JP3557861B2 - 既存構造物の基礎免震化工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、杭基礎によって支持された既存構造物を基礎部分において免震化する際に用いて好適な基礎免震化工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種構造物における免震化の要請の高まりから、既存の構造物に対しても、当該構造物の基礎部分や中間階層等に、積層ゴム等からなる高減衰弾性体支承やすべり支承を用いた免震装置を介装することにより、地震によって地盤から構造物に伝播しようとする振動を緩衝して、上部構造に生じる応力や変形を少なくするようにした各種の免震化工法が開発されている。
このような既存構造物の免震化工法においては、既に上部まで完成されている建物等の柱や基礎を切断して、その上下部構造間に、上部構造を下部構造に対して相対移動可能に支承する免震装置を介装する必要があるために、極力建物の使用を妨げずに短期間で施工すること、および柱や基礎といった支承部材を切断するに際して、万一作業中に地震が発生した場合においても充分な安全性が確保されることが強く要請されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、図12に示すような、多数本の杭1…によって支持された既存の建物(既存構造物)2を、基礎部分3において免震化させる場合には、先ず基礎部分3の土砂4を掘削し、掘削部に建物2の下面と所定の間隔をもった新設基礎を構築した後に、当該新設基礎と建物2との間にサポートジャッキ等の仮設部材を介装することにより一旦建物2の荷重を支持させ、次いでこの状態で新設基礎と建物2との間の杭1を切断して、免震装置を介装した後に、上記仮設部材を取り外すことにより建物2の荷重を免震装置を介して新設基礎によって支持する工法が採られている。
【0004】
ところが、このような従来の既存建物の基礎免震化工法において、単に基礎部分3の土砂4を全て掘削してしまうと、露出した杭1…における水平方向の耐力が殆ど期待できなくなってしまうために、この状態で地震が発生すると建物2を保持しておくことができなくなってしまう。
そこで、上記基礎部分3の土砂4を掘削するに際しては、予め建物2の周囲四方に形成される山留めから、それぞれ建物2の基礎部分3に向けて水平方向の支持部材を仮設することにより、建物2に作用する水平力を対向する一対の山留めによって支持しておくことが安全上必須となる。このため、例えば上記建物2が傾斜部に建設されている場合のように、少なくとも一方向に開放された地形に建設されている場合には、他方の山留め間に仮設された支持部材の反力を支持することができず、よって上記工法を採ることができないという問題点があった。
【0005】
また、四方の山留めから水平方向の支持部材を取れる場合においても、一旦建物2の周囲を掘削し、当該支持部材を仮設した後に、建物2の基礎部分3の土砂4を掘削する必要があるために、全体としての工期が長くなってしまうという問題点もあった。
本発明は、上述したような従来の杭基礎によって支持された既存構造物を免震化する際に生じる課題を有効に解決すべくなされたもので、周囲の地形等に左右されることなくその基礎免震化を図ることができ、かつ作業中における安全性に優れるとともに、工期の大幅な短縮化を図ることができる、既存構造物の基礎免震化工法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る既存構造物の基礎免震化工法は、杭基礎によって支持された既存構造物を、当該杭基礎部分に免震装置を介装して免震化するための基礎免震化工法であり、先ず既存構造物の中央部の杭周囲の土砂のみを掘削し、この掘削部に、露出した杭の下部周りに新設基礎を構築するとともに、この新設基礎と既存構造物との間に少なくともサポートジャッキを介装することにより、上記掘削部における水平方向の耐力を、掘削前における当該部分の水平方向の耐力よりも増加させた状態で既存構造物を支承し、次いで上記掘削部と隣接する部分の杭周囲の土砂を掘削して当該掘削部に同様の新設基礎を構築した後に、この新設基礎と既存構造物との間に少なくともサポートジャッキを介装して既存構造物を支承する工程を順次外周部側に向けて繰り返すとともに、これと並行して新設基礎と既存構造物との間の免震装置を介装すべき位置に露出する杭を切断して免震装置を配設し、全ての免震装置を配設した後に、サポートジャッキを含めた新設基礎と既存構造物との間の介装部材を解放して、既存構造物の荷重を免震装置によって支承させることを特徴とするものである。
【0007】
ここで、請求項2に記載の発明は、掘削部に構築した新設基礎と既存構造物との間に少なくともサポートジャッキを介装する際に、上記少なくともサポートジャッキによって、上記掘削部と隣接する部分の杭周囲の土砂を掘削した後においても、全体としての既存構造物に対する水平方向の耐力が、施工開始前における杭基礎全体の水平方向の耐力よりも大きくなるように上記既存構造物を支承することを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において中央部の新設基礎を構築する際に、上記新設基礎と既存構造物の下面との間に杭を囲繞する鋼管柱を介装することにより、鋼管柱とサポートジャッキとによって、上記掘削部における水平方向の耐力を、掘削前における当該部分の水平方向の耐力よりも増加させた状態で上記既存構造物を支承することを特徴とするものである。
【0009】
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において新設基礎を構築する際に、予め露出した杭の新設基礎に埋設される部分に接着剤を塗布しておくことを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の免震装置は、高弾性支承による免震装置または当該高弾性支承による免震装置間に配設された滑り支承であり、かつ上記サポートジャッキを解放するに際して、先ず滑り支承周りのサポートジャッキを解放し、次いで高弾性支承周りのサポートジャッキを解放することを特徴とするものである。
【0010】
請求項1〜5のいずれかに記載の発明においては、先ず既存構造物の中央部の杭周囲の土砂のみを掘削し、この掘削部に構築した新設基礎と既存構造物との間に少なくともサポートジャッキを介装することにより、掘削した後においても、掘削前における当該部分の水平方向の耐力よりも高い耐力が得られる。したがって、所定の安全性を確保したうえで、後工程においてこの中央部から順次隣接する部分の土砂を掘削して、新設基礎と既存構造物との間にサポートジャッキを介装することにより、既存構造物を支承して行くことが可能になる。
この結果、従来のように、4方の山留めから水平方向の支持を取る必要がないために、周囲の地形等に左右されることなく既存構造物の基礎免震化を図ることができる。
【0011】
加えて、中央部から外周側に隣接する区画にわたって順次掘削し、新設基礎を構築して当該新設基礎と既存構造物との間にサポートジャッキを配設する作業と並行して、新設基礎と既存構造物との間の免震装置を介装すべき位置に露出する杭を切断して免震装置を配設しているので、各工程を順次独立して行なう場合と比較して、大幅な工期の短縮化を図ることができる。
【0012】
この際に、特に請求項2に記載の発明によれば、掘削部に構築した新設基礎と既存構造物との間に少なくともサポートジャッキを介装する際に、上記掘削部と隣接する部分の杭周囲の土砂を掘削した後においても、全体としての既存構造物に対する水平方向の耐力が、施工開始前における杭基礎全体の水平方向の耐力よりも大きくなるように上記既存構造物を支承しているので、上述したように隣接区画を順次掘削して行く際に、常に既存構造物に対する水平方向の耐力を施工開始前よりも大きな状態に維持することができ、よって作業中における安全性を確実に保持することが可能になる。
【0013】
また、上述したように掘削部における水平方向の耐力を確保するには、所要数のサポートジャッキを配設すればよいが、比較的細径な杭が多数本打設されている場合や、特に中央部のようなスペース的な制約が大きい箇所においては、新設基礎と既存構造物との間に多数のサポートジャッキを配設することが難しくなる。
この点、請求項3に記載の発明によれば、上記新設基礎と既存構造物との間に既存の杭を囲繞する鋼管柱を設け、これとサポートジャッキとによって所要の水平方向の耐力を確保しているので、スペース上の制約から生じる上記問題点を容易に解決することが可能になる。
また、請求項4に記載の発明のように、新設基礎を構築する際に、予め露出した杭の新設基礎に埋設される部分に接着剤を塗布しておけば、新設基礎との間の摩擦力によって充分な付着性を確保することができるために一層好ましい。
【0014】
さらに、免震装置として、高弾性支承によるものと滑り支承によるものとを並列的に配設する場合に、サポートジャッキによって支承した既存構造物の荷重をこれら免震装置側に移行させる際に、先に高弾性支承の周囲のサポートジャッキを開放すると、当該高弾性支承の免震装置は、滑り支承と比較して圧縮変形量が大きいために、既存構造物が局部的に沈下して大きな変形を生じる虞がある。
そこで、このような場合には、請求項5に記載の発明のように、上記サポートジャッキを解放するに際して、先ず滑り支承周りのサポートジャッキを解放し、次いで高弾性支承周りのサポートジャッキを解放すれば、既存構造物には2段階にわたって順次小さな沈下が生じるのみであり、よって既存構造物に有害な応力が作用することが回避される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明に係る既存構造物の基礎免震化工法の一実施形態について説明する。
図1〜図11は、図12に示した杭基礎による既存建物(既存構造物)2の基礎免震化工法を工程順に示したもので、図12に示した構成と同一の部分については同一符号を付してその説明を簡略化する。
この基礎免震化工法においては、先ず図1に示すように、既存建物2を長手方向に複数の区画に分割し、その中央部の区画Cにおける基礎部分3の土砂のみを掘削する。次いで、図2に示すように、この掘削部10において露出した杭1の後述する新設基礎に埋設される部分に、新設基礎との間の摩擦力によって充分な付着性を確保するための接着剤11を塗布しておく。また、中央部の杭1については、その上部に当該杭1を囲繞するようにして鋼管柱12を配設する。この際に、鋼管柱12の長さ寸法は、その下端部が新設基礎内に埋設されるに充分な寸法に設定する。
【0016】
次に、図3に示すように、上記掘削部10の上面に、杭1の下部と鋼管柱12の下端部が埋設される新設基礎13を構築した後に、さらにこの新設基礎13と既存建物2の下面との間に、複数のサポートジャッキ14を介装してこれを加圧する。これにより、既存建物2は、既存の杭1、鋼管柱12およびサポートジャッキ14によって支承されるとともに、主として鋼管柱12およびサポートジャッキ14によって、掘削前における当該部分の水平方向の耐力よりも大きな耐力が確保される。
次いで、図4に示すように、上記掘削部10と隣接する区画における杭1の周囲の土砂を掘削し、同様にしてこの掘削部15において露出した杭1の下部に、接着剤11を塗布しておく。ちなみに、前工程における鋼管柱12およびサポートジャッキ14の設置箇所数については、掘削部15を形成することによって当該部分の杭1の水平耐力が0になったと仮定した場合においても、鋼管柱12、サポートジャッキ14および掘削されていない区画の杭1による水平方向の耐力の総計が、施工開始前における杭基礎全体の水平方向の耐力よりも大きくなるように設定しておく。
【0017】
また、これと並行して、掘削部10における杭1のうち免震装置を介装すべき位置の杭を切断して、新設基礎13と既存建物2との間に、積層ゴム等の高弾性支承による免震装置16を配設する。
そして次に、図5に示すように、掘削部15に新設基礎13と同様の新設基礎17を連続させて構築し、さらにこの新設基礎17と既存建物2下面との間に、サポートジャッキ18を介装して加圧することにより水平耐力を確保する。
このようにして、掘削部15においてサポートジャッキ18による既存建物2の支持が完了した後に、図6に示すように、これと隣接する最終区画である既存建物2の最外周部の土砂を掘削し、山留めの傾斜面19を形成するとともに、同様にしてこの掘削部20において露出した杭1の下部に、接着剤11を塗布しておく。なお、前工程におけるサポートジャッキ18の設置箇所数についても、掘削部20を形成することによって当該部分の杭1の水平耐力が0になったと仮定した場合において、先に仮設した鋼管柱12、サポートジャッキ14および18による水平方向の耐力の総計が、施工開始前における杭基礎全体の水平方向の耐力よりも大きくなるように設定しておく。
【0018】
以上により、既存建物2の全基礎部分における掘削が完了するとともに、既存建物2は、鋼管柱12、サポートジャッキ14および18によって、掘削前よりも大きな水平方向の耐力が確保された状態で支持されることになる。
また、掘削部20における掘削作業と並行して、掘削部15における杭1のうち免震装置を介装すべき位置の杭1を切断して、新設基礎17と既存建物2との間に、ステンレス板とテフロン板とを摺動自在に組合わせてなる滑り支承による免震装置21を配設する。
次いで、図7に示すように、外周の掘削部20における新設基礎22および山留め23を一体に構築し、この新設基礎22と既存建物2下面との間にサポートジャッキ24を介装して加圧することにより、当該部分における既存建物2の荷重を支承するとともに、掘削部20における水平耐力を確保する。
【0019】
次に、図8に示すように、掘削部20における杭1のうち免震装置を介装すべき位置の杭を切断して、新設基礎22と既存建物2との間に、積層ゴム等の高弾性支承による免震装置16を配設する。これにより、既存建物2と新設基礎13、17、22との間への、全ての免震装置16、21の配設作業が完了する。ちなみにこの状態においては、既存建物2の垂直荷重は、未だ既存の杭1およびサポートジャッキ14、18、24によって支承されており、上記免震装置16、21には移行していない。
そこで次に、図9に示すように、順次全ての新設基礎13、17、22と既存建物2との間の既存の杭1(支承部材)および鋼管柱12(支承部材)を切断して取り外し、既存建物2の荷重を一旦サポートジャッキ14、18、24および免震装置16、21によって支承させる。
【0020】
そして次に、図10に示すように、先ず既存建物2の荷重を支持した際に変形量の少ない滑り支承による免震装置21周りのサポートジャッキ18を圧力を徐々に減圧させることによりサポートジャッキ18を降下させ、既存建物2の荷重を上記免震装置21に移行させて当該サポートジャッキ18を撤去する。この際に、既存建物2の免震装置21によって支承される部分が、僅かに沈下する。
次いで、図11に示すように、高弾性支承による免震装置16周りのサポートジャッキ14、24を降下させて撤去することにより、既存建物2の荷重を上記免震装置16に移行させる。
以上により、既存建物2は、免震装置16、21を介して新設基礎13、17、22上に支持されることになり、当該既存建物2の基礎免震化が完了する。
なお、上記各工程において、強度上各新設基礎13、17、22において必要とされる場合には、適宜既存建物2の下面を利用してこれら新設基礎13、17、22に増し杭を打設しておく。
【0021】
このような既存建物2の基礎免震化工法によれば、先ず既存建物2の中央部の区画Cの土砂のみを掘削し、この掘削部10に構築した新設基礎13と既存建物との間に、掘削前における当該部分の水平方向の耐力よりも高い耐力が得られるように、鋼管柱12およびサポートジャッキ14を介装しているので、所定の安全性を確保したうえで、後工程においてこの中央部から順次隣接する部分の土砂を掘削して行くことができる。しかも、掘削部10、15に構築した新設基礎13、17と既存建物2との間にサポートジャッキ14、18を介装する際に、常に隣接する部分の掘削した後においても、全体としての既存建物2に対する水平方向の耐力が、施工開始前における杭基礎全体の水平方向の耐力よりも大きくなるように既存建物2を支承しているので、隣接区画の掘削が進行しても、常に既存建物2に対する水平方向の耐力を、施工開始前よりも大きい状態に維持することができ、よって作業中における安全性を確実に保持することが可能になる。
【0022】
したがって、本基礎免震化工法によれば、従来のように4方の山留めから水平方向の支持を取る必要がないために、周囲の地形等に左右されることなく既存建物2の基礎免震化を図ることができる。
しかも、中央部から外周側に隣接する区画にわたって順次掘削し、新設基礎13、17、22を構築して、これらと既存建物2との間にサポートジャッキ14、18、24を配設する作業と並行して、既存の杭1を切断して免震装置16、21を取付けているので、各工程を順次独立して行なう場合と比較して、全体としての大幅な工期の短縮化を図ることができる。
【0023】
また、特に中央部の区画Cにおいて掘削部10における水平方向の耐力を確保するに際して、新設基礎13と既存建物2との間に杭1を囲繞する鋼管柱12を設け、これとサポートジャッキ14とによって、水平方向の耐力を確保しているので、スペース的な制約の大きい当該区画Cにおいても、有効に水平方向の耐力を増加させることができる。
加えて、新設基礎13、17、22を構築する際に、予め露出した杭1の埋設される部分に接着剤11を塗布しているので、新設基礎13、17、22との間の摩擦力によって充分な付着性を確保することができる。
【0024】
さらに、サポートジャッキ14、18、24によって支承した既存建物2の荷重を免震装置16、21側に移行させる際に、先ず滑り支承21周りのサポートジャッキ18を解放し、次いで高弾性支承21周りのサポートジャッキ14、24を解放しているので、既存建物2には2段階にわたって順次小さな沈下が生じるのみであり、よって既存建物2に有害な応力が作用することがない。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜5のいずれかに記載の発明によれば、既存構造物の重心の下方位置において、掘削前における当該部分の水平方向の耐力よりも高い耐力を得ることができ、よって所定の安全性を確保したうえで、後工程においてこの中央部から順次隣接する部分の土砂を掘削して、サポートジャッキにより既存構造物を支承して行くことができるため、周囲の地形等に左右されることなく既存構造物の基礎免震化を図ることができるとともに、掘削、新設基礎の構築およびサポートジャッキによる支承といった作業と並行して、順次既存の杭を切断して免震装置を配設することができるために、大幅な工期の短縮化を図ることができる。
【0026】
特に、請求項2に記載の発明によれば、隣接区画の掘削が進行しても、常に既存構造物に対する水平方向の耐力を施工開始前よりも大きな状態に維持することができ、よって作業中における安全性を確実に保持することができ、また請求項3に記載の発明によれば、スペース的な制約がある場所においても、有効に水平方向の耐力を増加させることができる。さらに、請求項4に記載の発明によれば、新設基礎との間の摩擦力によって充分な付着性を確保することができ、また請求項5に記載の発明によれば、荷重をサポートジャッキから既存構造物に移行させる際に、当該既存構造物に大きな沈下量に起因する有害な応力が作用することが回避されるといった効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための図で、既存建物の基礎部分の中央部のみを掘削した状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の掘削部の杭に鋼管柱および接着剤を施工した状態を示す縦断面図である。
【図3】図2の掘削部に新設基礎を構築した状態を示す縦断面図である。
【図4】図3の隣接区画を掘削した状態を示す縦断面図である。
【図5】図4の掘削部に新設基礎を構築した状態を示す縦断面図である。
【図6】図5の隣接区画を掘削した状態を示す縦断面図である。
【図7】図6の掘削部に新設基礎を構築した状態を示す縦断面図である。
【図8】既存建物の下部に全ての免震装置を配設した状態を示す縦断面図である。
【図9】図8の既存の杭を切断・撤去した状態を示す縦断面図である。
【図10】図9の滑り支承の免震装置周りのサポートジャッキを開放した状態を示す縦断面図である。
【図11】図10の他のサポートジャッキを開放した基礎免震化工法の完成状態を示す縦断面図である。
【図12】一般的な杭基礎の既存構造物を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 杭
2 既存建物(既存構造物)
3 基礎部分
4 土砂
10、15、20 新設基礎
14、18、24 サポートジャッキ
16 高弾性支承による免震装置
21 滑り支承による免震装置
Claims (5)
- 杭基礎によって支持された既存構造物を、当該杭基礎部分に免震装置を介装して免震化するための基礎免震化工法であって、
上記既存構造物の中央部の杭周囲の土砂のみを掘削し、この掘削部に、露出した上記杭の下部周りに新設基礎を構築するとともに、当該新設基礎と上記既存構造物との間に少なくともサポートジャッキを介装することにより、上記掘削部における水平方向の耐力を、掘削前における当該部分の水平方向の耐力よりも増加させた状態で上記既存構造物を支承し、次いで上記掘削部と隣接する部分の杭周囲の土砂を掘削して当該掘削部に同様の新設基礎を構築した後に、当該新設基礎と上記既存構造物との間に少なくともサポートジャッキを介装して上記既存構造物を支承する工程を順次外周部側に向けて繰り返すとともに、これと並行して上記新設基礎と既存構造物との間の免震装置を介装すべき位置に露出する杭を切断して、免震装置を配設し、全ての上記免震装置を配設した後に、上記サポートジャッキを含めた上記新設基礎と上記既存構造物との間の介装部材を解放して上記既存構造物の荷重を上記免震装置によって支承させることを特徴とする既存構造物の基礎免震化工法。 - 上記掘削部に構築した上記新設基礎と上記既存構造物との間に少なくともサポートジャッキを介装する際に、上記少なくともサポートジャッキによって、上記掘削部と隣接する部分の杭周囲の土砂を掘削した後においても、全体としての上記既存構造物に対する水平方向の耐力が、施工開始前における杭基礎全体の水平方向の耐力よりも大きくなるように上記既存構造物を支承することを特徴とする請求項1に記載の既存構造物の基礎免震化工法。
- 上記中央部の新設基礎を構築する際に、上記新設基礎と上記既存構造物の下面との間に上記杭を囲繞する鋼管柱を介装することにより、上記鋼管柱と上記サポートジャッキとによって、上記掘削部における水平方向の耐力を、掘削前における当該部分の水平方向の耐力よりも増加させた状態で上記既存構造物を支承することを特徴とする請求項1または2に記載の既存構造物の基礎免震化工法。
- 上記新設基礎を構築する際に、予め露出した上記杭の上記新設基礎に埋設される部分に、接着剤を塗布しておくことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の既存構造物の基礎免震化工法。
- 上記免震装置は、高弾性支承による免震装置または当該高弾性支承による免震装置間に配設された滑り支承による免震装置であり、かつ上記サポートジャッキを解放するに際して、先ず上記滑り支承による免震装置周りの上記サポートジャッキを解放し、次いで上記高弾性支承による免震装置周りの上記サポートジャッキを解放することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の既存構造物の基礎免震化工法。
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