JP2009237545A - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
これらの液晶表示素子における液晶配向膜の材料としては、従来ポリイミド、ポリアミドおよびポリエステルなどが知られているが、特にポリイミドは、耐熱性、液晶との親和性、機械的強度などに優れており、多くの液晶表示素子に使用されている。
ところで近年、液晶表示素子の製造工程は大きな進歩を遂げている。特に、基板の大型化とともに採用されてきた大型基板搬送技術や液晶滴下方式(ODF)といった技術が注目されている。このうちODF方式は、液晶配向膜が形成された基板上に液晶を必要量滴下し、真空中でもう一方の基板と貼り合わせた後、液晶を密閉するためのシール剤をUV硬化することにより、パネル全面に液晶を充填する方法であり、従来行われていた真空注入方式に比べて液晶充填工程のプロセス時間を大幅に短縮することの可能な技術である。しかしながら、ポリイミド系の液晶配向膜を有するVA型液晶表示素子の製造においてODF方式を採用すると、「ODFムラ」と呼ばれる表示ムラが生ずる不具合が発生することがある。この現象は、液晶配向膜の垂直配向規制力が不足することに起因すると信じられている。
ポリイミド系の液晶配向膜におけるこの問題を解決するために、例えば長鎖アルキル基などの疎水性の官能基を有するジアミンを高い含有率で含むジアミンを用いて得られたポリイミドを使用する方法がある(特許文献1および2参照)。この技術は垂直配向規制力を高める効果が認められる優れた技術であるが、液晶配向剤の印刷性が損なわれる場合がある。
そこで、液晶配向剤に要求される種々の要求性能、特に印刷性を損なうことなく、上記ODFムラの発生しない液晶配向膜を与える液晶配向剤および表示品位に優れる液晶表示素子、特に長時間連続駆動した場合であっても画質が劣化することのない液晶表示素子が求められている。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
テトラカルボン酸二無水物と、下記式(A)
で表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第2に、
上記の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
<ポリアミック酸>
本発明の液晶配向剤が含有することのできるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と上記式(A)で表される化合物を含むジアミンとを反応させることにより合成することができる。
本発明の液晶配向剤が含有することのできるポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、下記式(T−I)および(T−II)
のそれぞれで表される化合物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(T−1)〜(T−4)
本発明の液晶配向剤が含有することのできるポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、上記のうちのブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3’,2,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(T−I)で表される化合物のうち下記式(T−5)〜(T−7)
特定テトラカルボン酸(1)としては、特に1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物および上記式(T−5)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明の液晶配向剤が含有することのできるポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、上記の如き特定テトラカルボン酸(1)を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、20モル%以上含むものであることが好ましく、50モル%以上含むものであることがより好ましく、特に80モル%以上含むものであることが好ましい。
本発明の液晶配向剤が含有することのできるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A)で表される化合物を含むジアミンである。
上記式(A)におけるRIおよびRIIIは、それぞれ独立に、エーテル結合またはエステル結合であることが好ましい。このエステル結合の方向は問わない。RIIとしては、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。RIVとしては、単結合またはメチレン基が好ましい。
上記式(A)のXにおけるステロイド骨格とは、シクロペンタノ−ペルヒドロフェナントレン骨格またはその有する炭素−炭素結合の1つまたは複数が二重結合となった骨格をいう。かかるステロイド骨格を有する基Xとしては、例えば下記式(X−1)〜(X−4)
のいずれかで表される基であり、「*」は結合手であることを示す。)
のそれぞれで表される基を挙げることができる。基Xの具体例としては、例えば下記式(X−1−1)、(X−2−1)、(X−3−1)または(X−4−1)
で表される基を挙げることができる。
上記式(A)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(A−1)〜(A−29)
これらの化合物は、有機化学の常法により合成することができる。
例えば上記式(A−1)、(A−2)、(A−7)または(A−8)で表される化合物は、それぞれコレステロールまたはコレスタノールに無水こはく酸を付加した後、塩化チオニルなどで酸塩化物とし、この酸塩化物に対して当量以上の塩基存在下で酸塩化物とジニトロフェノールとの反応を行った後、塩化すずなどの適当な還元剤で還元することにより合成することができる。
上記式(A−3)、(A−4)、(A−9)または(A−10)で表される化合物は、それぞれコレステロールまたはコレスタノールに無水こはく酸を付加した後、炭酸カリウム存在下において前記付加物とジニトロ塩化ベンゾイルとのエステル形成反応を行った後、塩化すずなどの適宜の還元剤で還元することにより合成することができる。
上記式(A−5)または(A−11)で表される化合物は、それぞれコレステロールまたはコレスタノールをトシルクロライドなどを用いてトシル化して得られるトシル化コレステロールまたはトシル化コレスタノールと、ジニトロ塩化ベンゾイルおよび過剰のブタンジオールを塩基存在下で反応させて得られるジニトロベンゾイルモノブタンジオールエステルを合成した後、先のトシル化コレスタノールとを、適当な有機溶媒中で加熱してエーテル結合を形成した後、塩化すずなどの適宜の還元剤で還元する方法により合成することができる。
上記式(A−6)または(A−12)で表される化合物は、それぞれ
コレステロールまたはコレスタノールに無水こはく酸を付加した後、水素化リチウムアルミニウム等で前記付加物のカルボニル基をメチレン基に還元した後、t−ブトキシカリウムなどの塩基存在下において前記還元体と2,4−ジニトロクロロベンゼンとのエステル形成反応を行った後、塩化すずなどの適宜の還元剤で還元する方法、または
上記と同様にして得られるトシル化コレステロールまたはトシル化コレスタノールと、2,4−ジニトロクロロベンゼンおよび過剰のブタンジオールをt−ブトキシカリウムなどの塩基存在下で反応させて得られる1−(4−ヒドロキシブトキシ)−2,4−ジニトロベンゼンとを、適当な有機溶媒中で加熱してエーテル結合を形成した後、塩化すずなどの適宜の還元剤で還元する方法
などにより合成することができる。
上記式(A−13)で表される化合物は、例えば上記と同様にして得られるトシル化コレスタノールと、2,4−ジニトロクロロベンゼンおよび過剰のエチレングリコールをt−ブトキシカリウムなどの塩基存在下で反応させて得られる1−(4−ヒドロキシエトキシ)−2,4−ジニトロベンゼンとを、適当な有機溶媒中で加熱してエーテル結合を形成した後、塩化すずなどの適宜の還元剤で還元する方法により合成することができる。
上記式(A−14)、(A−15)または(A−16)で表される化合物は、それぞれラノステロール、エルゴステロールまたはルミステロールを出発物質として用いるほかは、上記式(A−6)で表される化合物の合成に準じた方法で合成することができる。
上記式(A−17)または(A−18)で表される化合物は、それぞれコレステロールまたはコレスタノールをメタンスルホン酸クロリドでメシル化した後、過剰のエチレングリコールで置換反応を行いモノエーテル化合物を合成した後、塩基存在下で前記モノエーテル化合物と3,5−ジニトロ塩化ベンゾイルとを反応させてジニトロ体を合成した後、ニトロ基をパラジウムカーボンなどの適宜の還元剤を用いて還元することにより得ることができる。
上記式(A−19)または(A−20)で表される化合物は、それぞれコレステロールまたはコレスタノールを水素化カリウムなどによりアルコキシドとした後、過剰のジブロモプロパンと反応させてエーテル結合を形成して中間体を得た後、炭酸カリウム存在下で前記中間体と3,5−ジニトロ安息香酸とを反応させてジニトロ体を合成した後、ニトロ基をパラジウムカーボンなどの適宜の還元剤を用いて還元することにより得ることができる。
上記式(A−21)または(A−22)で表される化合物は、それぞれコレステロールまたはコレスタノールに無水こはく酸を付加した後、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いて3,5−(N,N−ジアリル)アミノフェノールと反応させた後、1,3−ジメチルバルビツール酸およびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを用いてアリル基を除去することにより得ることができる。
上記式(A−23)または(A−24)で表される化合物は、それぞれコレステロールまたはコレスタノールに無水こはく酸を付加した後、ボラン−オキソラン錯体を用いてカルボニル基を還元してアルコールとして中間体を得た後、塩基存在下で前記中間体と3,5−ジニトロ塩化ベンゾイルとを反応させてジニトロ体を合成した後、ニトロ基をパラジウムカーボンなどの適宜の還元剤を用いて還元することにより得ることができる。
上記式(A−25)または(A−26)で表される化合物は、無水こはく酸の代わりに無水グルタル酸を用いるほかは、それぞれ、上記式(A−4)または(A−10)で表される化合物と同様にして得ることができる。
上記式(A−27)、(A−28)または(A−29)で表される化合物は、原料のラノステロール、エルゴステロールまたはルミステロールを適当な水素化触媒により水素化した後に用いるほかは、それぞれ上記式(A−14)、(A−15)または(A−16)で表される化合物と同様にして得ることができる。
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、下記式(D−I)
で表される化合物、下記式(D−II)
で表される化合物などの分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
下記式(D−III)
で表されるモノ置換フェニレンジアミン(ただし上記式(A)で表される化合物を除く。);
下記式(D−IV)
で表される化合物などのジアミノオルガノシロキサン;
下記式(D−1)〜(D−5)
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
上記芳香族ジアミン、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン、モノ置換フェニレンジアミン(ただし上記式(A)で表される化合物を除く。)および上記式(D−1)〜(D−5)で表される化合物の有するベンゼン環は、炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)によって置換されていてもよい。
本発明の液晶配向剤に含有されることのできるポリアミック酸を合成するに際して、上記式(A)で表される化合物とともに併用する他のジアミンは、上記のうちのp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、上記式(D−1)〜(D−5)のそれぞれで表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、上記式(D−I)で表される化合物のうちの下記式(D−6)
本発明の液晶配向剤が含有することのできるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A)で表される化合物を、全ジアミンに対して1モル%以上含むものであることが好ましく、2〜20モル%含むものであることがより好ましく、特に5〜10モル%含むものであることが好ましい。
本発明の液晶配向剤が含有することのできるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、さらに上記の如き他の特定ジアミンを、全ジアミンに対して20〜99モル%含むものであることが好ましく、50〜99モル%含むものであることがより好ましく、特に80〜99モル%含むものであることが好ましい。
本発明の液晶配向剤が含有することのできるポリアミック酸は、上記の如きテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。反応時間は、好ましくは1〜240時間であり、より好ましくは2〜12時間である。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。また、有機溶媒の使用量(a:ただし有機溶媒と後述の貧溶媒とを併用する場合には、それらの合計量をいう。)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
ポリアミック酸を合成するに際して有機溶媒と貧溶媒とを併用する場合、貧溶媒の使用割合は、有機溶媒と貧溶媒との合計に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下である。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸の単離は、上記反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥する方法、あるいは、反応溶液をエバポレーターで減圧留去する方法により行うことができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解し、次いで貧溶媒で析出させる方法、あるいは、エバポレーターで減圧留去する工程を1回または数回行う方法により、ポリアミック酸を精製することができる。
本発明の液晶配向剤に含有されることのできるイミド化重合体は、上記の如きポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
イミド化重合体の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、脂環式テトラカルボン酸二無水物から選択される少なくとも1種(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物(2)」という。)を含むテトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。特定テトラカルボン酸二無水物(2)としては、特に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物および4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明の液晶配向剤が含有することのできるイミド化重合体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、上記の如き特定テトラカルボン酸(2)を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、20モル%以上含むものであることが好ましく、50モル%以上含むものであることがより好ましく、特に80モル%以上含むものであることが好ましい。
上記イミド化重合体の合成に用いられるジアミンとしては、上述したポリアミック酸の合成に用いられるジアミンと同じジアミンを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体は、イミド化率が20%以上であることが好ましく、特に40〜80%であることが好ましい。
上記イミド化率は、イミド化重合体のアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。イミド化率は、イミド化重合体を適当な重水素化溶媒(例えば重水素化ジメチルスルホキシド)に溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定した結果から、下記数式(1)により求めることができる。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 (1)
(数式(1)中、A1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、αはイミド化重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。反応時間は、好ましくは1〜24時間であり、より好ましくは2〜8時間である。
上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は、好ましくは1〜24時間であり、より好ましくは2〜8時間である。
本発明の液晶配向剤が含有することのできるポリアミック酸またはそのイミド化重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損なわれることなく液晶配向剤の塗布特性などをさらに改善することができる。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、分子量調節剤を重合反応系に添加することにより行うことができる。分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
上記酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。上記モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。上記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、ポリアミック酸を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合成100重量部に対して、好ましくは20重量以下であり、より好ましくは5重量部以下である。
−溶液粘度−
以上のようにして得られるポリアミック酸またはイミド化重合体は、濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
本発明の液晶配向膜は、上記の如きポリアミック酸およびこれを脱水閉環してなるイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物などを挙げることができる。
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサンなどを好ましいものとして挙げることができる。これらエポキシ基含有化合物の配合割合は、重合体の合計量(液晶配向剤に含有されるポリアミック酸およびそのイミド化重合体の合計量をいう。以下同じ。)100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは0.1〜30重量部である。
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン含有化合物の配合割合は、重合体の合計量100重量部に対して、好ましくは40重量部以下である。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。かかる有機溶媒の好ましい例としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば、スピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備するものである。
本発明の液晶表示素子は、例えば下記の方法により製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィンなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えば基板上にパターンなしの透明導電膜を形成した後フォト・エッチングにより所望のパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いてパターニングされた透明導電膜を直接形成する方法などを用いることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面と樹脂膜との接着性をさらに良好にするために、例えば官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布しておいてもよい。液晶配向剤塗布後塗布した配向剤の液垂れ防止等の目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.1〜10分であり、より好ましくは0.5〜3分である。その後、溶媒を完全に除去することなどを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このポストベーク温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。ポストベーク時間は好ましくは1〜180分であり、より好ましくは10〜120分である。
本発明の液晶配向剤は塗布後に有機溶媒を除去することによって配向膜となる塗膜を形成するが、本発明の液晶配向剤に含有される重合体がポリアミック酸またはイミド環構造とアミック酸構造とを併有するイミドか重合体である場合には、塗膜形成後にさらに加熱することによって脱水閉環反応を進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。
ここで形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。本発明の液晶配向剤は、垂直配向性に優れた液晶配向膜を形成することができるため、ODF法によりVA型液晶表示素子を製造したときでもODFムラが発生しない液晶表示素子を得ることができる利点を有する。
いずれの方法による場合でも、次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、注入時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができる。その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
また、液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
上記式(A−10)で表される化合物(以下、「化合物(A−10)」という。)を、下記スキーム1
(1)化合物(A−10a)の合成
撹拌機、窒素導入管および温度計を備えた5L三口フラスコに、β−コレスタノール389g、こはく酸無水物201g、N,N−ジメチルアミノピリジン15g、トリエチルアミン170mLおよび酢酸エチル2Lを仕込み、90℃で8時間反応を行った。反応終了後、減圧にて酢酸エチルを留去し、クロロホルム2Lを加えた。有機層を希塩酸で3回、次いで水で4回順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮して生じた沈殿をろ別し、溶媒を除去することにより、化合物(A−10a)の白色粉末を223g得た。
なお、化合物(A−10a)の合成は、必要に応じて上記スケールで繰り返すことにより、以降の実施例における必要量を確保した。
(2)化合物(A−10b)の合成
撹拌機、温度計および窒素導入管を備えた5Lの三口フラスコに、上記で合成した化合物(A−10a)223g、3,5−ジニトロベンジルクロリド108g、炭酸カリウム207g、ヨウ化ナトリウム150gおよびN,N−ジメチルホルムアミド1,500mLを仕込み、60℃で8時間反応を行った。反応終了後、クロロホルムを3L加えて得た有機層を水で3回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮して析出した固体を回収し、これをエタノールで洗浄することにより、化合物(A−10b)の淡黄色の粉末を280g得た。
(3)化合物(A−10)の合成
撹拌機、温度計および窒素導入管を備えた5Lの三口フラスコに、上記で合成した化合物(A−10b)200g、塩化スズ2水和物680gおよび酢酸エチル2Lを仕込んで4時間還流下に反応を行った。反応終了後、反応混合物をフッ化カリウム水溶液および水で順次に洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濃縮した後、エタノールで再結晶することにより、化合物(A−10)の淡黄色結晶を58g得た。
実施例2(上記式(A−18)で表される化合物の合成)
上記式(A−18)で表される化合物(以下、「化合物(A−18)」という。)を、下記スキーム2
(1)化合物(A−18a)の合成
滴下ロート、温度計および窒素導入管を備えた1Lの三口フラスコに、β−コレスタノール117g、N,N−ジメチルアミノピリジン3.7g、テトラヒドロフラン400mLおよびトリエチルアミン55mLを仕込み氷冷した。ここに、滴下ロートに仕込んだメタンスルホン酸クロリドおよびテトラヒドロフラン100mLからなる溶液を1時間かけて滴下し、さらに室温で3時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチル500mLを加えて得た有機層につき、水で3回分液洗浄を行った後、硫酸マグネシウムで乾燥した。次いで、有機層を約300mLまで濃縮した後、これを600mLのエタノール中に分散して生成した白色沈殿をろ取し、乾燥することにより、化合物(A−18a)を117g得た。
(2)化合物(A−18b)の合成
上記で得た化合物(A−18a)の46.7g、エチレングリコール155gおよび1,4−ジオキサン200mLを混合し、100℃で20時間加熱攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に水500mLおよびクロロホルム500mLを加えて十分に攪拌した後、有機層を分離し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液500mLで1回、水500mLで2回、順次に洗浄を行った。有機層を硫酸マグネシウムにより脱水し、ろ過および濃縮後、エタノール500mLを加えて0℃で攪拌した後、一晩静置した。静置後に生成した白色の析出物をろ別した後、ろ液を濃縮し、溶媒を除去することにより、化合物(A−18b)の粗生成物の粘性液体26.3gを得た。
(3)化合物(A−18c)の合成
上記で得た化合物(A−18b)26.3gおよび3,5−ジニトロベンゾイルクロリド14gを混合し、テトラヒドロフラン溶媒300mL中、0℃において10分間攪拌した。ここに、トリエチルアミン8.4mLを10分間かけて滴下した後、室温で3時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応液を濃縮し、クロロホルム500mLを加えた後、水300mLにより4回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで脱水後、ろ過、濃縮し、粘性液体を回収した。この粘性液体を、を用いたカラムクロマトグラフ(展開溶媒:クロロホルム)により精製することにより、淡黄色オイル状の化合物(A−18c)20gを得た。
(4)化合物(A−18)の合成
窒素雰囲気下、上記で得た(A−18c)20gおよび塩化スズ(II)2水和物78gを混合し、酢酸エチル溶媒350mL中、還流下に4時間加熱攪拌した。次いで2mol/Lのフッ化カリウム水溶液400mLを加えて攪拌し、析出した塩をろ別した。有機層を2mol/Lのフッ化カリウム400mlで1回、水400mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて脱水後、ろ過、濃縮し、淡黄色粉末を得た。この得られた粉末をカラムクロマトグラフ(展開溶媒:クロロホルム/エタノール=95/5(体積比))により精製することにより、白色粉末の(A−18)14gを得た。
実施例3(化合物(A−24)の合成)
上記式(A−24)で表される化合物(以下、「化合物(A−24)」という。)を、下記スキーム3
(1)化合物(A−24b)の合成
滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えた500mLの三口フラスコに、化合物(A−10a)24gおよびテトラヒドロフラン150mLを仕込み、−18℃に冷却した。ここに濃度0.9mol/Lのボラン−テトラヒドロフラン錯体/テトラヒドロフラン溶液55mlを、30分かけて滴下した後、室温で16時間さらに反応を行った。反応終了後、反応混合物を氷冷し、ここに水30mLをゆっくり加えた後、酢酸エチルを加えて得た有機層につき、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水で3回、順次に分液洗浄を行った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮、乾固することにより、化合物(A−24b)の白色粉末を17g得た。
(2)(A−24c)の合成
滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えた500mLの三口フラスコに、上記で得た化合物(A−24b)15g、トリエチルアミン4.5mLおよびテトラヒドロフラン100mLを仕込んで氷冷した。ここに、テトラヒドロフラン50mLに溶かした3,5−ジニトロ塩化ベンゾイル7.4gを滴下ロートを用いて1時間かけて滴下し、さらに室温で2時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た有機層につき、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水で3回、順次に分液洗浄を行った後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濃縮、乾固した後、エタノールから再結晶を行うことにより、化合物(A−24c)を10g得た。
(3)化合物(A−24)の合成
還流管、窒素導入管および温度計を備えた1Lの三口フラスコに、上記で得た(A−24c)10g、5重量%パラジウムカーボン粉末95mg、エタノール120mL、テトラヒドロフラン60mLおよびヒドラジン1水和物3.8mLを加えて室温で1時間撹拌した後、70℃でさらに1時間撹拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物をセライトろ過して得られたろ液に酢酸エチル300mLを加えて得た有機層につき、水で3回分液洗浄を行った後、濃縮、乾固した。この乾固物をエタノールから再結晶することにより、化合物(A−24)を7g得た。
実施例4
上記式(A−22)で表される化合物(以下、「化合物(A−22)」という。)を、下記スキーム4
(1)化合物(A−22b)の合成
化合物(A−10a)47gおよび3,5−(N,N−ジアリル)ジアミノフェノール28gを混合し、テトラヒドロフラン400mL中、0℃で攪拌した。ここに、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド25gおよびN,N−ジメチルアミノピリジン2.4gを添加した後、25℃で4時間、攪拌した。その後クロロホルムを添加し、有機層を水洗後、濃縮した。濃縮物につき、カラムクロマトグラフ(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=8:1(体積比)によって精製することにより、化合物(A−22b)の粗精製物を得た。
(2)化合物(A−22)の合成
上記で得た(A−22b)38g、1,3−ジメチルバルビツール酸23gおよびテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.1gを混合し、ジクロロメタン200mL中、35℃で7時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で順次に洗浄した後、有機層を濃縮し、様梅雨を除去して褐色の粘性液体を得た。この粘性液体につき、カラムクロマトグラフ(展開溶媒:クロロホルム:エタノール=95:5(体積比))により精製した後、エタノールから再結晶を行うことにより、化合物(A−22)13gを、淡黄色の粉末として得た。
実施例5
上記式(A−26)で表される化合物(以下、「化合物(A−26)」という。)を、下記スキーム5
(1)化合物(A−26a)の合成
撹拌機、窒素導入管および温度計を備えた10L三口フラスコに、β−コレスタノール778g、グルタル酸無水物458g、N,N−ジメチルアミノピリジン30g、トリエチルアミン340mLおよび酢酸エチル4Lを仕込み、90℃で8時間反応を行った。反応終了後、減圧にて酢酸エチルを留去し、クロロホルム2Lを加えた。有機層を希塩酸で3回、次いで水で4回順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮して生じた沈殿をろ別し、溶媒を除去することにより、化合物(A−26a)の白色粉末を498g得た。
(2)化合物(A−26b)の合成
撹拌機、温度計および窒素導入管を備えた5Lの三口フラスコに、上記で合成した化合物(A−26a)254g、3,5−ジニトロベンジルクロリド108g、炭酸カリウム207g、ヨウ化ナトリウム150gおよびN,N−ジメチルホルムアミド1,500mLを仕込み、60℃で8時間反応を行った。反応終了後、クロロホルムを3L加えて得た有機層を水で3回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層を濃縮して析出した固体を回収し、これをエタノールで洗浄することにより、化合物(A−26b)の淡黄色の粉末を305g得た。
(3)化合物(A−26)の合成
撹拌機、温度計および窒素導入管を備えた5Lの三口フラスコに、上記で合成した化合物(A−26b)228g、塩化すず2水和物680gおよび酢酸エチル2Lを仕込んで4時間還流下に反応を行った。反応終了後、反応混合物をフッ化カリウム水溶液および水で順次に洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濃縮した後、エタノールで再結晶することにより、化合物(A−26)の淡黄色結晶を60g得た。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物65g(TCA)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン31gおよび上記実施例1で合成した化合物(A−10)9.2g(TCA 1モル当量に対して0.05モル当量に相当する。)をN−メチル−2−ピロリドン420gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は4,700mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン980gを追加し、ピリジン23gおよび無水酢酸30gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。以下同じ。)することにより、イミド化率約49%のイミド化重合体(PI−1)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンで希釈して重合体濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は22mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物60g(TCA)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン27gおよび上記実施例1で合成した化合物(A−10)17g(TCA 1モル当量に対し0.1モル当量に相当する。)をN−メチル−2−ピロリドン420gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は3,700mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン980gを追加し、ピリジン21gおよび無水酢酸28gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約50%のイミド化重合体(PI−2)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンで希釈して重合体濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は20mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物21g(TCA)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン9.0gおよび上記実施例2で合成した化合物(A−18)5.3g(TCA 1モル当量に対して0.1モル当量に相当する。)をN−メチル−2−ピロリドン140gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は3,500mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン325gを追加し、ピリジン15gおよび無水酢酸19gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約78%のイミド化重合体(PI−3)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンで希釈して重合体濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は21mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物20g(TCA)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン8.9gおよび上記実施例3で合成した化合物(A−24)5.6g(TCA 1モル当量に対して0.1モル当量に相当する。)をN−メチル−2−ピロリドン140gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は3,600mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン325gを追加し、ピリジン14gおよび無水酢酸19gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約80%のイミド化重合体(PI−4)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンで希釈して重合体濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は22mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物20g(TCA)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン8.9gおよび上記実施例4で合成した化合物(A−22)5.5g(TCA 1モル当量に対して0.1モル当量に相当する。)をN−メチル−2−ピロリドン140gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は3,700mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン325gを追加し、ピリジン14gおよび無水酢酸19gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約79%のイミド化重合体(PI−5)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンで希釈して重合体濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は22mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物20g(TCA)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン8.9gおよび上記実施例5で合成した化合物(A−26)5.8g(TCA 1モル当量に対して0.1モル当量に相当する。)をN−メチル−2−ピロリドン140gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は3,400mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン325gを追加し、ピリジン14gおよび無水酢酸19gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約78%のイミド化重合体(PI−6)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンで希釈して重合体濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は21mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物65g(TCA)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン31gおよび上記実施例1で合成した化合物(A−10)9.2g(TCA 1モル当量に対して0.05モル当量に相当する。)をN−メチル−2−ピロリドン420gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は4,700mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン980gを追加し、ピリジン46gおよび無水酢酸60gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約78%のイミド化重合体(PI−7)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンで希釈して重合体濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は22mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物60g(TCA)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン27gおよび上記実施例1で合成した化合物(A−10)17g(TCA 1モル当量に対し0.1モル当量に相当する。)をN−メチル−2−ピロリドン420gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を20重量%含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は3,700mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン980gを追加し、ピリジン42gおよび無水酢酸56gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約80%のイミド化重合体(PI−8)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンで希釈して重合体濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は20mPa・sであった。
テトラカルボン酸無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物29g(TCA)とジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン11gおよび下記式(R−1)
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン500gを追加し、ピリジン10gおよび無水酢酸13gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約49%のイミド化重合体(B−1)を20重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンで希釈して重合体濃度6.0重量%の溶液として測定した溶液粘度は19mPa・sであった。
<液晶配向剤の調製>
(1)印刷性評価用液晶配向剤の調製
上記実施例6で得たイミド化重合体(PI−1)を含有する溶液にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(重量比)、固形分濃度が6.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより、印刷性評価用液晶配向剤を調製した。
(2)液晶表示素子製造用晶配向剤の調製
上記実施例6で得たイミド化重合体(PI−1)と含有する溶液にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がNMP:BC=50:50(重量比)、固形分濃度が4重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより、液晶表示素子製造用液晶配向剤を調製した。
<液晶配向剤の評価>
これら液晶配向剤のうちのいずれかを用いて、以下の方法により評価を行った。評価結果を表1に示した。
(1)印刷性の評価
上記で調製した印刷性評価用液晶配向剤につき、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて以下の条件でITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃で60分間加熱(ポストベーク)して、膜厚60nmの塗膜を形成した。この塗膜を目視で観察してハジキおよび塗布ムラの有無を調べたところ、印刷ムラおよびピンホールとも観察されない場合を印刷性「良好」として評価した。
厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記で調製した液晶表示素子製造用液晶配向剤をスピンナーにより塗布し、80℃で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃で60分間加熱することにより、膜厚0.08μmの塗膜を形成した。次いでこの塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数400rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.4mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で10分間超音波洗浄を行ない、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、ラビング処理を施した液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、ラビング処理を施した液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次いで上記一対の基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面がアンチパラレルとなるように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、垂直配向規制力評価用の液晶セルを製造した。
この液晶表示素子について、結晶回転角法により測定したプレチルト角が86°以上のものを垂直配向規制力「良好」、86°未満のものを垂直配向規制力「不良」として評価した。
なお、上記で施したラビング処理は、液晶配向膜の垂直配向規制力を減殺する効果があることが知られている。そしてラビング処理を施したにもかかわらず86°以上のプレチルト角を示す場合には垂直配向規制力が極めて優れているといえ、かかる結果を与える液晶配向剤は、これをODF方式によるVA型液晶表示素子の製造に用いた場合でも表示ムラが発生しないことが経験的に明らかになっている。
ラビング処理を行わなかったほかは、上記(2)垂直配向規制力の評価におけるのと同様にして液晶セルを製造した。
この液晶セルに対し、60℃において5Vの電圧を、60マイクロ秒の印加時間、16.7マイクロ秒のスパンで印加した後、電圧印加の解除から16.7ミリ秒後の電圧保持率を測定した。
(4)耐熱性の評価(長期連続駆動耐性の代替評価)
上記と同様にして製造した液晶セルにつき、先ず5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。このときの数値を初期電圧保持率(VHRBF)とした。
VHRBF測定後、液晶表示素子を100℃のオーブンに入れ、1,000時間熱ストレスを印加した。次いで液晶表示素子を室温下に静置して室温まで冷却した後、上記初期電圧保持率の測定と同じ条件で熱ストレス印加後の電圧保持率(VHRAF)を測定した。
下記数式(2)
△VHR(%)=((VHRBF−VHRAF)÷VHRBF)×100 (2)
により、熱ストレス印加前後の電圧保持率の変化率(△VHR)を求め、この変化率が5%未満のものを耐熱性「良好」、5%以上のものを耐熱性「不良」として評価した。
評価結果は表1に示した。
液晶配向剤の組成がそれぞれ表1に記載のとおりとなるようにしたほかは、上記実施例14と同様にしてそれぞれ2種類の液晶配向剤を調製し、評価した。なお、実施例15および17〜23においては、重合体溶液に所定の溶媒を加えたのち、さらに下記式(E−1)
それぞれの結果を表1に示した。
Claims (5)
- 請求項1または2に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
- テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸またはそのイミド化重合体。
- 上記式(A)で表される化合物。
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