JP2949396B2 - 車両のエネルギ回生ブレーキ装置 - Google Patents

車両のエネルギ回生ブレーキ装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の減速時に運動エ
ネルギを回収して、駆動エネルギとして利用する車両の
エネルギ回生ブレーキ装置に関し、特に、回生ブレーキ
からサービスブレーキへの切換え時の違和感を低減する
技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のエネルギ回生ブレーキ装
置としては、例えば、特開平2−117435号及び特
開平4−212845号公報等に開示された装置が知ら
れている。これらの装置は、車輪駆動系に電磁クラッチ
を介してポンプモータを接続し、このポンプモータの一
方のポートを高圧側のアキュムレータに接続すると共
に、他方のポートを低圧側のタンクに接続している。そ
して、車両の減速時にはポンプモータを車輪駆動系に接
続してポンプとして作動させることにより、ポンプモー
タを負荷として車輪駆動系を制動すると共に、アキュム
レータに高圧オイルを蓄圧することで車両の運動エネル
ギを回収する。このようにしてアキュムレータに蓄圧さ
れた高圧オイルは、例えば発進時等にポンプモータを車
輪駆動系に接続してモータとして作用させるエネルギ源
となり、車輪駆動系の駆動エネルギとして利用する。
【0003】更に、前者の従来装置では回生装置の蓄圧
状態に応じてブレーキペダルの踏込み量と車輪に発生す
るブレーキトルクが対応するように比例制御弁を電子的
に制御するよう構成されている。また、後者の従来装置
では、ブレーキペダルの踏込み量が所定値以下のサービ
スブレーキ(フットブレーキ)不作動領域で、回生ブレ
ーキを作動させると共に、この領域で回生ブレーキ解除
条件が成立した場合に、その時のブレーキペダル踏込み
量に応じたエア圧をブレーキ配管系に供給してサービス
ブレーキを作動させる構成である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記前
者の装置においては、電子的な制御手段によってのみサ
ービスブレーキを駆動する構成であるため、制御手段の
故障時のフェールセーフ性に問題がある。また、上記後
者の装置においては、制御手段の故障時に機械的にサー
ビスブレーキが作動する構成であり、フェールセーフ性
は確保されている。しかし、同一のブレーキペダル踏込
み量に対して、回生ブレーキ力とサービスブレーキ力と
が等しく設定されていないため、サービスブレーキ不作
動領域で回生ブレーキ解除条件が成立し、回生ブレーキ
からサービスブレーキへの切換え直後に、両者のブレー
キ力の不連続性によってショックや空走感等の違和感を
与えるという問題がある。
【0005】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、回生ブレーキからサービスブレーキへの切換え
時にショック又は空走感等の違和感を与えることのない
車両のエネルギ回生ブレーキ装置を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では、
ブレーキペダル操作時に回生ブレーキ作動条件が成立し
た時は、車輪駆動系の回転力によりポンプモータを駆動
して高圧オイルをアキュムレータに蓄圧してブレーキエ
ネルギを回収するエネルギ回生装置を備えた車両のエネ
ルギ回生ブレーキ装置であって、ブレーキペダルの所定
踏込み量までは作動しない不作動域を有する第1のブレ
ーキバルブを介してブレーキ圧力源からの圧力をサービ
スブレーキ装置に向けて出力する主ブレーキ回路と、前
記第1のブレーキバルブの不作動域でもブレーキペダル
に連動して作動する第2のブレーキバルブを介してブレ
ーキ圧力源からの圧力をサービスブレーキ装置に向けて
出力する補助ブレーキ回路とを備え、高出力側のブレー
キ回路を選択してサービスブレーキ装置に接続する構成
であり、前記第2のブレーキバルブの下流側に、前記回
生装置の作動時に閉弁駆動されて補助ブレーキ回路の出
力を停止する開閉弁が介装される構成のものにおいて、
前記アキュムレータの蓄圧レベルを検出する蓄圧レベル
検出手段と、前記ポンプモータの傾転角を前記蓄圧レベ
ル検出手段の検出値に反比例させて制御する制御手段と
を設ける一方、前記補助ブレーキ回路からの出力が同一
のブレーキペダル踏込み量において回生装置のブレーキ
力と等しくなるよう前記第2のブレーキバルブを介して
出力されるブレーキ圧力源からの圧力を所定割合で減圧
する減圧手段を、前記補助ブレーキ回路に介装する構成
とした。
【0007】
【作用】上記の構成において、ブレーキペダル操作時
は、主ブレーキ回路と補助ブレーキ回路の圧力の高い側
の出力がサービスブレーキ装置側に選択供給される。従
って、第1のブレーキバルブの不作動域では補助ブレー
キ回路側の圧力がサービスブレーキ装置側に供給され
る。この時に、回生装置の作動条件が成立すると、開閉
弁の閉弁動作で補助ブレーキ回路の出力は停止され回生
ブレーキが作動する。この回生ブレーキ作動時は、蓄圧
レベル検出手段で検出された蓄圧レベルに応じて制御手
段によりポンプモータの傾転角を制御してブレーキ力を
制御する。即ち、蓄圧レベルが高い場合には傾転角を小
さくし、蓄圧レベルが低い時は傾転角を大きくし、蓄圧
レベルの高低に関係なくブレーキ力が一定となるように
制御する。
【0008】その後、回生装置の作動条件が解除される
と、開閉弁の開弁により補助ブレーキ回路からの出力で
サービスブレーキ装置によるブレーキ力が発生する。補
助ブレーキ回路の出力は、前記第2のブレーキバルブを
介して出力されるブレーキ圧力源からの圧力を所定割合
で減圧手段で減圧され、同一のブレーキペダル踏込み量
において回生装置のブレーキ力と等しくなるよう設定さ
れているため、回生ブレーキから補助ブレーキ回路の出
力によるサービスブレーキに切り換わっても、直前の回
生ブレーキ力と等しいブレーキ力となる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
述する。図1は、本発明の車両のエネルギ回生ブレーキ
装置の配管図を示す。図1において、ブレーキペダル1
の踏込み操作に連動する第1のブレーキバルブとしての
主ブレーキバルブ2は、ブレーキペダル1の踏込み角度
θb等の踏込み量に応じてエアリザーバ14,15からのエ
アを制御してプライマリ回路18及びセカンダリ回路19に
それぞれエアを供給する。主ブレーキバルブ2は、ブレ
ーキペダル1の踏込み角度θbが所定の値θ1 に達する
まではプライマリ回路18及びセカンダリ回路19にエアを
出力しない不作動域を有する。ここで、前記プライマリ
回路18及びセカンダリ回路19が主ブレーキ回路を構成す
る。
【0010】同じくブレーキペダル1の踏込み操作に連
動する第2のブレーキバルブとしての補助ブレーキバル
ブ3は、ブレーキペダル1の踏込み角度θb等の踏込み
量に応じてエアリザーバ14からのエアを制御して補助ブ
レーキ回路11に供給する。補助ブレーキ回路11には、減
圧手段としてのリミティングアンドクイックリリースバ
ルブ(以下、LQRバルブとする)9及び開閉弁として
常開式の電磁弁7が設けられる。前記LQRバルブ9
は、補助ブレーキバルブ3を介して補助ブレーキ回路11
に供給されるエア圧を所定の割合で減圧し電磁弁7を介
してリレーバルブ8,8′の信号圧ポートに供給する。
前記電磁弁7は、補助ブレーキバルブ3を介して補助ブ
レーキ回路11に出力されるエア圧Pbを検出する圧力セ
ンサ6からの検出値に基づいてコントローラ10により回
生装置30と共に駆動される。
【0011】前記リレーバルブ8,8′は、エアエザー
バ14,15からのエアを、LQRバルブ9からの信号圧に
対応したエア圧に調整してダブルチェック弁4,5の一
方のポートにそれぞれ供給する。前記ダブルチェック弁
4,5の他方のポートは、プライマリ回路18及びセカン
ダリ回路19に接続されている。そして、ダブルチェック
弁4は、リレーバルブ8側のエア圧P3とプライマリ回
路18側のエア圧P1のうちの高圧側を選択して後輪ブレ
ーキ回路20へ供給し、ダブルチェック弁5は、リレーバ
ルブ8′のエア圧P3とセカンダリ回路19側のエア圧P
2のうちの高圧側を選択して前輪ブレーキ回路21へ供給
する。
【0012】ダブルチェック弁4に接続された後輪ブレ
ーキ回路20は、リレーバルブ22を介してブレーキチャン
バ24を駆動し、ダブルチェック弁5に接続された前輪ブ
レーキ回路21はクイックリリースバルブ23を介してブレ
ーキチャンバ25を駆動する。これらブレーキチャンバ2
4,25は図示しないブレーキドラムに連結されて車輪に
制動を加えるサービスブレーキ装置を構成する。
【0013】前記回生装置30は、図2に示すように、エ
ンジン51の回転を変速して後輪53に伝達するトランスミ
ッション52の出力軸に、コントローラ10により駆動され
る減速機54のギヤクラッチ54aを介して斜軸式のポンプ
モータ31が連結する。ポンプモータ31の一方のポートに
は締切弁32を介してアキュムレータ33に接続する高圧油
通路34が接続され、他方のポートにはタンク35に接続す
る低圧油通路36が接続される。また、タンク35と前記締
切弁32との間には、オイルフィルタ37及びオイルクーラ
38を介装し、定常走行時にポンプモータ31を介してオイ
ルを循環させるための油通路39が設けられている。
【0014】前記アキュムレータ33には回生されたエネ
ルギの量をピストン33aの位置として検出する蓄圧レベ
ルセンサ40が介装される。コントローラ10には、車速セ
ンサ41からの車速信号V、シフトレバー42からの変速位
置信号、アキュムレータ33の蓄圧レベルを検出する蓄圧
レベルセンサ40からの蓄圧レベル信号L、前記補助ブレ
ーキ回路11の圧力を検出する圧力センサ6からの圧力信
号Pb等が入力される。コントローラ10は、これら入力
信号に基づいて、回生ブレーキ作動条件が成立していれ
ば、高圧油通路34の締切弁32を開弁制御し、補助ブレー
キ回路の電磁弁7を閉弁制御し、運転者の要求する制動
トルクを演算しポンプモータ31の流量を設定し、この設
定値に見合うよう蓄圧レベルに応じて斜軸の傾転角を制
御する。ここで、コントローラ10が制御手段に相当す
る。
【0015】ここで、ブレーキペダル1の踏込み角度θ
bと、主ブレーキバルブ2、補助ブレーキバルブ3及び
リレーバルブ8,8′が発生するエア圧との関係につい
て図3を参照しながら説明する。ブレーキペダル1の踏
込み角度θbがθ1 未満の領域は、主ブレーキバルブ2
が作動しない不作動域であり、電磁弁7が開弁状態にあ
る回生装置30の休止時には、ブレーキペダル1の踏込み
角度θbに応じたエア圧Pbが補助ブレーキバルブ3か
ら補助ブレーキ回路11を介してLQRバルブ9に供給さ
れ、LQRバルブ9は、入力圧と出力圧の関係が図4の
ような特性を有し、所定の割合で減圧したエア圧をリレ
ーバルブ8,8′に信号圧として供給し、リレーバルブ
8,8′から前記LQRバルブ9からの信号エア圧に応
じたエア圧P3が出力され、このエア圧P3がダブルチ
ェック弁4,5を介して後輪ブレーキ回路20及び前輪ブ
レーキ回路21に供給される。そして、前記エア圧P3が
同一のブレーキペダル踏込み角θbにおいて回生装置30
の制動力と等しい制動力がサービスブレーキで得られる
よう、LQRバルブ9の減圧特性を設定してあるため、
回生装置30による回生ブレーキ力と等しいブレーキ力が
発生する。
【0016】ブレーキペダル1の踏込み角度θbがθ1
を越えて踏み込まれると、踏込み角度に応じて主ブレー
キバルブ2からプライマリ回路18及びセカンダリ回路19
にエア圧P1,P2の供給が開始される一方、補助ブレ
ーキ回路11側のエア圧P3は一定の圧力を保持し、プラ
イマリ回路18からのエア圧P1がリレーバルブ8からの
エア圧P3を越える踏込み角度θ2 まではこのエア圧P
3に応じたサービスブレーキによる制動力が発生する。
【0017】踏込み角度θbがθ2 を越えると、プライ
マリ回路18及びセカンダリ回路19側のエア圧P1,P2
によってサービスブレーキが作動し、これらエア圧P
1,P2に応じた制動力を発生する。次に、図5のフロ
ーチャートを参照しながらコントローラ10における制御
動作について説明する。
【0018】まず、ステップ1(図中、S1で示し、以
下同様とする)では、圧力センサ6から補助ブレーキ回
路11の圧力Pbを読み込む。ステップ2では、読み込ん
だ圧力Pbが予め設定した圧力Poを越えたか否か、即
ち、運転者がブレーキペダル1を踏み込んだか否かを判
定する。ここで、ブレーキペダル1が踏み込まれていれ
ばPb>Poとなってステップ3に進み、そうでない場
合はステップ10以下の処理に進む。
【0019】ステップ3では、蓄圧センサ40からアキュ
ムレータ蓄圧レベルLを読み込む。ステップ4では、蓄
圧レベルLが所定の最大蓄圧レベルLmax を越えている
か、即ち、アキュムレータ33が許容蓄圧レベル以内か否
かを判定する。L<Lmaxであればステップ5に進み、
そうでない場合は、ステップ2と同様にステップ10以下
の処理に進む。
【0020】ステップ5では、シフトレバー42からの変
速位置信号を読み込んで、運動エネルギを回収可能な前
進位置にあるか否かを判定する。ここでギヤ位置が前進
位置であればステップ6に進み、そうでない場合は、ス
テップ10以下の処理に進む。ステップ6では、車速セン
サ41からの車速Vを読み込み、車速Vが予め設定した最
低車速Vmin を越え、且つ、ポンプモータ31の最大許容
回転数となる最大車速Vmax 未満の運動エネルギを回収
可能な車速範囲であるか否かを判定し、YESの判定の
時はステップ7以下の後述するように回生ブレーキの作
動により運動エネルギを回収し、NOの判定の時はステ
ップ10以下の処理に進み、回生装置30を休止してサービ
スブレーキ装置による制動を行う。
【0021】即ち、補助ブレーキ回路11の圧力がPoを
越えた時に、蓄圧レベルLがLmaxより小で、ギヤ位置
が前進位置であり、車速が所定の範囲内であれば、回生
装置30の作動条件成立と判断してステップ7以下の処理
により回生ブレーキによる制動を行い、上記の成立条件
のうちの1 つでも成立しない場合には、ステップ10以下
の処理を実行してサービスブレーキ装置により制動を行
う。
【0022】回生ブレーキの作動条件が成立した時は、
ステップ7において、締切弁32を開弁し、ステップ8に
おいて、ポンプモータ31の斜軸の傾転角APを、その時
のブレーキペダル1の踏込み角度θbに対応したブレー
キ力が発生するよう蓄圧レベルLに応じて可変設定し、
ステップ9で補助ブレーキ回路11の電磁弁7を閉弁駆動
する。これにより、リレーバルブ8,8′への信号圧力
の供給を遮断してサービスブレーキ装置側へのエア圧の
供給を停止する一方、後輪53の駆動力によりポンプモー
タ31をポンプとして作動させ、図2中の矢印Aで示す如
くタンク35内のオイルをアキュムレータ33に圧送し、蓄
圧して運動エネルギを回収すると同時に回生ブレーキ力
を発生させる。
【0023】一方、上記ステップ2、4,5及び6のい
ずれか1つの判定結果がNOの場合は、ステップ10で電
磁弁7への通電を行わずに開弁状態とし、ステップ11
で、ポンプモータ31の斜軸の傾転角APを0°(中立位
置)に設定してポンプモータ31を休止させ、締切弁32を
閉弁駆動する。これにより、回生装置30は作動せず、タ
ンク35内のオイルは、図2中矢印Bで示す如く油通路3
9、締切弁32、ポンプモータ31、低圧油通路36を循環
し、オイルフィルタ37、オイルクーラ38によって浄化、
冷却される。この時にブレーキペダル1が踏み込まれ制
動状態にある場合は、補助ブレーキバルブ3を介して補
助ブレーキ回路11に供給されるエア圧PbがLQRバル
ブ9によって上述したように、所定割合で減圧されてリ
レーバルブ8,8′に信号圧として供給され、この信号
圧に応じたエア圧P3がリレーバルブ8,8′からダブ
ルチェック弁4,5に供給される。そして、主ブレーキ
バルブ2の不作動域では、補助ブレーキ回路11からの出
力で後輪ブレーキ回路20及び前輪ブレーキ回路21により
サービスブレーキによる制動が行われ、主ブレーキ回路
2の作動域では、プライマリ回路18及びセカンダリ回路
19側の圧力P1,P2と補助ブレーキ回路11側の圧力P
3の高い方が選択されて後輪及び前輪のブレーキ回路2
0,21に供給され、サービスブレーキを作動させる。
【0024】尚、発進等では、締切弁32を開弁し、ポン
プモータ31の斜軸の傾転角を中立位置にしてトランスミ
ッションの出力軸側にポンプモータ31を接続することに
より、アキュムレータ33内の高圧オイルが図2中矢印C
のタンク35側に流れてポンプモータ31がモータとして作
用して回収した運動エネルギを駆動エネルギとして利用
する。
【0025】ここで、本実施例による回生装置30の作動
時における回生ブレーキ力について詳述する。回生ブレ
ーキ力Fbは、斜軸の傾転角APと蓄圧レベルLとの積
(AP×L)に比例している。従って、従来装置のよう
にブレーキペダル1の踏込み角度θbに応じてのみポン
プモータ31の斜軸の傾転角APを制御したのでは、蓄圧
レベルLの変化に伴って回生ブレーキ力Fbも変化して
しまう。
【0026】そこで、本実施例では、図6に示すように
蓄圧レベルLの増大に従って傾転角APが小さくなるよ
う反比例の関係に制御することで、図7に示すようにブ
レーキペダルの踏込み角度θbと傾転角APと関係が蓄
圧レベルL応じて変化するように制御している。従っ
て、回生装置30の作動中、ブレーキペダル1の踏込み角
度θbを一定とした場合、図8に示すように、時間の経
過に従い蓄圧レベルLが上昇するとこれに伴って傾転角
APは次第に小さくなる方向に制御され、図中実線で示
すように一定の回生ブレーキ力が得られるように制御さ
れる。そして、この回生ブレーキ力Fbと補助ブレーキ
回路11からの圧力P3によるサービスブレーキ力とが、
同一のブレーキペダル踏込み角度θbにおいて等しくな
るように設定されている。
【0027】このため、図8に示すように、車速Vが最
小車速以下になるか、蓄圧レベルLが最大蓄圧レベル以
上となって回生ブレーキからサービスブレーキへ切り換
わった時に、図中一点鎖線で示す従来の場合のようなブ
レーキ力の段差が発生することはなく、図中実線で示す
ように等しいブレーキ力となるため、サービスブレーキ
力の方が大の時に生じるショックや、逆にサービスブレ
ーキ力の方が小の時に生じる空走感がなく、運転者に違
和感を与えることがない。
【0028】また、回生装置30が故障した時でも、補助
ブレーキ回路11からの圧力によってサービスブレーキが
作動可能であるため、ブレーキ装置の信頼性が向上す
る。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、同
一のブレーキペダル踏込み量に対し回生ブレーキ力とサ
ービスブレーキ力とが等しくなるように設定すると共
に、蓄圧レベルに対してポンプモータの傾転角を反比例
の関係で制御して同一のブレーキペダル踏込み量に対し
ては回生ブレーキ力が蓄圧レベルの左右されることなく
一定となるよう構成したので、回生ブレーキからサービ
スブレーキへの切換え直後においてブレーキ力の段差が
なくなり、運転者がショック又は空走感を感じることが
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る車両のエネルギ回生ブレーキ装
置のブレーキ配管系を一実施例を示す図
【図2】 回生装置の一実施例を示す構成図
【図3】 ブレーキペダル踏込み角度と主ブレーキ回路
と補助ブレーキ回路の圧力との関係を示す図
【図4】 本実施例のLQRバルブの入力と出力との関
係を示す図
【図5】 本実施例のコントローラの制御動作を示すフ
ローチャート
【図6】 本実施例の蓄圧レベルと傾転角との関係を示
す図
【図7】 本実施例の傾転角とブレーキペダルの踏込み
角度との関係を示す図
【図8】 本発明装置と従来装置の回生ブレーキ力の発
生状態を説明する図
【符号の説明】
1 ブレーキペダル 2 主ブレーキバルブ 3 補助ブレーキバルブ 6 圧力センサ 8,8′ リレーバルブ 9 リミティングアンドクイックリリースバルブ(L
QRバルブ) 10 コントローラ 11 補助ブレーキ回路 18 プライマリ回路 19 セカンダリ回路 20 後輪ブレーキ回路 21 前輪ブレーキ回路 30 回生装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中園 長吉 埼玉県上尾市大字壱丁目1番地 日産デ ィーゼル工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−56008(JP,A) 特開 平6−107136(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60K 25/00 B60T 1/10 B60T 10/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキペダル操作時に回生ブレーキ作
    動条件が成立した時は、車輪駆動系の回転力によりポン
    プモータを駆動して高圧オイルをアキュムレータに蓄圧
    してブレーキエネルギを回収するエネルギ回生装置を備
    えた車両のエネルギ回生ブレーキ装置であって、ブレー
    キペダルの所定踏込み量までは作動しない不作動域を有
    する第1のブレーキバルブを介してブレーキ圧力源から
    の圧力をサービスブレーキ装置に向けて出力する主ブレ
    ーキ回路と、前記第1のブレーキバルブの不作動域でも
    ブレーキペダルに連動して作動する第2のブレーキバル
    ブを介してブレーキ圧力源からの圧力をサービスブレー
    キ装置に向けて出力する補助ブレーキ回路とを備え、高
    出力側のブレーキ回路を選択してサービスブレーキ装置
    に接続する構成であり、前記第2のブレーキバルブの下
    流側に、前記回生装置の作動時に閉弁駆動されて補助ブ
    レーキ回路の出力を停止する開閉弁が介装される構成の
    ものにおいて、 前記アキュムレータの蓄圧レベルを検出する蓄圧レベル
    検出手段と、 前記ポンプモータの傾転角を前記蓄圧レベル検出手段の
    検出値に反比例させて制御する制御手段とを設ける一
    方、 前記補助ブレーキ回路からの出力が同一のブレーキペダ
    ル踏込み量において回生装置のブレーキ力と等しくなる
    よう前記第2のブレーキバルブを介して出力されるブレ
    ーキ圧力源からの圧力を所定割合で減圧する減圧手段
    を、前記補助ブレーキ回路に介装する構成としたことを
    特徴とする車両のエネルギ回生ブレーキ装置。
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