JP3546716B2 - コネクタホルダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両内に配線されるワイヤハーネスの接続に用いられるコネクタを固定するためのコネクタホルダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両内に配線されるワイヤハーネスにおいては、異なるワイヤハーネス同士がコネクタを介して接続される。こうしたコネクタは、車両の走行時の振動等により周辺部品に接触して、異音を発生したり、破損してしまうおそれがあった。こうした不都合を解決するために、従来から、そのようなコネクタは、コネクタホルダを介して自動車内に固着されていた。
【0003】
以下、従来のコネクタホルダについて図8〜図11に従って説明する。
図8に示すように、一面が開口した略箱状をなすコネクタホルダ51は、その側壁52にホルダ部53を備えている。このホルダ部53には、異なるワイヤハーネス同士の接続に用いられるコネクタ54(図9に図示)が取付けられる。
【0004】
ホルダ部53は、側壁52から突出形成された一対のガイド部55と、それらのガイド部55間に形成された壁部56とを備えている。これら各ガイド部55及び壁部56により、ホルダ部53には、側壁52、各ガイド部55、及び壁部56に囲まれた空間部57が設けられている。この空間部57は、コネクタホルダ51の底壁58を貫通している。すなわち、空間部57は、筒状をなしている。また、壁部56の先端側には、ガイド部55と隔絶する切欠き59が設けられている。これにより、壁部56には、係合片60が形成されている。壁部56の略中央には、孔部61が設けられている。この孔部61の基端は、図9に併せ示すように、底壁58を貫通している。したがって、底壁58には、開口部58aが設けられている。
【0005】
また、側壁52において、空間部57内に位置する箇所は肉厚に形成されている。そして、その略中央部分には、溝部62が設けられている。
一方、図9に示すように、コネクタ54は略直方体に形成され、複数のワイヤハーネス63が接続されている。また、コネクタ54の一側壁71には、前記ホルダ部53と接続可能な係合部72が形成されている。この係合部72は、断面略「L」字状をなす一対のガイド部73と、それら各ガイド部73間に形成された可撓片74とから構成されている。また、可撓片74の先端には、係合突起75が形成されている。
【0006】
こうしたコネクタ54は、同図に矢印Jで示すように、係合部72がホルダ部53の係合片60に接続されることによって、コネクタホルダ51に装着されることとなる。すなわち、図10に示すように、コネクタ54の可撓片74及びガイド部73の一部がホルダ部53の空間部57内に挿入される。可撓片74は、この挿入に伴って溝部62側へ撓み、係合突起75が壁部56の孔部61に到達した時点で元に戻る。これにより、係合突起75が孔部61に係合する。このため、コネクタ54は、コネクタホルダ51に抜け止めされた状態で支持される。これにより、ワイヤハーネス63は、コネクタホルダ51内に収容された状態となり、水や粉塵等から保護されることとなる。なお、図10においては、コネクタ54及びワイヤハーネス63を2点鎖線で示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ホルダ部53は、図11に示すような金型76を図10に示す矢印T1の方向から挿入させることによって、空間部57及び孔部61の成形がなされている。このため、該空間部57及び孔部61の成形後は、同図10に示す矢印T2の方向に金型76を抜き取る必要がある。したがって、上述したように、ホルダ部53の空間部57及び孔部61は底壁58を貫通した形状となる。すなわち、金型76による型抜きを行うためには、空間部57及び孔部61が底壁58を貫通した形状にする必要がある。
【0008】
しかしながら、例えば、図10に示すように、側壁52が上面となるようにコネクタホルダ51を用いる場合、同図に矢印Fで示すように、開口部58aから空間部57及び孔部61を介してホルダ51の内部に水等が入り込みやすくなる。その結果、ワイヤハーネス63が劣化しやすくなり、ひいてはワイヤハーネス63同士の短絡や断絶を引き起こしてしまう。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、防水性を向上することのできるコネクタホルダを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、側壁にホルダ部を備えた有底の箱体からなり、そのホルダ部は、前記側壁に突出形成された一対のガイド部と、それらガイド部間に設けられた壁部と、前記側壁、前記各ガイド部、及び前記壁部に囲まれ、箱体の底壁を貫通して設けられた空間部とを備え、前記壁部には、コネクタが有する係合突起の進入を許容する孔部が、箱体内部と前記空間部とを連通した状態で、箱体の底壁を貫通して設けられてなるコネクタホルダにおいて、前記ホルダ部は、前記空間部及び前記孔部によって前記底壁に設けられた開口部から、水などが箱体の内部に侵入することを防止する保護壁をさらに備え、該保護壁は、前記壁部において、前記孔部の一部を被覆するとともにその幅が前記各ガイド部間の距離と一致し、前記コネクタが前記ホルダ部に装着された状態において上端が該コネクタの外面に当接するように前記壁部及び前記底壁と一体に形成され、前記孔部は、前記コネクタが前記ホルダ部に装着された状態において該コネクタの外面によって閉塞されることをその要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のコネクタホルダにおいて、前記保護壁は、斜状に設けられた壁部であることをその要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のコネクタホルダにおいて、前記ホルダ部の車両下方に向く部分を、外方に向かって低くなる斜状に形成したことをその要旨とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1〜図3に従って説明する。
【0014】
図1に示すように、コネクタホルダ1は、一面が開口した有底の箱体11と、その一側壁12に形成されたホルダ部13とから構成されている。
ホルダ部13は、側壁12から突出形成された一対のガイド部14と、それらのガイド部14間に形成された壁部15とを備えている。これら各ガイド部14及び壁部15により、ホルダ部13には、側壁12、各ガイド部14、及び壁部15に囲まれた空間部16が設けられている。この空間部16は、コネクタホルダ1の底壁17を貫通している。すなわち、空間部16は、筒状をなしている。また、壁部15の先端側には、ガイド部14と隔絶する切欠き18が設けられている。これにより、壁部15には、係合片19が形成されている。壁部15の略中央には、孔部20が設けられている。この孔部20の基端は、図2に併せ示すように、底壁17を貫通している。したがって、底壁17には、開口部17a設けられている。
【0015】
また、側壁12において、空間部16内に位置する箇所は肉厚に形成されている。そして、その略中央部分には、溝部22が設けられている。
さらに、壁部15には、孔部20を被覆する保護壁21が形成されている。この保護壁21は、図3に示すように、側壁12及び底壁17と同等の厚みで形成されている。同保護壁21は、壁部15及び底壁17と一体に形成され、係合片19の基端部近傍まで延設されている。また、保護壁21は、その幅が各ガイド部14間の距離と一致するように形成されている。
【0016】
図3に示すように、壁部15に形成された保護壁21は、図11に示した金型76に干渉しない。このため、こうしたコネクタホルダ1においても、その成形時には、該金型76が用いられる。すなわち、保護壁21を壁部15に形成しても、金型76による型抜きを行うことができる。
【0017】
このように構成されたコネクタホルダ1には、前述した従来の形態と同様に、前記コネクタ54が取付けられる。そこで、コネクタホルダ1とコネクタ54との組付け態様を図2及び図3に従って説明する。
【0018】
コネクタ54は、図2に矢印Jで示すように、その係合部72がホルダ部13に接続される。これにより、コネクタ54は、コネクタホルダ1に装着されることとなる。すなわち、図3に示すように、コネクタ54の可撓片74及びガイド部73の一部がホルダ部13の空間部16内に挿入される。可撓片74は、この挿入に伴って溝部22側へ撓み、係合突起75が壁部15の孔部20に到達した時点で元に戻る。これにより、係合突起75が孔部20に係合する。このため、コネクタ54は、コネクタホルダ1に抜け止めされた状態で支持される。これにより、ワイヤハーネス63は、コネクタホルダ1内に収容された状態となり、水等から保護されることとなる。なお、図3においては、コネクタ54及びワイヤハーネス63を2点鎖線で示している。
【0019】
こうしたコネクタホルダ1を、図2及び図3に示したように、側壁12が上面となるように用いる場合には、図3に矢印Fで示すように、底壁17の開口部17aから水等がホルダ1の内部に侵入しようとしても、保護壁21によって阻まれる。このため、コネクタホルダ1の内部に水等が侵入しにくくなる。
【0020】
以上詳述したように、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)ホルダ部13の壁部15に保護壁21を設けても、金型76による型抜きを行うことができる。このため、底壁17の開口部17aから水等が侵入しようとしても、保護壁21によって阻まれる。したがって、コネクタホルダ1の内部に水等が侵入しにくくなる。その結果、コネクタホルダ1の防水性が向上し、該水等の侵入に起因するワイヤハーネス63の劣化を防止することができる。
【0021】
(2)金型76の形状を変更することなくホルダ部13を成形することができる。このため、コネクタホルダ1の成形に必要な金型を、少変更で済ませることができ、金型の製造コストの高騰を抑制することができる。
【0022】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図4〜図6に従って説明する。なお、本実施形態において、前述した従来の形態及び第1実施形態と近似する部材については、符号を等しくして、その詳細な説明を省略する。
【0023】
本実施形態において、前述した第1実施形態と相違する点は、第1実施形態にてホルダ部13に形成された壁部15の形状についてである。
図4に示すように、本実施形態におけるホルダ部13には、係合部19と底壁17との間が斜状をなす壁部31が形成されている。この壁部31は、図5に示すように、側壁12及び底壁17と同等の厚みで形成されている。同壁部31は、底壁17と一体に形成され、前記保護壁21と同様に、係合片19の基端部近傍まで延設されている。また、壁部31の角度θは、10゜〜15゜程度に設定されており、前記コネクタ54を装着した際に、ワイヤハーネス63の邪魔にならないようになっている。このように壁部31を斜状とすることで、空間部16は、底壁17側に向かって広くなっている。
【0024】
こうしたコネクタホルダ1においても、前記第1実施形態と同様に、コネクタ54が装着される。
ところで、ホルダ部13は、図6に示すような金型41を図5に示す矢印T1方向から挿入させることによって空間部16及び孔部20の成形がなされている。ここで、壁部31を斜状に形成することにより、壁部31が金型41の孔部20と対応する部分に干渉しなくなる。このため、壁部31に孔部20を設ける必要がない。したがって、孔部20を壁部31に沿って底壁17まで貫通形成する必要がない。このため、図5に矢印Fで示す方向ように、底壁17の開口部17aから水等がコネクタホルダ1の内部に侵入しようとしても、保護壁31によって阻まれる。このため、コネクタホルダ1の内部に水等が侵入しにくくなる。
【0025】
したがって、本実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の効果に加え、以下のような効果を得ることができる。
(1)壁部31を斜状に形成することで、その斜状部分に孔部20を設ける必要がない。すなわち、孔部20を壁部31に沿って底壁17まで貫通形成する必要がない。このため、壁部31が第1実施形態における保護壁21と同等の役割をし、水等がコネクタホルダ1の内部に侵入しにくくなる。したがって、コネクタホルダ1の防水性を向上させることができる。
【0026】
(2)斜状の壁部31が底壁17に向かって低くなる向きでコネクタホルダを用いる際には、より確実に水等の侵入を防止することができる。
(3)空間部16は、底壁17に向かって広くなっているため、金型41も肉厚となる。したがって、金型41の強度を高めることができる。
【0027】
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 側壁12が垂直方向となるようにコネクタホルダ1を使用する場合には、図7に示すように、下側となるガイド部14を底壁17に向かって低くなるように、斜状に形成してもよい。
【0028】
このようにすれば、同図に矢印Kで示す方向から水等がコネクタホルダ1内に侵入しようとしても、この斜状のガイド部14に阻まれる。このため、コネクタホルダ1の防水性をより向上させることができる。
【0029】
・ 前記各実施形態においては、側壁12の空間部16に位置する箇所を肉厚に形成しているが、必ずしも肉厚に形成する必要はない。
・ 前記各実施形態では、空間部16及び孔部20を成形するために、金型41,76を用いているが、これらの金型41,76は、この形状に限らない。要は、空間部16及び孔部20が所望の形状で成形できるものであればどの形状であってもよい。
【0030】
・ 前記第1実施形態では、保護壁21の幅を各ガイド部14間の距離と一致するように形成しているが、孔部20を被覆できる最小の幅で形成してもよい。すなわち、保護壁21を壁部15の中央部のみに形成するようにしてもよい。
【0031】
このようにすれば、保護壁21を形成するための材料を少なくすることができ、製造コストの高騰を抑制することができるようになる。
以上、各実施形態について説明したが、各実施形態から把握できる請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果と共に記載する。
【0032】
・ 請求項2に記載のコネクタホルダにおいて、前記保護壁は、前記孔部を被覆可能な最小限の幅をなすことを特徴とするコネクタホルダ。
このようにすれば、保護壁を形成する材料をするための材料を少なくすることができ、製造コストの高騰を抑制することができる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、保護壁によって、箱体の底壁における空間部及び孔部による貫通部分から、水などが箱体の内部に侵入することを防止することができる。このため、コネクタホルダの防水性を向上させることができる。
【0034】
また、保護壁を壁部に設けることで、空間部及び孔部を成形するための金型を変更することなく、容易にコネクタホルダの防水性を向上させることができる。
【0035】
請求項2に記載の発明によれば、壁部を斜状に設けることで、底壁を貫通させた状態で孔部を設ける必要がなくなる。このため、箱体の底壁における貫通部分から水などが箱体の内部に侵入することを防止することができる。したがって、コネクタホルダの防水性を向上させることができる。
【0036】
請求項3に記載の発明によれば、斜状の部分に付着した水などを、外方に向かって流れやすくすることができる。このため、コネクタホルダの防水性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のコネクタホルダを示す斜視図。
【図2】同実施形態のコネクタホルダとコネクタとを示す斜視図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】第2実施形態のコネクタホルダを示す斜視図。
【図5】図4のB−B線断面図。
【図6】同実施形態のコネクタホルダの成形に用いられる金型の斜視図。
【図7】本発明の他の実施形態を、図1のC−C線断面にて示す断面図。
【図8】従来のコネクタホルダを示す斜視図。
【図9】同コネクタホルダとコネクタとを示す斜視図。
【図10】図8のD−D線断面図。
【図11】同コネクタホルダの成形に用いられる金型の斜視図。
【符号の説明】
1…コネクタホルダ、11…箱体、12…側壁、13…ホルダ部、14…ガイド部、15,31…壁部、16…空間部、17…底壁、19…係合片、20…孔部、21…保護壁、41…金型、54…コネクタ、72…係合部。
Claims (3)
- 側壁にホルダ部を備えた有底の箱体からなり、そのホルダ部は、前記側壁に突出形成された一対のガイド部と、それらガイド部間に設けられた壁部と、前記側壁、前記各ガイド部、及び前記壁部に囲まれ、箱体の底壁を貫通して設けられた空間部とを備え、前記壁部には、コネクタが有する係合突起の進入を許容する孔部が、箱体内部と前記空間部とを連通した状態で、箱体の底壁を貫通して設けられてなるコネクタホルダにおいて、前記ホルダ部は、前記空間部及び前記孔部によって前記底壁に設けられた開口部から、水などが箱体の内部に侵入することを防止する保護壁をさらに備え、
該保護壁は、前記壁部において、前記孔部の一部を被覆するとともにその幅が前記各ガイド部間の距離と一致し、前記コネクタが前記ホルダ部に装着された状態において上端が該コネクタの外面に当接するように前記壁部及び前記底壁と一体に形成され、
前記孔部は、前記コネクタが前記ホルダ部に装着された状態において該コネクタの外面によって閉塞されることを特徴とするコネクタホルダ。 - 請求項1に記載のコネクタホルダにおいて、
前記保護壁は、斜状に設けられた壁部であることを特徴とするコネクタホルダ。 - 請求項1または請求項2に記載のコネクタホルダにおいて、
前記ホルダ部の車両下方に向く部分を、外方に向かって低くなる斜状に形成したことを特徴とするコネクタホルダ。
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