JP3122086B2 - 紫外線吸収性加工製品およびその製造方法 - Google Patents

紫外線吸収性加工製品およびその製造方法

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JP3122086B2 JP11163009A JP16300999A JP3122086B2 JP 3122086 B2 JP3122086 B2 JP 3122086B2 JP 11163009 A JP11163009 A JP 11163009A JP 16300999 A JP16300999 A JP 16300999A JP 3122086 B2 JP3122086 B2 JP 3122086B2
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雅也 ▲吉▼田
三男 中▲崎▼
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線吸収能を有
し、長期耐候性に優れると共に、光沢や耐水性、耐溶剤
性等に優れた共重合体層を有する紫外線吸収性加工製品
およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えばABS(アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン)樹脂、FRP(繊維強化プ
ラスチック)、PET(ポリエチレンテレフタレー
ト)、ポリスチレン、PP(ポリプロピレン)、PC
(ポリカーボネート)、アクリル系樹脂等の各種プラス
チック(基材)からなる成形品(加工製品)は、屋外等
において長期間、紫外線に曝されると、黄変等の劣化が
生じる。そこで、従来より、これら成形品表面に耐候性
を有する樹脂フィルムを積層することにより、上記の劣
化を防止することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の樹脂フィルムは、短期間、紫外線に曝された場合に
は、或る程度の耐候性を有するものの、長期間にわたっ
て紫外線が照射され続けた場合には、黄変等の劣化が生
じ、その耐候性が不充分となっている。つまり、上記従
来の樹脂フィルムは、下地保護効果や黄変防止効果等が
不良であり、長期耐候性が劣るという問題点を有してい
る。
【0004】そこで、例えば、特開平4-311754号公報に
は、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収性単量体とフッ
素含有単量体とを共重合してなるフッ素樹脂組成物を用
いて、上記の成形品に耐候性を付与することが提案され
ている。ところが、該フッ素樹脂組成物は、成形品であ
るプラスチックとの密着性や接着性に劣っている。ま
た、フッ素樹脂組成物は高価であり、かつ、汚損し易い
(汚れ易い)という問題点を有している。
【0005】そこで、紫外線吸収能を有し、長期耐候性
に優れると共に、プラスチック等の基材との密着性や接
着性が良好であり、しかも、光沢や耐水性、耐溶剤性等
に優れた被膜(共重合体層)を有する紫外線吸収性加工
製品、および、その製造方法が求められている。
【0006】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、紫外線吸収能を有し、下地
保護効果や黄変防止効果等が良好であり、長期耐候性に
優れると共に、光沢や耐水性、耐溶剤性等に優れた共重
合体層を有する紫外線吸収性加工製品、および、その製
造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく、紫外線吸収性加工製品およびその製造
方法について鋭意検討した結果、特定の構造を有する紫
外線吸収性単量体と、特定の構造を有する不飽和単量体
と、特定の構造を有する紫外線安定性単量体とを含む単
量体組成物を共重合してなる共重合体が、紫外線吸収能
を有し、長期耐候性に優れると共に、基材との密着性や
接着性、さらには下地保護効果や黄変防止効果等が良好
であり、しかも、光沢や耐水性、耐溶剤性等に優れてい
ることを見い出した。即ち、該共重合体層を有する紫外
線吸収性加工製品が、紫外線吸収能を有し、長期耐候性
に優れると共に、光沢や耐水性、耐溶剤性等に優れてい
ることを見い出し、本発明を完成するに至った。また、
型の成形面に上記の共重合体層を形成した後、上記型に
て加工製品となるべき基材を成形すると共に、基材側に
該共重合体層を転写することにより、上記の性能を有
し、かつ、表面が平滑な共重合体層を有する紫外線吸収
性加工製品を容易に製造することができることを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、請求項1記載の発明の紫外線吸収性
加工製品は、上記の課題を解決するために、一般式
(1)
【0009】
【化5】
【0010】(式中、R1 は水素原子または炭素数1〜
8の炭化水素基を表し、R2 は炭素数1〜6の直鎖状ま
たは枝分れ鎖状のアルキレン基を表し、R3 は水素原子
またはメチル基を表し、Xは水素原子、ハロゲン基、炭
素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ
基、シアノ基またはニトロ基を表す)で表される紫外線
吸収性単量体と、一般式(2)
【0011】
【化6】
【0012】(式中、R10は水素原子または炭素数1〜
2の炭化水素基を表し、Zは置換基を有していてもよい
シクロアルキル基を表す)で表される不飽和単量体と、
一般式(3)
【0013】
【化7】
【0014】(式中、R6 は水素原子またはシアノ基を
表し、R7 、R8 はそれぞれ独立して水素原子または炭
素数1〜2の炭化水素基を表し、R9 は水素原子または
炭素数1〜18の炭化水素基を表し、Yは酸素原子または
イミノ基を表す)で表される紫外線安定性単量体および
/または一般式(4)
【0015】
【化8】
【0016】(式中、R6 は水素原子またはシアノ基を
表し、R7 、R8 はそれぞれ独立して水素原子または炭
素数1〜2の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイ
ミノ基を表す)で表される紫外線安定性単量体とを含む
単量体組成物を共重合してなる共重合体層を有すること
を特徴としている。
【0017】また、請求項2記載の発明の紫外線吸収性
加工製品の製造方法は、上記の課題を解決するために、
型の成形面に、上記請求項1記載の単量体組成物を共重
合してなる共重合体層を形成した後、上記型にて加工製
品となるべき基材を成形すると共に、基材側に該共重合
体層を転写することを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明にかかる紫外線吸収性加工
製品は、前記一般式(1)で表される紫外線吸収性単量
体と、前記一般式(2)で表される不飽和単量体と、前
記一般式(3)で表される紫外線安定性単量体および/
または前記一般式(4)で表される紫外線安定性単量体
とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体層を有
している。上記の単量体組成物は、必要に応じて、酸性
官能基含有単量体、水酸基含有単量体、上記各単量体以
外の単量体を含んでいてもよい。
【0019】本発明にかかる前記一般式(1)で表され
る紫外線吸収性単量体(以下、紫外線吸収性単量体
(1)と記す)は、式中、R1 で示される置換基が水素
原子または炭素数1〜8の炭化水素基で構成され、R2
で示される置換基が炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ
鎖状のアルキレン基で構成され、R3 で示される置換基
が水素原子またはメチル基で構成され、Xで示される置
換基が水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の炭化水素
基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニト
ロ基で構成されるベンゾトリアゾール類である。
【0020】上記の紫外線吸収性単量体(1)として
は、具体的には、例えば、2-〔 2'-ヒドロキシ-5'-(メ
タクリロイルオキシメチル)フェニル〕-2H-ベンゾトリ
アゾール、2-〔 2'-ヒドロキシ-5'-(メタクリロイルオ
キシエチル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-
〔 2'-ヒドロキシ-5'-(メタクリロイルオキシプロピ
ル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-〔 2'-ヒド
ロキシ-5'-(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニ
ル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-〔 2'-ヒドロキシ-3'-
t-ブチル-5'-(メタクリロイルオキシエチル)フェニ
ル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-〔 2'-ヒドロキシ-5'-
t-ブチル-3'-(メタクリロイルオキシエチル)フェニ
ル〕-2H-ベンゾトリアゾール、2-〔 2'-ヒドロキシ-5'-
(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕-5- クロロ
-2H-ベンゾトリアゾール、2-〔 2'-ヒドロキシ-5'-(メ
タクリロイルオキシエチル)フェニル〕-5- メトキシ-2
H-ベンゾトリアゾール、2-〔 2'-ヒドロキシ-5'-(メタ
クリロイルオキシエチル)フェニル〕-5- シアノ-2H-ベ
ンゾトリアゾール、2-〔 2'-ヒドロキシ-5'-(メタクリ
ロイルオキシエチル)フェニル〕-5-t- ブチル-2H-ベン
ゾトリアゾール、2-〔 2'-ヒドロキシ-5'-(メタクリロ
イルオキシエチル)フェニル〕-5- ニトロ-2H-ベンゾト
リアゾール等が挙げられるが、特に限定されるものでは
ない。これら紫外線吸収性単量体(1)は、一種類のみ
を用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用い
てもよい。
【0021】本発明にかかる前記一般式(2)で表され
る不飽和単量体は、式中、R10で示される置換基が水素
原子または炭素数1〜2の炭化水素基で構成され、Zで
示される置換基が、置換基を有していてもよいシクロア
ルキル基で構成される化合物である。上記Zで示される
置換基におけるシクロアルキル基とは、具体的には、例
えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロド
デシル基等の単環式飽和炭化水素残基である。そして、
該シクロアルキル基は、炭素数1〜7のアルキル基を置
換基として有していてもよい。該置換基とは、具体的に
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基等である。
【0022】上記の不飽和単量体(以下、シクロアルキ
ル基含有単量体と記す)としては、具体的には、例え
ば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)ア
クリレート等が挙げられるが、特に限定されるものでは
ない。シクロアルキル基含有単量体は、一種類のみを用
いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いても
よい。
【0023】本発明にかかる前記一般式(3)で表され
る紫外線安定性単量体(以下、紫外線安定性単量体
(3)と記す)は、式中、R6 で示される置換基が水素
原子またはシアノ基で構成され、R7 、R8 で示される
置換基がそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2
の炭化水素基で構成され、R9 で示される置換基が水素
原子または炭素数1〜18の炭化水素基で構成され、Yで
示される置換基が酸素原子またはイミノ基で構成される
ピペリジン類である。上記R7 、R8 で示される置換基
とは、具体的には、例えば、水素原子、メチル基または
エチル基であり、R 9 で示される置換基とは、具体的に
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等の、直鎖状また
は枝分れ鎖状の炭化水素残基である。
【0024】上記の紫外線安定性単量体(3)として
は、具体的には、例えば、4-(メタ)アクリロイルオキ
シ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジン、4-(メタ)アク
リロイルアミノ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジン、4-
(メタ)アクリロイルオキシ-1,2,2,6,6- ペンタメチル
ピペリジン、4-(メタ)アクリロイルアミノ-1,2,2,6,6
- ペンタメチルピペリジン、4-シアノ-4- (メタ)アク
リロイルアミノ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジン、4-
クロトノイルオキシ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジ
ン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6- テトラメチルピペ
リジン等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。紫外線安定性単量体(3)は、一種類のみを用いて
もよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよ
い。
【0025】本発明にかかる前記一般式(4)で表され
る紫外線安定性単量体(以下、紫外線安定性単量体
(4)と記す)は、式中、R6 で示される置換基が水素
原子またはシアノ基で構成され、R7 、R8 で示される
置換基がそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2
の炭化水素基で構成され、Yで示される置換基が酸素原
子またはイミノ基で構成されるピペリジン類である。上
記R7 、R8 で示される置換基とは、具体的には、例え
ば、水素原子、メチル基またはエチル基である。
【0026】上記の紫外線安定性単量体(4)として
は、具体的には、例えば、1-(メタ)アクリロイル-4-
(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6- テトラメチルピ
ペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4- シアノ-4- (メ
タ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6- テトラメチルピペリ
ジン、1-クロトノイル-4- クロトノイルオキシ-2,2,6,6
- テトラメチルピペリジン等が挙げられるが、特に限定
されるものではない。紫外線安定性単量体(4)は、一
種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合
して用いてもよい。
【0027】また、上記単量体(つまり、紫外線吸収性
単量体(1)、シクロアルキル基含有単量体、および、
紫外線安定性単量体(3)・(4))以外の単量体、即
ち、単量体組成物に必要に応じて含まれる酸性官能基含
有単量体や水酸基含有単量体、さらには、これら酸性官
能基含有単量体および水酸基含有単量体以外の単量体
(以下、その他の単量体と記す)は、該単量体組成物を
共重合してなる共重合体層に要求される各種物性を損な
わない化合物であればよい。
【0028】上記の酸性官能基含有単量体としては、具
体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキ
シル基含有不飽和単量体;ビニルスルホン酸、スチレン
スルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のス
ルホン酸基含有不飽和単量体;2-(メタ)アクリロイル
オキシエチルアシッドホスフェート、2-(メタ)アクリ
ロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2-(メ
タ)アクリロイルオキシ-3- クロロプロピルアシッドホ
スフェート、2-メタクリロイルオキシエチルフェニルリ
ン酸等の酸性リン酸エステル系不飽和単量体等が挙げら
れるが、特に限定されるものではない。これら酸性官能
基含有単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二
種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0029】上記の水酸基含有単量体としては、具体的
には、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロ
ラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート(例え
ば、ダイセル化学工業株式会社製;商品名 プラクセル
FM)、フタル酸とプロピレングリコールとから得られ
るポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等
が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら
水酸基含有単量体は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0030】上記その他の単量体としては、具体的に
は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イ
ソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル
(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アク
リレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキル
エステル;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキ
シ基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N'- ジメ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジ
ン、ビニルイミダゾール等の含窒素単量体;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有単量体;スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族単
量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテ
ル;(メタ)アクリロニトリル等の重合性シアン化合物
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。その
他の単量体は、必要に応じて一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0031】本発明にかかる紫外線吸収性加工製品は、
上記の単量体組成物を共重合してなる共重合体層を有し
ている。上記の共重合体層を形成する形成方法は、特に
限定されるものではない。例えば、単量体組成物を共重
合してなる共重合体を含む重合体組成物に、架橋剤を添
加してなる塗料用組成物を作成し、この塗料用組成物を
塗布等することにより共重合体層を形成してもよく、ま
た、該塗料用組成物を一旦フィルムに成形した後、この
フィルムを融着、熱圧着または接着することにより共重
合体層を形成してもよく、さらに、型の成形面に一旦共
重合体層を形成した後、この共重合体層を基材側に転写
してもよい。
【0032】以下に、共重合体層の形成に供される塗料
用組成物について説明する。先ず、紫外線吸収性単量体
(1)と、シクロアルキル基含有単量体と、紫外線安定
性単量体(3)および/または紫外線安定性単量体
(4)とを含む単量体組成物を乳化重合してなるエマル
ション型の塗料用組成物(以下、塗料用組成物(a)と
記す)について説明する。
【0033】塗料用組成物(a)において、単量体組成
物における上記各単量体の含有量は、特に限定されるも
のではないが、紫外線吸収性単量体(1)は、 0.1重量
%〜30重量%の範囲内が好ましく、1重量%〜20重量%
の範囲内がさらに好ましく、2重量%〜15重量%の範囲
内が特に好ましい。また、シクロアルキル基含有単量体
は、2重量%〜95重量%の範囲内が好ましく、5重量%
〜85重量%の範囲内がさらに好ましく、10重量%〜75重
量%の範囲内が特に好ましい。尚、上記単量体組成物に
おける紫外線吸収性単量体(1)とシクロアルキル基含
有単量体との組み合わせは、特に限定されるものではな
い。
【0034】紫外線吸収性単量体(1)の含有量を上記
の範囲内とすることにより、塗料用組成物(a)からな
る塗膜に、紫外線吸収能を付与することができる。ま
た、塗料用組成物(a)に対するカーボンブラック等の
酸性顔料の分散性や、複合顔料を用いた場合の混色安定
性を向上させることができる。また、シクロアルキル基
含有単量体の含有量を上記の範囲内とすることにより、
塗料用組成物(a)からなる塗膜に、長期耐候性、耐水
性、光沢、鮮映性等の性能を付与することができる。ま
た、該塗膜に美麗感を付与することができる。
【0035】単量体組成物における紫外線吸収性単量体
(1)の含有量が 0.1重量%よりも少ない場合には、得
られる塗料用組成物(a)、即ち、塗膜の紫外線吸収能
が不充分となるので好ましくない。また、含有量が30重
量%よりも多い場合には、該塗料用組成物(a)からな
る塗膜の外観、例えば光沢や鮮映性等が劣ると共に、耐
溶剤性や耐薬品性等の性能が低下するので好ましくな
い。さらに、含有量が30重量%よりも多い場合には、乳
化重合時における重合安定性が不良となり、凝集物が多
くなるおそれがある。
【0036】単量体組成物におけるシクロアルキル基含
有単量体の含有量が2重量%よりも少ない場合には、得
られる塗料用組成物(a)をエマルション型塗料として
用いた場合における塗膜の耐候性や光沢、硬度等の性能
が劣るので好ましくない。また、含有量が95重量%より
も多い場合には、該塗料用組成物(a)からなる塗膜の
可撓性が乏しくなり、経時変化によって該塗膜にクラッ
クが発生し易くなるので好ましくない。
【0037】また、上記紫外線安定性単量体(3)・
(4)の合計量は、 0.1重量%〜15重量%の範囲内が好
ましく、 0.5重量%〜10重量%の範囲内がさらに好まし
く、1重量%〜5重量%の範囲内が特に好ましい。紫外
線安定性単量体(3)・(4)の合計量を上記の範囲内
とすることにより、塗料用組成物(a)からなる塗膜の
紫外線吸収能を長期にわたって維持することができる。
尚、これら紫外線安定性単量体(3)・(4)は、得ら
れる塗料用組成物(a)の物性を損なわない範囲内で用
いられる。また、上記単量体組成物における紫外線安定
性単量体(3)と紫外線安定性単量体(4)とシクロア
ルキル基含有単量体との重量比は、特に限定されるもの
ではない。
【0038】単量体組成物における紫外線安定性単量体
(3)・(4)の合計量が 0.1重量%よりも少ない場合
には、該塗料用組成物(a)からなる塗膜の耐候性が低
下するおそれがある。また、合計量が15重量%よりも多
い場合には、該塗料用組成物(a)からなる塗膜の耐水
性や光沢、鮮映性等の性能が劣るおそれがある。
【0039】上記の紫外線吸収性単量体(1)、シクロ
アルキル基含有単量体、紫外線安定性単量体(3)・
(4)、その他の単量体、および、官能基含有単量体
(後述する)の混合方法は、特に限定されるものではな
い。例えば、乳化重合させる前に、上記の各単量体を予
め混合してもよく、また、上記の各単量体を乳化重合時
に反応液中で混合してもよい。要するに、乳化重合時に
反応器内に上記の各単量体が仕込まれていればよい。
【0040】塗料用組成物(a)の製造方法において
は、上記の単量体組成物を乳化重合させる際の乳化剤と
して、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面
活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分
子界面活性剤等、従来公知の全ての界面活性剤が使用で
きる。また、後述する重合体および/またはその塩を乳
化剤として用いることができる。尚、乳化重合の重合方
法や反応条件等については後述する。
【0041】アニオン性界面活性剤としては、具体的に
は、例えば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウ
ムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサル
フェート;アンモニウムドデシルサルフェート等のアン
モニウムアルキルサルフェート;ナトリウムドデシルポ
リグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホ
リシノエート;スルホン化パラフィンのアルカリ金属
塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキ
ルスルホネート;ナトリウムラウレート、トリエタノー
ルアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテー
ト等の脂肪酸塩;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネ
ート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカ
リ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネー
ト;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンス
ルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸
塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリ
オキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙
げられる。
【0042】非イオン性界面活性剤としては、具体的に
は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポ
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタ
ン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸
モノグリセライド;オキシエチレン−オキシプロピレン
共重合体;エチレンオキサイドと、脂肪族アミン、アミ
ドまたは酸との縮合生成物等が挙げられる。
【0043】高分子界面活性剤としては、具体的には、
例えば、ポリビニルアルコール;ポリ(メタ)アクリル
酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ
(メタ)アクリル酸アンモニウム、ポリヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート;またはこれら重合体の構成単位であ
る重合性単量体の二種類以上の共重合体;またはこれら
重合体の構成単位である重合性単量体と、別の単量体と
の共重合体等が挙げられる。
【0044】これら界面活性剤は、一種類のみを用いて
もよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよ
い。さらに、クラウンエーテル類等のいわゆる相間移動
触媒も、乳化剤として使用することができる。
【0045】また、塗料用組成物(a)の製造方法にお
いては、乳化剤として、炭素数6〜18のアルキルメルカ
プタンの存在下に不飽和カルボン酸を含む単量体成分を
重合してなる、酸価 200mgKOH/g以上の水溶性若しく
は水分散性の、末端アルキル基を有する重合体(以下、
末端アルキル基含有重合体と記す)および/またはその
塩を用いることがより好ましい。そして、乳化剤として
上記末端アルキル基含有重合体および/または塩を用い
る場合には、上記の単量体組成物が、カルボキシル基に
対する反応性を有する官能基を含有する官能基含有単量
体をさらに含んでいることが好ましい。尚、官能基含有
単量体については後述する。
【0046】上記末端アルキル基含有重合体および/ま
たは塩を乳化剤として用いることにより、初期乾燥性に
優れると共に、長期耐候性や耐水性、光沢、鮮映性等の
性能にさらに一層優れた塗膜を形成し得るエマルショ
ン、即ち、塗料用組成物(a)を製造することができ
る。
【0047】上記の末端アルキル基含有重合体は、乳化
重合時における重合安定性、および、塗料用組成物
(a)からなる塗膜の耐水性や耐溶剤性、強度等の性能
を満足させるために、酸価が 200mgKOH/g以上であ
り、かつ、水溶性若しくは水分散性を有している必要が
ある。末端アルキル基含有重合体の酸価が 200mgKOH
/g未満であると、乳化能が充分に得られないので乳化重
合時における重合安定性が不良となり、凝集物が発生す
る。また、得られる塗料用組成物(a)の貯蔵安定性が
劣る。
【0048】また、末端アルキル基含有重合体は、分子
量が 300〜7,000 の範囲内が好ましく、 400〜4,000 の
範囲内がより好ましい。分子量が上記の範囲外である
と、乳化能が充分に得られないので乳化重合時における
重合安定性が不良となる。
【0049】末端アルキル基含有重合体の合成に用いら
れる上記不飽和カルボン酸は、分子内にカルボキシル基
および/またはその塩と、重合性不飽和基とを有する化
合物であれば、特に限定されるものではない。不飽和カ
ルボン酸としては、具体的には、例えば、(メタ)アク
リル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸;これら化合物のモノエステルまたは塩等が挙げられ
る。これら不飽和カルボン酸は、一種類のみを用いても
よく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0050】不飽和カルボン酸を含む単量体成分を重合
させることにより、末端アルキル基含有重合体にカルボ
キシル基を導入することができる。これにより、該末端
アルキル基含有重合体に親水性を付与することができ
る。また、上記のカルボキシル基は、塗料用組成物
(a)を硬化させる際の官能基として作用する。
【0051】上記の単量体成分は、不飽和カルボン酸の
みを含んでいてもよいが、不飽和カルボン酸以外の単量
体を必要に応じて含んでいてもよい。該単量体は、上記
の不飽和カルボン酸と共重合可能な化合物であればよ
く、特に限定されるものではない。該単量体としては、
具体的には、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−
メチルスチレン、クロルメチルスチレン、スチレンスル
ホン酸またはその塩等のスチレン誘導体類;(メタ)ア
クリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、
N-モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル
(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘
導体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の、(メタ)アク
リル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル形成反
応により合成される(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸-2- ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸-2- ヒドロキシプロピル;(メタ)アクリル酸
とポリプロピレングリコール若しくはポリエチレングリ
コール等とのエステル形成反応により合成されるヒドロ
キシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)
アクリル酸-2- スルホン酸エチルまたはその塩、ビニル
スルホン酸またはその塩、酢酸ビニル、(メタ)アクリ
ロニトリル等が挙げられる。これら単量体は、一種類の
みを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用
いてもよい。
【0052】上記単量体成分における不飽和カルボン酸
以外の単量体は、得られる末端アルキル基含有重合体の
酸価が 200mgKOH/g未満とならないような範囲内で使
用すればよい。さらに、該単量体は、末端アルキル基含
有重合体を用いて乳化重合させたときに生成するポリマ
ー成分と該末端アルキル基含有重合体との相溶性を考慮
して、その種類および使用量を選択することが好まし
い。
【0053】末端アルキル基含有重合体の合成に用いら
れる上記アルキルメルカプタンは、炭素数6〜18であれ
ばよい。アルキルメルカプタンとしては、具体的には、
例えば、n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプ
タン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタ
ン、セチルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等が
挙げられる。これらアルキルメルカプタンは、一種類の
みを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用
いてもよい。尚、炭素数5以下のアルキルメルカプタン
を用いて得られる末端アルキル基含有重合体は、乳化重
合時における重合安定性が不良となる。また、得られる
塗料用組成物(a)の貯蔵安定性が劣る。
【0054】アルキルメルカプタンは分子量調整剤であ
り、かつ、単量体成分を重合してなる重合体に末端アル
キル基を導入するために用いられる。そして、該アルキ
ルメルカプタンの存在下に単量体成分を重合することに
より、末端アルキル基含有重合体の分子量を 300〜7,00
0 の範囲内に調整することができると共に、該末端アル
キル基含有重合体に界面活性能を付与することができ
る。
【0055】アルキルメルカプタンの使用量は、所望す
る末端アルキル基含有重合体の分子量に基づいて決定さ
れるが、通常、単量体成分 100重量部に対して、2重量
部〜300重量部の範囲内とすればよい。
【0056】単量体成分を重合させる際の重合方法は、
特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合方
法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合等を採用す
ることができる。
【0057】また、単量体成分を重合させる際には、従
来公知の油溶性または水溶性の重合開始剤、例えばラジ
カル重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の使
用量は、特に限定されるものではないが、末端アルキル
基含有重合体を効率的に合成することができるように、
アルキルメルカプタン1モルに対して1モル以下が好ま
しく、 0.1モル以下がより好ましい。単量体成分を重合
させる場合において用いることができる溶媒は、該単量
体成分、アルキルメルカプタン、および重合開始剤を溶
解し、かつ、重合反応を阻害しない化合物であれば、特
に限定されるものではない。
【0058】反応温度は、特に限定されるものではない
が、50℃〜 150℃の範囲が好ましい。また、反応時間
は、反応温度、或いは、用いる単量体成分の組成や、ア
ルキルメルカプタン、重合開始剤の種類等に応じて、重
合反応が完結するように、適宜設定すればよいが、1時
間〜8時間の範囲が好ましい。
【0059】末端アルキル基含有重合体は界面活性能を
充分に有しているが、乳化重合時に、該末端アルキル基
含有重合体が有するカルボキシル基の一部若しくは全部
を中和剤にて中和して、末端アルキル基含有重合体を塩
にすることが好ましい。末端アルキル基含有重合体を塩
にすることにより、乳化重合時における重合安定性、お
よび、得られる塗料用組成物(a)の貯蔵安定性をさら
に一層良好とすることができる。
【0060】上記の中和剤は、従来公知のものを使用す
ることができる。中和剤としては、例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸
化カルシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属化
合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミ
ン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチ
ルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、
ジエチレントリアミン等の水溶性有機アミン類等が挙げ
られる。これら中和剤は、一種類のみを用いてもよく、
また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0061】前記の官能基含有単量体は、末端アルキル
基含有重合体のカルボキシル基に対する反応性を有する
官能基を有する単量体であれば、特に限定されるもので
はない。該官能基含有単量体としては、具体的には、例
えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリ
ル酸-2- メチルグリシジル、アリルグリシジルエーテル
等のエポキシ基含有単量体類;(メタ)アクリロイルア
ジリジン、(メタ)アクリル酸-2- アジリジニルエチル
等のアジリジニル基含有単量体類;2-イソプロペニル-2
- オキサゾリン、2-ビニル-2- オキサゾリン等のオキサ
ゾリン基含有単量体類等が挙げられる。これら中和剤
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適
宜混合して用いてもよい。
【0062】単量体組成物が官能基含有単量体を含む場
合における、該官能基含有単量体の含有量は、 0.5重量
%〜40重量%の範囲内が好ましく、 0.5重量%〜15重量
%の範囲内がさらに好ましい。単量体組成物における官
能基含有単量体の含有量が 0.5重量%よりも少ない場合
には、乳化剤として用いた末端アルキル基含有重合体の
カルボキシル基の一部が未反応の状態で残留すると共
に、得られる重合体の架橋が不充分となる。このため、
塗料用組成物(a)からなる塗膜の初期乾燥性、耐水
性、耐溶剤性、強度等の性能が劣るので好ましくない。
また、含有量が40重量%よりも多い場合には、乳化重合
時における重合安定性が不良となる。また、得られる塗
料用組成物(a)の貯蔵安定性が劣る。
【0063】前記の単量体組成物を乳化重合させる際の
反応方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の
種々の方法を採用することができる。例えば、重合開始
時に、水に単量体組成物や重合開始剤等を一括して混合
し、重合する方法;いわゆるモノマー滴下法;プレエマ
ルション法等の方法を用いることができる。また、いわ
ゆるシード重合、コア・シェル重合、パワーフィード重
合等の多段重合を実施することにより、エマルション粒
子の異相構造化を行なうこともできる。
【0064】単量体組成物を乳化重合させる際には、従
来公知の重合開始剤を用いることができる。上記の重合
開始剤としては、具体的には、例えば、過硫酸アンモニ
ウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸
塩;t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイ
ル、過酢酸等の有機過酸化物; 2,2'-アゾビスイソブチ
ロニトリル、 2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミ
ジン)ジハイドロクロライド等のラジカル生成性アゾ化
合物;過酸化水素等を挙げることができる。また、これ
ら重合開始剤と共に、還元剤として亜硫酸水素ナトリウ
ム、L-アスコルビン酸等を用いることにより、レドック
ス系開始剤としてもよい。尚、重合開始剤の使用量は、
特に限定されるものではない。
【0065】反応温度は、特に限定されるものではない
が、0℃〜 100℃の範囲が好ましく、40℃〜95℃の範囲
が好ましい。また、反応時間は、反応温度、或いは、用
いる単量体組成物の組成、乳化剤や重合開始剤の種類等
に応じて、重合反応が完結するように、適宜設定すれば
よいが、1時間〜10時間程度が好ましい。
【0066】また、単量体組成物を乳化重合させる際に
は、塗膜に要求される各種物性を損なわない範囲におい
て、反応系に、親水性溶媒や添加剤を添加することもで
きる。尚、乳化重合の反応条件によっては、乳化剤の不
存在下に単量体組成物を乳化重合することもできる。
【0067】上記の乳化重合により得られる重合体組成
物は、そのまま塗料用組成物(a)として使用すること
ができるが、該重合体組成物に公知の添加剤、例えば成
膜助剤、顔料、充填剤、トナー、湿潤剤、帯電防止剤、
消泡剤、粘性調節剤等を必要に応じて配合することもで
きる。上記の顔料としては、無機顔料、有機顔料を用い
ることができる。無機顔料としては、例えば、酸化チタ
ン、三酸化アンチモン、亜鉛華、リトポン、鉛白等の白
色顔料;カーボンブラック、黄鉛、モリブデン赤、ベン
ガラ、黄色酸化鉄、黄華等の着色顔料が挙げられる。有
機顔料としては、例えば、ベンジジン、ハンザイエロー
等のアゾ化合物;フタロシアニンブルー等のフタロシア
ニン類等が挙げられる。これら顔料は、一種類のみを用
いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いても
よい。上記の乳化重合により得られる重合体組成物は、
顔料分散性に優れている。
【0068】以上のように、塗料用組成物(a)は、紫
外線吸収性単量体(1)と、シクロアルキル基含有単量
体と、紫外線安定性単量体(3)および/または紫外線
安定性単量体(4)とを含む単量体組成物を乳化重合す
ることにより容易に得られる。塗料用組成物(a)は、
300 nm〜400 nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優
れ、かつ、長期耐候性、耐水性、光沢、鮮映性、耐溶剤
性、耐薬品性、耐変色性、耐クラック性、耐ブリスター
性等に優れた塗膜を形成することができる。また、上記
の方法によれば、より一層優れた性能を有する塗膜を形
成し得る塗料用組成物(a)を容易に製造することがで
きる。
【0069】次に、紫外線吸収性単量体(1)と、シク
ロアルキル基含有単量体と、紫外線安定性単量体(3)
および/または紫外線安定性単量体(4)と、酸性官能
基含有単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる共
重合体を含んでなる塗料用組成物(以下、紫外線吸収性
ラッカー組成物と記す)について説明する。
【0070】紫外線吸収性ラッカー組成物において、単
量体組成物における上記各単量体の含有量は、特に限定
されるものではないが、紫外線吸収性単量体(1)は、
0.1重量%〜30重量%の範囲内が好ましく、1重量%〜
20重量%の範囲内がさらに好ましく、2重量%〜15重量
%の範囲内が特に好ましい。また、シクロアルキル基含
有単量体は、2重量%〜95重量%の範囲内が好ましく、
5重量%〜85重量%の範囲内がさらに好ましく、10重量
%〜75重量%の範囲内が特に好ましい。また、酸性官能
基含有単量体は、 0.1重量%〜15重量%の範囲内が好ま
しく、 0.2重量%〜10重量%の範囲内がさらに好まし
く、 0.5重量%〜5重量%の範囲内が特に好ましい。
【0071】単量体組成物における紫外線吸収性単量体
(1)の含有量が 0.1重量%未満であると、得られる紫
外線吸収性ラッカー組成物の紫外線吸収能が不充分とな
るので好ましくない。一方、上記含有量が30重量%を越
えると、得られる紫外線吸収性ラッカー組成物からなる
塗膜の光沢や鮮映性等の外観、耐溶剤性および耐薬品性
が劣るおそれがあるので、好ましくない。
【0072】また、単量体組成物におけるシクロアルキ
ル基含有単量体の含有量が2重量%未満であると、得ら
れる紫外線吸収性ラッカー組成物からなる塗膜の耐候
性、光沢性および硬度等の性能が不充分となるので好ま
しくない。一方、上記含有量が95重量%を越えると、該
塗膜の可撓性が乏しくなり、経時変化によって塗膜にク
ラックが生じ易くなるので、好ましくない。
【0073】また、単量体組成物が酸性官能基含有単量
体を含有することは、紫外線吸収性ラッカー組成物に、
基材、特に金属からなる基材への密着性や、顔料分散性
を付与する上で極めて有効に作用する。即ち、種々の顔
料の分散性、および複合顔料系における混色安定性等を
向上させることができる。単量体組成物における酸性官
能基含有単量体の含有量が 0.1重量%未満であれば、紫
外線吸収性ラッカー組成物に顔料分散性を充分に付与す
ることができなくなるので、好ましくない。一方、上記
含有量が15重量%を越えると、重合安定性に劣ること
や、得られる共重合体の耐水性が低下する等の不都合が
生じるので、好ましくない。
【0074】また、上記紫外線安定性単量体(3)・
(4)の合計量は、 0.1重量%〜15重量%の範囲内が好
ましく、 0.5重量%〜10重量%の範囲内がさらに好まし
く、1重量%〜5重量%の範囲内が特に好ましい。紫外
線安定性単量体(3)・(4)の合計量を上記の範囲内
とすることにより、紫外線吸収能を長期にわたって維持
することができる紫外線吸収性ラッカー組成物を得るこ
とができる。
【0075】単量体組成物における紫外線安定性単量体
(3)・(4)の合計量が、 0.1重量%未満であると、
得られる紫外線吸収性ラッカー組成物からなる塗膜の紫
外線吸収能を長期にわたって維持することができないの
で、好ましくない。一方、上記合計量が15重量%を越え
ると、得られる紫外線吸収性ラッカー組成物からなる塗
膜の耐水性、光沢および鮮映性等の性能に劣るので、好
ましくない。尚、これら紫外線安定性単量体(3)・
(4)、および、その他の単量体は、得られる紫外線吸
収性ラッカー組成物の物性を損なわない範囲内で用いら
れる。
【0076】上記の紫外線吸収性単量体(1)、シクロ
アルキル基含有単量体、酸性官能基含有単量体、紫外線
安定性単量体(3)・(4)、および、その他の単量体
の混合方法は、特に限定されるものではない。例えば、
上記の各単量体を共重合させる前に予め混合してもよ
く、また、上記の各単量体を共重合させる際に、反応液
中で混合してもよい。要するに、重合時に反応器内に上
記の各単量体が仕込まれていればよい。
【0077】上記単量体組成物を共重合させる際の重合
方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々
の重合方法、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重
合法、塊状重合法等を採用することができる。溶液重合
法を採用して単量体組成物を共重合させる場合において
用いることができる溶媒としては、例えば、トルエン、
キシレン、その他の高沸点の芳香族炭化水素類;酢酸エ
チル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等の酢酸エス
テル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン類;イソプロパノール、n-ブタノール、iso-
ブタノール等の脂肪族アルコール類;エチレングリコー
ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチル
エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等
のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。これら溶媒
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適
宜混合して用いてもよい。また、これら溶媒の使用量
は、特に限定されるものではない。
【0078】また、単量体組成物を共重合させる際に
は、重合開始剤を用いることができる。上記の重合開始
剤としては、具体的には、例えば、アゾビスイソブチロ
ニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパ
ーオキサイド等の通常のラジカル重合開始剤が挙げられ
るが、特に限定されるものではない。また、重合開始剤
の使用量は、特に限定されるものではないが、単量体組
成物全量に対して、0.1重量%〜10重量%の範囲内で使
用することが好ましい。
【0079】反応温度は、特に限定されるものではない
が、室温〜 200℃の範囲が好ましく、40℃〜 140℃の範
囲がより好ましい。尚、反応時間は、反応温度、或い
は、用いる単量体組成物の組成や重合開始剤の種類等に
応じて、重合反応が完結するように、適宜設定すればよ
い。
【0080】さらに、反応系には、分子量を調節する目
的で、ラウリルメルカプタン、2-メルカプトエタノー
ル、四塩化炭素、四臭化炭素等の連鎖移動剤や重合調節
剤を用いてもよい。
【0081】また、得られた共重合体を、水溶性もしく
は水分散性の紫外線吸収性ラッカー組成物に用いる場合
には、該共重合体を、必要に応じて、塩基性化合物で中
和してもよい。使用できる塩基性化合物としては、具体
的には、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、モル
ホリン、水酸化ナトリウム等が挙げられるが、特に限定
されるものではない。
【0082】さらに、該共重合体の示差走査熱量計(D
SC)を用いて測定されるガラス転移温度(Tg)は、
20℃〜80℃の範囲内となるように設計することが好まし
く、30℃〜70℃の範囲内となるように設計することがさ
らに好ましい。該共重合体のガラス転移温度が20℃未満
であると、該共重合体を含む紫外線吸収性ラッカー組成
物からなる塗膜が柔らかすぎて、長期間にわたって耐久
性を維持することができなくなるため、好ましくない。
一方、上記ガラス転移温度が80℃を越えると、塗膜が硬
すぎて、脆くなりすぎるため、耐クラック性や耐ブリス
ター性を充分に発揮することができなくなるので、好ま
しくない。
【0083】該共重合体の数平均分子量(Mn)は、1
0,000〜40,000の範囲内となるように設計することが好
ましく、15,000〜30,000の範囲内となるように設計する
ことがさらに好ましい。上記数平均分子量が10,000未満
であると、充分な耐久性を有する塗膜を得ることができ
ないので好ましくない。一方、上記数平均分子量が40,0
00を越えると、重合安定性に劣るという不都合や、粘度
が高くなりすぎるために、塗装作業適性に欠けるという
不都合を生じるため、好ましくない。さらに、数平均分
子量が10,000以上であっても、数平均分子量が5,000 以
下の成分が該共重合体中に10%以上存在すると、充分な
耐久性を有する塗膜を得ることができなかったり、耐溶
剤性に欠けるという不都合を生じる。このため、該共重
合体中においては、数平均分子量が5,000 以下の成分が
10%未満であることが好ましい。
【0084】本発明にかかる紫外線吸収性ラッカー組成
物は、一液非架橋型組成物であり、そのまま塗料用組成
物として用いることができるが、必要に応じて、有機溶
剤および/または水、充填剤、レベリング剤、分散剤、
可塑剤、安定剤、染料、顔料等の各種塗料用の添加剤を
配合して用いてもよい。該紫外線吸収性ラッカー組成物
に用いられる顔料としては、前記例示の顔料が挙げられ
る。これら各種添加剤は、一種類のみを用いてもよい
し、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、こ
れら添加剤の使用量は、特に限定されるものではない。
【0085】上記の紫外線吸収性単量体(1)は、重合
可能な不飽和二重結合を分子内に有しており、シクロア
ルキル基含有単量体や酸性官能基含有単量体等と共重合
する。従って、得られる紫外線吸収性共重合体は、単量
体同士の相溶性が良好であり、抽出可能な未反応の紫外
線吸収性単量体(1)が無いので、溶出やブリードアウ
トを生じず、長期にわたってその効果を維持することが
できる。また、紫外線吸収性単量体(1)に起因する着
色が殆ど起こらない。このため、該紫外線吸収性共重合
体を含む紫外線吸収性ラッカー組成物も、該紫外線吸収
性共重合体と同様の性能を有する。
【0086】さらに、該紫外線吸収性ラッカー組成物
が、紫外線吸収性単量体(1)と、シクロアルキル基含
有単量体と、紫外線安定性単量体(3)および/または
紫外線安定性単量体(4)と、酸性官能基含有単量体と
を含む単量体組成物を共重合してなる紫外線吸収性共重
合体を含むことで、カーボンブラック等、種々の顔料の
分散性、および、複合顔料系における混色安定性を向上
させる効果を顕著に示す。このことから、公知の顔料分
散法により、各種顔料を分散して着色塗料とすることも
できる。該紫外線吸収性ラッカー組成物を用いて、耐候
性、光沢性、硬度、耐クラック性、耐水性および基材へ
の密着性等の性能に優れた塗膜を得ることができる。つ
まり、紫外線吸収性ラッカー組成物は、長期間にわたる
紫外線吸収能の維持と耐候性とに著しく優れていると共
に、紫外線吸収成分の共重合体からの溶出やブリードア
ウト、着色および変退色がない。また、該紫外線吸収性
ラッカー組成物を用いることで、光沢性、鮮映性、耐溶
剤性、耐薬品性および耐水性等の物性に優れる塗膜を得
ることができる。さらに、該紫外線吸収性ラッカー組成
物は、優れた作業性を有している。
【0087】次に、紫外線吸収性単量体(1)と、シク
ロアルキル基含有単量体と、紫外線安定性単量体(3)
および/または紫外線安定性単量体(4)と、水酸基含
有単量体とを含む単量体組成物を共重合してなる塗料用
組成物(以下、塗料用組成物(b)と記す)について説
明する。
【0088】塗料用組成物(b)において、単量体組成
物における上記各単量体の含有量は、特に限定されるも
のではないが、紫外線吸収性単量体(1)の含有量は、
0.1重量%〜30重量%の範囲内が好ましく、1重量%〜
20重量%の範囲内がさらに好ましく、2重量%〜15重量
%の範囲内が特に好ましい。
【0089】単量体組成物における紫外線吸収性単量体
(1)の量が 0.1重量%よりも少ない場合には、得られ
る塗料用組成物(b)の紫外線吸収能が不充分となるの
で好ましくない。一方、紫外線吸収性単量体(1)の量
が30重量%よりも多い場合には、塗料用組成物(b)か
らなる塗膜の光沢や肉持ち感が不充分となり、外観が醜
悪となると共に、耐溶剤性、耐薬品性が劣るので好まし
くない。
【0090】また、単量体組成物におけるシクロアルキ
ル基含有単量体の含有量は、5重量%〜98.9重量%の範
囲内が好ましく、5重量%〜80重量%の範囲内がさらに
好ましく、10重量%〜70重量%の範囲内が特に好まし
い。
【0091】単量体組成物におけるシクロアルキル基含
有単量体の量が、5重量%よりも少ない場合には、塗料
用組成物(b)からなる塗膜の光沢や肉持ち感が不充分
であったり、紫外線吸収性単量体(1)との相乗効果が
薄れ、耐候性が充分発揮されないので好ましくない。一
方、シクロアルキル基含有単量体の量が、98.9重量%よ
りも多い場合には、紫外線吸収性単量体(1)および水
酸基含有単量体の含有量が少なくなりすぎ、塗料用組成
物(b)からなる塗膜の耐候性が不充分となると共に、
耐溶剤性、耐薬品性が劣るので好ましくない。
【0092】また、単量体組成物における水酸基含有単
量体の含有量は、1重量%〜45重量%の範囲内が好まし
く、2重量%〜40重量%の範囲内がさらに好ましく、5
重量%〜35重量%の範囲内が特に好ましい。
【0093】単量体組成物における水酸基含有単量体の
量が、1重量%よりも少ない場合には、得られる共重合
体中に含まれる活性水酸基が少なくなり、架橋密度が低
くなり、目的とする塗膜性能が得られないので好ましく
ない。一方、水酸基含有単量体の量が、45重量%よりも
多い場合には、重合安定性が不良となったり、得られる
塗膜の耐水性を低下させるので好ましくない。また、後
述のポリイソシアネート化合物またはその変性物、或い
は、後述のアミノプラスト樹脂またはブロックポリイソ
シアネート化合物を配合した後の保存安定性が悪くなる
ので好ましくない。
【0094】単量体組成物における紫外線吸収性単量体
(1)の量、シクロアルキル基含有単量体の量、紫外線
安定性単量体(3)・(4)の量、および水酸基含有単
量体の量を上記の範囲内とすることにより、得られる塗
料用組成物(b)から、機械的物性や耐酸性等の各種物
性および長期耐候性が良好な塗膜を形成することができ
る。
【0095】紫外線安定性単量体(3)・(4)は、単
量体組成物における合計の含有量が20重量%以下の範囲
内で用いられるが、 0.1重量%以上にすることにより、
得られる塗料用組成物(b)の紫外線安定性が充分とな
り、長期耐候性が実現される。尚、紫外線安定性単量体
(3)と紫外線安定性単量体(4)との重量比は、特に
限定されるものではなく、両方を用いてもよく、一方の
みを用いてもよいが、紫外線安定性単量体(3)のみを
用いるのが特に好ましい。
【0096】上記単量体組成物を得る際の、紫外線吸収
性単量体(1)、シクロアルキル基含有単量体、水酸基
含有単量体、酸性官能基含有単量体、紫外線安定性単量
体(3)・(4)、およびその他の単量体の混合方法
は、特に限定されるものではない。つまり、単量体組成
物を調製する方法は、特に限定されるものではない。
【0097】単量体組成物を共重合させる際の重合方法
は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重
合方法、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合
法、塊状重合法等を採用することができるが、溶液重合
法を採用するのが好ましい。
【0098】溶液重合法を採用して単量体組成物を共重
合させる場合において用いることができる溶媒として
は、前記例示の有機溶媒、および水が挙げられるが、特
に限定されるものではない。これら溶媒は、一種類のみ
を用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用い
てもよい。また、溶媒の使用量は、特に限定されるもの
ではない。但し、塗料用組成物(b)において、共重合
体にポリイソシアネート化合物またはその変性物からな
る架橋剤を配合する場合には、前記例示の有機溶媒のう
ち、脂肪族アルコール類、アルキレングリコールモノア
ルキルエーテル類、および水等の、イソシアネート基に
対して活性を示す溶媒は好ましくない。
【0099】また、単量体組成物を共重合させる際に
は、重合開始剤を用いることができる。上記の重合開始
剤としては、例えば、 2,2'-アゾビス(2-メチルブチロ
ニトリル) 、t-ブチルパーオキシ-2- エチルヘキサノエ
ート、 2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイル
パーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド等の通常
のラジカル重合開始剤が挙げられるが、特に限定される
ものではない。また、重合開始剤の使用量は、特に限定
されるものではない。
【0100】また、単量体組成物を共重合させる際に
は、反応温度は、特に限定されるものではないが、室温
〜 200℃の範囲が好ましく、40℃〜 140℃の範囲がより
好ましい。尚、反応時間は、反応温度、或いは、用いる
単量体組成物の組成や重合開始剤の種類等に応じて、重
合反応が完結するように、適宜設定すればよい。
【0101】さらに、反応系には、分子量を調節する目
的で、ラウリルメルカプタン、2-メルカプトエタノー
ル、四塩化炭素、四臭化炭素等の連鎖移動剤や重合調節
剤を用いてもよい。つまり、得られる共重合体の分子量
は、反応時間、反応温度、或いは、用いる単量体組成物
の組成や重合開始剤の種類等、さらには、必要であれば
連鎖移動剤や重合調節剤を適量用いて調節することがで
きる。このようにして得られる共重合体の重量平均分子
量(Mw)は、好ましくは2,000 〜300,000 であるが、
より好ましくは8,000 〜100,000 である。
【0102】塗料用組成物(b)に配合されるべき架橋
剤は、1分子中に水酸基と反応可能な官能基を2個以上
有する化合物であれば、特に限定されるものではない。
また、架橋剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二
種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0103】上記の架橋剤として、1分子中に2個以上
のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物
またはその変性物を用いると、常温或いは比較的低い加
熱温度で硬化する二液架橋型の常温硬化型塗料用組成物
が好適に得られる。また、上記の架橋剤として、アミノ
プラスト樹脂またはブロックポリイソシアネート化合物
を用いると、一液架橋型の塗料用組成物が好適に得られ
る。尚、以下の説明においては、説明の便宜上、塗料用
組成物(b)を架橋剤によって区別する必要がある場合
には、ポリイソシアネート化合物またはその変性物を架
橋剤として用いる塗料用組成物を塗料用組成物(b1)
と記し、アミノプラスト樹脂またはブロックポリイソシ
アネート化合物を架橋剤として用いる塗料用組成物を塗
料用組成物(b2)と記すこととする。
【0104】上記のポリイソシアネート化合物またはそ
の変性物としては、2個以上のイソシアネート基を分子
内に有するものであれば、特に限定されるものではな
い。該ポリイソシアネート化合物またはその変性物とし
ては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,6-ヘ
キサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネ
ート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタ
キシリレンジイソシアネート、 4,4'-メチレンビス(シ
クロヘキシルイソシアネート)、および、これらジイソ
シアネートの誘導体であるトリメチロールプロパンアダ
クト体、ビュウレット体、イソシアヌレート体等のアダ
クトポリイソシアネート化合物等が挙げられる。塗料用
組成物(b1)における、共重合体に対するポリイソシ
アネート化合物またはその変性物の配合量は、特に限定
されるものではない。
【0105】上記のアミノプラスト樹脂としては、例え
ば、メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化
メラミン樹脂、ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹
脂、ブチルエーテル化シクロヘキシルベンゾグアナミン
樹脂等のアミノプラスト樹脂、およびこれらの水溶化物
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これ
らアミノプラスト樹脂は、一種類のみを用いてもよく、
また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。上記の
塗料用組成物(b2)における、共重合体に対するアミ
ノプラスト樹脂またはその水溶化物の配合量は、特に限
定されるものではない。
【0106】上記のブロックポリイソシアネート化合物
としては、2個以上のブロックイソシアネート基を分子
内に有するものであれば、特に限定されるものではな
い。該ブロックポリイソシアネート化合物としては、例
えば、トリメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチ
レンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレ
ンジイソシアネート、 4,4'-メチレンビス(シクロヘキ
シルイソシアネート)、および、これらジイソシアネー
トの誘導体であるトリメチロールプロパンアダクト体、
ビュウレット体、イソシアヌレート体等のアダクトポリ
イソシアネート化合物、即ち、前記ポリイソシアネート
化合物またはその変性物のイソシアネート基を、ε−カ
プロラクタム、フェノール、クレゾール、オキシム、ア
ルコール等の化合物でブロックしてなるブロックポリイ
ソシアネート化合物等が挙げられる。これらブロックポ
リイソシアネート化合物は、一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。ま
た、塗料用組成物(b2)における、共重合体に対する
ブロックポリイソシアネート化合物の配合量は、特に限
定されるものではない。
【0107】さらに、塗料用組成物(b)は、前記共重
合体および架橋剤以外に、共重合体中の水酸基と、架橋
剤との架橋反応(例えば、水酸基とイソシアネート基と
のウレタン化反応)を促進させる公知の触媒(例えば、
ジラウリル酸ジ-n- ブチルスズ等の有機スズ化合物や第
3級アミン)、或いは有機溶剤や、充填剤、レベリング
剤、分散剤、可塑剤、安定剤、染料、顔料等の各種塗料
用添加剤を適宜含んでいてもよい。
【0108】上記の顔料としては、前記例示の顔料が挙
げられる。これら各種添加剤は、一種類のみを用いても
よいし、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。ま
た、これら添加剤の使用量は、特に限定されるものでは
ない。塗料用組成物(b)は、公知の顔料分散方法によ
り、各種顔料を分散して着色塗料とすることもでき、カ
ーボンブラック等の顔料の分散性に優れている。また、
複合顔料系における混色安定性にも優れている。尚、共
重合体、架橋剤、および各種添加剤の配合方法は、特に
限定されるものではない。また、塗料用組成物(b2)
においては、共重合体を溶液状や分散液状、粉体状にし
て架橋剤等を配合すればよいが、共重合体を架橋剤と共
に前記溶媒に溶解するか、若しくは分散させて液状にす
るのが好ましい。
【0109】以上のように、塗料用組成物(b)は、紫
外線吸収性単量体(1)と、シクロアルキル基含有単量
体と、紫外線安定性単量体(3)および/または紫外線
安定性単量体(4)と、水酸基含有単量体とを含む単量
体組成物を共重合してなる共重合体に、架橋剤を配合し
てなる。塗料用組成物(b)は、透明性、光沢、肉持ち
性、機械的強度、耐酸性、耐溶剤性等に優れると共に、
300 nm〜400 nmの波長領域での紫外線吸収能に特に優
れ、紫外線吸収性単量体(1)に起因する着色が殆ど起
こらず、しかも長期間の屋外使用における光沢保持性、
耐変色性等の長期耐候性に優れた塗膜を形成することが
できる。そして、塗料用組成物(b1)は、上記共重合
体に、ポリイソシアネート化合物またはその変性物から
なる架橋剤を配合してなる。従って、優れた乾燥性およ
び塗装作業性を有する二液架橋型の常温硬化型塗料用組
成物とすることができる。塗料用組成物(b2)は、上
記共重合体に、アミノプラスト樹脂またはブロックポリ
イソシアネート化合物からなる架橋剤を配合してなる。
従って、一液架橋型の塗料用組成物とすることができ
る。
【0110】以上のようにして、共重合体層の形成に供
される塗料用組成物、つまり、塗料用組成物(a)・
(b)および紫外線吸収性ラッカー組成物が得られる。
次に、上記各種の塗料用組成物を用いた共重合体層の形
成方法について説明する。
【0111】共重合体層の形成方法は、特に限定される
ものではなく、従来公知の種々の方法を採用することが
できる。つまり、共重合体層の形成方法としては、例え
ば、刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター塗装等の
塗装方法;塗料用組成物を共重合してなるフィルムを一
旦形成した後、このフィルムを基材に貼着または熱圧着
することにより、該基材をフィルムでラミネートして共
重合体層を形成する方法等を採用することができる。
【0112】次に、本発明にかかる紫外線吸収性加工製
品に用いられる基材について説明する。本発明にかかる
基材としては、例えば、ABS(アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン)樹脂、FRP(繊維強化プラスチ
ック)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリ
スチレン、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボ
ネート)、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエス
テル樹脂等の各種プラスチック;鋼板等の各種金属;ガ
ラス;ヒノキ等の木材や合板等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。また、該基材の形状や大きさ等
も、特に限定されるものではない。
【0113】塗料用組成物からなる塗膜と基材との密着
性は良好であり、従って、上記基材の表面に共重合体層
を形成することにより、該基材を紫外線から保護するこ
とができる。尚、基材の表面に、互いに組成が異なる共
重合体層を二層以上、積層してもよい。また、基材と共
重合体層との間に、別の樹脂層や接着剤層、保護層、化
粧層等(後述する)が積層されていてもよい。
【0114】そして、例えば、基材がFRPである場合
には、共重合体層を形成することにより、該紫外線吸収
性加工製品を長期間使用した場合においても、FRP中
のガラス繊維や炭酸カルシウム粒子(充填剤)等が加工
製品表面に露出することはなく、また、耐候性、耐溶剤
性等が向上する。従って、紫外線吸収性加工製品は、長
期にわたる使用に耐えることができるので、例えば、タ
ンク、コンテナ等の容器類や、各種建築材料等、幅広い
用途に好適である。
【0115】また、例えば、基材がPCやPETである
場合には、着色した共重合体層を形成することにより、
該紫外線吸収性加工製品の耐候性、耐溶剤性等が向上す
ると共に、該基材、即ち、加工製品表面を容易に着色す
ることができる。さらに、例えば、基材がガラスである
場合には、着色した共重合体層を形成することにより、
該紫外線吸収性加工製品表面を容易に着色することがで
きる。
【0116】次に、上記の塗料用組成物を用いた紫外線
吸収性加工製品の製造方法について、塗料用組成物を塗
布する方法;塗料用組成物をフィルムにした後、融着す
る方法;塗料用組成物をフィルムにした後、熱圧着する
方法;型を用いて共重合体層を転写する方法;を例に挙
げて説明する。
【0117】先ず、塗料用組成物を塗布することによっ
て紫外線吸収性加工製品を製造する方法について説明す
る。図1に示すように、先ず、基材1の表面に接着剤を
塗布し、所定の温度で乾燥させることにより接着剤層2
を形成する。次に、接着剤層2の表面に例えば化粧紙や
チタン紙、ツキ板等からなる化粧層3を積層する。つま
り、接着剤層2表面に化粧層3を貼着する。尚、基材1
や化粧層3の材質は、特に限定されるものではなく、従
来公知のものが使用できる。また、上記の接着剤は、基
材1および化粧層3の材質等に応じて適宜選択すればよ
く、特に限定されるものではない。
【0118】次いで、上記化粧層3の表面に、塗料用組
成物を塗布し、室温または所定の温度で乾燥させるか、
若しくは比較的低温で焼付けることにより共重合体層4
を形成する。これにより、紫外線吸収性加工製品が製造
される。尚、上記の塗料用組成物は、化粧層3の材質
や、紫外線吸収性加工製品の用途等に応じた最適な組成
とすればよい。また、基材1の材質や、紫外線吸収性加
工製品の用途等によって、上記の接着剤層2および/ま
たは化粧層3の形成を省略することもできる。
【0119】但し、基材1の表面に共重合体層4を形成
する場合において、基材1がポリプロピレンからなる場
合には、共重合体層4を形成する前に、該ポリプロピレ
ン表面にプライマーを塗布することが好ましい。上記の
プライマーは、その膜厚が1ミクロン〜50ミクロンとな
るように均一に基材に塗布すればよい。プライマーの塗
布方法としては、例えば、刷毛塗り、スプレー塗装、ロ
ールコーター塗装等の一般的な方法を採用することがで
きる。尚、上記ポリプロピレンからなる基材は、従来公
知の成形方法、例えば押出成形法、中空成形法、射出成
形法、圧縮成形法等により製造すればよい。
【0120】次に、塗料用組成物をフィルムにした後、
融着することによって紫外線吸収性加工製品を製造する
方法について説明する。先ず、塗料用組成物を、Tダイ
法等を用いて所定の条件にて押出成形することにより、
所定の厚さのフィルムとする。次に、図2に示すよう
に、溶融可能な材質、例えば不飽和ポリエステル系樹脂
等からなる基材1の表面に上記のフィルム5を載置し、
所定の温度で加熱することによりフィルム5および基材
1の両対向面を溶融させて互いに融着させる。尚、該不
飽和ポリエステル系樹脂の具体的な例示として、株式会
社日本触媒製のエポラックG−153ALにクミルパー
オキサイド(重合開始剤)を 1.5%添加してなる組成物
が挙げられるが、特に限定されるものではない。つま
り、基材1は、フィルム5との融着が可能な材質からな
っていればよく、特に限定されるものではない。
【0121】これにより、基材1表面に共重合体層が形
成され、紫外線吸収性加工製品が製造される。尚、上記
の塗料用組成物は、フィルム5の溶融性や基材1の材
質、紫外線吸収性加工製品の用途等に応じた最適な組成
とすればよい。また、フィルム5の成形方法は、特に限
定されるものではない。
【0122】次に、塗料用組成物をフィルムにした後、
熱圧着することによって紫外線吸収性加工製品を製造す
る方法について説明する。先ず、塗料用組成物を、Tダ
イ法等を用いて所定の条件にて押出成形することによ
り、所定の厚さのフィルムとする。次に、図3に示すよ
うに、基材1の表面に接着剤を塗布し、所定の温度で乾
燥させることにより接着剤層2を形成する。次いで、接
着剤層2の表面に例えば化粧紙やチタン紙、ツキ板等か
らなる化粧層3を積層する。つまり、接着剤層2表面に
化粧層3を貼着する。尚、基材1や化粧層3の材質は、
特に限定されるものではなく、従来公知のものが使用で
きる。また、上記の接着剤は、基材1および化粧層3の
材質等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるも
のではない。
【0123】次いで、上記化粧層3の表面に、例えば不
飽和ポリエステル系樹脂からなる保護層6を形成する。
尚、保護層6の材質や形成方法は、特に限定されるもの
ではない。また、該不飽和ポリエステル系樹脂の具体的
な例示として、株式会社日本触媒製のエポラックP−5
12Yにメチルエチルケトンパーオキサイド(重合開始
剤)を1%添加してなる組成物が挙げられるが、特に限
定されるものではない。
【0124】続いて、上記保護層6の表面に上記のフィ
ルム5を載置し、所定の温度および圧力で熱圧着するこ
とによりフィルム5を保護層6に接着する。これによ
り、共重合体層が形成され、紫外線吸収性加工製品が製
造される。尚、上記の塗料用組成物は、フィルム5の接
着性や保護層6の材質、紫外線吸収性加工製品の用途等
に応じた最適な組成とすればよい。また、フィルム5の
成形方法は、特に限定されるものではない。さらに、基
材1の材質や、紫外線吸収性加工製品の用途等によっ
て、上記の化粧層3および/または保護層6の形成を省
略することもできる。但し、保護層6の形成を省略する
場合には、接着剤を用いてフィルム5を化粧層3に貼着
すればよい。
【0125】次に、型を用いて共重合体層を転写するこ
とによって紫外線吸収性加工製品を製造する方法につい
て説明する。図4(a)に示すように、先ず、金型等の
型10の成形面に離型剤11を塗布する。尚、離型剤1
1の種類は、特に限定されるものではなく、従来公知の
離型剤が使用できる。
【0126】次に、同図(b)に示すように、該成形面
に塗料用組成物を塗布した後、型10を所定の温度、例
えば40℃〜60℃に加熱することにより、該塗料用組成物
を加熱硬化処理して共重合体層7を形成する。尚、上記
の塗料用組成物は、後述するゲルコート層8や基材9の
材質、紫外線吸収性加工製品の用途等に応じた最適な組
成とすればよい。
【0127】その後、同図(c)に示すように、該共重
合体層7上に、例えば不飽和ポリエステル系樹脂を塗布
した後、型10を所定の温度に加熱することにより、該
不飽和ポリエステル系樹脂を加熱硬化処理してゲルコー
ト層8を形成する。つまり、共重合体層7上にゲルコー
ト層8を積層する。尚、ゲルコート層8の材質や形成方
法は、特に限定されるものではない。
【0128】次いで、該ゲルコート層8上に、基材9と
なるべき例えばFRP(繊維強化プラスチック)等の樹
脂組成物を裏打ち積層する。尚、該樹脂組成物の具体的
な例示として、株式会社日本触媒製のエポラックG−1
12にメチルエチルケトンパーオキサイドを1%添加し
てなる積層用樹脂を、ガラス繊維(チョップドストラン
ドマット FEM−380−M−WN;富士ファイバー
グラス株式会社製)に含浸させてなる樹脂組成物が挙げ
られるが、特に限定されるものではない。つまり、基材
9は、加熱硬化処理が可能な材質からなっていればよ
く、特に限定されるものではない。
【0129】そして、同図(d)に示すように、上記の
型10を加熱することにより、該樹脂組成物を加熱硬化
処理して、基材9を成形すると共に、該基材9表面に上
記の共重合体層7をゲルコート層8を介して転写させ
る。その後、脱型することにより、同図(e)に示すよ
うな、紫外線吸収性加工製品が得られる。尚、基材9の
材質や、紫外線吸収性加工製品の用途等によって、上記
のゲルコート層8の形成を省略することもできる。
【0130】尚、基材9がFRPからなる場合には、ゲ
ルコート層8を形成することが好ましい。基材9と共重
合体層7との間にゲルコート層8を設けることにより、
加熱成型時の揮散や、いわゆる泡カミが少なくなると共
に、離型性や寸法安定性が良好となる。
【0131】以上のように、本発明にかかる紫外線吸収
性加工製品は、紫外線吸収性単量体(1)と、シクロア
ルキル基含有単量体と、紫外線安定性単量体(3)およ
び/または紫外線安定性単量体(4)とを含む単量体組
成物を共重合してなる共重合体層を有する構成である。
【0132】上記の共重合体層は、ベンゾトリアゾール
系の骨格を有する紫外線吸収性単量体(1)と、シクロ
アルキル基含有単量体と、紫外線安定性単量体(3)・
(4)とを含む単量体組成物を共重合してなるので、紫
外線吸収能を有し、長期耐候性に優れると共に、基材と
の密着性や接着性、さらには下地保護効果や黄変防止効
果等が良好であり、しかも、光沢や耐水性、耐溶剤性等
に優れている。従って、本発明の紫外線吸収性加工製品
は、紫外線吸収能を有し、長期耐候性に優れると共に、
光沢や耐水性、耐溶剤性等に優れている。尚、ここで、
「ベンゾトリアゾール系の骨格」とは、ベンゾトリアゾ
ール環の2位の窒素原子にフェノール環が結合した構造
を指している。
【0133】また、以上のように、本発明にかかる紫外
線吸収性加工製品の製造方法は、型の成形面に、上記の
単量体組成物を共重合してなる共重合体層を形成した
後、上記型にて加工製品となるべき基材を成形すると共
に、基材側に該共重合体層を転写する方法である。これ
により、上記の性能を有し、かつ、表面が平滑な共重合
体層を有する紫外線吸収性加工製品を容易に製造するこ
とができる。
【0134】本発明にかかる紫外線吸収性加工製品とし
ては、例えば、タンクやコンテナ等のプラスチック成形
品、家電製品、鋼製品、大型構造物、自動車内外装部
品、建材、木工品、ガラス製品等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。
【0135】上記の構成によれば、紫外線吸収能を有
し、長期耐候性に優れると共に、光沢や耐水性、耐溶剤
性等に優れた共重合体層を有する紫外線吸収性加工製品
を提供することができる。また、上記の方法によれば、
上記の性能を有し、かつ、表面が平滑な共重合体層を有
する紫外線吸収性加工製品を容易に製造することができ
る。
【0136】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもの
ではない。尚、実施例に記載の「部」は、「重量部」を
示し、「%」は、「重量%」を示す。
【0137】〔実施例1〕温度計、ガス吹き込み管、滴
下ロート、還流冷却器および攪拌機を取り付けた4ツ口
フラスコに、溶媒としてのトルエン24.3部および酢酸ブ
チル19.0部を仕込んだ。その後、この溶液を窒素ガス気
流下で攪拌しながら、90℃に昇温した。
【0138】一方、上記の滴下ロートに、紫外線吸収性
単量体(1)としての2-〔 2'-ヒドロキシ-5'-(メタク
リロイルオキシエチル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾ
ール(以下、ベンゾトリアゾール(A)と記す) 2.5
部、シクロアルキル基含有単量体としてのシクロヘキシ
ルメタクリレート(以下、CHMAと記す)20.0部、紫
外線安定性単量体(3)としての4-メタクリロイルオキ
シ-2,2,6,6- テトラメチルピペリジン(以下、ピペリジ
ン(C)と記す) 1.2部、酸性官能基含有単量体として
のメタクリル酸 0.3部、水酸基含有単量体としてのヒド
ロキシエチルアクリレート 6.0部、その他の単量体とし
てのブチルアクリレート10.0部およびメチルメタクリレ
ート10.0部からなる単量体組成物(50部)と、溶媒とし
てのトルエン 4.5部およびキシレン 2.2部と、重合開始
剤としての 2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)
0.8部とからなる混合物を入れた。
【0139】次に、フラスコ内の溶液を90℃で攪拌しな
がら、該溶液に上記の混合物を3時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を窒素ガス気流下で攪拌しながら、
90℃で5時間保持した。そして、重合反応終了後、該反
応液を冷却した。これにより、反応生成物であるアクリ
ルポリオールを含む溶液(以下、アクリルポリオール溶
液と記す)を得た。このアクリルポリオール溶液の不揮
発分は50%であり、水酸基価は29mgKOH/gであり、酸
価は2.0 mgKOH/gであり、ガードナー型泡粘度計によ
って測定された粘度はZ2(粘度標準液記号)であっ
た。また、アクリルポリオールの重量平均分子量(M
w)は11,000であった。単量体組成物の組成、および、
アクリルポリオール溶液の各種測定結果をまとめて表1
に示す。
【0140】次に、上記のアクリルポリオール溶液を用
いて、共重合体層となるべき塗料を調製した。即ち、上
記のアクリルポリオール溶液に、多官能イソシアネート
(スミジュールN−3200;住友バイエルウレタン株
式会社製)を、該溶液中のヒドロキシル基に対するイソ
シアネート基の当量比が1:1となる量だけ秤取して混
合した。さらに、得られた混合物にシンナーを添加して
希釈し、該混合物の粘度を、エアスプレーが可能となる
粘度に調整した。これにより、共重合体層となるべき塗
料(塗料用組成物(b1))を得た。
【0141】次いで、上記の塗料を用いて紫外線吸収性
加工製品を作成した。即ち、先ず、金型の成形面に、離
型剤であるワックス系のミラーグレーズMGH−8(M
EGUIAR’S Incorporated製)およびポリビニル
アルコール(昭和高分子株式会社製)を吹き付けた後、
上記の塗料を吹き付け塗装した。次に、上記の金型を加
熱炉にて40℃〜60℃に加熱することにより、該塗料を加
熱硬化処理して共重合体層を形成した。金型を取り出し
た後、該共重合体層上に、ゲルコート層となるべき不飽
和ポリエステル系樹脂のゲルコート用樹脂(エポラック
N−300T;株式会社日本触媒製)を吹き付け塗装す
ることにより積層した。そして、金型を加熱炉にて加熱
することにより、該ゲルコート用樹脂を加熱硬化処理し
てゲルコート層を形成した。
【0142】金型を取り出した後、室温にて、該ゲルコ
ート層上に、基材、つまりFRP成形体となるべき汎用
の不飽和ポリエステル系樹脂の積層用樹脂(エポラック
G−773PTMY;株式会社日本触媒製)とガラス繊
維(CM455FA;旭ファイバー株式会社製)とを裏
打ち積層(3プライ)した。上記の積層用樹脂には、重
合開始剤としてのメチルエチルケトンパーオキサイドを
1%添加した。
【0143】そして、上記の金型を加熱炉にて加熱する
ことにより、該積層用樹脂を加熱硬化処理して、基材と
してのFRPを成形すると共に、該FRP成形体表面に
上記の共重合体層を転写させた。その後、脱型して紫外
線吸収性加工製品としてのFRP成形体を得た。得られ
たFRP成形体の表面、即ち、共重合体層表面は平滑で
あった。
【0144】次に、上記のFRP成形体を用いて、耐候
試験である蛍光UV凝縮試験(QUV試験)を実施し、
黄変度(Δb値)を測定した。測定は、JIS K 5
400 -1979に基づいて実施した。測定装置として、株
式会社東洋精機製作所製;ユウブコン(UVCON)U
C−1型を使用した。測定条件として、照射70℃×4時
間および湿潤50℃×4時間を1セットとするサイクルを
繰り返して行い、QUV 2000 時間後の上記黄変度を色
差計を用いて測定した。
【0145】その結果、QUV 2000 時間後の黄変度は
2であった。また、表面に共重合体層が形成されていな
いFRP成形体、つまり、従来の加工製品であるFRP
成形体について同様に黄変度を測定したところ、QUV
2000 時間後の黄変度は20であった。
【0146】上記の結果から明らかなように、本発明に
かかるFRP成形体は、従来のFRP成形体と比較し
て、より優れた耐候性を備えていることがわかる。
【0147】〔実施例2〕温度計、ガス吹き込み管、滴
下ロート、還流冷却器および攪拌機を取り付けた4ツ口
フラスコに、ベンゾトリアゾール(A) 3.0部、トルエ
ン25.2部および酢酸ブチル18.2部を仕込んだ。その後、
この溶液を窒素ガス気流下で攪拌しながら、90℃に昇温
した。
【0148】一方、上記の滴下ロートに、ベンゾトリア
ゾール(A) 1.5部、CHMA20.0部、ピペリジン
(C) 1.0部、メタクリル酸 0.3部、ヒドロキシエチル
アクリレート 5.5部、ブチルアクリレート 9.0部および
メチルメタクリレート 9.7部からなる単量体組成物(47
部)と、トルエン 4.5部およびキシレン 2.1部と、 2,
2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル) 0.9部とから
なる混合物を入れた。尚、単量体組成物は、滴下ロート
に入れた47部と、上記のフラスコに仕込んだベンゾトリ
アゾール(A) 3.0部とを合わせて50部用いた。
【0149】次に、フラスコ内の溶液を90℃で攪拌しな
がら、該溶液に上記の混合物のうちの20%を一度に添加
した後、残り(80%)を3時間かけて滴下した。滴下終
了後、反応液を窒素ガス気流下で攪拌しながら、90℃で
5時間保持した。そして、重合反応終了後、該反応液を
冷却した。これにより、アクリルポリオール溶液を得
た。このアクリルポリオール溶液の不揮発分は50%であ
り、水酸基価は27mgKOH/gであり、酸価は2.0 mgKO
H/gであり、ガードナー型泡粘度計によって測定された
粘度はZ(粘度標準液記号)であった。また、アクリル
ポリオールの重量平均分子量(Mw)は10,000であっ
た。単量体組成物の組成、および、アクリルポリオール
溶液の各種測定結果をまとめて表1に示す。
【0150】次に、実施例1と同様の操作を行い、上記
のアクリルポリオール溶液を用いて、共重合体層となる
べき塗料(塗料用組成物(b1))を調製した。この塗
料を、Tダイ法を用いて所定の条件にて押出成形するこ
とにより、厚さ20μmのフィルムとした。上記塗料の押
出成形性は極めて良好であった。
【0151】続いて、このフィルムを、所定の条件にて
押出成形しているPCシート、つまり、押出機から排出
された直後のPCシートの片面に熱圧着した。これによ
り、基材としてのPCシート表面に、共重合体層として
の上記フィルムがラミネートされた紫外線吸収性加工製
品としてのPC板を得た。上記PCシートとフィルムと
の接着性は極めて良好であった。
【0152】次に、実施例1と同様の操作を行い、耐候
試験を実施したところ、本発明にかかるPC板は、一般
的に用いられている従来の樹脂フィルムを被覆したPC
板と比較して、極めて優れた耐候性を備えていることが
わかった。また、本発明にかかるPC板は、長期間使用
した場合においても、変退色および光沢の低下を殆ど生
じなかった。さらに、本発明にかかるPC板は、表面に
共重合体層が形成されていないPC板、つまり、PCシ
ートと同等の耐衝撃性を備えていた。
【0153】〔参考例1〕実施例1における単量体組成
物50部に代えて、ベンゾトリアゾール(A) 2.5部、C
HMA20.0部、メタクリル酸 0.3部、ヒドロキシエチル
アクリレート 6.0部、ブチルアクリレート10.0部および
メチルメタクリレート11.2部からなる単量体組成物(50
部)を用いた以外は、実施例1と同様の反応および操作
を行い、アクリルポリオール溶液を得た。このアクリル
ポリオール溶液の不揮発分は50%であり、水酸基価は29
mgKOH/gであり、酸価は2.0 mgKOH/gであり、ガー
ドナー型泡粘度計によって測定された粘度はZ2(粘度
標準液記号)であった。また、アクリルポリオールの重
量平均分子量(Mw)は11,000であった。単量体組成物
の組成、および、アクリルポリオール溶液の各種測定結
果をまとめて表1に示す。
【0154】次に、実施例1と同様の操作を行い、上記
のアクリルポリオール溶液を用いて、共重合体層となる
べき塗料(塗料用組成物)を調製した。次いで、上記の
塗料を用いて紫外線吸収性加工製品を作成した。即ち、
先ず、基材としてのPP板(日本テストパネル株式会社
製)に、プライマー(スーパークロン822;日本製紙
株式会社製)を膜厚が5μmとなるように吹き付けた
後、該プライマーを60℃で30分間乾燥させた。次に、該
プライマー層上に、上記の塗料を膜厚が20μmとなるよ
うに吹き付け塗装した後、該塗料を80℃で60分間乾燥さ
せた。これにより、PP板表面に、プライマー層、およ
び共重合体層(トップコート)が積層された紫外線吸収
性加工製品としてのPP板を得た。上記PP板とプライ
マー層との密着性、および、プライマー層と共重合体層
との密着性は極めて良好であった。
【0155】次に、実施例1と同様の操作を行い、耐候
試験を実施したところ、本参考例にかかるPP板は、一
般的に用いられている従来の樹脂塗料(例えば、ポリウ
レタン系塗料、アクリル樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗
料)を塗布・被覆したPP板と比較して、極めて優れた
耐候性を備えていることがわかった。また、本参考例に
かかるPP板は、長期間使用した場合においても、変退
色および光沢の低下を殆ど生じなかった。さらに、本参
考例にかかるPP板は、表面に共重合体層が形成されて
いないPP板と同等の耐衝撃性を備えていた。
【0156】
【表1】
【0157】〔参考例2〕温度計、ガス吹き込み管、滴
下ロート、還流冷却器および攪拌機を取り付けた内容積
0.5Lのセパラブルフラスコに、脱イオン水70.0部、乳
化剤(界面活性剤)としてのノニポール200(商品
名;三洋化成工業株式会社製、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル) 1.5部およびニューポールPE−
68(商品名;三洋化成工業株式会社製、ポリオキシエ
チレングリコール−ポリオキシプロピレングリコール−
ポリオキシエチレングリコール・トリブロック共重合
体) 0.3部を仕込んだ。その後、この溶液を窒素ガス気
流下で攪拌しながら、65℃に昇温した。
【0158】一方、上記の滴下ロートに、ベンゾトリア
ゾール(A) 5.0部、CHMA45.0部、アクリル酸 1.0
部、メチルメタクリレート14.0部、n-ブチルメタクリレ
ート25.0部および2-エチルヘキシルアクリレート10.0部
からなる単量体組成物(100部)と、上記ノニポール2
00(3.0 部)と、ニューポールPE−68(0.8 部)
とを脱イオン水25.0部に添加してなるプレエマルション
混合物を入れた。
【0159】次に、セパラブルフラスコ内の溶液を65℃
で攪拌しながら、該溶液に上記のプレエマルション混合
物を2時間かけて滴下した。また、該滴下操作が終了す
るまでの間に、上記の溶液に、レドックス系開始剤を構
成する 5.0%過硫酸アンモニウム水溶液 6.0部および5
%亜硫酸水素ナトリウム水溶液 3.0部を分割して10分間
毎に添加した。
【0160】滴下終了後、反応液を窒素ガス気流下で攪
拌しながら、65℃で1時間熟成した。そして、重合反応
終了後、該反応液を冷却し、次いで、25%アンモニア水
0.5部を添加して中和した。これにより、乳化重合体溶
液、つまり、水分散液を得た。この水分散液の不揮発分
は50%であり、粘度は1500 cpsであった。
【0161】次に、上記の水分散液を用いて、共重合体
層となるべき塗料を調製した。即ち、上記の水分散液 1
50.0部に、脱イオン水15.0部、消泡剤であるノプコ80
34(商品名;サンノプコ株式会社製) 0.3部、成膜助
剤であるCS−12(商品名;チッソ株式会社製)10.0
部、および、粘性調節剤である5%アデカノールUH−
420(商品名;旭電化工業株式会社製) 1.0部を混合
することにより、共重合体層となるべき塗料(176.3
部)を調製した。
【0162】次いで、上記の塗料(塗料用組成物)を用
いて紫外線吸収性加工製品を作成した。即ち、先ず、基
材としての耐衝撃性(HI)ポリスチレン板(H865
2;旭化成工業株式会社製)に、プライマーであるアク
リル樹脂(アロセット5210;株式会社日本触媒製)
を膜厚が3μmとなるようにスプレー塗装した後、該ア
クリル樹脂を60℃で10分間乾燥させた。次に、該アクリ
ル樹脂層上に、上記の塗料を膜厚が10μmとなるように
塗布した後、該塗料を60℃で30分間乾燥させた。これに
より、ポリスチレン板表面に、アクリル樹脂層、および
共重合体層が積層された紫外線吸収性加工製品としての
ポリスチレン板を得た。
【0163】次に、実施例1と同様の操作を行い、耐候
試験を実施したところ、本参考例にかかるポリスチレン
板は、汎用のアクリル系エマルションを上記と同様の条
件・方法にて塗布したポリスチレン板と比較して、極め
て優れた耐候性を備えていることがわかった。また、本
参考例にかかるポリスチレン板は、長期間使用した場合
においても、変退色および光沢の低下を殆ど生じなかっ
た。
【0164】〔参考例3〕温度計、ガス吹き込み管、滴
下ロート、還流冷却器および攪拌機を取り付けた4ツ口
フラスコに、トルエン 100.0部を仕込んだ。その後、こ
のトルエンを窒素ガス気流下で攪拌しながら、80℃に昇
温した。
【0165】一方、上記の滴下ロートに、ベンゾトリア
ゾール(A) 5.0部、CHMA45.0部、メタクリル酸
1.0部、メチルメタクリレート14.0部、n-ブチルメタク
リレート25.0部および2-エチルヘキシルアクリレート1
0.0部からなる単量体組成物(100 部)と、重合開始剤
としてのt-ブチルパーオキシ-2- エチルヘキサノエート
0.2部とからなる混合物を入れた。
【0166】次に、フラスコ内の溶液を80℃で攪拌しな
がら、該溶液に上記の混合物を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、反応液を窒素ガス気流下で攪拌しながら、
80℃で6時間保持した。そして、重合反応終了後、該反
応液を冷却した。これにより、反応生成物である共重合
体溶液を得た。この共重合体溶液の不揮発分は49.8%で
あった。また、共重合体の数平均分子量(Mn)は18,0
00であり、所定の方法によって換算されたガラス転移温
度(Tg)は55℃であった。続いて、得られた共重合体
溶液に、所定の粘度となるまでシンナーを添加して希釈
することにより、共重合体層となるべき塗料(紫外線吸
収性ラッカー組成物)を得た。
【0167】次いで、上記の塗料を用いて紫外線吸収性
加工製品を作成した。即ち、先ず、基材としてのヒノキ
材に、上記の塗料を乾燥後の膜厚が25μmとなるように
刷毛塗りした後、該塗料を室温で7日間乾燥させた。こ
れにより、表面に共重合体層を有する紫外線吸収性加工
製品としてのヒノキ材を得た。
【0168】次に、実施例1と同様の操作を行い、耐候
試験を実施したところ、本参考例にかかるヒノキ材は、
汎用のアクリル系塗料を上記と同様の条件・方法にて塗
布したヒノキ材と比較して、極めて優れた耐候性を備え
ていることがわかった。また、本参考例にかかるヒノキ
材は、長期間使用した場合においても、変退色および光
沢の低下を殆ど生じなかった。
【0169】〔実施例3〕先ず、実施例1と同様の反応
および操作を行い、共重合体層となるべき塗料を得た。
次に、この塗料を、Tダイ法を用いて所定の条件にて押
出成形することにより、厚さ20μmのフィルムとした。
上記塗料の押出成形性は極めて良好であった。
【0170】続いて、このフィルムに、溶液型の共重合
ポリエステル系接着剤(バイロン50AS;東洋紡株式
会社製)とイソシアナート系架橋剤(コロネートHL;
日本ポリウレタン工業株式会社製)とを重量比 100:3
の割合で混合してなる混合液を、膜厚が8μmとなるよ
うに塗布した後、該混合液を60℃〜80℃で乾燥させて溶
剤を除去した。これにより、表面に接着剤層を有するフ
ィルムを得た。
【0171】このフィルムを、基材としてのPET板
(日本テストパネル株式会社製)に貼着し、80℃で30分
間放置した。これにより、PET板表面に、共重合体層
としての上記フィルムが貼着された紫外線吸収性加工製
品としてのPET板を得た。上記PET板とフィルムと
の接着性は極めて良好であった。
【0172】次に、実施例1と同様の操作を行い、耐候
試験を実施したところ、本発明にかかるPET板は、表
面に共重合体層が貼着されていないPET板と比較し
て、極めて優れた耐候性を備えていることがわかった。
また、本発明にかかるPET板は、長期間使用した場合
においても、変退色および光沢の低下を殆ど生じなかっ
た。
【0173】
【発明の効果】本発明の紫外線吸収性加工製品は、以上
のように、前記一般式(1)で表される紫外線吸収性単
量体と、前記一般式(2)で表される不飽和単量体と、
前記一般式(3)で表される紫外線安定性単量体および
/または前記一般式(4)で表される紫外線安定性単量
体とを含む単量体組成物を共重合してなる共重合体層を
有する構成である。
【0174】これにより、紫外線吸収能を有し、長期耐
候性に優れると共に、光沢や耐水性、耐溶剤性等に優れ
た共重合体層を有する紫外線吸収性加工製品を提供する
ことができるという効果を奏する。
【0175】また、本発明の紫外線吸収性加工製品の製
造方法は、以上のように、型の成形面に、上記の単量体
組成物を共重合してなる共重合体層を形成した後、上記
型にて加工製品となるべき基材を成形すると共に、基材
側に該共重合体層を転写する方法である。
【0176】これにより、上記の性能を有し、かつ、表
面が平滑な共重合体層を有する紫外線吸収性加工製品を
容易に製造することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる紫外線吸収性加工製品を製造す
る方法の一例を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる紫外線吸収性加工製品を製造す
る方法の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる紫外線吸収性加工製品を製造す
る方法のさらに他の例を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる紫外線吸収性加工製品を製造す
る方法のさらに他の例を示す断面図であり、(a)は、
型に離型剤を塗布した状態を示す断面図であり、(b)
は、共重合体層を形成した状態を示す断面図であり、
(c)は、ゲルコート層を積層した状態を示す断面図で
あり、(d)は、基材を積層した状態を示す断面図であ
り、(e)は、紫外線吸収性加工製品を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 基材 2 接着剤層 3 化粧層 4 共重合体層 5 フィルム 6 保護層 7 共重合体層 8 ゲルコート層 9 基材 10 型 11 離型剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09D 133/06 C09D 133/06 133/14 133/14 133/24 133/24 C09K 3/00 104 C09K 3/00 104B 104C (72)発明者 ▲吉▼田 雅也 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (72)発明者 中▲崎▼ 三男 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会 社日本触媒内 (56)参考文献 特開 平7−291845(JP,A) 特開 平8−151415(JP,A) 特開 平9−3134(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 27/18 - 27/30 C08F 220/10 - 220/40 C09D 133/00 - 133/26 C09K 3/00 104 CA(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1 は水素原子または炭素数1〜8の炭化水素
    基を表し、R2 は炭素数1〜6の直鎖状または枝分れ鎖
    状のアルキレン基を表し、R3 は水素原子またはメチル
    基を表し、Xは水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜8の
    炭化水素基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基ま
    たはニトロ基を表す)で表される紫外線吸収性単量体
    と、一般式(2) 【化2】 (式中、R10は水素原子または炭素数1〜2の炭化水素
    基を表し、Zは置換基を有していてもよいシクロアルキ
    ル基を表す)で表される不飽和単量体と、一般式(3) 【化3】 (式中、R6 は水素原子またはシアノ基を表し、R7
    8 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の
    炭化水素基を表し、R9 は水素原子または炭素数1〜18
    の炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表
    す)で表される紫外線安定性単量体および/または一般
    式(4) 【化4】 (式中、R6 は水素原子またはシアノ基を表し、R7
    8 はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜2の
    炭化水素基を表し、Yは酸素原子またはイミノ基を表
    す)で表される紫外線安定性単量体とを含む単量体組成
    物を共重合してなる共重合体層を有することを特徴とす
    る紫外線吸収性加工製品。
  2. 【請求項2】型の成形面に、上記請求項1記載の単量体
    組成物を共重合してなる共重合体層を形成した後、上記
    型にて加工製品となるべき基材を成形すると共に、基材
    側に該共重合体層を転写することを特徴とする紫外線吸
    収性加工製品の製造方法。
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