床暖房パネル41の温水導入口(図示せず)に接続され、さらに、床暖房パネル41の温水戻り口(図示せず)が外部低温戻り管23を介して上記外部戻り管21に接続されている。そして、上記循環ポンプ17の上流側(吸込側)には、上記内部高温往き管12と内部戻り管14とを接続するバイパス管16が配設されており、このバイパス管16にも上記コントローラ10で制御可能な熱動弁19が設けられている。
そして、床暖房パネル41への温水の循環は、高温暖房端末装置3が停止状態にあるとき(図示しない高温暖房端末装置3側の熱動弁が閉とされ、高温暖房端末装置3への温水供給がないとき)は、熱交換器5から出力された温水が、内部高温往き管12、バイパス管16、循環ポンプ17を経て内部低温往き管13、床暖房パネル41、外部低温戻り管23、外部戻り管21、内部戻り管14に循環(内部戻り管14ではバイパス管16からの温水と合流し、一部が内部低温往き管13にその余が熱交換器5へと循環)できるように構成されている。
これに対して、高温暖房端末装置3が運転状態にあるとき(図示しない高温暖房端末装置3側の熱動弁が開とされ、高温暖房端末装置3への温水供給があるとき)は、上述した温水の循環に加えて高温暖房端末装置3で放熱した温水が外部戻り管21において外部低温戻り管23からの温水と合流して内部戻り管14へと循環する。
上記コントローラ10は温水暖房熱源機2の制御手段を構成する制御装置であって、CPU、ROM、RAMなどを有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成されており、ROM、RAM等の記憶手段に記憶された制御プログラムや制御データに基づいて温水暖房熱源機2の各部を制御するように構成されている。
具体的には、このコントローラ10には、高温往き管12の温水の温度を検出する高温往き温度センサ25、低温往き管13の温水の温度を検出する低温往き温度センサ26、気化器61の温度を検出する気化器温度センサ27、更には上述したフレームロッド64などの各種センサ類が接続され、これらセンサ類で検出される情報がコントローラ10に取り込み可能とされているとともに、図示しない点火装置や、上記循環ポンプ17、熱動弁18,19、電気ヒータ62などとも接続され、これら各部の動作制御が可能とされている。
そして、さらにこのコントローラ10は、後述する床暖房装置4の操作リモコン42のコントローラ43とも通信可能に接続されており、該コントローラ43から各種信号を受信して床暖房パネル41への温水供給を制御するように構成されている。
ここで、床暖房装置4の操作リモコン42は居室の壁面等に設置されるタイプのリモコンであって、その具体的な構成態様は周知であるので詳細な説明は省略するが、この操作リモコン42にはマイクロコンピュータを備えたコントローラ43が備えられており、図示しない操作スイッチ等の操作に応じて上記温水暖房熱源機2のコントローラ10に対して各種信号を送信するように構成されている。具体的には、操作リモコン42の運転スイッチのON/OFFを示す運転スイッチ信号や、暖房温度調節(温調)スイッチにおいて設定された暖房能力に応じて決定される暖房周期に従って温水暖房熱源機2に対して暖房用の温水(熱媒)を要求する温水要求信号などが送信されるように構成されている。
しかして、このように構成された暖房システムにおいては、高温暖房端末装置3のみを運転させる場合、コントローラ10は、熱動弁18,19を閉じるとともに循環ポンプ17を運転させ、さらに、高温往き温度センサ25での検出温度THsが高温暖房端末装置3で要求される温水の温度(高温側設定温度TH)となるように(具体的には、検出温度THsが高温側設定温度TH±x℃(たとえばx=5℃)の範囲となるように)バーナ6の燃焼制御を行う。換言すれば、高温暖房端末装置3のみが運転する場合、コントローラ10は、高温側設定温度THを高温暖房端末装置3への循環水の目標温度としてバーナ6の燃焼制御を行う。
また、高温暖房端末装置3と床暖房装置4の双方を運転させる場合、コントローラ10は、熱動弁18を開いて床暖房パネル41への温水循環経路を開くとともに循環ポンプ17を運転させ、さらに、高温往き温度センサ25での検出温度THsが高温側設定温度THとなるように上記と同様のバーナ6の燃焼制御を行う。つまり、この場合も高温側設定温度THを目標温度としてバーナ6の燃焼制御が行われる。そして、さらにコントローラ10は、床暖房パネル41に供給される温水(つまり、低温往き温度センサ26での検出温度TLs)が床暖房装置側で要求されている温水の温度(低温側設定温度TL)となるように(この場合も、具体的には検出温度TLsが低温側設定温度TL±x℃(たとえばx=5℃)の範囲となるように)、熱動弁19を開閉して、内部高温往き管12を流れる高温の温水と内部戻り管14を流れる温水とを混合して床暖房パネル41に温水を供給する。なお、その際、コントローラ10は、床暖房装置4の操作リモコン42から与えられる上記温水要求信号に応じて上記熱動弁18を開閉し、床暖房パネル41に温水を断続的に供給して床暖房パネル41の温度調節を行っている。
これに対して、床暖房装置4のみを運転させる場合、コントローラ10は、熱動弁18を開いて床暖房パネル41への温水経路を開くとともに熱動弁19を開いた状態に保ち、循環ポンプ17を運転させ、さらに、低温往き温度センサ26での検出温度TLsが低温側設定温度TLとなるように(この場合も、具体的には検出温度TLsが低温側設定温度TL±x℃(たとえばx=5℃)の範囲となるように)バーナ6の燃焼制御を行う。換言すれば、床暖房装置4のみが運転する場合、コントローラ10は、低温側設定温度TLを床暖房パネル41への循環水の目標温度としてバーナ6の燃焼制御を行う。なお、このとき高温暖房端末装置3側の熱動弁は閉とされている。また、コントローラ10が、床暖房装置4の操作リモコン42からの温水要求信号に応じて上記熱動弁18を開閉して床暖房パネル41の放熱温度を調節する点は上記と同様である。
そこで、次に、このように構成された暖房システムにおける気化器61を加熱する電気ヒータ62の加熱制御及びバーナ6の燃焼制御について図2及び図3に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、床暖房装置4のみを運転させる場合について説明する(実施形態2以降についても同じ)。
図2は、床暖房のみを行うときの各種信号及び温水暖房熱源機2各部の動作のタイミングチャートを示しており、はじめにこの図2に基づいて本発明の要点を説明する。
床暖房装置4の操作リモコン42において運転スイッチのON操作がなされると、この操作に伴って運転スイッチONを示す運転スイッチ信号と、操作リモコン42で設定された暖房能力に応じて決定された暖房周期に従った温水要求信号(温水要求期間中は「温水要求あり」を、温水不要求期間中は「温水要求なし」を示す信号)が温水暖房熱源機2のコントローラ10に与えられる(図2(a),(b)参照)。また、床暖房装置4は低温暖房端末装置であるので、この温水要求信号は低温側設定温度TLの温水(図示例では60℃の温水)を要求するものとしてコントローラ10に受け付けられる(図2(c)参照)。
コントローラ10は、これら運転スイッチ信号(運転スイッチON)及び温水要求信号(温水要求あり)を受け付けると(図2のt0の時点参照)、温水要求ありの期間に合わせて暖房運転を開始する(図2(e)参照)。すなわち、温水要求がある期間に合わせて床暖房パネル41に温水が供給されるように、循環ポンプ17を運転させるとともに熱動弁18を開いて床暖房パネル41に温水を循環させる(図2(g)参照)。そして、電気ヒータ62の加熱制御を開始し(図2(d)参照)、バーナ6の燃焼制御を実行する。
ここで、上記電気ヒータ62の加熱制御は、気化器温度センサ27の検出温度Taが所定の燃焼可能温度となるように電気ヒータ62への通電を制御するもので、具体的には、検出温度Taが、燃焼可能温度から燃焼可能温度+y℃(yは適宜設定される)の範囲内に維持されるように、上記検出温度Taが燃焼可能温度未満のときは通電を継続して電気ヒータ62を昇温させ、燃焼可能温度以上になると燃焼可能温度から燃焼可能温度+y℃の範囲を超えないように電気ヒータ62への通電を断続的に行って気化器61を保温する。
ところで、運転スイッチ信号がONとなった時点(図2のt0の時点)では、高温暖房端末装置3が運転中の場合や床暖房装置4の運転スイッチがOFFされた直後である場合など気化器61が燃焼可能温度にあるときを除けば、気化器温度センサ27の検出温度Taは燃焼可能温度に満たないことから、気化器61が燃焼可能温度に昇温されるまでには予熱期間T1(図2のt0からt1の間)が必要となり、この間はバーナ6が燃焼できずに床暖房パネル41への循環水に予定していた熱量(この間にバーナ6が燃焼していたら循環水に与えられたであろう熱量)が与えられず、循環水(熱媒)の熱量が不足することとなる。
そのため、本発明では、予熱期間T1中に循環水に与えられなかった熱量をコントローラ10で予測して、当初設定されていた循環水の目標温度(低温側設定温度TL)に対してこの予測される熱量(以下、「不足熱量A」と称する)分を上乗せ(加算)した新たな目標温度を設定し、この新たな目標温度に基づいてバーナ6の燃焼制御を行うようにしている。
すなわち、本実施形態ではこの新たな目標温度の設定にあたり、当初の目標温度(低温側設定温度TL)に予め定められた規定値z(たとえば20℃)を上乗せして新たな目標温度としている。つまり、当初の目標温度が60℃であるので、これに規定値zである20℃を加算した80℃を新たな目標温度として設定する。そして、この新たな目標温度でバーナ6の燃焼制御を行い、目標温度の上乗せ分zによって上記不足熱量A分の熱量を循環水に与え終わると、目標温度を当初の目標温度である60℃に戻すようにされている。
具体的には、本実施形態ではコントローラ10は、図2(h)に示すように、予熱期間T1であるt0からt1の間、1秒毎に当初の目標温度(低温側設定温度TL)と循環水の温度(低温往き温度センサ26の検出温度TLs)の温度差を積算して不足熱量Aを求める。そして、気化器61の予熱が完了する(t1の時点になる)と、循環水の目標温度を新たな目標温度(80℃)に設定し直して(図2(i)参照)、バーナ6の燃焼を開始させ、バーナ6の燃焼開始(気化器61の予熱完了)と同時に、今度は上記積算によって得た不足熱量Aから1秒毎に上記上乗せ分z(20℃)を減算する処理を開始して、この減算の結果が「0」になると、その時点(t2の時点)で目標温度を当初の目標温度(60℃)に戻すように構成されている。なお、図示例では、目標温度を当初の目標温度(60℃)に戻した時点(t2の時点)では、未だ温水要求ありの状態が継続しているので、温水要求がなしとなるまで(t3の時点まで)は当初の目標温度(60℃)で燃焼制御が行われる。
このように、本発明では気化器61の予熱期間T1により温水要求ありのタイミングに合わせてバーナ6の燃焼を開始できない場合でも、予熱期間T1による熱量不足を補うように目標温度を上乗せして燃焼運転が行われるので、床暖房装置4が熱量不足に陥ることがない。
そして、このような燃焼制御を採用したことにより、本発明に係る暖房システムにおいては、図2(d)に示すように、床暖房装置4の運転スイッチがONの状態であるときであっても、温水要求がない温水不要求期間(図2のt3からt4の期間)中は電気ヒータ62の加熱制御を停止させることができる。すなわち、温水要求がない期間中はバーナ6の燃焼を停止させてこの間に電気ヒータ62の加熱制御を停止すると、気化器61が燃焼可能温度を下回る事態が生じ得るが、その場合でも上述した気化器61の予熱期間による熱量不足を補うように目標温度を上乗せして燃焼制御が行われるので、床暖房装置4が熱量不足に陥ることなく、電気ヒータ62への通電をカットすることができる。
なお、これに関連して図2(e)に示した、暖房周期2周目の温水要求期間(図2のt4のからt6の期間)の暖房運転について説明する。ここで図示しているのは、予熱期間T2が長くなったために当該温水要求期間(図2のt4からt6の期間)内に不足熱量A分に相当する熱量が循環水に与えられなかった場合を示している。すなわち、この場合、当該温水要求期間の終了時点(t6の時点)では、未だ上記上乗せ分zの減算値が「0」となっておらず循環水に予定通りの熱量が与えられていない。そのため、コントローラ10は、当該温水要求期間に連続する温水不要求期間(図2のt6からt7の期間)になっても、上記不足熱量A分に相当する熱量の全てが循環水に与えられるまで上記新たな目標温度(80℃)による燃焼制御を継続させている。つまり、上記減算値が「0」となるまでの間は暖房運転が継続され、それに伴って、循環ポンプ17の運転及び熱動弁18を開いた状態が継続され、さらに、電気ヒータ62の加熱制御も継続される。そして、上記減算値が「0」となった時点で暖房運転が停止される。
このように、温水要求期間内に上記不足熱量A分に相当する熱量を循環水に与えられなかった場合には温水不要求期間においても暖房運転が継続されるので、床暖房装置4が熱量不足に陥ることが回避される。
なお、上述した実施形態においては、不足熱量Aをコントローラ10が積算することにより求める場合を示したが、この不足熱量Aは、当初の目標温度である低温側設定温度TLと予熱期間中における循環水の温度(低温往き温度センサ26の検出温度TLs)の温度差に予熱期間の所要時間(秒)を乗じることに他ならず、このような演算によって求めるようにすることもできる。
また、上述した実施形態においては、新たに設定される目標温度として、当初の目標温度に規定値である20℃を加算する場合を示したが、この新たに設定される目標温度は不足熱量Aの大きさに応じて適宜設定するように構成することもできる。なお、その場合、新たに設定される目標温度は、バーナ6が燃焼を開始したときの当該温水要求期間内に不足熱量A分に相当する熱量を循環水に与え終わるように設定されることが好ましい。つまり、温水不要求期間中に暖房運転をしなくてもよいように新たな目標温度を設定するのが好ましい。
次に、床暖房のみを行うときのコントローラ10の制御手順を図3に基づいて説明する。
図3に示すように、床暖房装置4の操作リモコン42から運転スイッチがON操作されたことを示す運転スイッチ信号を受け付けると、コントローラ10は、まず、操作リモコン42からの温水要求があるか否を判断する(図3ステップS1参照)。そして、温水要求がある場合には、循環ポンプ17を運転させるとともに熱動弁18を開いて(図3ステップS2,S3)、床暖房パネル41への温水循環を開始させる。
そして、これらの処理に合わせて、コントローラ10は電気ヒータ62の加熱制御を開始する。その際、まず、気化器61の予熱が完了しているかを気化器温度センサ27の検出温度Taに基づいて判断する(図3ステップS4参照)。このとき、高温暖房端末装置3が運転中であるなどの場合を除き通常は予熱が完了していないので、コントローラ10は図3ステップS15に移行して、循環水の温度(低温往き温度センサ26の検出温度TLs)が床暖房装置4の要求温水温度(低温側設定温度TL)より低いか否かを判断する。
この図3ステップS15の判断において低温往き温度センサ26の検出温度TLsが上記低温側設定温度TLよりも高い場合(ステップS15の判断が否定的な場合)には、床暖房パネル41に低温側設定温度TLの温水を直ちに供給できるので、コントローラ10はバーナ6を燃焼させずに電気ヒータ62のみをONにする(つまり、電気ヒータ62への通電を開始する)。なお、このときの電気ヒータ62への通電は、気化器61が燃焼可能温度に昇温するまで継続的に行われる。
これに対し、低温往き温度センサ26の検出温度TLsが上記低温側設定温度TLよりも低い場合(ステップS15の判断が肯定的な場合)には、バーナ6を燃焼させる必要があるので、コントローラ10は、気化器61の予熱が完了するまでの予熱期間(換言すれば、バーナ6が燃焼を開始するまでの間)について、上記不足熱量Aの積算を開始し(図3ステップS16参照)、併せて、電気ヒータ62の昇温を目的とした加熱制御を開始する(図3ステップS17参照)。
このようにして、電気ヒータ62への通電が開始されると、次に、コントローラ10は、図3ステップS9に示すように、温水要求がなしとなっているかを判断する。気化器61の予熱開始直後に暖房要求がなしになることは稀であり通常この判断は否定的となるので、再び図3ステップS4に復帰する。そして、この図3ステップS4の判断で気化器61の予熱が完了したと判断されると、次に、図3ステップS16で積算した不足熱量Aが「0」でないかを判断する(図3ステップS5参照)。
このとき不足熱量Aが「0」の場合とは、コントローラ10の運転スイッチがONとなったとき既に気化器61が燃焼可能温度以上に昇温されている(つまり、予熱が完了している)場合であり、その場合は、図3ステップS18に移行して、低温往き温度センサ26の検出温度TLsが低温側設定温度TLとなるように(つまり、当初の目標温度のままで)燃焼制御が開始される。
一方、不足熱量Aが「0」でない場合は、コントローラ10は、上述したように、当初の目標温度である低温側設定温度TLにこの不足熱量A分の熱量を上乗せして新たな目標温度を設定し、バーナ6の燃焼制御を開始する(図3ステップS6参照)。また、燃焼制御の開始とともに、1秒毎に上記不足熱量Aから目標温度の上乗せ分の減算を開始する(図3ステップS7参照)。そして、電気ヒータ62に対しては保温を目的とした加熱制御を開始する。
そして、図3ステップS9において、再び、操作リモコン42からの温水要求がなしであるかが判断される。そして、この図3ステップS9の判断において否定的な判断、つまり温水要求が継続している場合には図3ステップS4に復帰する。これに対して、この判断が肯定的、すなわち、温水要求がないと判断されると、図3ステップS10に移行に移行して不足熱量Aが「0」であるかが判断される。
そして、この判断において不足熱量Aが「0」であると判断されると、バーナ6の燃焼停止(図3ステップS11)、電気ヒータ62の加熱制御停止(図3ステップS12)、循環ポンプ17の運転停止(図3ステップS13)、さらには、熱動弁18を閉じて(図3ステップS14)、図3ステップS1に復帰する。すなわち、不足熱量Aが「0」の場合には次の温水要求が来るまでの間、暖房運転は停止される。
これに対して、図3ステップS10において不足熱量Aが「0」でないと判断されると、不足熱量Aが「0」となるまで暖房運転が継続される(図3ステップS19参照)。なお、これらの処理中において、操作リモコン42から運転スイッチOFFを示す運転スイッチ信号をコントローラ10が受け付けた場合には、コントローラ10は暖房運転を直ちに停止する。また、この場合、図3ステップS16において不足熱量の積算中であっても当該積算値はリセットされ「0」にされる。
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態について図4に基づいて説明する。この第2の実施形態に示す暖房システムは、上述した実施形態1に示した暖房システムにおいて、バーナ6が燃焼状態にあるときの温水暖房熱源機2のコントローラ10の制御構成を改変したものである。したがって、その他の基本構成は実施形態1に示す暖房システムと同一であり、構成が共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
すなわち、本実施形態の暖房システムにおいては、コントローラ10はバーナ6が燃焼中であっても後述する一定条件を満たせば電気ヒータ62の加熱制御を停止できるように構成されている。図4は、同コントローラ10における電気ヒータ62の加熱制御の一例を示すフローチャートである。
本実施形態に示す暖房システムでは、図4に示すように、電気ヒータ62の加熱制御にあたり、コントローラ10は、はじめに電気ヒータ62の加熱制御が必要であるかを判断する(図4ステップS1参照)。すなわち、上述した温水要求があるときは加熱制御が必要であると判断し、温水要求がないときには加熱制御は必要でないと判断する。したがって、温水要求がないときは電気ヒータ62の通電を停止させる(図4ステップS2参照)。一方、温水要求があるときは、図4ステップS3に移行してバーナ6が燃焼していないかを判断し、バーナ6が非燃焼である場合は気化器温度センサ27の検出温度Taが電気ヒータ62の加熱制御(保温時)において該ヒータ62への通電を開始する下限温度(上述した例では燃焼可能温度のことであり、以下、「通電開始下限温度」と称する)未満であるかを判断して、通電開始下限温度未満であれば電気ヒータ62に通電を開始して気化器61を加熱・昇温させる(図4ステップS5参照)。これに対し、検出温度Taが電気ヒータ62の加熱制御において電気ヒータ62への通電を停止させる上限温度(上述した例では燃焼可能温度+y℃のことであり、以下、「通電停止上限温度」と称する)以上であるときは電気ヒータ62への通電を停止する(図4ステップS9,S10参照)。
これに対し、図4ステップS3の判断においてバーナ6が燃焼している場合、コントローラ10は気化器61の温度上昇の割合(温度勾配)を取得する(図4ステップS6参照)。具体的には、コントローラ10は、バーナ6が燃焼を開始するとバーナ6が燃焼している間は予め定められた一定時間ごとに気化器温度センサ27の検出温度Taを取得し、その温度上昇の割合を監視するようにされる。
そして、コントローラ10は電気ヒータ62が通電状態であるかを判断し(図4ステップS7参照)、通電状態であれば、取得した温度勾配が所定の勾配以上の傾きを有しているか(換言すれば、温度上昇の割合が所定の割合を越えているか)を判断し(図4ステップS8参照)、所定の勾配(割合)以上の勾配(割合)で温度上昇していると判断された場合には、電気ヒータ62への通電を停止する(図4ステップS11参照)。
ここで、上記所定の(温度)勾配とは、少なくとも気化器61を電気ヒータ62のみで加熱したときに生じる温度勾配以上の勾配(温度上昇の割合)が採用される。つまり、図4ステップS11における所定の温度勾配以上の傾きを示す場合とは、電気ヒータ62による伝熱に加えてバーナ6の燃焼に伴う伝熱が上乗せされている場合であり、このようなバーナ6による伝熱があるときには、電気ヒータ62の通電を停止しても気化器61の温度は自ずと上昇又は保温されるので、図4ステップS11では電気ヒータ62への通電を停止するように構成している。
なお、この図4ステップS8での判断にあたっては、上記温度勾配の傾きとともに、上述した電気ヒータ62の通電停止上限温度(燃焼可能温度+y℃)と現在の気化器61の温度(検出温度Ta)とを比較して、その温度差が所定値以下であることを条件とし、この条件を満たすときに電気ヒータ62への通電を停止させるようにすることも可能である。すなわち、気化器61の温度勾配が所定の勾配以上の傾きを有していても気化器61の温度が燃焼可能温度に近い場合には、電気ヒータ62への通電を停止すると気化器61の温度が短時間で燃焼可能温度以下に下がるおそれがあるので、そのような事態が起きないようにするため、上記通電停止上限温度との温度差が小さいことを条件とすることが好ましい。
そして、図4ステップS8での判断において、気化器61の温度勾配が上記所定の勾配に満たない場合には、通常と同様の加熱制御(図4ステップS4,5及びS9,10に示す処理)が行われる。
このように、本実施形態に示す暖房システムによれば、バーナ6が燃焼中であるときでも、一定条件下で電気ヒータ62への通電を停止することができるので、電気ヒータ62での節電効果を高めることができる。
実施形態3
次に、本発明の第3の実施形態について図5に基づいて説明する。この第3の実施形態に示す暖房システムは、上述した実施形態2に示した暖房システムと同様に、コントローラ10の制御構成を改変することによってバーナ6が燃焼中であっても後述する一定条件を満たせば電気ヒータ62の加熱制御を停止できるように構成したものであるが、コントローラ10の制御構成が上述した実施形態2と相違する。具体的には、この第3の実施形態の暖房システムもバーナ6による伝熱を利用して電気ヒータ62への通電を停止させるものであるが、バーナ6の伝熱が十分に得られるかをバーナ6の燃焼状態に基づいて判定している。その他の基本構成は実施形態1に示す暖房システムと同一であるので、構成が共通する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、本実施形態に示すコントローラ10における電気ヒータ62の加熱制御の一例を示すフローチャートである。
本実施形態に示す暖房システムでは、図5に示すように、電気ヒータ62の加熱制御にあたり、まず、コントローラ10は、上述した実施形態2と同様に、電気ヒータ62の加熱制御が必要であるかを判断し(図5ステップS1参照)、温水要求がないときは電気ヒータ62への通電を停止する(図5ステップS2参照)。一方、温水要求があるときは、図4ステップS3に移行してバーナ6が非燃焼であるかを判断し、バーナ6が非燃焼である場合は気化器温度センサ27の検出温度Taが上記通電停止上限温度(燃焼可能温度+y℃)以上であるかを判断して(図5ステップS4参照)、その判断が肯定的であれば電気ヒータ62の通電を停止させる(図5ステップS5参照)。これに対し、検出温度Taが上記通電開始下限温度(燃焼可能温度)未満であるときは電気ヒータ62への通電を開始する(図5ステップS10,S11参照)。
これに対し、図5ステップS3の判断においてバーナ6が燃焼している場合、コントローラ10はバーナ6の燃焼状態を確認する(図5ステップS6参照)。具体的には、コントローラ10は、バーナ6が燃焼中は常にフレームロッド64で検出される炎電流の検出値を取得し、その検出値が所定の範囲内にあるか否かによって燃焼状態が正常であるかを監視する(図5ステップS6,S7参照)。
そして、燃焼状態が異常(図5ステップS7でYes)であれば、バーナ6からは気化器61を昇温させるのに十分な伝熱が得られないので、コントローラ10は電気ヒータ62が通電停止中であるかを判断し(図5ステップS8参照)、通電停止状態であれば電気ヒータ62への通電要求状態に入る(図5ステップS9参照)。一方、燃焼状態が正常(図5ステップS7でNo)であれば、気化器61には十分な伝熱がバーナ6から得られるので、コントローラ10は電気ヒータ62が通電状態であるかを判断し(図5ステップS12参照)、通電状態であれば電気ヒータ62への通電停止要求状態に入る(図5ステップS13参照)。
なお、ここでの通電要求及び通電停止要求は、いずれも電気ヒータ62への通電を直ちに開始させたり停止させたりするものではない。すなわち、通電要求があっても電気ヒータ62が上述した通電停止上限温度(燃焼可能温度+y℃)以上である場合には通電を開始させることはできないし、反対に、通電停止要求があっても電気ヒータ62が通電開始下限温度(燃焼可能温度)未満であり通電を停止できない場合があるからである。
そのため、本実施形態では、通電要求及び通電停止要求のいずれが発生した場合についても、コントローラ10は、まず図5ステップS4及びS10の判断を行い、電気ヒータ62が通電停止上限温度以上のときは通電を停止し(図5ステップS4,S5参照)、通電開始下限温度未満のときは通電を開始するように構成される(図5ステップS10,S11参照)。そしてその上で、通電停止上限温度未満でかつ通電開始下限温度以上の範囲内にある状態であっても、上記通電要求があるときは電気ヒータ62への通電を行い(図5ステップS14,S15)、反対に、通電停止要求がある場合は電気ヒータ62への通電を停止するようにしている(図5ステップS16,S17参照)。
したがって、本実施形態に示す暖房システムにおいても、バーナ6が燃焼中であっても、一定条件下で電気ヒータ62への通電を停止することができるので、電気ヒータ62での節電効果を高めることができる。
なお、本実施形態では、コントローラ10がバーナ6の燃焼状態を確認した後に電気ヒータ62に対する通電要求または通電停止要求を行うように構成した場合を示したが、燃焼状態を確認して加熱制御の継続・停止を制御するように構成されていれば、たとえば、バーナ6の燃焼中であって電気ヒータ62の加熱制御中に、燃焼状態を確認することなく所定のタイミングで加熱制御を停止させ、そのときに炎電流の検出値が正常燃焼状態に対応した所定範囲内にあるか否かを確認(燃焼状態を確認)し、正常燃焼状態に対応した所定範囲を外れている場合に限って電気ヒータ62の加熱制御を再開するように構成することも可能である。
実施形態4
次に、本発明の第4の実施形態を図6に基づいて説明する。この第4の実施形態に示す暖房システムは上述した実施形態1ないし3の暖房システムにおけるコントローラ10の制御構成を改変したものであって、温水暖房熱源機2が床暖房装置4側からの温水要求を受け付けてバーナ6の燃焼制御を行っているときに、後述する一定条件を満たせば電気ヒータ62の加熱制御を停止するように構成されている。
図6は、本実施形態におけるコントローラ10の制御構成を説明するためのタイミングチャートである。
この図6に示すように、本実施形態の暖房システムにおけるコントローラ10は、上述した他の実施形態と同様に、バーナ6の燃焼制御にあたり、循環水の目標温度に対してバーナ6の燃焼を停止させる燃焼停止温度(たとえば、目標温度+5℃)と、バーナ6の燃焼を開始させる燃焼開始温度(たとえば、目標温度−5℃)とが設定されており、燃焼制御中は、循環水の温度つまり低温往き温度センサ26の検出温度TLsが上記燃焼停止温度まで上昇するとバーナ6の燃焼を停止させる一方、検出温度TLsが燃焼開始温度まで低下するとバーナ6の燃焼を開始させるように構成されている。
そして、本実施形態では、コントローラ10は、このようなバーナ6の燃焼制御においてバーナ6の燃焼が停止されると(図6のt10の時点)、これに合わせて電気ヒータ62の加熱制御を停止(電気ヒータ62への通電を停止)させるように構成される。
ところで、このようにバーナ6の燃焼停止に合わせて電気ヒータ62の加熱制御を停止させると、バーナ6の燃焼停止期間中に気化器61の温度が加熱制御において電気ヒータ62に通電を開始する通電開始下限温度を下回ることがある。そのため、本実施形態では、バーナ6の燃焼制御中において電気ヒータ62の加熱制御を停止させると、コントローラ10が上記低温往き温度センサ26の検出温度TLsを一定時間ごとに取得するなどして、この検出温度TLsの低下する割合を監視し、この温度低下の割合が予め定めた所定の割合を超えているときは、当該検出温度TLsが上記燃焼開始温度まで低下する前であっても電気ヒータ62の加熱制御を開始(電気ヒータ62への通電を開始)するように構成されている(図6のt11の時点参照)。
したがって、本実施形態の暖房システムでは、熱媒である循環水の温度低下に応じて電気ヒータ62の加熱制御を再開させるので、燃焼制御に従ってバーナ6の燃焼が開始される前に電気ヒータ62の予熱期間を確保することができる。そのため、循環水が燃焼開始温度まで低下してバーナ6の燃焼を開始させようとするときに、直ちにまたは遅れがあってもその遅れを短くすることができ(なお、図6のt12からt13は燃焼開始の遅れを示している)、床暖房装置4の暖房能力の低下を招くことなく電気ヒータ62の節電を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、コントローラ10が検出温度TLsの低下する割合に基づいて電気ヒータ62の加熱制御を開始するように構成した場合を示したが、たとえば、検出温度TLsの温度低下の割合などに基づいて検出温度TLsが燃焼開始温度まで低下するまでに要する時間(以下、「温度低下予想時間」と称する)を算出し、この温度低下予想時間に基づいて電気ヒータ62の加熱制御を再開するタイミングを設定するように構成することもできる。
具体的には、たとえば、予め気化器61の材質や容積、さらには電気ヒータ62の電力などから電気ヒータ62に通電したときの気化器61の温度上昇率をコントローラ10に記憶させておき、この温度上昇率に基づいて気化器61を燃焼可能温度まで昇温させるのに必要な時間(以下、「予熱必要時間」と称する)を求める。また、上記温度低下予想時間は、現在の循環水の温度(検出温度TLs)から燃焼開始温度を減算してこれを温度低下の割合で除算することにより算出する。そして、予熱必要時間≧温度低下予想時間となると電気ヒータ62の加熱制御を開始させる。これにより、上述した実施形態のように、予熱が間に合わずにバーナ6の燃焼が遅れるということなく、電気ヒータ62の節電を図ることができるようになる。
実施形態5
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。この第5の実施形態に示す暖房システムは、上述した実施形態1ないし4の暖房システムにおいて、床暖房装置4側からの温水要求がなく、コントローラ10が燃焼制御を停止させているときの制御に関するものであり、本実施形態の適用にあたってもコントローラ10の制御構成が改変される。
すなわち、本実施形態に示す暖房システムにおいては、床暖房装置4側からの温水要求がなく燃焼制御を停止させているときに、コントローラ10が、次に温水要求を受け付けるまでの時間を予め予測して、次の温水要求が来る前に気化器61の予熱が完了するように温水不要求期間中に電気ヒータ62の加熱制御を開始するように構成される。
具体的には、まず、コントローラ10は、直前に受け付けた温水要求ありの期間などから暖房周期を予測して次に温水要求が来るまでの時間(以下、「温水要求到来予定時間」と称する)を算出する。そして、この温水要求到来予定時間と気化器61を燃焼可能温度までに昇温させるのに必要な予熱時間と比較して、予熱時間≧温水要求到来予定時間となると温水要求を受け付けていなくとも電気ヒータ62の加熱制御を開始させる。これにより、温水不要求期間が経過して温水要求がきたときには気化器61が燃焼可能温度まで昇温されていることから、バーナ6の燃焼が遅れることが解消される。
ここで、上記予熱時間としては、たとえば、予め実験などによって得た値を固定値としてコントローラ10に記憶させておきその固定値を上記予熱時間として使用することができる他、気化器温度センサ27の検出値と外気温度(この温度は別途温度センサを設けて測定する)とに基づいてその都度コントローラ10に演算させるように構成することも可能である。さらには、コントローラ10に、これまでの暖房時に必要とされた予熱時間を学習(たとえば、前回の予熱時間を記憶させたり、過去数回分の予熱時間の平均値を演算させるなど)させ、その学習値を上記予熱時間として使用させることもできる。
なお、上述した本実施形態では、循環水の温度に関係なく時間的な条件(予熱時間≧温水要求到来予定時間)だけで電気ヒータ62の加熱制御を開始させるように構成したが、循環水の温度を加味して制御することも可能である。すなわち、この場合、コントローラ10は、温水不要求期間中においても一定時間ごとに熱動弁19を開くとともに循環ポンプ17を運転させて床暖房パネル41に温水の循環を生じさせ、このときに低温往き温度センサ26の検出温度TLs(すなわち、循環水の温度)を検出する。そして、この温度が所定温度(たとえば、循環水の目標温度など、次の温水要求時にバーナ6を燃焼させる必要がない温度)以上であれば、当該温水不要求期間並びに次の温水要求期間の当初においては、電気ヒータ62の加熱制御は行なわないように構成することもできる。
以上詳述したように、本発明(実施形態1ないし5に係る発明)によれば、暖房端末側から熱媒要求がないときや、熱媒要求があってもバーナ6が燃焼していないとき、さらには燃焼中であっても一定条件の下でヒータ6の加熱制御を停止することができるので、これらの期間中常に加熱制御を行う従来品に比べヒータへの通電時間を少なくすることができ、電気ヒータ62での電力消費を抑制することができる。しかも、熱媒の熱量不足が生じないような制御構成が採用しているので、暖房端末の暖房能力が損なわれることなく省エネを達成することができる。さらに、本発明は、いずれの実施形態においても、暖房端末側の制御構成に何らの改変を加えることなく(つまり、温水暖房熱源機2側の制御構成の変更だけで)気化器61の電気ヒータ62での電力消費を抑制できる。そのため、既設の暖房端末を交換することなく、温水暖房熱源機2側(具体的には、コントローラ10)の交換により、上述した効果を得ることが可能である。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなくその範囲内で種々の設計変更が可能である。
たとえば、上述した実施形態では、本発明を高温暖房端末装置3と低温暖房端末装置(床暖房装置4)とを備えた暖房システムに適用した場合について説明したが、本発明は、暖房熱源機が所定の暖房周期に従って暖房端末に熱媒を供給するように構成された暖房システムであれば、高温暖房端末装置または低温暖房端末装置のいずれか一方のみを有する暖房システムにも適用可能である。
また、上述した実施形態では、熱媒として温水(水)を用いた場合を示したが、本発明は水以外の熱媒を使用する暖房システムにも適用可能である。