JP3547662B2 - 紫外線吸収性に優れたプラスチック眼鏡レンズ及びその製造方法 - Google Patents

紫外線吸収性に優れたプラスチック眼鏡レンズ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紫外線吸収性に優れたプラスチック眼鏡レンズ及びその製造方法に関するものである。更に詳細には波長が400nm近辺の長波長紫外線を吸収するにもかかわらず、黄色の着色が少ないプラスチック眼鏡レンズ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紫外線は波長が約200〜400nmの電磁波であり、人体に対し種々の悪影響を与えると言われている。眼鏡レンズの関係においても、紫外線からの人眼保護の観点から紫外線吸収レンズへの要望が高まってきている。
プラスチック眼鏡レンズに紫外線吸収能を付与する方法としては種々の方法があるが、第一の方法として、特開昭50−50049号公報、特開昭58−122501号公報、特開平2−171716号公報、特開平2−93422号公報、特開昭62−254119号公報には、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等を紫外線吸収剤として用い、この紫外線吸収剤をプラスチックレンズモノマーに混合し、重合したプラスチックレンズが記載されている。
第二の方法はプラスチックレンズの染色と同じ方法であり、80〜100℃に加熱した紫外線吸収剤を分散させた水溶液にプラスチックレンズを浸漬することにより、紫外線吸収剤をプラスチックレンズに含浸させる方法である(特開平1−230003号公報) 。
第三の方法は紫外線吸収及び/又は散乱する物質をプラスチックレンズ表面に塗布する方法である(特開平9−265059号公報) 。
これらの方法のうち、波長が400nmまでの紫外線を吸収する特性を有する従来の市販のプラスチック眼鏡レンズは、前記第二の方法により製造されているものが大半であると推定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開平2−171716号公報、特開平2−93422号公報、特開昭62−254119号公報等に開示されている前記第一の方法は、プラスチックレンズの耐光性を改良することを目的として用いられている方法である。第一の方法により、従来使用されている紫外線吸収剤( 2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等) を用いて波長が400nm近辺までの紫外線を吸収するレンズを製造する場合、特に代表的なプラスチック眼鏡レンズ材料であるジエチレングリコールビスアリルカーボネートにおいては黄色の着色が大きいため、見栄えが悪いという問題があり、また、紫外線吸収剤の使用量が多くなるため重合反応に影響を与え、得られたプラスチックレンズの物性が悪くなりやすいという問題があった。
前記第二の方法により波長が400nm近辺までの紫外線を吸収するプラスチックレンズを製造する場合にも、用いる紫外線吸収剤は高い紫外線吸収能力と適度な水への溶解度が必要であり、充分な紫外線吸収能力を付与できないか付与できる場合でも長時間の浸漬時間が必要となり、プラスチックレンズが黄色化することが多かった。水の代わりに有機溶媒を用いる方法も提案されているが、この方法で製造された波長が400nm近辺までの紫外線を吸収するプラスチックレンズは、黄色の着色が大きいという問題があった。
また、前記第三の方法も、波長が400nm近辺までの紫外線を吸収するプラスチックレンズを得るための適切な方法とはいえないものである。
本発明は、上述した課題を解決し、波長が400nm近辺までの紫外線の吸収性に優れ、従来のプラスチック眼鏡レンズと比べて、黄色の着色が少なく、且つ紫外線吸収剤の添加量を少量にすることが可能なプラスチック眼鏡レンズの製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定のプラスチックレンズに特定の紫外線吸収剤を含浸させることにより、波長が400nm近辺までの紫外線の吸収性に優れ、且つ黄色の着色が少ない眼鏡レンズが得られることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は 一般式(1)
【0005】
【化5】
Figure 0003547662
【0006】
(式中、R及びR’はそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基あるいは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルコキシル基を示す。n及びn’は0〜3の同一又は異なる整数である。)
で表されるジベンゾイルメタン化合物を含有する溶液に、ポリ(チオ)ウレタンレンズ又はジチレングリコールビスアリルカーボネート系ノモノマーの重合体からなるレンズを浸漬することを特徴とする紫外線吸収性に優れたプラスチック眼鏡レンズの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、一般式(2)
【0007】
【化6】
Figure 0003547662
【0008】
(式中、R”は水素原子、塩素原子又は臭素原子を示し、m及びm’はそれぞれ1又は2である。)
で表されるベンゾトリアゾール化合物を含有する溶液に、ポリ(チオ)ウレタンレンズ又はジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーの重合体からなるレンズを浸漬することを特徴とする紫外線吸収性に優れたプラスチック眼鏡レンズの製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる紫外線吸収剤は、前記一般式(1)で表されるジベンゾイルメタン化合物又は前記一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール化合物である。なお、一般式(1)で表される化合物は、例えば、特開昭52−46056号公報に記載されているように公知の化学物質であり、一般式(2)で表される化合物も公知の化合物である。しかし、プラスチックレンズの紫外線吸収剤として使用されること、波長が400nm近辺までの紫外線を吸収する特性を有し、従来のプラスチックレンズと比べて黄色の着色が少ないプラスチックレンズが得られることは知られていなかった。
一般式(1)において、R及びR’は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシル基を示すが、ここで、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基(n−ペンチル基、イソペンチル基等各種異性体を意味する。異性体のあるものについては以下同じ。)、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。また、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルコキシル基におけるアルキル基部分についても上記と同様である。なお、アルキル基(又はアルコキシル基)の好ましい炭素数は1〜4であり、n及びn’は好ましくは0又は1である。一般式(1)で表されるジベンゾイルメタン化合物の具体例としては、ジベンゾイルメタン、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、2−エチルジベンゾイルメタン、4−エチルジベンゾイルメタン、2−プロピルジベンゾイルメタン、4−プロピルジベンゾイルメタン、2−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−ブチルジベンゾイルメタン、4−ブチルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、2,4−ジエチルジベンゾイルメタン、2,5−ジエチルジベンゾイルメタン、4,4’ −ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’ −ジエチルジベンゾイルメタン、4,4’ −ジプロピルジベンゾイルメタン、4,4’ −ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’ −ジブチルジベンゾイルメタン、4,4’ −ジ−tert−ブチルジベンゾイルメタン、4−メチル−4’ −エチルジベンゾイルメタン、2−メトキシジベンゾイルメタン、4−メトキシジベンゾイルメタン、2−エトキシジベンゾイルメタン、4−エトキシジベンゾイルメタン、2−プロポキシジベンゾイルメタン、4−プロポキシジベンゾイルメタン、2−ブトキシジベンゾイルメタン、4−ブトキシジベンゾイルメタン、4,4’ −ジメトキシジベンゾイルメタン、4,4’ −ジエトキシジベンゾイルメタン、4,4’ −ジプロポキシジベンゾイルメタン、4,4’ −ジイソプロポキシジベンゾイルメタン、4,4’ −ジブトキシジベンゾイルメタン、4−メチル−4’ −メトキシジベンゾイルメタン、4−メチル−4’ −エトキシジベンゾイルメタン、4−メチル−4’ −プロポキシジベンゾイルメタン、4−メチル−4’ −ブトキシジベンゾイルメタン、4−エチル−4’ −メトキシジベンゾイルメタン、4−エチル−4’ −エトキシジベンゾイルメタン、4−エチル−4’ −プロポキシジベンゾイルメタン、4−エチル−4’ −ブトキシジベンゾイルメタン、4−プロピル−4’ −メトキシジベンゾイルメタン、4−プロピル−4’ −エトキシジベンゾイルメタン、4−プロピル−4’ −プロポキシジベンゾイルメタン、4−プロピル−4’ −ブトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピル−4’ −メトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピル−4’ −エトキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピル−4’ −プロポキシジベンゾイルメタン、4−イソプロピル−4’ −ブトキシジベンゾイルメタン、4−ブチル−4’ −メトキシジベンゾイルメタン、4−ブチル−4’ −エトキシジベンゾイルメタン、4−ブチル−4’ −プロポキシジベンゾイルメタン、4−ブチル−4’ −ブトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’ −メトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’ −エトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’ −プロポキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’ −ブトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられる。本発明においては、これらのうち、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン及びジベンゾイルメタンが好ましい。
【0010】
一般式(2)において、R”としては水素原子又は塩素原子が好ましい。また、m及びm’は1が好ましい。一般式(2)で表されるベンゾトリアゾ−ル化合物の具体例としては、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾ−ル、2−(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾ−ル、5−クロロ−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾ−ル、5−クロロ−2−(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾ−ル、5−ブロモ−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾ−ル、5−ブロモ−2−(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾ−ル、ジクロロ−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾ−ル、ブロモクロロ−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−べンゾトリアゾールなどが挙げられる。本発明においては、これらのうち、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール及び5−クロロ−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾールが好ましい。
これらの紫外線吸収剤に水あるいはアルコールなどの有機溶媒等を加えることにより、プラスチックレンズに紫外線吸収剤を含浸させるための紫外線吸収剤溶液を調製する。この紫外線吸収剤溶液には、紫外線吸収剤の分散を向上させるための界面活性剤、プラスチックを膨潤させるためのベンジルアルコール等の膨潤剤、酸化防止剤などを添加してもよい。界面活性剤を添加する場合、その添加量は特に限定されるものではないが、通常、水等の溶媒1リットルに対して1〜50ミリリットルとすることができる。
本発明のプラスチック眼鏡レンズは、ポリ(チオ)ウレタンレンズ又はジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーの重合体からなるレンズを前記式(1)又は(2)で表される紫外線吸収剤溶液に浸漬することにより作製される。その紫外線吸収剤溶液温度は、浸漬するプラスチックレンズの素材、浸漬時間等によって異なり、限定されるものではないが、実用的な面から考慮すると40℃〜100℃が好ましい。
【0011】
本発明に係るポリ(チオ)ウレタンレンズとは、ポリチオウレタンレンズ又はポリウレタンレンズをいい、チオウレタン系のモノマー又はウレタン系のモノマーを重合することにより作製される。これらのモノマーとして具体的には、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との組み合わせ、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との組み合わせを挙げることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されず、その具体例としては、水添2,6−トリレンジイソシアネート、水添メタ及びパラフェニレンジイソシアネート、水添2,4−トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添メタキシリレンジイソシアネート、水添パラキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート化合物;メタ及びパラフェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’ −ジフェニルメタンジイソシアネート、メタ及びパラキシリレンジイソシアネート、メタ及びパラテトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタリンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュウレット反応生成物、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の脂環又は芳香環を有していないイソシアネート化合物;ジフェニルジスルフィド−4,4’ −ジイソシアナート、2,2’ −ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’ −ジイソシアナート、3,3’ −ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’ −ジイソシアナート、3,3’ −ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’ −ジイソシアナート、4,4’ −ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’ −ジイソシアナート、3,3’ −ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’ −ジイソシアナート、4,4’ −ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’ −ジイソシアナート、ジフェニルスルホン−4,4’ −ジイソシアナート、ジフェニルスルホン−3,3’ −ジイソシアナート、ベンジリデンスルホン−4,4’ −ジイソシアナート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’ −ジイソシアナート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4’ −ジイソシアナート、4,4’ −ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’ −ジイソシアナート、3,3’ −ジメトキシ−4,4’ −ジイソシアナトジベンジルスルホン、4,4’ −ジメチルジフェニルスルホン−3,3’ −ジイソシアナート、4,4’ −ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’ −ジイソシアナート、4,4’ −ジメトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’ −ジイソシアナート、4,4’ −ジクロロジフェニルスルホン−3,3’ −ジイソシアナート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’ −イソシアナトフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’ −イソシアナトフェノールエステル、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−3’ −メチル−4’ −イソシアナート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’ −ジイソシアナート、4,4’ −ジメトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’ −ジイソシアナート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’ −イソシアナート、チオフェン−2,5−ジイソシアナート、チオフェン−2,5−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2,3−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2−イソシアナトメチル−5−イソシアナトプロピル、1,3−ジチオラン−4,5−ジイソシアナート、1,3−ジチオラン−4,5−ジイソシアナトメチル、1,3−ジチオラン−2−メチル−4,5−ジイソシアナトメチル、1,3−ジチオラン−2,2−ジイソシアナトエチル、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジイソシアナート、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジイソシアナトメチル、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジイソシアナトエチル、テトラヒドロチオフェン−3,4−ジイソシアナトメチル等の硫黄含有イソシアネート化合物を挙げることができる。
【0012】
ポリチオール化合物としては、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプトコハク酸(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン等の脂肪族チオール;1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,4,5−テトラメルカプトベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメトキシ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエトキシ)ベンゼン、2,2’ −ジメルカプトビフェニル、4,4’ −ジメルカプトビフェニル、4,4’ −ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、2,7−ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族チオール;2,5−ジクロロベンゼン−1,3−ジチオール、1,3−ジ(p−クロロフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、3,4,5−トリブロム−1,2−ジメルカプトベンゼン、2,3,4,6−テトラクロル−1,5−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン等の塩素置換体、臭素置換体等のハロゲン置換芳香族チオール;1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3,4−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4,5−テトラキス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらの核アルキル化物等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族チオール;ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピル)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、2−メルカプトエチルチオ−1,3−プロパンジチオール、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4’ −チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4’ −ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、4−メルカプトメチル−3,6−ジチアオクタン−1,8−ジチオール、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ビス(1,3−ジメルカプト−2−プロピル)スルフィド等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族チオール;3,4−チオフェンジチオール、テトラヒドロチオフェン−2,5−ジメルカプトメチル、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物などが挙げられる。本発明においては、これらのうち、高屈折率のプラスチック眼鏡レンズを提供する観点から、硫黄原子を含有するイソシアネート化合物,メルカプト基以外に硫黄原子を含有するポリチオール化合物が好ましい。
【0013】
ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグルコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、ビシクロ〔4.3.0〕−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔5.3.1.1〕ドデカンジオール、スピロ〔3.4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール等の脂肪族ポリオール;ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、テトラブロムビスフェノールA等の芳香族ポリオール及びそれらとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加反応生成物;ビス−〔4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔4−(4−ヒドロキシシクロヘキシロキシ)フェニル〕スルフィド、ビス−〔2−メチル−4−(ヒドロキシエトキシ)−6−ブチルフェニル〕スルフィド及びこれらの化合物に水酸基1個当たり平均3分子以下のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドが付加された化合物;ジ−(2−ヒドロキシエチル)スルフィド、1,2−ビス−(2−ヒドロキシエチルメルカプト)エタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、1,4−ジチアン−2,5−ジオール、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)スルフィド、テトラキス(4−ヒドロキシ−2−チアブチル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(商品名ビスフェノールS)、テトラブロモビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4’ −チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチルチオエチル)−シクロヘキサン等の硫黄原子を含有したポリオールなどが挙げられる。本発明においては、これらのうち、高屈折率のプラスチック眼鏡レンズを提供する観点から、硫黄原子を含有するポリオール化合物が好ましい。
【0014】
ポリ(チオ) ウレタンレンズは従来より知られており、その開示をしている具体的な公知刊行物としては、例えば、特開昭58−127914号公報、特開昭57−136601号公報、特開平01−163012号公報、特開平03−236386号公報、特開平03−281312号公報、特開平04−159275号公報、特開平05−148340号公報、特開平06−065193号公報、特開平06−256459号公報、特開平06−313801号公報、特開平06−192250号公報、特開平07−063902号公報、特開平07−104101号公報、特開平07−118263号公報、特開平07−118390号公報、特開平07−316250号公報、特開昭60−199016号公報、特開昭60−217229号公報、特開昭62−236818号公報、特開昭62−255901号公報、特開昭62−267316号公報、特開昭63−130615号公報、特開昭63−130614号公報、特開昭63−046213号公報、特開昭63−245421号公報、特開昭63−265201号公報、特開平01−090167号公報、特開平01−090168号公報、特開平01−090169号公報、特開平01−090170号公報、特開平01−096208号公報、特開平01−152019号公報、特開平01−045611号公報、特開平01−213601号公報、特開平01−026622号公報、特開平01−054021号公報、特開平01−311118号公報、特開平01−295201号公報、特開平01−302202号公報、特開平02−153302号公報、特開平01−295202号公報、特開平02−802号公報、特開平02−036216号公報、特開平02−058517号公報、特開平02−167330号公報、特開平02−270859号公報、特開平03−84031号公報、特開平03−084021号公報、特開平03−124722号公報、特開平04−78801号公報、特開平04−117353号公報、特開平04−117354号公報、特開平04−256558号公報、特開平05−78441号公報、特開平05−273401号公報、特開平05−093801号公報、特開平05−080201号公報、特開平05−297201号公報、特開平05−320301号公報、特開平05−208950号公報、特開平06−072989号公報、特開平06−256342号公報、特開平06−122748号公報、特開平07−165859号公報、特開平07−118357号公報、特開平07−242722号公報、特開平07−247335号公報、特開平07−252341号公報、特開平08−73732号公報、特開平08−092345号公報、 特開平07−228659号公報、特開平08−3267号公報、特開平07−252207号公報、特開平07−324118号公報、特開平09−208651号公報などが挙げられる。これらの公報に開示されているポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、ポリチオール化合物を原料モノマーとするポリ(チオ)ウレタンレンズは、本発明でいう(チオ) ウレタン系のモノマーに該当することはいうまでもない。
勿論、これらのポリ(チオ) ウレタンレンズの耐熱性、屈折率等の物性を向上させるために、例えばエピスルフィド基を有する化合物、ビニル基を有する化合物等の他のプラスチックレンズモノマーを原料モノマーに添加することも可能である。
【0015】
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーの重合体からなるレンズとは、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独、及びジエチレングリコールビスアリルカーボネートと共重合可能なモノマーとの混合モノマーの重合体からなるレンズが該当する。その共重合体可能なモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有するモノ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類〔ただし、本明細書中の(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する〕;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレートなどが挙げられる。本発明においては、これらのうち、高屈折率のプラスチック眼鏡レンズを提供する観点から、芳香環を有する化合物が好ましい。
ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと他のモノマーとの共重合体は公知であり、その例として、特開昭54−41965号公報、特開昭51−125487号公報、特平01−503809号公報などに開示されている共重合体が挙げられる。これら公報に記載されているジエチレングリコールビスアリルカーボネートと、このジエチレングリコールビスアリルカーボネートと共重合可能なモノマーとの混合物は、本発明におけるジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーに該当することはいうまでもない。
【0016】
本発明に係るポリ(チオ)ウレタンレンズ又はジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーの重合体からなるレンズは、上述のプラスチックレンズモノマーを重合することにより得られる。プラスチックレンズモノマーの重合方法は、特に限定されるものではないが、通常、注型重合が採用される。すなわち、上述のプラスチックレンズモノマーをレンズ成型用鋳型中に注入し、−20℃〜150℃の間で加熱することよりプラスチック眼鏡レンズが得られる。プラスチックレンズモノマーには、特開平07−063902号公報、特開平07−104101号公報、特開平09−208621号公報、特開平09−255781号公報等に記載されている重合触媒、特開平01−163012号公報、特開平03−281312号公報等に記載されている内部離型剤、酸化防止剤等の助剤を必要に応じて添加することができる。
また、本発明で得られるプラスチック眼鏡レンズは、着色剤を用いて染色処理を行うことができる。また、耐擦傷性向上のため、有機ケイ素化合物、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の微粒子状無機物等を有するコーティング液を用いて硬化被膜をプラスチックレンズ上に形成することができる。また、耐衝撃性を向上させるためにポリウレタンを主成分とするプライマー層を設けることができる。さらに、反射防止の性能を付与するために、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル等を用いて反射防止膜を施すこともできる。また、撥水性向上のため、フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を用いて撥水膜を反射防止膜上に施すことができる。
【0017】
本発明のプラスチック眼鏡レンズは、特定の紫外線吸収剤を含有する溶液に特定のプラスチックレンズを浸漬することにより得られるものであり、プラスチックレンズモノマーに紫外線吸収剤を添加することによる悪影響、すなわちレンズに生じる光学歪、くもり等を防ぐことができる。プラスチックレンズモノマーに紫外線吸収剤を添加して重合することにより得られるプラスチック眼鏡レンズは、紫外線吸収剤がプラスチックレンズ全体に均一に含有されているものであるが、本発明のプラスチック眼鏡レンズは、紫外線吸収剤溶液にプラスチックレンズを浸漬することによりプラスチックレンズに紫外線吸収剤を含浸させたものであるので、プラスチックの表面及びその近傍にのみ紫外線吸収剤が存在し、レンズ表面から内部方向に深い箇所には紫外線吸収剤は存在しない。
本発明のプラスチック眼鏡レンズの性状は様々なものがあり、使用目的等により適宜選定すればよいが、本発明によれば、レンズの中心厚を1.8〜2.2mmとしたときのレンズ中心におけるYI(黄色度)が0.8〜1.2であり、且つ波長385nmにおける紫外線透過率が1〜4%の範囲にあるプラスチック眼鏡レンズを得ることができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、次に記す物性は次の方法により求めた。
▲1▼YI値測定:JIS K7103−1977に規定されているプラスチックの黄色度及び黄色度試験方法に準じて測定した。
▲2▼透過率測定:分光光度計( U3410,日立製作所(株) 製) を用いて385nmの波長における紫外線透過率を測定した。
実施例1
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート100重量部にジイソプロピルパーオキシジカーボネート3重量部を添加し、充分に攪拌混合したのち、ガラス製モールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成型用鋳型(0.00D、レンズ径70mm、肉厚2.2mmに設定)の中に注入し、電気炉中で40〜90℃まで20時間かけて徐々に昇温し90℃で1時間保持して重合を行った。
重合終了後、ガスケットとモールドを取り外したのち、120℃で1時間熱処理してレンズを得た。
レンズに紫外線吸収性を付与するための紫外線吸収処理液として、紫外線吸収剤である4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン7.5gと、界面活性剤である非イオン系のニッカサンソルト7000(日華化学(株)製)10ミリリットルを1リットルの水に添加したものを調製し、これを85℃に加熱し保温した。
得られたレンズをこの紫外線吸収剤溶液に40分間浸漬し、その後、120℃で1時間熱処理し、紫外線吸収剤を含浸させたプラスチックレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は1.0であり、レンズは若干黄色味を帯びていたが、385nmにおける紫外線透過率は1%であり、良好な紫外線カット性を示した。その分光曲線を図1に示す。
【0019】
実施例2
実施例1において、紫外線吸収剤溶液として界面活性剤を含まないものを用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.9であり、レンズは若干黄色味を帯びていたが、385nmにおける紫外線透過率は4%であり、良好な紫外線カット性を示した。その分光曲線を図1に示す。
実施例3
実施例1において、紫外線吸収剤溶液として、ジベンゾイルメタン7.5gと、界面活性剤である非イオン系のニッカサンソルト7000(日華化学(株)製)10ミリリットルを1リットルの水に添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は1.1であり、レンズは若干黄色味を帯びていたが、385nmにおける紫外線透過率は4%であり、良好な紫外線カット性を示した。その分光曲線を図1に示す。
実施例4
実施例1において、紫外線吸収剤溶液として、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール7.5gと、界面活性剤である非イオン系のニッカサンソルト7000(日華化学(株)製)10ミリリットルを1リットルの水に添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は1.1であり、レンズは若干黄色味を帯びていたが、385nmにおける紫外線透過率は4%であり、良好な紫外線カット性を示した。その分光曲線を図1に示す。
実施例5
実施例1において、紫外線吸収剤溶液として、5−クロロ−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール7.5gと、界面活性剤である非イオン系のニッカサンソルト7000(日華化学(株)製)10ミリリットルを1リットルの水に添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は1.0であり、レンズは若干黄色味を帯びていたが、385nmにおける紫外線透過率は3%であり、良好な紫外線カット性を示した。その分光曲線を図1に示す。
【0020】
実施例6
1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン47.5重量部にジメチルチンジクロライド0.45重量部と、離型剤として酸性リン酸エステルであるJP506(城北化学製)0.16重量部を添加して攪拌混合した後、更に2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン26.0重量部とペンタエリスリトールテトラキスメルカプトアセテート26.5重量部を添加し、10mHgの減圧下で30分攪拌混合してレンズ用モノマー組成物を調製した。
ついで、このレンズ用モノマー組成物を、予め準備したガラス製モールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成型用鋳型(0.00D、レンズ径80mm、肉厚1.6mmに設定)の中に注入し、電気炉中で20℃〜100℃まで20時間かけて徐々に昇温したのち、一旦炉から取り出し、ガスケットを取り外したのち炉内に戻し、更に120℃まで1時間かけて昇温し120℃で3時間保持して重合を行った。
重合終了後、モールドを取り外したのち、120℃で1時間熱処理してレンズを得た。
ついで、紫外線吸収剤溶液として、ジベンゾイルメタン7.5gと、界面活性剤である非イオン系のニッカサンソルト7000(日華化学(株)製)10ミリリットルを1リットルの水に添加したものを調製し、これを85℃に加熱し保温した。
得られたレンズをこの紫外線吸収剤溶液に40分間浸漬し、その後、120℃で1時間熱処理し、紫外線吸収剤を含浸させたプラスチックレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ1. mm)におけるYI値は1.0であり、レンズは若干黄色味を帯びていたが、385nmにおける紫外線透過率は5%であり、良好な紫外線カット性を示した。その分光曲線を図1に示す。
以上をまとめて第1表に示す。
【0021】
【表1】
Figure 0003547662
【0022】
比較例1
実施例1において、紫外線吸収剤溶液として、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール7.5gと、界面活性剤である非イオン系のニッカサンソルト7000(日華化学(株)製)10ミリリットルを1リットルの水に添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は0.8であり、レンズの着色はほとんどなかったが、385nmにおける紫外線透過率は58%であり、紫外線カット性を示さなかった。その分光曲線を図2に示す。
比較例2
実施例1において、紫外線吸収剤溶液として、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン7.5gと、界面活性剤である非イオン系のニッカサンソルト7000(日華化学(株)製)10ミリリットルを1リットルの水に添加したものを用い、処理時間を5分とした以外は、実施例1と同様にしてレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は1.8であり、レンズは若干黄色味を帯びていたが、385nmにおける紫外線透過率は10%であり、良好な紫外線カット性を示した。しかし、YI値及び紫外線透過率は実施例で得られたレンズよりも劣るものであった。その分光曲線を図2に示す。
比較例3
実施例1において、紫外線吸収剤溶液として、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン7.5gと、界面活性剤である非イオン系のニッカサンソルト7000(日華化学(株)製)10ミリリットルを1リットルの水に添加したものを用い、処理時間を5分とした以外は、実施例1と同様にしてレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ2.2mm)におけるYI値は1.5であり、レンズは若干黄色味を帯びていたが、385nmにおける紫外線透過率は4%であり、良好な紫外線カット性を示した。しかし、YI値は実施例で得られたレンズよりも劣るものであった。その分光曲線を図2に示す。
比較例4
実施例6において、紫外線吸収剤溶液として、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン7.5gと、界面活性剤である非イオン系のニッカサンソルト7000(日華化学(株)製)10ミリリットルを1リットルの水に添加したものを用い、処理時間を15分とした以外は、実施例6と同様にしてレンズを得た。
得られたレンズの中心(厚さ1. mm)におけるYI値は1.6であり、レンズは若干黄色味を帯びていたが、385nmにおける紫外線透過率は5%であり、良好な紫外線カット性を示した。しかし、YI値は実施例で得られたレンズよりも劣るものであった。その分光曲線を図2に示す。
以上をまとめて第2表に示す。
【0023】
【表2】
Figure 0003547662
【0024】
【発明の効果】
本発明により、波長が400nm近辺までの紫外線をほぼ完全に吸収するにもかからずレンズの着色が少ないプラスチック眼鏡レンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜6における分光曲線を示す図である。
【図2】比較例1〜4における分光曲線を示す図である。

Claims (8)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003547662
    (式中、R及びR’はそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基あるいは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルコキシル基を示す。n及びn’は0〜3の同一又は異なる整数である。)
    で表されるジベンゾイルメタン化合物を含有する溶液に、ポリ(チオ)ウレタンレンズ又はジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーの重合体からなるレンズを浸漬することを特徴とする紫外線吸収性に優れたプラスチック眼鏡レンズの製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法において、レンズを浸漬した後、該レンズを熱処理することを特徴とするプラスチック眼鏡レンズの製造方法。
  3. 一般式(2)
    Figure 0003547662
    (式中、R”は水素原子、塩素原子又は臭素原子を示し、m及びm’はそれぞれ1又は2である。)
    で表されるベンゾトリアゾール化合物を含有する溶液に、ポリ(チオ)ウレタンレンズ又はジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーの重合体からなるレンズを浸漬することを特徴とする紫外線吸収性に優れたプラスチック眼鏡レンズの製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法において、レンズを浸漬した後、該レンズを熱処理することを特徴とするプラスチック眼鏡レンズの製造方法。
  5. 一般式(1)
    Figure 0003547662
    (式中、R及びR’はそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基あるいは炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルコキシル基を示す。n及びn’は0〜3の同一又は異なる整数である。)
    で表されるジベンゾイルメタン化合物を、ポリ(チオ)ウレタンレンズ又はジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーの重合体からなるレンズの表面及びその近傍に含有することを特徴とする波長紫外線吸収性に優れたプラスチック眼鏡レンズ。
  6. 請求項5記載のプラスチック眼鏡レンズにおいて、レンズの中心厚を1.8〜2.2mmとしたときのレンズ中心におけるYI(黄色度)が0.8〜1.2であり、且つ波長385nmにおける紫外線透過率が1〜4%の範囲にあるプラスチック眼鏡レンズ。
  7. 一般式(2)
    Figure 0003547662
    (式中、R”は水素原子、塩素原子又は臭素原子を示し、m及びm’はそれぞれ1又は2である。)
    で表されるベンゾトリアゾール化合物を、ポリ(チオ)ウレタンレンズ又はジエチレングリコールビスアリルカーボネート系のモノマーの重合体からなるレンズの表面及びその近傍に含有することを特徴とする波長紫外線吸収性に優れたプラスチック眼鏡レンズ。
  8. 請求項7記載のプラスチック眼鏡レンズにおいて、レンズの中心厚を1.8〜2.2mmとしたときのレンズ中心におけるYI(黄色度)が0.8〜1.2であり、且つ波長385nmにおける紫外線透過率が1〜4%の範囲にあるプラスチック眼鏡レンズ。
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