JP2023003461A - 既存岸壁の改良構造及び該改良構造の施工方法 - Google Patents

既存岸壁の改良構造及び該改良構造の施工方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023003461000001
【課題】陸上部での施工が制限される場合にも適用可能な既存岸壁の改良構造及び該改良構造の施工方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る既存岸壁の改良構造1は、周壁面部3と通水口5が設けられた天面部7と複数の杭挿通孔9とを有し、既存岸壁41における既存壁体45の水域側の水底地盤43に配設された箱状構造体11と、箱状構造体11の杭挿通孔9に挿通されて、水底地盤43に打設された複数の杭13と、杭挿通孔9と杭13との隙間に配設された間詰材と、既存壁体45と箱状構造体11との間に配設されて既存壁体45からの水平力を箱状構造体11に伝達する水平力伝達部材12と、を備えたものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、既存岸壁における既存壁体の水域側に設けられて既存岸壁を改良する既存岸壁の改良構造及びその施工方法に関する。
なお、本明細書における岸壁には、直立壁を有する矢板式岸壁、重力式岸壁、セル式岸壁等の船舶の接岸機能を有するものの他、同様の直立壁を有して船舶の接岸機能を有していない護岸や、同様の直立壁を有した防波堤も含む。
既存岸壁として矢板式岸壁を例に挙げて以下説明する。
既存の矢板式岸壁41としては、図22に示すように、複数の矢板を水底地盤43に打設して形成した既存壁体45の上端の上部工47を陸上部48に設け、この上部工47と控え工49をタイ材51で連結して支持するようにしたものがある。
このような矢板式岸壁41においては、例えば、改訂された港湾基準への対応、耐震性向上、エプロン上の上載荷重の増加、船舶の大型化に伴う岸壁水深の増深、既存構造の劣化対応、供用期間の延長等の要因により補強等の改良が必要となる場合がある。この場合、港湾計画への影響を最小限とするため、岸壁法線の水域側への前出しは、なるべく小さく(できれば無し)することが望ましい。
既存の矢板式岸壁の改良構造の例としては、例えば特許文献1に開示された、「既設岸壁の改修補強構造」がある。
同文献に開示の「既設岸壁の改修補強構造」は、「矢板壁をタイ材を介して控え工で支持してなる既設岸壁の改修補強構造であって、既設控え工の反岸壁側に、該既設控え工から離間されて独立して設けられ、下端部が所定深度まで立て込まれた新設控え工と、該新設控え工の頭部から既設矢板壁の所定位置に向けて斜め下方に延設されて、両端が該新設控え工と既設矢板壁とに止着された新設のタイ材と、を有し、
前記新設控え工は、鋼管内にコンクリートを充填されて形成される鋼管杭であるとともに、前記既設控え工に沿って適宜間隔を空けて複数配設され、前記新設タイ材は、前記鋼管杭から放射状に複数設けられている、ことを特徴とする」(請求項4参照)ものである。
この方法によると、既設の矢板壁との係止位置を任意に設置可能であり、かつ矢板壁に発生する曲げモーメントを低減できるため、改良方法として有効な方法である。
また、特許文献2に開示された「既設矢板岸壁の補強構造」では、既設矢板壁の水域側に頭部にL形構造物を有する杭式構造物を設置し、L形構造物と既存矢板壁と一体化することで補強する構造が提案されている。この方法によると、既存矢板壁の水域側のみを改良する補強構造なので、陸上部での施工が制限される場合でも適用ができる。
特許第4876991号公報 特許第5347898号公報
特許文献1に開示の構造は、工事における岸壁占有期間の短縮化を図ることを目的の一つとしており、それ故に陸側に新設の控え工を設置することが必須となっている。
しかしながら、既存の矢板式岸壁の改良工事においては、陸域側での施工が制限される場合もあり、このような場合には適用できないという問題がある。
また、新設タイ材が、鋼管杭から放射状に複数設けられていることから、タイ材の張力管理が難しいという問題もある。
上記の説明は既存岸壁が矢板式岸壁を例に挙げたが、既存岸壁にはケーソンを用いた重力式岸壁やセル式岸壁等の直立壁を有するものがあり、この場合においても、陸上部での施工が制限される場合があり、同様の問題がある。
特許文献2に開示の構造は、陸域側の施工は必要ないが、補強効果を発揮するためには既存矢板壁とL形構造物とを一体化させる必要がある。これは、水底地盤近くの浅い地盤内では、地震時に土が杭の間をすり抜けて流動するため、L形構造物と既存矢板壁を一体化しなければ既存矢板壁の変形を抑えることができないためである。一体化のためには、既存矢板壁に水中スタッド溶接を多量に行う必要があり、施工コストが高額になるとともに、溶接による矢板壁の脆化が懸念されるという問題がある。
また、既存壁体への溶接が必要という点から、ケーソンを用いた重力式岸壁等のコンクリートによる直立壁には適用できない。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、陸上部での施工が制限される場合にも適用可能な既存岸壁の改良構造及び該改良構造の施工方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る既存岸壁の改良構造は、周壁面部と通水口が設けられた天面部と複数の杭挿通孔とを有し、既存岸壁における既存壁体の水域側の水底地盤に配設された箱状構造体と、
該箱状構造体の前記杭挿通孔に挿通されて、前記水底地盤に打設された複数の杭と、
前記杭挿通孔と前記杭との隙間に配設された間詰材と、
前記既存壁体と前記箱状構造体との間に配設されて前記既存壁体からの水平力を前記箱状構造体に伝達する水平力伝達部材と、を備えたことを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記杭は、前記杭挿通孔の下端から鋼管直径3倍以上の長さの範囲において、降伏強度400N/mm2以上及び/又は鋼管杭の外径R(mm)と鋼管杭の肉厚t(mm)との比R/tがR/t≦80であることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記既存岸壁が、下端側を地盤に根入れすると共に上端側をタイ材によって控え工で支持する矢板式岸壁の場合において、前記水平力伝達部材が(1)式を満たす位置に配置されていることを特徴とするものである。
Figure 2023003461000002
ここで、
D:既存岸壁の矢板の根入長(m)
HT:既存岸壁の水底地盤からタイ材取り付け位置までの高さ(m)
E:既存岸壁の矢板のヤング率(kN/m2)
I:既存岸壁の単位幅あたりの矢板の断面2次モーメント(m4/m)
lh:既存岸壁の矢板が根入れされている地盤の地盤反力係数(kN/m3)
H:水底地盤から水平力伝達部材上端までの高さ(m)
(4)また、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の既存岸壁の改良構造の施工方法であって、
前記既存壁体の水域側に、該既存壁体と所定の隙間を設けて前記箱状構造体を水底地盤に埋設する工程と、
前記箱状構造体の杭挿通孔を通して前記杭を打設する工程と、
前記杭挿通孔と前記杭との隙間に間詰材を配設する工程と、
前記既存壁体と前記箱状構造体との間に水平伝達部材を配設する工程と、を備えたことを特徴とするものである。
(5)また、上記(4)に記載のものにおいて、前記箱状構造体を埋設する工程は、前記箱状構造体を水底地盤面に載置した後に、前記箱状構造体の通水口から内部の水を強制的に排水し、前記箱状構造体を水底地盤内に沈設させることを特徴とするものである。
本発明に係る既存岸壁の改良構造は、陸上部での施工が制限される場合にも適用可能であり、施工性に優れている。
また、高コストな地盤改良をせずとも、岸壁天端の水平変形量を抑えることが可能となる。
更に、水平力伝達部材は、既存壁体からの水平力を箱状構造体に伝達できればよく、それ故に水平力伝達部材は既存壁体と箱状構造体と一体化される必要がないため、水中におけるスタッド溶接等を不要とすることができる。
箱状構造体は工場で事前製作することが可能なことから、現地での施工期間を短縮することができる。
本発明の実施の形態1に係る既存岸壁の改良構造の説明図である。 図1に示す既存岸壁の改良構造に用いた箱状構造体の説明図である。 図1に示す既存岸壁の改良構造の作用を説明する説明図である。 既存壁体に作用する荷重を説明する説明図である。 実施の形態2に係る式の導出過程で行った試設計の概要を説明する説明図である。 実施の形態2に係る式の導出過程で行った試設計の結果を整理した散布図である。 本発明の実施の形態2に係る既存岸壁の改良構造の説明図である。 本発明の実施の形態3に係る既存岸壁の改良構造の施工方法の説明図である。 本発明の実施の形態3に係る既存岸壁の改良構造の施工方法の他の態様の説明図である。 実施例1に係る改良構造の説明図である。 実施例2に係る改良構造の説明図である。 実施例3に係る改良構造の説明図である。 実施例4に係る改良構造の説明図である。 本発明の効果を確認するシミュレーション解析の対象とした既存の矢板式岸壁の説明図である。 シミュレーション解析の対象とした本発明改良構造の説明図である。 図15に示す本発明改良構造に用いた箱状構造体の説明図である。 シミュレーション解析の対象とした従来例の改良構造の説明図である。 シミュレーション解析に用いた地震動を示す図である。 改良前のシミュレーション解析結果を示す図である。 本発明改良構造のシミュレーション解析結果を示す図である。 従来例に係る改良構造のシミュレーション解析結果を示す図である。 改良対象となる既存の矢板式岸壁の説明図である。 本発明に至った経緯を説明する説明図である(その1)。 本発明に至った経緯を説明する説明図である(その2)。
実施の形態を説明する前に本発明に至った経緯を説明する。
<本発明に至った経緯>
耐震強化岸壁に指定されている既存岸壁41の改良設計においては、レベル2地震動(発生する可能性がある最大級の地震動)の発生後の、岸壁の使用性(緊急物資輸送等のために直ちに船舶を停泊できるか)が重要となる。このような使用性確保の観点から、地震時の岸壁天端の水域側への水平変形量を抑えることが要求される。
陸上部48での施工が制限される場合には、地震時に既存壁体45に作用する土圧を抑えることが難しいため、既存壁体45の水域側地盤の変形量が小さくなるように補強することで、岸壁天端の水平変形量を抑える方法が有効となる。
図23は図22に示した既存岸壁41の水域側に自立式矢板53を打設して補強した構造の、地震時の変形を模擬的に示したものである。
上述したように、既存岸壁41の地震時水平変形量を抑制するためには、岸壁の水域側地盤の変形量を抑える必要がある。しかし、水域側地盤の浅層領域は上載圧が小さく水平抵抗力も小さいため、地震時土圧が作用すると自立式矢板53が既存岸壁41の変形を抑えられずに撓んでしまう。結果として、既存岸壁41の水域側に矢板を打設しても、補強効果は小さい。
図24は既存岸壁41の水域側に補強杭55を打設して補強した構造の、地震時の変形を模擬的に示したものである。杭は自立式矢板53よりも水平抵抗力が大きいが、矢板と異なり岸壁法線方向(図24の紙面直交方向)に離散的に配置されるため、地震時に杭の間を土がすり抜ける。そのため、地震時土圧が作用すると補強杭55は既存岸壁41の変形を抑えられないため、既存岸壁41の水域側に補強杭55を打設しても、矢板と同様に補強効果は小さい。
一方、水域側地盤の深層領域は上載圧が大きいため、地震時の地盤変形量は比較的小さい。そのため、離散的に杭を配置してもすり抜ける土の移動量が小さく、逆に杭に対する地盤の水平抵抗力は大きい。
以上のように、既存壁体45の水域側地盤の変形量が小さくなるように補強するには、浅層領域は離散的に配置される杭では十分でなく矢板のように面での補強が必要であるが、深層領域は杭での補強でも有効である。
本発明はかかる知見に基づくものであり、その具体例を以下の実施の形態で詳細に説明する。
[実施の形態1]
本実施の形態の既存岸壁の改良構造1(以下、単に「改良構造1」という場合あり)は、図1、図2に示すように、周壁面部3と通水口5が設けられた天面部7と複数の杭挿通孔9とを有し、既存岸壁41における既存壁体45の水域側の水底地盤43に配設された箱状構造体11と、箱状構造体11の杭挿通孔9に挿通されて、水底地盤43に打設された複数の杭13と、杭挿通孔9と杭13との隙間に配設された間詰材(図示なし)と、既存壁体45と箱状構造体11との間に配設されて既存壁体45からの水平力を箱状構造体11に伝達する水平力伝達部材12と、を備えたものである。
以下、各構成を詳細に説明する。なお、図1、2において既存岸壁41を示した図22と同一部分には同一の符号を付して説明を省略する。
<箱状構造体>
箱状構造体11は、図1に示すように、既存岸壁41における既存壁体45の水域側の水底地盤43に配設されている。すなわち、天面部7の位置が水底地盤43とほぼ同一位置となり、周壁面部3が水底地盤43に打設された状態になっている。
また、図2に示すように、4面の周壁面部3と天面部7を有する矩形状の箱形状であり、天面部7に通水口5が設けられている。もっとも、箱状構造体11の形状は矩形状に限定されるものではない。
また、箱状構造体11は、四隅及び長辺の中間部に杭挿通孔9が設けられている。さらに、天面部7における杭挿通孔9を連結するように長辺及び短辺に沿って補強材としてH形鋼15が設けられて剛性が高められている。また、斜めにもH形鋼15が設けられている。短辺に沿ったH形鋼15は水平力を軸方向で受けてこれに抵抗する側であるため設けることが好ましいが、長辺に沿ったH形鋼15はなくてもよい。
本実施の形態の箱状構造体11は、長辺側を既存壁体45に対向させて配置されるが、図2(b)に示すように、短辺側の壁体は2枚の鋼板17にリブ材19を入れた構造であり、長辺側の壁体よりも剛性が高められている。これは、既存壁体45から水平力伝達部材12を介して伝達される水平力を受けたときに局部座屈することなく抵抗できるようにするためである。この抵抗力を大きくするため、図2(b)に示すように、長辺の中間部には短辺側の壁体と平行な仕切り壁体21が設けられている。
箱状構造体11の高さは、既存岸壁41の水域側地盤の軟弱な深さ領域を拘束する深さまで埋設できることが好ましく、具体的には3m以上が望ましい。これより高さが低いと埋設深さが浅くなり、前述した水平抵抗が発揮されない可能性がある。もっとも、埋設深さが深すぎると、施工手間が大きくなって不経済となるため、高さの上限は10mくらいが好ましい。
杭挿通孔9は、岸壁法線直角方向(既存岸壁41の変形する方向)に2列設けられているが、3列以上でもよい。
杭挿通孔9に杭13が挿通されて既存壁体45からの水平力に抵抗することになるが、箱状構造体11の水平抵抗を確保するため、杭挿通孔9の間隔は5m以上が望ましい。
また、杭挿通孔9の配置は、図2に示すように、格子状に配置されていてもよいし、あるいは千鳥状に配置されていてもよく、配置は特に限定されない。
天面部7に設けた通水口5は、例えば蓋部材(図示なし)等によって開閉可能になっており、箱状構造体11を水上移送する際には閉じた状態にする。また、箱状構造体11を沈設する際には開放して排気口及び排水口として使用する。排水口として使用する際には排水ポンプと接続することから、直径100mm程度の円形形状が望ましい。
なお、箱状構造体11の材質は特に限定されず、鋼製、コンクリート製のいずれでもよい。
<杭>
杭13は箱状構造体11の杭挿通孔9に挿通されて、海底地盤に打設されている。杭13は例えば鋼管杭が好ましいが、これに限定されるものではない。
打設された杭13は複数本であり、これらの配置は、箱状構造体11の杭挿通孔9に合わせて、格子状に配置されてもよいし、千鳥状に配置されてもよく、配置は特に限定されない。また、図1に示す例では、直杭としているが、複数の杭13の全部又は一部を斜杭としてもよい。
本発明では、箱状構造体11から杭13に荷重が伝達することで、杭13における杭挿通孔9の下端付近に大きな変形が生じる。そのため、杭挿通孔9の下端から鋼管杭の直径の3倍以上の長さ範囲は、杭13の変形性能を高くすることで合理的な設計が可能となる。具体的には、一般的に使用される降伏強度235N/mm2級や315N/mm2級の鋼管杭よりも降伏強度400N/mm2以上の鋼管杭を使用することが望ましい。
また、鋼管杭の径厚比がR/t=100程度になると、局部座屈が発生する可能性が高くなり、許容できる変形量が小さくなるため、R/t≦80とすることが望ましい。ここで、R:鋼管杭の外径(mm)、t:鋼管杭の肉厚(mm)である。なお、これらの条件は、杭挿通孔9の下端付近のみでなく、全ての部位について満たされていても問題ない。
<間詰材>
間詰材は、杭13が挿通された杭挿通孔9と杭13との隙間に配設されて箱状構造体11と杭13とを一体化するためのもので、水中コンクリート又は水中モルタルが望ましい。この一体化の手法は従来のジャケット式岸壁、ストラット式岸壁で用いられる手法、具体的にはグラウト材の注入によればよい。
<水平力伝達部材>
水平力伝達部材12は、既存壁体45と箱状構造体11との隙間に配設されて既存壁体45が水域側に変形しようとする水平力を箱状構造体11に伝達するものである。地震の揺れにより、既存壁体45は一時的には陸域側に変形するが、徐々に水域側への変形が大きくなる。すなわち、水平力伝達部材12は既存壁体45の陸域側への変形を抑える必要がないため、引張力を伝達する必要はなく、圧縮力の伝達機能のみあればよい。水平力伝達部材12はかかる機能を発揮できれば、その材料等は限定されず、例えば石材、水中コンクリート、水中モルタルなど、箱状構造体11と既存壁体45の水平方向の圧縮力の伝達が可能なものであればよい。
もっとも、水平力伝達部材12の上部は確実に水平力を伝達できるように、水中コンクリートまたは水中モルタルで構成するのが望ましい。
既存壁体45に作用する荷重(例えば地震時荷重やエプロン上に物を置いたときの荷重、増深によって生じた土圧増分等)は、水平力伝達部材12とその下方の地盤を介して箱状構造体11に伝達されるため、箱状構造体11には水平力のみが伝達される構造である。このため、既存壁体45と箱状構造体11とを一体化する必要がなく、水中におけるスタッド溶接等を不要とすることができる。
上記のように構成された本実施の形態に係る改良構造1の作用を図3に基づいて説明する。図3は本実施の形態の改良構造1における地震時の変形を模擬的に示したものである。
本実施の形態では、既存岸壁41の水域側地盤の浅層領域は箱状構造体11内に拘束されることで一体となって変形する。箱状構造体11は、間詰材を通して鋼管杭と一体化されているため、鋼管杭の水平抵抗によって変形量を小さくすることができる。
箱状構造体11より深部の地盤は上載圧が大きいので、前述のように、離散的に配置された鋼管杭でも大きな水平抵抗を期待できる。これらのことから、本実施の形態の改良構造1では、水平力伝達部材12を通して箱状構造体11の水平抵抗を既存壁体45に伝えることで、岸壁天端の水平変形量を抑えることが可能となる。
[実施の形態2]
本実施の形態は、水平力伝達部材12の位置の最適化を図ったものである。すなわち、本実施の形態に係る既存岸壁41の改良構造1は、既存岸壁41が、下端側を地盤に根入れすると共に上端側をタイ材51によって控え工49で支持する矢板式岸壁の場合において、水平力伝達部材が(1)式を満たす位置に配置されていることを特徴とするものである。
Figure 2023003461000003
ここで、
D:既存岸壁の矢板の根入長(m)
HT:既存岸壁の水底地盤からタイ材取り付け位置までの高さ(m)
E:既存岸壁の矢板のヤング率(kN/m2)
I:既存岸壁の単位幅あたりの矢板の断面2次モーメント(m4/m)
lh:既存岸壁の矢板が根入れされている地盤の地盤反力係数(kN/m3)
H:水底地盤から水平力伝達部材上端までの高さ(m)
以下、(1)式の導出した過程を説明する。
水平力伝達部材12を通じて、既存壁体45にかかる荷重が箱状構造体11に伝達するとき、既存壁体45に作用するせん断力も箱状構造体11に伝達する。箱状構造体11に伝達するせん断力が大きいと、箱状構造体11の水域側への変形量が増大するため、既設壁体の水域側への変形量や作用する曲げモーメントも増大する。そのため、既存壁体45に作用するせん断力が小さい位置に、水平力伝達部材12が存在することが望ましい。
既存岸壁41が、下端側を地盤に根入れすると共に上端側をタイ材51によって控え工49で支持する矢板式岸壁の場合における、既存壁体45に作用する荷重を図4に示す。図4(a)は既存壁体45に作用する土圧分布を模式的に示したものであり、上部の支点はタイ材51取付点を、下部の支点は水底地盤43を表している。このとき、図4(b)に示すようなせん断力と、図4(c)に示すような曲げモーメントが発生する。ここで、水域に凸となる場合を正の曲げモーメントとする(+Mと表記)。
既設壁体に作用するせん断力が0になる位置は、作用する曲げモーメントの変曲点(増加から減少に変わる位置)と等しくなる。これは水底地盤43より上の範囲において、既存壁体45に作用する最大曲げモーメントの発生位置とも一致する。
矢板式岸壁における矢板への最大曲げモーメントの発生位置は、既存壁体45の壁高さ、タイ材51の取り付け位置、鋼材の降伏強度、矢板の形状、地盤条件、設計震度等により変化する。そこで、さまざまな条件における矢板式岸壁の試設計を実施し、最大曲げモーメントの発生位置を調べた。
試設計の概要を図5に示す。なお、図5において図1と同一部分及び対応する部分には同一の符号を付してある。
矢板式岸壁は、図5に示すように、矢板の下端側を水底地盤43に根入れすると共に、上端側をタイ材51によって控え工49で支持してなるものを対象としている。
試計算の条件は次に示すとおりである。
水深は-4.5m、-7.5m、-10.5m、-14m、-17m、-20mの6種類で岸壁天端は+3m、タイ材51取り付け点は+2mで固定した。また、残留水位は+1mで固定とした。
水底地盤43は、緩い、中位、堅い、の3種類とした。せん断抵抗角と地盤反力係数lhは、「緩い」では、30°と24MN/m3、「中位」では、35°と38MN/m3、「堅い」では40°と58MN/m3とした。
矢板式岸壁の背後には裏込石を配置することにし、せん断抵抗角は40°とした。地盤の単位体積重量は、水底地盤43、裏込石とも共通で水中単位体積重量は10kN/m3、気中では18kN/m3とした。
設計震度は、レベル1地震を対象として、地域ごとの設計地震動を用いて検討地点の地盤の1次元地震応答解析結果から設計震度を求めることになっているが、本検討では0.05、0.15、0.25を対象とした。
矢板は鋼製とし、鋼材の降伏強度の特性値は、SKY400として235N/mm2、SKY490として315N/mm2の他に、最大600N/mm2までを想定した。
国内外のさまざまな形状の矢板を対象に試設計を行い、矢板に発生する最大応力が、235~600N/mm2の間に収まる形状を対象に、最大曲げモーメントの発生位置を調べた。
試設計の実施数は1000以上あるため、結果の一部を表1に示す。設計条件として「水深」、「水底地盤からタイ材取り付け位置までの高さHT」、「水底地盤条件」、「設計震度」を、設計に用いた矢板条件として「ヤング率E」、「断面二次モーメントI」、「断面係数」を、試設計の結果として「矢板に発生する応力」、「矢板の根入長D」、「最大曲げモーメントの発生位置H」を、結果の考察として「(HT)4/(EI)×lh」、「H/D」を示している。
Figure 2023003461000004
表1に示されたものの中から考察すると、ばらつきはあるが「(HT)4/(EI)×lh」が大きくなるほど「H/D」の値が大きくなる傾向にある。すべての試設計の結果について、横軸に「(HT)4/(EI)×lh」を、縦軸に「H/D」をとった散布図を図6に示す。両者には相関があり、「H/D」は下式で示す範囲に分布していることが分かる。
Figure 2023003461000005
岸壁改良の設計をする場合、既存壁体45の「水底地盤からタイ材取り付け位置までの高さHT」、「ヤング率E」、「断面二次モーメントI」、「地盤反力係数lh」、「矢板の根入長D」は既知であることが多いので、下記に示す式(1)に従って水平力伝達部材12の位置を決めることで、効果的に既存壁体45を改良することができる。
なお、岸壁改良に伴って、水域側の水底地盤の掘削による増深が行われる場合、D、HT、Hは増深後の値を使用するものとする。
Figure 2023003461000006
ここで、
D:既存岸壁の矢板の根入長(m)
HT:既存岸壁の水底地盤からタイ材取り付け位置までの高さ(m)
E:既存岸壁の矢板のヤング率(kN/m2)
I:既存岸壁の単位幅あたりの矢板の断面2次モーメント(m4/m)
lh:既存岸壁の矢板が根入れされている地盤の地盤反力係数(kN/m3)
H:水底地盤から水平力伝達部材上端までの高さ(m)
水平力伝達部材12が式(1)の位置にある場合の、岸壁改良構造の一例を図7に示す。箱状構造体11の既存壁体45側の杭挿通孔9の上端が、水平力伝達部材12の位置と同じ高さに位置しており、水平力伝達部材12より下部の箱状構造体11と既存壁体45との隙間は、砂や固化処理土などで中詰めされる。
[実施の形態3]
次に実施の形態1、2に示した既存岸壁の改良構造1の施工方法について説明する。
箱状構造体11を予め工場等において製作し、改良する既存岸壁41のある施工現場に搬入する。
施工現場では、既存壁体45の水域側に既存壁体45と所定の隙間を設けて箱状構造体11を水底地盤43に埋設する(箱状構造体11埋設工程)。この際、後述する間詰工程において確実に間詰材を配設できるように、杭挿通孔9の内部に地盤の土が入らないよう、杭挿通孔9の下端に蓋を設けておいてもよい。
その後、箱状構造体11の杭挿通孔9を通して鋼管杭等の杭13を打設する(杭打設工程)。
次に、杭挿通孔9と杭13との隙間に、間詰材を配設する(間詰工程)。間詰材は、箱状構造体11と杭13とを一体化するためのもので、水中コンクリート又は水中モルタルが望ましい。
最後に、箱状構造体11と既存壁体45との隙間に、水中コンクリート又は水中モルタルを打設して水平力伝達部材12を構築する(水平力伝達部材構築工程)。
なお、施工順序は特に限定されず、どの工程を先に行ってもよい。特に、杭13の打設位置精度を確保する必要があるが、箱状構造体11埋設工程の前に杭打設工程を行うことで、箱状構造体11の埋設時に杭挿通孔9の内部に土が入りにくくなることが想定されるので、杭挿通孔9の下端に蓋を設けずに間詰材を配設することが可能になるという効果が考えられる。
以上のように、本実施の形態によれば、陸上部48での施工がなく水域側のみでの施工が可能であり、陸側の施工が制限される場合にも適用可能である。
また、既存壁体45と箱状構造体11との間では、水平力を伝達できればよく、それ故に既存壁体45と箱状構造体11は一体化される必要がなく、水中におけるスタッド溶接等を不要とすることができる。スタッド溶接の場合、鋼材が溶接に対応した成分のものでないと溶接による脆化が懸念されるが、本実施の形態ではこのようなことが懸念されることがない。
なお、本実施の形態では、既存壁体45の水域側に、箱状構造体11が埋設されるため、岸壁法線が水域側に出っ張ることがある。この場合には、船舶の接岸の支障とならないように、図1に示すように、既存の上部工47を水域側に拡幅する増幅上部工22を設置するようにすればよい。もっとも、増幅上部工22は岸壁全長の必要はなく、また、増幅上部工22を設けることなく接岸用の防舷材を変えることで対応可能なこともある。
なお、前述の箱状構造体11埋設工程において、水底地盤43の掘削を行わずに箱状構造体11を埋設できる合理的な施工方法について図8に基づいて説明する。なお、図8において図1と同一部分及び対応する部分には同一の符号が付してある。後述の図9においても同じである。
施工現場に搬入された箱状構造体11は、天面部7の通水口5を通じて内部の空気量や水量を調整することができる。
そこで、通水口5を閉じた状態で箱状構造体11の内部の空気量を調整して水面に浮かぶように浮力を調整し、水面を曳航させることで、埋設場所の位置調整を容易に行うことができる(図8(a)参照)。
次に、箱状構造体11の内部の空気を排気することで箱状構造体11を水中に沈め、水底地盤43上に自沈させる(図8(b)参照)。その後、ポンプ等で通水口5から内部の水を強制的に排水する。排水することで、箱状構造体11の内外に生じる水圧差によって発生するサクション力により、箱状構造体11が地盤内に押し込まれる。その結果、箱状構造体11を地盤内に沈設させることができる(図8(c)参照)。箱状構造体11の沈設後に、杭13を打設する(図8(d)参照)。
なお、施工順序は特に限定されず、どの工程を先に行ってもよい。杭打設工程を箱状構造体埋設工程より先に行った例を図9に示す。
箱状構造体11を埋設場所の水面に曳航させ(図9(a)参照)、水底地盤43上に自沈させる(図9(b)参照)。
その後、杭挿通孔9に杭13を挿通して杭13を支持層まで打設し、杭打設に使用した仮継ぎ杭23を残した状態にしておき(図9(c)参照)、仮継ぎ杭23をガイド軸として箱状構造体11の沈設を行う(図9(d)参照)。
このようにすることで、沈設時の強制排水時に箱状構造体11の鉛直精度を調整する必要がなく、施工が安定すると考えられる。
船舶の大型化に伴う岸壁水深の増深が必要な場合は、箱状構造体11埋設工程の前に、水域側水底地盤43を掘削して水深を深くする水底地盤掘削工程を行うようにすればよい(図10参照)。既存岸壁41が増深に対して構造上の余裕がない場合においても、本実施の形態では箱状構造体11、杭13等の諸元を適正に変更することで、構造上の余裕を持たせることができるので、増深を問題なく行うことができる。
[実施例1]
ケーソン24を用いた重力式岸壁25を対象に、本発明の改良構造1で増深改良を行った例を図10に示す。図10において、図1と同一部分及び対応する部分には同一の符号を付してある。この点、後述の図11~図17においても同様である。
予めケーソン24より水域側の基礎捨石27の一部を除去した上で、箱状構造体11を埋設して杭13を打設することで、基礎捨石27の厚み分の増深が可能となる。
また、水平力伝達部材12は、ケーソン24のフーチング部29に被せるように配置させることで、地震時のケーソン24の水域側への滑動を抑えることができる。
[実施例2]
桟橋構造物31を対象に、本発明の改良構造1で増深改良を行った例を図11に示す。図11に示す例では、陸上部48と水域との境界部には土留め擁壁32が設けられている。
本実施例の場合は、増深による桟橋の鋼管杭の地盤反力低下に対する補強が主目的となるので、水平力伝達部材12は配置しなくてもよい。
本実施例によれば、箱状構造体11が地盤流動を抑制することで、鋼管杭33に作用する荷重も抑制することができる。この点、例えば、箱状構造体11の代わりに自立式矢板53を打設して増深した場合は、地震時の地盤流動量が増大して桟橋の鋼管杭33に作用する荷重が大きくなる。
[実施例3]
陸域側に控え工49を有する矢板式岸壁の隅角部の補強として、本発明の改良構造1を適用した例の平面図を図12に示す。
控え工49の鋼管杭33は、地盤抵抗が十分に発揮されるという前提のもとで二次元断面として設計される。しかし、隅角部は控え工49が入り組んだ構造となり、十分な地盤抵抗が発揮されない可能性があるため、二次元断面とみなすことができない。
そこで、図12に示すように、本発明の改良構造1によって水域側地盤の補強を併用することで、地盤抵抗が十分に発揮されない矢板式岸壁の隅角部の補強を効果的に行うことができる。
[実施例4]
本発明の改良構造1の岸壁以外への適用例として、重力式の津波防波堤35の補強の例を図13に示す。
防波堤の背面側の航路を阻害しない補強方法として、ケーソン24の背面に自立式の鋼矢板あるいは鋼管矢板を打設する方法が考えられるが、津波波力が作用した時に鋼矢板が背面側に大きくたわみ、十分な補強効果が得られない可能性がある。
この点、本発明の改良構造1によれば、補強部分のたわみが少ないため、粘り強い構造が期待できる。
なお、津波防波堤35の背面補強の場合には、ケーソン24に作用する揚圧力(底から上向きにかかる津波波力)を小さくするため、水平力伝達部材12は透水性の高いものにすることが望ましい。
[実施例5]
本発明の効果を確認するため、シミュレーション解析を行ったので、以下これについて説明する。
実験は、図14に示す-12.6m水深の既存の矢板式岸壁(既存壁体45は鋼管矢板)を対象とし、水深は変えずに補強改良を行う場合について検討した。
検討条件として、鋼材部分は50年分の標準的な腐食量による減肉を考慮した。
本発明の改良構造1を図15に、また、用いた箱状構造体11の形状を図16にそれぞれ示す。
また、本発明の改良構造1の構造諸元を表2に示す。なお、表2中の改良構造における鋼管杭33と箱状構造体11の規格名称は、鋼板の規格を記載している。
Figure 2023003461000007
比較のため、従来技術として矢板式岸壁の水域側地盤の地盤改良37を行った補強構造を図17に示す。
地盤改良37はセメント固化を想定しており、既存矢板の近傍は高圧噴射撹拌工法、それ以外は深層混合処理工法による原位置改良を前提としている。改良幅は、箱状構造体11の幅と同じ6mとした。
本発明に係る改良構造1(以下、「本発明改良構造1」という)と従来技術の概算コストを比較試算すると、本発明改良構造1の方が5%程度安価となった。また、施工現場での概略工程を比較すると、本発明改良構造1は3割程度工事期間が短くなる結果となった。
本発明改良構造1と従来技術の耐震性能を比較するため、構造物と地盤の相互作用を考慮した地震応答解析を行った。解析プログラムは、下記の文献に示されたFLIPを用いた。
文献:Iai,S.,Matsunaga,Y.and Kameoka,T.:Strain space plasticity model for cyclic mobility, Soils and Foundations, Vol.32,No.2,pp.1-15,1992.
また、主な解析定数を表3に示す。設計対象の地震動は図18に示すものである。
Figure 2023003461000008
岸壁天端(図14、図15、図17のA点)の水平変位の時刻歴を、図19~図21に示す。図19が、図14に示した改良前のもの、図20が図15に示した本発明による改良後のもの、図21が図17に示した従来技術による改良後のものである。
ここで、水平変位は水域側への変位が負の値をとる。
図19においては、15秒後から20秒後におけるA点の変位が-50cmとなるのに対し、図20と図21では、15秒後から20秒後におけるA点の変位が-45cm程度に収まっている。この図19~図21に示す結果から、本発明改良構造1によって改良前よりも岸壁天端の変位を抑制することが可能となり、その耐震性能は従来技術と遜色ないことが分かる。
1 既存岸壁の改良構造
3 周壁面部
5 通水口
7 天面部
9 杭挿通孔
11 箱状構造体
13 杭
12 水平力伝達部材
15 H形鋼
17 鋼板
19 リブ材
21 仕切り壁体
22 増幅上部工
23 仮継ぎ杭
24 ケーソン
25 重力式岸壁
27 基礎捨石
29 フーチング部
31 桟橋式構造物
32 土留め擁壁
33 鋼管杭
35 津波防波堤
37 地盤改良
41 既存岸壁(既存の矢板式岸壁)
43 水底地盤
45 既存壁体
47 上部工
48 陸上部
49 控え工
51 タイ材
53 自立式矢板
55 補強杭

Claims (5)

  1. 周壁面部と通水口が設けられた天面部と複数の杭挿通孔とを有し、既存岸壁における既存壁体の水域側の水底地盤に配設された箱状構造体と、
    該箱状構造体の前記杭挿通孔に挿通されて、前記水底地盤に打設された複数の杭と、
    前記杭挿通孔と前記杭との隙間に配設された間詰材と、
    前記既存壁体と前記箱状構造体との間に配設されて前記既存壁体からの水平力を前記箱状構造体に伝達する水平力伝達部材と、を備えたことを特徴とする既存岸壁の改良構造。
  2. 前記杭は、前記杭挿通孔の下端から鋼管直径3倍以上の長さの範囲において、降伏強度400N/mm2以上及び/又は鋼管杭の外径R(mm)と鋼管杭の肉厚t(mm)との比R/tがR/t≦80であることを特徴とする請求項1記載の既存岸壁の改良構造。
  3. 前記既存岸壁が、下端側を地盤に根入れすると共に上端側をタイ材によって控え工で支持する矢板式岸壁の場合において、前記水平力伝達部材が(1)式を満たす位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の既存岸壁の改良構造。
    Figure 2023003461000009
    ここで、
    D:既存岸壁の矢板の根入長(m)
    HT:既存岸壁の水底地盤からタイ材取り付け位置までの高さ(m)
    E:既存岸壁の矢板のヤング率(kN/m2)
    I:既存岸壁の単位幅あたりの矢板の断面2次モーメント(m4/m)
    lh:既存岸壁の矢板が根入れされている地盤の地盤反力係数(kN/m3)
    H:水底地盤から水平力伝達部材上端までの高さ(m)
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の既存岸壁の改良構造の施工方法であって、
    前記既存壁体の水域側に、該既存壁体と所定の隙間を設けて前記箱状構造体を水底地盤に埋設する工程と、
    前記箱状構造体の杭挿通孔を通して前記杭を打設する工程と、
    前記杭挿通孔と前記杭との隙間に間詰材を配設する工程と、
    前記既存壁体と前記箱状構造体との間に水平伝達部材を配設する工程と、を備えたことを特徴とする既存岸壁の改良構造の施工方法。
  5. 前記箱状構造体を埋設する工程は、
    前記箱状構造体を水底地盤面に載置した後に、前記箱状構造体の通水口から内部の水を強制的に排水し、前記箱状構造体を水底地盤内に沈設させることを特徴とする請求項4に記載の既存岸壁の改良構造の施工方法。
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