JP3548647B2 - 天井板押え金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、天井板の浮き上がりを防止するための天井板押え金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図6および図7に示すように、天井枠40,41を格子状に組み、各格子空間に天井板42を配置してなる天井構造がある。
天井枠40,41は逆T字状の部材であって、天井板42は外周を天井枠40,41の下フランジ43に載置して設けられている。
【0003】
しかし、窓やドアの開閉時の風圧や、空調機からの吹き込み、排煙機の動作、地震等の振動により、天井板42が浮き上がり、衝撃音や天井板42の損傷といった問題があった。
そこで、図8に示すような天井板押え金具50によって、天井板42を押圧している。天井板押え金具50は、亜鉛鋼板製のハット形の部材であって、両側面に一対の爪51,52を備えている。そして、図9に示すように、天井板押え金具50を天井枠41に跨げ、爪51,52を天井枠41の上端の膨出部46の下面の係止部45に係止し、両側の脚片53,54にて天井板42,42を押圧する。
【0004】
また、図10に示すような弾性を有したステンレス製の天井板押え金具60もある。この天井板押え金具60は、両側面に一対の爪61,62を備え、両側の脚片63,64が外向きに湾曲している。そして、図11に示すように、天井板押え金具60を天井枠41に跨げ、爪61,62を天井枠41の係止部45に係止し、両側の脚片63,64にて天井板42,42を押圧する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図8に示した天井板押え金具50では、天井板42の厚みが変わると、それに応じた高さの天井板押え金具50に取り替える必要が生じ、各種厚みの天井板42に合わせて複数種の天井板押え金具50をあらかじめ準備しておかなければならず、部品の種類数が多くなるという問題があった。
【0006】
また、図10に示した天井板押え金具60では、図12に示すように、厚手の天井板44の場合、天井板押え金具60が外方に広がって天井板44を押圧するので、厚みの異なる天井板42,44でも一種類の天井板押え金具60にて押圧することができる。しかし、厚手の天井板44の場合、天井板押え金具60が外向きに広がることにより、爪61,62が水平姿勢に近くなり、係止部45との係止が不安定になり、天井板44の押圧力が低下するという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、天井板の厚みが異なっても同等の押圧力で押圧することができる天井板押え金具を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の天井押え金具は、上端に膨出部を有した逆T字状の天井枠を跨ぎ、前記天井枠の下フランジに載置した天井板を押圧する金具であって、ウェブと、このウェブの両側から垂下してなる前記膨出部に外嵌可能な幅寸法に形成された上部垂直片と上部垂直片より下方内向きに傾斜して延設された下部略垂直片とを有した一対のフランジと、を備えた逆U字状部と、前記一対のフランジの下端から斜め下向き外方に延設し前記天井板を押圧する一対の脚部とからなり、前記各フランジの上部垂直片にそれぞれ切欠部を前記フランジの上部垂直片と下部略垂直片の屈曲部に沿って形成し、各切欠部においてそれぞれ先端が前記膨出部の下面に係止する爪を前記下部略垂直片の上端から内向きに立ち上げ形成し、前記フランジの切欠部を除く断面積を、前記切欠部の下端位置で最小とするとともに、前記下部略垂直片は、押圧した天井板の厚みによって下部略垂直片の傾斜が変わることを特徴とするものである。
【0009】
請求項1記載の天井板押え金具によると、フランジは切欠部の下端位置で断面積が最小となり、最も強度が弱く変形し易くなる。したがって、厚手の天井板に対しては、切欠部の下端位置でフランジ下部略垂直片が外方に屈曲し、その結果脚部が左右に開いて天井板を押圧する。しかも、フランジ下部略垂直片が外方に屈曲しても、フランジ上部垂直片は垂直姿勢を保持するので、爪の係止状態は変化しない。
また、フランジ下部略垂直片を内向きに傾斜させたので、薄手の天井板と厚手の天井板の中間の厚さの天井板に対し、フランジ下部略垂直片が垂直姿勢となり、最強の押圧力が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を図1ないし図5に基づいて説明する。図1,図2,図3は、それぞれ天井板押え金具10の斜視図,正面図,側面図を示している。天井板押え金具10は亜鉛鋼板製であって、ウェブ12の両側から一対のフランジ13,14を垂下してなる逆U字状部11と、一対のフランジ13,14の下端から斜め下向き外方に延設した脚部15,16とからなる。逆U字状部11の幅寸法は、天井枠41の膨出部46(図7参照)の幅寸法より若干大きく形成されている。また、各フランジ13,14は、上部の垂直片13a,14aと、下部の若干内向きに折曲した略垂直片13b,14bとから形成されており、脚部15,16の先端には水平片17,18が延設されている。
【0012】
また、各フランジ13,14には、切欠部19,20が形成されている。各切欠部19,20は、垂直片13a,14aと略垂直片13b,14bの境の屈曲部23,24にて最大の幅寸法となる台形状に形成されている。さらに、切欠部19,20には爪21,22が切り起こし形成されている。爪21,22は、略垂直片13b,14bの上端から若干内向きに立ち上げ形成されている。
【0013】
図3に示すように、屈曲部23,24における切欠部19,20を除くフランジ13,14の幅寸法は2aとなり、他の部位における同寸法(例えば、切欠部19,20の上端では2b)と比較して最低となり、屈曲部23,24にてフランジ13,14の強度が最も弱く、変形し易くなっている。
また、最も厚みの薄い天井板を押圧することができるように、天井枠の下フランジから脚部15,16の先端の水平片17,18までの高さ寸法が、最も厚みの薄い天井板の厚み以下となるように設定しておく。また、最も厚手の天井板を押圧することができるように、天井枠の下フランジから屈曲部25,26までの高さ寸法が、最も厚手の天井板の厚み以上となるように設定しておく。
【0014】
さらに、フランジ13,14と脚部15,16の境の屈曲部25,26は、天井枠41に円滑に外嵌することができるようにR状に形成されている。
図4に、天井板押え金具10の施工状態を示す。この施工状態は、最も厚みの薄い天井板42を押圧する例である。天井板押え金具10の逆U字状部11を天井枠41の上端の膨出部46に外嵌し、爪21,22を膨出部46の下面の係止部45に係止する。また、両脚部15,16の先端の水平片17,18にて、脚部15,16の弾性を利用して天井板42,42を押圧する。
【0015】
また、図5に示すように、最も厚手の天井板44の場合、天井板押え金具10は、フランジ13,14の最も強度が弱く変形し易い屈曲部23,24から略垂直片13b,14bが若干外向きとなるように屈曲する。これにより、脚部15,16が左右に開き、脚部15,16の弾性を利用して天井板44を押圧する。なお、屈曲部23,24より上部の垂直片13a,14aは垂直姿勢で保持され、その結果爪21,22も略垂直姿勢に保持された状態で係止部45に係止し、係止力に変化はない。
【0016】
このように構成された天井板押え金具10によると、図4の薄手の天井板42はもちろんのこと、図5の厚手の天井板44であっても、略垂直片13b,14bが外方に屈曲し脚部15,16が左右に開いて天井板44を押圧する。このように、一種類の天井板押え金具10にて、各種厚みの天井板42,44を押圧することができ、部材の共通化が図れる。
【0017】
また、図5のように、厚手の天井板44を押圧するときには、最も変形し易い屈曲部23,24にて略垂直片13b,14bが外向きに屈曲し、屈曲部23,24より上部の垂直片13a,14aは垂直姿勢を保持する。よって、略垂直片13b,14bの外方への屈曲により爪21,22が内向きに回転する力を受けても、垂直片13a,14aが外方に広がらないので、爪21,22は略垂直姿勢を保持し、係止部45との係止力が変化しない。よって、図4のような薄手の天井板42であっても、図5のような厚手の天井板44であっても、同等の押圧力で安定して押圧できる。
【0018】
さらに、フランジ下部の略垂直片13b,14bを内向きに傾斜させたので、薄手の天井板42と厚手の天井板44の中間の厚さの天井板に対し、略垂直片13b,14bが垂直姿勢となり、最強の押圧力が得られる。この結果、薄手の天井板42に対しても、厚手の天井板44に対しても、押圧力が偏らず、理想的な天井板押え金具10を得ることができる。
【0019】
なお、切欠部19,20の形状は、台形に限るものではなく、三角形などの下端が最大幅となる形状であればよい。あるいは、切欠部19,20は方形であって、当該切欠部19,20の下端位置でフランジ13,14の断面積が最小となるように、フランジ13,14の両側を切欠いたものでもよい。
【0020】
また、左右の脚部15,16にて押圧する天井板の厚みが異なる場合でも適用できる。すなわち、左右の天井板の厚みが異なっても、脚部15,16はそれぞれの押圧する天井板の厚みに応じて屈曲部23,24が屈曲し、爪21,22の係止力が低下することなく確実に天井板を押圧できる。また、天井板押え金具10の取付けに際しても、左右の脚部15,16が別々に開いて対応するので、天井板押え金具10が傾くようなこともなく、施工性も優れる。
【0021】
【発明の効果】
請求項1記載の天井板押え金具によると、フランジは切欠部の下端位置で断面積が最小となり、最も強度が弱く変形し易くなる。したがって、厚手の天井板に対しては、切欠部の下端位置でフランジ下部略垂直片が外方に屈曲し、その結果脚部が左右に開いて天井板を押圧する。このように、一種類の天井板押え金具にて各種厚みの異なる天井板を押圧することができ、部材の共通化が図れる。しかも、フランジ下部略垂直片が外方に屈曲しても、フランジ上部垂直片は垂直姿勢を保持するので、爪の係止状態は変化せず、天井板の厚みが異なっても同等の押圧力で押圧することができるという効果が得られる。
また、フランジ下部略垂直片を内向きに傾斜させたので、薄手の天井板と厚手の天井板の中間の厚さの天井板に対し、フランジ下部略垂直片が垂直姿勢となり、最強の押圧力が得られる。これにより、薄手の天井板に対しても、厚手の天井板に対しても、押圧力が偏らず、理想的な天井板押え金具を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態における天井板押え金具の斜視図である。
【図2】この発明の一実施の形態における天井板押え金具の正面図である。
【図3】この発明の一実施の形態における天井板押え金具の側面図である。
【図4】この発明の一実施の形態における天井板押え金具の薄手の天井板に対する施工状態の断面図である。
【図5】この発明の一実施の形態における天井板押え金具の厚手の天井板に対する施工状態の他の例の断面図である。
【図6】天井の見上げ図である。
【図7】図6のVII −VII 断面図である。
【図8】従来例の天井板押え金具の斜視図である。
【図9】従来例の天井板押え金具の施工状態の断面図である。
【図10】他の従来例の天井板押え金具の斜視図である。
【図11】他の従来例の天井板押え金具の薄手の天井板に対する施工状態の断面図である。
【図12】他の従来例の天井板押え金具の厚手の天井板に対する施工状態の断面図である。
【符号の説明】
10 天井板押え金具
11 逆U字状部
12 ウェブ
13,14 フランジ
15,16 脚部
19,20 切欠部
21,22 爪
41 天井枠
42,44 天井板
43 下フランジ
45 係止部
46 膨出部
Claims (1)
- 上端に膨出部を有した逆T字状の天井枠を跨ぎ、前記天井枠の下フランジに載置した天井板を押圧する金具であって、
ウェブと、このウェブの両側から垂下してなる前記膨出部に外嵌可能な幅寸法に形成された上部垂直片と上部垂直片より下方内向きに傾斜して延設された下部略垂直片とを有した一対のフランジと、を備えた逆U字状部と、
前記一対のフランジの下端から斜め下向き外方に延設し前記天井板を押圧する一対の脚部とからなり、
前記各フランジの上部垂直片にそれぞれ切欠部を前記フランジの上部垂直片と下部略垂直片の屈曲部に沿って形成し、各切欠部においてそれぞれ先端が前記膨出部の下面に係止する爪を前記下部略垂直片の上端から内向きに立ち上げ形成し、
前記フランジの切欠部を除く断面積を、前記切欠部の下端位置で最小とするとともに、前記下部略垂直片は、押圧した天井板の厚みによって下部略垂直片の傾斜が変わることを特徴とする天井板押え金具。
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-
1996
- 1996-01-08 JP JP00064396A patent/JP3548647B2/ja not_active Expired - Lifetime
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