JP3549680B2 - 電子レンジ調理用生麺類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は電子レンジ調理用生麺類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、麺類の製造のあたり、特に、麺質の改良のため、油脂が添加されている例は多い。しかし、電子レンジ調理用生麺類については知られていない。油脂を添加する目的は、主に製麺性の向上であり、麺帯の伸展性の向上や乾燥防止を対象としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、油脂を小麦粉に対し、0.1重量%以上添加すると、通常のガス火加熱で茹でる方法では麺類の茹で伸びが極端に早くなるなどの問題が発生する。
【0004】
また、本発明者が提案した電子レンジ調理用生麺類(特願平8−178667号明細書)においても、麺線を太くしたり、麺線の水分を低下させることにより、吸水されるお湯の温度を低下させると、電子レンジ加熱時間が長くなり、即席性に劣るなどの問題がある。
【0005】
そこで、本発明においては、上記のような問題がなく、極く短時間の電子レンジ調理により、可食状態にすることのできる電子レンジ調理用生麺類の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、油脂とグリアジンを生麺類中に含有させることにより、吸水をほとんど伴わない電子レンジ加熱の場合においても、麺線への吸水速度を向上させることができることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、油脂を小麦粉に対し、0.1〜10重量%と、グリアジンを混合することを特徴とする電子レンジ調理用生麺類の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる油脂としては、豚脂、牛脂、乳脂などの動物油脂であっても、パーム油、ヤシ油、米ぬか油、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、ゴマ油などの植物性油脂およびこれらの油脂の混合品、エステル交換反応品、水素添加油脂、分別油脂などのいずれであってもよく、その種類に限定されるものではない。
【0009】
上記油脂を小麦粉に添加する場合、油脂の形態により、小麦粉に直接添加するか、捏ね水に添加すればよく、その方法に限定されるものではない。原料の小麦粉に混合でき、作業性、保管性などに優れていることが好ましく、かかる点から乳化粉末油脂が好ましい。
【0010】
本発明において、油脂の小麦粉を含む粉原料に対する添加量は、0.1〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0011】
製麺方法は、常法によればよく、混捏、麺帯成形、麺帯複合、麺帯熟成、麺帯圧延、切断(麺線)の工程で生麺を得る。
【0012】
本発明の生麺類の製造方法においては、通常、麺類に混合される原料または添加物を混合することができる。例えば、蕎麦粉、米粉、トウモロコシなどの穀類粉;馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、コーン澱粉、小麦澱粉、米澱粉などの澱粉類またはそれらの有機酸エステル、リン酸架橋、エーテル化、酸化などを施した糊化開始温度が50℃以上60℃以下の化工澱粉;卵白、乳蛋白、大豆蛋白、グルテンなどの動植物性蛋白質;キサンタンガム、グアガム、カラギーナン、リーカストビーンガム、カードラン、寒天、コンニャク、ゼラチン、タマリンドウガム、ペクチン、ジェランガム、アルギン酸またはその塩類などのガム類;糖質または糖質の還元物、グリセリン、プロピレングリコールなどのポリオール;クエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、リン酸、炭酸、塩酸、硫酸などの酸類およびそのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの塩類がある。これらはその一種または二種以上を併用することができる。
【0013】
本発明において、これらの小麦粉以外の混合物の添加方法および添加量には限定されないが、添加方法としては、小麦粉に混合する方法と水に溶解させる方法があるが、好ましくは小麦粉に混合する方法である。
【0014】
また、これらの混合物の添加量は、穀粉類、澱粉類においては小麦粉との置換量が5〜50重量%であり、それ以外のものにあっては、通常、小麦粉に対して0.01〜5重量%である。
【0015】
本発明における麺類としては、うどん、日本そば、中華麺、焼きそば、スパゲテイーなどを挙げることができる。
【0016】
本発明で得られる生麺類の、一般家庭に普及している出力500Wの電子レンジによる調理方法としては、水から生麺類を入れて加熱する場合とお湯(85℃以上)に入れる場合、比較的茹で時間の早い日本そばや中華麺の場合と、比較的茹で時間の長いうどんの場合などとで異なるが、比較的茹で時間の短い日本そばや中華麺、焼きそばでお湯を使用する場合には、麺の入った容器にお湯を注ぎ蓋をした後、電子レンジで約60秒間加熱した後、濃縮スープなどを入れる調理方法、またそのお湯を一旦捨て濃縮ソースを入れる方法や新たにお湯と濃縮スープを入れる方法がある。
【0017】
また、比較的茹で時間の長いうどん、スパゲテイーでお湯を使用する場合には麺の入った容器にお湯を注ぎ、蓋をした後、約60秒間電子レンジで加熱した後、そのまま約60秒間放置した後、お湯を捨てて濃縮ソースを入れる調理方法やそのままお湯を捨てずに濃縮スープを入れる調理方法、また、新たにお湯を注ぐと同時に濃縮スープを入れ再び電子レンジで約60秒間加熱する調理方法がある。
【0018】
また、水から麺類を入れる場合には、麺類の入った容器に水を注ぎ蓋をした後、比較的茹で時間の短い日本そばや中華麺、焼きばで約4分間、比較的茹で時間の長いうどんで約6分間の電子レンジ加熱を行ったものに、濃縮スープを入れる調理方法やゆで湯を捨てて濃縮スープを入れる調理方法や、さらに新たにお湯と濃縮スープを入れる調理方法などがある。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中、%は特に断らないかぎり、重量%である。
【0020】
実施例1、比較例1
準強力小麦粉6.7kgと化工澱粉(日本食品化工製、MT01H)2.5kg、グリアジン(アサマ化成(株)製、グリアA)400g、乾燥卵白粉200g、粉末油脂(ミヨシ油脂(株)製、マジックファット100)200gを混合した粉を混捏機の中に入れ、食塩50gとかん粉(大洋食化学製、花かん粉)100gを水3.5kgとエタノール300mlに溶解した水溶液を加え、20分間の混捏を行った後、製麺機で厚さ6〜7mmの麺帯とした後、麺帯が乾燥しないようにビニール袋に包み、室温で約1時間の麺帯熟成を行った。その後、圧延ロールの間隙を狭くしながら、厚さ約1.6mmになるまで麺帯を圧延した。この麺帯を玉取り機で切歯20番で麺線とし、生中華麺を得た。また、同時に粉末油脂を添加せずに、同様にして生中華麺を得た(比較例1)。
【0021】
各生中華麺150gを容量700mlの発泡スチロール製の容器に入れ、85℃のポットのお湯を400ml入れ、蓋をした後、電子レンジで50秒間加熱したのち、濃縮中華スープ55mlを入れ、中華麺を得た。この中華麺を10人のパネラーにより、風味と食感について評価した。
【0022】
その結果、10人全てのものが、本発明品は腰、滑らかさとも通常の中華麺と同等かそれ以上であると評価したのに対し、比較例1の中華麺は、硬く、滑らかさのないものと評価した。また、本発明品は調理後10分経過しても通常の中華麺のように伸びることがなく、その腰を維持していた。
【0023】
実施例2、比較例2
準強力小麦粉5.8kgと化工澱粉4.0kg、粉末油脂300g、グリアジン(グリアA)200gを混合した粉を混捏機の中に入れ、食塩120g、炭酸水素ナトリウム20gを4.0kgの水に溶解した水溶液を加え、20分間の混捏を行った後、製麺機で厚さ6〜7mmの麺帯とした後、麺帯が乾燥しないようにビニール袋に包み、室温で約1時間の麺帯熟成を行った。その後、圧延ロールの間隙を狭くしながら、厚さ約2.5mmになるまで麺帯を圧延した。この麺帯を玉取り機で切歯12番で麺線とし、生うどんを得た。また、同時に粉末油脂を添加せずに、同様にして生うどんを得た(比較例2)。
【0024】
各生うどん100gを容量500mlの発泡スチロール製の容器に入れ、85℃のポットのお湯を300ml入れ、蓋をした後、電子レンジで60秒間加熱したのち、お湯を捨て、濃縮うどん汁50mlとお湯300mlを入れ、再び電子レンジで60秒間加熱し、釜揚げうどんを得た。この釜揚げうどんを10人のパネラーにより、風味と食感について評価した。
【0025】
その結果、10人全てのものが、本発明品は腰、滑らかさとも通常の釜揚げうどんと同等かそれ以上の食感であると評価したのに対し、比較例2のうどんは硬く、滑らかさのないものと評価した。
【0026】
実施例3、比較例3
強力小麦粉6.0kgと化工澱粉0.5kg、そば粉3.0kg、粉末油脂300g、グリアジン(グリアA)300gを混合した粉を混捏機の中に入れ、食塩120g、炭酸水素ナトリウム30gを3.5kgの水に溶解した水溶液を加え、20分間混捏を行った後、製麺機で厚さ6〜7mmの麺帯とした後、麺帯が乾燥しないようにビニール袋に包み、室温で約1時間の麺帯熟成を行った。その後、圧延ロールの間隙を狭くしながら、厚さ約1.5mmになるまで麺帯を圧延した。この麺帯を玉取り機で切歯20番で麺線とし、生そばを得た。また、同時に粉末油脂を添加せずに、同様にして生そばを得た(比較例3)。
【0027】
各生そば150gを容量700mlの発泡スチロール製の容器に入れ、85℃のポットのお湯を400ml入れ、蓋をした後、電子レンジで50秒間加熱したのち、水洗いを行い、盛りそばを得た。この盛りそばを10人のパネラーにより、風味と食感について評価した。
【0028】
その結果、10人全てのものが、本発明品は腰、滑らかさとも通常の盛りそばと同等かそれ以上の食感であると評価したのに対し、比較例3の盛りそばは硬く、滑らかさのないものと評価した。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、電子レンジを調理器具として使用することにより、ガス火加熱による通常の調理と同等かそれ以上の食感をもつ、作りたての麺類を製造することができる。
Claims (2)
- 油脂を小麦粉を含む粉原料に対し、0.1〜10重量%と、グリアジンを混合することを特徴とする電子レンジ調理用生麺類の製造方法。
- 油脂が粉末油脂である請求項1記載の電子レンジ調理用生麺類の製造方法。
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JP23990596A JP3549680B2 (ja) | 1996-08-22 | 1996-08-22 | 電子レンジ調理用生麺類の製造方法 |
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Applications Claiming Priority (1)
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JP23990596A JP3549680B2 (ja) | 1996-08-22 | 1996-08-22 | 電子レンジ調理用生麺類の製造方法 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP23990596A Expired - Lifetime JP3549680B2 (ja) | 1996-05-28 | 1996-08-22 | 電子レンジ調理用生麺類の製造方法 |
Country Status (1)
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