JP7195372B2 - エポキシ樹脂含有ワニス、エポキシ樹脂組成物含有ワニス、プリプレグ、樹脂シート、プリント配線板、半導体装置 - Google Patents
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Description
特に近年、機械どうしの通信はもちろん、人と人との通信量が格段に増えていく中、情報量は膨大に肥大化していくことが想定される。
現在、スマートフォンやWifi等の通信の周波数が大きくなってきており、スマートフォンでは周波数700MHz~3.4GHz、wifi等であれば2~5GHz、等と通信の周波数帯が使用されてきており、幅広い周波数帯での誘電特性、特に誘電正接が重要になってきている。
また情報通信量が非常に多くなり、以下に早く多くの情報を伝えるかということが重要となってきており、高速通信化が基板にたいして重要なファクターとなる。
またスマートフォン等は年々薄型化、さらには電池の体積をとるために、小型化が大きく進んでいる。さらに年々機能を飛躍的に向上させる必要がる。このような環境の中、使用される基板の厚みは薄型化、多層化する必要があり、基板の耐熱性、剛性が製造における工程耐性として必要となってくることは明白である。
誘電特性の良いエポキシとしてビフェニレンアラルキルタイプのエポキシ樹脂が挙げられる。当該エポキシ樹脂は、非常に電気特性は良いものの、基板とする場合に溶剤への溶解性が悪く、溶解させても結晶が析出しやすいという傾向があるばかりか、耐熱性の改良が難しい(特許文献特開2012-229436号公報)。
一方、耐熱性の高いエポキシ樹脂は一般に架橋密度の高いエポキシ樹脂となる。
架橋密度の高いエポキシ樹脂は、その架橋密度が高いことが起因して、誘電特性が非常に悪くなりやすい。また、もろく、熱分解特性がわるくなる。架橋密度を下げるとこれらの特性は改善されるが、耐熱性が低くなり、ガラス転移点(Tg)が低下する。というトレードオフの関係にある。
すなわち本発明は
(1)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と有機溶剤からなるエポキシ樹脂含有ワニス、
(2)前項(1)に記載のエポキシ樹脂含有ワニスを用いたエポキシ樹脂組成物含有ワニス、
(3)前項(1)に記載のエポキシ樹脂含有ワニス又は前項(2)に記載のエポキシ樹脂組成物含有ワニスを用いてなるプリプレグ、
(4)前項(1)に記載のエポキシ樹脂含有ワニス又は前項(2)に記載のエポキシ樹脂組成物含有ワニスを用いてなる樹脂シート、
(5)前項(3)に記載のプリプレグおよび/または前項(4)に記載の樹脂シートを成形してなる積層板、
(6)前項(3)に記載のプリプレグおよび/または前項(4)に記載の樹脂シートを硬化してなるプリント配線基板、
(7)前項(5)に記載の積層板からなるプリント配線基板、
(8)前項(6)又は(7)のいずれか一項に記載のプリント配線板からなる半導体装置、
を、提供するものである。
本発明に使用するエポキシ樹脂は下記式(1)
ハロゲン系の溶剤の使用は環境問題から好ましくなく、ジエチルエーテル等はその危険性の高さから好ましくない。
なお、本発明のエポキシ樹脂含有ワニスは上述のエポキシ樹脂、溶剤以外に、後述するカップリング剤やゴム成分、ポリマー成分を添加しても均一の溶液となっている分(0℃~50℃のいずれかの温度において1cm角の石英セルにおいて測定した際のヘイズが200以下となる)には構わない。
分割で溶解する時間は30~10時間である。溶解の温度は樹脂の軟化点に対し、20℃以上下の温度か、もしくは樹脂の軟化点以上の温度で行うことが好ましい。樹脂の軟化点~軟化点-20℃の温度領域(具体的に位は軟化点80℃であれば80~60℃)では樹脂同士がブロッキングし、釜の破損、さらにはこれにより、釜内から金属がガラス片が異物として混入する可能性があり好ましくない。
濾過にかかる温度は10~100℃であり、特に好ましくは20~90℃である。
加温することで流動性が上がり濾過しやすくなるが、100℃を超えると溶剤の沸点にもよるが濾過液からの臭気が強くなり、人的な被害の可能性があり好ましくない。また10℃を切ると流動性の問題から濾過性が悪くなりやすいばかりか、生産に時間がかかり好ましくない。
このようにして得られる本発明のワニスは5℃で2か月以上、0℃で1か月以上結晶の析出、もしくは樹脂の析出が見られない。
本発明のエポキシ樹脂組成物含有ワニスにおいて他に添加する物質としては、特殊樹脂、併用する他のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、カップリング剤、無機充填剤であり、少なくともこれらから2種以上(すなわちエポキシ樹脂含有ワニスと合わせて3種以上)を含有する。
これら樹脂の使用量は、樹脂全体の10~90重量%であり、特に好ましくは20~80重量%となる。
本発明において用いられるエポキシ樹脂組成物において、無機充填剤の使用量は内割りで通常10重量%~95重量%、好ましくは10重量%~80重量%、より好ましくは10重量%~75重量%の範囲である。少なすぎると難燃性の効果が得られない、また弾性率が下がってしまう、また、多すぎると封止する溶液に溶かしたワニスとした際にフィラーが沈降してしまい、均質な成型体が得られない可能性がある。
なお、無機充填剤の形状、粒径等も特に限定されないが、通常、粒径0.01~50μm、好ましくは0.1~20μmのものである。
本発明のプリプレグは上記樹脂組成物含有ワニスを繊維基材に含浸してなるものである。これにより、耐熱性、低膨張性および難燃性に優れたプリプレグを得ることができる。
前記繊維基材としては、例えばガラス織布、ガラス不繊布、ガラスペーパー等のガラス繊維基材、紙、アラミド、ポリエステル、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂等の合成繊維等からなる織布や不織布、金属繊維、カーボン繊維、鉱物繊維等からなる織布、不織布、マット類等が挙げられる。これらの基材は単独又は混合して使用してもよい。これらの中でもガラス繊維基材が好ましい。これにより、プリプレグの剛性、寸法安定性を向上することができる。
ガラス繊維基材としては、Tガラス、Sガラス、Eガラス、NEガラス、および石英ガラスからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むものが好ましい。
例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物をそのままで、又は溶媒に溶解若しくは分散させたワニスの形態で、ガラス布等の基材に含浸させた後、乾燥炉中等で通常、80~200℃(ただし、溶媒を使用した場合は溶媒の揮発可能な温度以上とする)、好ましくは150~200℃の温度で、1~30分間、好ましくは1~15分間乾燥させることによってプリプレグが得られる。
また後述する樹脂シートをガラスクロスに押し付け、転写し、プリプレグを得るという手法も適用可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物含有ワニスを用いた樹脂シートは上記ワニスをそれ自体公知のグラビアコート法、スクリーン印刷、メタルマスク法、スピンコート法などの各種塗工方法により平面状支持体に乾燥後の厚さが所定の厚さ、たとえば5~100μmになるように塗布後、乾燥して得られるが、どの塗工方法を用いるかは支持体の種類、形状、大きさ、塗工の膜厚、支持体の耐熱性等により適宜選択される。平面支持体としては、たとえばポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等の各種高分子、および/またはその共重合体から作られるフィルム、あるいは銅箔等の金属箔等が挙げられる。
塗布後、乾燥し、シート状の組成物を得ることができる(本発明のシート)が、本シートをさらに加熱することでシート状の硬化物とすることもできる。また一度の加熱で溶剤乾燥と硬化工程を兼ねてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は上記支持体の両面もしくは片面に上記方法で塗工、加熱することにより、該支持体の両面または片面に本発明の硬化物の層を形成することができる。また硬化前に被着体を貼り合わせ、硬化させることで積層体を作成することも可能である。
また本発明の樹脂シートは支持体から剥がすことで接着シートとして使用することもでき、被着体に接触させ、必要に応じて圧力と熱をかけ、硬化とともに接着させるということもできる。
本発明で用いられる積層板は、上記のプリプレグおよび/または樹脂シートを加熱加圧成形してなるものである。これにより、耐熱性、低膨張性および難燃性に優れたプリント配線板を得ることができる。プリプレグおよび/または樹脂シート1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグおよび/または樹脂シートを2枚以上積層することもできる。プリプレグおよび/または樹脂シート2枚以上積層するときは、積層したプリプレグおよび/または樹脂シートの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムおよび/または樹脂シートを重ねる。次に、プリプレグおよび/または樹脂シートと金属箔とを重ねたものを加熱加圧成形することでプリント配線板を得ることができる。前記加熱する温度は、特に限定されないが、120~220℃が好ましく、特に150~200℃が好ましい。前記加圧する圧力は、特に限定されないが、1.5~5MPaが好ましく、特に2~4MPaが好ましい。また、必要に応じて高温漕等で150~300℃の温度で後硬化を行ってもかまわない。
プリント配線板は、前記積層板を内層回路板として用いる。積層板の片面又は両面に回路形成する。場合によっては、ドリル加工、レーザー加工によりスルーホールを形成し、めっき等で両面の電気的接続をとることもできる。
具体的には、上記樹脂シートの絶縁層側と内層回路板とを合わせて、真空加圧式ラミネーター装置などを用いて真空加熱加圧成形させ、その後、熱風乾燥装置等で絶縁層を加熱硬化させることにより得ることができる。
ここで加熱加圧成形する条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度60~160℃、圧力0.2~3MPaで実施することができる。また、加熱硬化させる条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度140~240℃、時間30~120分間で実施することができる。
あるいは、前記本発明のプリプレグを内層回路板に重ね合わせ、これを平板プレス装置などを用いて加熱加圧成形することにより得ることができる。ここで加熱加圧成形する条件としては特に限定されないが、一例を挙げると、温度140~240℃、圧力1~4MPaで実施することができる。このような平板プレス装置等による加熱加圧成形では、加熱加圧成形と同時に絶縁層の加熱硬化が行われる。
なお、前記多層プリント配線基板を得る際に用いられる内層回路板は、例えば、銅張積層板の両面に、エッチング等により所定の導体回路を形成し、導体回路部分を黒化処理したものを好適に用いることができる。
尚、金属箔を有する樹脂シート、またはプリプレグを用いた場合は、金属箔を剥離することなく、導体回路として用いるためにエッチングにより回路形成を行ってもよい。その場合、厚い銅箔を使用した基材付き絶縁樹脂シートを使うと、その後の回路パターン形成においてファインピッチ化が困難になるため、1~5μmの極薄銅箔を使うか、または12~18μmの銅箔をエッチングにより1~5μmに薄くするハーフエッチングする場合もある。
前記で得られた多層プリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンプを介して、前記多層プリント配線板との接続を図る。そして、多層プリント配線板と半導体素子との間には液状封止樹脂を充填し、半導体装置を形成する。半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマスなどからなる合金で構成されることが好ましい。
半導体素子と多層プリント配線板との接続方法は、フリップチップボンダーなどを用いて基板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプとの位置合わせを行ったあと、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、多層プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。尚、接続信頼性を良くするため、予め多層プリント配線板上の接続用電極部に半田ペースト等、比較的融点の低い金属の層を形成しておいても良い。この接合工程に先んじて、半田バンプおよび、または多層プリント配線板上の接続用電極部の表層にフラックスを塗布することで接続信頼性を向上させることもできる。
ここで、各物性値の測定条件は下記の通りである。
・エポキシ当量
JIS K-7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・軟化点
JIS K-7234に準拠した方法で測定し、単位は℃である。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらWO2007/007827に準拠して製造した下記式で表されるフェノール樹脂((a)/(b)=1.3 n=0.5 水酸基当量134g/eq. 軟化点93℃)134部、エピクロロヒドリン450部、メタノール54部を加え、撹拌下で溶解し、70℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム42.5部を90分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間反応を行った。反応終了後,水洗し、塩を除いた後、得られた有機層をロータリーエバポレーターを用いて減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤類を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン500部を加え溶解し、撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液17部を加え、1時間反応を行った後、油層の洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のエポキシ樹脂(EP1)195部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は211g/eq.軟化点71℃、150℃における溶融粘度(ICI溶融粘度 コーン#1)は0.34Pa・sであった。
合成例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)、比較用のエポキシ樹脂((NC-3000 日本化薬製))について、樹脂濃度が60重量%になるように溶剤としてメチルエチルケトンに溶解させエポキシ樹脂ワニスを得た。
得られた本発明のエポキシ樹脂含有ワニスは含有するエポキシ樹脂の分子量がほぼ同等にもかかわらず、5℃で2か月以上、0℃で1か月以上結晶の析出、もしくは樹脂の析出が見られなかった。一方、比較用のエポキシ樹脂含有ワニスは2週間目の段階で結晶の析出が確認できた。
エポキシ樹脂組成物含有ワニスとして合成例1で得られた(EP1)を21部、硬化剤(日本化薬製 ビフェニルアラルキル樹脂 KAYAHARD GPH-65)20部、硬化促進剤0.2部、メチルエチルケトン40部を加え、均一に溶解したものを用意し、を調整した。得られたワニスを、ポリイミド(ユーピレックス)に100ミクロンのアプリケータを用いて塗布後、120℃10分、窒素ガスを流しながら熱風乾燥器で乾燥をおこない、本発明の樹脂シートを得た。得られた樹脂シートのDSCを測定すると82℃から発熱ピークがあり、硬化可能なシートであることを確認した。
合成例1で得られたエポキシ樹脂(EP1)を、エポキシ当量1モル当量に対し、硬化剤を等当量で配合し、触媒をエポキシ樹脂100重量部に対し、1重量部となる割合で配合し、これをメチルエチルケトンで樹脂濃度80%に調整し、エポキシ樹脂組成物含有ワニスとして表1に示す組成にて調整した。それぞれ得られたワニスを、ポリイミド(ユーピレックス)に100ミクロンのアプリケータを用いて塗布後、120℃10分、窒素ガスを流しながら熱風乾燥器で乾燥をおこない、本発明の樹脂シートを得た。
実施例3において、エポキシ樹脂(EP1)を表1に示す他のエポキシ樹脂に変えた以外は、同様の配合・方法にてそれぞれ比較用樹脂シートを得た。
実施例3で得られた樹脂シートを10枚ポリイミドより剥がし、熱板プレス上に設置した、その後10kg/cm2、温度180℃で10分の加熱加圧形成を行い、積層板を作製した。作製した積層板について、下記の項目及び方法でその特性の測定を行った。測定結果を表1に示す。
・弾性率(DMA)
動的粘弾性測定器:TA-instRuments、DMA-2980
測定温度範囲:-30~280℃
温速度:2℃/分
試験片サイズ:5mm×50mmに切り出した物を使用した
Tg:DMA測定に於けるTan-δのピーク点をTgとした。
・ガラス転移温度(Tg)
熱機械測定装置(TMA):熱機械測定装置TA-instRuments製 TMA Q400EM製
昇温速度:2℃/分
・誘電率、誘電正接
空洞共振器を使用し、関東電子応用化学製 1GHz用の治具を用いて測定(0.5mmx70mmに切り出したものを使用)
すなわち、本発明のエポキシ樹脂含有ワニスを用いる樹脂組成物は耐熱性に対して誘電正接が低い傾向があり、高度な耐熱性と誘電特性を両立することがわかる。
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