JP3552907B2 - 作業車の走行変速構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンから走行装置への動力を変速する走行用の無段変速装置と、エンジンから走行装置への伝動を断続自在な動力入切手段と、前記走行装置に制動を与える制動装置と、前記動力入切手段が伝動切り状態で且つ前記制動装置が作用状態となる車体停止状態と前記動力入切手段が伝動入り状態で且つ前記制動装置が非作用状態となる走行状態とに人為操作により切換自在な切換操作手段と、前記無段変速装置の変速部に機械的に連動連結されて人為的に正逆に操作される変速操作具の増速方向及び減速方向の操作に対してアシスト力を与えるアシスト手段と、前記変速操作具の変速操作位置を判別する位置判別手段と、前記変速操作具が人為的に操作されていること、及び、その操作方向を検出する操作状態検出手段と、この操作状態検出手段の検出情報に基づいて前記変速操作具の操作方向にアシスト力が与えられるように前記アシスト手段を作動させる制御手段とが設けられている作業車の走行変速構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記作業車の走行変速構造において、従来では、例えば特開平9‐303553号公報に示されるように、変速操作具(変速レバー26)の正逆方向夫々の操作を操作状態検出手段としての一対の感圧センサ27,28にて検出して、その検出情報に基づいて電動モータ23により操作のアシスト力を与えて変速操作を軽く行えるように構成するとともに、走行ブレーキが操作されたことを検出するセイフティスイッチWが設けられ、このセイフティスイッチWがONすると、操作状態検出手段の検出結果にかかわらず、前記変速操作具26が減速方向にゆっくりと移動するようにアシスト手段としての電動モータ23を作動させるように構成したものがあった。
【0003】
上記構成において、前記セイフティスイッチがONすることは、走行ブレーキの操作により車体が走行停止状態に切り換わることを意味するが、このような走行停止状態になったときに、操縦者が変速操作具を減速側操作位置まで戻し操作することを忘れて、変速操作具が誤って高速操作用の操作位置のままで維持されていれば、その後、走行ブレーキの解除に伴って車体走行を再開したときに、無段変速装置が高速変速位置に設定された状態で車体が発進することになり、走行安全上好ましくないので、上記構成では、このような場合には、アシスト手段としての電動モータを利用して変速操作具を強制的に減速方向に戻し移動させるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来構成においては、走行ブレーキが操作されてセイフティスイッチがONすると、操作状態検出手段(一対の感圧センサ)の検出結果にかかわらず、即ち、変速操作具に対する人為操作状態の如何にかかわらず、変速操作具を電動モータにより強制的に減速方向に移動させるようにしたものであるから、次のような面で未だ改善すべき余地があった。
【0005】
ところで、この種の変速操作具は、例えば操縦部パネルに形成されるガイド孔を通して外部に突出するように設けられて、このガイド孔の内縁に直接接当させたり、あるいは、別の接当規制具により減速操作方向や増速操作方向の操作限界を規制するようになっていることが多いが、このような操作限界での規制位置の調節が適正に行われていない場合や、長期間の使用で当初の設定からずれている場合等が考えられる。
【0006】
このような接当規制位置が適正な位置からずれている場合であっても、人為操作に基づく操作では操作者がそのことを認識することにより無理な操作は行わないので特に問題は生じないが、上記したように、セイフティスイッチがONするに伴って実行される減速方向への移動操作は、操作状態検出手段(感圧センサ)の検出情報、つまり、変速操作具に対する人為操作状況に無関係に行われるので、変速操作具が接当規制具に対して接当した後も上記したような位置ずれに起因して無理な操作力(アシスト力)を付与し続けることにより、変速操作具や接当規制具等が損傷を受けるおそれがある。
【0007】
又、上記した電動モータによる強制的な減速方向への移動に伴って、変速操作具と前記接当規制具との間に、例えば、操作者の手が挟まれる等のおそれもあり、このような面でも改善すべき余地があった。
【0008】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、車体停止状態から走行状態に切り換わったときにおける走行上の安全性を確保しながら、上記したような不具合点を解消することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の特徴構成によれば、動力入切手段が伝動切り状態で且つ前記制動装置が作用状態となる車体停止状態であるか否かを検出する停止検出手段が備えられ、制御手段は、停止検出手段の検出結果に基づいて前記車体停止状態であれば、変速操作具を減速側に操作させるべくアシスト手段を作動させる低速復帰動作を実行するとともに、低速復帰動作を実行しているときに、前記位置判別手段の判別結果により前記変速操作具が設定位置よりも低速側の操作位置に至ったことが検出され、且つ、前記操作状態検出手段により前記変速操作具が増速方向へ操作されたことが検出されると、前記低速復帰動作を停止させるように構成されている。
【0010】
従って、車体停止状態であれば前記低速復帰動作が実行されるので、動力入切手段が伝動切り状態で且つ制動装置が作用状態となる車体停止状態から、動力入切手段が伝動入り状態で且つ制動装置が非作用状態となる走行状態に切り換わったときに、変速操作具が誤って高速設定位置に維持されたままで車体が発進するといった不都合が未然に回避されて走行上の安全性を確保できるものとなる。
【0011】
そして、変速操作具が設定位置よりも低速側の操作位置に至った後に増速方向へ操作されたことが検出されると、前記低速復帰動作を停止させるので、例えば、変速操作具が外物に接当してそれ以上の移動が規制されたような場合や、あるいは、人為的に増速方向へ操作されたような場合には、その時点で前記低速復帰動作が停止されることになる。
【0012】
その結果、例えば、変速操作具が所定の最低減速位置に到達するまで前記低速復帰動作を継続するような従来構成によれば、変速操作具が操作限界で接当規制されるような構成において、接当規制位置が所望の位置からずれているような場合に、外物に接当しているにもかかわらず位置判別手段により操作限界に達していないと判断される結果、アシスト手段による強制的な移動操作が継続され、変速操作具や接当規制具が損傷したり、アシスト手段が焼損するおそれがある等の不利があるのに対して、上記したように構成することで、変速操作具が外物に接当することにより操作状態検出手段にて減速方向と逆方向(増速方向)の操作があったことが検出されることになり、その時点で前記低速復帰動作が停止するので、変速操作具や接当規制具が損傷したり、アシスト手段が焼損する等の不利を未然に回避できるものとなる。
【0013】
又、前記低速復帰動作が実行されているときに、変速操作具と減速方向側での接当規制部との間に誤って操作者の手が挟まれた場合であっても、変速操作具が手に当たるとそのことにより操作状態検出手段にて減速方向と逆方向(増速方向)の操作があったことが検出されることになり、その時点で前記低速復帰動作が停止するので、アシスト手段による強制的な移動操作により手が挟まれて押し付けられる等の不都合が未然に回避できる。
【0014】
請求項2に記載の特徴構成によれば、請求項1において、制御手段は、低速復帰動作を実行しているときに、位置判別手段の判別結果により変速操作具が設定位置よりも低速側の操作位置に至ったことが検出され、且つ、操作状態検出手段により変速操作具が人為的に増速方向へ操作されたことが検出されると、低速復帰動作を停止させるとともに、変速操作具を増速側に操作させるべくアシスト手段を作動させるように構成されている。
【0015】
前記無段変速装置においては、所定幅の中立域(走行しない領域)があり、中立位置から増速方向に操作したときに、車体が走行開始するまでには中立位置から中立域を脱するため設定量以上操作する必要があり、前記低速復帰動作が実行されるときに、最低減速位置である中立位置にまで戻すことなく、中立位置からある程度増速側に操作した位置に操作しておくと、車体の発進を能率よく行えるものとなるが、上記構成によればこのような操作が可能となり、操縦操作性が向上することになる。
【0016】
請求項3に記載の特徴構成によれば、請求項1又は2において、制御手段は、変速操作具における設定位置に隣接して低速側に位置する第1操作領域においては、低速復帰動作を実行しているときに、変速操作具の増速方向への操作に伴い低速復帰動作を停止させるとともに、アシスト手段の増速方向の作動を禁止し、第1操作領域よりも低速側に位置する第2操作領域においては、低速復帰動作を実行中に、変速操作具の増速方向への操作に伴い低速復帰動作を停止させるとともに、変速操作具を増速側に操作させるべくアシスト手段を作動させるように構成されている。
【0017】
設定位置よりも減速側である領域において、高速側よりの第1操作領域においてはアシスト手段の増速方向の作動を禁止し、低速側よりの第2操作領域においてはアシスト手段の増速方向の作動を実行可能にしている。従って、上記請求項2による作用効果を奏しえるものでありながら、アシスト手段の増速方向の作動を実行できる低速領域と、操作条件とは無関係に減速操作する高速領域との中間に、アシスト手段の増速方向の作動を禁止する領域を設けることで、増速可能な領域と減速操作のみを行う領域との境目においてアシスト手段がハンチングを起こす等の不利を回避できるものとなる。
【0018】
請求項4に記載の特徴構成によれば、請求項1〜3のいずれかにおいて、変速操作具の操作領域が中立位置の両側に前進領域と後進領域とを各別に設けて構成され、前進領域内及び後進領域内の夫々において、前記変速操作具が、前記中立位置から遠ざかる方向に操作されると無段変速装置が増速され、前記中立位置に近づく方向に操作されると無段変速装置が減速されるように構成され、走行状態を前進状態と後進状態とに切り換える前後進切換機構が変速操作具により中立位置で切り換え操作自在に設けられ、制御手段は、低速復帰動作として、変速操作具を中立位置側に操作させるべくアシスト手段を作動させるように構成されている。
【0019】
つまり、変速操作具による中立位置での切り換え操作によって前後進切換機構が前進状態と後進状態とに切り換えられ、変速操作具を前進領域内において中立位置から遠ざかる方向に操作すると前進増速状態となり、後進領域内において中立位置から遠ざかる方向に操作すると後進増速状態となる。そして、変速操作具が前進領域あるいは後進領域にあるときに、低速復帰動作を実行するときは、中立位置側に操作させることになる。
【0020】
従って、変速操作具を中立位置から異なる方向に操作させるだけで前後進夫々に増減速操作することができるものでありながら、車体停止状態から走行状態に切り換わったときにおける走行上の安全性を確保できるものとなる。
【0021】
請求項5に記載の特徴構成によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、操作状態検出手段は、減速操作検出用の感圧センサと、増速操作検出用の感圧センサとを、変速操作具と無段変速装置の変速部との機械的連係機構中に、変速操作具の操作により加圧される状態で配設して構成されているので、変速操作具の操作により加圧されることで操作状態を検出する一対の感圧センサを機械的連係機構中に備えるという簡素な構成で、変速操作具の操作状態を検出することができる。
【0022】
請求項6に記載の特徴構成によれば、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記無段変速装置がベルト式の無段変速装置で構成されている。ベルト式の無段変速装置においては、中立域(車体が走行しない領域)が比較的広いが、このように中立域が広い場合であっても、車体の発進時に変速操作具を予め中立位置から少し増速側の操作位置に操作させておくことができ、操縦操作性を向上できるものとなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る作業車の走行変速構造について、作業車としてのコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
図3は作業車の一例であるコンバインの伝動系を示しており、原動部としてのエンジン1からの動力が、ベルトテンション式の脱穀クラッチ45を介して脱穀装置46に伝達されるとともに、テンションクラッチを備えたベルト伝動機構2を介して、ベルト式の無段変速装置3の入力プーリ4に伝達される。無段変速装置3からの動力がミッションケース5を介して、左右のクローラ式走行装置6に伝達される。
【0024】
図5にミッションケース内の伝動構造を示している。
無段変速装置3の動力は、その出力軸60から第1伝動軸61及び油圧式の前進クラッチFCの入力ギヤ62及び油圧式の後進クラッチRCの入力ギヤ63に順に伝達される。前進クラッチFC及び後進クラッチRCの出力ギヤ64,65は、第2伝動軸66の入力ギヤ67に咬合している。つまり、前進クラッチFCに作動油を供給してこれを入り操作すると、第1伝動軸61からの動力が入力ギヤ62、前進クラッチFC及び出力ギヤ64を介して、前進状態で第2伝動軸66に伝達される。逆に、後進クラッチRCに作動油を供給してこれを入り操作すると、第1伝動軸61からの動力が入力ギヤ62,63、後進クラッチRC及び出力ギヤ65を介して、逆転の後進状態で第2伝動軸66に伝達される。このようにして、前後進切換装置Bが構成される。
【0025】
第2伝動軸66にはシフトギヤ68がスプライン構造にてスライド操作自在に外嵌されており、これに対する第3伝動軸69には高速ギヤ70、中速ギヤ71及び低速ギヤ72が固定されている。これによりシフトギヤ68をスライド操作し、高速ギヤ70に咬合する高速ギヤ73、中速ギヤ71又は低速ギヤ72に咬合させて動力を高中低の3段に変速するのであり、この動力は出力ギヤ74から伝動ギヤ75に伝達される。この構成が副変速装置に対応する。
伝動ギヤ75を支持する支持軸76には右及び左のサイドギヤ77が相対回転自在に外嵌されており、左右の車軸78の入力ギヤ79が左右のサイドギヤ77に常時咬合している。支持軸76の左右両端において左右のサイドギヤ77とミッションケース5との間に多板式のサイドブレーキ80が設けられており、バネ81によりサイドギヤ77が伝動ギヤ75との咬合側に付勢されている。
【0026】
左右のサイドギヤ77を伝動ギヤ75に咬合させていると、第3伝動軸69からの動力が伝動ギヤ75及び左右のサイドギヤ77を介して、左右のクローラ式の走行装置6に伝達されて機体は直進する。そして、右又は左のサイドギヤ77を伝動ギヤ75から離し操作し、サイドクラッチC,Cを切り操作したのち、サイドギヤ77でサイドブレーキ80を押圧入り操作すると、一方の走行装置6に制動が掛かり機体は信地旋回することになる。
【0027】
又、大小一対のギヤを備えたギヤ対82が第1伝動軸61に相対回転自在に外嵌されており、ギヤ対82の大径のギヤが前進クラッチFCの出力ギヤ64に咬合している。機体前部の刈取部8に動力を伝達する出力プーリー83を支持する出力軸84に、シフトギヤ85がスプライン構造にてスライド操作自在に外嵌されている。
これにより、シフトギヤ85をスライド操作して、ギヤ対82の大径及び小径のギヤに咬合させることにより、刈取部への動力を高低2段に変速操作することができる。
【0028】
次に、左右のサイドギヤ77を独立にスライド操作して機体の操向操作を行う一対の油圧シリンダ86、及び、前後進切換装置Bの切換操作における油圧回路の全体について説明する。
図6に示すように、エンジン1にて駆動されるポンプ87,88の内の、一方のポンプ87からの作動油が、フロープライオリティバルブ89(余剰流側)及び第1切換弁90を介して、左右のサイドギヤ77に対する油圧シリンダ86に供給されており、フロープライオリティバルブ89と第1切換弁90との間に可変リリーフ弁91が接続されている。そして、フロープライオリティバルブ89の制御流側の作動油が、第2切換弁92を介して前進クラッチFC及び後進クラッチRCに供給されており、第2切換弁92に対して前進及び後進クラッチFC,RCの圧力確保用のリリーフ弁93が接続されている。第2切換弁92は後述するように無段変速装置3の変速レバー26の中立位置での操作によって切り換わるように連係されている。
リリーフ弁93からの戻り油は前後進クラッチFC,RCの摩擦多板の潤滑油として利用すべく油路を形成している。潤滑油として使用するには、0.1〜0.3Kg/cm2 程度の圧力を必要とするので、油路bに圧力確保用のリリーフバルブ94を設けてある。図中95は、アキュムレータであり、図中96は、油圧ポンプ87からフロープライオリティバルブ89への圧油供給経路に介装されたもので、動力入切手段としての前後進クラッチFC,RCより油タンクTに圧油を戻し、コンバインの走行停止を行う為のアンロードバルブである。このアンロードバルブ96には、ペダル操作具97が連係されており、バルブを切り換えるだけの操作力で操作すればよく、走行停止状態を容易迅速に切り換えられるように構成してある。さらに、このペダル操作具97には、左右の走行装置6を制動する制動装置としての駐車ブレーキ98も連係してあり、一つの操作具への操作によって伝動を切るとともに駐車ブレーキ98を効かすこともできるようになっている。つまり、軽い踏み込みによって走行停止状態(クラッチ切り)を得ることができるとともに、強く踏み込むと駐車ブレーム98が効くようになる。従って、ペダル操作具97が切換操作手段に対応する。尚、ペダル操作具97が踏み込み操作されたことを検出する停止検出手段としてのセイフティスイッチ99が設けられている。
【0029】
次に、ベルト式の無段変速装置3及びその変速操作構造について説明する。
図2に示すように、無段変速装置3は、入力プーリ4が固定された入力軸9に第1割りプーリ11を備え、出力軸10に第2割りプーリ12を備えて、第1及び第2割りプーリ11,12に亘り伝動ベルト13が巻回されている。第1及び第2割りプーリ11,12は、入力軸9及び出力軸10に一体的に形成されるプーリ部分14,14、及び軸芯方向に移動自在なプーリ部分15,15の夫々から構成されており、第2割りプーリ12の移動側のプーリ部分15はバネ16で固定側のプーリ部分14側に付勢され、出力軸10側の負荷が大きくなるのに比例して移動側のプーリ部分15を固定側のプーリ部分14に押すカム機構17が設けられている。
【0030】
第1割りプーリ11の移動側のプーリ部分15にベアリングを介してリング部材18が外嵌され、リング部材18に固定された一対のピン18aがその外周部にローラ18bが遊転自在に外嵌された状態で、無段変速装置3のケース側の凹部19に入り込んで、リング部材18が凹部19に沿って入力軸9の軸芯方向に移動可能な状態で回り止めされている。そして、円筒状のカム部材20がベアリングを介して入力軸9に外嵌されており、図4にも示すように、このカム部材20には、直線状の底部20aと左右対象な一対の傾斜面20bとで構成された凹部が一対形成されており、リング部材18のピン18aのローラ18bが、カム部材20の一対の凹部に入り込んでいる。このピン18a及びローラ18bが接当案内部SOに相当する。
【0031】
図2及び図4に示す状態は、第1割りプーリ11の移動側のプーリ部分15が固定側のプーリ部分14から紙面左方に最も離れ、第2割りプーリ12の移動側のプーリ部分15が固定側のプーリ部分14に最も接近した最低速位置の状態である。
この状態からカム部材20を正逆いずれかの方向に回転させると、接当案内部SOが傾斜面20bに乗り上げてリング部材18及び第1割りプーリ11の移動側のプーリ部分15が、固定側のプーリ部分14側に押し操作されて接近し、第1割りプーリ11での伝動ベルト13の巻回半径が大きくなっていく。これに伴って第2割りプーリ12の移動側のプーリ部分15が、固定側のプーリ部分14から紙面右方に離れていくのであり、無段変速装置3が高速側に変速操作されていく。
【0032】
無段変速装置3の外側においてカム部材20の端部にボス部材21が固定され、ボス部材21に扇型ギヤ22が固定されている。又、図1に示すように、機体の固定部にアシスト手段としての電動モータ23が固定され、平ギヤによる減速機構24が電動モータ23に備えられており、減速機構24のピニオンギヤ24aが扇型ギヤ22に咬合している。ボス部材21にリング部材25が遊転自在に外嵌されており、このリング部材25に対して人為操作される変速レバー26(変速操作具に相当)が入力軸9の軸芯周りで一体的に回動自在に、且つ、図2にて紙面左右方向(図1では紙面前後方向)に相対揺動自在に支持されている。
又、リング部材25のアーム25aのピン25bが、扇型ギヤ22の開孔22aに入り込んでおり、変速レバー26の回動操作に伴って、このピン25bと開孔22との連係を介して扇型ギア22即ちカム部材20が一体的に回動操作されるように連係されている。つまり、変速部としてのカム部材20は、変速レバー26と一体移動するように機械式連係機構を介して連係され、正逆方向に作動可能に構成されている。
【0033】
この変速レバー26は十字方向に揺動操作自在で、図8に示すように、レバーガイドの前進変速用ガイド溝44a、後進変速用ガイド溝44c及び、操作状態切り換え用段差部分を形成する中間ガイド溝44bの夫々に沿わせて揺動操作でき、前進変速用ガイド溝44a又は後進変速用ガイド溝44cにおいて、減速側操作方向(中立位置側への操作)に沿って操作される際に、前進変速用ガイド溝44a・後進変速用ガイド溝44cの内縁kにおいて、走行中立状態に対応する位置で変速レバー26が強制的に受止め規制され、過剰操作によって前後逆方向の走行状態に切換わることがないよう構成されている。又、前進域Fの最高速位置(上限位置)Fmax及び後進域Rの最高速位置(上限位置)Rmaxでも、前進変速用ガイド溝44a、後進変速用ガイド溝44cの内縁にて受止め規制されるようになっている。
【0034】
扇型ギア22には、ゴム状の一対の感圧センサとしての感圧スイッチ27,28が、開孔22aに入り込むピン25bを挟み込むように設けられている。又、前後進切換装置Bを前進位置、後進位置及び中立停止位置に切り換え操作する第2切換弁93が、扇型ギヤ22に設けられた案内カム機構47とプッシュプルワイヤ30を介して扇型ギア22に連係されている。つまり、案内カム機構47による案内作用によって、変速レバー26を前進域Fに操作すると前後進切換装置Bを前進位置に切り換え、中立域Nに操作すると前後進切換装置Bを中立停止位置に切り換え、後進域Rに操作すると前後進切換装置Bを後進位置に切り換えるようにプッシュプルワイヤ30により連動連係されている。
【0035】
無段変速装置3側の固定壁43にポテンショメータ41を取付けるとともに、このポテンショメータ41から延びる揺動レバー42の先端側の横向きピン42aを、扇型ギヤ22に形成した長孔22bに挿通させて、無段変速装置3の変速状態、つまり、カム部材20の位置に対応する出力が得られるようになっている。説明を加えると、実際の作業走行を行う前に、具体的には生産ラインでの出荷前に、変速レバー26を操作領域の一端部から中立位置を介して他端側に向けて操作したときの、一端部、中立位置、他端部の夫々におけるポテンショメータ41の実際の検出値を逐次、変速域の後進側最大速度に対応する検出値VRm、中立位置に対応する検出値Vn、変速域の前進側最大速度に対応する検出値VFm(図8参照)として読み取り、夫々の検出値を記憶手段としての不揮発性メモリMに記憶させるとともに、それらのうち、検出値VRm(約0.2ボルト)を零とし、検出値VFm(約4.8ボルト)を256ポイントとして、その中間の電位を1ポイント単位で検出することができるようになっている。
【0036】
図7に示すように、電動モータ23に対する制御情報を指令する制御装置31が備えられ、この制御装置31は、マイクロコンピュータを備えて構成され、各種の入力情報に基づいて、予め設定記憶されている制御プログラムにて所定の制御を実行するように構成されている。
制御装置31からの制御情報により前進側の駆動状態に切換操作される(即ち、変速レバー26が、図1において反時計周りである正転側に揺動するように切換操作される)第1電磁リレー32、後進側の駆動状態に切換操作される(即ち、変速レバー26が、図1において時計周りである逆転側に揺動するように切換操作される)第2電磁リレー33、第1,2電磁リレー32,33の励磁駆動用のトランジスタ35,36、制御装置31からの制御信号に基づいて電動モータ23に供給する電流量を調整する電流調整用トランジスタ37、電動モータ23に通流する実電流値を両端電圧値として検出する基準抵抗器38、基準抵抗器38の両端電圧を直流信号に変換して電動モータ23に対する電流検出情報として制御装置31に入力するための平滑回路39等が備えられている。
【0037】
基準抵抗器38と平滑回路39とにより電流検出手段としての電流検出回路が構成され、0アンペア〜5アンペアの検出範囲で電流値を検出するように構成されている。
ポテンショメータ41の検出値(電圧値)がアナログ信号にて制御装置31に入力されるが、そのアナログ信号は、上述したように全ストローク範囲(0.2ボルト〜4.8ボルト)が256ビットの分解能にてアナログ/デジタル変換されて、制御に用いられるようになっている。
【0038】
制御装置31に対しては、各感圧スイッチ27,28、ポテンショメータ41の検出値が入力されると共に、エンジン回転数センサ50の検出値も入力されるようになっている。
次に変速レバー26の人為操作による変速操作について説明する。
制御装置31は、各感圧スイッチ27,28のいずれかがON操作され、変速レバー26が人為的に正逆いずれかの方向に操作されていることが検出されると、その人為操作方向に向けてアシスト力が与えられるように、電動モータ23にアシスト操作電流を供給するように構成され、電動モータ23のアシストにより変速操作を軽い操作力で適正に行えるようになっている。従って、各感圧スイッチ27,28により操作状態検出手段が構成されることになる。又、各感圧スイッチ27,28の検出情報に基づいて変速レバー26が人為的に操作されていないことが検出されると、無段変速装置3が中立位置への復帰付勢力により変速状態が変化することを阻止すべく、電動モータ23に保持電流を供給するように構成されている。
更に、各感圧スイッチ27,28の検出情報、並びに、電流検出回路の検出情報に基づいて、保持電流の供給量を適正値に調整するように構成されている。
具体的には、アシスト操作電流としては、電流調整用トランジスタ37に対してON状態を維持するように一定電圧を出力させ、保持電流の供給状態では、電流調整用トランジスタ37に対してパルス電圧にて間欠的にON/OFF状態を繰り返し、そのON時間の調整(デューティ比制御)を行い電流量を調整するようになっている。尚、電動モータ23の正逆の動作方向は、各感圧スイッチ27,28のON操作に基づいて、いずれかの電磁リレー32,33が電源供給状態に切り換わって電動モータ23の回転方向が規定されるようになっている。
【0039】
しかも、感圧スイッチ27,28により変速レバー26の操作方向が増速方向と減速方向とのいずれの方向でもある両側操作状態、具体的に説明すると、正転側の感圧スイッチ(以下、正転スイッチという)27と、逆転側の感圧スイッチ(以下、逆転スイッチという)28との共にONする状態が検出されると、制御装置31は、その後の感圧スイッチ27,28による検出情報にかかわらず、変速レバー26を走行停止位置に到るまで減速側に操作させるべく電動モータ23を作動させ、且つ、電動モータ23の増速方向への作動を行わないように構成されている。
このように各スイッチ27,28が共にONする状態(両側操作状態)は、スイッチの故障等の異常状態であるから、このような場合には、変速レバー26を強制的に中立位置に戻すように移動操作させて、その後は増速用のアシスト作動を行わないようにして使用上の安全性を確保している。
【0040】
又、制御装置31は、セイフティスイッチ99の検出結果に基づいて車体停止状態であれば、変速レバー26を減速側に操作させるべく電動モータ23を作動させる低速復帰動作を実行するとともに、この低速復帰動作を実行しているときに、ポテンショメータ41の判別結果により変速レバー26が設定位置よりも低速側の操作位置に至ったことが検出され、且つ、感圧スイッチ27,28により変速レバー26が増速方向へ操作されたことが検出されると、前記低速復帰動作を停止させるように構成されている。
【0041】
次に、制御装置31の制御動作について、図9〜図14に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、この制御フローチャートは10msecに1回、繰り返して実行するようになっている。
制御が開始されると、先ず、エンジン回転数Neが500rpmを越えているか否か、つまり、エンジン1が正常に回転しているか否かを判断する(ステップ1)。ベルト無段変速装置3はエンジン1が回転していない状態では変速操作が非常に重く、この状態で電動モータ23を作動させると電動モータ23や駆動回路等が損傷するおそれがあるからである。
エンジン1が回転していれば、図示しない指示スイッチにてレバー位置記憶モードに設定されているか否かが判断される(ステップ2)。但し、このモードは、工場出荷段階で実行されるものであり、通常のコンバイン使用者は実行しないようになっている。レバー位置記憶モードが指示されていると、レバー位置記憶処理を実行する(ステップ3)。
つまり、操作者が、変速レバー26を後進側最高速位置、中立位置、前進側最高速位置の夫々に移動操作させて、夫々の操作位置におけるポテンショメータ41の検出値(VRm、Vn、VFm)を読み込み、不揮発性メモリMにデジタルデータとして書き込み記憶する。尚、このように変速レバー26を各位置に移動操作させる場合、前進側最高速位置に向けて操作するときには、電動モータ23によるアシスト操作は、最大アシスト力による操作ではなく、約40パーセントのデューティ比にて操作するようにしており、大きな操作力で牽制部材57が撓み変形して、適正な上限規制位置から外れた位置で、前進側最高速位置のポテンショメータ41の検出値VFmを誤って書き込み記憶することを未然に防止するようにしている。
【0042】
そして、このようなレバー位置記憶モードが指示されていなければ手動変速モードに移行する。
尚、変速レバー26を中立域Nの一端から前進側の範囲に操作すると、プッシュプルワイヤ30及び第2切換弁92により、前後進切換装置Bが前進位置に操作され、変速レバー26を中立域Nの他端から後進側の範囲に操作すると、プッシュプルワイヤ30及び第2切換弁92により、前後進切換装置Bが後進位置に操作されることになる。
【0043】
変速レバー26が正転側に操作され、ピン25bにより正転スイッチ27が押圧されてON状態になると(ステップ4)、図10に示すように、先ず、逆転スイッチ28もONとなる両側ON状態(両側操作状態)になっていないか否かを判断する(ステップ5)。そして、両側ON状態が継続して300msec以上継続した場合には、スイッチがON故障している異常状態であると判断して、その後の両スイッチ27,28の検出情報にかかわらず、変速レバー26が減速方向(中立位置に向かう方向)に移動操作すべく電動モータ23を作動させる(ステップ6,7)。そして、ポテンショメータ41の検出情報に基づいて変速レバー26が中立域Nにまで操作されると、電動モータ23による減速作動を停止し、電動モータ23の両側端子を共に接地状態として、正転スイッチ27、逆転スイッチ28の検出に基づく電動モータ23の作動を行わない状態とする(ステップ8,9,10)。尚、この場合、動作異常であることを例えば操縦部に備えた図示しない表示手段にて操縦者に報知するようにしている。又、電動モータ23が両端接地している状態では、操作は重くなるが、変速レバー26を人為操作力によって操作して無段変速装置3を変速操作することは可能である。
【0044】
そして、このような両側ON状態が無く、正転スイッチ27が押圧されてON状態になると、ポテンショメータ41の検出情報に基づいて、変速レバー26の操作位置が前進上限位置Fmaxや中立域Nでなく、逆転側の作動が終了して200msec以上経過していれば、アシスト操作電流を供給して電動モータ23を正転側に高速で駆動する(ステップ11,12,13)。つまり、トランジスト37を連続ON状態にして電動モータ23を最大アシスト力で作動させる。又、図11に示すように、逆転スイッチ28がONすると、正転スイッチ27の場合と同様にして電動モータ23を逆転側に高速で駆動する(ステップ19〜23)。
【0045】
正転スイッチ27がON状態になったときに変速レバー26が前進上限位置Fmaxにある場合や、逆転スイッチ28がON状態になったときに変速レバー26が後進上限位置Rmaxにある場合には、電動モータ23によるアシスト作動は行わない(ステップ11、ステップ20)。尚、変速レバー26の中立域Nにおいて、変速レバー26がガイド溝の内縁kに接当して、ハンチングを起こすおそれがあるので、このような中立域Nであれば、正転スイッチ27(逆転スイッチ28)のON操作が前回の逆方向作動が終了した後に、100msec以内に行われた場合には、ON操作しているスイッチがOFFするまで微速で電動モータ23を作動させるようにしている(ステップ12,15,16,17,18、ステップ21,24,25,26,27)。
【0046】
変速レバー26が操作されていない状態(いずれのスイッチもOFFしている状態)では、その後、無段変速装置3の中立復帰力に抗して、現在の変速位置に保持されるように、電動モータ23に保持電流を供給して、この電動モータ23による保持力(保持用の操作力)と、無段変速装置3の中立復帰力(接当案内部SOの移動付勢力)とが均衡して位置保持されるように位置保持制御する(ステップ28)。尚、詳述はしないが、上述したような中立復帰力は、変速状態によって変化するので、変速状態に応じて異なった保持力を初期設定すると共に、ポテンショメータ41の検出状態や電流検出回路の検出状態に基づいて、適正値になるように保持電流を調整するようになっている。
【0047】
そして、次のような自動減速制御を実行する(ステップ29)。つまり、図12〜図14に示すように、ペダル操作具97の踏み込み操作に伴ってセイフティスイッチ99がON操作されると、そのON操作は、エンジン始動用のスイッチを兼用するメインスイッチがON操作(つまり、コンバインの各電装機器への電源供給が開始)されてから第1回目の操作であるか、又は、第1回目でなくてもそのときのエンジン回転数Neが1900rpmを越えている刈取作業状態であり、且つ、ポテンショメータ41の検出値が適正検出範囲内であって正常であることが確認されると、後述するような減速操作を実行する(ステップ30,31,32,33)。尚、セイフティスイッチ99がON操作されていない場合、エンジン回転数が1900rpmを越えていない非作業状態である場合、ポテンショメータ41の検出値が適正検出範囲内でなく動作異常である場合には、減速操作を実行しないようにしている。ポテンショメータ41の検出値が適正検出範囲内であるか否かの判断は、検出値が0.2ボルト〜4.8ボルトの間にあるか否か、つまり、断線や短絡が生じていないか否かによって判断している。
【0048】
ペダル操作具97が操作されたとき、ポテンショメータ41の検出情報に基づいて、変速レバー26が前進域あるいは後進域の高速域F1,R1(図8参照)にあれば、電動モータ23に操作電流を供給して、変速レバー26を中立域N側に向けてゆっくりと減速方向(中立位置に向かう方向)に移動操作させる減速作動を実行する(ステップ34,35)。この動作が低速復帰動作に相当する。
【0049】
変速レバー26が前進域、後進域の第1微速域F2,R2(図8参照)にあれば、基本的には前記減速作動を続行するが、この領域では、その途中で変速レバー26が増速方向に人為操作されたことが検出されると、そのときに減速作動を停止して、その後、減速側へのレバー操作があればそれに伴って減速作動を実行する(ステップ36〜41)。
【0050】
又、変速レバー26が前進域或いは後進域の第2微速域F3,R3(図8参照)にあれば、基本的には前記減速作動を続行するが、この領域では、その途中で変速レバー26が増速方向に人為操作されたことが検出されると、そのときに減速作動を停止して、その後、減速側へのレバー操作があればそれに伴って減速作動を実行し、増速側へのレバー操作があればそれに伴って増速作動を実行することになる(ステップ42〜49)。
【0051】
そして、変速レバー26が中立域N内に入ると、前記減速作動を停止して、その後、減速側へのレバー操作があればそれに伴って減速作動を実行し、増速側へのレバー操作があればそれに伴って増速作動を実行することになる(ステップ42,45〜49)。
【0052】
従って、前記第1微速域F2,R2が第1操作領域に相当し、第2微速域F3,R3が第2操作領域に相当する。そして、高速域F1,R1と、第1微速域F2,R2との境目が設定位置に相当し、前進クラッチFC(後進クラッチRC)が入り状態で変速レバー26をこの設定位置よりも低速側に操作すると、走行速度が極低速の微速状態となり、この変速位置でペダル操作具97を走行状態に切り換えて車体を発進させても急激な発進はせず、且つ、前進クラッチFC(後進クラッチRC)に過大な負荷がかかる等の不利はなく、走行上の安全性は確保できる。
【0053】
尚、上記した減速作動はセイフティスイッチ99がONしている間、つまり、ペダル操作具97が踏み込み操作されている間は実行することになり、セイフティスイッチ99がOFFするか、エンジン回転数Neが1900rpm以下になれば、減速作動を停止してステップ1にリターンする。
【0054】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、増速方向のアシスト作動を禁止する第1操作領域と増速方向のアシスト作動を許容する第2操作領域とを設ける構成を例示したが、このような構成に代えて、次のような構成としてもよい。
前記設定位置よりも低速側の操作位置においては全範囲において、正転スイッチ27により変速レバー26が人為的に増速方向へ操作されたことが検出されると、低速復帰動作を停止させて増速側に操作させるアシスト作動を許容する構成である。
【0055】
(2)上記実施形態では、無段変速装置としてベルト式無段変速装置を用いて、変速レバーの中立位置での切換操作により前後進切換装置を切り換えることで、変速レバーの操作で前後進の変速操作を行えるようにした場合を例示したが、この構成に代えて、静油圧式無段変速装置(HST)を用いてもよく、摩擦式無段変速装置でもよい。
又、変速レバーの操作によって前後進夫々に増減速操作可能なものに代えて、一定回転方向の伝動系に設けられた無段変速装置、つまり、増減速のみを行う変速操作構造にも適用できる。
【0056】
(3)上記実施形態では、操作状態検出手段として一対の感圧スイッチで構成するものとしたが、リミットスイッチで構成してもよく、光学式センサを用いて構成してもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、アシスト手段として電動モータを用いたが、油圧モータやエンジンの駆動力を用いた駆動機構を用いるものであってもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、停止検出手段として、ペダル操作具97が踏み操作されたことを検出するセイフティスイッチ99にて構成したが、このような構成に代えて、前進クラッチFC等のクラッチ操作状態と駐車ブレーキ98の操作状態とを直接検出するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】変速操作構成を示す側面図
【図2】ベルト無段変速装置の断面図
【図3】コンバインの伝動系を示す図
【図4】カム機構の側面図
【図5】ミッションケース内の伝動構造を示す図
【図6】走行操作用の油圧回路構成図
【図7】電気回路ブロック図
【図8】変速レバーの操作域を示す図
【図9】制御動作のフローチャート
【図10】制御動作のフローチャート
【図11】制御動作のフローチャート
【図12】制御動作のフローチャート
【図13】制御動作のフローチャート
【図14】制御動作のフローチャート
【符号の説明】
3 無段変速装置
20 変速部
23 アシスト手段
26 変速操作具
27,28 操作状態検出手段
31 制御手段
97 切換操作手段
98 制動装置
99 停止検出手段
B 前後進切換機構
FC,RC 動力入切手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンから走行装置への動力を変速する走行用の無段変速装置と、エンジンから走行装置への伝動を断続自在な動力入切手段と、前記走行装置に制動を与える制動装置と、前記動力入切手段が伝動切り状態で且つ前記制動装置が作用状態となる車体停止状態と前記動力入切手段が伝動入り状態で且つ前記制動装置が非作用状態となる走行状態とに人為操作により切換自在な切換操作手段と、前記無段変速装置の変速部に機械的に連動連結されて人為的に正逆に操作される変速操作具の増速方向及び減速方向の操作に対してアシスト力を与えるアシスト手段と、前記変速操作具の変速操作位置を判別する位置判別手段と、前記変速操作具が人為的に操作されていること、及び、その操作方向を検出する操作状態検出手段と、この操作状態検出手段の検出情報に基づいて前記変速操作具の操作方向にアシスト力が与えられるように前記アシスト手段を作動させる制御手段とが設けられている作業車の走行変速構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記作業車の走行変速構造において、従来では、例えば特開平9‐303553号公報に示されるように、変速操作具(変速レバー26)の正逆方向夫々の操作を操作状態検出手段としての一対の感圧センサ27,28にて検出して、その検出情報に基づいて電動モータ23により操作のアシスト力を与えて変速操作を軽く行えるように構成するとともに、走行ブレーキが操作されたことを検出するセイフティスイッチWが設けられ、このセイフティスイッチWがONすると、操作状態検出手段の検出結果にかかわらず、前記変速操作具26が減速方向にゆっくりと移動するようにアシスト手段としての電動モータ23を作動させるように構成したものがあった。
【0003】
上記構成において、前記セイフティスイッチがONすることは、走行ブレーキの操作により車体が走行停止状態に切り換わることを意味するが、このような走行停止状態になったときに、操縦者が変速操作具を減速側操作位置まで戻し操作することを忘れて、変速操作具が誤って高速操作用の操作位置のままで維持されていれば、その後、走行ブレーキの解除に伴って車体走行を再開したときに、無段変速装置が高速変速位置に設定された状態で車体が発進することになり、走行安全上好ましくないので、上記構成では、このような場合には、アシスト手段としての電動モータを利用して変速操作具を強制的に減速方向に戻し移動させるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来構成においては、走行ブレーキが操作されてセイフティスイッチがONすると、操作状態検出手段(一対の感圧センサ)の検出結果にかかわらず、即ち、変速操作具に対する人為操作状態の如何にかかわらず、変速操作具を電動モータにより強制的に減速方向に移動させるようにしたものであるから、次のような面で未だ改善すべき余地があった。
【0005】
ところで、この種の変速操作具は、例えば操縦部パネルに形成されるガイド孔を通して外部に突出するように設けられて、このガイド孔の内縁に直接接当させたり、あるいは、別の接当規制具により減速操作方向や増速操作方向の操作限界を規制するようになっていることが多いが、このような操作限界での規制位置の調節が適正に行われていない場合や、長期間の使用で当初の設定からずれている場合等が考えられる。
【0006】
このような接当規制位置が適正な位置からずれている場合であっても、人為操作に基づく操作では操作者がそのことを認識することにより無理な操作は行わないので特に問題は生じないが、上記したように、セイフティスイッチがONするに伴って実行される減速方向への移動操作は、操作状態検出手段(感圧センサ)の検出情報、つまり、変速操作具に対する人為操作状況に無関係に行われるので、変速操作具が接当規制具に対して接当した後も上記したような位置ずれに起因して無理な操作力(アシスト力)を付与し続けることにより、変速操作具や接当規制具等が損傷を受けるおそれがある。
【0007】
又、上記した電動モータによる強制的な減速方向への移動に伴って、変速操作具と前記接当規制具との間に、例えば、操作者の手が挟まれる等のおそれもあり、このような面でも改善すべき余地があった。
【0008】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、車体停止状態から走行状態に切り換わったときにおける走行上の安全性を確保しながら、上記したような不具合点を解消することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の特徴構成によれば、動力入切手段が伝動切り状態で且つ前記制動装置が作用状態となる車体停止状態であるか否かを検出する停止検出手段が備えられ、制御手段は、停止検出手段の検出結果に基づいて前記車体停止状態であれば、変速操作具を減速側に操作させるべくアシスト手段を作動させる低速復帰動作を実行するとともに、低速復帰動作を実行しているときに、前記位置判別手段の判別結果により前記変速操作具が設定位置よりも低速側の操作位置に至ったことが検出され、且つ、前記操作状態検出手段により前記変速操作具が増速方向へ操作されたことが検出されると、前記低速復帰動作を停止させるように構成されている。
【0010】
従って、車体停止状態であれば前記低速復帰動作が実行されるので、動力入切手段が伝動切り状態で且つ制動装置が作用状態となる車体停止状態から、動力入切手段が伝動入り状態で且つ制動装置が非作用状態となる走行状態に切り換わったときに、変速操作具が誤って高速設定位置に維持されたままで車体が発進するといった不都合が未然に回避されて走行上の安全性を確保できるものとなる。
【0011】
そして、変速操作具が設定位置よりも低速側の操作位置に至った後に増速方向へ操作されたことが検出されると、前記低速復帰動作を停止させるので、例えば、変速操作具が外物に接当してそれ以上の移動が規制されたような場合や、あるいは、人為的に増速方向へ操作されたような場合には、その時点で前記低速復帰動作が停止されることになる。
【0012】
その結果、例えば、変速操作具が所定の最低減速位置に到達するまで前記低速復帰動作を継続するような従来構成によれば、変速操作具が操作限界で接当規制されるような構成において、接当規制位置が所望の位置からずれているような場合に、外物に接当しているにもかかわらず位置判別手段により操作限界に達していないと判断される結果、アシスト手段による強制的な移動操作が継続され、変速操作具や接当規制具が損傷したり、アシスト手段が焼損するおそれがある等の不利があるのに対して、上記したように構成することで、変速操作具が外物に接当することにより操作状態検出手段にて減速方向と逆方向(増速方向)の操作があったことが検出されることになり、その時点で前記低速復帰動作が停止するので、変速操作具や接当規制具が損傷したり、アシスト手段が焼損する等の不利を未然に回避できるものとなる。
【0013】
又、前記低速復帰動作が実行されているときに、変速操作具と減速方向側での接当規制部との間に誤って操作者の手が挟まれた場合であっても、変速操作具が手に当たるとそのことにより操作状態検出手段にて減速方向と逆方向(増速方向)の操作があったことが検出されることになり、その時点で前記低速復帰動作が停止するので、アシスト手段による強制的な移動操作により手が挟まれて押し付けられる等の不都合が未然に回避できる。
【0014】
請求項2に記載の特徴構成によれば、請求項1において、制御手段は、低速復帰動作を実行しているときに、位置判別手段の判別結果により変速操作具が設定位置よりも低速側の操作位置に至ったことが検出され、且つ、操作状態検出手段により変速操作具が人為的に増速方向へ操作されたことが検出されると、低速復帰動作を停止させるとともに、変速操作具を増速側に操作させるべくアシスト手段を作動させるように構成されている。
【0015】
前記無段変速装置においては、所定幅の中立域(走行しない領域)があり、中立位置から増速方向に操作したときに、車体が走行開始するまでには中立位置から中立域を脱するため設定量以上操作する必要があり、前記低速復帰動作が実行されるときに、最低減速位置である中立位置にまで戻すことなく、中立位置からある程度増速側に操作した位置に操作しておくと、車体の発進を能率よく行えるものとなるが、上記構成によればこのような操作が可能となり、操縦操作性が向上することになる。
【0016】
請求項3に記載の特徴構成によれば、請求項1又は2において、制御手段は、変速操作具における設定位置に隣接して低速側に位置する第1操作領域においては、低速復帰動作を実行しているときに、変速操作具の増速方向への操作に伴い低速復帰動作を停止させるとともに、アシスト手段の増速方向の作動を禁止し、第1操作領域よりも低速側に位置する第2操作領域においては、低速復帰動作を実行中に、変速操作具の増速方向への操作に伴い低速復帰動作を停止させるとともに、変速操作具を増速側に操作させるべくアシスト手段を作動させるように構成されている。
【0017】
設定位置よりも減速側である領域において、高速側よりの第1操作領域においてはアシスト手段の増速方向の作動を禁止し、低速側よりの第2操作領域においてはアシスト手段の増速方向の作動を実行可能にしている。従って、上記請求項2による作用効果を奏しえるものでありながら、アシスト手段の増速方向の作動を実行できる低速領域と、操作条件とは無関係に減速操作する高速領域との中間に、アシスト手段の増速方向の作動を禁止する領域を設けることで、増速可能な領域と減速操作のみを行う領域との境目においてアシスト手段がハンチングを起こす等の不利を回避できるものとなる。
【0018】
請求項4に記載の特徴構成によれば、請求項1〜3のいずれかにおいて、変速操作具の操作領域が中立位置の両側に前進領域と後進領域とを各別に設けて構成され、前進領域内及び後進領域内の夫々において、前記変速操作具が、前記中立位置から遠ざかる方向に操作されると無段変速装置が増速され、前記中立位置に近づく方向に操作されると無段変速装置が減速されるように構成され、走行状態を前進状態と後進状態とに切り換える前後進切換機構が変速操作具により中立位置で切り換え操作自在に設けられ、制御手段は、低速復帰動作として、変速操作具を中立位置側に操作させるべくアシスト手段を作動させるように構成されている。
【0019】
つまり、変速操作具による中立位置での切り換え操作によって前後進切換機構が前進状態と後進状態とに切り換えられ、変速操作具を前進領域内において中立位置から遠ざかる方向に操作すると前進増速状態となり、後進領域内において中立位置から遠ざかる方向に操作すると後進増速状態となる。そして、変速操作具が前進領域あるいは後進領域にあるときに、低速復帰動作を実行するときは、中立位置側に操作させることになる。
【0020】
従って、変速操作具を中立位置から異なる方向に操作させるだけで前後進夫々に増減速操作することができるものでありながら、車体停止状態から走行状態に切り換わったときにおける走行上の安全性を確保できるものとなる。
【0021】
請求項5に記載の特徴構成によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、操作状態検出手段は、減速操作検出用の感圧センサと、増速操作検出用の感圧センサとを、変速操作具と無段変速装置の変速部との機械的連係機構中に、変速操作具の操作により加圧される状態で配設して構成されているので、変速操作具の操作により加圧されることで操作状態を検出する一対の感圧センサを機械的連係機構中に備えるという簡素な構成で、変速操作具の操作状態を検出することができる。
【0022】
請求項6に記載の特徴構成によれば、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記無段変速装置がベルト式の無段変速装置で構成されている。ベルト式の無段変速装置においては、中立域(車体が走行しない領域)が比較的広いが、このように中立域が広い場合であっても、車体の発進時に変速操作具を予め中立位置から少し増速側の操作位置に操作させておくことができ、操縦操作性を向上できるものとなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る作業車の走行変速構造について、作業車としてのコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
図3は作業車の一例であるコンバインの伝動系を示しており、原動部としてのエンジン1からの動力が、ベルトテンション式の脱穀クラッチ45を介して脱穀装置46に伝達されるとともに、テンションクラッチを備えたベルト伝動機構2を介して、ベルト式の無段変速装置3の入力プーリ4に伝達される。無段変速装置3からの動力がミッションケース5を介して、左右のクローラ式走行装置6に伝達される。
【0024】
図5にミッションケース内の伝動構造を示している。
無段変速装置3の動力は、その出力軸60から第1伝動軸61及び油圧式の前進クラッチFCの入力ギヤ62及び油圧式の後進クラッチRCの入力ギヤ63に順に伝達される。前進クラッチFC及び後進クラッチRCの出力ギヤ64,65は、第2伝動軸66の入力ギヤ67に咬合している。つまり、前進クラッチFCに作動油を供給してこれを入り操作すると、第1伝動軸61からの動力が入力ギヤ62、前進クラッチFC及び出力ギヤ64を介して、前進状態で第2伝動軸66に伝達される。逆に、後進クラッチRCに作動油を供給してこれを入り操作すると、第1伝動軸61からの動力が入力ギヤ62,63、後進クラッチRC及び出力ギヤ65を介して、逆転の後進状態で第2伝動軸66に伝達される。このようにして、前後進切換装置Bが構成される。
【0025】
第2伝動軸66にはシフトギヤ68がスプライン構造にてスライド操作自在に外嵌されており、これに対する第3伝動軸69には高速ギヤ70、中速ギヤ71及び低速ギヤ72が固定されている。これによりシフトギヤ68をスライド操作し、高速ギヤ70に咬合する高速ギヤ73、中速ギヤ71又は低速ギヤ72に咬合させて動力を高中低の3段に変速するのであり、この動力は出力ギヤ74から伝動ギヤ75に伝達される。この構成が副変速装置に対応する。
伝動ギヤ75を支持する支持軸76には右及び左のサイドギヤ77が相対回転自在に外嵌されており、左右の車軸78の入力ギヤ79が左右のサイドギヤ77に常時咬合している。支持軸76の左右両端において左右のサイドギヤ77とミッションケース5との間に多板式のサイドブレーキ80が設けられており、バネ81によりサイドギヤ77が伝動ギヤ75との咬合側に付勢されている。
【0026】
左右のサイドギヤ77を伝動ギヤ75に咬合させていると、第3伝動軸69からの動力が伝動ギヤ75及び左右のサイドギヤ77を介して、左右のクローラ式の走行装置6に伝達されて機体は直進する。そして、右又は左のサイドギヤ77を伝動ギヤ75から離し操作し、サイドクラッチC,Cを切り操作したのち、サイドギヤ77でサイドブレーキ80を押圧入り操作すると、一方の走行装置6に制動が掛かり機体は信地旋回することになる。
【0027】
又、大小一対のギヤを備えたギヤ対82が第1伝動軸61に相対回転自在に外嵌されており、ギヤ対82の大径のギヤが前進クラッチFCの出力ギヤ64に咬合している。機体前部の刈取部8に動力を伝達する出力プーリー83を支持する出力軸84に、シフトギヤ85がスプライン構造にてスライド操作自在に外嵌されている。
これにより、シフトギヤ85をスライド操作して、ギヤ対82の大径及び小径のギヤに咬合させることにより、刈取部への動力を高低2段に変速操作することができる。
【0028】
次に、左右のサイドギヤ77を独立にスライド操作して機体の操向操作を行う一対の油圧シリンダ86、及び、前後進切換装置Bの切換操作における油圧回路の全体について説明する。
図6に示すように、エンジン1にて駆動されるポンプ87,88の内の、一方のポンプ87からの作動油が、フロープライオリティバルブ89(余剰流側)及び第1切換弁90を介して、左右のサイドギヤ77に対する油圧シリンダ86に供給されており、フロープライオリティバルブ89と第1切換弁90との間に可変リリーフ弁91が接続されている。そして、フロープライオリティバルブ89の制御流側の作動油が、第2切換弁92を介して前進クラッチFC及び後進クラッチRCに供給されており、第2切換弁92に対して前進及び後進クラッチFC,RCの圧力確保用のリリーフ弁93が接続されている。第2切換弁92は後述するように無段変速装置3の変速レバー26の中立位置での操作によって切り換わるように連係されている。
リリーフ弁93からの戻り油は前後進クラッチFC,RCの摩擦多板の潤滑油として利用すべく油路を形成している。潤滑油として使用するには、0.1〜0.3Kg/cm2 程度の圧力を必要とするので、油路bに圧力確保用のリリーフバルブ94を設けてある。図中95は、アキュムレータであり、図中96は、油圧ポンプ87からフロープライオリティバルブ89への圧油供給経路に介装されたもので、動力入切手段としての前後進クラッチFC,RCより油タンクTに圧油を戻し、コンバインの走行停止を行う為のアンロードバルブである。このアンロードバルブ96には、ペダル操作具97が連係されており、バルブを切り換えるだけの操作力で操作すればよく、走行停止状態を容易迅速に切り換えられるように構成してある。さらに、このペダル操作具97には、左右の走行装置6を制動する制動装置としての駐車ブレーキ98も連係してあり、一つの操作具への操作によって伝動を切るとともに駐車ブレーキ98を効かすこともできるようになっている。つまり、軽い踏み込みによって走行停止状態(クラッチ切り)を得ることができるとともに、強く踏み込むと駐車ブレーム98が効くようになる。従って、ペダル操作具97が切換操作手段に対応する。尚、ペダル操作具97が踏み込み操作されたことを検出する停止検出手段としてのセイフティスイッチ99が設けられている。
【0029】
次に、ベルト式の無段変速装置3及びその変速操作構造について説明する。
図2に示すように、無段変速装置3は、入力プーリ4が固定された入力軸9に第1割りプーリ11を備え、出力軸10に第2割りプーリ12を備えて、第1及び第2割りプーリ11,12に亘り伝動ベルト13が巻回されている。第1及び第2割りプーリ11,12は、入力軸9及び出力軸10に一体的に形成されるプーリ部分14,14、及び軸芯方向に移動自在なプーリ部分15,15の夫々から構成されており、第2割りプーリ12の移動側のプーリ部分15はバネ16で固定側のプーリ部分14側に付勢され、出力軸10側の負荷が大きくなるのに比例して移動側のプーリ部分15を固定側のプーリ部分14に押すカム機構17が設けられている。
【0030】
第1割りプーリ11の移動側のプーリ部分15にベアリングを介してリング部材18が外嵌され、リング部材18に固定された一対のピン18aがその外周部にローラ18bが遊転自在に外嵌された状態で、無段変速装置3のケース側の凹部19に入り込んで、リング部材18が凹部19に沿って入力軸9の軸芯方向に移動可能な状態で回り止めされている。そして、円筒状のカム部材20がベアリングを介して入力軸9に外嵌されており、図4にも示すように、このカム部材20には、直線状の底部20aと左右対象な一対の傾斜面20bとで構成された凹部が一対形成されており、リング部材18のピン18aのローラ18bが、カム部材20の一対の凹部に入り込んでいる。このピン18a及びローラ18bが接当案内部SOに相当する。
【0031】
図2及び図4に示す状態は、第1割りプーリ11の移動側のプーリ部分15が固定側のプーリ部分14から紙面左方に最も離れ、第2割りプーリ12の移動側のプーリ部分15が固定側のプーリ部分14に最も接近した最低速位置の状態である。
この状態からカム部材20を正逆いずれかの方向に回転させると、接当案内部SOが傾斜面20bに乗り上げてリング部材18及び第1割りプーリ11の移動側のプーリ部分15が、固定側のプーリ部分14側に押し操作されて接近し、第1割りプーリ11での伝動ベルト13の巻回半径が大きくなっていく。これに伴って第2割りプーリ12の移動側のプーリ部分15が、固定側のプーリ部分14から紙面右方に離れていくのであり、無段変速装置3が高速側に変速操作されていく。
【0032】
無段変速装置3の外側においてカム部材20の端部にボス部材21が固定され、ボス部材21に扇型ギヤ22が固定されている。又、図1に示すように、機体の固定部にアシスト手段としての電動モータ23が固定され、平ギヤによる減速機構24が電動モータ23に備えられており、減速機構24のピニオンギヤ24aが扇型ギヤ22に咬合している。ボス部材21にリング部材25が遊転自在に外嵌されており、このリング部材25に対して人為操作される変速レバー26(変速操作具に相当)が入力軸9の軸芯周りで一体的に回動自在に、且つ、図2にて紙面左右方向(図1では紙面前後方向)に相対揺動自在に支持されている。
又、リング部材25のアーム25aのピン25bが、扇型ギヤ22の開孔22aに入り込んでおり、変速レバー26の回動操作に伴って、このピン25bと開孔22との連係を介して扇型ギア22即ちカム部材20が一体的に回動操作されるように連係されている。つまり、変速部としてのカム部材20は、変速レバー26と一体移動するように機械式連係機構を介して連係され、正逆方向に作動可能に構成されている。
【0033】
この変速レバー26は十字方向に揺動操作自在で、図8に示すように、レバーガイドの前進変速用ガイド溝44a、後進変速用ガイド溝44c及び、操作状態切り換え用段差部分を形成する中間ガイド溝44bの夫々に沿わせて揺動操作でき、前進変速用ガイド溝44a又は後進変速用ガイド溝44cにおいて、減速側操作方向(中立位置側への操作)に沿って操作される際に、前進変速用ガイド溝44a・後進変速用ガイド溝44cの内縁kにおいて、走行中立状態に対応する位置で変速レバー26が強制的に受止め規制され、過剰操作によって前後逆方向の走行状態に切換わることがないよう構成されている。又、前進域Fの最高速位置(上限位置)Fmax及び後進域Rの最高速位置(上限位置)Rmaxでも、前進変速用ガイド溝44a、後進変速用ガイド溝44cの内縁にて受止め規制されるようになっている。
【0034】
扇型ギア22には、ゴム状の一対の感圧センサとしての感圧スイッチ27,28が、開孔22aに入り込むピン25bを挟み込むように設けられている。又、前後進切換装置Bを前進位置、後進位置及び中立停止位置に切り換え操作する第2切換弁93が、扇型ギヤ22に設けられた案内カム機構47とプッシュプルワイヤ30を介して扇型ギア22に連係されている。つまり、案内カム機構47による案内作用によって、変速レバー26を前進域Fに操作すると前後進切換装置Bを前進位置に切り換え、中立域Nに操作すると前後進切換装置Bを中立停止位置に切り換え、後進域Rに操作すると前後進切換装置Bを後進位置に切り換えるようにプッシュプルワイヤ30により連動連係されている。
【0035】
無段変速装置3側の固定壁43にポテンショメータ41を取付けるとともに、このポテンショメータ41から延びる揺動レバー42の先端側の横向きピン42aを、扇型ギヤ22に形成した長孔22bに挿通させて、無段変速装置3の変速状態、つまり、カム部材20の位置に対応する出力が得られるようになっている。説明を加えると、実際の作業走行を行う前に、具体的には生産ラインでの出荷前に、変速レバー26を操作領域の一端部から中立位置を介して他端側に向けて操作したときの、一端部、中立位置、他端部の夫々におけるポテンショメータ41の実際の検出値を逐次、変速域の後進側最大速度に対応する検出値VRm、中立位置に対応する検出値Vn、変速域の前進側最大速度に対応する検出値VFm(図8参照)として読み取り、夫々の検出値を記憶手段としての不揮発性メモリMに記憶させるとともに、それらのうち、検出値VRm(約0.2ボルト)を零とし、検出値VFm(約4.8ボルト)を256ポイントとして、その中間の電位を1ポイント単位で検出することができるようになっている。
【0036】
図7に示すように、電動モータ23に対する制御情報を指令する制御装置31が備えられ、この制御装置31は、マイクロコンピュータを備えて構成され、各種の入力情報に基づいて、予め設定記憶されている制御プログラムにて所定の制御を実行するように構成されている。
制御装置31からの制御情報により前進側の駆動状態に切換操作される(即ち、変速レバー26が、図1において反時計周りである正転側に揺動するように切換操作される)第1電磁リレー32、後進側の駆動状態に切換操作される(即ち、変速レバー26が、図1において時計周りである逆転側に揺動するように切換操作される)第2電磁リレー33、第1,2電磁リレー32,33の励磁駆動用のトランジスタ35,36、制御装置31からの制御信号に基づいて電動モータ23に供給する電流量を調整する電流調整用トランジスタ37、電動モータ23に通流する実電流値を両端電圧値として検出する基準抵抗器38、基準抵抗器38の両端電圧を直流信号に変換して電動モータ23に対する電流検出情報として制御装置31に入力するための平滑回路39等が備えられている。
【0037】
基準抵抗器38と平滑回路39とにより電流検出手段としての電流検出回路が構成され、0アンペア〜5アンペアの検出範囲で電流値を検出するように構成されている。
ポテンショメータ41の検出値(電圧値)がアナログ信号にて制御装置31に入力されるが、そのアナログ信号は、上述したように全ストローク範囲(0.2ボルト〜4.8ボルト)が256ビットの分解能にてアナログ/デジタル変換されて、制御に用いられるようになっている。
【0038】
制御装置31に対しては、各感圧スイッチ27,28、ポテンショメータ41の検出値が入力されると共に、エンジン回転数センサ50の検出値も入力されるようになっている。
次に変速レバー26の人為操作による変速操作について説明する。
制御装置31は、各感圧スイッチ27,28のいずれかがON操作され、変速レバー26が人為的に正逆いずれかの方向に操作されていることが検出されると、その人為操作方向に向けてアシスト力が与えられるように、電動モータ23にアシスト操作電流を供給するように構成され、電動モータ23のアシストにより変速操作を軽い操作力で適正に行えるようになっている。従って、各感圧スイッチ27,28により操作状態検出手段が構成されることになる。又、各感圧スイッチ27,28の検出情報に基づいて変速レバー26が人為的に操作されていないことが検出されると、無段変速装置3が中立位置への復帰付勢力により変速状態が変化することを阻止すべく、電動モータ23に保持電流を供給するように構成されている。
更に、各感圧スイッチ27,28の検出情報、並びに、電流検出回路の検出情報に基づいて、保持電流の供給量を適正値に調整するように構成されている。
具体的には、アシスト操作電流としては、電流調整用トランジスタ37に対してON状態を維持するように一定電圧を出力させ、保持電流の供給状態では、電流調整用トランジスタ37に対してパルス電圧にて間欠的にON/OFF状態を繰り返し、そのON時間の調整(デューティ比制御)を行い電流量を調整するようになっている。尚、電動モータ23の正逆の動作方向は、各感圧スイッチ27,28のON操作に基づいて、いずれかの電磁リレー32,33が電源供給状態に切り換わって電動モータ23の回転方向が規定されるようになっている。
【0039】
しかも、感圧スイッチ27,28により変速レバー26の操作方向が増速方向と減速方向とのいずれの方向でもある両側操作状態、具体的に説明すると、正転側の感圧スイッチ(以下、正転スイッチという)27と、逆転側の感圧スイッチ(以下、逆転スイッチという)28との共にONする状態が検出されると、制御装置31は、その後の感圧スイッチ27,28による検出情報にかかわらず、変速レバー26を走行停止位置に到るまで減速側に操作させるべく電動モータ23を作動させ、且つ、電動モータ23の増速方向への作動を行わないように構成されている。
このように各スイッチ27,28が共にONする状態(両側操作状態)は、スイッチの故障等の異常状態であるから、このような場合には、変速レバー26を強制的に中立位置に戻すように移動操作させて、その後は増速用のアシスト作動を行わないようにして使用上の安全性を確保している。
【0040】
又、制御装置31は、セイフティスイッチ99の検出結果に基づいて車体停止状態であれば、変速レバー26を減速側に操作させるべく電動モータ23を作動させる低速復帰動作を実行するとともに、この低速復帰動作を実行しているときに、ポテンショメータ41の判別結果により変速レバー26が設定位置よりも低速側の操作位置に至ったことが検出され、且つ、感圧スイッチ27,28により変速レバー26が増速方向へ操作されたことが検出されると、前記低速復帰動作を停止させるように構成されている。
【0041】
次に、制御装置31の制御動作について、図9〜図14に示すフローチャートに基づいて説明する。尚、この制御フローチャートは10msecに1回、繰り返して実行するようになっている。
制御が開始されると、先ず、エンジン回転数Neが500rpmを越えているか否か、つまり、エンジン1が正常に回転しているか否かを判断する(ステップ1)。ベルト無段変速装置3はエンジン1が回転していない状態では変速操作が非常に重く、この状態で電動モータ23を作動させると電動モータ23や駆動回路等が損傷するおそれがあるからである。
エンジン1が回転していれば、図示しない指示スイッチにてレバー位置記憶モードに設定されているか否かが判断される(ステップ2)。但し、このモードは、工場出荷段階で実行されるものであり、通常のコンバイン使用者は実行しないようになっている。レバー位置記憶モードが指示されていると、レバー位置記憶処理を実行する(ステップ3)。
つまり、操作者が、変速レバー26を後進側最高速位置、中立位置、前進側最高速位置の夫々に移動操作させて、夫々の操作位置におけるポテンショメータ41の検出値(VRm、Vn、VFm)を読み込み、不揮発性メモリMにデジタルデータとして書き込み記憶する。尚、このように変速レバー26を各位置に移動操作させる場合、前進側最高速位置に向けて操作するときには、電動モータ23によるアシスト操作は、最大アシスト力による操作ではなく、約40パーセントのデューティ比にて操作するようにしており、大きな操作力で牽制部材57が撓み変形して、適正な上限規制位置から外れた位置で、前進側最高速位置のポテンショメータ41の検出値VFmを誤って書き込み記憶することを未然に防止するようにしている。
【0042】
そして、このようなレバー位置記憶モードが指示されていなければ手動変速モードに移行する。
尚、変速レバー26を中立域Nの一端から前進側の範囲に操作すると、プッシュプルワイヤ30及び第2切換弁92により、前後進切換装置Bが前進位置に操作され、変速レバー26を中立域Nの他端から後進側の範囲に操作すると、プッシュプルワイヤ30及び第2切換弁92により、前後進切換装置Bが後進位置に操作されることになる。
【0043】
変速レバー26が正転側に操作され、ピン25bにより正転スイッチ27が押圧されてON状態になると(ステップ4)、図10に示すように、先ず、逆転スイッチ28もONとなる両側ON状態(両側操作状態)になっていないか否かを判断する(ステップ5)。そして、両側ON状態が継続して300msec以上継続した場合には、スイッチがON故障している異常状態であると判断して、その後の両スイッチ27,28の検出情報にかかわらず、変速レバー26が減速方向(中立位置に向かう方向)に移動操作すべく電動モータ23を作動させる(ステップ6,7)。そして、ポテンショメータ41の検出情報に基づいて変速レバー26が中立域Nにまで操作されると、電動モータ23による減速作動を停止し、電動モータ23の両側端子を共に接地状態として、正転スイッチ27、逆転スイッチ28の検出に基づく電動モータ23の作動を行わない状態とする(ステップ8,9,10)。尚、この場合、動作異常であることを例えば操縦部に備えた図示しない表示手段にて操縦者に報知するようにしている。又、電動モータ23が両端接地している状態では、操作は重くなるが、変速レバー26を人為操作力によって操作して無段変速装置3を変速操作することは可能である。
【0044】
そして、このような両側ON状態が無く、正転スイッチ27が押圧されてON状態になると、ポテンショメータ41の検出情報に基づいて、変速レバー26の操作位置が前進上限位置Fmaxや中立域Nでなく、逆転側の作動が終了して200msec以上経過していれば、アシスト操作電流を供給して電動モータ23を正転側に高速で駆動する(ステップ11,12,13)。つまり、トランジスト37を連続ON状態にして電動モータ23を最大アシスト力で作動させる。又、図11に示すように、逆転スイッチ28がONすると、正転スイッチ27の場合と同様にして電動モータ23を逆転側に高速で駆動する(ステップ19〜23)。
【0045】
正転スイッチ27がON状態になったときに変速レバー26が前進上限位置Fmaxにある場合や、逆転スイッチ28がON状態になったときに変速レバー26が後進上限位置Rmaxにある場合には、電動モータ23によるアシスト作動は行わない(ステップ11、ステップ20)。尚、変速レバー26の中立域Nにおいて、変速レバー26がガイド溝の内縁kに接当して、ハンチングを起こすおそれがあるので、このような中立域Nであれば、正転スイッチ27(逆転スイッチ28)のON操作が前回の逆方向作動が終了した後に、100msec以内に行われた場合には、ON操作しているスイッチがOFFするまで微速で電動モータ23を作動させるようにしている(ステップ12,15,16,17,18、ステップ21,24,25,26,27)。
【0046】
変速レバー26が操作されていない状態(いずれのスイッチもOFFしている状態)では、その後、無段変速装置3の中立復帰力に抗して、現在の変速位置に保持されるように、電動モータ23に保持電流を供給して、この電動モータ23による保持力(保持用の操作力)と、無段変速装置3の中立復帰力(接当案内部SOの移動付勢力)とが均衡して位置保持されるように位置保持制御する(ステップ28)。尚、詳述はしないが、上述したような中立復帰力は、変速状態によって変化するので、変速状態に応じて異なった保持力を初期設定すると共に、ポテンショメータ41の検出状態や電流検出回路の検出状態に基づいて、適正値になるように保持電流を調整するようになっている。
【0047】
そして、次のような自動減速制御を実行する(ステップ29)。つまり、図12〜図14に示すように、ペダル操作具97の踏み込み操作に伴ってセイフティスイッチ99がON操作されると、そのON操作は、エンジン始動用のスイッチを兼用するメインスイッチがON操作(つまり、コンバインの各電装機器への電源供給が開始)されてから第1回目の操作であるか、又は、第1回目でなくてもそのときのエンジン回転数Neが1900rpmを越えている刈取作業状態であり、且つ、ポテンショメータ41の検出値が適正検出範囲内であって正常であることが確認されると、後述するような減速操作を実行する(ステップ30,31,32,33)。尚、セイフティスイッチ99がON操作されていない場合、エンジン回転数が1900rpmを越えていない非作業状態である場合、ポテンショメータ41の検出値が適正検出範囲内でなく動作異常である場合には、減速操作を実行しないようにしている。ポテンショメータ41の検出値が適正検出範囲内であるか否かの判断は、検出値が0.2ボルト〜4.8ボルトの間にあるか否か、つまり、断線や短絡が生じていないか否かによって判断している。
【0048】
ペダル操作具97が操作されたとき、ポテンショメータ41の検出情報に基づいて、変速レバー26が前進域あるいは後進域の高速域F1,R1(図8参照)にあれば、電動モータ23に操作電流を供給して、変速レバー26を中立域N側に向けてゆっくりと減速方向(中立位置に向かう方向)に移動操作させる減速作動を実行する(ステップ34,35)。この動作が低速復帰動作に相当する。
【0049】
変速レバー26が前進域、後進域の第1微速域F2,R2(図8参照)にあれば、基本的には前記減速作動を続行するが、この領域では、その途中で変速レバー26が増速方向に人為操作されたことが検出されると、そのときに減速作動を停止して、その後、減速側へのレバー操作があればそれに伴って減速作動を実行する(ステップ36〜41)。
【0050】
又、変速レバー26が前進域或いは後進域の第2微速域F3,R3(図8参照)にあれば、基本的には前記減速作動を続行するが、この領域では、その途中で変速レバー26が増速方向に人為操作されたことが検出されると、そのときに減速作動を停止して、その後、減速側へのレバー操作があればそれに伴って減速作動を実行し、増速側へのレバー操作があればそれに伴って増速作動を実行することになる(ステップ42〜49)。
【0051】
そして、変速レバー26が中立域N内に入ると、前記減速作動を停止して、その後、減速側へのレバー操作があればそれに伴って減速作動を実行し、増速側へのレバー操作があればそれに伴って増速作動を実行することになる(ステップ42,45〜49)。
【0052】
従って、前記第1微速域F2,R2が第1操作領域に相当し、第2微速域F3,R3が第2操作領域に相当する。そして、高速域F1,R1と、第1微速域F2,R2との境目が設定位置に相当し、前進クラッチFC(後進クラッチRC)が入り状態で変速レバー26をこの設定位置よりも低速側に操作すると、走行速度が極低速の微速状態となり、この変速位置でペダル操作具97を走行状態に切り換えて車体を発進させても急激な発進はせず、且つ、前進クラッチFC(後進クラッチRC)に過大な負荷がかかる等の不利はなく、走行上の安全性は確保できる。
【0053】
尚、上記した減速作動はセイフティスイッチ99がONしている間、つまり、ペダル操作具97が踏み込み操作されている間は実行することになり、セイフティスイッチ99がOFFするか、エンジン回転数Neが1900rpm以下になれば、減速作動を停止してステップ1にリターンする。
【0054】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、増速方向のアシスト作動を禁止する第1操作領域と増速方向のアシスト作動を許容する第2操作領域とを設ける構成を例示したが、このような構成に代えて、次のような構成としてもよい。
前記設定位置よりも低速側の操作位置においては全範囲において、正転スイッチ27により変速レバー26が人為的に増速方向へ操作されたことが検出されると、低速復帰動作を停止させて増速側に操作させるアシスト作動を許容する構成である。
【0055】
(2)上記実施形態では、無段変速装置としてベルト式無段変速装置を用いて、変速レバーの中立位置での切換操作により前後進切換装置を切り換えることで、変速レバーの操作で前後進の変速操作を行えるようにした場合を例示したが、この構成に代えて、静油圧式無段変速装置(HST)を用いてもよく、摩擦式無段変速装置でもよい。
又、変速レバーの操作によって前後進夫々に増減速操作可能なものに代えて、一定回転方向の伝動系に設けられた無段変速装置、つまり、増減速のみを行う変速操作構造にも適用できる。
【0056】
(3)上記実施形態では、操作状態検出手段として一対の感圧スイッチで構成するものとしたが、リミットスイッチで構成してもよく、光学式センサを用いて構成してもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、アシスト手段として電動モータを用いたが、油圧モータやエンジンの駆動力を用いた駆動機構を用いるものであってもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、停止検出手段として、ペダル操作具97が踏み操作されたことを検出するセイフティスイッチ99にて構成したが、このような構成に代えて、前進クラッチFC等のクラッチ操作状態と駐車ブレーキ98の操作状態とを直接検出するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】変速操作構成を示す側面図
【図2】ベルト無段変速装置の断面図
【図3】コンバインの伝動系を示す図
【図4】カム機構の側面図
【図5】ミッションケース内の伝動構造を示す図
【図6】走行操作用の油圧回路構成図
【図7】電気回路ブロック図
【図8】変速レバーの操作域を示す図
【図9】制御動作のフローチャート
【図10】制御動作のフローチャート
【図11】制御動作のフローチャート
【図12】制御動作のフローチャート
【図13】制御動作のフローチャート
【図14】制御動作のフローチャート
【符号の説明】
3 無段変速装置
20 変速部
23 アシスト手段
26 変速操作具
27,28 操作状態検出手段
31 制御手段
97 切換操作手段
98 制動装置
99 停止検出手段
B 前後進切換機構
FC,RC 動力入切手段
Claims (6)
- エンジンから走行装置への動力を変速する走行用の無段変速装置と、エンジンから走行装置への伝動を断続自在な動力入切手段と、前記走行装置に制動を与える制動装置と、前記動力入切手段が伝動切り状態で且つ前記制動装置が作用状態となる車体停止状態と前記動力入切手段が伝動入り状態で且つ前記制動装置が非作用状態となる走行状態とに人為操作により切換自在な切換操作手段と、前記無段変速装置の変速部に機械的に連動連結されて人為的に正逆に操作される変速操作具の増速方向及び減速方向の操作に対してアシスト力を与えるアシスト手段と、前記変速操作具の変速操作位置を判別する位置判別手段と、前記変速操作具が人為的に操作されていること、及び、その操作方向を検出する操作状態検出手段と、この操作状態検出手段の検出情報に基づいて前記変速操作具の操作方向にアシスト力が与えられるように前記アシスト手段を作動させる制御手段とが設けられている作業車の走行変速構造であって、
前記車体停止状態であるか否かを検出する停止検出手段が備えられ、
前記制御手段は、
前記停止検出手段の検出結果に基づいて前記車体停止状態であれば、前記変速操作具を減速側に操作させるべく前記アシスト手段を作動させる低速復帰動作を実行するとともに、
前記低速復帰動作を実行しているときに、前記位置判別手段の判別結果により前記変速操作具が設定位置よりも低速側の操作位置に至ったことが検出され、且つ、前記操作状態検出手段により前記変速操作具が増速方向へ操作されたことが検出されると、前記低速復帰動作を停止させるように構成されている作業車の走行変速構造。 - 前記制御手段は、
前記低速復帰動作を実行しているときに、前記位置判別手段の判別結果により前記変速操作具が設定位置よりも低速側の操作位置に至ったことが検出され、且つ、前記操作状態検出手段により前記変速操作具が人為的に増速方向へ操作されたことが検出されると、前記低速復帰動作を停止させるとともに、前記変速操作具を増速側に操作させるべく前記アシスト手段を作動させるように構成されている請求項1記載の作業車の走行変速構造。 - 前記制御手段は、
前記変速操作具における前記設定位置に隣接して低速側に位置する第1操作領域においては、前記低速復帰動作を実行しているときに、前記変速操作具の増速方向への操作に伴い前記低速復帰動作を停止させるとともに、前記アシスト手段の増速方向の作動を禁止し、
前記第1操作領域よりも低速側に位置する第2操作領域においては、前記低速復帰動作を実行中に、前記変速操作具の増速方向への操作に伴い前記低速復帰動作を停止させるとともに、前記変速操作具を増速側に操作させるべく前記アシスト手段を作動させるように構成されている請求項1又は2記載の作業車の走行変速構造。 - 前記変速操作具の操作領域が中立位置の両側に前進領域と後進領域とを各別に設けて構成され、
前進領域内及び後進領域内の夫々において、前記変速操作具が、前記中立位置から遠ざかる方向に操作されると前記無段変速装置が増速され、前記中立位置に近づく方向に操作されると前記無段変速装置が減速されるように構成され、
走行状態を前進状態と後進状態とに切り換える前後進切換機構が前記変速操作具により前記中立位置で切り換え操作自在に設けられ、
前記制御手段は、
前記低速復帰動作として、前記変速操作具を前記中立位置側に操作させるべく前記アシスト手段を作動させるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車の走行変速構造。 - 前記操作状態検出手段は、
減速操作検出用の感圧センサと、増速操作検出用の感圧センサとを、前記変速操作具と前記無段変速装置の変速部との機械的連係機構中に、前記変速操作具の操作により加圧される状態で配設して構成されている請求項1〜4のいずれか1項記載の作業車の走行変速構造。 - 前記無段変速装置がベルト式の無段変速装置で構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車の走行変速構造。
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