JP2008013501A - 新規ジアミン化合物およびその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステロイド骨格を有する新規ジアミン化合物の提供。
【解決手段】下記式(I)
Figure 2008013501

ここで、Rはステロイド骨格を含む有機基であり、かつRは炭素数2〜10の直鎖あるいは脂環構造を含む2価の有機基である、
で表わされるジアミン化合物。
【選択図】なし

Description

本発明はジアミン化合物、ジニトロ化合物およびヒドロキシ化合物の製造方法に関する。
従来、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を、液晶配向膜を有する透明電極付き基板でサンドイッチ構造にし、必要に応じて液晶分子の長軸が基板間で0〜360度連続的に捻れるようにしてなる、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型などの液晶セルを有する液晶表示素子が知られている(特許文献1および2参照)。
このような液晶セルにおいては、液晶を基板面に対し所定の方向に配向させるため、基板表面に液晶配向膜を設ける必要がある。この液晶配向膜は、通常、基板表面に形成された有機膜表面をレーヨンなどの布材で一方向にこする方法(ラビング法)により形成されている。かかる有機膜としては、耐熱性および電気特性の点から、ジアミン化合物と二酸無水物を重縮合反応してなるポリイミド樹脂からなる膜が広く用いられる。
ところで、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型などの液晶セルにおいては、液晶配向膜は、液晶分子を基板面に対して所定の角度(通常3〜10°)で傾斜配向させるプレチルト角特性を有する必要がある。ここで、本明細書における「プレチルト角」とは、基板面と平行な方向からの液晶分子の傾きの角度を表す。
また、上記とは別の液晶表示素子の動作モードとして、負の誘電異方性を有する液晶分子を基板に垂直すなわち、プレチルト角約90°に配向させる垂直(ホメオトロピック)配向モードも知られている。この動作モードでは、基板間に電圧を印加すると、液晶分子は、基板法線方向から基板面内の一方向に向かって傾く。
上記の各種モードで要求される高いプレチルト角を発現させるには、液晶配向膜として、オクタデシル基のような嵩高い置換基を有するポリイミド樹脂を用いればよいことが知られている。かかる置換基の中でも、嵩高く、且つ剛直なステロイド骨格は、高いプレチルト角を発現させるのに、特に有用である。このような嵩高い置換基を有するポリイミド樹脂は、その合成に際して、嵩高い置換基を有するジアミン化合物または二酸無水物を用いることにより、得ることができる。
特開昭56−91277号公報 特開平1−120528号公報 特許第2893671号 特開2004−331937号公報 特開2006−10896号公報
本発明の目的は、液晶配向膜として有用なポリイミド樹脂の合成に用いられるジアミン化合物およびその前駆体であるジニトロ化合物およびヒドロキシ化合物並びにそれらの製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
下記式(I)で表されるジアミン化合物(以下、「化合物(1)」という場合がある。)により達成される。
Figure 2008013501
ここで、Rはステロイド骨格を含む有機基であり、かつRは炭素数2〜11の直鎖あるいは脂環構造を含む2価の有機基である。
本発明の上記目的および利点は、第2に、
下記式(II)
Figure 2008013501
で表されるジニトロ化合物(以下、「化合物(2)」という場合がある。)によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第3に、
下記式(III)
Figure 2008013501
ここで、Rの定義は上記式(I)に同じでありそしてRの定義は上記式(I−1)と同じである、
で表されるヒドロキシ化合物(以下、「化合物(3)という場合がある)によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第4に、
上記式(II)で表される化合物を、ヒドラジン・一水和物とパラジウム炭素、水素ガスとパラジウム炭素、亜鉛粉末と塩化アンモニウム、塩化鉄(III)とヒドラジンまたは塩化スズ二水和物により還元することを特徴とする前記式(I)で表わされるジアミン化合物の製造方法によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第5に、
上記式(III)で表される化合物を、3、5−ジニトロベンゾイルハライドまたは、2、4−ジニトロハロベンゼンと反応せしめることを特徴とする上記式(II)で表されるジニトロ化合物の製造方法によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第6に、
下記式(IV)で表わされる化合物(以下、「化合物(4)という場合がある)と下記式(V)(以下、「化合物(5)という場合がある)で表される化合物とを反応せしめた後に、塩基性化合物にて処理するか、あるいは、下記式(IV)で表される化合物のヒドロキシル基を電子吸引性置換基に置換した後、下記式(VI)で表される化合物(以下、「化合物(6)という場合がある)と反応せしめることを特徴とする上記式(III)で表わされる化合物の製造方法。
R−OH ・・・(IV)
ここで、Rの定義は上記式(I)と同じである。
X−R−X ・・・(V)
ここで、Rの定義は上記式(I−1)と同じであり、Xはハロゲン原子であり、2つのXは同じであっても、異なっていてもよい。
HO−R−OH ・・・(VI)
ここで、Rの定義は上記式(I−1)と同じである、
によって達成される。
本発明によれば、本発明の液晶配向膜として有用なポリイミドの合成に用いられるジアミン化合物を高純度で取得できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の新規なジアミン化合物である化合物(1)は、上記式(I)で表される。上記式(I)中、
は炭素数2〜11の直鎖あるいは脂環構造を含む2価の有機基である。本発明の化合物(1)の好ましい具体例としては、下記式(I−1)〜(I−4)のそれぞれで表される化合物が挙げられる。ここで、Rは、炭素数2〜10の直鎖式あるいは脂環式構造を含む炭化水素基である。
Figure 2008013501
本発明の化合物(1)は、下記反応式(1)および(2)に示されるように、化合物(3)と、2、4−ジアミノハロベンゼンあるいは3、5−ジニトロベンゾイルハライドなどのジニトロ化合物とを反応せしめ、次いで得られた生成物である化合物(2)を還元することにより、高純度で得ることができる。
さらに化合物(3)は下記反応式(3−1)あるいは(3−2)に示されるいずれかの製造方法により、高純度で得ることができる。
Figure 2008013501
上記反応式(3−1)中、式(V)で表わされる化合物(5)として具体的には、1,2−ジフルオロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジフルオロプロパン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジフルオロブタン、1,4−ジクロロブタン、1,4−ジブロモブタン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジフルオロペンタン、1,5−ジクロロペンタン、1,5−ジブロモペンタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジフルオロヘキサン、1,6−ジクロロヘキサン、1,6−ジブロモヘキサン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジフルオロヘプタン、1,7−ジクロロヘプタン、1,7−ジブロモヘプタン、1,7−ジヨードヘプタン、1,8−ジフルオロオクタン、1,8−ジクロロオクタン、1,8−ジブロモオクタン、1,8−ジヨードオクタン、1,9−ジフルオロノナン、1,9−ジクロロノナン、1,9−ジブロモノナン、1,9−ジヨードノナン、1,10−ジフルオロデカン、1,10−ジクロロデカン、1,10−ジブロモデカン、1,10−ジヨードデカン、1,4−ビス(フルオロメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(クロロメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ブロモメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヨードメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
式(V)において、2つのXは互いに異なるハロゲンでもよい。かかる化合物としては、例えば1−ブロモ−2−クロロエタン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、1−ブロモ−7−クロロヘプタン、1−ブロモ−8−クロロオクタン、1−ブロモ−9−クロロノナン、1−ブロモ−10−クロロデカン、1−ブロモメチル−4−クロロメチルヘキサンなどが挙げられる。
これらの中では、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,7−ジブロモヘプタン、1,8−ジブロモオクタン、1,9−ジブロモノナン、1,10−ジブロモデカン、1,4−ビス(ブロモメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヨードメチル)シクロヘキサン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1−ブロモ−5−クロロペンタン、1−ブロモ−6−クロロヘキサン、1−ブロモ−7−クロロヘプタン、1−ブロモ−8−クロロオクタン、1−ブロモ−9−クロロノナン、1−ブロモ−10−クロロデカン、1−ブロモメチル−4−クロロメチルシクロヘキサンが好ましい。より好ましくは1,2−ジブロモエタン、1,3−ジブロモプロパン、1−ブロモメチル−4−クロロメチルシクロヘキサンである。
上記反応式(3−1)中、塩基処理に用いられる処理剤としては、例えば水酸化ナトリウムのアルコール水溶液、水酸化カリウムのアルコール水溶液などが挙げられる。
上記反応式(3−2)中、電気吸引性置換基への置換反応に用いられる化合物として、例えば三塩化リン、三臭化リン、p−トルエンスルホン酸クロリド、トリフルオロメタンスルホン酸クロリドなどが挙げられる。
上記反応式(3−2)中、式(VI)で表わされる化合物(6)として具体的には、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンが挙げられる。この中で好ましくは1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンである。
上記反応式(1)におけるジニトロ化合物としては、具体的には2,4−ジニトロフルオロベンゼン、2,4−ジニトロクロロベンゼン、2,4−ジニトロブロモベンゼン、2,4−ジニトロヨードベンゼンの如き2,4−ジニトロハロベンゼン;3,5−ジニトロベンゾイルフルオリド、3,5−ジニトロベンゾイルクロリド、3,5−ジニトロベンゾイルブロミド、3,5−ジニトロベンゾイルヨージドの如き3,5−ジニトロベンゾイルハライドが挙げられる。これらの中では2,4−ジニトロフルオロベンゼン、2,4−ジニトロクロロベンゼン、3,5−ジニトロベンゾイルクロリド、3,5−ジニトロベンゾイルブロミドが好ましい。
上記反応式(1)におけるジニトロ化合物の使用量は、用いる化合物(3)に対して、好ましくは80〜130%モル、より好ましくは100〜110%モルである。
この置換反応は適宜の溶剤中において行うことができる。溶剤として、例えばヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。反応温度は好ましくは−15〜150℃、より好ましくは0〜40℃であり、反応時間は好ましくは1時間〜5日間である。
上記反応式(2)の、還元反応は式(II)で表わされる化合物(2)より目的物である式(I)で表わされるジアミン化合物(1)を得る反応である。かかる反応としては、例えばヒドラジン・一水和物とパラジウム炭素を用いる反応、水素ガスとパラジウム炭素を用いる反応、亜鉛粉末と塩化アンモニウムを用いる反応、塩化鉄(III)とヒドラジンを用いる反応、塩化スズ二水和物などが挙げられる。
この置換反応は適宜の溶剤中において行うことができる。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどを用いることができる。反応温度は好ましくは−15〜130℃であり、反応時間は好ましくは3時間〜2日間である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
シリカゲル乾燥管を取り付けた容量200mlの三口フラスコにβ−コレスタノール25g、ピリジン70mlを加え、氷浴上で冷却した。p−トルエンスルホン酸クロリド37gを加え、1時間撹拌した後、室温で20時間撹拌した。反応液よりろ別にて析出物を除去し、ろ液を減圧留去した。得られた白色固体を99%エタノール500mlより再結晶することにより下記式(III−Am)で表される化合物(以下、化合物(3−Am)という場合がある。)29gを純度よく得た(収率82%)。この生成物のH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl、90MHz、以下同じ)を図1に示す。
Figure 2008013501
実施例2
シリカゲル乾燥管を取り付けた容量500mlの三口フラスコに化合物(3−Am)10g、ピリジン280ml、エチレングリコール60mlを加え、6時間還流撹拌した。減圧留去により得られた白色個体を99%エタノールで洗浄した。回収したエタノールを減圧留去することにより、無色粘性液体である下記式(III−A)で表される化合物(以下、化合物(3−A)という場合がある。)4gを純度よく得た(収率51%)。この生成物のH−NMRスペクトルを図2に示す。
Figure 2008013501
実施例3
滴下漏斗を備えた200mlの三口フラスコに化合物(3−A)13gと3,5−ジニトロベンゾイルクロリド8gを加え、脱水テトラヒドロフラン140mlに溶解させた。氷浴上で冷却しながら、ピリジン7mlを滴下させた。滴下完了後、室温で8時間撹拌した。反応液を水2Lに投入し、析出した白色固体をろ別・乾燥した。白色固体を99%エタノール300mlより再結晶することにより、下記式(II−A)で表される化合物(以下、化合物(2−A)という場合がある。)14gを純度よく得た(収率74%)。この生成物のH−NMRスペクトルを図3に示す。
Figure 2008013501
実施例4
シリカゲル乾燥管を取り付けた容量100mlの三口フラスコにて化合物(2−A)7gを99%エタノール14mlに溶解させた。5%パラジウム炭素4gを加え、70℃で1時間撹拌した。ヒドラジン・一水和物7gを加え、5時間還流撹拌した。室温まで放冷し、析出した白色固体を回収した。白色固体を99%エタノールより再結晶することによって下記式(I−A)で表される化合物(以下、化合物(1−A)という場合がある。)5gを純度よく得た(収率80%)。この生成物のH−NMRスペクトルを図4に示す。
Figure 2008013501
実施例1で得られた化合物(3−Am)のH−NMRスペクトル図 実施例2で得られた化合物(3−A)のH−NMRスペクトル図 実施例3で得られた化合物(2−A)のH−NMRスペクトル図 実施例4で得られた化合物(1−A)のH−NMRスペクトル図

Claims (8)

  1. 下記式(I)
    Figure 2008013501
    ここで、Rはステロイド骨格を含む有機基であり、かつRは炭素数2〜10の直鎖あるいは脂環構造を含む2価の有機基である、
    で表されるジアミン化合物。
  2. 下記式(I−1)から(I−4)のそれぞれで表される、請求項1に記載のジアミン化合物。
    Figure 2008013501
    ここで、Rは、炭素数2〜10の直鎖あるいは脂環構造を含む炭化水素基である。
  3. 下記式(II)
    Figure 2008013501
    ここで、RおよびRの定義は上記式(I)と同じである、
    で表されるジニトロ化合物。
  4. 下記式(II−1)から(II−4)のそれぞれで表される、請求項3に記載のジニトロ化合物。
    Figure 2008013501
    ここで、Rの定義は上記式(I−1)と同じである。
  5. 下記式(III)
    Figure 2008013501
    ここで、Rの定義は上記式(I)に同じでありそしてRの定義は上記式(I−1)と同じである、
    で表されるヒドロキシ化合物。
  6. 上記式(II)で表される化合物を、ヒドラジン・一水和物とパラジウム炭素、水素ガスとパラジウム炭素、亜鉛粉末と塩化アンモニウム、塩化鉄(III)とヒドラジンまたは塩化スズ二水和物により還元することを特徴とする前記式(I)で表わされるジアミン化合物の製造方法。
  7. 上記式(III)で表される化合物を、3、5−ジニトロベンゾイルハライドまたは、2、4−ジニトロハロベンゼンと反応せしめることを特徴とする上記式(II)で表されるジニトロ化合物の製造方法。
  8. 下記式(IV)で表わされる化合物と下記式(V)で表される化合物とを反応せしめた後に、塩基性化合物にて処理するか、あるいは、下記式(IV)で表される化合物のヒドロキシル基を電子吸引性置換基に置換した後、下記式(VI)で表される化合物と反応せしめることを特徴とする上記式(III)で表わされる化合物の製造方法。
    R−OH ・・・(IV)
    ここで、Rの定義は上記式(I)と同じである。
    X−R−X ・・・(V)
    ここで、Rの定義は上記式(I−1)と同じであり、Xはハロゲン原子であり、2つのXは同じであっても、異なっていてもよい。
    HO−R−OH ・・・(VI)
    ここで、Rの定義は上記式(I−1)と同じである。
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