JP3688393B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線吸収能を有し、長期耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に添加してなる熱可塑性樹脂組成物は、その加工時或いは使用時において、該熱可塑性樹脂組成物からの紫外線吸収剤のブリードアウトによる性能の劣化が生じると共に、生態系への毒性等が問題となっている。そこで、上記の問題点を改善するため、重合可能な骨格を有する紫外線吸収剤を用い、これを単独重合、或いは重合性モノマーと共重合させて熱可塑性樹脂組成物を得る方法が用いられている。このような方法としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンとアクリル酸とのエステル(特公昭36−6771号公報)を重合性モノマーと共重合させる方法が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ベンゾフェノン系誘導体のアクリル酸エステルは、最大吸収波長が比較的短く、従って、地上における太陽光線の紫外線領域の中で、その積算エネルギーが比較的大きい波長領域(320nm〜400nm)を吸収するには不充分である。そのため、長波長領域での紫外線吸収能が高く、より長い最大吸収波長を有し、しかも、熱可塑性樹脂組成物からの溶出やブリードアウトのないベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤を含んでなる熱可塑性樹脂組成物が望まれている。
【0004】
また、紫外線吸収剤と熱可塑性樹脂との相溶性が悪い場合には、該紫外線吸収剤を熱可塑性樹脂に添加すると、紫外線吸収剤が熱可塑性樹脂組成物中で相分離を起こす。このため、熱可塑性樹脂組成物の透明性の低下や、機械的強度の低下等、熱可塑性樹脂が本来有する物性を低下させるという問題点を有している。
【0005】
さらに、重合性の紫外線吸収剤を用いる方法において、該紫外線吸収剤と重合性モノマーとの相溶性が悪い場合には、共重合し難くなり、重合時或いは使用時に、未反応の紫外線吸収剤がブリードアウトする。このため、得られる熱可塑性樹脂組成物の性能の劣化や変質を招来するという問題点を有している。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れ、紫外線吸収剤の溶出やブリードアウトが生じない、長期耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記目的を達成すべく、熱可塑性樹脂組成物について鋭意検討した。その結果、特定の構造を有する紫外線吸収性単量体と、特定の構造を有する不飽和単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる紫外線吸収性共重合体を含んでなる熱可塑性樹脂組成物が、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れ、かつ、該紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性が良好であり、紫外線吸収性共重合体の溶出やブリードアウトを生じることがなく、長期耐候性に優れていることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、請求項1記載の発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
【0009】
【化3】
Figure 0003688393
【0010】
(式中、R1 は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R2 は炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ鎖状のアルキレン基を表し、R3 は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す)
で表される紫外線吸収性単量体と、一般式(2)
【0011】
【化4】
Figure 0003688393
【0012】
(式中、R10は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Zは置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す)
で表される不飽和単量体とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、上記単量体組成物における上記不飽和単量体の含有量は30重量%〜90重量%であり、上記熱可塑性樹脂はポリ塩化ビニルであることを特徴としている。
【0013】
請求項2記載の発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物において、熱可塑性樹脂に対する紫外線吸収性共重合体の添加量が、0.005重量%以上、10重量%以下であることを特徴としている。
【0014】
請求項3記載の発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物であって、厚さ0.5mmのフィルムに対して、275nm以下の波長領域を遮蔽するフィルターを備えた超エネルギー照射試験機を使用し、UV照射強度を約100mW/cm 2 とすると共に、ブラックパネル温度70℃・湿度50%Rhの状態を10時間保持する照射過程と、ブラックパネル温度50℃・湿度96%Rhの状態を2時間保持する湿潤過程とを合わせて1サイクルとする照射−湿潤サイクルを、15サイクル繰り返したとき、試験前の全光線透過率が90 . 5〜91 . 5%、フィルムヘイズが20 . 1〜22 . 0%、かつ、試験後の全光線透過率が90 . 0〜90 . 7%、フィルムヘイズが25 . 3〜25 . 5%であることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、熱可塑性樹脂組成物は、紫外線吸収性共重合体を含んでなるので、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れている。また、熱可塑性樹脂組成物は、高分子量である紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性が良好であり、該紫外線吸収性共重合体の溶出やブリードアウトを生じることがなく、紫外線吸収性単量体に起因する着色が殆ど起こらない。さらに、熱可塑性樹脂組成物は、紫外線吸収性単量体と不飽和単量体との相乗効果により、紫外線吸収能が充分に発現されるので、長期耐候性に優れている。
【0016】
すなわち、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れ、かつ、紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性が良好であり、紫外線吸収性共重合体の溶出やブリードアウトが生じない、長期耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0017】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0018】
本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂とを含んでなる。上記の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリ塩化ビニリデン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、並びに、ポリ塩化ビニル系やポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー等が挙げられるが、特に限定されるものではない。上記例示の熱可塑性樹脂のうち、ポリ塩化ビニルがより好ましい。尚、熱可塑性樹脂組成物は、これら熱可塑性樹脂を二種類以上含んでいてもよい。
【0019】
上記の紫外線吸収性共重合体は添加剤であり、前記一般式(1)で表される紫外線吸収性単量体と、前記一般式(2)で表される不飽和単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる。上記の単量体組成物は、必要に応じて、上記各単量体以外の単量体を含んでいてもよい。
【0020】
前記一般式(1)で表される紫外線吸収性単量体(以下、紫外線吸収性単量体(1)と記す)は、式中、R1 で示される置換基が水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基で構成され、R2 で示される置換基が炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ鎖状のアルキレン基で構成され、R3 で示される置換基が水素原子またはメチル基で構成され、Xで示される置換基が水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基で構成されるベンゾトリアゾール類である。
【0021】
上記の紫外線吸収性単量体(1)としては、具体的には、例えば、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチル−3’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら紫外線吸収性単量体(1)は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0022】
前記一般式(2)で表される不飽和単量体は、式中、R10で示される置換基が水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基で構成され、Zで示される置換基が、置換基を有していてもよいシクロアルキル基で構成される化合物である。
【0023】
上記の不飽和単量体(以下、ベンゾトリアゾール骨格と記す)としては、具体的には、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に限定されるものではない。シクロアルキル基含有単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0024】
また、上記単量体(つまり、紫外線吸収性単量体(1)、および、シクロアルキル基含有単量体)以外の単量体、即ち、単量体組成物に必要に応じて含まれるその他の単量体(以下、その他の単量体と記す)は、該単量体組成物を共重合してなる紫外線吸収性共重合体に要求される各種物性、即ち、熱可塑性樹脂組成物に要求される各種物性を損なわない化合物であればよい。
【0025】
上記その他の単量体としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸等の酸性リン酸エステル系不飽和単量体;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例えば、ダイセル化学工業株式会社製;商品名 プラクセルFM)、フタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の含窒素不飽和単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有不飽和単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン化合物;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性単量体等が挙げられるが、特に限定されるものではない。その他の単量体は、必要に応じて一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0026】
単量体組成物における上記各単量体の含有量は、特に限定されるものではないが、紫外線吸収性単量体(1)の含有量は、0.1重量%〜95.0重量%の範囲内が好ましく、5重量%〜60重量%の範囲内がさらに好ましく、10重量%〜40重量%の範囲内が特に好ましい。また、シクロアルキル基含有単量体の含有量は、5重量%〜99.9重量%の範囲内が好ましく、30重量%〜90重量%の範囲内がさらに好ましく、50重量%〜80重量%の範囲内が特に好ましい。単量体組成物における紫外線吸収性単量体(1)の含有量、および、シクロアルキル基含有単量体の含有量を上記の範囲内とすることにより、両単量体の相乗効果が発現され、得られる紫外線吸収性共重合体の紫外線吸収能が充分となり、熱可塑性樹脂組成物の長期耐候性が実現される。
【0027】
単量体組成物における紫外線吸収性単量体(1)の含有量が0.1重量%よりも少ない場合には、得られる紫外線吸収性共重合体の紫外線吸収能が不充分となるので好ましくない。また、含有量が95.0重量%よりも多い場合には、得られる紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性が低下するので好ましくない。
【0028】
単量体組成物におけるシクロアルキル基含有単量体の含有量が5重量%よりも少ない場合には、得られる紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性が低下するので好ましくない。また、含有量が99.9重量%よりも多い場合には、紫外線吸収性単量体(1)の含有量が少なくなりすぎ、得られる紫外線吸収性共重合体の紫外線吸収能が不充分となるので好ましくない。
【0029】
その他の単量体は、必要に応じて、0重量%〜94.9重量%の範囲内で用いられる。尚、その他の単量体は、得られる紫外線吸収性共重合体、即ち、熱可塑性樹脂組成物の物性を損なわない範囲内で用いられる。
【0030】
上記単量体組成物を得る際の、紫外線吸収性単量体(1)、シクロアルキル基含有単量体、および、その他の単量体の混合方法は、特に限定されるものではない。つまり、単量体組成物を調製する方法は、特に限定されるものではない。
【0031】
単量体組成物を共重合させる際の重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合方法、例えば、溶液重合法や懸濁重合法等を採用することができる。溶液重合法を採用して単量体組成物を共重合させる場合において用いることができる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、その他の高沸点の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら溶媒は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、溶媒の使用量は、特に限定されるものではない。さらに、懸濁重合法等を採用して単量体組成物を共重合させる場合には、乳化剤を用いることができる。
【0032】
また、単量体組成物を共重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。上記の重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の通常のラジカル重合開始剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではない。
【0033】
反応温度は、特に限定されるものではないが、室温〜200℃の範囲が好ましく、40℃〜140℃の範囲がより好ましい。尚、反応時間は、反応温度、或いは、用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種類等に応じて、重合反応が完結するように、適宜設定すればよい。
【0034】
以上のように、紫外線吸収性単量体(1)と、シクロアルキル基含有単量体とを含む単量体組成物を共重合させることにより、紫外線吸収性共重合体が得られる。
【0035】
上記の紫外線吸収性共重合体は、ベンゾトリアゾール系の骨格を有する紫外線吸収性単量体(1)、即ち、紫外線吸収剤を含む単量体組成物を共重合してなるので、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れている。尚、ここで、「ベンゾトリアゾール系の骨格」とは、ベンゾトリアゾール環の2位の窒素原子にフェノール環が結合した構造を指している。
【0036】
上記の紫外線吸収性単量体(1)は、重合可能な不飽和二重結合を分子内に有しており、シクロアルキル基含有単量体等の他の単量体と共重合する。従って、上記の紫外線吸収性共重合体は、熱可塑性樹脂との相溶性が良好である。
【0037】
熱可塑性樹脂に対する紫外線吸収性共重合体の添加量は、紫外線吸収性共重合体の組成や熱可塑性樹脂との組み合わせ、用途等にもよるが、0.005重量%以上、10重量%以下が好ましく、0.01重量%以上、5重量%以下がより好ましく、0.1重量%以上、1重量%以下がさらに好ましい。紫外線吸収性共重合体の添加量が0.005重量%未満である場合には、紫外線吸収性共重合体を添加することによって得られる効果が乏しくなり、紫外線吸収能が充分に発現されないので、好ましくない。紫外線吸収性共重合体の添加量が10重量%を越える場合には、熱可塑性樹脂が本来有する物性、例えば加工性や機械的強度等が低下するので、好ましくない。また、熱可塑性樹脂組成物を安価に得ることができなくなる。尚、熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムを農業に用いる場合、つまり、フィルムが農業用フィルムである場合には、紫外線を過度に吸収して植物の生長阻害を招かないように、熱可塑性樹脂に対する紫外線吸収性共重合体の添加量を、0.5重量%以下にすることが特に好ましい。
【0038】
熱可塑性樹脂に紫外線吸収性共重合体を添加する方法、即ち、熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば熱可塑性樹脂組成物の成形方法等に応じて、種々の方法を採用することができる。具体的には、例えば、粉末状の熱可塑性樹脂に粉末状の紫外線吸収性共重合体を添加・混合することにより、粉末状の熱可塑性樹脂組成物が得られる。該粉末状の熱可塑性樹脂組成物は、ペレット状等に予備成形することもできる。或いは、熱可塑性樹脂組成物を成形するときに、例えば成形機内部で、ペレット状の熱可塑性樹脂と粉末状の紫外線吸収性共重合体とを加熱溶融させながらスクリュー等で混練することにより、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物を得ることもできる。要するに、紫外線吸収性共重合体は、熱可塑性樹脂組成物が成形される時点で、熱可塑性樹脂に添加されていればよい。
【0039】
尚、熱可塑性樹脂組成物は、従来の熱可塑性樹脂に用いられている各種添加剤、例えば、可塑剤、安定剤、安定化助剤、滑剤、架橋剤、充填剤、顔料や染料等の着色剤、レベリング剤等を含んでいてもよい。これら添加剤の添加量や添加方法は、特に限定されるものではない。
【0040】
次に、熱可塑性樹脂がポリ塩化ビニルである場合における、熱可塑性樹脂組成物の製造方法について、より一層具体的に説明する。先ず、粉末状のポリ塩化ビニルと、可塑剤やポリ塩化ビニル用安定剤、安定化助剤、滑剤等の各種配合剤とを計量し、両者を高速ミキサーを用いて加熱しながら激しく混合する。凡そ5分間混合すると、混合物は、外部からの熱と摩擦熱とによって、凡そ100℃〜120℃程度に加熱される。次いで、混合物を取り出し、該混合物に、計量した紫外線吸収性共重合体を添加した後、バンバリーミキサーや混練ロール、押出機等を用いて混練することにより、熱可塑性樹脂組成物としてのポリ塩化ビニル組成物が得られる。
【0041】
以上のように、熱可塑性樹脂組成物は、ベンゾトリアゾール系の骨格を有する紫外線吸収性単量体(1)、即ち、紫外線吸収剤を含む単量体組成物を共重合してなる紫外線吸収性共重合体を含んでなるので、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れている。また、熱可塑性樹脂組成物は、高分子量である紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性が良好であり、かつ、抽出可能な未反応の紫外線吸収性単量体(1)を含んでいない。このため、熱可塑性樹脂組成物は、紫外線吸収性共重合体の溶出やブリードアウトを生じることがなく、また、紫外線吸収性単量体(1)に起因する着色が殆ど起こらない。そして、熱可塑性樹脂組成物は、紫外線吸収性単量体(1)およびシクロアルキル基含有単量体の相乗効果により、紫外線吸収能が充分に発現されるので、長期耐候性に優れている。
【0042】
すなわち、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れ、かつ、紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性が良好であり、紫外線吸収性共重合体の溶出やブリードアウトが生じない、長期耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0043】
上記熱可塑性樹脂組成物の成形方法は、一般的に行われている熱可塑性樹脂の成形方法を採用することができる。該成形方法としては、具体的には、例えば、射出成形法、押出成形法、中空成形法、キャスト法、プレス成形法、カレンダー成形法、および、ブロー成形法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら例示の成形方法のうち、フィルムを得る場合には押出成形法が特に好適であり、成形品を得る場合には射出成形法が特に好適である。尚、成形条件は、用いる熱可塑性樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよい。また、熱可塑性樹脂組成物としてのポリ塩化ビニル組成物は、例えば、押出機やカレンダーロール、射出成形機を用いて好適に成形することができる。
【0044】
熱可塑性樹脂組成物は、農業用フィルムやマーキングフィルム、汎用フィルム等の各種フィルム、防水シート、自動車の各種部品、各種板状物品、看板、波板や平板、床材等の建材、電線の被覆材、合成皮革、包装用資材、管継手等の各種成形品等、従来の熱可塑性樹脂が用いられているあらゆる用途に好適に使用することができる。そして、本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、フィルム状に成形することができるので、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れ、かつ、紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性が良好であり、紫外線吸収性共重合体の溶出やブリードアウトが生じない、長期耐候性に優れたフィルムを提供することができる。尚、フィルムの厚さは、特に限定されるものではない。
【0045】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示す。
【0046】
〔実施例1〕
先ず、紫外線吸収性共重合体を懸濁重合法により製造した。即ち、所定の容器に、紫外線吸収性単量体(1)としての2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール(以下、ベンゾトリアゾール(A)と記す)15部、シクロアルキル基含有単量体としてのシクロヘキシルメタクリレート(以下、CHMAと記す)85部、および、重合開始剤としての2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(以下、開始剤(a)と記す)0.5部を入れ、混合・溶解させた。次に、この混合物に、乳化剤(商品名・ハイテノールN−08;第一工業製薬株式会社製)の0.5重量%水溶液150部を加え、ホモミキサーを用いて10,000min-1の回転数で1分間攪拌した。次いで、この水溶液を水250部で希釈することにより、分散液を得た。
【0047】
そして、この分散液を、温度計、ガス吹き込み管、冷却器および攪拌機を取り付けた4ツ口フラスコに仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら、70℃で5時間攪拌してラジカル共重合させた。反応終了後、得られた反応生成物を濾過、水洗し、乾燥させた。これにより、紫外線吸収性共重合体を得た。
【0048】
次に、得られた紫外線吸収性共重合体を用いて、熱可塑性樹脂組成物を製造した。即ち、熱可塑性樹脂としてのポリ塩化ビニル粉末(商品名・TH−1000;東ソー株式会社製)50部に、上記の紫外線吸収性共重合体1.5部を添加すると共に、可塑剤であるジオクチルフタレート30部、ステアリン酸0.1部、ポリ塩化ビニル用安定剤であるジオクチル錫メルカプト(商品名・OT−4;東京ファインケミカル株式会社製)1.0部、安定化助剤(商品名・NF−3000;東京ファインケミカル株式会社製)1.5部、および、滑剤(商品名・kalen A88;東京ファインケミカル株式会社製)0.1部を添加した。
【0049】
この混合物を、前ロールが150℃、後ロールが160℃に加熱されたロール混練機を用いて、10分間ロール混練した。これにより、本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物としてのポリ塩化ビニル組成物を得た。
【0050】
その後、カレンダーロールを用いて該ポリ塩化ビニル組成物をフィルム状に成形した。これにより、厚さ0.5mmのフィルムを製造した。得られたフィルムの外観は、透明であった。
【0051】
次に、フィルムの促進耐候性試験(いわゆるスーパーUV試験)を以下の方法により実施した。即ち、試験装置として、275nm以下の波長領域を遮蔽するフィルターを備えた超エネルギー照射試験機(スガ試験機株式会社製;UE−1DEC型)を使用した。試験条件として、UV照射強度を約100mW/cm2 とすると共に、ブラックパネル温度70℃・湿度50%Rhの状態を10時間保持する照射過程と、ブラックパネル温度50℃・湿度96%Rhの状態を2時間保持する湿潤過程とを合わせて1サイクルとする照射−湿潤サイクルを、15サイクル繰り返した。
【0052】
そして、促進耐候性試験の前後におけるフィルムの全光線透過率(%)およびフィルムヘイズ(%)を所定の測定条件下で測定して、耐候性を評価した。その結果、試験前のフィルムの全光線透過率が91.5%であり、フィルムヘイズが20.1%であるのに対し、試験後の該フィルムの全光線透過率は90.7%であり、フィルムヘイズは25.3%であった。また、試験後のフィルムの外観に、変化は認められなかった。従って、上記のフィルムは、促進耐候性試験の前後における全光線透過率やフィルムヘイズ、外観に殆ど変化がなく、耐候性に優れていた。これら測定結果をまとめて表1に示す。
【0053】
〔実施例2〕
先ず、紫外線吸収性共重合体を溶液重合法により製造した。即ち、温度計、ガス吹き込み管、冷却器および攪拌機を取り付けた4ツ口フラスコを反応器とした。この反応器に、ベンゾトリアゾール(A)10部、CHMA20部、溶媒としてのトルエン70部、および、開始剤(a)0.5部を仕込んだ。その後、この反応液を窒素ガス気流下で攪拌しながら、90℃に昇温した。そして、該反応液を90℃で5時間攪拌して共重合させた。反応終了後、反応液からトルエンを留去することにより、紫外線吸収性共重合体を得た。
【0054】
次に、得られた紫外線吸収性共重合体を用いて、実施例1の操作と同様の操作を行うことにより、ポリ塩化ビニル組成物を得た。その後、実施例1の成形方法と同様の成形方法を行うことにより、厚さ0.5mmのフィルムを製造した。得られたフィルムの外観は、透明であった。
【0055】
次に、フィルムの促進耐候性試験を実施例1と同様にして実施して、耐候性を評価した。その結果、試験前のフィルムの全光線透過率が90.5%であり、フィルムヘイズが22.0%であるのに対し、試験後の該フィルムの全光線透過率は90.0%であり、フィルムヘイズは25.5%であった。また、試験後のフィルムの外観に、変化は認められなかった。従って、上記のフィルムは、促進耐候性試験の前後における全光線透過率やフィルムヘイズ、外観に殆ど変化がなく、耐候性に優れていた。これら測定結果をまとめて表1に示す。
【0056】
〔比較例1〕
実施例2におけるCHMA20部に代えて、メチルメタクリレート20部を用いた以外は、実施例2の反応および操作と同様の反応および操作を行い、厚さ0.5mmの比較用フィルムを製造した。得られた比較用フィルムの外観は、不透明であった。
【0057】
次に、比較用フィルムの促進耐候性試験を実施例1と同様にして実施して、耐候性を評価した。その結果、試験前の比較用フィルムの全光線透過率が89.3%であり、フィルムヘイズが72.6%であるのに対し、試験後の該比較用フィルムの全光線透過率は90.1%であり、フィルムヘイズは68.0%であった。また、試験後の比較用フィルムの外観は艶が無くなっており、いわゆる艶引けの状態に変化していた。従って、上記の比較用フィルムは、耐候性に劣っていた。これら測定結果をまとめて表1に示す。
【0058】
〔比較例2〕
実施例2におけるCHMA20部に代えて、スチレン20部を用いた以外は、実施例2の反応および操作と同様の反応および操作を行い、厚さ0.5mmの比較用フィルムを製造した。得られた比較用フィルムの外観は、不透明であった。
【0059】
次に、比較用フィルムの促進耐候性試験を実施例1と同様にして実施して、耐候性を評価した。その結果、試験前の比較用フィルムの全光線透過率が78.7%であり、フィルムヘイズが85.7%であるのに対し、試験後の該比較用フィルムの全光線透過率は77.4%であり、フィルムヘイズは86.2%であった。また、試験後の比較用フィルムの外観は艶が無くなっており、いわゆる艶引けの状態に変化していた。従って、上記の比較用フィルムは、耐候性に劣っていた。これら測定結果をまとめて表1に示す。
【0060】
〔比較例3〕
紫外線吸収性共重合体を用いないで、比較用フィルムを製造した。即ち、紫外線吸収性共重合体を用いない以外は、実施例1の操作と同様の操作を行い、厚さ0.5mmの比較用フィルムを製造した。得られた比較用フィルムの外観は、透明であった。
【0061】
次に、比較用フィルムの促進耐候性試験を実施例1と同様にして実施して、耐候性を評価した。その結果、試験前の比較用フィルムの全光線透過率が90.7%であり、フィルムヘイズが20.5%であるのに対し、試験後の該比較用フィルムの全光線透過率は86.3%であり、フィルムヘイズは25.2%であった。また、試験後の比較用フィルムの外観は黄変していた。従って、上記の比較用フィルムは、耐候性に劣っていた。これら測定結果をまとめて表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0003688393
【0063】
表1に示した結果から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムは、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れており、着色等が殆ど起こらないことがわかる。つまり、熱可塑性樹脂組成物は、耐候性に優れていることがわかる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物は、以上のように、一般式(1)
【0065】
【化5】
Figure 0003688393
【0066】
(式中、R1 は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R2 は炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ鎖状のアルキレン基を表し、R3 は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す)
で表される紫外線吸収性単量体と、一般式(2)
【0067】
【化6】
Figure 0003688393
【0068】
(式中、R10は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Zは置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す)
で表される不飽和単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる紫外線吸収性共重合体と、熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、上記単量体組成物における上記不飽和単量体の含有量は30重量%〜90重量%であり、上記熱可塑性樹脂はポリ塩化ビニ ルである構成である。
【0069】
本発明の請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物は、以上のように、熱可塑性樹脂に対する紫外線吸収性共重合体の添加量が、0.005重量%以上、10重量%以下である構成である。
【0070】
本発明の請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物は、以上のように、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物であって、厚さ0.5mmのフィルムに対して、275nm以下の波長領域を遮蔽するフィルターを備えた超エネルギー照射試験機を使用し、UV照射強度を約100mW/cm 2 とすると共に、ブラックパネル温度70℃・湿度50%Rhの状態を10時間保持する照射過程と、ブラックパネル温度50℃・湿度96%Rhの状態を2時間保持する湿潤過程とを合わせて1サイクルとする照射−湿潤サイクルを、15サイクル繰り返したとき、試験前の全光線透過率が90 . 5〜91 . 5%、フィルムヘイズが20 . 1〜22 . 0%、かつ、試験後の全光線透過率が90 . 0〜90 . 7%、フィルムヘイズが25 . 3〜25 . 5%である構成である。
【0071】
これにより、300nm〜400nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優れ、かつ、紫外線吸収性共重合体と熱可塑性樹脂との相溶性が良好であり、紫外線吸収性共重合体の溶出やブリードアウトが生じない、長期耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することができるという効果を奏する。

Claims (3)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003688393
    (式中、R1 は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R2 は炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ鎖状のアルキレン基を表し、R3 は水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す)
    で表される紫外線吸収性単量体と、一般式(2)
    Figure 0003688393
    (式中、R10は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素基を表し、Zは置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す)
    で表される不飽和単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる紫外線吸収性共重合体と、熱可塑性樹脂とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    上記単量体組成物における上記不飽和単量体の含有量は30重量%〜90重量%であり、上記熱可塑性樹脂はポリ塩化ビニルであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂に対する紫外線吸収性共重合体の添加量が、0.005重量%以上、10重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物であって、厚さ0.5mmのフィルムに対して、275nm以下の波長領域を遮蔽するフィルターを備えた超エネルギー照射試験機を使用し、UV照射強度を約100mW/cm 2 とすると共に、ブラックパネル温度70℃・湿度50%Rhの状態を10時間保持する照射過程と、ブラックパネル温度50℃・湿度96%Rhの状態を2時間保持する湿潤過程とを合わせて1サイクルとする照射−湿潤サイクルを、15サイクル繰り返したとき、
    試験前の全光線透過率が90 . 5〜91 . 5%、フィルムヘイズが20 . 1〜22 . 0%、かつ、試験後の全光線透過率が90 . 0〜90 . 7%、フィルムヘイズが25 . 3〜25 . 5%であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
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