JP2675810B2 - 電気積層板の製造方法 - Google Patents

電気積層板の製造方法

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JP2675810B2 JP63094016A JP9401688A JP2675810B2 JP 2675810 B2 JP2675810 B2 JP 2675810B2 JP 63094016 A JP63094016 A JP 63094016A JP 9401688 A JP9401688 A JP 9401688A JP 2675810 B2 JP2675810 B2 JP 2675810B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、金属板を基板として用いた多層の電気積層
板の製造方法に関するものである。
【従来の技術】 金属板を基板とする電気積層板においては、スルーホ
ールを形成するために孔明きの金属板が基板として用い
られる。すなわち、金属板にスルーホールを形成すべき
箇所においてスルーホールの径よりも大きな通孔を設け
ておき、複数枚の金属板をプリプレグを介して重ねて加
熱加圧成形をおこなうことによって、プリプレグに含浸
した樹脂を硬化させて各金属板を積層接着すると共にプ
リプレグに含浸した樹脂を金属板の各通孔に流入充填さ
せて硬化させる。このとき各金属板の間には片面プリン
ト配線板や両面プリント配線板、多層プリント配線板な
どの回路を形成した回路板がプリプレグを介して重ねて
あり、各回路板を金属板間に積層接着するようにしてあ
る。 そして金属板の通孔に充填させた樹脂の部分において
スルーホールを穿孔加工することによって、通孔内の樹
脂で金属板との間の絶縁性が確保されたスルーホールを
形成することができるのである。さらにスルーホールの
内周にはメッキを施してスルーホールメッキ層が形成さ
れる。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようにプリプレグに含浸した樹脂で金
属板を積層すると共に金属板の通孔に樹脂を充填させる
ことによって作成される電気積層板にあって、樹脂と金
属板とは熱膨張率に差があるために加熱応力によって樹
脂に第3図に示すようにクラック7が発生するおそれが
ある。第3図において1は通孔、2は金属板、4は通孔
内の樹脂、5はスルーホール、6はスルーホールメッキ
層、9は金属箔である。特に通孔1の部分は樹脂の厚み
が大きいために脆くなっており、通孔1の部分で樹脂に
クラック7が発生し易いものであり、ポリイミドのよう
に脆い樹脂の場合はこの傾向が高いものである。 本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、樹脂
にクラックが発生することを低減することができる電気
積層板の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、通孔1を設けた
複数枚の金属板2をプリプレグ3を介して重ね、これを
加熱加圧成形してプリプレグ3に含浸した樹脂を硬化さ
せて各金属板2を積層接着すると共にプリプレグ3に含
浸した樹脂を金属板2の各通孔1に流入充填させて硬化
させ、通孔1内の樹脂4の部分においてスルーホール5
を穿孔加工するにあたって、プリプレグ3に含浸する樹
脂としてその硬化物のガラス転移点での粘弾性スペクト
ロのtanδが0.1以上のものを用いるようにしたことを特
徴とするものである。 以下本発明を詳細に説明する。プリプレグ3はガラス
ペーパー(ガラス不織布)やガラスクロス(ガラス織
布)などの基材に熱硬化性樹脂を含浸して乾燥すること
によって調製されるものであるが、ガラスペーパーはガ
ラスクロスに比べて組織が疎であって、含浸される樹脂
を浸透させて十分な量で保有することができるために、
ガラスペーパーを基材としてプリプレグ3を調製するよ
うにするのがよい。ここで本発明においては、プリプレ
グ3を調製する樹脂として硬化物のガラス転移点付近で
の粘弾性スペクトロのtanδが0.1以上のものを用いるも
のである。高分子体は弾性(E′)と粘性(E″)の両
方の性質を兼ね備えており、粘弾性スペクトロはこの弾
性と粘性を同時に測定するもので、そのtanδはE′/
E″で表される数値、つまり粘性と弾性の比率を表す数
値である。また加熱しながら粘弾性を測定すると、tan
δはある温度でピークに達する。これがガラ転移点(T
g)である。そして、ガラス転移点付近での粘弾性スペ
クトロのtanδが0.1以上である樹脂は、可撓性が良好で
あって後述するようにクラックが発生することを防止す
ることができるものである。このような樹脂としては主
としてエポキシ樹脂やエポキシ変性したポリイミド樹脂
などが使用される。またこの樹脂には無機質の充填剤を
配合して用いるのが好ましい。 しかして上記のような樹脂を含浸して調製したプリプ
レグ3を用い、金属板2を基板とする電気積層板を製造
するにあたっては、まず、銅板など金属板2にスルーホ
ール5を形成する箇所においてパンチ加工やドリル加工
などで通孔1を形成する。通孔1はスルーホール5の直
径よりも大きな直径で形成されるものである。そして第
1図(a)のようにプリプレグ3を介して金属板2を数
枚重ね、さらに上下にプリプレグ3を介して銅箔など金
属箔9を重ねる。このときさらに各金属板2の間には片
面プリント配線板や両面プリント配線板、多層プリント
配線板などの回路を形成した回路板10がプリプレグ3を
介して重ねてある。もちろん総ての金属板2間に回路板
10を配置するような必要はなく、一部の金属板2同士は
プリプレグ3を介して直接重ねられるようにしてもよ
い。そしてこれを加熱加圧成形することによって、プリ
プレグ3に含浸した樹脂を硬化させて各金属板2と回路
板10とを交互に積層接着させると共に最外層に金属箔9
を積層接着させ、さらにプリプレグ3に含浸した樹脂の
一部を金属板2の各通孔1内に流入させて第1図(b)
のようにこの樹脂4を通孔1内に充填させる。このよう
にして金属板2の通孔1に樹脂4を充填させた状態で各
金属板2を積層すると共に上下にそれぞれ金属箔9を積
層したのちに、ドリル加工やパンチ加工などで第1図
(c)のようにスルーホール5を穿孔加工する。スルー
ホール5は通孔1に充填した樹脂4の部分において通孔
1の直径よりも小さい直径で形成されるものであり、従
ってスルーホール5の内周と金属板2との間の電気絶縁
性は樹脂4によって確保されることになる。尚、上記実
施例では一部の金属板2にスルーホール5を貫通させて
アースなどをとることができるようにしてある。 上記のようにスルーホール5を加工したのちに、スル
ーホール5の内周に銅などのスルーホールメッキを施し
てスルーホールメッキ層を形成し、また金属箔9をエッ
チング処理して回路を形成したりなどすることによっ
て、金属板2を基板とし回路板10に形成された内層回路
と金属箔9の加工で形成される外層回路がそれぞれ設け
られた電気積層板に仕上げるのである。このように形成
される電気積層板にあって、プリプレグ3に含浸した樹
脂中に充填剤を配合しておくことによって、金属板2の
通孔1に充填される樹脂4中にも充填剤が含有されるよ
うにし、樹脂4の部分においてスルーホール5を穿孔加
工するとスルーホール5の内周に充填剤が露出して凹凸
面が形成されるようにしてアンカー効果でスルーホール
メッキ層の密着性を高めることができる。そして上記し
たように金属板2の通孔1に充填されている樹脂4は可
撓性が高いために、樹脂4と金属板2との間の熱膨張率
の差による加熱応力が樹脂4に作用しても緩和され、樹
脂4にクラックが発生することを低減できるものであ
る。
【実施例】
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。 実施例1 硬化剤としてジシアンジアミドを含有するエポキシ樹
脂ワニス(FR-4)に充填剤として中心粒径(粒径分布の
中央値)が10μのAl2O3・3H2粉粒体を50PHRの配合量で
配合した。このエポキシ樹脂はその硬化物のガラス転移
点付近での粘弾性スペクトロのtanδが第2図に示すよ
うに1であった。 次にこのエポキシ樹脂ワニスに基材としてガラスペー
パー(日本バイリーン製EP-4075:75g/m2)を浸漬し、次
いで乾燥することによって、780g/m2のプリプレグを作
成した。ここで乾燥の条件はプリプレグ中の樹脂の130
℃での溶融粘度が300〜700ポイズに、170℃、20kg/c
m2、10分間の条件でのグリニス(樹脂流れ性)が20〜25
%になるように設定した。 一方、金属板として500mm×400mm×0.5mmの銅板を用
い、直径が1.5mmの通孔を1.8mmピッチで縦100×横60の
個数設けた。そしてこの金属板を3枚、両面銅張ポリイ
ミド樹脂積層板の銅箔をエッチング加工して回路を設け
ることによって形成した両面プリント配線板を回路板と
して2枚用い、これらを第1図(a)のように上記プリ
プレグを介して交互に重ねると共に上下にプリプレグを
介して銅箔を重ね、20kg/cm2の加圧条件を維持しつつ14
0℃で20分間、170℃で90分間加熱すると共に20分間を要
して冷却して積層成形をおこなうことによって、金属板
と回路板とを交互に積層し表面に銅箔を張った多層積層
板を得た。 こののちに金属板の通孔の部分において多層積層板に
直径が0.9mmのスルーホールをドリル加工し、そしてさ
らに銅メッキをおこなってスルーホールの内周にスルー
ホールメッキを施した。 実施例2 末端官能型イミド樹脂(住友化学社製TMS-20)200重
量部、液状エポキシ樹脂149重量部、ブロム化ノボラッ
ク樹脂136重量部、ルイス酸化合物82重量部、不飽和ビ
スマレイミド20重量部を混合し、90℃で50分間加熱した
のちに常温にまで冷却して30分間攪拌下反応させること
によってエポキシ変性ポリイミド樹脂ワニスを調製し
た。このエポキシ変性ポリイミド樹脂はその硬化物のガ
ラス転移点付近での粘弾性スペクトロのtanδが第2図
に示すように0.1であった。そしてこのエポキシ変性ポ
リイミド樹脂ワニスを用いてプリプレグを作成し、あと
は実施例1と同様にした。 比較例 ポリイミド樹脂ワニス(ローヌプーラン社製ケルイミ
ド601)を用いてプリプレグを作成するようにした他は
実施例1と同様にした。このポリイミド樹脂はその硬化
物のガラス転移点付近での粘弾性スペクトロのtanδが
第2図に示すように0.05であった。 上記実施例1〜2及び比較例で得た多層積層板につい
て260℃、60秒間の加熱処理した後の金属板の通孔内で
の樹脂部分のクラックの発生状態を測定した。結果を第
1表に示す。 第1表の結果にみられるように、tanδが0.1以上の樹
脂を用いた実施例1,2のものでは、樹脂の可撓性によっ
て応力緩和がなされて加熱後にクラックが発生すること
を防止できることが確認される。
【発明の効果】
上述のように本発明にあっては、プリプレグに含浸す
る樹脂としてその硬化物のガラス転移点での粘弾性スペ
クトロのtanδが0.1以上のものを用いるようにしたの
で、金属板の通孔に充填される樹脂は可撓性が高く、樹
脂と金属板との間の熱膨張率の差による加熱応力が樹脂
に作用しても緩和され、樹脂が破壊されてクラックが発
生することを低減できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)(b)(c)は電気積層板の製造の各工程
を示す断面図、第2図は粘弾性スペクトロのtanδを示
すグラフ、第3図は従来例の一部の拡大断面図である。 1は通孔、2は金属板、3はプリプレグ、4は通孔内の
樹脂、5はスルーホールである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00 31:34

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】通孔を設けた複数枚の金属板をプリプレグ
    を介して重ね、これを加熱加圧成形してプリプレグに含
    浸した樹脂を硬化させて各金属板を積層接着すると共に
    プリプレグに含浸した樹脂を金属板の各通孔に流入充填
    させて硬化させ、通孔内の樹脂の部分においてスルーホ
    ールを穿孔加工するにあたって、プリプレグに含浸する
    樹脂としてその硬化物のガラス転移点での粘弾性スペク
    トロのtanδが0.1以上のものを用いるようにしたことを
    特徴とする電気積層板の製造方法。
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