JP3556290B2 - 洋式便器用シール体、及びその成形方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、便器本体の下端部の連結フランジと、この便器本体の直下に配設される排水管の上端部の連結フランジとの間隙に介装されて、この部分の水密を保持することを目的として洋式便器の据付時に使用されるシール体、及びその成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13及び図14に、洋式便器における便器本体と排水管との従来の連結構造が示されている。便器本体11の下端部には、円形の連結フランジ12が一体に設けられて、該連結フランジ12の外周縁部には環状部12aが下方を向いて設けられている。この連結フランジ12には、一対のボルト挿通穴13が該連結フランジ12の中心に対して対称の位置にそれぞれ設けられている。一方、排水管14の上端部の内側にはフランジ付管15が嵌合され、このフランジ付管15の上端部には、トラック状の連結フランジ16が一体に設けられている。この連結フランジ16における外周縁が円弧状となった部分には、連結ボルト17を挿通させるための円弧状の長穴18がそれぞれ設けられ、この長穴18の裏面側(使用状態において下面側)には、前記連結ボルト17の頭部17aを嵌合させるための嵌合溝部18aが設けられている。
【0003】
そして、便器本体11を床部Fに据え付けて、その下方に配設された排水管14に連結するには、以下のようにして行われていた。まず、フランジ付管15の連結フランジ16に設けられた各長穴18に、その下方から連結ボルト17を挿通する。この状態で、連結フランジ16の方向を定めて、該フランジ付管15を排水管14の上端部の内側に嵌合して、該連結フランジ16を床部Fの床面に密着させ、複数本の木ねじ19によって、該連結フランジ16を床部Fに固定する。次に、フランジ付管15の連結フランジ16と、便器本体11の連結フランジ12との間に形成される間隙20にブチルゴムなどから成る粘着シール剤21を介装させて、便器本体11の連結フランジ12に設けられた各ボルト挿通穴13にそれぞれ前記連結ボルト17を挿通し、この状態において、便器本体11を排水管14の中心線Cを中心にして所定方向に回動させることにより、該便器本体11の位置合せを行っている。この位置合せを行った後に、前記連結ボルト17にナット22を螺合して、便器本体11の連結フランジ12に設けられた環状部12aが床部Fに当接するまで、該ナット22を締め上げて、該便器本体11を床部Fに対して固定していた。なお、図14において、Bは、床部Fの下方に設けられた梁部を示す。
【0004】
上記した連結構造は、粘着シール剤21を直接に両連結フランジ12,16に粘着させているために、連結部の気密性は高められる。しかし、上記のようにして便器本体11を回動させて、その位置合せを行う場合において、前記粘着シール剤21が両連結フランジ12,16に強固に粘着しているため、便器本体11を容易に回動させられない。このため、据付途中における便器本体の位置合せ作業が面倒で、しかも時間を要していた。これを解消するために、型成形により発泡ゴム製のシール体を成形して、これを前記各連結フランジ12,16の間隙に介装させる方法が試られたが、便器本体11の連結フランジ12の裏面(シール面)は粗面となっていて、この粗面に発泡ゴム製のシール体が密着するために、その密着性が悪くて、完全なシールを行えなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シール体の改良によって、便器本体と排水管との連結部のシール性を一定に保持したままで、据付途中における便器本体の位置合せを容易に行えるようにすることを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、便器本体の下端部に設けられた連結フランジと、該便器本体の直下に配設される排水管の上端部に設けられた連結フランジとの間隙に介装されて、当該部分の水密を保持するための環状のシール体であって、環状のシール体本体の上端面に開口して設けられた環状溝に粘着シール剤が充填され、前記粘着シール剤が付着しないように裏面を剥離処理した環状の蓋体が、前記環状溝を構成する内壁部又は外壁部のいずれか一方の上端に連結部を介して剥ぎ取り可能に連結され、その非使用時には、粘着剤が充填された前記環状溝の開口が前記蓋体で閉塞されていると共に、その使用時には、該蓋体を剥ぎ取って粘着シール剤を露出させることを特徴としている。
【0007】
【発明の作用】
シール体の使用時には、連結部の破断により蓋体を剥ぎ取って、環状溝に充填された粘着シール剤を露出させる。この蓋体は、その裏面が粘着シール剤が付着しないように剥離処理されているため、粘着シール剤に対して容易に剥離できる。便器本体を据え付けるには、床部に固定された排水管の連結フランジの直上に便器本体を配設して、この便器本体の下端部の連結フランジと、排水管の上端部の連結フランジとの間の間隙に、粘着シール剤が露出した状態の上記シール体を介装させる。この据付途中において、便器本体の位置合せを行う場合には、便器本体を僅かに持ち上げて行えばよい。シール体の下端部と排水管の連結フランジとは粘着していないので、便器本体を所定の方向に容易に回動させられる。そして、便器本体を固定するには、便器本体と排水管との両連結フランジを互いに連結するための連結ボルトに対してナットを締め込んで、便器本体の連結フランジを排水管の連結フランジに対して近接させると、両連結フランジの間の間隙が小さくなって、上記シール体が弾性変形される。これにより、シール体の上端面に露出している粘着シール剤は、便器本体の連結フランジの裏面(この面は粗面となっている)に密着して、便器本体と排水管との連結部がシールされる。また、シール体の非使用時には、粘着シール剤が充填されているシール体本体の環状溝の部分は蓋体で閉塞されているため、その保管、輸送中において、粘着シール剤にごみ類が付着することはない。
【0008】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、便器本体11、フランジ付管15などの本発明に係るシール体を除く部分の構成は、「従来の技術」の項目で説明したのと同一であるので、同一符号を使用して、重ねて説明しないこととする。最初に、図4ないし図9を参照にして、本発明に係るシール体S1 について説明し、引き続いて、このシール体S1 を使用して便器本体11を床部Fに据え付ける場合について説明する。このシール体S1 は、ゴム、合成樹脂などから成って、環状に成形されたシール体本体1の上端面に環状溝2が設けられ、該環状溝2にブチルゴムから成る粘着シール剤3が充填され、該環状溝2を構成する外壁部2aの上端に連結部4aを介して蓋体5が剥ぎ取り可能に連結されて、前記粘着シール剤3が充填された環状溝2の開口部が該蓋体5によって閉塞された構造である。この蓋体5の裏面には、ウレタン系離型剤による離型膜6(図9参照)が塗着されて、環状溝2の閉塞時において、蓋体5の裏面に粘着シール剤3が付着しない構造になっている。なお、図中、7は、シール体本体1を変形し易くするために、その下端部に連続して設けられた環状の中空部であり、8は、シール体本体1の下端に突設された環状の突条であり、9は、長尺状のシール体本体1’の両端面を接合して環状にした際にできる接合線を示す。
【0009】
このシール体S1 の構造は、上記の通りであって、以下のようにして成形される。まず、図8に示される断面を有する長尺状のシール体本体1’を押出成形する。この長尺状のシール体本体1’の断面形状は、シール体S1 となった場合の環状のシール体本体1のそれと同一であるが、蓋体5’は、その幅方向の両端部が剥ぎ取り可能な連結部4'a, 4'bを介して直線状の溝2’を構成する両壁部2'a,2'bの上端に連結されている。この長尺状のシール体本体1’と、同じく長尺状の蓋体5’とを連結している各連結部4'a, 4'bのいずれか一方を破断して、図8で2点鎖線で示されるようにして、蓋体5’を開き、その裏面に上記した剥離処理を行う。次に、蓋体5’が開かれた長尺状のシール体本体1’を所定長に切断して、その両端面を接合して環状に成形した後に、その環状溝2にブチルゴムから成る粘着シール剤3を充填する。なお、所定長に切断されたシール体本体1’を環状に成形する際には、これと蓋体5’との連結部を外側に位置させる。その後に、図6及び図9で実線で示されるように、上記したように裏面が剥離処理された蓋体5を内側に閉じて、粘着シール剤3が充填された環状溝2の開口部を閉塞すると、図4及び図5に示されるような上記構造の環状のシール体S1 が成形される。
【0010】
次に、上記したシール体S1 を使用して、便器本体11を床部Fに据え付ける場合について説明する。まず、図7に示されるように、連結部4aの破断により蓋体5をシール体本体1から剥ぎ取って、シール体本体1の環状溝2に充填されている粘着シール剤3を露出させる。蓋体5の裏面は剥離処理が施されているので、シール体本体1の環状溝2に充填されている粘着シール剤3に対して蓋体5は、付着することなく確実に剥離される。次に、図1及び図2に示されるように、床部Fに固定されたフランジ付管15の連結フランジ16と、該床部Fに据え付けようとする便器本体11の連結フランジ12との間隙20に、粘着シール剤3が露出した状態のシール体S1 を介装させる。この状態では、シール体S1 は、粘着シール剤3を介して便器本体11の連結フランジ12の裏面に粘着されているが、フランジ付管15の連結フランジ16には粘着されていない。よって、便器本体11は、これを僅かに持ち上げることにより、排水管14の中心線Cを中心にして容易に回動させられて、その位置合せを支障なく行える。
【0011】
便器本体11の位置合せを行った後に、両連結フランジ12,16を互いに連結するための連結ボルト17に対してナット22を螺合させて締め込むと、両連結フランジ12,16の間の間隙20が小さくなって、図3に示されるように、シール体S1 は大きく変形されて、その上端部に充填されている粘着シール剤3は、便器本体11の連結フランジ12の裏面に粘着すると共に、その下端部は、フランジ付管15の連結フランジ16の上面に大きな面積でもって密着する。これにより、便器本体11と排水管14との連結部がシール体S1 によって確実にシールされる。
【0012】
また、このシール体S1 の粘着シール剤3は、施工直前までは蓋体5で覆われて、保護されているので、作業者の手、工具などに粘着シール剤3が付着することがないと共に、その保管、輸送中においても、粘着シール剤3にごみ類が付着することもないので、この粘着シール剤3が保護されて、洋式便器の据付工事を円滑に行うことができる。
【0013】
上記シール体S1 は、そのシール体本体1に体して蓋体5が、環状溝2の外壁部2aの上端の連結部4aにおいて剥ぎ取り可能に連結された構造であるが、図10に示されるシール体S2 のように、そのシール体本体1に対して蓋体5が、環状溝2の内壁部2bの上端の連結部4bにおいて剥ぎ取り可能に連結してもよい。
【0014】
また、図11及び図12に示されるシール体S3 は、粘着シール剤3が充填されている環状溝2の開口を環状をした離型紙10で閉塞して、該粘着シール剤3を保護している構成のみが、上記シール体S1,S2 と異なり、他の部分はこれらのシール体S1,S2 と同一構成である。このシール体S3 は、上記した長尺状のシール体本体1’の蓋体5’を欠落させて、上端面に設けられた溝2’が開口している構成の長尺状のシール体本体を押出成形して、これを所定長に切断して、その両端面を接合して環状に成形し、その後に環状となった溝に粘着シール剤3を充填して、この環状の溝2の開口を上記離型紙10で閉塞して成形される。そして、施工直前に該離型紙10を剥離させて、上記と同様にして便器の据付工事を行う。
【0015】
【発明の効果】
本発明に係る洋式便器用シール体は、環状のシール体本体の上端面に開口して設けられた環状溝に粘着シール剤が充填され、該環状溝を構成する外壁部又は内壁部のいずれか一方の上端に連結部を介して前記粘着シール剤が付着しないように裏面を剥離処理した環状の蓋体が剥ぎ取り可能に連結され、便器の据付時においては、シール体本体の上端部に充填された前記粘着シール剤が便器本体の連結フランジの裏面に粘着すると同時に、その下端部が排水管の連結フランジの上面に密着する構成であるので、据付途中においては、便器本体を僅かに持ち上げることにより、その位置合せを簡単に行え、据付固定後においては、粗面となっている便器本体の連結フランジの裏面に粘着シール剤が強固に粘着すると共に、シール体本体の下端部が大きく変形されて排水管の連結フランジの上面に密着して、便器本体と排水管との連結部が確実にシールされる。
また、施工直前までは、シール体本体の上端面に開口した環状溝に充填された粘着シール剤が蓋体で閉塞されているので、施工前におけるシール体の取扱い時において作業者の手、使用する工具などに粘着シール剤が付着することがなく、このことと、上記した便器本体の位置合せが容易であることとが相俟って、便器の据付工事が円滑に行われると共に、シール体の保管、輸送中においても、粘着シール剤にごみ類が付着しない。
更に、本発明に係るシール体の成形方法は、シール体本体の押出し成形時において、該シール体本体に連結部を介して蓋体が剥ぎ取り可能となって一体に連結されているので、別体の蓋体を使用しなくて済むと共に、シール体の使用時においては、この蓋体を無造作に剥ぎ取ることにより、シール体本体から簡単に除去できるため、使い勝手も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシール体S1 を使用して便器本体11を床部Fに据え付けて固定する前の状態の主要部を破断した図である。
【図2】同じく主要部の拡大断面図である。
【図3】便器本体11を床部Fに据え付けて固定した状態における主要部の拡大断面図である。
【図4】本発明に係るシール体S1 の一部を破断した平面図である。
【図5】図4のX−X線断面図である。
【図6】本発明に係るシール体S1 の部分斜視図である。
【図7】蓋体5の一部が剥ぎ取られたシール体S1 の部分斜視図である。
【図8】押出成形された長尺状のシール体本体1’の拡大断面図である。
【図9】環状となったシール体S1 の拡大断面図である。
【図10】環状となった別のシール体S2 の拡大断面図である。
【図11】本発明に係るシール体S3 の一部を破断した平面図である。
【図12】図11のY−Y線断面図である。
【図13】床部Fに固定された排水管14の部分の平面図である。
【図14】排水管14の直上に便器本体11を配設した状態における図13のZ−Z線断面図である。
【符号の説明】
S1 〜S3 :シール体
1:シール体本体
2:環状溝
2a:環状溝の外壁部
2b:環状溝の内壁部
3:粘着シール剤
4a,4b:連結部
5:蓋体
6:離型膜
10:離型紙
11:便器本体
12:便器本体の連結フランジ
14:排水管
15:フランジ付管
16:フランジ付管の連結フランジ
【産業上の利用分野】
本発明は、便器本体の下端部の連結フランジと、この便器本体の直下に配設される排水管の上端部の連結フランジとの間隙に介装されて、この部分の水密を保持することを目的として洋式便器の据付時に使用されるシール体、及びその成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13及び図14に、洋式便器における便器本体と排水管との従来の連結構造が示されている。便器本体11の下端部には、円形の連結フランジ12が一体に設けられて、該連結フランジ12の外周縁部には環状部12aが下方を向いて設けられている。この連結フランジ12には、一対のボルト挿通穴13が該連結フランジ12の中心に対して対称の位置にそれぞれ設けられている。一方、排水管14の上端部の内側にはフランジ付管15が嵌合され、このフランジ付管15の上端部には、トラック状の連結フランジ16が一体に設けられている。この連結フランジ16における外周縁が円弧状となった部分には、連結ボルト17を挿通させるための円弧状の長穴18がそれぞれ設けられ、この長穴18の裏面側(使用状態において下面側)には、前記連結ボルト17の頭部17aを嵌合させるための嵌合溝部18aが設けられている。
【0003】
そして、便器本体11を床部Fに据え付けて、その下方に配設された排水管14に連結するには、以下のようにして行われていた。まず、フランジ付管15の連結フランジ16に設けられた各長穴18に、その下方から連結ボルト17を挿通する。この状態で、連結フランジ16の方向を定めて、該フランジ付管15を排水管14の上端部の内側に嵌合して、該連結フランジ16を床部Fの床面に密着させ、複数本の木ねじ19によって、該連結フランジ16を床部Fに固定する。次に、フランジ付管15の連結フランジ16と、便器本体11の連結フランジ12との間に形成される間隙20にブチルゴムなどから成る粘着シール剤21を介装させて、便器本体11の連結フランジ12に設けられた各ボルト挿通穴13にそれぞれ前記連結ボルト17を挿通し、この状態において、便器本体11を排水管14の中心線Cを中心にして所定方向に回動させることにより、該便器本体11の位置合せを行っている。この位置合せを行った後に、前記連結ボルト17にナット22を螺合して、便器本体11の連結フランジ12に設けられた環状部12aが床部Fに当接するまで、該ナット22を締め上げて、該便器本体11を床部Fに対して固定していた。なお、図14において、Bは、床部Fの下方に設けられた梁部を示す。
【0004】
上記した連結構造は、粘着シール剤21を直接に両連結フランジ12,16に粘着させているために、連結部の気密性は高められる。しかし、上記のようにして便器本体11を回動させて、その位置合せを行う場合において、前記粘着シール剤21が両連結フランジ12,16に強固に粘着しているため、便器本体11を容易に回動させられない。このため、据付途中における便器本体の位置合せ作業が面倒で、しかも時間を要していた。これを解消するために、型成形により発泡ゴム製のシール体を成形して、これを前記各連結フランジ12,16の間隙に介装させる方法が試られたが、便器本体11の連結フランジ12の裏面(シール面)は粗面となっていて、この粗面に発泡ゴム製のシール体が密着するために、その密着性が悪くて、完全なシールを行えなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シール体の改良によって、便器本体と排水管との連結部のシール性を一定に保持したままで、据付途中における便器本体の位置合せを容易に行えるようにすることを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、便器本体の下端部に設けられた連結フランジと、該便器本体の直下に配設される排水管の上端部に設けられた連結フランジとの間隙に介装されて、当該部分の水密を保持するための環状のシール体であって、環状のシール体本体の上端面に開口して設けられた環状溝に粘着シール剤が充填され、前記粘着シール剤が付着しないように裏面を剥離処理した環状の蓋体が、前記環状溝を構成する内壁部又は外壁部のいずれか一方の上端に連結部を介して剥ぎ取り可能に連結され、その非使用時には、粘着剤が充填された前記環状溝の開口が前記蓋体で閉塞されていると共に、その使用時には、該蓋体を剥ぎ取って粘着シール剤を露出させることを特徴としている。
【0007】
【発明の作用】
シール体の使用時には、連結部の破断により蓋体を剥ぎ取って、環状溝に充填された粘着シール剤を露出させる。この蓋体は、その裏面が粘着シール剤が付着しないように剥離処理されているため、粘着シール剤に対して容易に剥離できる。便器本体を据え付けるには、床部に固定された排水管の連結フランジの直上に便器本体を配設して、この便器本体の下端部の連結フランジと、排水管の上端部の連結フランジとの間の間隙に、粘着シール剤が露出した状態の上記シール体を介装させる。この据付途中において、便器本体の位置合せを行う場合には、便器本体を僅かに持ち上げて行えばよい。シール体の下端部と排水管の連結フランジとは粘着していないので、便器本体を所定の方向に容易に回動させられる。そして、便器本体を固定するには、便器本体と排水管との両連結フランジを互いに連結するための連結ボルトに対してナットを締め込んで、便器本体の連結フランジを排水管の連結フランジに対して近接させると、両連結フランジの間の間隙が小さくなって、上記シール体が弾性変形される。これにより、シール体の上端面に露出している粘着シール剤は、便器本体の連結フランジの裏面(この面は粗面となっている)に密着して、便器本体と排水管との連結部がシールされる。また、シール体の非使用時には、粘着シール剤が充填されているシール体本体の環状溝の部分は蓋体で閉塞されているため、その保管、輸送中において、粘着シール剤にごみ類が付着することはない。
【0008】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。なお、便器本体11、フランジ付管15などの本発明に係るシール体を除く部分の構成は、「従来の技術」の項目で説明したのと同一であるので、同一符号を使用して、重ねて説明しないこととする。最初に、図4ないし図9を参照にして、本発明に係るシール体S1 について説明し、引き続いて、このシール体S1 を使用して便器本体11を床部Fに据え付ける場合について説明する。このシール体S1 は、ゴム、合成樹脂などから成って、環状に成形されたシール体本体1の上端面に環状溝2が設けられ、該環状溝2にブチルゴムから成る粘着シール剤3が充填され、該環状溝2を構成する外壁部2aの上端に連結部4aを介して蓋体5が剥ぎ取り可能に連結されて、前記粘着シール剤3が充填された環状溝2の開口部が該蓋体5によって閉塞された構造である。この蓋体5の裏面には、ウレタン系離型剤による離型膜6(図9参照)が塗着されて、環状溝2の閉塞時において、蓋体5の裏面に粘着シール剤3が付着しない構造になっている。なお、図中、7は、シール体本体1を変形し易くするために、その下端部に連続して設けられた環状の中空部であり、8は、シール体本体1の下端に突設された環状の突条であり、9は、長尺状のシール体本体1’の両端面を接合して環状にした際にできる接合線を示す。
【0009】
このシール体S1 の構造は、上記の通りであって、以下のようにして成形される。まず、図8に示される断面を有する長尺状のシール体本体1’を押出成形する。この長尺状のシール体本体1’の断面形状は、シール体S1 となった場合の環状のシール体本体1のそれと同一であるが、蓋体5’は、その幅方向の両端部が剥ぎ取り可能な連結部4'a, 4'bを介して直線状の溝2’を構成する両壁部2'a,2'bの上端に連結されている。この長尺状のシール体本体1’と、同じく長尺状の蓋体5’とを連結している各連結部4'a, 4'bのいずれか一方を破断して、図8で2点鎖線で示されるようにして、蓋体5’を開き、その裏面に上記した剥離処理を行う。次に、蓋体5’が開かれた長尺状のシール体本体1’を所定長に切断して、その両端面を接合して環状に成形した後に、その環状溝2にブチルゴムから成る粘着シール剤3を充填する。なお、所定長に切断されたシール体本体1’を環状に成形する際には、これと蓋体5’との連結部を外側に位置させる。その後に、図6及び図9で実線で示されるように、上記したように裏面が剥離処理された蓋体5を内側に閉じて、粘着シール剤3が充填された環状溝2の開口部を閉塞すると、図4及び図5に示されるような上記構造の環状のシール体S1 が成形される。
【0010】
次に、上記したシール体S1 を使用して、便器本体11を床部Fに据え付ける場合について説明する。まず、図7に示されるように、連結部4aの破断により蓋体5をシール体本体1から剥ぎ取って、シール体本体1の環状溝2に充填されている粘着シール剤3を露出させる。蓋体5の裏面は剥離処理が施されているので、シール体本体1の環状溝2に充填されている粘着シール剤3に対して蓋体5は、付着することなく確実に剥離される。次に、図1及び図2に示されるように、床部Fに固定されたフランジ付管15の連結フランジ16と、該床部Fに据え付けようとする便器本体11の連結フランジ12との間隙20に、粘着シール剤3が露出した状態のシール体S1 を介装させる。この状態では、シール体S1 は、粘着シール剤3を介して便器本体11の連結フランジ12の裏面に粘着されているが、フランジ付管15の連結フランジ16には粘着されていない。よって、便器本体11は、これを僅かに持ち上げることにより、排水管14の中心線Cを中心にして容易に回動させられて、その位置合せを支障なく行える。
【0011】
便器本体11の位置合せを行った後に、両連結フランジ12,16を互いに連結するための連結ボルト17に対してナット22を螺合させて締め込むと、両連結フランジ12,16の間の間隙20が小さくなって、図3に示されるように、シール体S1 は大きく変形されて、その上端部に充填されている粘着シール剤3は、便器本体11の連結フランジ12の裏面に粘着すると共に、その下端部は、フランジ付管15の連結フランジ16の上面に大きな面積でもって密着する。これにより、便器本体11と排水管14との連結部がシール体S1 によって確実にシールされる。
【0012】
また、このシール体S1 の粘着シール剤3は、施工直前までは蓋体5で覆われて、保護されているので、作業者の手、工具などに粘着シール剤3が付着することがないと共に、その保管、輸送中においても、粘着シール剤3にごみ類が付着することもないので、この粘着シール剤3が保護されて、洋式便器の据付工事を円滑に行うことができる。
【0013】
上記シール体S1 は、そのシール体本体1に体して蓋体5が、環状溝2の外壁部2aの上端の連結部4aにおいて剥ぎ取り可能に連結された構造であるが、図10に示されるシール体S2 のように、そのシール体本体1に対して蓋体5が、環状溝2の内壁部2bの上端の連結部4bにおいて剥ぎ取り可能に連結してもよい。
【0014】
また、図11及び図12に示されるシール体S3 は、粘着シール剤3が充填されている環状溝2の開口を環状をした離型紙10で閉塞して、該粘着シール剤3を保護している構成のみが、上記シール体S1,S2 と異なり、他の部分はこれらのシール体S1,S2 と同一構成である。このシール体S3 は、上記した長尺状のシール体本体1’の蓋体5’を欠落させて、上端面に設けられた溝2’が開口している構成の長尺状のシール体本体を押出成形して、これを所定長に切断して、その両端面を接合して環状に成形し、その後に環状となった溝に粘着シール剤3を充填して、この環状の溝2の開口を上記離型紙10で閉塞して成形される。そして、施工直前に該離型紙10を剥離させて、上記と同様にして便器の据付工事を行う。
【0015】
【発明の効果】
本発明に係る洋式便器用シール体は、環状のシール体本体の上端面に開口して設けられた環状溝に粘着シール剤が充填され、該環状溝を構成する外壁部又は内壁部のいずれか一方の上端に連結部を介して前記粘着シール剤が付着しないように裏面を剥離処理した環状の蓋体が剥ぎ取り可能に連結され、便器の据付時においては、シール体本体の上端部に充填された前記粘着シール剤が便器本体の連結フランジの裏面に粘着すると同時に、その下端部が排水管の連結フランジの上面に密着する構成であるので、据付途中においては、便器本体を僅かに持ち上げることにより、その位置合せを簡単に行え、据付固定後においては、粗面となっている便器本体の連結フランジの裏面に粘着シール剤が強固に粘着すると共に、シール体本体の下端部が大きく変形されて排水管の連結フランジの上面に密着して、便器本体と排水管との連結部が確実にシールされる。
また、施工直前までは、シール体本体の上端面に開口した環状溝に充填された粘着シール剤が蓋体で閉塞されているので、施工前におけるシール体の取扱い時において作業者の手、使用する工具などに粘着シール剤が付着することがなく、このことと、上記した便器本体の位置合せが容易であることとが相俟って、便器の据付工事が円滑に行われると共に、シール体の保管、輸送中においても、粘着シール剤にごみ類が付着しない。
更に、本発明に係るシール体の成形方法は、シール体本体の押出し成形時において、該シール体本体に連結部を介して蓋体が剥ぎ取り可能となって一体に連結されているので、別体の蓋体を使用しなくて済むと共に、シール体の使用時においては、この蓋体を無造作に剥ぎ取ることにより、シール体本体から簡単に除去できるため、使い勝手も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシール体S1 を使用して便器本体11を床部Fに据え付けて固定する前の状態の主要部を破断した図である。
【図2】同じく主要部の拡大断面図である。
【図3】便器本体11を床部Fに据え付けて固定した状態における主要部の拡大断面図である。
【図4】本発明に係るシール体S1 の一部を破断した平面図である。
【図5】図4のX−X線断面図である。
【図6】本発明に係るシール体S1 の部分斜視図である。
【図7】蓋体5の一部が剥ぎ取られたシール体S1 の部分斜視図である。
【図8】押出成形された長尺状のシール体本体1’の拡大断面図である。
【図9】環状となったシール体S1 の拡大断面図である。
【図10】環状となった別のシール体S2 の拡大断面図である。
【図11】本発明に係るシール体S3 の一部を破断した平面図である。
【図12】図11のY−Y線断面図である。
【図13】床部Fに固定された排水管14の部分の平面図である。
【図14】排水管14の直上に便器本体11を配設した状態における図13のZ−Z線断面図である。
【符号の説明】
S1 〜S3 :シール体
1:シール体本体
2:環状溝
2a:環状溝の外壁部
2b:環状溝の内壁部
3:粘着シール剤
4a,4b:連結部
5:蓋体
6:離型膜
10:離型紙
11:便器本体
12:便器本体の連結フランジ
14:排水管
15:フランジ付管
16:フランジ付管の連結フランジ
Claims (5)
- 便器本体の下端部に設けられた連結フランジと、該便器本体の直下に配設される排水管の上端部に設けられた連結フランジとの間隙に介装されて、当該部分の水密を保持するための環状のシール体であって、
環状のシール体本体の上端面に開口して設けられた環状溝に粘着シール剤が充填され、前記粘着シール剤が付着しないように裏面を剥離処理した環状の蓋体が、前記環状溝を構成する内壁部又は外壁部のいずれか一方の上端に連結部を介して剥ぎ取り可能に連結され、その非使用時には、粘着剤が充填された前記環状溝の開口が前記蓋体で閉塞されていると共に、その使用時には、該蓋体を剥ぎ取って粘着シール剤を露出させることを特徴とする洋式便器用シール体。 - 粘着シール剤がブチルゴムから成ることを特徴とする請求項1に記載の洋式便器用シール体。
- 便器本体の下端部に設けられた連結フランジと、該便器本体の直下に配設される排水管の上端部に設けられた連結フランジとの間に介装されて、当該部分の水密を保持するための環状のシール体であって、
シール体本体の上端面に開口して設けられた環状溝に粘着シール剤が充填されて、前記環状溝の開口は、前記粘着シール剤が付着しないように剥離処理した閉塞部材により閉塞され、その使用時において該閉塞部材を剥離させることを特徴とする洋式便器用シール体。 - 閉塞部材が剥離紙から成ることを特徴とする請求項3に記載の洋式便器用シール体。
- 請求項1に記載の洋式便器用シール体の成形方法であって、上端面に溝が設けられ、該溝を構成する両壁部の上端に連結部を介して蓋体が剥ぎ取り可能に連結されて、該蓋体により該溝が閉塞されている長尺状のシール体本体を押出成形して、
前記蓋体における前記シール体本体に連結している2つの連結部のうちいずれか一方を破断して前記蓋体を開いて、その裏面に粘着シール剤が付着するのを防止するための剥離処理を行い、その後に、該シール体本体を所定長に切断して、その両端面を接合することにより所定長に切断されたシール体本体を環状に成形し、環状となった前記溝に粘着シール剤を充填して、その開口を前記蓋体で閉塞することを特徴とする洋式便器用シール体の成形方法。
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JP25289894A JP3556290B2 (ja) | 1994-09-20 | 1994-09-20 | 洋式便器用シール体、及びその成形方法 |
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Publications (2)
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JPH0893038A JPH0893038A (ja) | 1996-04-09 |
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1994
- 1994-09-20 JP JP25289894A patent/JP3556290B2/ja not_active Expired - Fee Related
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