JP3553351B2 - プリプレグおよび基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品や回路用基板に用いられるプリプレグおよび基板に関し、特に高周波数領域(100MHz以上)での使用に好適であり、磁気特性を利用した用途や磁気シールドを目的とする使用に適したプリプレグおよび基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子部品や回路用基板に用いられる基板材料としては、成形材にフェライト粉を混練して成形し、成形した板にメッキ等の処理を施したものがあり、例えば液晶ポリマーとフェライトとを構成成分とする複合フェライト成形材料からなる複合フェライト基板を用いたものがある。また、フェライト粉の入っていないガラスクロス入エポキシ樹脂やフェノール樹脂で構成されたプリプレグを用いた銅張積層板などがある。
【0003】
しかし、上記の成形した板にメッキ等の処理を施したものでは、薄肉でかつ大きな形状に成形することが困難である。また、上記のフェライト粉の入っていない銅張積層板では、磁性材料が存在しないため、磁気特性を利用した素子、部品、回路形成には、フェライト材を塗布するか、バルクのフェライトを装着させる必要がある。また、それ自体では磁気シールド効果がなく、磁気シールドを目的とした使用には適さない。
【0004】
一方、特開昭58−158813号公報には、「磁性と電気絶縁性を併せもつ金属酸化物を含有する積層板用樹脂を、積層板用基材に含浸してなる電気用積層板」が開示されている。しかし、その実施例に示されるものは、フェノール樹脂とクラフト紙との組合せであり、薄肉化の際に必要とされる強度や、耐熱性の点で不利である。また、フェライト粉の割合が全体の50wt% を下回るものであり、磁気材料として要求される磁気特性が充分に得られないことがある。
【0005】
また、特開昭59−176035号公報には、「互に上下に配置され樹脂および硬化剤からなる母材によって互に接続され整合された繊維層からなり、電磁波を吸収する繊維複合材料において、電波を吸収する充填物が、各層中に、外側から内側に濃度変化をもって入れられている繊維複合材料」が開示されている。しかし、その実施例にも示されるように、充填物の分布に濃度勾配をもたせており、プリプレグ作製に手間がかかる。
【0006】
さらに、特開平2−120040号公報には、「ガラス繊維織布に熱硬化性樹脂を含浸乾燥して得たプリプレグと銅箔とを重ね加熱加圧して成形する銅張積層板において、前記熱硬化性樹脂に電波吸収材料を混合分散し特定周波数の電磁雑音を吸収するようにした電波吸収用銅張積層板」が開示されている。しかし、その実施例に示されるものは、PZT粉を用いたものであり、磁気特性を利用した用途や磁気シールドを目的とした使用には適さない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、第一に、フェライトを含有し、高周波数領域(100MHz以上)での使用に好適であり、磁気特性を利用した用途や磁気シールドを目的とした使用に適したプリプレグを提供することであり、非磁性層や接着剤を用いることなく、銅箔との接着やパターニングあるいは多層化が可能であり、薄肉での強度改善を図ることができ、薄型化などの構造改善が可能なプリプレグを提供することである。第二に、このようなプリプレグを用いて、製造が容易で、耐熱性に優れ、高強度であり、高周波特性の向上した基板を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の本発明によって達成される。
(1) ガラスクロスに、フェライト粉とエポキシ樹脂とを溶剤に混練してスラリー化したペーストを含浸し、乾燥して得られたプリプレグであって、
フェライト粉とエポキシ樹脂とガラスクロスとの合計量に対するフェライト粉の量の重量比で示したフェライト粉の含有量が50〜80wt% であり、
エポキシ樹脂とガラスクロスとの配合比が、エポキシ樹脂/ガラスクロスの重量比で4/1〜1/1であり、
厚さ20〜60μm のガラスクロスを用い、
100MHz以上の高周波数領域で使用されるプリプレグ。
(2) フェライト粉の粒径が0.01〜50μm である上記(1)のプリプレグ。
(3) 上記(1)または(2)のプリプレグを加熱加圧し成形して得られた基板。
(4) 上記(1)または(2)のプリプレグと銅箔とを加熱加圧し成形して得られた基板。
(5) 上記(1)または(2)のプリプレグを複数枚重ねて加熱加圧し成形して得られた基板。
(6) 上記(1)または(2)のプリプレグを複数枚重ねて銅箔と加熱加圧し成形して得られた基板。
(7) 上記(1)または(2)のプリプレグと上記(3)〜(6)のいずれかの基板とを用い、加熱加圧し成形して得られた多層構成の基板。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のプリプレグは、フェライト粉とエポキシ樹脂とを溶剤に混練してスラリー化したペーストをガラスクロスに含浸し、乾燥して得られたものである。このような構成とすることによって、高周波数領域(100MHz以上、特に100MHz以上10GHz以下の領域)での使用に好適であり、フェライト粉の含有量を大きくできることから磁気特性を利用した用途や磁気シールドを目的とした使用に適したプリプレグとなり、しかも高強度である。また、このようなプリプレグを用いて基板を形成する場合、非磁性層や接着剤を用いることなく、銅箔との接着やパターニングが実現でき、かつ多層化を実現することができる。こうしたパターニングや多層化処理は、通常の基板製造工程と同じ工程でできるので、コストダウンおよび作業性の改善を図ることができる。また、このようにして得られる基板は、高強度で、高周波特性の向上したものである。また、エポキシ樹脂を用いることで、特に基板や電子部品に要求される耐熱性をもたせることが可能になり、耐リフロー性、最高350℃で3秒の半田耐熱性も満足させることができる。
【0010】
なお、特開昭58−158813号公報には、磁性と電気絶縁性を併せもつ金属酸化物を含有するプリプレグが開示されているが、実施例として具体的に示されているものはフェノール樹脂とクラフト紙との組合せであり、本発明と異なり、エポキシ樹脂とガラスクロスとの組合せについての具体的な開示はない。
【0011】
また、特開昭59−176035号公報には、電波吸収材がプリプレグ層中に濃度勾配をもって含有された繊維複合材料が開示されているが、濃度勾配をもたない本発明とは明らかに異なるものである。
【0012】
さらに、特開平2−120040号公報には、電波吸収材料を含有するプリプレグを用いた銅張積層板が開示されているが、実施例として具体的に示されているものはPZT粉を用いたものであり、本発明と異なり、フェライト粉を混合分散したプリプレグについての具体的な開示はない。
【0013】
さらに、本発明を説明する。
本発明に用いられるフェライト粉の材質はMn−Mg−Zn系、Ni−Zn系、Mn−Zn系などであり、Mn−Mg−Zn系、Ni−Zn系などが好ましい。
【0014】
フェライト粉の粒径は0.01〜50μm であることが好ましく、平均粒径は1〜20μm であることが好ましい。このような粒径とすることによって、フェライト粉の分散性が良好となり、本発明の効果が向上する。これに対し、フェライト粉の粒径が大きくなるとパターニング時にファインパターンの形成が困難になる。また、粒径をあまり小さくすることは実際上困難であり、0.01μm 程度が限度である。
【0015】
フェライト粉の粒度は均一であることが好ましく、必要に応じ、ふるい分けなどにより粒度をそろえてもよい。
【0016】
フェライト粉の透磁率μは10〜10000であることが好ましい。また、バルクの絶縁性は高い方が基板化した際の絶縁性が向上して好ましい。
【0017】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(EPN)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ECN)等のノボラック型エポキシ樹脂、多官能性グリシジルアミン樹脂などであり、なかでもフェノールノボラック型エポキシ樹脂(EPN)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ECN)、多官能性グリシジルアミン樹脂などが好ましく、特にフェノールノボラック型エポキシ樹脂(EPN)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ECN)が好ましい。
【0018】
このようなエポキシ樹脂は、常温(25℃程度の温度)で液状(半固形状も含む)または固形状であり、その分子量は、数平均分子量(Mn)で300〜10000程度である。また、液状であるものの粘度は25℃程度の温度で1000〜100000cpsであり、固形状であるものの軟化点は40〜120℃程度である。
【0019】
次に本発明に好ましく用いられるフェノールノボラック型エポキシ樹脂(EPN)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ECN)について述べる。
これらのエポキシ樹脂は、特に耐熱性の点が良好である。具体的にいえば、電子部品としては、最大250℃の温度のリフローを3回程度(前処理:吸水ありを含む)行ったり、半田ディップを260℃で10秒、あるいは350℃で3秒行ったりする必要がある。また基板としては最大250℃の温度のリフローを3回程度(前処理:吸水ありを含む)行ったり、半田ディップを260℃で120秒行ったりする必要がある。さらに、長期信頼性試験での耐熱性も125〜150℃が要求されている。これらのエポキシ樹脂はこれらの要求特性を充分満足させることができる。実際、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の分解開始変曲点は370〜400℃である。
【0020】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(EPN)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ECN)の化学構造は以下に示すとおりである。
【0021】
【化1】
Figure 0003553351
【0022】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(EPN)は常温で半固形または固形状の樹脂であり、分子量は数平均分子量(Mn)で400〜1200程度である。半固形状のものの粘度は、25〜55℃程度の温度で3000〜100000cps程度であり、固形状のものの軟化点は50〜90℃程度である。
【0023】
このようなフェノールノボラック型エポキシ樹脂(EPN)は市販されており、例えば商品名DEN431、DEN438、XD−7818、XD−7855、DER331(以上ダウケミカル社製)、などがある。
【0024】
一方、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ECN)は、固形状の樹脂であり、分子量は数平均分子量(Mn)で400〜1200程度であり、軟化点は60〜120℃程度である。
【0025】
これらのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(ECN)は市販されており、例えばECN−268、ECN−273、ECN−280、ECN−285、ECN−299(以上旭化成製)、などがある。
エポキシ樹脂は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0026】
本発明に用いられるガラスクロスは、目的・用途に応じて種々のものであってよく、市販品をそのまま用いることができる。その厚さは20〜60μm である。
【0027】
本発明におけるエポキシ樹脂とガラスクロスとフェライト粉との配合比は、エポキシ樹脂とガラスクロスとの合計量とフェライト粉との比率で示した場合、次の関係を満たす。
【0028】
(エポキシ樹脂+ガラスクロス):フェライト粉=100:100〜400
すなわち、フェライト粉の含有量は50〜80wt% である。このようなフェライト粉の含有量とすることで、本発明の効果が向上する。これに対し、フェライト粉の含有量が多くなるとスラリー化して塗工することが困難になり、プリプレグの作製が困難になる。一方、フェライト粉の含有量が少なくなると磁気特性が低下してしまう。
【0029】
また、エポキシ樹脂とガラスクロスとの配合比は、重量比で、エポキシ樹脂/ガラスクロスが4/1〜1/1である。このような配合比とすることによって本発明の効果が向上する。これに対し、この比が小さくなって、エポキシ樹脂量が少なくなると銅箔との密着力が低下し、基板の平滑性に問題が生じる。逆にこの比が大きくなって、エポキシ樹脂量が多くなると使用できるガラスクロスの選択が困難となり、薄肉での強度の確保が困難となる。

【0030】
本発明においてプリプレグを得るには、所定の配合比としたフェライト粉とエポキシ樹脂とを含み、溶剤に混練してスラリー化したペーストを含浸して、乾燥する工程に従う。この場合に用いられる溶剤はメチルエチルケトン(MEK)等の揮発性溶剤であり、ペーストの粘度を調整し塗工しやすくする目的で用いられる。混練はボールミル等により公知の方法によって行えばよい。ペーストをガラスクロスに含浸することにより、ガラスクロス中の数μm 程度の径のすきまが埋められることになる。塗膜の厚さは、プリプレグにおいて、例えば20μm 厚のガラスクロスを用いたとき40μm 程度が好ましく、ガラスクロスの厚さの1〜3倍程度の厚さであることが好ましい。このような厚さとすることによってプリプレグの平滑性および接着性が良好になる。
【0031】
本発明のプリプレグの全体厚は20μm 厚のガラスクロスを用いた場合、60〜140μm 程度であることが好ましい。
【0032】
本発明のプリプレグは、加熱加圧して成形することにより基板を形成する。この場合プリプレグは、目的とする厚さなどにより、1個のみ用いても良く、複数個を重ねて用いてもよい。成形は公知の方法によればよく、加熱加圧条件は100〜200℃の温度、10〜80kgf/cmの圧力とすればよく、このような条件下で30〜120分程度成形することが好ましい。成形は条件をかえて複数段階に分けて行うことができる。
【0033】
このようにして得られる成形材料としての基板(有機複合材料)は、透磁率および誘電率の高周波数特性に優れる。また絶縁材として耐えうる絶縁特性に優れる。さらには、後述のように銅箔付基板とした場合、銅箔との接着強度が大きい。また半田耐熱性等の耐熱性に優れる。
【0034】
本発明のプリプレグは銅箔と重ねて加熱加圧して成形することにより銅箔付基板を形成することができる。この場合の銅箔の厚さは12〜35μm 程度である。
このような銅箔付基板には、両面パターンニング基板や多層基板などがある。
【0035】
図1、図2には両面パターンニング基板形成例の工程図を示す。図1、図2に示されるように、所定厚さのプリプレグ1と所定厚さの銅(Cu)箔2とを重ねて加圧加熱して成形する(工程A)。次にスルーホールをドリリングにより形成する(工程B)。形成したスルーホールに銅(Cu)メッキを施し、メッキ膜4を形成する(工程C)。さらに両面の銅箔2にパターニングを施し、導体パターン21を形成する(工程D)。その後、図1に示されるように、外部端子等の接続のためのメッキを施す(工程E)。この場合のメッキはNiメッキ後にさらにPdメッキを施す方法、Niメッキ後にさらにAuメッキを施す方法(メッキは電解または無電解メッキ)、半田レベラーを用いる方法により行われる。
【0036】
図3、図4には多層基板形成例の工程図であり、4層積層する例が示されている。図3、図4に示されるように、所定厚さのプリプレグ1と所定厚さの銅(Cu)箔2とを重ねて加圧加熱して成形する(工程a)。次に両面の銅箔2にパターニングを施し、導体パターン21を形成する(工程b)。このようにして得られた両面パターンニング基板の両面に、さらに所定厚さのプリプレグ1と銅箔2とを重ねて、同時に加圧加熱して成形する(工程c)。次にスルーホールをドリリングにより形成する(工程d)。形成したスルーホールに銅(Cu)メッキを施し、メッキ膜4を形成する(工程e)。さらに両面の銅箔2にパターニングを施し、導体パターン21を形成する(工程f)。その後図3に示されるように、外部端子との接続のためのメッキを施す(工程g)。この場合のメッキはNiメッキ後にさらにPdメッキを施す方法、Niメッキ後にさらにAuメッキを施す方法(メッキは電解または無電解メッキ)、半田レベラーを用いる方法により行われる。
【0037】
上記の加熱加圧の成形条件は、100〜200℃の温度、10〜80kgf/cmの圧力で、30〜120分とすることが好ましい。
【0038】
本発明では、前記例に限らず、種々の基板を形成することができる。例えば、成形材料としての基板や、銅箔付基板とプリプレグとを用い、プリプレグを接着層として多層化することも可能である。また、プリプレグや成形材料としての基板と銅箔とを接着する態様において、前述のフェライト粉とエポキシ樹脂とブチルカルビトールアセテート等の高沸点溶剤とを混練して得られたフェライトペーストをパターニングした基板の上にスクリーン印刷等にて形成してもよく、これにより特性の向上を図ることができる。こうしたフェライトペースト中のフェライト粉含有量は50〜80wt% 、エポキシ樹脂45〜10wt% 、溶剤5〜10wt% であることが好ましい。また塗膜の厚さは成形後の基板において30〜150μm であることが好ましい。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
平均粒径3μm のMn−Mg−Zn系フェライト(μ320)粉550重量部を、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を100重量部含有するMEK液(ワニス)に加え、ボールミルで混練してスラリー状のペーストを得た。
【0040】
このペーストを20μm 厚のガラスクロスに含浸し、110℃で60分乾燥してプリプレグを得た。これをプリプレグNo.11とする。このようなプリプレグNo.11におけるペーストの塗膜の厚さは、乾燥厚で40μm である。また、フェライト粉とガラスクロスとエポキシ樹脂との配合比は66wt% 、12wt% 、22wt% である。
【0041】
プリプレグNo.11を温度110℃、圧力10kgf/cm、時間30分の条件で1次成形を行い、さらに温度180℃、圧力40kgf/cm、時間30分の条件で2次成形を行った。これを成形材料No.11とする。
【0042】
成形材料No.11において、フェライトをMn−Zn系フェライト(μ1800)にかえるほかは同様にしてプリプレグNo.12を得、これにより成形材料No.2を得た。
【0043】
このような成形材料No.11、12に対して物性ないし特性を調べた。結果を表1に示す。このなかで、半田耐熱性、銅箔ピール強度は以下のようにして評価した。
【0044】
半田耐熱性
JIS C 5012[プリント配線板試験方法]10.4.1はんだフロート法に準拠して評価した。ただしディップ時間は3分とした。260℃で評価した(260℃×3分)。
【0045】
銅箔ピール強度
JIS C 5012[プリント配線板試験方法]8.1導体の引き剥がし強さに準拠して評価した。
【0046】
【表1】
Figure 0003553351
【0047】
表1より、本発明のプリプレグを用いた成形材料は基板材料とするのに適することがわかる。なお、Mn−Mg−Zn系の方がMn−Zn系に比べ絶縁性が高いので、より好ましい材料である。
【0048】
実施例2
実施例1と同様にして、フェライトとして、Mn−Mg−Zn系フェライト(μ320)、Ni−Zn系フェライト(μ100)を各々用いたプリプレグを得、これらから成形材料を得た。これらを成形材料No.21〜23とし、これらに対応するプリプレグをプリプレグNo.21〜23とする。ただし、成形材料No.21〜23における配合比は以下のとおりである。
【0049】
成形材料No.21: Mn−Mg−Zn系フェライト粉66wt%
ガラスクロス 12wt%
エポキシ樹脂 22wt%
成形材料No.22: Ni−Zn系フェライト粉66wt%
ガラスクロス 12wt%
エポキシ樹脂 22wt%
成形材料No.23: Ni−Zn系フェライト粉80wt%
ガラスクロス 10wt%
エポキシ樹脂 10wt%
【0050】
これらの成形材料No.21〜23について、複素比透磁率μ’、μ”の周波数特性および複素誘電率ε’r、ε”rの周波数特性を調べた。
結果を図5〜8に示す。
図5、6から、μ’、μ”の高周波特性が優れることがわかる。すなわち、数百MHzでもμ’が残存しており、μ”が最大値をとる周波数が1〜2GHzである。また、図7、8からε’r、ε”rの高周波特性が優れることがわかる。すなわち、ε’r、ε”rは測定周波数域でフラットである。
【0051】
実施例3
実施例1で作製したMn−Mg−Zn系フェライト粉を含有するプリプレグNo.11を用い、両面にCu箔を重ね加圧加熱して成形した。このときの成形条件は、1次成形を温度110℃、圧力10kgf/cmで30分とし、2次成形を温度180℃、圧力40kgf/cmで30分とした。次に、スルーホールドリリングを行い、Cuによるスルーホールメッキを施し、さらに両面にパターニングを行って、図9および図10に示されるようなスパイラルコイルのパターンを形成した。図9は基板の表側のパターン図であり、図10は裏側のパターン図である。図中の数値は寸法(mm)を表す。さらに、Niメッキを2μm 厚に施し、さらにAuフラッシュメッキを行って素子を完成させた。この場合のCu厚みは30μm であり、基板の全体厚は0.5mmであった。これを基板素子No.31とする。
【0052】
上記で作製した素子No.31を用い、この両面にMn−Mg−Zn系フェライト粉(μ320、平均粒径3μm )を80wt% 含有するフェライトペーストをスクリーン印刷し、180℃、30分で熱硬化した。
【0053】
フェライトペーストはMn−Mg−Zn系フェライト粉(μ320、平均粒径3μm )、エポキシ樹脂10wt% 、ブチルカルビトールアセテート10wt% を含有し、これを混練して得られたものである。
【0054】
この塗膜の厚みは完成後の基板素子において100μm であり、素子の全体厚みは0.70mmであった。これを基板素子No.32とする。
【0055】
さらに、フェライトを含有しない、通常使用されるガラスエポキシ基板(FR−4,両面銅箔付き)を用い、ドリリングの工程以降は基板素子No.31と同様の工程で基板素子を完成させた。素子厚みは0.5mmであった。
これを基板素子No.33とする。
【0056】
これらの基板素子No.31〜33について、インダクタンス(L)、インピーダンス(Z)の周波数特性を調べた。結果を図11、12に示す。またインピーダンス(Z)の実数部であるレジスタンス(R)と虚数部であるリアクタンス(X)の周波数特性を図13、14に示す。
【0057】
図11より、通常のフェライト無基板である素子No.33に比べ、10MHzの領域で、フェライト基板である素子No.31が1.6倍程度、フェライト基板+フェライトレジストの素子No.32が2.6倍程度インダクタンス値が向上することがわかる。また、図12〜14より、インダクタンス値と同様の傾向でインピーダンス値が増加することがわかる。磁性材料にて構成されることによる閉磁路構造化によるものである。
【0058】
また、1GHz以上の領域まで、インダクタンス分が残存しているが、これは先に述べた透磁率、誘電率の周波数特性が優れているためである。
【0059】
また、レジスタンス成分(R)が100MHz以上で急に立ち上がっているが、これはμ”の周波数特性に依存するものである。
【0060】
また、この基板素子No.31、32はチップ部品に要求される最高350℃で3秒の半田耐熱性をクリアしている。
【0061】
このようなことから、通常のフェライト無基板と比較すると、本発明の基板においては、閉磁路効果、材料の優れた高周波特性により、高い周波数までインダクタンス、インピーダンスの向上が得られ、さらにレジスタンス成分の高周波領域での出現という材料の優れた高周波磁気損失特性を利用した高周波用チップ部品、基板として使用できることがわかった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、100MHz以上の高周波数領域での使用に好適であり、かつ磁気特性を利用した用途に適したプリプレグが得られる。また、非磁性層や接着剤を用いることなく、銅箔との接着やパターニングあるいは多層化が可能である。また薄肉での強度改善を図ることができる。また、このようなプリプレグを用いて、耐熱性に優れ、高強度で、高周波特性の向上した基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の両面パターン基板の形成例を示す工程図である。
【図2】本発明の両面パターン基板の形成例を示す工程図である。
【図3】本発明の多層基板の形成例を示す工程図である。
【図4】本発明の多層基板の形成例を示す工程図である。
【図5】本発明の基板(成形材料)のμ’の周波数特性を示すグラフである。
【図6】本発明の基板(成形材料)のμ”の周波数特性を示すグラフである。
【図7】本発明の基板(成形材料)のε’rの周波数特性を示すグラフである。
【図8】本発明の基板(成形材料)のε”rの周波数特性を示すグラフである。
【図9】本発明の基板素子の表側の導体パターンを示す概略図である。
【図10】本発明の基板素子の裏側の導体パターンを示す概略図である。
【図11】基板素子のインダクタンスの周波数特性を示すグラフである。
【図12】基板素子のインピーダンスの周波数特性を示すグラフである。
【図13】基板素子のインピーダンスの実数部の周波数特性を示すグラフである。
【図14】基板素子のインピーダンスの虚数部の周波数特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 プリプレグ
2 Cu箔
3 スルーホール
4 Cuメッキ膜
21 導体パターン

Claims (7)

  1. ガラスクロスに、フェライト粉とエポキシ樹脂とを溶剤に混練してスラリー化したペーストを含浸し、乾燥して得られたプリプレグであって、
    フェライト粉とエポキシ樹脂とガラスクロスとの合計量に対するフェライト粉の量の重量比で示したフェライト粉の含有量が50〜80wt% であり、
    エポキシ樹脂とガラスクロスとの配合比が、エポキシ樹脂/ガラスクロスの重量比で4/1〜1/1であり、
    厚さ20〜60μm のガラスクロスを用い、
    100MHz以上の高周波数領域で使用されるプリプレグ。
  2. フェライト粉の粒径が0.01〜50μm である請求項1のプリプレグ。
  3. 請求項1または2のプリプレグを加熱加圧し成形して得られた基板。
  4. 請求項1または2のプリプレグと銅箔とを加熱加圧し成形して得られた基板。
  5. 請求項1または2のプリプレグを複数枚重ねて加熱加圧し成形して得られた基板。
  6. 請求項1または2のプリプレグを複数枚重ねて銅箔と加熱加圧し成形して得られた基板。
  7. 請求項1または2のプリプレグと請求項3〜6のいずれかの基板とを用い、加熱加圧し成形して得られた多層構成の基板。
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