JP2878273B1 - 構造物用免震方法及び構造物の免震構造 - Google Patents

構造物用免震方法及び構造物の免震構造

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Abstract

【要約】 【課題】地震時の地盤液状化による被害を少なくし、液
状化を有効活用して免震を図り、地震終結後の地盤改良
を省略可能にする。 【解決手段】 構造物1の基礎構造部4の外側を液状化
誘発間隙8を空けて囲繞する囲繞壁9を設け、液状化誘
発間隙8に液状化促進土10を埋め込み、構造物1を複
数の中空の杭7で地盤11,11aに支持し、地震発生
時に液状化の原因となる地盤11内の過剰に加圧された
水を杭7の水導入穴13、内部通路、連通路を介して囲
繞壁9の内部へ導入して液状化促進土10を液状化さ
せ、その液状化により構造物1を免震する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、構造物用免震方
法及び構造物の免震構造に関し、特に地震発生時に地盤
内に発生する過剰に加圧された水を過剰間隙水圧を利用
して中空の杭を介して上方へ導いて少なくとも構造物の
基礎構造部の周辺部の土を液状化させて構造物を免震す
る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】 種々の構造物(建物、橋脚、橋台、タ
ンク類等の種々の構造物)を支持する地盤の土質が液状
化し易い土質の場合には、地震発生時に軟弱な地盤が液
状化して構造物が傾いたり転倒したりすることは公知で
ある。地盤を構成する土には水と空気とが含まれ、粒子
が微細な土や、水分や空気の含有量が多い土や、締まり
の悪い土では、地震発生時に地盤に繰り返し振動が作用
すると地盤が液状化しやすい。
【0003】ところで、兵庫県南部地震の際に観察され
た事実であるが、地震発生の初期の、200 〜300 ガル程
度の複数の地震波により地盤の液状化が生じ、一旦液状
化が発生すると、地震振動が構造物の基礎構造部へ伝達
されにくくなり、その後の構造物の振動が緩和される、
つまり地盤の液状化は構造物を免震する作用がある。従
来、埋立地等において地盤内の水を地表側へ吹き出させ
る為のサンドパイルが広く実用化されているが、サンド
パイル内の通路抵抗は非常に大きいため、サンドパイル
により地盤内の水を極く低速にて排水することは可能で
ある。しかし、地震発生時にサンドパイルを介して地盤
内の加圧状の水を急速に排水することは殆ど不可能であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 埋立地等の軟弱地盤
に構築された構造物などの場合には、地震発生時に地盤
の液状化により、構造物が大きく傾いたり、構造物が転
倒したりして大きな被害が発生する。しかも、地震後
に、地盤を補修するとか、構造物の基礎構造を大幅に改
修したりするのに多額の費用がかかる。本発明の目的
は、地盤の液状化を有効活用して構造物を免震する技術
を提供すること、地盤の液状化による被害を少なくする
こと、地震時における地盤の液状化を防止すること、等
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】 請求項1の構造物用免
震方法は、構造物を免震する免震方法において、構造物
を支持する杭に地盤内の水を上方へ導く内部通路を予め
形成しておき、地震発生時に地盤内の過剰間隙水圧を利
用して前記杭とその内部通路を介して地盤内の被加圧水
を上方へ導き、少なくとも構造物の基礎構造部の周辺部
の土を液状化させて、構造物を免震することを特徴とす
るものである。
【0006】前記構造物とは、建物、橋脚、橋台、種々
のタンク類等の種々の構造物を意味するものであり、構
造物の基礎構造部を支持する杭に地盤内の水を上方へ導
く内部通路を予め形成しておくため、地震発生時に前記
杭とその内部通路を介して地盤内の地震振動で加圧され
た水を上方へ導くことができる。そして、地盤内から上
方へ導いた水で少なくとも構造物の基礎構造部の周辺部
の土を液状化させて構造物を免震することができる。但
し、構造物の基礎構造部の少なくとも周辺部の土の液状
化を促進する為に、その周辺部の土を囲繞する箱状の囲
繞壁を予め設けることが望ましい。
【0007】請求項2の構造物の免震構造は、構造物を
免震する免震構造において、前記構造物の基礎構造部を
支承して構造物を地盤に支持する複数の中空の杭と、前
記構造物の基礎構造部の外側を液状化誘発間隙を空けて
囲繞する囲繞壁と、前記囲繞壁の内側の液状化誘発間隙
に埋め込んだ液状化促進土と、前記囲繞壁の外側におい
て各杭にその内部通路に連通状に形成した複数の水導入
穴と、前記中空の各杭の内部通路を液状化誘発間隙に連
通させる連通路とを備え、地震発生時に地盤内の過剰間
隙水圧を利用して地盤内の被加圧水を複数の杭を介して
液状化誘発間隙に導入し、液状化誘発間隙の液状化促進
土を液状化させて構造物を免震するように構成したもの
である。
【0008】前記構造物については請求項1と同様であ
る。複数の中空の杭が構造物の基礎構造部を支承して構
造物を支持している。囲繞壁が構造物の基礎構造部の外
側を液状化誘発間隙を空けて囲繞しており、この囲繞壁
の内側の液状化誘発間隙には液状化促進土が埋め込まれ
ている。囲繞壁の外側において各杭には、その内部通路
に連通状に形成した複数の水導入穴が形成され、中空の
各杭の内部通路を液状化誘発間隙に連通させる連通路が
形成されている。
【0009】前記囲繞壁は、例えば鉄筋コンクリート製
の箱状の壁であり、囲繞壁内部の液状化による土圧と囲
繞壁外部からの地震時の土圧に耐える構造のものであ
る。それ故、地震発生時に地盤内の間隙水圧が増すと、
その水が各杭の複数の水導入穴から内部通路内へ流入
し、内部通路を通って上昇し、連通路から囲繞壁の内側
の液状化誘発間隙へ流入し、液状化誘発間隙に充填され
ている液状化促進土を液状化させて構造物を免震する。
【0010】一般に、地震発生直後に複数の200 〜300
ガル程度の地震波が伝播し、その後に一層大きな地震波
が伝播するケースが多いが、兵庫県南部地震での観測結
果から前記地震発生直後の地震波により、前記液状化誘
発間隙に充填されている液状化促進土を液状化させるこ
とができれば、その後の一層大きな地震波に対して構造
物を免震することが可能である。構造物の基礎構造部を
複数の杭で支承することで構造物を複数の杭で支持して
いるため、囲繞壁の内側の液状化誘発間隙に埋めた液状
化促進土が液状化しても、構造物が傾いたり転倒したり
することもない。しかも、囲繞壁の外側の杭の周辺の地
盤内の液状化の原因となる過剰な圧力を有する水は囲繞
壁の内側へ排出されるため、その地盤の液状化を確実に
防止することができる。
【0011】請求項3の構造物の免震構造は、請求項2
の発明において、前記構造物の基礎構造部の下面部のう
ちの杭の頂部の付近の部位に金属製の滑り板を設け、こ
の滑り板を低摩擦部材を介して杭で支持するように構成
したことを特徴とするものである。即ち、地震発生時
に、囲繞壁の内部の液状化促進土が液状化した状態で
は、複数の杭と地盤側とが構造物に対して相対的に変位
することになるので、構造物の基礎構造部の下面部のう
ちの杭の頂部の付近の部位に金属製の滑り板を設け、こ
の滑り板を低摩擦部材を介して杭で支持することで、複
数の杭と構造物との相対変位するときの挙動が円滑にな
り、免震性能が高まる。
【0012】請求項4の構造物の免震構造は、請求項2
の発明において、前記構造物の基礎構造部の下面部と各
杭の頂部との間に積層ゴム式免震支承装置を設けて構造
物と杭とに連結したことを特徴とするものである。地震
発生時に、囲繞壁の内部の液状化促進土が液状化した状
態では、複数の杭と地盤側とが構造物に対して相対的に
変位することになるが、その相対変位が発生するときに
構造物の基礎構造部の下面部と各杭の頂部との間に設け
た積層ゴム式免震支承装置が水平方向へ剪断変形し、地
震終結の際には複数の積層ゴム式免震支承装置の弾性復
原力で構造物がほぼ原位置に復帰するため、構造物と複
数の杭との相対位置が地震前とほぼ同じになる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて説明する。この実施形態は、5階程度
の中層ビルディングである構造物の免震構造及び免震方
法に本発明を適用した場合の一例である。図1、図2に
示すように、構造物1には、下端部の高剛性の底盤部2
と地下1階部3とを含む基礎構造部4と、地階部〜5階
部とを含む地上構造部5とが設けられている。底盤部2
は、鉄筋コンクリート製の高剛性の厚盤状に形成され、
地下1階部3の外壁部も鉄筋コンクリート製の高剛性に
形成されている。この構造物1の免震装置6は、構造物
1の基礎構造部4を支承して構造物1を支持する9本の
中空の杭7と、構造物1の基礎構造部4の外側を液状化
誘発間隙8を空けて囲繞する箱状の囲繞壁9と、囲繞壁
9の内側の液状化誘発間隙8に埋め込んだ液状化促進土
10とを備えている。
【0014】図1、図2に示すように、前記9本の鉛直
の杭7は構造物1の底盤部2を均等に支持できるように
3行3列のマトリックス状に配設され、それら杭7は地
盤11内へ深く貫入されて、杭7の下端部は岩盤等の硬
質地盤11aに達している。図3に示すように、各杭7
は例えば鉄筋コンクリート製の中空の杭であり、その中
心部には水を流通させる為の内部通路12が形成される
とともに、囲繞壁9の外側において杭7には内部通路1
2に連通した多数の水導入穴13が形成され、囲繞壁9
の内側において杭7には内部通路12を液状化誘発間隙
8に連通させる複数の連通路14が形成されている。
【0015】前記囲繞壁9は、所定の厚さを有し地震発
生時における囲繞壁内部の液状化による土圧と囲繞壁外
部からの地震時の土圧に耐える鉄筋コンクリート製の壁
で矩形の箱状に構成され、この囲繞壁9の内側の液状化
誘発間隙8には、シルト、砂、またはそれらの混合土を
主体とする液状化し易い液状化促進土10が埋め込まれ
ている。構造物1の底盤部2の下面部のうちの各杭7の
頂部の付近の部位に例えばステンレス鋼製の滑り板15
が設けられ、各杭7の上端部には二硫化モリブデン等の
固体潤滑材からなる低摩擦部材16が固定され、この低
摩擦部材16が滑り板15の下面に面接触させられ、構
造物1は9本の杭7により低摩擦的に支持されている。
【0016】図1〜図4に示すように、地震時に、地盤
11,11aの振動により地盤11と囲繞壁9とが構造
物1と杭7に対して相対的に水平移動するのを許容する
ように、囲繞壁9のうちの各杭7が挿通する杭挿通穴1
7は杭7の周面との間に所定(例えば、約300mm)
の隙間18を残す大きさに形成されている。そして、図
3に示すように、囲繞壁9の内部に流入した水が杭挿通
穴17から外部へ逃げるのを防止する為に、杭挿通穴1
7は杭7に外嵌させたステンレス鋼製のカバー板19で
上側から封鎖されている。このカバー板19は杭挿通穴
17よりも大径であり、囲繞壁9に対して相対移動自在
に設けられている。
【0017】以上説明した構造物1の免震構造の作用に
ついて説明する。但し、その作用の説明は、免震方法の
説明も含むものである。通常の状態では、構造物1と9
本の杭7と囲繞壁9とは図1のようになっており、構造
物1は9本の杭7により地盤11,11aに支持されて
いる。地震発生時の初期の200 〜300 ガル程度の複数波
の地震振動により地盤11内の間隙水圧が大きくなる
と、図3に示すようにその過剰間隙水圧により地盤11
内の水が9本の杭7に形成された多数の水導入穴13か
ら各杭7の内部通路12へ導入されて内部通路12内を
上方へ流れ、各杭7の複数の連通路14から囲繞壁9の
内側の液状化誘発間隙8へ流入し、その液状化誘発間隙
8の液状化促進土10を液状化させる。
【0018】その後、前記の液状化が進行した状態で、
例えば600 ガル以上の強力な地震振動が伝播してきて
も、構造物1の基礎構造部4の周囲の液状化促進土10
が既に液状化しており、その液状化した液状化促進土1
0を介しては地震振動が伝播しにくいため、構造物1が
効果的に免震されることになる。この免震作用により、
構造物1自体の損傷、構造物1の内部の設備や人員に対
する被害が極端に軽減されることになる。しかも、地震
発生の際、液状化の原因となる地盤11内の過剰に加圧
された水の大部分は9本の杭7を介して囲繞壁9の内部
へ排出されるため、地盤11内の間隙水圧を適正に保つ
ことができるので、地盤11の液状化を確実に防止する
ことができる。それ故、地震終結後に地盤11の補修の
必要がなく、地震後の土木費用を節減できる。
【0019】尤も、地震振動により、構造物1に対して
囲繞壁9も液状化促進土10も相対的に移動し、構造物
1に対して9本の杭7も相対的に移動する可能性がある
が、各杭7の上端の低摩擦部材16と滑り板15間が滑
り易くなっているため、9本の杭7から構造物1に大き
な水平方向の地震力が伝播することはない。図4におい
て実線の構造物1は地震発生前の状態のもの、鎖線の構
造物1は地震終結後のものの一例を示す。地震終結時
に、構造物1が鎖線のように、囲繞壁9及び9本の杭7
に対して相対的にずれる可能性がある。
【0020】その場合の対策として、鎖線図示の構造物
1を実線図示の位置へ移動させる為のジャッキシステム
を、予め底盤部2や地下1階部3の内部に装備してお
き、ジャッキシステムの油圧ジャッキから囲繞壁9に力
を作用させるのに適した力伝達部材を液状化誘発間隙8
内に装備しておくことが望ましい。ここで、9本の杭7
は、その内部通路12に砂や土が詰まってしまわない限
り再使用可能である。そこで、内部通路12への土砂の
流入を抑制する為に全部の水導入穴13に金網製の丈夫
なフィルター部材を夫々装着することが望ましい。
【0021】前記実施形態を部分的に変更した変更例に
ついて説明する。 1〕図5に示すように、構造物1の基礎構造部4の下面
部と各杭7の頂部との間に積層ゴム式免震支承装置20
を設けて構造物1と杭7とに連結してもよい。積層ゴム
式免震支承装置20は、既存周知のものとほぼ同様のも
ので、積層ゴム本体21と、下部連結部24と、上部連
結部26とを有する。積層ゴム本体21は、金属板と高
減衰性ゴム板とを交互に複数層積層したものである。下
部連結部24は筒部22と下側基盤23とでキャップ状
に構成されて杭7の頂部に固定されている。上部連結部
26は、複数のボルト25により底盤部2の下面に固定
された上側基盤で構成されている。
【0022】この積層ゴム式免震支承装置20は、鉛直
荷重支持性能に優れ、地震発生時に構造物1と杭7との
大きな相対水平変位を許容しつつ、水平方向の弾性復原
力を発揮するものである。それ故、このように、9組の
積層ゴム式免震支承装置20を適用する場合には、地震
終了時に構造物1が杭7に対して変位した位置に停止す
ることはなく、図4の実線の構造物1のように、構造物
1はほぼ初期位置に確実に復帰することになる。
【0023】2〕前記実施形態では、9本の杭7を有効
活用して、その内部に内部通路を形成したが、地盤内の
水を囲繞壁9内の液状化誘発間隙8へ導く為の杭以外の
管状部材を前記の複数の杭7ととともに適用することも
可能である。 3〕前記実施形態では、9本の杭7を適用したが、杭7
の本数は構造物1の大きさや重量との関連において適宜
設定される。
【0024】4〕前記実施形態の杭7は、岩盤等の硬質
地盤11aに達するように設けてあるが、複数の杭7は
必ずしも岩盤等の硬質地盤11aに達している必要はな
く、下端が地盤の途中に位置していてもよい。 5〕本発明の免震装置及び免震方法は、ビルディング以
外の種々の構造物(橋脚、橋台、種々のタンク類、タワ
ー類)にも適用可能であるし、前記実施形態に種々の変
更を負荷した態様で実施可能であることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】 請求項1の構造物用免震方法によれ
ば、構造物を支持する杭に地盤内の水を上方へ導く内部
通路を予め形成しておき、地震発生時に地盤内の過剰間
隙水圧を利用して前記杭とその内部通路を介して地盤内
の被加圧水を上方へ導き、少なくとも構造物の基礎構造
部の周辺部の土を液状化させて構造物を免震するため、
杭に内部通路を予め形成しておくという簡単な準備を介
して、少なくとも構造物の基礎構造部の周辺部の土を液
状化させて構造物を確実に免震することができる。地震
発生時に、液状化の原因となる構造物の下方の地盤内の
過剰に加圧された水は、杭とその水通路を介して上方へ
導かれ、構造物の下方の地盤内の間隙水圧が適正に保た
れるため、その地盤に液状化が生じることがなく、地震
後にその地盤を補修する等の対策をとる必要がなく、ま
た、杭を内部通路形成部材として有効活用するため、設
備コスト的に有利である。
【0026】請求項2の構造物の免震構造によれば、複
数の杭として夫々内部通路を有する中空の杭を適用し、
構造物の基礎構造部の外側を液状化誘発間隙を空けて囲
繞する囲繞壁を設け、その内部の液状化誘発間隙に液状
化促進土を埋め込み、その囲繞壁の外側で各杭に複数の
水導入穴を形成し、各杭の内部通路を液状化誘発間隙に
連通させる連通路を設けるという簡単な構成により、地
震発生時に地盤内の過剰間隙水圧を利用して複数の杭と
その内部通路を介して地盤内の被加圧水を液状化誘発間
隙に導入し、液状化誘発間隙の液状化促進土を液状化さ
せて構造物をほぼ確実に免震することができる。
【0027】構造物の基礎構造部を複数の杭で支承する
ことで構造物を複数の杭で支持しているため、囲繞壁の
内側の液状化誘発間隙に埋めた液状化促進土が液状化し
ても、構造物が傾いたり転倒したりすることもない。し
かも、液状化の原因となる囲繞壁の外側の地盤内の過剰
に加圧された水が囲繞壁の内側へ抜き取られ地盤内の間
隙水圧を適正に保つことができるため、囲繞壁の外側の
地盤の液状化を確実に防止することができ、地震終結後
に地盤を補修する必要もない。
【0028】請求項3の構造物の免震構造によれば、構
造物の基礎構造部の下面部のうちの杭の頂部の付近の部
位に金属製の滑り板を設け、この滑り板を低摩擦部材を
介して杭で支持するように構成したので、地震発生時に
おける複数の杭と構造物との相対変位の挙動が円滑にな
り、免震性能が高まる。その他、請求項2と同様の効果
を奏する。
【0029】請求項4の構造物の免震構造によれば、構
造物の基礎構造部の下面部と各杭の頂部との間に積層ゴ
ム式免震支承装置を設けて構造物と杭とに連結したの
で、地震発生時に、囲繞壁の内部の液状化促進土が液状
化した状態で、複数の杭と地盤側とが構造物に対して相
対的に変位しても、地震終結の際には複数の積層ゴム式
免震支承装置の弾性復原力で構造物がほぼ原位置に復帰
するため、構造物と複数の杭との相対位置が地震前とほ
ぼ同じになる。その他請求項2と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る構造物とその免震装置
の断面図である。
【図2】構造物と免震装置の平面図である。
【図3】免震装置の要部拡大断面図である。
【図4】地震開始前の構造物と地震終結時の構造物とを
示す図1相当図。
【図5】変更例に係る積層ゴム式免震支承装置を設けた
免震装置の要部側面図である。
【符号の説明】
1 構造物 2 底盤部 3 地下1階部 4 基礎構造部 6 免震装置 7 杭 8 液状化誘発間隙 9 囲繞壁 10 液状化促進土 11 地盤 12 内部通路 13 水導入穴 14 連通路 20 積層ゴム式免震支承装置

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物を免震する免震方法において、 構造物を支持する杭に地盤内の水を上方へ導く内部通路
    を予め形成しておき、 地震発生時に地盤内の過剰間隙水圧を利用して前記杭と
    その内部通路を介して地盤内の被加圧水を上方へ導き、
    少なくとも構造物の基礎構造部の周辺部の土を液状化さ
    せて、構造物を免震することを特徴とする構造物用免震
    方法。
  2. 【請求項2】 構造物を免震する免震構造において、 前記構造物の基礎構造部を支承し構造物を地盤に支持す
    る複数の中空の杭と、 前記構造物の基礎構造部の外側を液状化誘発間隙を空け
    て囲繞する囲繞壁と、 前記囲繞壁の内側の液状化誘発間隙に埋め込んだ液状化
    促進土と、 前記囲繞壁の外側において各杭にその内部通路に連通状
    に形成した複数の水導入穴と、 前記中空の各杭の内部通路を液状化誘発間隙に連通させ
    る連通路とを備え、 地震発生時に地盤内の過剰間隙水圧を利用して地盤内の
    被加圧水を複数の杭を介して液状化誘発間隙に導入し、
    液状化誘発間隙の液状化促進土を液状化させて構造物を
    免震するように構成したことを特徴とする構造物の免震
    構造。
  3. 【請求項3】 前記構造物の基礎構造部の下面部のうち
    の杭の頂部の付近の部位に金属製の滑り板を設け、この
    滑り板を低摩擦部材を介して杭で支持するように構成し
    たことを特徴とする請求項2に記載の構造物の免震構
    造。
  4. 【請求項4】 前記構造物の基礎構造部の下面部と各杭
    の頂部との間に積層ゴム式免震支承装置を設けて構造物
    と杭とに連結したことを特徴とする請求項2に記載の構
    造物の免震構造。
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