JP3549030B2 - 紫外線吸収性ラッカー組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、各種プラスチック、金属、ガラス等の下地基材への紫外線に対する保護機能を有する紫外線吸収性コーティング剤として用いられる紫外線吸収性ラッカー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、紫外線吸収剤を重合組成物に添加して用いる場合には、その加工時あるいは使用時において、該重合組成物からの紫外線吸収剤のブリードアウトによる性能の劣化、および、生態系への毒性が問題となっている。そこで、上記の問題を改善するため、重合可能な骨格を有する紫外線吸収剤を用い、これを単独重合、あるいは重合性モノマーと共重合させる方法が用いられている。このような方法としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンとアクリル酸とのエステル(特公昭 36−6771号公報)を重合性モノマーと共重合させる方法が報告されている。
【0003】
しかしながら、ベンゾフェノン系誘導体のアクリル酸エステルは、最大吸収波長が比較的短く、従って、地上における太陽光線の紫外線領域の中で、その積算エネルギーが比較的大きい波長領域(320 nm〜400 nm)を吸収するには不充分である。そのため、長波長領域での紫外線吸収能が高く、より長い最大吸収波長を有し、しかも、重合組成物からの溶出やブリードアウトのないベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が望まれている。
【0004】
そこで、このような紫外線吸収剤を得るためのベンゾトリアゾール系の紫外線安定性単量体として、特開平6−172742号公報には、2−〔2’− ヒドロキシ−5’−( β− メタクリロイルオキシエトキシ)−3’−t− ブチルフェニル〕−4−t− ブチル−2H−ベンゾトリアゾールが開示されている。また、特開平5−255447号公報には、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収性組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、2−〔2’− ヒドロキシ−5’−( β− メタクリロイルオキシエトキシ)−3’−t− ブチルフェニル〕−4−t− ブチル−2H−ベンゾトリアゾールを紫外線安定性単量体として用いた場合、得られた共重合体は、長期間にわたって紫外線が照射されると着色が起こるという問題点を有している。
【0006】
また、本願発明者等が検討した結果、特開平5−255447号公報に開示されている紫外線吸収性組成物をラッカー組成物として用いた場合、得られた塗膜の耐候性は、長期間維持できるものではないことが判った。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、紫外線吸収能を有し、且つ、紫外線吸収成分の共重合体からの溶出やブリードアウト、着色および変退色がなく、長期間にわたって耐候性に優れる紫外線吸収性ラッカー組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記従来の問題点を解決すべく、鋭意検討した結果、特定の構造を有する紫外線吸収性単量体と、特定の構造を有するシクロアルキル基含有単量体と、酸性官能基含有単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体を含む紫外線吸収性ラッカー組成物が、紫外線吸収能を有し、且つ、紫外線吸収成分の共重合体からの溶出やブリードアウト、着色、および変退色がなく、長期間にわたって耐候性に優れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、請求項1記載の発明の紫外線吸収性ラッカー組成物は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
【0010】
【化5】
Figure 0003549030
【0011】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ鎖状のアルキレン基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す)
で表される紫外線吸収性単量体 0.1 重量%〜 30 重量%と、一般式(2)
【0012】
【化6】
Figure 0003549030
【0013】
(式中、R10は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Zは置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す)
で表されるシクロアルキル基含有単量体2重量%〜 95 重量%と、酸性官能基含有単量体 0.1 重量%〜 15 重量%とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体を含むことを特徴としている。
【0014】
請求項2記載の発明の紫外線吸収性ラッカー組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の紫外線吸収性ラッカー組成物において、上記単量体組成物が一般式(3)
【0015】
【化7】
Figure 0003549030
【0016】
(式中、Rは水素原子またはシアノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表す)
で表される紫外線安定性単量体および/または一般式(4)
【0017】
【化8】
Figure 0003549030
【0018】
(式中、Rは水素原子またはシアノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表す)
で表される紫外線安定性単量体をさらに含むことを特徴としている。
【0019】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる紫外線吸収性ラッカー組成物は、前記一般式(1)で表される紫外線吸収性単量体と、前記一般式(2)で表されるシクロアルキル基含有単量体と、酸性官能基含有単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体(紫外線吸収性共重合体)を含んでなる。
【0020】
本発明にかかる前記一般式(1)で表される紫外線吸収性単量体(以下、説明の便宜上、紫外線吸収性単量体(1)と称する)は、式中、R で示される置換基が水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基で構成され、R で示される置換基が炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ鎖状のアルキレン基で構成され、Rで示される置換基が水素原子またはメチル基で構成され、Xで示される置換基が水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基で構成されるベンゾトリアゾール類である。
【0021】
上記の紫外線吸収性単量体(1)としては、具体的には、例えば、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t− ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら紫外線吸収性単量体(1)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0022】
本発明にかかる前記一般式(2)で表されるシクロアルキル基含有単量体(以下、説明の便宜上、シクロアルキル基含有単量体(A)と称する)は、式中、R10で示される置換基が水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基で構成され、Zで示される置換基が、置換基を有していてもよいシクロアルキル基で構成される化合物である。
【0023】
上記Zで示される置換基(シクロアルキル基)としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロドデシル基等の単環式飽和炭化水素残基等が挙げられる。また、これらのシクロアルキル基は、炭素数1〜7のアルキル基を置換基として有していてもよい。これらの置換基におけるアルキル基とは、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等である。
【0024】
上記のシクロアルキル基含有単量体(A)としては、具体的には、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これらシクロアルキル基含有単量体(A)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0025】
本発明にかかる酸性官能基含有単量体としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3− クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系不飽和単量体等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら酸性官能基含有単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0026】
本発明にかかる前記一般式(3)で表される紫外線安定性単量体(以下、紫外線安定性単量体(3)と記す)は、式中、Rで示される置換基が水素原子またはシアノ基で構成され、R、Rで示される置換基がそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基で構成され、Rで示される置換基が水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基で構成され、Yで示される置換基が酸素原子またはイミノ基で構成されるピペリジン類である。上記R、Rで示される置換基とは、具体的には、例えば、水素原子、メチル基またはエチル基であり、Rで示される置換基とは、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等である。
【0027】
上記の紫外線安定性単量体(3)としては、具体的には、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6− ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6− ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4− (メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。紫外線安定性単量体(3)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0028】
また、本発明にかかる前記一般式(4)で表される紫外線安定性単量体(以下、紫外線安定性単量体(4)と記す)は、式中、Rで示される置換基が水素原子またはシアノ基で構成され、R、Rで示される置換基がそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基で構成され、Yで示される置換基が酸素原子またはイミノ基で構成されるピペリジン類である。
【0029】
上記の紫外線安定性単量体(4)としては、具体的には、例えば、1−(メタ)アクリロイル−4− (メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4− シアノ−4− (メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4− クロトノイルオキシ−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。紫外線安定性単量体(4)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0030】
単量体組成物が、紫外線吸収性単量体(1)、シクロアルキル基含有単量体(A)、および酸性官能基含有単量体の他に、上記紫外線安定性単量体(3)および/または紫外線安定性単量体(4)をさらに含むことで、紫外線吸収能を長期にわたって維持することができる紫外線吸収性ラッカー組成物を得ることができるので、一層好ましい。
【0031】
また、上記単量体(紫外線吸収性単量体(1)、シクロアルキル基含有単量体(A)、酸性官能基含有単量体、紫外線安定性単量体(3)および紫外線安定性単量体(4))以外の単量体、即ち、単量体組成物に必要に応じて含まれるその他の単量体(以下、説明の便宜上、単量体(B)と称する)は、該紫外線吸収性ラッカー組成物に要求される各種物性を損なわない化合物であれば、特に限定されるものではない。
【0032】
上記単量体(B)としては、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N’− ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素不飽和単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン化合物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクロン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えば、商品名:プラクセルFM、ダイセル化学工業株式会社製)、フタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有不飽和単量体等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら単量体(B)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0033】
単量体組成物における上記各単量体の含有量は、特に限定されるものではないが、紫外線吸収性単量体(1)は、 0.1重量%〜30重量%の範囲内が好ましく、1重量%〜20重量%の範囲内がさらに好ましく、2重量%〜15重量%の範囲内が特に好ましい。また、シクロアルキル基含有単量体(A)は、2重量%〜95重量%の範囲内が好ましく、5重量%〜85重量%の範囲内がさらに好ましく、10重量%〜75重量%の範囲内が特に好ましい。また、酸性官能基含有単量体は、 0.1重量%〜15重量%の範囲内が好ましく、 0.2重量%〜10重量%の範囲内がさらに好ましく、 0.5重量%〜5重量%の範囲内が特に好ましい。
【0034】
単量体組成物における紫外線吸収性単量体(1)の含有量が 0.1重量%未満であると、得られる紫外線吸収性ラッカー組成物の紫外線吸収能が不充分となるので好ましくない。一方、上記含有量が30重量%を越えると、得られる紫外線吸収性ラッカー組成物を塗料として用いた場合の塗膜の光沢や鮮映性等の外観、耐溶剤性および耐薬品性が劣る虞れがあるので、好ましくない。
【0035】
また、単量体組成物におけるシクロアルキル基含有単量体(A)の含有量が2重量%未満であると、得られる紫外線吸収性ラッカー組成物を塗料として用いた場合の塗膜の耐候性、光沢性および硬度等の性能が不充分となるので好ましくない。一方、上記含有量が95重量%を越えると、該塗膜の可撓性が乏しくなり、経時変化によって塗膜にクラックが生じ易くなるので、好ましくない。
【0036】
また、単量体組成物が酸性官能基含有単量体を含有することは、紫外線吸収性ラッカー組成物に、基材、特に金属基材への密着性や、顔料分散性を付与する上で極めて有効に作用する。即ち、種々の顔料の分散性、及び、複合顔料系における混色安定性等を向上させることができる。単量体組成物における酸性官能基含有単量体の含有量が 0.1重量%未満であれば、紫外線吸収性ラッカー組成物に顔料分散性を充分に付与することができなくなるので、好ましくない。一方、上記含有量が15重量%を越えると、重合安定性に劣ることや、得られる共重合体の耐水性が低下する等の不都合が生じるので、好ましくない。
【0037】
また、単量体組成物が紫外線安定性単量体(3)および/または紫外線安定性単量体(4)を含む場合における、上記紫外線安定性単量体(3)・(4)の合計量は、 0.1重量%〜15重量%の範囲内が好ましく、 0.5重量%〜10重量%の範囲内がさらに好ましく、1重量%〜5重量%の範囲内が特に好ましい。紫外線安定性単量体(3)・(4)の合計量を上記の範囲内とすることにより、紫外線吸収能を長期にわたって維持することができる紫外線吸収性ラッカー組成物を得ることができる。
【0038】
単量体組成物における紫外線安定性単量体(3)・(4)の合計量が、 0.1重量%未満であると、得られる紫外線吸収性ラッカー組成物を塗料として用いた場合の塗膜の紫外線吸収能を長期にわたって維持することができないので、好ましくない。一方、上記合計量が15重量%を越えると、得られる紫外線吸収性ラッカー組成物を塗料として用いた場合の塗膜の耐水性、光沢および鮮映性等の性能に劣るので、好ましくない。尚、これら紫外線安定性単量体(3)・(4)および単量体(B)は、得られる紫外線吸収性ラッカー組成物の物性を損なわない範囲内で用いられる。
【0039】
上記の紫外線吸収性単量体(1)、シクロアルキル基含有単量体、酸性官能基含有単量体、紫外線安定性単量体(3)・(4)および単量体(B)の混合方法は、特に限定されるものではない。例えば、上記の各単量体を共重合させる前に予め混合してもよく、また、上記の各単量体を共重合させる際に、反応液中で混合してもよい。要するに、重合時に反応器内に上記の各単量体が仕込まれていればよい。
【0040】
上記単量体組成物を共重合させる際の重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合方法、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等を採用することができる。溶液重合法を採用して単量体組成物を共重合させる場合において用いることができる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;イソプロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール等の脂肪族アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら溶媒は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。これら溶媒の使用量は、特に限定されるものではない。
【0041】
また、単量体組成物を共重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。上記の重合開始剤としては、具体的には、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t− ブチルパーオキサイド等の通常のラジカル重合開始剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、単量体組成物全量に対して、0.1 重量%〜10重量%の範囲内で使用することが好ましい。
【0042】
反応温度は、特に限定されるものではないが、室温〜 200℃の範囲が好ましく、40℃〜 140℃の範囲がより好ましい。尚、反応時間は、反応温度、或いは、用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種類等に応じて、重合反応が完結するように、適宜設定すればよい。
【0043】
さらに、反応系には、分子量を調節する目的で、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、四塩化炭素、四臭化炭素等の連鎖移動剤や重合調節剤を用いてもよい。
【0044】
また、得られた共重合体を、水溶性もしくは水分散性の紫外線吸収性ラッカー組成物に用いる場合には、該共重合体を、必要に応じて、塩基性化合物で中和してもよい。使用できる塩基性化合物としては、具体的には、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、水酸化ナトリウム等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0045】
さらに、該共重合体の示差走査熱量計(DSC)を用いて測定されるガラス転移温度は、20℃〜80℃の範囲内となるように設計することが好ましく、30℃〜70℃の範囲内となるように設計することがさらに好ましい。該共重合体のガラス転移温度が20℃未満であると、該共重合体を含む紫外線吸収性ラッカー組成物を塗料として用いた場合、得られる塗膜が柔らかすぎて、長期間、耐久性を維持することができなくなるため、好ましくない。一方、上記ガラス転移温度が80℃を越えると、塗膜が硬すぎて、脆くなりすぎるため、耐クラック性や耐ブリスター性を充分に発揮することができなくなるので、好ましくない。
【0046】
該共重合体の数平均分子量(Mn)は、10,000〜40,000の範囲内となるように設計することが好ましく、15,000〜30,000の範囲内となるように設計することが、さらに好ましい。上記数平均分子量(Mn)が10,000未満であると、充分な耐久性を有する塗膜を得ることができないので好ましくない。一方、上記数平均分子量(Mn)が40,000を越えると、重合安定性に劣るという不都合や、粘度が高くなりすぎるために、塗装作業適性に欠けるという不都合を生じるため、好ましくない。さらに、数平均分子量(Mn)が10,000以上であっても、数平均分子量(Mn)が5,000 以下の成分が該共重合体中に10%以上存在すると、充分な耐久性を有する塗膜を得ることができなかったり、耐溶剤性に欠けるという不都合を生じる。このため、該共重合体中においては、数平均分子量(Mn)が5,000 以下の成分が10%未満であることが好ましい。
【0047】
本発明にかかる紫外線吸収性ラッカー組成物は、該共重合体を含有してなる。該紫外線吸収性ラッカー組成物は、一液非架橋型組成物であり、そのまま用いることができるが、必要に応じて、有機溶剤および/または水等の溶媒、充填剤、レベリング剤、分散剤、可塑剤、安定剤、染料、顔料等の各種塗料用の添加剤を配合して用いてもよい。該紫外線吸収性ラッカー組成物を塗料として用いる場合に用いられる顔料は、無機顔料でも有機顔料でもよく、特に限定されるものではないが、無機顔料としては、具体的には、例えば、酸化チタン、三酸化アンチモン、亜鉛華、リトポン、鉛白等の白色顔料;カーボンブラック、黄鉛、モリブデン赤、べんがら等の着色顔料等が挙げられる。一方、有機顔料としては、具体的には、例えば、ベンジジン、ハンザイエロー等のアゾ化合物;フタロシアニンブルー等のフタロシニン類が挙げられる。これら各種添加剤は、一種類のみを用いてもよいし、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、これら添加剤の使用量は、特に限定されるものではない。
【0048】
以上のように、本発明にかかる紫外線吸収性ラッカー組成物は、一液非架橋型組成物であり、紫外線吸収性単量体(1)と、シクロアルキル基含有単量体(A)と、酸性官能基含有単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる紫外線吸収性共重合体を含む構成である。また、上記の単量体組成物は、一般紫外線安定性単量体(3)および/または紫外線安定性単量体(4)をさらに含むことが好ましい。
【0049】
本発明の紫外線吸収性ラッカー組成物は、ベンゾトリアゾール系の骨格を有する紫外線吸収性単量体(1)、即ち、紫外線吸収剤を含む単量体組成物を共重合してなる共重合体を含むので、紫外線吸収能に特に優れている。尚、ここで、「ベンゾトリアゾール系の骨格」とは、ベンゾトリアゾール環の2位の窒素原子にフェノール環が結合した構造を指している。
【0050】
上記の紫外線吸収性単量体(1)は、重合可能な不飽和二重結合を分子内に有しており、シクロアルキル基含有単量体(A)や酸性官能基含有単量体等の単量体と共重合する。従って、得られる紫外線吸収性共重合体は、単量体同士の相溶性が良好であり、抽出可能な未反応の紫外線吸収性単量体(1)量が少ないので、溶出やブリードアウトを生じず、長期にわたってその効果を維持することができる。また、紫外線吸収性単量体(1)に起因する着色が殆ど起こらない。このため、該紫外線吸収性共重合体を含む紫外線吸収性ラッカー組成物も、該紫外線吸収性共重合体と同様の性能を有する。
【0051】
さらに、該紫外線吸収性ラッカー組成物が、紫外線吸収性単量体(1)と、シクロアルキル基含有単量体(A)と、酸性官能基含有単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる紫外線吸収性共重合体を含むことで、カーボンブラック等、種々の顔料の分散性、および、複合顔料系における混色安定性を向上させる効果を顕著に示す。このことから、公知の顔料分散法により、各種顔料を分散して着色塗料とすることもできる。該紫外線吸収性ラッカー組成物を塗料として用いることで、耐候性、光沢性、硬度、耐クラック性、耐水性および基材への密着性等の性能に優れる塗膜を得ることができる。
【0052】
また、該単量体組成物が紫外線安定性単量体(3)および/または紫外線安定性単量体(4)をさらに含むことで、得られる紫外線吸収性共重合体は、紫外線吸収性単量体(1)と、紫外線安定性単量体(3)・(4)との相乗効果により、紫外線吸収能および紫外線安定性が充分に発現されるので、長期間にわたる耐候性に、より一層優れる。このため、該紫外線吸収性ラッカー組成物も、紫外線吸収能および紫外線安定性が充分に発現されるので、長期間にわたる耐候性に、より一層優れる。
【0053】
つまり、本発明の紫外線吸収性ラッカー組成物は、長期間にわたる紫外線吸収能の維持と耐候性とに著しく優れていると共に、紫外線吸収成分の共重合体からの溶出やブリードアウト、着色および変退色がない。また、該紫外線吸収性ラッカー組成物を用いることで、光沢性、鮮映性、耐溶剤性、耐薬品性および耐水性等の物性に優れる塗膜を得ることができる。さらに、該紫外線吸収性ラッカー組成物は、優れた作業性を有している。
【0054】
このため、該紫外線吸収性ラッカー組成物は、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、FRP(ガラスファイバー強化プラスチック)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートおよびアクリル樹脂等の各種プラスチックや金属、ガラス等の下地基材への紫外線に対する保護機能を有する紫外線吸収性コーティング剤として、プラスチック成形品用、家電製品用、鋼製機器用、大型構造物用、自動車用、建築用、建材用、及び木工用等の広範囲の用途に使用することができる。
【0055】
【作用】
本発明の紫外線吸収性ラッカー組成物は、長期間にわたる紫外線吸収能の維持と耐候性とに著しく優れていると共に、紫外線吸収成分の共重合体からの溶出やブリードアウト、着色および変退色がない。また、該紫外線吸収性ラッカー組成物を用いることで、光沢性、鮮映性、耐溶剤性、耐薬品性、耐水性等の物性に優れる塗膜を得ることができる。さらに、該紫外線吸収性ラッカー組成物は、優れた作業性を有している。また、該紫外線吸収性ラッカー組成物は、各種プラスチックや金属やガラス等の下地基材の紫外線に対する保護機能を有する紫外線吸収性コーティング剤として、広範囲の用途に使用することができる。
【0056】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」を示す。
【0057】
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(商品名:DT−40、株式会社島津製作所製)を用いて、昇温速度10℃/minで測定した。
【0058】
数平均分子量(Mn)は、Waters社製のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した。測定条件は、以下の通りである。
検出器:Waters M410 示差屈折計
カラム:Waters ULTRASTYRAGEL 100 Å
Waters ULTRASTYRAGEL 500 Å
Waters ULTRASTYRAGEL 10
Waters ULTRASTYRAGEL リニアー
カラムは、上記4本のカラムを直列に接続した。
標準サンプル:ポリスチレン
溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1ml/min
蛍光UV凝縮試験(QUV試験)は、初期光沢値を測定後、株式会社東洋精機製作所製;ユウブコン(UVCON)UC−1型を用いて実施した。測定条件として、照射70℃×4時間および湿潤50℃×4時間を1セットとするサイクルを繰り返して行い、QUV 2000 時間後の光沢保持率、耐変色性、耐クラック性および耐ブリスター性を測定した。測定は、JIS K 5400に基づいて行った。尚、光沢値とは、いわゆる60℃鏡面光沢値を示す。さらに、耐変色性(△E)は、数値が大きいほど汚染性が大きく、変色の度合いが大きいことを示す。
【0059】
色差(△E)は、JIS K 5400に基づき、ハンターの色差式によって測定した。また、色差(△E)は、数値が大きいほど汚染性が大きく、変色の度合いが大きいことを示す。
【0060】
また、FRP(ガラスファイバー強化プラスチック)板は、以下のようにして作成した。先ず、離型剤としてワックス系のミラーグレーズMGH−8(MEGUIAR’S Incorporated製)とポリビニルアルコール(昭和高分子株式会社製)とを金型に吹きつけた。次に、積層用樹脂としての不飽和ポリエステル系樹脂(商品名:エポラックG−773 PTMY、株式会社日本触媒社製)に、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP)1%を加えてなる樹脂をガラス繊維CM455FA(旭ファイバー株式会社製)に含浸させて、樹脂組成物を得た。次いで、この樹脂組成物を室温で裏打ち積層することによって、3層からなる積層体を得た。この積層体を加熱炉で加熱硬化処理してFRP成形体を脱型した。
【0061】
〔実施例1〕
先ず、温度計、ガス吹き込み管、冷却器、滴下装置および攪拌機を取り付けた4ツ口フラスコに、溶媒としてのトルエン100 部を仕込み、80℃まで昇温した。
【0062】
一方、紫外線吸収性単量体(1)としての2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(以下説明の便宜上、ベンゾトリアゾール(a)と称する)5部と、シクロアルキル基含有単量体(A)としてのシクロヘキシルメタクリレート45部と、酸性官能基含有単量体としてのメタクリル酸 1.0部と、単量体(B)としてのメチルメタクリレート14.0部および2−エチルヘキシルアクリレート10.0部およびn−ブチルアクリレート25.0部と、重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2− エチルヘキサノエート(以下、説明の便宜上、開始剤(b)と称する)0.2 部とを混合することによって、単量体組成物(以下、説明の便宜上、単量体組成物(1)と称する)を得た。この単量体組成物を、滴下装置に仕込んだ。
【0063】
次いで、上記4ツ口フラスコに、上記単量体組成物を2時間かけて滴下した。滴下後、該反応溶液を80℃に保ったままで、6時間保持することによって、共重合体(以下、説明の便宜上、共重合体溶液(1)と称する)を得た。
【0064】
得られた共重合体溶液(1)の不揮発分は49.8%であり、ガラス転移温度は、55℃であった。また、該共重合体溶液(1)の数平均分子量(Mn)は18,000であった。主な反応条件と、測定結果とをまとめて表1に示す。
【0065】
次に、得られた共重合体溶液(1)を、トルエン/キシレン/n−ブチルアルコールが4/4/2の組成を有する希釈用シンナーで、スプレー可能な粘度まで希釈した後、FRP板上に、乾燥膜厚が約20μmとなるようにスプレー塗装し、その後、60℃で40分間乾燥して、QUV試験用の試験片を作成した。得られた試験片を用いてQUV試験を行った。この結果を表2に示す。
【0066】
〔実施例2〕
実施例1において、単量体組成物(1)に代えて、ベンゾトリアゾール(a)5部、シクロヘキシルメタクリレート45.0部、メタクリル酸 1.0部、紫外線安定性単量体(3)としての4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6− テトラメチルピペリジン 2.5部、メチルメタクリレート14.0部、2−エチルヘキシルアクリレート10.0部、n−ブチルアクリレート22.5部、および開始剤(b)0.2 部からなる単量体組成物( 以下説明の便宜上、単量体組成物(2)と称する)を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って、共重合体(以下、説明の便宜上、共重合体溶液(2)と称する)を得た。
【0067】
得られた共重合体溶液(2)の不揮発分は50.0%であり、ガラス転移温度は、60℃であった。また、該共重合体溶液(2)の数平均分子量(Mn)は21,000であった。主な反応条件と、測定結果とをまとめて表1に示す。
【0068】
次に、得られた共重合体溶液(2)について、実施例1と同様の方法を用いて、QUV試験用の試験片を作成した。得られた試験片を用いてQUV試験を行った。この結果を表2に示す。
【0069】
〔実施例3〕
実施例1において、単量体組成物(1)に代えて、ベンゾトリアゾール(a)15部、シクロアルキル基含有単量体(A)としてのt−ブチルシクロヘキシルメタクリレート20部、メタクリル酸 0.5部、メチルメタクリレート20.0部、2−エチルヘキシルアクリレート19.5部、n−ブチルアクリレート25.0部、および開始剤(b)0.2 部からなる単量体組成物( 以下説明の便宜上、単量体組成物(3)と称する)を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って、共重合体(以下、説明の便宜上、共重合体溶液(3)と称する)を得た。
【0070】
得られた共重合体溶液(3)の不揮発分は50.0%であり、ガラス転移温度は、40℃であった。また、該共重合体溶液(3)の数平均分子量(Mn)は20,000であった。主な反応条件と、測定結果とをまとめて表1に示す。
【0071】
次に、得られた共重合体溶液(3)について、実施例1と同様の方法を用いて、QUV試験用の試験片を作成した。得られた試験片を用いてQUV試験を行った。この結果を表2に示す。
【0072】
〔比較例1〕
実施例1において、単量体組成物(1)に代えて、シクロヘキシルメタクリレート30部、メタクリル酸 1.0部、メチルメタクリレート30.0部、2−エチルヘキシルアクリレート15.0部、n−ブチルアクリレート24.0部、および開始剤(b)0.2 部からなる比較用の単量体組成物( 以下説明の便宜上、単量体組成物(4)と称する)を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って、比較用の共重合体(以下、説明の便宜上、共重合体溶液(4)と称する)を得た。
【0073】
得られた共重合体溶液(4)の不揮発分は50.0%であり、ガラス転移温度は、40℃であった。また、該共重合体溶液(4)の数平均分子量(Mn)は22,000であった。主な反応条件と、測定結果とをまとめて表1に示す。
【0074】
次に、得られた共重合体溶液(4)について、実施例1と同様の方法を用いて、QUV試験用の試験片を作成した。得られた試験片を用いてQUV試験を行った。この結果を表2に示す。
【0075】
〔比較例2〕
実施例1において、単量体組成物(1)に代えて、ベンゾトリアゾール(a)10部、メタクリル酸 0.5部、メチルメタクリレート40.0部、2−エチルヘキシルアクリレート19.5部、n−ブチルアクリレート30.0部、および開始剤(b)0.2 部からなる比較用の単量体組成物( 以下説明の便宜上、単量体組成物(5)と称する)を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って、比較用の共重合体(以下、説明の便宜上、共重合体溶液(5)と称する)を得た。
【0076】
得られた共重合体溶液(5)の不揮発分は49.9%であり、ガラス転移温度は、45℃であった。また、該共重合体溶液(5)の数平均分子量(Mn)は17,000であった。主な反応条件と、測定結果とをまとめて表1に示す。
【0077】
次に、得られた共重合体溶液(5)について、実施例1と同様の方法を用いて、QUV試験用の試験片を作成した。得られた試験片を用いてQUV試験を行った。この結果を表2に示す。
【0078】
〔比較例3〕
実施例1において、単量体組成物(1)に代えて、ベンゾトリアゾール(a)20部、シクロヘキシルメタクリレート30部、メチルメタクリレート15.0部、2−エチルヘキシルアクリレート15.0部、n−ブチルアクリレート20.0部、および開始剤(b)0.2 部からなる比較用の単量体組成物( 以下説明の便宜上、単量体組成物(6)と称する)を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って、比較用の共重合体(以下、説明の便宜上、共重合体溶液(6)と称する)を得た。
【0079】
得られた共重合体溶液(6)の不揮発分は49.7%であり、ガラス転移温度は、55℃であった。また、該共重合体溶液(6)の数平均分子量(Mn)は24,000であった。主な反応条件と、測定結果とをまとめて表1に示す。
【0080】
次に、得られた共重合体溶液(6)について、実施例1と同様の方法を用いて、QUV試験用の試験片を作成した。得られた試験片を用いてQUV試験を行った。この結果を表2に示す。
【0081】
〔比較例4〕
実施例1において、単量体組成物(1)に代えて、従来のベンゾトリアゾール系単量体としての2−〔 2’−ヒドロキシ−5’−(β− メタクリロイルオキシエトキシ)−3’−t−ブチルフェニル〕−4−t− ブチル−2H−ベンゾトリアゾール(以下説明の便宜上、ベンゾトリアゾール(d)と称する)5部、シクロヘキシルメタクリレート20部、メタクリル酸 0.5部、メチルメタクリレート30.0部、および2−エチルヘキシルアクリレート24.5部、n−ブチルアクリレート20.0部、および開始剤(b)0.2 部からなる比較用の単量体組成物( 以下説明の便宜上、単量体組成物(7)と称する)を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って、比較用の共重合体(以下、説明の便宜上、共重合体溶液(7)と称する)を得た。
【0082】
得られた共重合体溶液(7)の不揮発分は49.5%であり、ガラス転移温度は、35℃であった。また、該共重合体溶液(7)の数平均分子量(Mn)は20,000であった。主な反応条件と、測定結果とをまとめて表1に示す。
【0083】
次に、得られた共重合体溶液(7)について、実施例1と同様の方法を用いて、QUV試験用の試験片を作成した。得られた試験片を用いてQUV試験を行った。この結果を表2に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0003549030
【0085】
【表2】
Figure 0003549030
【0086】
〔実施例4〕
実施例1で得られた共重合体溶液(1)100 部、酸化チタン( 商品名;タイペークCR−95、石原産業株式会社製)33部、カーボンブラック( 商品名;MA−100、三菱化学株式会社製)1.5 部、トルエン20部、キシレン20部、およびn−ブチルアルコール10部を混合して、紫外線吸収性ラッカー組成物を得た。
【0087】
得られた紫外線吸収性ラッカー組成物を、ブリキ板にスプレー塗布した。次いで、塗膜が半乾きになった時(塗膜を指で触ると、糸引き状態となる時)に、塗膜の一部を指でこすった。該塗膜のスプレー面の光沢値、および、ラビング面とスプレー面との色差を測定した。混合条件と、測定結果とをまとめて表3に示す。
【0088】
〔比較例5〕
実施例4において、共重合体溶液(1)に代えて、比較例1で得られた共重合体溶液(4)100 部を用いた以外は、実施例4と同様の方法を用いて、比較用の紫外線吸収性ラッカー組成物を得た。
【0089】
得られた比較用の紫外線吸収性ラッカー組成物について、実施例4と同様の方法を用いて塗膜を形成した。該塗膜のスプレー面の光沢値、および、ラビング面とスプレー面との色差を、実施例4と同様の方法を用いて測した。混合条件と、測定結果とをまとめて表3に示す。
【0090】
〔比較例6〕
実施例4において、共重合体溶液(1)に代えて、比較例3で得られた共重合体溶液(6)100 部を用いた以外は、実施例4と同様の方法を用いて、比較用の紫外線吸収性ラッカー組成物を得た。
【0091】
得られた比較用の紫外線吸収性ラッカー組成物について、実施例4と同様の方法を用いて塗膜を形成した。該塗膜のスプレー面の光沢値、および、ラビング面とスプレー面との色差を、実施例4と同様の方法を用いて測した。混合条件と、測定結果とをまとめて表3に示す。
【0092】
【表3】
Figure 0003549030
【0093】
表2に示された結果から明らかなように、紫外線吸収性単量体(1)と、シクロアルキル基含有単量体(A)と、酸性官能基含有単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体を含んでなる紫外線吸収性ラッカー組成物は、QUV2000 時間後においても、光沢保持率、耐変色性、耐クラック性および耐ブリスター性に優れている。さらに、表3に示された結果から明らかなように、本発明の紫外線吸収性ラッカー組成物をブリキ板等の基材にスプレー塗布して得られる塗膜は、スプレー面の光沢値が高く、また、ラビング面とスプレー面との色差が極めて小さいことから、優れた顔料分散性を有していることが判る。
【0094】
【発明の効果】
本発明の請求項1にかかる紫外線吸収性ラッカー組成物は、以上のように、一般式(1)
【0095】
【化9】
Figure 0003549030
【0096】
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ鎖状のアルキレン基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す)
で表される紫外線吸収性単量体 0.1 重量%〜 30 重量%と、一般式(2)
【0097】
【化10】
Figure 0003549030
【0098】
(式中、R10は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Zは置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す)
で表されるシクロアルキル基含有単量体2重量%〜 95 重量%と、酸性官能基含有単量体 0.1 重量%〜 15 重量%とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体を含む構成である。
【0099】
また、本発明の請求項2にかかる紫外線吸収性ラッカー組成物は、以上のように、請求項1記載の紫外線吸収性ラッカー組成物において、上記単量体組成物が一般式(3)
【0100】
【化11】
Figure 0003549030
【0101】
(式中、Rは水素原子またはシアノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表す)
で表される紫外線安定性単量体および/または一般式(4)
【0102】
【化12】
Figure 0003549030
【0103】
(式中、Rは水素原子またはシアノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表す)
で表される紫外線安定性単量体をさらに含む構成である。
【0104】
本発明の紫外線吸収性ラッカー組成物は、長期間にわたる紫外線吸収能の維持と耐候性とに著しく優れていると共に、紫外線吸収成分の共重合体からの溶出やブリードアウト、着色および変退色がない。また、該紫外線吸収性ラッカー組成物を用いることで、光沢性、鮮映性、耐溶剤性、耐薬品性および耐水性等の物性に優れる塗膜を得ることができる。さらに、該紫外線吸収性ラッカー組成物は、優れた作業性を有している。また、該紫外線吸収性ラッカー組成物は、各種プラスチックや金属やガラス等の下地基材の紫外線に対する保護機能を有する紫外線吸収性コーティング剤として、広範囲の用途に使用することができるという効果を奏する。

Claims (2)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003549030
    (式中、Rは水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Rは炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ鎖状のアルキレン基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す)
    で表される紫外線吸収性単量体 0.1 重量%〜 30 重量%と、一般式(2)
    Figure 0003549030
    (式中、R10は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Zは置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す)
    で表されるシクロアルキル基含有単量体2重量%〜 95 重量%と、酸性官能基含有単量体 0.1 重量%〜 15 重量%とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体を含むことを特徴とする紫外線吸収性ラッカー組成物。
  2. 上記単量体組成物が一般式(3)
    Figure 0003549030
    (式中、Rは水素原子またはシアノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Rは水素原子または炭素数1〜18の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表す)
    で表される紫外線安定性単量体および/または一般式(4)
    Figure 0003549030
    (式中、Rは水素原子またはシアノ基を表し、R、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表す)
    で表される紫外線安定性単量体をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の紫外線吸収性ラッカー組成物。
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