JP3550671B2 - 液晶配向剤 - Google Patents

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JP3550671B2
JP3550671B2 JP429396A JP429396A JP3550671B2 JP 3550671 B2 JP3550671 B2 JP 3550671B2 JP 429396 A JP429396 A JP 429396A JP 429396 A JP429396 A JP 429396A JP 3550671 B2 JP3550671 B2 JP 3550671B2
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通則 西川
慶友 保田
宮本  剛
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子の液晶配向膜を形成するために用いる液晶配向剤に関する。さらに詳しくは、液晶配向性が良好であり、電圧保持率の高い液晶表示素子を構成することができ、形成される液晶配向膜の表面にラビング処理に伴う傷(以下「ラビング傷」ともいう。)がつきにくく、高プレチルト角が得られる液晶配向膜を形成することができ、また保存安定性に優れた液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明導電膜を介して液晶配向膜が表面に形成されている2枚の基板の間に、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造とし、前記液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにしたTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。このTN型液晶表示素子などにおける液晶の配向は、通常、ラビング処理により液晶分子の配向能が付与された液晶配向膜により実現される。ここに、液晶配向膜の材料としては、従来より、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどの樹脂が知られており、特にポリイミドは、耐熱性、液晶との親和性、機械的強度などに優れているため多くの液晶表示素子に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来知られているポリイミドなどからなる液晶配向膜を用いてTN型液晶表示素子などを作製した場合、液晶表示素子のプレチルト角が低いために表示不良を生じたり、電圧保持率が低かったり、液晶表示素子の残留電圧が大きいために残像が生じてしまったり、液晶表示素子の信頼性試験中に白シミが発生したりする、という問題がある。また、液晶配向膜のラビング処理の際に液晶配向膜の表面が傷付き、液晶表示素子の表示不良を招く、という問題もある。また、液晶配向膜は通常、樹脂の溶液からなる液晶配向剤を基板上に塗布、乾燥することによって得られるが、該液晶配向剤の保存安定性が悪いため、保存中に固体の析出や粘度変化が生じるという問題も有している。このため、ラビング傷が少なく、液晶配向性、電圧保持率、残像特性および信頼性に優れた液晶表示素子を与え、高プレチルト角が得られる液晶配向膜を形成でき、また保存安定性に優れた液晶配向剤の開発が望まれている。
【0004】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、本発明の第1の目的は、ラビング処理によって液晶分子の配向能が確実に付与され、優れた液晶配向性を有する液晶表示素子を構成することができる液晶配向剤を提供することにある。
本発明の第2の目的は、電圧保持率の高い液晶表示素子を構成することができる液晶配向剤を提供することにある。
本発明の第3の目的は、残像の少ない液晶表示素子を構成することができる液晶配向剤を提供することにある。
本発明の第4の目的は、信頼性に優れた液晶表示素子を構成することができる液晶配向剤を提供することにある。
本発明の第5の目的は、ラビング傷がつきにくい液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することにある。
本発明の第6の目的は、高プレチルト角が得られる液晶配向剤を提供することにある。
本発明の第7の目的は、保存安定性に優れた液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的は、
[A]下記式(I)
【0006】
【化7】
Figure 0003550671
【0007】
ここで、Rはメチル基あるいはエチル基を示す
で表されるテトラカルボン酸の二無水物(以下、「化合物(I)」ともいう)70〜98モル%および下記式(II)
【0008】
【化8】
Figure 0003550671
【0009】
ここでR、R、RおよびRは互に独立して水素原子あるいはメチル基を示すで表されるシクロブタン環含有テトラカルボン酸の二無水物(以下、「化合物(II)」ともいう)2〜30モル%と、
[B]下記式(III)
【0010】
【化9】
Figure 0003550671
【0011】
ここでRは、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシル基であり、aは0〜4の整数である、
で表されるフェニレンジアミン化合物(以下、「化合物(III)」ともいう)、下記式(IV)
【0012】
【化10】
Figure 0003550671
【0013】
ここで、Rは−CH−、−O−、−S−、
下記式(i)
【0014】
【化11】
Figure 0003550671
【0015】
で表される基または下記式(ii)
【0016】
【化12】
Figure 0003550671
【0017】
で表される基であり、RおよびRは互に独立してハロゲン原子またはアルキル基であり、bおよびcは互に独立して0〜4の整数である、
で表されるジアミン化合物(以下、「化合物(IV)」ともいう)および
下記式(V)
【0018】
N−R−NH ・・・(V)
【0019】
ここで、Rはステロイド骨格を有する2価の有機基である、
で表されるステロイド骨格を有するジアミン化合物(以下、「化合物(V)」ともいう)、
とを反応させることにより得られるポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸A」ともいう)および該ポリアミック酸を脱水閉環させて得られるポリイミド(以下、「ポリイミドB」ともいう)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤によって達成される。
【0020】
以下、本発明についてその詳細を説明する。
本発明の液晶配向剤は、化合物(I)および化合物(II)からなるテトラカルボン酸二無水物と、化合物(III)、化合物(IV)および化合物(V)からなるジアミン化合物とを反応させることにより得られるポリアミック酸Aおよび/またはポリイミドBを含有する。
【0021】
<化合物(I)>
本発明に用いられる化合物(I)は、上記式(I)で表されるテトラカルボン酸の二無水物であり、これを用いることにより、電圧保持率の高い液晶表示素子を与え、また保存安定性に優れた液晶配向剤が得られる。
化合物(I)としては、下記式(1)、(2)、(3)および(4)で表される化合物の二無水物を好ましいものとして挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0022】
【化13】
Figure 0003550671
【0023】
<化合物(II)>
本発明に用いられる化合物(II)は、上記式(II)で表されるシクロブタン環含有テトラカルボン酸の二無水物であり、これを用いることにより、ラビング傷が生じにくい液晶配向剤が得られる。これは、化合物(II)が剛直なシクロブタン構造を有しているためと考えられる。
【0024】
化合物(II)としては、例えばシクロブタンテトラカルボン酸の二無水物、1,3−ジメチルシクロブタンテトラカルボン酸の二無水物、1−メチルシクロブタンテトラカルボン酸の二無水物などを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらのうちで、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物は、これらを用いて得られる液晶配向剤から形成される液晶配向膜が長期に渡って良好な液晶配向性を有する点から特に好ましい。
【0025】
化合物(II)の使用割合は、全テトラカルボン酸二無水物の総量に対して、好ましくは2〜30モル%であり、より好ましくは2〜20モル%である。使用割合が2モル%未満である場合にはラビング傷低減の効果を発現しにくく、一方この割合が30モル%を超える場合には得られる配向剤の保存安定性に劣る場合がある。特に、使用割合が20モル%以下の場合には、長々期にわたる保存が可能で保存安定性に極めて優れたものとなる。
【0026】
<化合物(III)>
本発明に用いられる化合物(III)は、上記式(III)で表されるフェニレンジアミン化合物であり、これを用いることにより、残像特性に優れた液晶配向剤が得られる。
化合物(III)を表す式(III)において、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素などを挙げることができ、アルキル基としては炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、またアルコキシル基としては炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシル基が好ましい。
【0027】
このような化合物(III)としては、例えば1,2−フェニレンジアミン、3−メチル−1,2−フェニレンジアミン、4−メチル−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、3−エチル−1,2−フェニレンジアミン、3−メチル−1,2−フェニレンジアミン、4−エチル−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジエチル−1,2−フェニレンジアミン、3−メトキシ−1,2−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジメトキシ−1,2−フェニレンジアミン、3−エトキシ−1,2−フェニレンジアミン、4−エトキシ−1,2−フェニレンジアミン、3−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、3−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、5−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2−エチル−1,3−フェニレンジアミン、4−エチル−1,3−フェニレンジアミン、5−エチル−1,3−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,3−フェニレンジアミン、4−メトキシ−1,3−フェニレンジアミン、5−メトキシ−1,3−フェニレンジアミン、4−エトシキ−1,3−フェニレンジアミン、5−エトキシ−1,3−フェニレンジアミン、4−クロロ−1,3−フェニレンジアミン、5−クロロ−1,3−フェニレンジアミン、4−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、5−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,3−ジエチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジエチル−1,4−フェニレンジアミン、2,6−エチル−1,4−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2−エトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2−フルオロ−1,4−フェニレンジアミン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンジアミンなどが挙げられる。これらの内、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2−エチル−1,4−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2−エトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミンおよび2−フルオロ−1,4−フェニレンジアミンが好ましく、1,3−フェニレンジアミンおよび1,4−フェニレンジアミンが特に好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0028】
<化合物(IV)>
本発明に用いられる化合物(IV)は、上記式(IV)で表されるジアミン化合物であり、これを用いることにより、信頼性に優れた液晶表示素子を与える液晶配向剤が得られる。
化合物(IV)を表す式(IV)において、ハロゲン原子およびアルキル基としては、式(III)について前述したものと同じものを挙げることができる。
【0029】
このような化合物(IV)としては、例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプリデン)ビスアニリンなどを挙げることができる。これらの内、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンおよび4,4’−(p−フェニレンジイソプリデン)ビスアニリンが好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが特に好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0030】
<化合物(V)>
本発明に用いられる化合物(V)は、上記式(V)で表されるステロイド骨格を有するジアミン化合物であり、これを用いることにより、高いプレチルト角を示す液晶配向剤が得られる。
このような化合物(V)としては、例えば下記式(VI)
【0031】
【化14】
Figure 0003550671
【0032】
ここで、R10はハロゲン原子またはアルキル基であり、R11は2価の有機基であり、R12はステロイド骨格を有する1価の有機基であり、dは0〜3の整数である、
で表される化合物および下記式(VII)
【0033】
【化15】
Figure 0003550671
【0034】
ここで、R13およびR14は独立してハロゲン原子またはアルキル基であり、R15およびR16は2価の有機基であり、R17はステロイド骨格を有する2価の有機基であり、eおよびfは互に独立して0〜4の整数である、
で表される化合物を好ましいものとして挙げることができる。
ここで、式(VI)および(VII)で表される化合物の具体例としては、
【0035】
【化16】
Figure 0003550671
【0036】
【化17】
Figure 0003550671
【0037】
で表される化合物を好ましいものとして挙げることができる。
これらの内、式(5),式(6),式(9)および式(11)で表される化合物が特に好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0038】
ポリアミック酸Aおよび/またはポリイミドB中の全ジアミン化合物に対する各使用ジアミンの割合は、好ましくは化合物(III)10〜70モル%、化合物(IV)30〜80モル%および化合物(V)1〜25モル%である。化合物(III)の使用割合が10モル%未満だと液晶表示素子の残像改良効果が少なく、69モル%を超えると液晶表示素子の信頼性が低下する場合がある。また、化合物(IV)の使用割合が30モル%未満だと液晶表示素子の信頼性が低下する場合があり、80モル%を超えると高プレチルト角が得られ難くなる。そして、化合物(V)の使用割合が1モル%未満だと高プレチルト角が得られ難くなり、25モル%を超えるとポリアミック酸およびポリイミドの溶媒への溶解性が低下する傾向がある。
【0039】
また、ポリアミック酸Aおよび/またはポリイミドBには、本発明の効果を発現し得る範囲において、他のテトラカルボン酸二無水物や他のジアミンを使用することができる
【0040】
かかる他のテトラカルボン酸二無水物としては、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族または脂環族テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0041】
かかる他のジアミンとしては、例えば4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニルなどの芳香族ジアミン類;ジアミノテトラフェニルチオフェンなどのヘテロ原子を有する芳香族ジアミン類;1,1−メタキシリレンジアミン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02.7 ]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族または脂環族ジアミン類;さらに、下記式(12)などで示されるジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。また、これらジアミン化合物は市販品をそのまま使用してもよいし、市販品を再還元してから使用してもよい。
【0042】
N−(CH−SiR−(O−SiR−)−(CH−NH・・・(12)
式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基などから選ばれたアルキル基;シクロヘキシル基などのシクロアルキル基またはフェニル基などのアリール基のような炭素数1〜12の炭化水素基を示す。pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数であり、rは1〜3の整数である。
【0043】
<ポリアミック酸Aの合成>
本発明の液晶配向剤を構成するポリアミック酸Aは、上記テトラカルボン酸二無水物と上記ジアミン化合物との反応により合成される。ポリアミック酸Aの合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物に含まれる酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.4当量となる割合である。テトラカルボン酸二無水物に含まれる酸無水物基の割合が0.2当量未満の場合および2当量を超える場合のいずれにおいても、得られるポリアミック酸Aの分子量が低下し、液晶配向剤の塗布性が劣るものとなる。ポリアミック酸Aの合成反応は、有機溶媒中で通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。反応温度が0℃未満であると原料となる化合物の溶媒に対する溶解性が劣り、150℃を超えると得られるポリアミック酸Aの分子量が低下する。
【0044】
ポリアミック酸Aの合成に用いられる有機溶媒としては、テトラカルボン酸二無水物、ジアミン化合物および生成するポリアミック酸Aを溶解し得るものであれば特に制限はなく、例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。
【0045】
有機溶媒の使用量(a)としては、反応原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との総量(b)が反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0046】
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸Aの貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸Aが析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコール−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコール−i−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、エチレングリコール−n−ヘキシルエーテルアセテート、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0047】
以上の合成反応によって、ポリアミック酸Aを溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸Aを得ることができる。また、このポリアミック酸Aを再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出する工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸Aの精製を行うことができる。
【0048】
<ポリイミドB>
本発明の液晶配向剤を構成するポリイミドBは、ポリアミック酸Aをイミド化反応に供することにより得られる。
イミド化反応は、(i)ポリアミック酸Aを加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸Aを有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤およびイミド化触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
【0049】
上記(i)のポリアミック酸Aを加熱する方法における反応温度は、通常60〜200℃とされ、好ましくは100〜170℃とされる。反応温度が60℃未満ではイミド化反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるポリイミドBの分子量が低下することがある。
【0050】
一方、上記(ii)のポリアミック酸Aの溶液中に脱水剤およびイミド化触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸Aの繰り返し単位1モルに対して1.6〜20モルとするのが好ましい。また、イミド化触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。イミド化触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.5〜10モルとするのが好ましい。なお、イミド化反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸Aの合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、イミド化反応の反応温度は、通常0〜180℃、好ましくは60〜150℃とされる。また、このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸Aの精製方法と同様の操作を行うことにより、ポリイミドBを精製することができる。
【0051】
<ポリアミック酸およびポリイミドの固有粘度>
以上のようにして得られるポリアミック酸AおよびポリイミドBの固有粘度(30℃、N−メチル−2−ピロリドン中で測定。以下において同じ。)は、通常0.05〜10dl/g、好ましくは0.05〜5dl/gである。
【0052】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸Aおよび/またはポリイミドBが有機溶媒中に溶解された溶液として使用される。
本発明の液晶配向剤を溶解する有機溶媒としては、ポリアミック酸Aの合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸Aの合成の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
【0053】
また、本発明の液晶配向剤の溶液におけるポリアミック酸Aおよび/またはポリイミドBの濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲とされる。
すなわち、本発明の液晶配向剤は、溶液として基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、濃度が10重量%を超える場合にも、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
【0054】
本発明の液晶配向剤を構成するポリアミック酸Aおよび/またはポリイミドBは分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。この末端修飾型のポリアミック酸AおよびポリイミドBを用いることにより、本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型のものは、ポリアミック酸Aを合成する際に、酸一無水物やモノアミン化合物を反応系に添加することにより合成することができる。
【0055】
ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。
【0056】
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸Aおよび/またはポリイミドBと塗布される基板表面との接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物が含有されていてもよい。
【0057】
このような官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0058】
<液晶表示素子の製造>
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
【0059】
パターニングされた(1)透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例えば印刷法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。 ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられた透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法などが用いられる。液晶配向剤の塗布方法としては、印刷法のほか、ロールコーター法、スピンナー法などの方法も用いることができる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。加熱温度は80〜250℃とされ、好ましくは120〜200℃とされる。なお、ポリアミック酸Aを含有する本発明の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって液晶配向膜となる塗膜を形成するが、さらに加熱することによってイミド化された塗膜とすることもできる。形成される塗膜の膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0060】
(2)形成された塗膜面を、例えばナイロン、レーヨンまたはコットン繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。
【0061】
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
【0062】
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例および比較例により作製された各液晶表示素子について、▲1▼液晶配向膜のラビング傷、▲2▼液晶表示素子の配向性、▲3▼液晶表示素子の電圧保持率、▲4▼液晶表示素子の残留電圧、▲5▼液晶表示素子の信頼性、▲6▼液晶表示素子のプレチルト角、▲7▼液晶配向剤の保存安定性について評価した。評価方法は以下のとおりである。
【0064】
[液晶配向膜のラビング傷]
ラビング処理後の液晶配向膜の表面を光学顕微鏡(倍率100倍)で観察し、ラビング処理によるラビング傷の発生の有無を調べた。
【0065】
[液晶表示素子の液晶配向性]
電圧をオン・オフさせた時の液晶表示素子中の異常ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を「良好」と判定した。
【0066】
[液晶表示素子の電圧保持率]
80℃の恒温槽中に設置した液晶表示素子に5Vの電圧を印加し、その印加電圧をオフにして、16.7msec後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。
【0067】
[液晶表示素子の残留電圧]
80℃の恒温槽中に設置した液晶表示素子に5Vの電圧を3時間印加し、その後1秒間ショートさせた後の液晶表示素子の最大残留電圧を測定した。この条件における液晶表示素子の残留電圧が0.5V以下の場合、残像の少ない液晶表示素子として良好である。
【0068】
[液晶表示素子の信頼性]
温度80℃、湿度85%の恒温恒湿槽中で、液晶表示素子に5V,60Hzの矩形波を印加し、1000時間後も液晶表示素子に白シミが生じていない場合を良好と判断した。
【0069】
[液晶表示素子のプレチルト角]
液晶表示素子のプレチルト角は、[T.J.Schffer et al., J. Appl. Phys., 19, 2013 (1980)]に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法により測定した。
【0070】
[液晶配向剤の保存安定性]
液晶配向剤を温度40℃および−15℃の恒温槽中に1カ月間放置し、放置前後の液晶配向剤の粘度を測定し粘度変化が無い場合を良好と判断した。
【0071】
合成例1
上記式(1)で表される化合物53.43g(0.17モル)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物5.88g(0.03モル)、1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン25.78g(0.13モル)および式(5)で表される化合物10.42g(0.02モル)をN−メチル−2−ピロリドン394gに溶解させ、室温で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメタノールに注いで、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、固有粘度0.72dl/gのポリアミック酸(A−1);88.6gを得た。
【0072】
合成例2
合成例1で得られたポリアミック酸(A−1)30.0gをγ−ブチロラクトン570gに溶解し、この溶液にピリジン21.6gと無水酢酸16.74gを添加し、80℃で3時間加熱することによりイミド化反応を行った。次いで、反応生成液を合成例1と同様にして沈澱させ、固有粘度0.74dl/gのポリイミド(B−1);28.2gを得た。
【0073】
合成例3
合成例1において、上記式(1)で表される化合物の代わりに上記式(2)で表される化合物53.43g(0.17モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−2)を得、さらにこのポリアミック酸(A−2)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.69dl/gのポリイミド(B−2);27.0gを得た。
【0074】
合成例4
合成例1において、上記式(1)で表される化合物の代わりに上記式(3)で表される化合物55.81g(0.17モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−3)を得、さらにこのポリアミック酸(A−3)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.61dl/gのポリイミド(B−3);26.0gを得た。
【0075】
合成例5
合成例1において、上記式(1)で表される化合物の代わりに上記式(4)で表される化合物55.81g(0.17モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−4)を得、さらにこのポリアミック酸(A−4)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.66dl/gのポリイミド(B−4);26.5gを得た。
【0076】
合成例6
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物を上記式(1)で表される化合物59.73g(0.19モル)および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物1.96g(0.01モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−5)を得、さらにこのポリアミック酸(A−5)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.59dl/gのポリイミド(B−5);26.0gを得た。
【0077】
合成例7
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物を上記式(1)で表される化合物47.16g(0.15モル)および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物9.81g(0.05モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−6)を得、さらにこのポリアミック酸(A−6)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.81dl/gのポリイミド(B−6);27.6gを得た。
【0078】
合成例8
合成例3において、テトラカルボン酸二無水物を上記式(2)で表される化合物47.16g(0.15モル)および1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物6.72g(0.05モル)とした以外は、合成例5と同様にしてポリアミック酸(A−7)を得、さらにこのポリアミック酸(A−7)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.66dl/gのポリイミド(B−7);26.5gを得た。
【0079】
合成例9
合成例1において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン2.16g(0.02モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン31.72g(0.16モル)および上記式(5)の化合物10.42g(0.02モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−8)を得、さらにこのポリアミック酸(A−8)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.76dl/gのポリイミド(B−8);27.3gを得た。
【0080】
合成例10
合成例1において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン14.06g(0.13モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン9.91g(0.05モル)および上記式(5)で表される化合物10.42g(0.02モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−9)を得、さらにこのポリアミック酸(A−9)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリイミド(B−9);27.2gを得た。
【0081】
合成例11
合成例8において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン29.34g(0.148モル)および上記式(5)で表される化合物1.04g(0.002モル)とした以外は、合成例5と同様にしてポリアミック酸(A−10)を得、さらにこのポリアミック酸(A−10)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.74dl/gのポリイミド(B−10);27.0gを得た。
【0082】
合成例12
合成例8において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン19.83g(0.10モル)および上記式(5)で表される化合物26.25g(0.05モル)とした以外は、合成例5と同様にしてポリアミック酸(A−11)を得、さらにこのポリアミック酸(A−11)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.59dl/gのポリイミド(B−11);25.7gを得た。
【0083】
合成例13
合成例1において、ジアミンを1,3−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン25.78g(0.13モル)および上記式(5)で表される化合物10.42g(0.02モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−12)を得、さらにこのポリアミック酸(A−12)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.60dl/gのポリイミド(B−12);25.5gを得た。
【0084】
合成例14
合成例1において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル26.04g(0.13モル)および上記式(5)で表される化合物10.42g(0.02モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−13)を得、さらにこのポリアミック酸(A−13)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.74dl/gのポリイミド(B−13);27.4gを得た。
【0085】
合成例15
合成例1において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド28.12g(0.13モル)および上記式(5)で表される化合物10.42g(0.02モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−14)を得、さらにこのポリアミック酸(A−14)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.68dl/gのポリイミド(B−14);27.0gを得た。
【0086】
合成例16
合成例1において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン44.79g(0.13モル)および上記式(5)で表される化合物10.42g(0.02モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−15)を得、さらにこのポリアミック酸(A−15)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.52dl/gのポリイミド(B−15);26.8gを得た。
【0087】
合成例17
合成例1において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン44.79g(0.13モル)および上記式(5)で表される化合物10.42g(0.02モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−16)を得、さらにこのポリアミック酸(A−16)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.60dl/gのポリイミド(B−16);25.0gを得た。
【0088】
合成例18
合成例1において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェニキシ)フェニル]プロパン53.37g(0.13モル)および上記式(5)で表される化合物10.42g(0.02モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−17)を得、さらにこのポリアミック酸(A−17)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.78dl/gのポリイミド(B−17);27.0gを得た。
【0089】
合成例19
合成例3において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン25.78g(0.13モル)および上記式(6)で表される化合物10.46g(0.02モル)とした以外は、合成例5と同様にしてポリアミック酸(A−18)を得、さらにこのポリアミック酸(A−18)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.68dl/gのポリイミド(B−18);26.4gを得た。
【0090】
合成例20
合成例3において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン25.78g(0.13モル)および上記式(9)で表される化合物12.85g(0.02モル)とした以外は、合成例5と同様にしてポリアミック酸(A−19)を得、さらにこのポリアミック酸(A−19)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.55dl/gのポリイミド(B−19);26.3gを得た。
【0091】
合成例21
合成例3において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン25.78g(0.13モル)および上記式(11)で表される化合物14.78g(0.02モル)とした以外は、合成例5と同様にしてポリアミック酸(A−20)を得、さらにこのポリアミック酸(A−20)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.64dl/gのポリイミド(B−20);26.4gを得た。
【0092】
合成例22
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物を上記式(1)で表される化合物40.87g(0.13モル)および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物13.72g(0.07モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−21)を得、さらにこのポリアミック酸(A−21)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行ったが、イミド化中に析出物が生じ、白濁したポリイミド溶液(B−21)となった。
【0093】
合成例23
合成例1において、ジアミンを4,4’−ジアミノジフェニルメタン35.69g(0.18モル)および上記式(5)で表される化合物10.42g(0.02モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−22)を得、さらにこのポリアミック酸(A−22)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.52dl/gのポリイミド(B−22);25.0gを得た。
【0094】
合成例24
合成例1において、ジアミンを1,4−フェニレンジアミン5.41g(0.05モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン29.74g(0.15モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−23)を得、さらにこのポリアミック酸(A−23)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.89dl/gのポリイミド(B−23);27.6gを得た。
【0095】
合成例25
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物を上記式(1)で表される化合物62.87g(0.20モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−25)を得、さらにこのポリアミック酸(A−25)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.72dl/gのポリイミド(B−25);26.9gを得た。
【0096】
合成例26
合成例1において、テトラカルボン酸二無水物をピロメリット酸二無水物43.62g(0.20モル)とした以外は、合成例1と同様にして、固有粘度1.23dl/gのポリアミック酸(A−26);76.3gを得た。
【0097】
合成例27
合成例1において、上記式(1)で表される化合物の代わりにを1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン51.05g(0.17モル)とした以外は、合成例1と同様にしてポリアミック酸(A−27)を得、さらにこのポリアミック酸(A−27)を用いて合成例2と同様にしてイミド化反応を行い、固有粘度0.86dl/gの重合体(B−27);27.0gを得た。
【0098】
実施例1
(1)液晶配向剤の調製
合成例1で得られたポリアミック酸(A−1)をγ−ブチロラクトンに溶解させて、固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過し、液晶配向剤を調製した。
【0099】
(2)液晶表示素子の作製
▲1▼厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、液晶配向膜塗布用の印刷機を用いて本発明の液晶配向剤を塗布し、180℃で1時間乾燥することにより乾燥膜厚0.05μmの塗膜を形成した。
【0100】
▲2▼形成された塗膜面を、レーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いてラビング処理を行うことにより、液晶分子の配向能を塗膜に付与して液晶配向膜を作製した。ここに、ラビング処理条件は、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒とした。得られた液晶配向膜にはラビング傷は認められなかった。
【0101】
▲3▼上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、直径17μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂をスクリーン印刷塗布した後、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交あるいは逆並行となるように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。
【0102】
▲4▼基板の表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、ネマティック型液晶「MLC−2002」(メルク・ジャパン社製)を注入充填し、次いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを構成した。その後、液晶セルの外表面に、偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致するように偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を作製した。
以上のようにして作製した液晶表示素子は、液晶表示素子に電圧をオン・オフさせた時において異常ドメインは認められず、優れた液晶配向性を有するものであった。電圧保持率は94.5%と高い値を示し、残留電圧は0.30Vと低い値であった。また、液晶表示素子の1000時間後の信頼性でも液晶表示素子に白シミは発生しなかった。そして、液晶表示素子のプレチルト角を評価したところ、3.3゜と高い値であった。また、液晶配向剤保存安定性の評価においては、40℃および−15℃いずれも粘度変化は認められなかった。
【0103】
実施例2〜実施例21
表1に示す処方に従って、合成例2〜合成例21により得られたポリイミドBのそれぞれを用い、実施例1(1)と同様にして本発明の液晶配向剤を調製した。次いで、このようにして得られた液晶配向剤の各々を用い、実施例1(2)と同様にして液晶表示素子を作製した。
各実施例において、液晶配向膜におけるラビング傷の発生状況、液晶表示素子の液晶配向性、電圧保持率、残留電圧、信頼性、プレチルト角および保存安定性について評価した。結果を表1および表2に実施例1と併せて示す。
【0104】
比較例1〜6
表2に示す処方に従って、合成例22〜合成例27により得られたポリイミドBのそれぞれを用い、実施例1(1)と同様にして比較用の液晶配向剤を調製した。次いで、このようにして得られた液晶配向剤の各々を用い、実施例1(2)と同様にして液晶表示素子を作製した。各比較例において、液晶配向膜におけるラビング傷の発生状況、液晶表示素子の液晶配向性、電圧保持率、残留電圧、信頼性、プレチルト角および保存安定性について評価した。結果を表2に併せて示す。
【0105】
【表1】
Figure 0003550671
【0106】
【表2】
Figure 0003550671
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、ラビング処理で生じる液晶配向膜表面の傷が少なく、かつ液晶配向性に優れ、電圧保持率が高く、残像が少なく、信頼性に優れ、かつ高プレチルト角の液晶表示素子を与え、保存安定性に優れた液晶配向剤が得られる。
また、本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜に、例えば特開平6−222366号公報や特開平6−281937号公報に示されているような紫外線を照射することによってプレチルト角を変化させるような処理、あるいは特開平5−107544号公報に示されているような、ラビング処理を施した液晶配向膜表面にレジスト膜を部分的に形成して先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去して、液晶配向膜の配向能を変化させるような処理を行うことによって、液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
本発明の液晶配向剤を用いて形成した液晶配向膜を有する液晶表示素子は、TN型液晶表示素子をはじめ、使用する液晶を選択することにより、STN(Super Twisted Nematic)型、SH(Super Homeotropic)型、強誘電性および反強誘電性の液晶表示素子などにも好適に使用することができる。
さらに、本発明の液晶配向剤を用いて形成した液晶配向膜を有する液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性に優れ、種々の装置に有効に使用でき、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、係数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューター、液晶テレビなどの表示装置に用いられる。
【0108】
以下に本発明の好ましい態様を列挙する。
1)化合物(II)の使用割合が、全テトラカルボン酸二無水物の総量に対して、2〜20モル%である液晶配向剤。
2)化合物(III)が、1,4−フェニレンジアミンである液晶配向剤。
3)化合物(IV)が、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリンおよび4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリンから選ばれたものである液晶配向剤。
4)化合物(III)の使用割合が、全ジアミンの総量に対して、10〜50モル%である液晶配向剤。
5)化合物(IV)の使用割合が、全ジアミンの総量に対して、40〜80モル%である液晶配向剤。
6)化合物(V)の使用割合が、全ジアミンの総量に対して、3〜20モル%である液晶配向剤。
7)全ジアミン化合物に対する各ジアミン化合物の使用割合が、化合物(III)10〜69モル%、および化合物(IV)30〜80モル%、および化合物(V)1〜25モル%である液晶配向剤。

Claims (1)

  1. [A]全テトラカルボン酸二無水物の総量に対して下記式(I)
    Figure 0003550671
    ここで、Rはメチル基あるいはエチル基を示す
    で表されるテトラカルボン酸の二無水物70〜98モル%および下記式(II)
    Figure 0003550671
    ここでR、R、RおよびRは互に独立して水素原子あるいはメチル基を示すで表されるシクロブタン環含有テトラカルボン酸の二無水物2〜30モル%と、[B]下記式(III)
    Figure 0003550671
    ここでRは、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシル基であり、aは0〜4の整数である、
    で表されるフェニレンジアミン化合物、
    下記式(IV)
    Figure 0003550671
    ここで、Rは−CH−、−O−、−S−、
    下記式(i)
    Figure 0003550671
    で表される基または下記式(ii)
    Figure 0003550671
    で表される基であり、RおよびRは互に独立してハロゲン原子またはアルキル基であり、bおよびcは互に独立して0〜4の整数である、
    で表されるジアミン化合物および
    下記式(V)
    N−R−NH ・・・(V)
    ここで、Rはステロイド骨格を有する2価の有機基である、
    で表されるステロイド骨格を有するジアミン化合物、
    とを反応させることにより得られるポリアミック酸および該ポリアミック酸を脱水閉環させて得られるポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体を含有することを特徴とする液晶配向剤。
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