JP3742941B2 - 制動エネルギ回生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動エネルギ回生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
制動エネルギ回生装置は、車両の減速時の制動エネルギを回収して発進/加速時に再利用するもので、特に、発進/停止の多い市街地を走行する路線バス等において省エネルギ及び排出ガスの低減を図るために採用されてきている。
【0003】
制動エネルギ回生装置としては、例えば、作動油を貯溜する低圧タンクと油圧エネルギを蓄圧するアキュームレータとの間に車両の駆動系部材にクラッチを介して連結される油圧ポンプ/モータを介装し、減速時に前記油圧ポンプ/モータをポンプ作動させて制動エネルギを油圧エネルギに変換して前記アキュームレータに蓄圧し、発進/加速時には前記油圧ポンプ/モータを前記アキュームレータに蓄圧した油圧エネルギによりモータ作動させて発進/加速エネルギとして利用するようにしたものがある。
【0004】
このような制動エネルギ回生装置においては、エネルギ回収時においてもブレーキペダルの踏み込み量に対応した制動力を発揮させるため、油圧ポンプ/モータによるエネルギ回収時には油圧ポンプ/モータにより得られる制動力分だけサービスブレーキが発生する制動力を低下させる制御を行っており、特に減圧制御したサービスブレーキと油圧ポンプ/モータとを併用した制動状態から通常のサービスブレーキのみによる制動状態への切換制御を適切に行うことが求められる。具体例として、油圧ポンプ/モータとサービスブレーキとの併用使用状態からサービスブレーキのみに切り換える従来のブレーキ切換制御を、図6のタイミングチャートにより説明する。
【0005】
例えば、ブレーキペダルの踏み込み量が少ない緩制動時に、油圧ポンプ/モータによるエネルギ回収により車速が低下して第1の所定車速よりも低くなったとき、又はアキュームレータの蓄圧が第1の所定圧以上になったときに、フロントブレーキ切換弁がオフとなり(図6(a))、フロントブレーキが通常作動状態に復帰する(図6(c))。このときは、未だ前記油圧ポンプ/モータがポンプ作動しており、制動エネルギが回収されている。車速が更に減速して第1の所定車速よりも低い第2の所定車速よりも低くなったとき、又はアキュームレータの蓄圧が第1の所定圧よりも高い第2の所定圧以上になったときに、リヤブレーキ切換弁がオフとなり(図6(b))、リヤブレーキが通常作動状態に復帰する(図6(d))。同時に、前記油圧ポンプ/モータの斜板の傾転角を制御する電流が所定の割合で減少され、これに伴い斜板の傾転角が制動力回収状態位置から制動力0の中立位置に徐々に制御される(図6(e))。即ち、リヤブレーキが通常作動状態への復帰を開始すると同時に油圧ポンプ/モータのポンプ作動がスローダウンする。この油圧ポンプ/モータのポンプ作動のスローダウンは、一定時間Tとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の制動エネルギ回生装置においては、減速時に油圧ポンプ/モータのポンプ作動と減圧制御されたサービスブレーキとの併用使用状態から通常のサービスブレーキのみによる制動状態に移行するときに、油圧ポンプ/モータのポンプ作動による制動力を一定時間Tで一度にスローダウンするために、チューニングの幅が狭くなり、急ブレーキや、緩ブレーキのときにブレーキショックや、ブレーキ流れ等が発生する可能性がある。このため、フィーリングが悪いという問題がある。特に、路線バス等の場合には、乗客に不快感を与えることとなり対策が臨まれている。
【0007】
更に、油圧ポンプ/モータのポンプ作動を一度にスローダウンするために、ポンプ作動とサービスブレーキとの併用使用状態からサービスブレーキのみへの切換制御を短時間で行うこととなり、円滑な切換が困難となる等の問題がある。
【0008】
このため、本発明では、制動エネルギ回生装置とサービスブレーキとの併用使用状態からサービスブレーキのみの使用状態に移行する際に急激な制動力の変化を防止して円滑な制動を図るようにした制動エネルギ回生装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1では、ブレーキペダルが踏み込まれると制動エネルギ回生装置の油圧ポンプ/モータがポンプ作動して制動エネルギを油圧エネルギに変換してアキュームレータに蓄圧する。車両制動中にサービスブレーキとポンプ作動との併用状態からサービスブレーキのみの使用状態に移行するときには、制御手段が油圧ポンプ/モータの斜板の傾転角を制動力の発生しない中立位置まで徐々に変化させる制御を段階的に行う。これにより、段階的にポンプ側の制動力を低下させ変化率が少なくなり、切り替わり時のブレーキショック感が無くなる。
【0010】
圧力検知手段は、サービスブレーキ側の作動圧(ブレーキ気圧)を検知し、前記制御手段は、前記各段階における変位に要する変位時間を前記圧力検知手段の検出値に応じて可変することで、サービスブレーキ側の効き具合に追従させてポンプ側制動力の変化率を制御するので、更に違和感を回避できる。
【0011】
更に、前記制御手段は、サービスブレーキへの切換制御をフロントブレーキとリヤブレーキとで時間差を持たせて実行し、各ブレーキの切換制御タイミングに合わせて前記斜板傾転角制御の段階を設定することで、更に違和感を回避できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。図1は、本発明の実施形態として制動エネルギ回生装置を備えた車両のブレーキ制御装置の概略構成図を示し、図2は、制動エネルギ回生装置の概略構成図を示す。
【0013】
図1において、エアタンク1にブレーキバルブ2がエア通路21、22を介して接続され、フロントブレーキの通路切換弁4は、電磁ソレノイド4sにより4A位置に切換状態のときエアタンク1のエアが通路25、減圧弁5、通路26を経てポート4bからポート4cに抜けてエア通路24を介してフロントブレーキブースタ10に接続されている。フロントブレーキブースタ10は、液圧通路28を介してフロントホイールブレーキ(以下、単に「フロントブレーキ」という)11に接続されている。減圧弁5は、高圧入口側ポート5aがエア通路25を介してエア通路21に接続され、減圧出口側ポート5bがエア通路26を介して通路切換弁4のポート4bに接続され、指示圧入力ポート5cがエア通路27を介してエア通路23に接続されている。
【0014】
通路切換弁4は、制御手段としての電子制御装置(ECU)15によりソレノイド4sが付勢されると図示のように位置4Aに切り換えらてエア通路26をエア通路24に接続し、消勢されると位置4Bに切り換えられてエア通路23をエア通路24に接続する。減圧弁5は、エアタンク1のエア圧を減圧して、ブレーキブースタ10に供給するものとなっており、指示圧入力ポート5cから入力されるブレーキペダル3の踏込量に対応したブレーキバルブ2の出力圧より所定圧だけ低いエア圧を出力するよう構成されている。これにより制動エネルギ回生装置側のエネルギ回収効率を向上させるようになっている。
【0015】
リヤブレーキの通路切換弁6は、電磁ソレノイド6sにより6A位置に切換状態のとき、エアタンク1のエアが通路32、減圧弁7、通路33を経てポート6bからポート6cに抜けてエア通路31を介してリヤブレーキブースタ12に接続されている。リヤブレーキブースタ12は、液圧通路35を介してリヤホイールブレーキ(以下、単に「リヤブレーキ」という)13に接続されている。減圧弁7は、高圧入口側ポート7aがエア通路32を介してエア通路22に接続され、減圧出口側ポート7bがエア通路33を介して通路切換弁6のポート6bに接続され、指示圧入力ポート7cがエア通路34を介してエア通路30に接続されている。
【0016】
通路切換弁6は、電子制御装置15によりソレノイド6sが付勢されると図示のように位置6Aに切り換えらてエア通路33をエア通路31に接続し、消勢されると位置6Bに切り換えられてエア通路30をエア通路31に接続する。減圧弁7は、エアタンク1のエア圧を所定圧減圧して、ブレーキブースタ12に供給するものとなっており、指示圧入力ポート7cから入力されるブレーキペダル3の踏込量に対応したブレーキバルブ2の出力圧より所定圧だけ低いエア圧を出力するよう構成されている。これにより制動エネルギ回生装置側のエネルギ回収効率を向上させるようになっている。
【0017】
エア通路23のブレーキバルブ2近傍には作動エア圧としてのブレーキ圧を検出する圧力検知手段としての圧力センサ16が、エア通路24のフロントブレーキブースタ10近傍にはブレーキブースタ圧を検出する圧力センサ17が、エア通路31のリヤブレーキブースタ12の近傍にはブレーキブースタ圧を検出する圧力センサ18が夫々設けられている。これらの圧力センサ16〜18の圧力信号は、電子制御装置15に入力される。電子制御装置15には、当該車両の車速センサからの車速信号、及び後述する制動エネルギ回生装置40のアキュームレータ47の蓄圧状態を検出する圧力センサからの蓄圧信号が入力される。電子制御装置15は、これらの入力信号に基づいて通路切換弁4、6を制御する。
【0018】
次に、図2により制動エネルギ回生装置について説明する。
【0019】
図2において、制動エネルギ回生装置40は、斜板式油圧ポンプ/モータとアキュームレータとを組み合わせた蓄圧式の制動エネルギ回生装置で、駆動輪例えば、後輪RWの車軸41にギヤボックス42、クラッチ43を介して斜板式油圧ポンプ/モータ44が接続されており、当該油圧ポンプ/モータ44の一方のポート44aが低圧タンクとしての作動油タンク45に接続され、他方のポート44bが切換弁(逆止弁)46を介してアキュームレータ47に接続されている。また、油圧ポンプ/モータ44の斜板44cの傾転角は、駆動電流に比例して制御される。
【0020】
前記電子制御装置15は、ブレーキバルブ2のブレーキ圧を検出する圧力センサ16からの信号、アクセルペダル48からのアクセル信号に応じてクラッチ43、油圧ポンプ/モータ44の斜板44cの傾転角、切換弁46を制御して、制動時に油圧ポンプ/モータ44をポンプ作動させて制動エネルギを油圧エネルギに変換してアキュームレータ47に蓄圧し、車両の発進/加速時に蓄圧した油圧エネルギにより油圧ポンプ/モータ44をモータ作動させて駆動補助する。
【0021】
即ち、電子制御装置15は、制動時にブレーキペダル3が踏まれると、クラッチ43を接続すると共に油圧ポンプ/モータ44の斜板44cの傾転角を制御し、油圧ポンプ/モータ44は、車軸41によりギヤボックス42、クラッチ43を介して駆動されて油圧ポンプとして作動し、作動油タンク45から切換弁46を通してアキュームレータ47のオイル室47aにオイルを圧送し、ピストン47bを図中左方に押動してガス室47cに封入されている窒素ガスを圧縮する。これにより、減速時における車両の運動エネルギが油圧エネルギに変換されてアキュームレータ47に蓄圧される。そして、このときに制動エネルギ回生装置40がブレーキとして機能する。
【0022】
車両の発進/加速時には電子制御装置15は、トランスミッションギヤ位置、クラッチペダルの踏込量、アクセル開度等の運転者の発進操作を検知し、クラッチ43を接続し、切換弁46を開弁させると共に油圧ポンプ/モータ44の斜板44cの傾転角を制御し、アクチュエータ47に蓄圧されている油圧を制動時と反対方向に流し、油圧ポンプ/モータ44にトルクを発生させてモータ作動させ、クラッチ43、ギヤボックス42を介して車軸41を駆動し、エンジン50が発生する駆動力を補助する。
【0023】
以下に図1、図2、及び図3のタイミングチャートにより作用を説明する。
【0024】
車両の走行時にブレーキペダル3が操作されないときには、通路切換弁4、6は、夫々消勢されており、位置4B、位置6Bに切り換えられている。ブレーキペダル3が踏み込まれるとこれに応じてブレーキバルブ2が開弁し、エアタンク1からエア通路23にブレーキ圧が供給され、圧力センサ16がブレーキ圧を検出して対応する圧力信号(ブレーキ信号)を出力する。電子制御装置15は、入力された圧力信号の状態に応じて通路切換弁4、6を付勢(ON)して位置4A、6Aに切り換えると共に、油圧ポンプ/モータ44をポンプ作動させて制動エネルギの回収を開始する。
【0025】
通路切換弁4が位置4Aに切り換えられると、ブレーキバルブ2から出力されるブレーキ圧がエア通路27を通して減圧弁5のポート5cに供給される。減圧弁5は、ポート5aから流入するエアタンク1のエア圧を減圧してブレーキバルブ2の出力圧より所定圧だけ低いエア圧としてポート5bから出力する。このブレーキ圧は、通路切換弁4からエア通路24を通してフロントブレーキブースタ10に供給され、当該フロントブレーキブースタ10の制動圧が液圧通路28を通してフロントブレーキ11に供給される。
【0026】
同様にして、通路切換弁6が位置6Aに切り換えられると、ブレーキバルブ2から出力されるブレーキ圧がエア通路34を通して減圧弁7のポート7cに供給される。減圧弁7は、ポート7aから流入するエアタンク1のエア圧を減圧してブレーキバルブ2の出力圧より所定圧だけ低いエア圧としてポート7bから出力する。このブレーキ圧は、通路切換弁6からエア通路31を通してリヤブレーキブースタ12に供給され、当該リヤブレーキブースタ12の制動力が液圧通路35を通してリヤブレーキ13に供給される。
【0027】
これにより、ブレーキペダル3の踏み込み操作によりブレーキバルブ2から供給されるブレーキ圧が所定圧分だけ減圧されるので、サービスブレーキ側の制動力は、減少され、その減少した制動力分の制動力を油圧ポンプ/モータが担うこととなる。即ち、この状態が油圧ポンプ/モータ44の制動力とサービスブレーキの制動力との併用使用状態となる。そして、制動エネルギが油圧エネルギに変換されるに伴いアキュームレータ47に油圧が蓄圧されてその油圧(以下「蓄圧」という)が上昇し、車速が低下する。
【0028】
電子制御装置15は、車速が低下して所定車速V1よりも低くなったとき、又はアキュームレータ47の蓄圧が所定圧P1以上になったときに、通路切換弁4を消勢(OFF)して(図3(a)I)、位置4Bに切り換える。通路切換弁4が位置4Bに切り換えられると、ブレーキバルブ2のブレーキ圧がエア通路23、24を通してフロントブレーキブースタ10に直接供給され(図3(c)I以降)、フロントブレーキ11が通常作動状態に復帰する。
【0029】
同時に、電子制御装置15は、油圧ポンプ/モータ44のポンプ作動による制動力を半分にするように斜板44cの傾転角の駆動電流を徐々に小さくして(スローダウンして)第1段目のスローダウンを行う(図3(e)T1)。この制動力を半分にするための斜板44cの駆動電流を減少させる変位時間としてのスローダウン時間T1を、時間t1、t2(T1=t1+t2)に分け、これらの各時間t1、t2をブレーキ圧に応じて変化させる。即ち、ブレーキ圧が小さいときにはスローダウン時間t1、t2を長くし、ブレーキ圧が大きくなるに伴いスローダウン時間t1、t2を短くする。このスローダウン時間t1、t2は、図4に示すようにマップにより設定されている。このようにして油圧ポンプ/モータ44の油圧ポンプ作動による制動力を半分にする第1段目のスローダウン(スローダウン1)の制御を行う。
【0030】
電子制御装置15は、車速が更に低下して所定車速V2(<V1)よりも低くなったとき、又はアキュームレータ47の蓄圧が所定圧P2(>P1)以上になったときに、通路切換弁6を消勢(OFF)して(図3(b)II)、位置6Bに切り換える。通路切換弁6が位置6Bに切り換えられると、ブレーキバルブ2のブレーキ圧がエア通路30、31を通してリヤブレーキブースタ12に直接供給され、リヤブレーキ13が通常作動状態に復帰する(図3(d)II以降)。
【0031】
同時に、電子制御装置15は、油圧ポンプ/モータ44のポンプ作動による制動力を前記半分から0(制動力を発生しない中立位置)にするように斜板44cの傾転角の駆動電流を徐々に小さくして(スローダウンして)第2段目のスローダウンを行う(図3(e)T2)。この傾転角を半分から0にするために駆動電流を減少させる変位時間としてのスローダウン時間T2を、時間t3、t4(T2=t3+t4)に分け、各時間t3、t4をブレーキ圧に応じて変化させる。即ち、ブレーキ圧が小さいときにはスローダウン時間t3、t4を長くし、ブレーキ圧が大きくなるに伴いスローダウン時間t3、t4を短くする。このスローダウン時間t3、t4は、前記1段目のスローダウン時間t1、t2と同様に図4に示すようにマップにより設定されている。このようにして油圧ポンプ/モータ44の油圧ポンプ作動による制動力を半分の状態から0にする第2段目のスローダウン(スローダウン2)の制御を行う。
【0032】
このように油圧ポンプ/モータ44のポンプ作動終了時におけるポンプ傾転角の0までの変位を2段階に分けることで、1回の切換での制動力の変化率が小さくなり、ブレーキショックやブレーキ流れが軽減される。また、ブレーキバルブ2のブレーキ圧により油圧ポンプ/モータ44のスローダウン時間t1〜t4を可変とすることで、急ブレーキや、緩ブレーキ時において、油圧ポンプ/モータ44のポンプ作動とサービスブレーキとの併用による制動状態からサービスブレーキのみによる制動状態への切り換えも円滑に行うことが可能となる。
【0033】
次に、図5に示すフローチャートによりブレーキの切換制御手順を説明する。
【0034】
電子制御装置15は、車速を判定し(ステップS1)、車速が所定車速V1以上のときにはアキュームレータ47の蓄圧を判定し(ステップS2)、蓄圧が所定圧P1よりも低いときには油圧ポンプ/モータ44による制動エネルギの回収を継続して行う。
【0035】
電子制御装置15は、ステップS1において車速が所定車速V1よりも低いと判定したとき、又は、ステップS2においてアキュームレータ47の蓄圧が所定圧P1以上と判定したときには、通路切換弁4を消勢してフロントブレーキを通常作動状態に復帰させると共に(ステップS3)、油圧ポンプ/モータ44の1段目のスローダウンを行う(ステップS4)。これにより、油圧ポンプ/モータ44のポンプ作動による制動力が徐々に半分になる。
【0036】
次いで、電子制御装置15は、1段目スローダウンが終了したか否かを判定し(ステップS5)、1段目スローダウンが終了したときには、車速を判定し(ステップS6)、車速が所定車速V2(<V1)以上のときにはアキュームレータ47の蓄圧を判定し(ステップS7)、蓄圧が所定圧P2(>P1)よりも低いときには油圧ポンプ/モータ44による前記半分の制動力で制動エネルギの回生を継続して行う。
【0037】
電子制御装置15は、ステップS6において車速が所定車速V2よりも低いと判定したとき、又は、ステップS7においてアキュームレータ47の蓄圧が所定圧P2以上と判定したときには、通路切換弁6を消勢してリヤブレーキを通常作動状態に復帰させると共に(ステップS8)、油圧ポンプ/モータ44の2段目のスローダウンを行う(ステップS9)。これにより、油圧ポンプ/モータ44のポンプ作動による制動力が前記半分の状態から徐々に0(制動力を発生しない中立位置)になる。このようにして減速時における油圧ポンプ/モータ44による制動とサービスブレーキによる制動との併用状態からサービスブレーキのみによる制動に移行する。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、油圧ポンプ/モータのポンプ作動による制動力を段階的に低下させることで制動力の変化率が小さくなり、油圧ポンプ/モータとサービスブレーキとの併用による制動状態からサービスブレーキのみによる制動状態への切り替わり時のブレーキショックやブレーキ流れが軽減される。
また、ブレーキ圧に応じて各段階における変位に要する油圧ポンプ/モータの変位時間(スローダウン時間)を可変とすることで、急ブレーキや緩ブレーキ時において油圧ポンプ/モータのポンプ作動とサービスブレーキとの併用による作動状態からサービスブレーキのみによる制動状態への切り換えも円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制動エネルギ回生装置を備えた車両のブレーキ制御装置の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る制動エネルギ回生装置の実施の形態を示す構成図である。
【図3】本発明に係る制動エネルギ回生装置とブレーキ制御装置の切換制御の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】図2に示す油圧ポンプ/モータのポンプ作動のスローダウンを行うためのブレーキ圧とスローダウン時間との関係を示すマップの一例である。
【図5】本発明に係る制動エネルギ回生装置とブレーキ制御装置の切換制御の手順を示すフローチャートである。
【図6】従来の制動エネルギ回生装置とブレーキ制御装置の切換制御の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 ブレーキ制御装置
2 ブレーキバルブ
3 ブレーキペダル
4、6 通路切換弁
5、7 減圧弁
10、11 ブレーキブースタ
12、13 ホイールブレーキ
15 電子制御装置(ECU)
40 制動エネルギ回生装置
41 車軸(駆動系部材)
42 ギヤボックス(駆動系部材)
43 クラッチ
44 油圧ポンプ/モータ
45 作動油タンク(低圧タンク)
47 アキュームレータ
Claims (1)
- 作動油を貯溜する低圧タンクと油圧エネルギを蓄圧するアキュームレータとの間に介装され、車両の駆動系部材に連結される油圧ポンプ/モータを、制動時にポンプ作動させて制動エネルギを油圧エネルギに変換して前記アキュームレータに蓄圧する一方、発進/加速時にはモータ作動させて前記アキュームレータに蓄圧した油圧エネルギを発進/加速エネルギとして利用する制動エネルギ回生装置において、
前記車両のサービスブレーキ側の作動圧を検知する圧力検知手段と、
前記油圧ポンプ/モータのポンプ作動と前記サービスブレーキとの併用使用状態から前記サービスブレーキのみの使用状態に移行するときに前記油圧ポンプ/モータの斜板傾転角を、ポンプ作動による制動力の発生しない中立位置まで徐々に変位させる制御を段階的に実行し、且つ前記各段階における変位に要する変位時間を前記圧力検知手段の検出値に応じて可変させると共に前記サービスブレーキへの切換制御をフロントブレーキとリヤブレーキとで時間差を持たせて実行し、前記各ブレーキの切換制御タイミングに合わせて前記斜板傾転角制御の段階を設定する制御手段とを
備えたことを特徴とする制動エネルギ回生装置。
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