JP3550968B2 - トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤 - Google Patents
トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電潜像を現像する時に使用される静電荷像現像用マゼンタトナー母粒子、及び該トナー母粒子を使用して形成される現像剤に関する。詳しくは複写等を行った時に、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用マゼンタトナー母粒子、及び該マゼンタトナー母粒子を使用して形成されたマゼンタトナー並びにマゼンタ現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機及びプリンター等に於いてフルカラー画像への展開が急速に進みつつあり、その実用化も大きくなされている。しかし写真や印刷物等と比較すると、現在実用化されているフルカラー電子写真画像は、必ずしも満足し得る画質まで到達しているとは言い難い。また近年、コンピュータやハイビジョン等の進歩発展により、更に高精細なフルカラー画像を形成する方法が強く要望されている。この為に、フルカラー電子写真画像を更に高品質化することが強く求められている。
【0003】
電子写真法は、一般に静電潜像をトナーを用いて現像する。その方法には大きく分類して、トナーをキャリアと呼ばれる媒体に少量分散させた二成分系現像剤を用いる方法と、キャリアを用いない一成分系現像剤を用いる方法がある。フルカラーの電子写真の場合、キャリアとトナーを混合攪拌して用いる二成分系現像剤がしばしば使用される。
【0004】
フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は、一般に3原色であるマゼンタ、シアン、イエローの3色、好ましくは墨入れ用としてブラックの4色のカラートナーを用いて全ての色の再現を行うものである。その方法は例えば、先ず原稿からの光をアナログ又はデジタル的に色分解し、感光体の光導電層に導き、1色目の静電潜像を形成する。続いて現像、転写工程を経てトナーは、紙等の被記録体上に保持される。更に2色目以降についても前述の工程を順次複数回行い、同一被記録体上に複数色のトナーが重ね合わせられ、一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0005】
フルカラー複写機やフルカラープリンター等を使用して、オーバー・ヘッド・プロジェクター(以下、OHPと省略する。)用シートの様な透明基材上にフルカラー画像を形成することも増加してきた今日、フルカラーの画像形成に供されるトナーには、従来の最も一般的な黒色のトナーの場合と同様に、種々の特性、例えば安定した帯電性や良好な流動性が求められる他に、透明性、鮮明性、色再現性等がさらに要求される。
即ち、フルカラー画像は、上記したように被転写材上に複数色のトナーが重ね合わせられる事によって得られる為に、個々のトナーの光透過性が不足すると、色再現性が悪化し、鮮明な画像を得ることが困難となる。特にOHP用シートの様な透明基材上にフルカラー画像を形成した時にこの現象は著しく、良好な透明画像が得難い。
【0006】
その対策として顔料の分散の程度を上げる、即ちトナー中の顔料粒径をより小さくすることが考えられる。一般に顔料の粒子径を小さくして分散度を上げていくと顔料分散体の透明性が向上する。しかし、サンドミル、3本ロールミル、ボールミル、エクストルーダー等の通常の分散機は、主に顔料の二次粒子(一次粒子が弱く凝集している)を壊して一次粒子にするだけであり、これら通常の分散機では顔料をより微細化することは困難である。高速のサンドミル等を用いることによって、顔料の種類によってはさらに顔料を微細化することも可能ではあるが、非常に多大なエネルギーを必要とする。
【0007】
顔料を微細化する他の方法として、顔料と固形樹脂を加熱しながら2本ロールやバンバリーミキサー等で強力に練り込む方法も知られている。しかし、顔料は一般に高温下では結晶成長するので、かかる方法では機械的な破砕と結晶成長とが平衡状態になった時に終点となり、顔料の微細化には限界がある。
【0008】
更に顔料の一次粒子を細かくする方法として、顔料と食塩等の水溶性無機塩の混合物を少量の溶剤で湿潤したものを、ニーダー等で強く練り込んだ後、無機塩と溶剤を水洗除去、乾燥して一次粒子の細かい顔料を得る方法(以下、この方法をソルトミリングという)がある。しかしこの方法でも塩による破砕の為に高温に成り易く、耐熱性の劣るナフトール顔料は容易に結晶成長して大きな粒子に成り易い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の方法の問題点を解決し、フルカラーの複写機やプリンター等を使用してフルカラー画像を形成した時に、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用マゼンタトナー母粒子、及び該マゼンタトナー母粒子を用いて成るマゼンタトナー並びに該マゼンタトナーとキャリアを含有するマゼンタ現像剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ナフトールAS類とアニリン誘導体とをカップリングする際、下記一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物を添加して得られるナフトール顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、及び水溶性の溶剤(C)少なくとも3つの成分からなる混合物を機械的に混練してナフトール顔料(A)を微細化し、その後水溶性の無機塩(B)及び水溶性の溶剤(C)を水洗除去して得られる処理顔料(D)を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー母粒子である。
【0011】
一般式(1)
【化3】
【0012】
(式中、R1 、R2 、R3 は、それぞれ独立に、H、CH3 、OCH3 、OC 2H 5、Cl、NO2 、SO3 H、SO3 M、COOH、COOMを表し、但し、R1 、R2 、R3 の少なくとも1つは、SO3 H、SO3 M、COOH、COOMを表し、MはNa元素を表す。)
【0013】
一般式(2)
【化4】
【0014】
(式中、R4 、R5 、R6 は、それぞれ独立に、H、CH3 、OCH3 、OC 2H 5、Cl、NO2 、SO3 H、SO3 M、COOH、COOMを表し、但し、R4 、R5 、R6 の少なくとも1つはSO3 H、SO3 M、COOH、COOMを表し、MはNa元素を表す。)
【0015】
第2の発明は、水溶性の溶剤(C)に対して、水溶性の無機塩(B)を重量比で2〜20倍使用することを特徴とする第1の発明記載の静電荷像現像用トナー母粒子である。
【0016】
第3の発明は、第1又は第2の発明記載の静電荷像現像用トナー母粒子と、外添剤とを混合して成ることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
【0017】
第4の発明は、第3の発明記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを混合して成ることを特徴とする現像剤である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明のナフトール顔料(A)のカップラー成分であるナフトールAS類は、下記一般式(3)で表されるものである。
【0019】
一般式(3)
【化5】
【0020】
(式中、R11、R12、R13は、それぞれ独立に、H、CH3 、OCH3 、OC 2H 5、Cl、NO2 を表す。)
【0021】
ナフトールAS類の具体例としては、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−メチル−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−3’−ニトロ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−4’−メトキシ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−エトキシ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−4’−クロロ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−4’−クロロ−2’,5’−ジメトキシ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−−2’− メチル−5’−クロロ−アニリド等が挙げられる。
【0022】
本発明のナフトール顔料のベース成分であるアニリン誘導体は、下記一般式(4)で表されるものである。
【0023】
一般式(4)
【化6】
【0024】
(式中、R14、R15、R16は、それぞれ独立に、H、CH3 、OCH3 、Cl、NO2 、SO 2CH 2C6 H 5、SO 2NR7 R8 、CONR9 R10を表し、R7 、R8 、R9 、R10は、それぞれ独立に、H、C 2H 5、C6 H 5を表す。)
【0025】
アニリン誘導体の具体例としては、2−メトキシ−4−ニトロ−アニリン、2−ニトロ−4−メチル−アニリン、2−ニトロ−4−クロロ−アニリン、4−(N、N−ジエトキシ)−スルファモイル−O−アニシジン、4−ベンジル−スルホニル−O−アニシジン、2、4、5−トリクロロ−アニリン、3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアニリド、3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアニリド、2、5−ジメトキシ−アニリン−4−スルホ−アニリド等が挙げられる。
【0026】
本発明のナフトール顔料(A)は、カップラー成分である上記一般式(3)で示されるナフトールAS類と、ベース成分である上記一般式(4)で示されるアニリン誘導体とをカップリングせしめる際に、一般式(1)で示される酸性基を有するカップラー成分又は一般式(2)で示される酸性基を有するベース成分を混合カップリングすることにより得られるナフトール顔料である。
【0027】
混合カップリングによって得られた顔料は、化学構造が異なる分子が結晶構想中でランダムに配列するために、それぞれ別々にカップリングして得られた顔料と比較して粒子の大きさ、形、表面積、結晶性などが異なる。特に酸性を有するカップラー又は酸性を有するベースとの混合カップリングではその効果が著しく、ソルトミリング時での耐熱性に優れた微細な顔料が得られるものである。
【0028】
一般式(1)で示される酸性基を有するカップラーの具体例としては、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド−p−スルホン酸、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド−o−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド−m−スルホン酸アンモニウム、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルバモイル−アントラニル酸、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルバモイル−アントラニル酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルバモイル−アントラニル酸アンモニウム等が挙げられる。
【0029】
一般式(2)で示される酸性基を有するベースの具体例としては、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸、2−クロロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム、2−ニトロアニリン−p−スルホン酸アンモニウム、4−ニトロアントラニル酸、2−アミノ−4−ニトロ−5−クロロ安息香酸ナトリウム、アントラニル酸アンモニウム等が挙げられる。
【0030】
ジアゾ化の方法、カップリング方法は公知の方法で良い。酸性基を有するカップラー又は酸性基を有するベースの添加量は、ナフトールAS類又はアニリン誘導体に対して0.1〜30重量%、好ましくは1から10重量%である。この量が多いと顔料の分散に悪い影響を与え、少ないとニーディングの際の耐熱性に効果を十分に発揮出来ない。ジアゾとカップラーとのカップリングで得られたスラリーを用いるか、若しくはカップラーの溶解時に、溶解液中にロジンのナトリウム塩を加えてカップリングしたスラリーを80℃まで加熱攪拌し、30分放置後、濾過、水洗、乾燥、粉砕する。
【0031】
ソルトミリングに使用される水溶性の無機塩(B)としては、食塩、塩化カリウム、芒硝が挙げられる。
【0032】
又、ソルトミリングに使用される水溶性の溶剤(C)は、水溶性であれば特に限定されないが、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になる為に、安全性の点からも高沸点の溶剤が好ましい。2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコールが用いられる。
【0033】
上記化合物の他に、ソルトミリング時に分散剤、可塑剤等の添加剤を併用しても良く、又は2種以上の顔料を混合して処理しても良い。
本発明においては、上記のようなソルトミリング処理を行った処理顔料(D)を着色剤として用い、静電荷像現像用トナー母粒子を形成する。好ましい処理顔料の粒子径としては、レーザー散乱による測定において平均粒径が1.0μm以下、更に好ましくは0.2mμ以下である。このような粒径であると、画像を形成した時に透明性及び鮮明性が極めて優れる。
【0034】
本発明のトナー母粒子は、常法に従い、得ることができる。即ち、上記処理顔料(D)にバインダー樹脂、必要に応じてその他荷電制御剤や添加剤等を加えて、ヘンシェルミキサー等で予備混合を行い、その後エクストルーダー等を用いて溶融混練を行う。
次いで冷却後ハンマーミル等で粗粉砕し、ジェットミル等で微粉砕すし、風力分級機等で分級し、平均粒径5〜20μm程度の所定の粒度分布を有する分級品を得ればよい。
【0035】
本発明のトナー母粒子のバインダー樹脂としては、従来公知のものが広く使用可能であるが、画像の透明性を考慮すると無色透明の樹脂がより好適である。
例えばポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ロジン・エステル、ロジン等を挙げる事が出来る。何れの樹脂もその製造方法は特に制約されるものではない。
【0036】
本発明のトナー母粒子は、荷電制御剤を配合することも好ましい。
荷電制御剤としては、正・負帯電いずれも公知のものが全て使用出来るが、画像の色調に影響を与えない無色又は淡色の荷電制御剤が好ましい。例えばアルキル置換サリチル酸の金属錯体(例えばジターシャリーブチルサリチル酸のクロム錯体、アルミニウム錯体、又は亜鉛錯体等)の様な有機金属錯体等が好適に使用できる。
【0037】
本発明のトナー母粒子には、流動性向上剤、クリーニング助剤等として、種々の粒子を外添剤として配合することも好ましい。
外添剤としては公知のものが全て使用出来る。例えば0.01〜0.5μmのシリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭化珪素、炭化タングステン等の研磨剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩等の滑剤、その他1〜50μmのポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメタアクリレート、ポリスチレン、シリコーン等の微粉末を添加することが好適である。此れ等の混合物、更に此れ等微粉末を各種表面処理した外添剤を添加することも好適である。
【0038】
本発明の現像剤は、上記トナーとキャリアとを混合してなるものであり、従来公知の方法で得ることができ、特に制約されるものではない。
本発明の現像剤に用いられるキャリアとしては、既知のキャリアは全て使用可能である。一般に二成分現像剤を構成するキャリアは導電性キャリアと絶縁性キャリアに大別される。
導電性キャリアとしては、通常、酸化又は未酸価の鉄粉等が用いられる。
絶縁性キャリアとしては、一般に強磁性体より成るキャリアコア材粒子の表面を絶縁性樹脂により均一に被覆したキャリアが代表的である。キャリアのコア材としては、例えば、酸化鉄(マグネタイト)、還元鉄、銅、フェライト、ニッケル、コバルト等やこれらと亜鉛、アルミニウム等との合金の粒子を挙げることが可能である。被覆樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂等の公知の材料のいずれのものでもよい。キャリアとしては20〜200μm程度の大きさのものが好ましい。
また、一般的に現像剤中にはトナーを1〜30重量%含有することが好ましい。
【0039】
【実施例】
以下,実施例に基づいて本発明を説明する。例中、部、%とあるのは、それぞれ重量部、重量%を示す。又、各実施例や比較例のカップラーやベースは表1にまとめて示した。
実施例1
3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアニリド242部を常法に従ってジアゾ溶液を得た。一方、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド250部、酸性基を有するカップラーである2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド−p−スルホン酸を17部を用いて、常法に従って下漬液を調整した。この下漬液にジアゾ溶液を加えてカップリングさせた。得られた顔料スラリーを80℃まで加熱後、30分放置、このスラリーを濾過し、水洗し、乾燥した。粉砕機で粉砕してパウダー状にした。
この顔料250部、塩化ナトリウム2500部、及びジエチレングリコール200部をステンレス製1ガロンニーダーに仕込み、3時間混練した。次にこの混合物を2.5リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながら約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗を5回繰り返して塩化ナトリウム及び溶剤を除き、乾燥粉砕して、トナー用着色剤としての顔料を得る。
【0040】
次の原料をヘンシェルミキサーで予備混合する。
不飽和ポリエステル樹脂 100.0部
上記トナー用着色剤 3.5部
負帯電電荷制御剤 4.0部
次いで、エクストルーダーにて溶融混練し、冷却後にハンマーミルにて粗粉砕し、更にジェットミルにて微粉砕し、風力分級機にて分級して、平均粒径10.0μmのトナー母粒子を得る。
上記トナー母粒子100.0部に酸化チタン微粉末0.4部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得る。
【0041】
得られたトナーをフェライト100部に対し6部加え、ボールミル混合機で混合して現像剤を得た。
この現像剤を用い市販のフルカラー複写機(CLC350、キャノン製)により画像を得たところ、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られた。又、得られたトナーを熱プレスにより溶解させ、ガラス板上に均一な薄層を作り、光学顕微鏡により分散状態を観察したところ、凝集の無い非常に良好な分散状態になっていることが確認出来た。
【0042】
実施例2
実施例1で用いたカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−4’−クロロ−2’、5’−ジメトキシ−アニリド340部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0043】
実施例3
実施例1で用いたカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−メチル−5’−クロロ−アニリド296部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−アントラニル酸15部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0044】
実施例4
実施例1で用いたカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−ニトロアニリド293部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルバモイル−アントラニル酸ナトリウム16部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0045】
実施例5
実施例1で用いたベースの代わりに3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアミド149部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに酸性基を有するベース2−ニトロアニリン−p−スルホン酸22部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0046】
実施例6
実施例1で用いたカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−メトキシ−5’−クロロアニリド327.5部、実施例1で用いたベースの代わりに2−メチル−4−ニトロアニリン144部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに酸性基を有するベースである2−ニトロアニリン−p−スルホン酸ナトリウム12部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0047】
実施例7
実施例1で用いたベースの代わりに2−メトキシ−4−ニトロアニリン151部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに酸性基を有するベースであるアントラニル酸14部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0048】
〔比較例1〕
実施例1と同様のカップラーである2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド263部、実施例1と同様のベースである3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアニリド242部使用したが酸性基を有するカップラーは使用しなかった。その後の操作は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ、鮮明で十分な色再現性、発色性は得られなかった。実施例1と比較して透明性の差は明白であった。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明により、ソルトミリングする際に酸性基を有するカップラー又はベースと混合カップリングしたナフトール顔料を用いることにより、ソルトミリング中の熱による影響を受けにくい微細な顔料を生成することが出来、トナー母粒子中の顔料粒径が小さく、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用トナー及び現像剤が得られた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電潜像を現像する時に使用される静電荷像現像用マゼンタトナー母粒子、及び該トナー母粒子を使用して形成される現像剤に関する。詳しくは複写等を行った時に、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用マゼンタトナー母粒子、及び該マゼンタトナー母粒子を使用して形成されたマゼンタトナー並びにマゼンタ現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機及びプリンター等に於いてフルカラー画像への展開が急速に進みつつあり、その実用化も大きくなされている。しかし写真や印刷物等と比較すると、現在実用化されているフルカラー電子写真画像は、必ずしも満足し得る画質まで到達しているとは言い難い。また近年、コンピュータやハイビジョン等の進歩発展により、更に高精細なフルカラー画像を形成する方法が強く要望されている。この為に、フルカラー電子写真画像を更に高品質化することが強く求められている。
【0003】
電子写真法は、一般に静電潜像をトナーを用いて現像する。その方法には大きく分類して、トナーをキャリアと呼ばれる媒体に少量分散させた二成分系現像剤を用いる方法と、キャリアを用いない一成分系現像剤を用いる方法がある。フルカラーの電子写真の場合、キャリアとトナーを混合攪拌して用いる二成分系現像剤がしばしば使用される。
【0004】
フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は、一般に3原色であるマゼンタ、シアン、イエローの3色、好ましくは墨入れ用としてブラックの4色のカラートナーを用いて全ての色の再現を行うものである。その方法は例えば、先ず原稿からの光をアナログ又はデジタル的に色分解し、感光体の光導電層に導き、1色目の静電潜像を形成する。続いて現像、転写工程を経てトナーは、紙等の被記録体上に保持される。更に2色目以降についても前述の工程を順次複数回行い、同一被記録体上に複数色のトナーが重ね合わせられ、一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0005】
フルカラー複写機やフルカラープリンター等を使用して、オーバー・ヘッド・プロジェクター(以下、OHPと省略する。)用シートの様な透明基材上にフルカラー画像を形成することも増加してきた今日、フルカラーの画像形成に供されるトナーには、従来の最も一般的な黒色のトナーの場合と同様に、種々の特性、例えば安定した帯電性や良好な流動性が求められる他に、透明性、鮮明性、色再現性等がさらに要求される。
即ち、フルカラー画像は、上記したように被転写材上に複数色のトナーが重ね合わせられる事によって得られる為に、個々のトナーの光透過性が不足すると、色再現性が悪化し、鮮明な画像を得ることが困難となる。特にOHP用シートの様な透明基材上にフルカラー画像を形成した時にこの現象は著しく、良好な透明画像が得難い。
【0006】
その対策として顔料の分散の程度を上げる、即ちトナー中の顔料粒径をより小さくすることが考えられる。一般に顔料の粒子径を小さくして分散度を上げていくと顔料分散体の透明性が向上する。しかし、サンドミル、3本ロールミル、ボールミル、エクストルーダー等の通常の分散機は、主に顔料の二次粒子(一次粒子が弱く凝集している)を壊して一次粒子にするだけであり、これら通常の分散機では顔料をより微細化することは困難である。高速のサンドミル等を用いることによって、顔料の種類によってはさらに顔料を微細化することも可能ではあるが、非常に多大なエネルギーを必要とする。
【0007】
顔料を微細化する他の方法として、顔料と固形樹脂を加熱しながら2本ロールやバンバリーミキサー等で強力に練り込む方法も知られている。しかし、顔料は一般に高温下では結晶成長するので、かかる方法では機械的な破砕と結晶成長とが平衡状態になった時に終点となり、顔料の微細化には限界がある。
【0008】
更に顔料の一次粒子を細かくする方法として、顔料と食塩等の水溶性無機塩の混合物を少量の溶剤で湿潤したものを、ニーダー等で強く練り込んだ後、無機塩と溶剤を水洗除去、乾燥して一次粒子の細かい顔料を得る方法(以下、この方法をソルトミリングという)がある。しかしこの方法でも塩による破砕の為に高温に成り易く、耐熱性の劣るナフトール顔料は容易に結晶成長して大きな粒子に成り易い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の方法の問題点を解決し、フルカラーの複写機やプリンター等を使用してフルカラー画像を形成した時に、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用マゼンタトナー母粒子、及び該マゼンタトナー母粒子を用いて成るマゼンタトナー並びに該マゼンタトナーとキャリアを含有するマゼンタ現像剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ナフトールAS類とアニリン誘導体とをカップリングする際、下記一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物を添加して得られるナフトール顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、及び水溶性の溶剤(C)少なくとも3つの成分からなる混合物を機械的に混練してナフトール顔料(A)を微細化し、その後水溶性の無機塩(B)及び水溶性の溶剤(C)を水洗除去して得られる処理顔料(D)を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー母粒子である。
【0011】
一般式(1)
【化3】
【0012】
(式中、R1 、R2 、R3 は、それぞれ独立に、H、CH3 、OCH3 、OC 2H 5、Cl、NO2 、SO3 H、SO3 M、COOH、COOMを表し、但し、R1 、R2 、R3 の少なくとも1つは、SO3 H、SO3 M、COOH、COOMを表し、MはNa元素を表す。)
【0013】
一般式(2)
【化4】
【0014】
(式中、R4 、R5 、R6 は、それぞれ独立に、H、CH3 、OCH3 、OC 2H 5、Cl、NO2 、SO3 H、SO3 M、COOH、COOMを表し、但し、R4 、R5 、R6 の少なくとも1つはSO3 H、SO3 M、COOH、COOMを表し、MはNa元素を表す。)
【0015】
第2の発明は、水溶性の溶剤(C)に対して、水溶性の無機塩(B)を重量比で2〜20倍使用することを特徴とする第1の発明記載の静電荷像現像用トナー母粒子である。
【0016】
第3の発明は、第1又は第2の発明記載の静電荷像現像用トナー母粒子と、外添剤とを混合して成ることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
【0017】
第4の発明は、第3の発明記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを混合して成ることを特徴とする現像剤である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明のナフトール顔料(A)のカップラー成分であるナフトールAS類は、下記一般式(3)で表されるものである。
【0019】
一般式(3)
【化5】
【0020】
(式中、R11、R12、R13は、それぞれ独立に、H、CH3 、OCH3 、OC 2H 5、Cl、NO2 を表す。)
【0021】
ナフトールAS類の具体例としては、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−メチル−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−3’−ニトロ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−4’−メトキシ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−エトキシ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−4’−クロロ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−4’−クロロ−2’,5’−ジメトキシ−アニリド、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−−2’− メチル−5’−クロロ−アニリド等が挙げられる。
【0022】
本発明のナフトール顔料のベース成分であるアニリン誘導体は、下記一般式(4)で表されるものである。
【0023】
一般式(4)
【化6】
【0024】
(式中、R14、R15、R16は、それぞれ独立に、H、CH3 、OCH3 、Cl、NO2 、SO 2CH 2C6 H 5、SO 2NR7 R8 、CONR9 R10を表し、R7 、R8 、R9 、R10は、それぞれ独立に、H、C 2H 5、C6 H 5を表す。)
【0025】
アニリン誘導体の具体例としては、2−メトキシ−4−ニトロ−アニリン、2−ニトロ−4−メチル−アニリン、2−ニトロ−4−クロロ−アニリン、4−(N、N−ジエトキシ)−スルファモイル−O−アニシジン、4−ベンジル−スルホニル−O−アニシジン、2、4、5−トリクロロ−アニリン、3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアニリド、3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアニリド、2、5−ジメトキシ−アニリン−4−スルホ−アニリド等が挙げられる。
【0026】
本発明のナフトール顔料(A)は、カップラー成分である上記一般式(3)で示されるナフトールAS類と、ベース成分である上記一般式(4)で示されるアニリン誘導体とをカップリングせしめる際に、一般式(1)で示される酸性基を有するカップラー成分又は一般式(2)で示される酸性基を有するベース成分を混合カップリングすることにより得られるナフトール顔料である。
【0027】
混合カップリングによって得られた顔料は、化学構造が異なる分子が結晶構想中でランダムに配列するために、それぞれ別々にカップリングして得られた顔料と比較して粒子の大きさ、形、表面積、結晶性などが異なる。特に酸性を有するカップラー又は酸性を有するベースとの混合カップリングではその効果が著しく、ソルトミリング時での耐熱性に優れた微細な顔料が得られるものである。
【0028】
一般式(1)で示される酸性基を有するカップラーの具体例としては、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド−p−スルホン酸、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド−o−スルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド−m−スルホン酸アンモニウム、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルバモイル−アントラニル酸、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルバモイル−アントラニル酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルバモイル−アントラニル酸アンモニウム等が挙げられる。
【0029】
一般式(2)で示される酸性基を有するベースの具体例としては、2−ニトロアニリン−4−スルホン酸、2−クロロアニリン−4−スルホン酸ナトリウム、2−ニトロアニリン−p−スルホン酸アンモニウム、4−ニトロアントラニル酸、2−アミノ−4−ニトロ−5−クロロ安息香酸ナトリウム、アントラニル酸アンモニウム等が挙げられる。
【0030】
ジアゾ化の方法、カップリング方法は公知の方法で良い。酸性基を有するカップラー又は酸性基を有するベースの添加量は、ナフトールAS類又はアニリン誘導体に対して0.1〜30重量%、好ましくは1から10重量%である。この量が多いと顔料の分散に悪い影響を与え、少ないとニーディングの際の耐熱性に効果を十分に発揮出来ない。ジアゾとカップラーとのカップリングで得られたスラリーを用いるか、若しくはカップラーの溶解時に、溶解液中にロジンのナトリウム塩を加えてカップリングしたスラリーを80℃まで加熱攪拌し、30分放置後、濾過、水洗、乾燥、粉砕する。
【0031】
ソルトミリングに使用される水溶性の無機塩(B)としては、食塩、塩化カリウム、芒硝が挙げられる。
【0032】
又、ソルトミリングに使用される水溶性の溶剤(C)は、水溶性であれば特に限定されないが、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になる為に、安全性の点からも高沸点の溶剤が好ましい。2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコールが用いられる。
【0033】
上記化合物の他に、ソルトミリング時に分散剤、可塑剤等の添加剤を併用しても良く、又は2種以上の顔料を混合して処理しても良い。
本発明においては、上記のようなソルトミリング処理を行った処理顔料(D)を着色剤として用い、静電荷像現像用トナー母粒子を形成する。好ましい処理顔料の粒子径としては、レーザー散乱による測定において平均粒径が1.0μm以下、更に好ましくは0.2mμ以下である。このような粒径であると、画像を形成した時に透明性及び鮮明性が極めて優れる。
【0034】
本発明のトナー母粒子は、常法に従い、得ることができる。即ち、上記処理顔料(D)にバインダー樹脂、必要に応じてその他荷電制御剤や添加剤等を加えて、ヘンシェルミキサー等で予備混合を行い、その後エクストルーダー等を用いて溶融混練を行う。
次いで冷却後ハンマーミル等で粗粉砕し、ジェットミル等で微粉砕すし、風力分級機等で分級し、平均粒径5〜20μm程度の所定の粒度分布を有する分級品を得ればよい。
【0035】
本発明のトナー母粒子のバインダー樹脂としては、従来公知のものが広く使用可能であるが、画像の透明性を考慮すると無色透明の樹脂がより好適である。
例えばポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ロジン・エステル、ロジン等を挙げる事が出来る。何れの樹脂もその製造方法は特に制約されるものではない。
【0036】
本発明のトナー母粒子は、荷電制御剤を配合することも好ましい。
荷電制御剤としては、正・負帯電いずれも公知のものが全て使用出来るが、画像の色調に影響を与えない無色又は淡色の荷電制御剤が好ましい。例えばアルキル置換サリチル酸の金属錯体(例えばジターシャリーブチルサリチル酸のクロム錯体、アルミニウム錯体、又は亜鉛錯体等)の様な有機金属錯体等が好適に使用できる。
【0037】
本発明のトナー母粒子には、流動性向上剤、クリーニング助剤等として、種々の粒子を外添剤として配合することも好ましい。
外添剤としては公知のものが全て使用出来る。例えば0.01〜0.5μmのシリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭化珪素、炭化タングステン等の研磨剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩等の滑剤、その他1〜50μmのポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメタアクリレート、ポリスチレン、シリコーン等の微粉末を添加することが好適である。此れ等の混合物、更に此れ等微粉末を各種表面処理した外添剤を添加することも好適である。
【0038】
本発明の現像剤は、上記トナーとキャリアとを混合してなるものであり、従来公知の方法で得ることができ、特に制約されるものではない。
本発明の現像剤に用いられるキャリアとしては、既知のキャリアは全て使用可能である。一般に二成分現像剤を構成するキャリアは導電性キャリアと絶縁性キャリアに大別される。
導電性キャリアとしては、通常、酸化又は未酸価の鉄粉等が用いられる。
絶縁性キャリアとしては、一般に強磁性体より成るキャリアコア材粒子の表面を絶縁性樹脂により均一に被覆したキャリアが代表的である。キャリアのコア材としては、例えば、酸化鉄(マグネタイト)、還元鉄、銅、フェライト、ニッケル、コバルト等やこれらと亜鉛、アルミニウム等との合金の粒子を挙げることが可能である。被覆樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂等の公知の材料のいずれのものでもよい。キャリアとしては20〜200μm程度の大きさのものが好ましい。
また、一般的に現像剤中にはトナーを1〜30重量%含有することが好ましい。
【0039】
【実施例】
以下,実施例に基づいて本発明を説明する。例中、部、%とあるのは、それぞれ重量部、重量%を示す。又、各実施例や比較例のカップラーやベースは表1にまとめて示した。
実施例1
3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアニリド242部を常法に従ってジアゾ溶液を得た。一方、2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド250部、酸性基を有するカップラーである2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド−p−スルホン酸を17部を用いて、常法に従って下漬液を調整した。この下漬液にジアゾ溶液を加えてカップリングさせた。得られた顔料スラリーを80℃まで加熱後、30分放置、このスラリーを濾過し、水洗し、乾燥した。粉砕機で粉砕してパウダー状にした。
この顔料250部、塩化ナトリウム2500部、及びジエチレングリコール200部をステンレス製1ガロンニーダーに仕込み、3時間混練した。次にこの混合物を2.5リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながら約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗を5回繰り返して塩化ナトリウム及び溶剤を除き、乾燥粉砕して、トナー用着色剤としての顔料を得る。
【0040】
次の原料をヘンシェルミキサーで予備混合する。
不飽和ポリエステル樹脂 100.0部
上記トナー用着色剤 3.5部
負帯電電荷制御剤 4.0部
次いで、エクストルーダーにて溶融混練し、冷却後にハンマーミルにて粗粉砕し、更にジェットミルにて微粉砕し、風力分級機にて分級して、平均粒径10.0μmのトナー母粒子を得る。
上記トナー母粒子100.0部に酸化チタン微粉末0.4部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得る。
【0041】
得られたトナーをフェライト100部に対し6部加え、ボールミル混合機で混合して現像剤を得た。
この現像剤を用い市販のフルカラー複写機(CLC350、キャノン製)により画像を得たところ、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られた。又、得られたトナーを熱プレスにより溶解させ、ガラス板上に均一な薄層を作り、光学顕微鏡により分散状態を観察したところ、凝集の無い非常に良好な分散状態になっていることが確認出来た。
【0042】
実施例2
実施例1で用いたカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−4’−クロロ−2’、5’−ジメトキシ−アニリド340部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0043】
実施例3
実施例1で用いたカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−メチル−5’−クロロ−アニリド296部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−アントラニル酸15部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0044】
実施例4
実施例1で用いたカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−ニトロアニリド293部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルバモイル−アントラニル酸ナトリウム16部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0045】
実施例5
実施例1で用いたベースの代わりに3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアミド149部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに酸性基を有するベース2−ニトロアニリン−p−スルホン酸22部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0046】
実施例6
実施例1で用いたカップラーの代わりに2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−2’−メトキシ−5’−クロロアニリド327.5部、実施例1で用いたベースの代わりに2−メチル−4−ニトロアニリン144部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに酸性基を有するベースである2−ニトロアニリン−p−スルホン酸ナトリウム12部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0047】
実施例7
実施例1で用いたベースの代わりに2−メトキシ−4−ニトロアニリン151部、実施例1で用いた酸性基を有するカップラーの代わりに酸性基を有するベースであるアントラニル酸14部を用いた他は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ実施例1と同様の結果であった。
【0048】
〔比較例1〕
実施例1と同様のカップラーである2−ヒドロキシ−ナフタレン−3−カルボイル−アニリド263部、実施例1と同様のベースである3−アミノ−4−メトキシ−ベンズアニリド242部使用したが酸性基を有するカップラーは使用しなかった。その後の操作は実施例1と同様にしてトナー用着色剤を得た。これを用い実施例1と同様にしてトナー母粒子、トナー、現像剤を得、同様に評価したところ、鮮明で十分な色再現性、発色性は得られなかった。実施例1と比較して透明性の差は明白であった。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
本発明により、ソルトミリングする際に酸性基を有するカップラー又はベースと混合カップリングしたナフトール顔料を用いることにより、ソルトミリング中の熱による影響を受けにくい微細な顔料を生成することが出来、トナー母粒子中の顔料粒径が小さく、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用トナー及び現像剤が得られた。
Claims (4)
- ナフトールAS類とアニリン誘導体とをカップリングする際、下記一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物を添加して得られるナフトール顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、及び水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分からなる混合物を機械的に混練してナフトール顔料(A)を微細化し、その後水溶性の無機塩(B)及び水溶性の溶剤(C)を水洗除去して得られる処理顔料(D)を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー母粒子。
一般式(1)
一般式(2)
- 水溶性の溶剤(C)に対して、水溶性の無機塩(B)を重量比で2〜20倍使用することを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー母粒子。
- 請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー母粒子と、外添剤とを混合して成ることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 請求項3記載の静電荷像現像用トナーと、キャリアとを混合して成ることを特徴とする現像剤。
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