JP3547996B2 - 車両のエネルギ回生ブレーキ装置 - Google Patents

車両のエネルギ回生ブレーキ装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の減速時に運動エネルギを回収して、駆動エネルギとして利用する車両のエネルギ回生ブレーキ装置に関し、特に、運動エネルギの回収率を高めて運動エネルギの有効利用を促進する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のエネルギ回生ブレーキ装置としては、例えば、特開平2−117432号公報及び特開平6−56008号公報等に開示された装置が知られている。
これらの装置は、車輪駆動系に電磁クラッチを介してポンプモータを接続し、このポンプモータの一方のポートを高圧側のアキュムレータに接続すると共に、他方のポートを低圧側のオイルタンク(加圧式)に接続している。そして、車両の減速時にはポンプモータを車輪駆動系に接続してポンプとして作動させることにより、ポンプモータを負荷として車輪駆動系を制動すると共に、アキュムレータに高圧オイルを蓄圧することで車両の運動エネルギを回収する。このようにして、アキュムレータに蓄圧された高圧オイルは、例えば、車両の発進時等にポンプモータを車輪駆動系に接続してモータとして作用させるエネルギ源となり、車輪駆動系の駆動エネルギとして利用する。
【0003】
さらに、前者の従来装置では、車両の運動エネルギをできるだけ多く回収することを目的として、排気ブレーキ等の作動時にはエンジンクラッチを断とすることでエンジンと駆動輪とを切り離し、排気ブレーキの相当トルクを回収するようにしていた。
しかしながら、従来のエネルギ回生ブレーキ装置では、排気ブレーキ作動時に排気ブレーキの相当トルクを回収するために、毎回エンジンクラッチを断とする必要があり、このエンジンクラッチの断続に起因してトルク変動が発生し、乗り心地が低下するおそれがあった。
【0004】
そこで、本出願人は、先に、特願平8−155578号(特開平10−958号公報参照)に、排気ブレーキの作動条件成立時に、エンジンクラッチを断とすることなく排気ブレーキの相当トルクを回収することができるエネルギ回生ブレーキ装置を提案した。
具体的には、排気ブレーキの作動条件が成立したと判断され、かつ、蓄圧が可能であると判断されたときに、排気ブレーキの作動を中断して、エンジンと駆動輪とを毎回切り離さなくとも、車両の運動エネルギの回収率が向上できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術では、排気ブレーキ相当の回生ブレーキ作動中に、運転者がブレーキペダルを併用すると、フル蓄圧等で回生ブレーキから排気ブレーキ及びサービスブレーキ(通常ブレーキ)への変化が生じて制動力が変化するおそれがあり、ブレーキフィーリングや車体姿勢に影響が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、排気ブレーキ相当の回生ブレーキ作動中に、運転者がブレーキペダルを併用しているときでも、フル蓄圧等で回生ブレーキから排気ブレーキ及びサービスブレーキへの変化が生じた場合の制動力変化をなくして、ブレーキフィーリングや車体姿勢に影響が生じず、安全性と省エネルギ効果とを両立可能な車両のエネルギ回生ブレーキ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の発明は、機関の排気通路に介装された絞り弁によって機関の内部抵抗を増大して減速を行う排気ブレーキを備えると共に、車両の制動時に車輪駆動系の回転力によってポンプモータを駆動し、低圧側オイルタンク内の作動流体を高圧側アキュムレータに圧送して蓄圧することで車両の運動エネルギを回収するエネルギ回生ブレーキ装置において、
前記高圧側アキュムレータへの作動流体の蓄圧が可能であるか否かを判断する蓄圧可能判断手段と、
前記排気ブレーキ作動・非作動を選択切換する排気ブレーキ切換手段と、
前記排気ブレーキの作動条件が成立したか否かを判断する排気ブレーキ作動条件判断手段と、
サービスブレーキの作動指令の有無を判定するサービスブレーキ判定手段と、前記蓄圧可能判断手段により蓄圧可能であると判断された際に、排気ブレーキ切換手段、排気ブレーキ作動条件判断手段及びサービスブレーキ判定手段から夫々出力される信号に基づいて、排気ブレーキ作動選択、排気ブレーキ作動条件成立及びサービスブレーキの作動指令有のときに、サービスブレーキ制動力と排気ブレーキ制動力に相当する制動力の回生ブレーキモードとし、排気ブレーキ作動選択、排気ブレーキ作動条件成立及びサービスブレーキの作動指令無のときに、排気ブレーキ制動力に相当する制動力の回生ブレーキモードとし、排気ブレーキ非作動選択と排気ブレーキ非作動条件のいずれかで、サービスブレーキの作動指令有のときに、サービスブレーキ制動力に相当する制動力の回生ブレーキモードとする回生ブレーキ制御手段と、
を含んで構成されたことを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、蓄圧可能であると判断された際に、排気ブレーキ作動選択の有無、排気ブレーキ作動条件成立の有無、サービスブレーキの作動指令の有無に応じて、所定の回生ブレーキモードに切り換わるため、車両の運動エネルギの回収率が向上され、最大限にエネルギ回生が行える。
そして、特に、排気ブレーキ作動条件成立時にサービスブレーキの指令の有無を判定して、サービスブレーキの指令があった場合に、サービスブレーキ制動力と排気ブレーキ制動力に相当する制動力の回生ブレーキモードとしたから、排気ブレーキ相当の回生ブレーキ作動中に、運転者がブレーキペダルを併用しても、フル蓄圧等で回生ブレーキから排気ブレーキ及びサービスブレーキ(通常ブレーキ)への変化が生じた場合、制動力が変化することがなく、ブレーキフィーリングや車体姿勢に影響が生じることがなく、安全性の向上も図ることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記作動条件判断手段は、アクセル開度を検出する開度検出手段と、機関回転速度を検出する回転速度検出手段と、を含んで構成され、アクセル開度が0であり、かつ、機関回転速度が所定のアイドル回転速度以上のときに前記排気ブレーキの作動条件が成立したと判断するようにした。
このようにすれば、開度検出手段により検出されるアクセル開度が0、かつ、回転速度検出手段により検出される機関回転速度が所定のアイドル回転速度以上のときに、作動条件判断手段は排気ブレーキの作動条件が成立したと判断するので、排気ブレーキの作動が必要な条件が検出される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
図1は、本発明に係るエネルギ回生ブレーキ装置の一実施形態を示すシステム図である。
エンジン1の回転を所定回転速度に変速するトランスミッション2の出力軸3には、ディファレンシャルギヤ4を介して駆動輪となる後輪5と、マイクロコンピュータを内蔵するコントロールユニット6により断続制御される減速機7を介してポンプモータ8が連結されている。このポンプモータ8には、コントロールユニット6により切換制御される回路弁9を介して、高圧アキュムレータ10及び加圧式オイルタンク11が夫々接続されている。
【0011】
また、エンジン1の排気通路1aの開口面積を減少させることで、エンジン1の内部抵抗を増大してブレーキ効果を奏する排気ブレーキ12が設けられている。即ち、排気ブレーキ12は、排気通路1aに介装された絞り弁13を、制御回路14を介してコントロールユニット6により駆動制御される電磁ソレノイド15(電気的手段)により開閉動作させることで、排気通路1aの開口面積に応じてブレーキ効果が奏されるものである。
【0012】
かかる構成のエネルギ回生ブレーキ装置の制御を決定する基礎となる各種状態を検出するセンサとしては、回生されたエネルギの量を高圧アキュムレータ10のピストン100の位置として検出する蓄圧レベルセンサ16、アクセルの開度θを検出する開度センサ17(開度検出手段、スロットル開度を検出するスロットルセンサでもよい)、エンジンの回転速度Ne を検出する回転速度センサ18(回転速度検出手段)、ブレーキバルブ出力(ブレーキペダル踏込量)を検出するブレーキ圧センサ19等が配設されており、これらの信号がコントロールユニット6に入力されている。
【0013】
次に、前記制御回路14の機能を具備する回路の実施例を図2に示し説明する。なお、前記コントロールユニット6は、エンジン制御を行うエンジンコントロールユニット6Aと、エネルギ回生ブレーキ装置の制御を行うエネルギ回生ブレーキ装置コントロールユニット(以下「エネルギ回生コントロールユニット」と略記する)6Bとを含んで構成されており、前記蓄圧レベルセンサ16からの信号はエネルギ回生コントロールユニット6Bに、開度センサ17及び回転速度センサ18からの信号はエンジンコントロールユニット6Aに、夫々入力されている。
【0014】
バッテリから供給される電圧Vは、排気ブレーキ12の作動を許可する排気ブレーキリレー20と、排気ブレーキ12の動作スイッチであるコンビネーションスイッチ21と、排気ブレーキの作動を一時的に中断させるカットリレー22(作動中断手段)と、を介して作動時に排気通路1aの開口面積を減少させるべく絞り弁13を駆動する電磁ソレノイド15に供給される。
【0015】
この排気ブレーキリレー20は、後述するようにアクセル開度θが0であり、かつ、エンジン回転速度Ne がアイドル回転速度以上のときに、エンジンコントロールユニット6Aからの駆動信号によって作動し、作動時には通電状態(ON)となるものである。さらに、排気ブレーキリレー20の駆動部には、クラッチの非作動時(クラッチペダルを踏まずクラッチが接続された状態)のときに通電状態(ON)となり、クラッチの作動時に非通電状態(OFF)となるクラッチスイッチ23が直列に介装されている。即ち、排気ブレーキリレー20は、アクセル開度θが0、エンジン回転速度Ne がアイドル回転速度以上、かつ、クラッチが非作動状態のときに、通電状態(ON)となる。
【0016】
コンビネーションスイッチ21は、運転席に設置されている排気ブレーキ12を作動させるハンドレバー等のスイッチ(排気ブレーキスイッチ)を操作すると通電状態(ON)となるものであり、また、カットリレー22は、後述するブレーキリレー24によって作動するものであって、非作動時には電磁ソレノイド15を作動状態にし、作動時には電磁ソレノイド15を非作動状態、即ち、その作動を一時的に中断させるものである。
【0017】
また、排気ブレーキリレー20及びコンビネーションスイッチ21を介して供給される電圧は、カットリレー22と並列に、排気ブレーキ12の作動条件が成立したことを検出する排気ブレーキリクエストリレー25の駆動部に供給され、この排気ブレーキリクエストリレー25の通電状態(ON/OFF)がエネルギ回生コントロールユニット6Bに入力される。即ち、エネルギ回生コントロールユニット6Bは、排気ブレーキリクエストリレー25からの信号を監視することで、排気ブレーキ12の作動条件が成立したか否かを判断できることになる。
【0018】
なお、ブレーキリレー24は、エネルギ回生コントロールユニット6Bによりその駆動制御がなされるものであり、作動時(ON)にはカットリレー22を作動させて電磁ソレノイド15を非作動状態にすると共に、サービスブレーキ弁26を作動状態にし、車両の運動エネルギをモータポンプ8によって有効に回収するものである。
【0019】
一方、図3は、サービスブレーキの系統図である。
即ち、この図において、ブレーキペダル31の踏み込み操作に連動する主ブレーキバルブ32は、ブレーキペダル31の踏み込み角度等の踏み込み量に応じてエアリザーバ34,35からのエアを制御してプライマリ回路38及びセカンダリ回路39に夫々エアを供給する。主ブレーキバルブ32は、ブレーキペダル31の踏み込み角度が所定値に達するまでは、プライマリ回路38及びセカンダリ回路39にエアを出力しない不作動域を有する。ここで、プライマリ回路38及びセカンダリ回路39が主ブレーキ回路を構成する。
【0020】
前記プライマリ回路38及びセカンダリ回路39には、夫々圧力比例弁40,41が介装されている。
プライマリ回路38の圧力比例弁40の上流側から分岐した回路42には、開閉弁として常開の電磁弁43が設けられ、プライマリ回路38からのエア圧は電磁弁43を介してリレーバルブ44の信号圧ポートに供給される。尚、電磁弁43は、ブレーキ圧センサ45からの検出値に基づいてエネルギ回生コントロールユニットにより回生装置46と共に駆動される。
【0021】
リレーバルブ44は、エアリザーバ35からのエアを、セカンダリ回路39と後輪ブレーキ回路47との間に設けられるダブルチェックバルブ48のポートに供給する。
そして、ダブルチェックバルブ48は、リレーバルブ44のエア圧とセカンダリ回路39側のエア圧のうち高圧側を選択して後輪ブレーキ回路47に供給する。
【0022】
一方、前記電磁弁43が介装された回路42の該電磁弁43下流側から分岐した回路49はクイックリリースバルブ50を介して、ダブルチェックバルブ51のポートに接続されており、ダブルチェックバルブ51は、クイックリリースバルブ50のエア圧とプライマリ回路38側のエア圧のうち高圧側を選択して前輪ブレーキ回路52に供給する。
【0023】
そして、前輪ブレーキ回路52及び後輪ブレーキ回路47は、夫々ブースタ53,54を駆動する。
次に、図4は、エネルギ回生コントロールユニット6Bによるエネルギ回生装置の制御内容を示すフローチャートであり、ステップ1(図では、S1と略記する。以下同様)においては、各種入力信号を読み込み、ステップ2においては、エンジンコントロールユニット6Aからの運転許可指令信号が出力されたか否かを判定し、運転許可指令信号が出力されなければ、ステップ3に進んで、エネルギ回生装置停止モードに制御して、ポンプモータ8を中立に制御する。
【0024】
運転許可指令信号が出力されれば、ステップ4に進んで、排気ブレーキ指令があるか否かが判定され、あれば、ステップ5に進み、なければ、ステップ6に進む。
ステップ5では、図3のブレーキペダル31が踏み込まれたか否かを判定し、踏み込まれなければ、ステップ7に進み、踏み込まれれば、ステップ6に進む。
【0025】
ステップ6においては、エネルギ回生装置をエネルギ回収モードに制御する。ステップ7においては、アクセルペダルが踏み込まれたか否かを判定し、踏み込まれなければ、ステップ1に戻り、踏み込まれれば、ステップ8に進む。
このステップ8においては、エネルギ回生装置をエネルギ放出モードに制御する。
【0026】
上記ステップ28においては、アクセル開度信号に比例したポンプモータ8の油圧モータ制御信号をエネルギ回生コントロールユニット6Bに出力して、該コントロールユニット6Bによりポンプモータ8の油圧モータを制御する。
次に、図4のフローチャートのステップ6におけるエネルギ回収モードの制御内容を図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0027】
ステップ11では、排気ブレーキスイッチがONとなっているか否かが判定され、ONであれば、ステップ12に、OFFであれば、ステップ13に進む。
ステップ12では、排気ブレーキリクエストリレー25からの信号に基づいて排気ブレーキ12の作動条件が成立しているか否かを判断する。具体的には、クラッチスイッチ23がON(クラッチ接続)、開度センサ17によって検出されるアクセル開度θが0、かつ、回転速度センサ18によって検出されるエンジン回転速度Ne がアイドル回転速度以上のときに、排気ブレーキリクエストリレー25からの信号がONとなるので、この信号がONのときには排気ブレーキ12の作動条件が成立、OFFのときには排気ブレーキ12の作動条件が不成立と判断する。そして、作動条件が成立したときにはステップ15へと進み、作動条件が不成立のときには、ステップ13に進む。
【0028】
ステップ15では、サービスブレーキ指令があったか否かが判定され、サービスブレーキ指令があれば、ステップ16に進み、なければ、ステップ17に進む。
ステップ16では、サービスブレーキの制動力と排気ブレーキ12の制動力とを加えたものに相当する制動力の回生ブレーキ作動を実行する処理を行い、具体的には、ポンプモータ8がポンプとして働き高圧アキュムレータ10に運動エネルギを回収すべく回路弁9を切り換えると共に、後輪5の回転をポンプモータ8に伝達すべく減速機7を接続状態にする。このようにすれば、後輪5の回転が減速機7を介してポンプモータ8に伝達され、この回転によるトルクによりポンプモータ8が駆動されて、制動力を得ると共に運動エネルギの回収が行われる。
【0029】
又、ステップ17では、排気ブレーキ12の制動力に相当する制動力の回生ブレーキ作動を実行する処理を行う。
一方、ステップ13では、サービスブレーキ指令があったか否かが判定され、サービスブレーキ指令があれば、ステップ14に進み、なければ、ステップ11に戻る。
【0030】
ステップ14では、サービスブレーキの制動力に相当する制動力の相当の回生ブレーキ作動を実行する処理を行う。
ここで、図5のフローチャートのステップ16のサービスブレーキと排気ブレーキ相当の回生ブレーキ制動力(c)は、図5のフローチャートのステップ17の排気ブレーキ相当の回生ブレーキ制動力(b)と、図5のフローチャートのステップ14のサービスブレーキ相当の回生ブレーキ制動力(a)とを加算した制動力となるように、ポンプモータ8の斜軸(又は、斜板)の傾転角を制御する。
【0031】
サービスブレーキ操作時の回生ブレーキ制動力(a)は、図6(a)に示すように、サービスブレーキペダルの操作量(ブレーキ圧)によって決定される。
又、排気ブレーキ相当の回生ブレーキ制動力(b)は、図6(b)に示すように、車速とトランスミッションの変速比によって決定される。
ここで、図5のフローチャートのステップ16,17,14の回生ブレーキ作動モードにおいて、蓄圧可能な限り、ポンプモータ8を駆動して、その間、サービスブレーキの制動力を削減し、排気ブレーキ12は作動停止する。
【0032】
又、蓄圧可能条件が成立しない場合には、回生を中止し、サービスブレーキ及び排気ブレーキ12を回復させる(前記サービスブレーキの制動力削減、排気ブレーキ作動停止を夫々中止)。
かかる構成においては、蓄圧可能であると判断された際に、排気ブレーキ作動選択の有無、排気ブレーキ作動条件成立の有無、サービスブレーキの作動指令の有無に応じて、所定の回生ブレーキモードに切り換わるため、車両の運動エネルギの回収率が向上され、最大限にエネルギ回生が行える。
【0033】
そして、特に、排気ブレーキ作動条件成立時にサービスブレーキの指令の有無を判定して、サービスブレーキの指令があった場合に、サービスブレーキ制動力と排気ブレーキ制動力とを加えたものに相当する制動力の回生ブレーキモードとしたから、排気ブレーキ相当の回生ブレーキ作動中に、運転者がブレーキペダルを併用しても、フル蓄圧等で回生ブレーキから排気ブレーキ及びサービスブレーキ(通常ブレーキ)への変化が生じた場合、制動力が変化することがなく、ブレーキフィーリングや車体姿勢に影響が生じることがなく、安全性の向上も図ることができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、車両の運動エネルギの回収率が向上され、最大限にエネルギ回生が行えると共に、ブレーキフィーリングや車体姿勢に影響が生じることがなく、安全性の向上も図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、アクセル開度が0、かつ、機関回転速度が所定のアイドル回転速度以上のときに、排気ブレーキの作動条件が成立したと判断されるので、既存のセンサ類を有効に利用してコストアップを防ぎつつ、車両の定常走行等からブレーキを掛ける動作に移行する状態、即ち、アクセルペダルから足を離す状態を、高精度に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエネルギ回生ブレーキ装置の一実施形態を示すシステム図
【図2】同上の制御回路の一実施形態を示す回路図
【図3】サービスブレーキの系統図
【図4】同上の制御内容を示すフローチャート
【図5】同上の制御内容を示すフローチャート
【図6】(a)はサービスブレーキ操作時の回生ブレーキ制動力とサービスブレーキペダルの操作量(ブレーキ圧)との関係を示すマップ、(b)は排気ブレーキ相当の回生ブレーキ制動力と車速及び変速比との関係を示すマップ
【符号の説明】
1 エンジン
1a 排気通路
5 後輪
6 コントロールユニット
6A エンジンコントロールユニット
6B 回生ブレーキコントロールユニット
8 ポンプモータ
10 高圧アキュムレータ
11 加圧式オイルタンク
12 排気ブレーキ
13 絞り弁
15 電磁ソレノイド
16 蓄圧レベルセンサ
17 開度センサ
18 回転速度センサ
22 カットリレー
25 排気ブレーキリクエストリレー

Claims (2)

  1. 機関の排気通路に介装された絞り弁によって機関の内部抵抗を増大して減速を行う排気ブレーキを備えると共に、車両の制動時に車輪駆動系の回転力によってポンプモータを駆動し、低圧側オイルタンク内の作動流体を高圧側アキュムレータに圧送して蓄圧することで車両の運動エネルギを回収するエネルギ回生ブレーキ装置において、
    前記高圧側アキュムレータへの作動流体の蓄圧が可能であるか否かを判断する蓄圧可能判断手段と、
    前記排気ブレーキ作動・非作動を選択切換する排気ブレーキ切換手段と、
    前記排気ブレーキの作動条件が成立したか否かを判断する排気ブレーキ作動条件判断手段と、
    サービスブレーキの作動指令の有無を判定するサービスブレーキ判定手段と、前記蓄圧可能判断手段により蓄圧可能であると判断された際に、排気ブレーキ切換手段、排気ブレーキ作動条件判断手段及びサービスブレーキ判定手段から夫々出力される信号に基づいて、排気ブレーキ作動選択、排気ブレーキ作動条件成立及びサービスブレーキの作動指令有のときに、サービスブレーキ制動力と排気ブレーキ制動力に相当する制動力の回生ブレーキモードとし、排気ブレーキ作動選択、排気ブレーキ作動条件成立及びサービスブレーキの作動指令無のときに、排気ブレーキ制動力に相当する制動力の回生ブレーキモードとし、排気ブレーキ非作動選択と排気ブレーキ非作動条件のいずれかで、サービスブレーキの作動指令有のときに、サービスブレーキ制動力に相当する制動力の回生ブレーキモードとする回生ブレーキ制御手段と、
    を含んで構成されたことを特徴とする車両のエネルギ回生ブレーキ装置。
  2. 前記作動条件判断手段は、アクセル開度を検出する開度検出手段と、機関回転速度を検出する回転速度検出手段と、を含んで構成され、アクセル開度が0であり、かつ、機関回転速度が所定のアイドル回転速度以上のときに前記排気ブレーキの作動条件が成立したと判断することを特徴とする請求項1記載の車両のエネルギ回生ブレーキ装置。
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