JP3545425B2 - ウリジン二リン酸―n―アセチルグルコサミンの製造法 - Google Patents
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Description
本発明は、オリゴ糖合成の重要な基質であるウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミン(UDPAG)の製造法に関するものである。
背景技術
近年、糖鎖についての研究が急速に進み、その機能が明らかになるにつれ、生理活性を有するオリゴ糖の医薬品または機能性素材としての用途開発が注目を集めている。しかし、現在市販されているオリゴ糖はごく限られた種類のものしかなく、しかも極めて高価である。また、そのようなオリゴ糖は試薬レベルでしか製造できず、必ずしもその大量製造法が確立されているとは限らない。
従来、オリゴ糖の製造は天然物からの抽出法、化学合成法あるいは酵素合成法、さらにはそれらの併用により行われていたが、その中でも酵素合成法が大量製造に適した方法であると考えられている。すなわち、(1)酵素合成法が化学合成法にみられる保護、脱保護といった煩雑な手順を必要とせず、速やかに目的のオリゴ糖を合成できる点、(2)酵素の基質特異性により、きわめて構造特異性の高いオリゴ糖を合成できる点などが他の方法より有利と考えられるためである。さらに、近年の組換えDNA技術の発達により種々の合成酵素が安価にしかも大量に生産できるようになりつつあることが、酵素合成法の優位性をさらに押し上げる結果となっている。
酵素合成法によりオリゴ糖を合成する方法としては、オリゴ糖の加水分解酵素の逆反応を利用する方法および糖転移酵素を利用する方法の2通りの方法が考えられている。前者の方法は、基質として単価の安い単糖を用いることができるという利点はあるものの、反応自体は分解反応の逆反応を利用するものであり、合成収率や複雑な構造を持つオリゴ糖合成への応用といった点では必ずしも最良の方法とは考えられていない。
一方、後者は糖転移酵素を用いる合成法であり、合成収率や複雑な構造を持つオリゴ糖合成への応用といった点で前者の方法よりも有利であると考えられており、また、近年の組換えDNA技術の進歩により各種糖転移酵素の量産化も該技術の実現化への後押しとなっている。
しかしながら、糖転移酵素を用いる合成法で用いる糖供与体である糖ヌクレオチドは、一部のものを除き依然として高価で、量的にも試薬レベルのわずかな供給量でしか提供し得ないのが現状である。多くの生理活性糖鎖のコア部分に含まれるN−アセチルグルコサミンの供与体であるUDPAGについても耐浸透圧性酵母を用いる方法などが報告されているものの(特開平8−23993号公報)、工業的生産の実現化までにはまだまだ検討の余地が残されている。
本発明者らは、酵母中でのUDPAGの生合成経路に関して詳細に検討した結果、グルコサミンがグルコサミン−6リン酸、N−アセチルグルコサミン−6リン酸を経てN−アセチルグルコサミン−1リン酸まで活性化される一連の反応経路の中でグルコサミン−6リン酸からN−アセチルグルコサミン−6リン酸へのアセチル化反応が律速段階となっているのではないかと考えた。このため、N−アセチルグルコサミン−6リン酸を基質とすればUDPAGの合成効率は向上できるものと考えられるものの、この物質を安価にしかも大量に入手することは現時点では不可能である。
そこで、現時点において安価にしかも大量に入手可能なN−アセチルグルコサミンを基質として用いることができれば、律速段階であるアセチル化反応を経なくてすみ、グルコサミンよりも理想的な基質となり得ると考え、栃倉らにより報告されているウリジル酸(UMP)とN−アセチルグルコサミンを基質として用いた酵母によるUDPAGの製造方法(特公昭49−8278号公報:栃倉法)について検討を行った。しかしながら、グルコサミンよりもN−アセチルグルコサミンを基質として用いた方がUDPAGの生成量が減少し、全く生成しないか、ごく僅かのUDPAGしか製造できないという栃倉らの報告を再確認したに過ぎないものであった。
したがって、本発明は、N−アセチルグルコサミンを基質として用いた場合であっても収率よくUDPAGを製造できる方法を提供することを目的とするものである。
発明の開示
本発明者らは上記目的を達成すべく研究を重ねた結果、(1)N−アセチルグルコサミンをリン酸化する酵素活性が酵母中にはほとんどないか、あってもごく微弱であり、このためにN−アセチルグルコサミンは基質となりえないが、反応系にN−アセチルグルコサミンのリン酸化酵素であるN−アセチルグルコサミンキナーゼを共存させることで効率的にUDPAGが合成できること、(2)さらにN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ及び/またはウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを添加することにより、N−アセチルグルコサミンキナーゼ単独の時よりもUDPAGの収率を向上させることができること、(3)N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ及びウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを用いることにより、ウリジン三リン酸(UTP)からUDPAGが効率的に合成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、酵母菌体を用いてUMP及びN−アセチルグルコサミンからUDPAGを製造する方法において、N−アセチルグルコサミンキナーゼを共存せしめることを特徴とするUDPAGの製造法を提供するものである。
また、本発明は、酵素を用いてUTP及びN−アセチルグルコサミンからUDPAGを製造する方法において、酵素としてN−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ及びウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを併用することを特徴とするUDPAGの製造法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、Bacillus stearothermophilus ATCC15952由来のN−アセチルグルコサミンキナーゼを共存させたときのUDPAG生成量の経時変化を示したものである。
図2は、Escherichia coli IAM1268由来のN−アセチルグルコサミンキナーゼを共存させたときのUDPAG生成量の経時変化を示したものである。
図3は、Klebsiella planticola IFO3317由来のN−アセチルグルコサミンキナーゼを共存させたときのUDPAG生成量の経時変化を示したものである。
図4は、枯草菌M168株由来の組換えN−アセチルグルコサミンキナーゼを共存させたときのUDPAG生成量の経時変化を示したものである。
図5は、枯草菌M168株由来の組換えN−アセチルグルコサミンキナーゼ、パン酵母由来の組換えN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ、および/または大腸菌E102株由来の組換えUDPAGピロホスホリラーゼを共存させたときのUDPAG生成量の経時変化を示したものである。なお、図中、▲1▼は酵母とN−アセチルグルコサミンキナーゼ、▲2▼は酵母とN−アセチルグルコサミンキナーゼとN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ、▲3▼は酵母とN−アセチルグルコサミンキナーゼとUDPAGピロホスホリラーゼ、▲4▼は酵母とN−アセチルグルコサミンキナーゼとN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼとUDPAGピロホスホリラーゼを組み合わせたときの結果を示したものである。
図6は、枯草菌M168株由来の組換えN−アセチルグルコサミンキナーゼ、パン酵母由来の組換えN−アセチルグルコサミンホスフェート・ムターゼ、および/または大腸菌E102株由来の組換えUDPAGピロホスホリラーゼを共存させた時のUDPAG生成量の経時変化を示したものである。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、上述したように、酵母菌体を用いてUMP及びN−アセチルグルコサミンからUDPAGを製造する方法において、N−アセチルグルコサミンキナーゼを共存せしめてUDPAGを製造する方法に関するものである。
反応に使用する酵母菌体としては、糖ヌクレオチドの製造に使用されるものであれば特に制限されない。具体的には、サッカロミセス(Saccharomyces)属、チゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属、カンディダ(Candida)属、トルロプシス(Torulopsis)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、デバリオミセス(Debaryomyces)属などの酵母由来の菌体を例示することができる。このような酵母菌体は、生酵母菌体、乾燥酵母菌体いずれであってもかまわないが、反応収率、取扱いの容易性などの点から乾燥酵母菌体を用いるのが好ましい。
反応系に添加するN−アセチルグルコサミンキナーゼとしては、動物由来、植物由来、微生物由来など、特定の由来のものに限定されず、すべての由来のものを使用することができる。しかし、酵素調製の簡便性などの点から微生物由来の酵素を使用するのが好都合である。
N−アセチルグルコサミンキナーゼは、カンディダ(Candida)属(Biochemica et Biophysica Acta,614,350(1980))、ストレプトコッカス(Streptococcus)属(Methods in Enzymology,9,415(1966))、エッシェリヒア(Escherichia)属(Methods in Enzymology,9,421(1966))、バシラス(Bacillus)属、クレブシェラ(Klebsiella)属など多くの微生物に普遍的に存在し、培養菌体から容易に調製可能である。
また、N−アセチルグルコサミンキナーゼは、常法に従ってN−アセチルグルコサミンキナーゼ遺伝子をクローン化し、微生物菌体内で大量発現させる、いわゆる組換えDNA手法により調製することも可能である。
反応系に添加するN−アセチルグルコサミンキナーゼは、当該活性を有する限りどのような形態であってもよい。具体的には、微生物の菌体、該菌体の処理物または該処理物から得られる酵素調製物などを例示することができる。
微生物の菌体の調製は、当該微生物が生育可能な培地を用い、常法により培養後、遠心分離等で集菌する方法で行うことができる。具体的に、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)またはクレブシェラ・プランティコラ(Klebsiella planticola)に属する細菌を例に挙げ説明すれば、培地としてはブイヨン培地、LB培地(1%トリプトン、0.5%イーストエキストラクト、1%食塩)または2×YT培地(1.6%トリプトン、1%イーストエキストラクト、0.5%食塩)などを使用することができ、当該培地に種菌を接種後、約30〜50℃で約10〜50時間程度必要により撹拌しながら培養し、得られた培養液を遠心分離して微生物菌体を集菌することによりN−アセチルグルコサミンキナーゼ活性を有する微生物菌体を調製することができる。
微生物の菌体処理物としては、上記微生物菌体を機械的破壊(ワーリングブレンダー、フレンチプレス、ホモジナイザー、乳鉢などによる)、凍結融解、自己消化、乾燥(凍結乾燥、風乾などによる)、酵素処理(リゾチームなどによる)、超音波処理、化学処理(酸、アルカリ処理などによる)などの一般的な処理法に従って処理して得られる菌体の破壊物または菌体の細胞壁もしくは細胞膜の変性物を例示することができる。
酵素調製物としては、上記菌体処理物から当該酵素活性を有する画分を通常の酵素の精製手段(塩析処理、等電点沈澱処理、有機溶媒沈澱処理、透析処理、各種クロマトグラフィー処理など)を施して得られる粗酵素または精製酵素を例示することができる。
微生物菌体からのN−アセチルグルコサミンキナーゼの調製法を具体的に説明すれば、集菌して得られた菌体を超音波処理により菌体を破砕し、菌体破壊液を遠心して上清を得、この上清に硫酸アンモニウムを添加し、約30〜54%飽和画分を回収する。回収した沈澱を脱塩後、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィー処理を施し、N−アセチルグルコサミンキナーゼ活性画分を濃縮、脱塩することで目的とする酵素調製物を取得することができる。
N−アセチルグルコサミンキナーゼは反応液に約0.001ユニット/ml以上、特に約0.001〜100ユニット/ml添加するのが好ましい。
本発明の反応に使用するUMPとN−アセチルグルコサミンは、市販品を使用することができる。使用濃度としては、特に制限されないが、それぞれ約1〜200mM、好ましくは約10〜100mMの範囲から適宜設定することができる。
本発明においては、無機リン酸とエネルギー源を反応系に添加するのが好ましい。無機リン酸は、リン酸カリウムなどをそのまま使用することもできるが、リン酸緩衝液の形態で使用するのが好ましい。リン酸緩衝液のpHは約6.0〜9.0の範囲から適宜設定すればよい。使用濃度は、特に制限されないが、約10〜500mM、好ましくは約100〜300mMの範囲から適宜設定することができる。エネルギー源としては、グルコース、フラクトースなどの糖類、酢酸、クエン酸などの有機酸を使用することができる。
また、本発明の製造法においては、N−アセチルグルコサミンキナーゼの他に反応系にN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ及び/またはウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを添加共存させるとUDPAGの収率をさらに向上させることができる。
反応系に共存させるN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼまたはウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼとしては、動物由来、植物由来、微生物由来など、特定の由来のものに限定されず、すべての由来のものを使用することができる。しかし、上述したN−アセチルグルコサミンキナーゼと同様に酵素調製の簡便性などの点から微生物由来の酵素を使用するのが好都合である。また、これらの酵素は、それぞれの酵素の遺伝子をクローン化し、微生物菌体内で大量発現させる、いわゆる組換えDNA手法を用いて調製することも可能である。
微生物由来のN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼとしては、サッカロミセス(Saccharomyces)属(European Journal of Biochemistry,221,741(1994))、ニューロスポラ(Neurospoa)属(Journal of Biological Chemistry,219,753(1956))、ブラストクラディエラ(Blastocladiella)属(Biochemica et Biophysica Acta,451,408(1976))に属する微生物のほか、市販の乾燥パン酵母から分離した酵母菌などが挙げられる。
また、微生物由来のウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼとしては、エッシェリヒア(Escherichia)属(Journal of Bacteriology,175,6150(1993))、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属(Journal of Biological Chemistry,234,1822(1959))、サッカロミセス(Saccharomyces)属(Agricultural Biological Chemistry,40,2275(1976))、ニューロスポラ(Neurospoa)属(Can.J.Microbiology,25,1381(1979))に属する微生物、大腸菌などが挙げられる。
N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ、ウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼともN−アセチルグルコサミンキナーゼと同様に多くの微生物に普遍的に存在し、培養菌体から容易に調製可能である。
反応系に添加するN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ及びウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼは、当該活性を有する限りどのような形態であってもよい。具体的には、微生物の菌体、該菌体の処理物または該処理物から得られる酵素調製物などを例示することができ、前述したN−アセチルグルコサミンキナーゼの調製法と同様の方法で調製することができる。
N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ及び/またはウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼは反応液に約0.001ユニット/ml以上、特に約0.1〜10ユニット/ml添加するのが好ましい。
UDPAGは、例えばリン酸緩衝液中に酵母、UMP、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、および必要によりエネルギー源として糖類を添加した反応液に、任意でN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ及び/またはウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを添加し、約5〜30℃、好ましくは約5〜25℃で1〜50時間程度必要により攪拌しながら反応させることにより製造できる。
このようにして得られたUDPAGは、糖ヌクレオチドの通常の単離精製手段(イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、塩析など)により単離精製することができる。
次に、N−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼおよびウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを用いてUTPとN−アセチルグルコサミンからUDPAGを製造する方法について説明する。
反応系に添加するN−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼおよびウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼは上述のものを使用することができる。
また、本発明の反応に使用するUTPとN−アセチルグルコサミンは、市販品を使用することができる。使用濃度としては、たとえばそれぞれ約1〜200mM、好ましくは約10〜100mMの範囲から適宜設定することができる。
UDPAGの合成反応は、例えばpH約6.0〜9.0の酸緩衝液中にUTP、N−アセチルグルコサミンを添加し、この反応液に上記3種類の酵素を約0.001ユニット/ml以上、好ましくは約0.001〜100ユニット/ml添加共存させ、約5〜30℃、好ましくは約5〜25℃で1〜50時間程度、必要により撹拌しながら反応させることにより実施できる。
また、得られたUDPAGは、前述したように、糖ヌクレオチドの通常の手段により単離精製することができる。
さらに、本発明方法においては、UTPの代わりにUTP生成系をUDPAGの反応系に共存させて行うことも可能である。
そのようなUTP生成系としては、反応系にUTPを供給できる系であれば特に制限されるものではなく、公知の方法、例えば微生物菌体を用いる方法、酵素を用いる方法等から適宜選択して使用すればよい。
具体的にUTP生成系を例示すれば、微生物菌体を用いる方法としては、オロチン酸からのUTP生成系(特開平5−276974号)等を利用することができる。また、酵素を用いる方法としては、UTP生成系とATP再生系とが共役したものを用いるのが好ましく、アデニル酸(AMP)にポリリン酸キナーゼ、アデニレートキナーゼ及びポリリン酸を作用せしめてATPを再生しながらUMPにウリジル酸キナーゼ、および必要によりヌクレオシド二リン酸キナーゼを作用せしめてUTPを生成する系などを利用することができる。
UTP生成系を利用したUDPAGの合成反応は、基本的には上記のUDPAGの合成反応条件と同じであり、最終的な反応条件はUTP生成反応とUDPAG合成反応がスムーズに進行する条件を小規模試験にて適宜決定すればよい。
実施例
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明がこれに限定されないことは明らかである。なお、実施例において、反応液中のUDPAGの定量にはHPLC法により行った。すなわち、分離にはYMC社製のODS−AQ312カラムを用い、溶出液として0.5リン酸一カリウム溶液を用いた。DNAの調製、制限酵素による切断、T4DNAリガーゼによるDNA連結、並びに大腸菌の形質転換法は全て「Molecular cloning」(Maniatisら編、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York(1982))に従って行った。制限酵素、AmpliTaqDNAポリメラーゼ、T4DNAリガーゼは宝酒造(株)より入手した。
実施例1
(1)N−アセチルグルコサミンキナーゼの調製
10mlの2×YT(1.6%トリプトン、1%イーストエキストラクト、0.5%食塩)に一白金耳のBacillus stearothermophilus ATCC15952を植菌して、50℃にて24時間振とう培養した。これを前培養菌体として500ml容フラスコに入った100mlの2×YTに植菌して50℃にて18時間振とう培養した。3リットル(L)の培養液から遠心分離によって菌体を回収し、500mlの100mMリン酸緩衝液(pH7.0)に菌体を再懸濁した。遠心分離により回収した菌体を、300mlのPEN(50mMリン酸緩衝液(pH7.6)、1mM EDTA、0.1mM N−アセチルグルコサミン)に懸濁したのち、超音波破砕処理により菌体を破砕した。遠心分離により得た上清を粗酵素液とした。
回収された270mlの粗酵素液には1.05ユニット/mlのN−アセチルグルコサミンキナーゼ活性が含まれており、タンパク質あたりの活性は0.07ユニット/mgであった。粗酵素液に硫酸アンモニウム90%飽和溶液を270ml添加して冷所で1時間放置したのち遠心分離にて上清を回収した。回収液に対してさらに135mlの硫酸アンモニウム90%飽和溶液を添加して得た沈殿を回収、30mlのPENに溶解したものをPENに対して透析して43.5mlの酵素調製物を得た。この酵素標品には4.5ユニット/mlのN−アセチルグルコサミンキナーゼ活性が含まれており、タンパク質あたりの活性は0.21ユニット/mgであった。
なお、N−アセチルグルコサミンキナーゼ活性は、公知の方法(Methods in Enzymology IX,p415−425(1966))に準じて測定、算出したものである。
すなわち、10mM N−アセチルグルコサミン溶液、500mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8)、100mM ATP溶液、100mM塩化マグネシウム溶液を各々50μlずつ分注後、50μl酵素調製液を添加し、37℃で20〜30分間反応させる。また、ATP溶液の代わりに水を用いて同様の反応を行わせ、コントロールとする。
反応液に5%硫酸亜鉛溶液および150mM水酸化バリウム溶液各々500μlを添加して反応を停止させ、遠心分離にて沈殿を除去後、別の容器に上清166μlを分取し、これに33μlホウ酸塩溶液(4.95gのホウ酸を50mlの水に溶解し、1N水酸化カリウムでpH9.1に調整したものを水で100mlとする)を添加後、3分間煮沸する。
煮沸後、水で室温まで冷却してから1ml DMBA試薬(10gのp−ジメチルアミノベンズアルデヒドを10N塩酸を12.5%含む氷酢酸100mlに溶解し、これを使用直前に氷酢酸で10倍希釈したもの)を混和し、37℃で20分間放置した後、分光光度計で585nmの吸収を測定する。濃度既知のN−アセチルグルコサミン溶液により作成した検量線より反応液中の残存するN−アセチルグルコサミンの量を算出し、37℃で1分間に1μmoleのN−アセチルグルコサミンが消費される活性を1単位(ユニット)とする。
次にDEAE−トヨパール650M(2.2×25cmカラム)による分画を行った。0〜0.5Mの食塩の濃度勾配で溶出して得たフラクションから活性画分を回収したところ、47.5mlの回収液を得た。これに95mlの硫酸アンモニウム90%飽和溶液を添加して冷所に放置後、遠心分離により沈殿を回収した。15mlのPENに沈殿を溶解後、PENに対して透析して部分精製酵素21mlを得た。これには6.84ユニット/mlのN−アセチルグルコサミンキナーゼ活性が含まれており、タンパク質あたりの活性は0.99ユニット/mgであった。
(2)UDPAGの合成
200mMリン酸緩衝液(pH8.0)、20mM塩化マグネシウム、30mM 5'−UMP、20mM N−アセチルグルコサミン、100mMグルコースおよび所定の活性を含むBacillus stearothermophilus ATCC15952由来のN−アセチルグルコサミンキナーゼ調製物(部分精製酵素)を含む反応液10mlに乾燥パン酵母(オリエンタル酵母工業)1gを添加し、20℃で撹拌しつつ反応を行った。
継時的に反応液の分析を行った結果を図1に示す。図1から明らかなように、反応液中にN−アセチルグルコサミンキナーゼを添加しない時にはUDPAGはほとんど生成しなかったが、N−アセチルグルコサミンキナーゼを添加することにより反応開始6時間後には0.1ユニット/ml添加で9.2mM、0.2ユニット/ml添加で11.5mMのUDPAGが反応液中に生成しているのが明らかとなった。
実施例2
200mMリン酸緩衝液(pH8.0)、20mM塩化マグネシウム、30mM 5'−UMP、20mM N−アセチルグルコサミン、100mMグルコースおよび実施例1の(1)と同様にして調製したEscherichia coli IAM1268由来のN−アセチルグルコサミンキナーゼ2ユニットを含む反応液(10ml)に乾燥パン酵母(オリエンタル酵母工業)を1g添加し、20℃で撹拌しつつ反応を行った。
経時的に反応液の分析を行った結果を図2に示す。図2から明らかなように、反応液中にN−アセチルグルコサミンキナーゼを添加しない時にはUDPAGは全く生成しなかったが、N−アセチルグルコサミンキナーゼを添加することにより反応開始8時間後に7.3mMのUDPAGが生成した。
実施例3
200mMリン酸緩衝液(pH8.0)、20mM塩化マグネシウム、30mM 5'−UMP、20mM N−アセチルグルコサミン、100mMグルコースおよび実施例1の(1)と同様にして調製したKlebsiella planticola IFO3317由来のN−アセチルグルコサミンキナーゼ2ユニットを含む反応液(10ml)に乾燥パン酵母(オリエンタル酵母工業)を1g添加し、20℃で撹拌しつつ反応を行った。
経時的に反応液の分析を行った結果を図3に示す。図3から明らかなように、反応液中にN−アセチルグルコサミンキナーゼを添加しない時にはUDPAGは全く生成しなかったが、N−アセチルグルコサミンキナーゼを添加することにより反応開始8時間後に7.8mMのUDPAGが生成した。
実施例4
実施例1と同様の反応液組成で液量を1000mlとして24時間反応を行った後、反応液のpHを塩酸により3.0として、遠心により上清を回収した。回収液中のUDPAGを定量したところ、7.2gのUDPAGが含まれていた。
実施例5
(1)枯草菌由来N−アセチルグルコサミンキナーゼをコードするyqgR遺伝子のクローン化
枯草菌M168株(東大・分子細胞生物学研究所・分子遺伝育種部門より入手)の染色体DNAを斉藤と三浦の方法(Biochemica et Biophysica Acta.,72,619(1963))で調製した。このDNAを鋳型として、以下に示す2種類のプライマーDNAを常法に従って合成し、PCR法により枯草菌yqgR遺伝子(Submitted to EMBL/GENEBANK/DDBJ DATA BANKS、Accession No.D84432、小林ら)を増幅した。
PCRによるyqgR遺伝子の増幅は、反応液100μl(50mM塩化カリウム、10mMトリス塩酸(pH8.3)、1.5mM塩化マグネシウム、0.001%ゼラチン、0.2mM dATP、0.2mM dGTP、0.2mM dCTP、0.2mM dTTP、鋳型DNA 0.1μg、プライマーDNA(A)および(B)各々0.2μM、AmpliTaqDNAポリメラーゼ 2.5ユニット)をPerkin−Elmer Cetus Instrument社製DNA Thermal Cyclerを用いて、熱変性(94℃、1分)、アニーリング(55℃、1.5分)、伸長反応(72℃、3分)のステップを25回繰り返すことにより行った。
遺伝子増幅後、反応液をフェノール/クロロホルム(1:1)混合液で処理し、水溶性画分に2倍容のエタノールを添加し、DNAを沈殿させた。沈殿回収したDNAを文献(Molecular cloning、前述)の方法に従ってアガロースゲル電気泳動により分離し、1.0kb相当のDNA断片を精製した。該DNAを制限酵素Xba I及びHind IIIで切断し、同じく制限酵素Xba I及びHind IIIで消化したプラスミドpTrc99A(Pharmacia Biotech.社より入手)とT4DNAリガーゼを用いて連結した。連結反応液を用いて大腸菌K12株JM109菌(宝酒造株式会社より入手)を形質転換し、得られたアンピシリン耐性形質転換体よりプラスミドpTrcYQG−ABを単離した。pTrcYQG−ABは、pTrc99Aのtrcプロモーター下流のXba I−Hind III切断部位に枯草菌yqgR構造遺伝子およびSD配列を含有するXba I−Hind III DNA断片が挿入されたものである。
(2)枯草菌由来yqgR遺伝子産物の調製
プラスミドpTrcYQG−ABを保持する大腸菌JM109菌を、100μg/mlのアンピシリンを含有する2×YT培地100mlに植菌し、37℃で振とう培養した。4×108個/mlに達した時点で培養液に最終濃度1mMになるようにIPTGを添加し、さらに37℃で5時間振とう培養を続けた。培養終了後、遠心分離(9,000×g,10分)により菌体を回収し、20mlの緩衝液(50mMトリス塩酸(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%トライトンX−100、0.2mg/mlリゾチーム)に懸濁した。37℃で1時間保温した後、超音波処理を行い、菌体を破砕し、さらに遠心分離(20,000×g、10分)により菌体残渣を除去した。
このように得られた上清画分を酵素標品とし、酵素標品におけるN−アセチルグルコサミンキナーゼ活性を実施例1に記載の方法で測定した。その結果を対照菌(pTrc99Aを保持する大腸菌JM109菌)と共に下記表に示す。
(3)UDPAGの合成
200mMリン酸緩衝液(pH8.0)、10mM塩化マグネシウム、50mM 5'−UMP、50mM N−アセチルグルコサミン、200mMグルコースを含む溶液5mlに上記(2)で調製した所定活性量のN−アセチルグルコサミンキナーゼ酵素液および乾燥パン酵母(オリエンタル酵母工業)0.5gを添加し、16℃で撹拌しつつ反応を行った。
反応途中の反応液から0.2mlを採取し、5分間煮沸後遠心分離してその上清の250倍希釈液を0.45μmのフィルターで膜濾過したものをHPLC分析に供した。
経時的に反応液の分析を行った結果を図4に示す。図4から明らかなように、N−アセチルグルコサミンキナーゼを添加しない反応液中にはUDPAGは全く検出されなかったが、該酵素液を添加することにより、反応開始24時間後には0.2ユニット添加で12.2mMUDPAGが、1ユニット添加では13.6mMのUDPAGがそれぞれ蓄積したことを確認した。
実施例6
(1)酵母由来N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ遺伝子のクローニング
オリエンタル酵母工業から購入した乾燥パン酵母をYPD培地で起こして分離したオリコイーストをYPD培地で培養後、常法により染色体DNAを調製した。このDNAを鋳型に、以下に示す2種類のプライマーDNAを用いてPCR法により酵母由来N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ(EC 5.4.2.3)遺伝子(agm1)(Eur.J.Biochem.,221,741−747(1994))を含むDNA断片を増幅した。
PCR反応は実施例5と同じ反応組成、同じ反応器を用い、熱変性(94℃,1分)、アニーリング(37℃,2分)、伸長反応(72℃,3分)のステップを25回繰り返すことにより行った。
遺伝子増幅後、反応液から2.2kb相当のDNA断片を実施例1と同様に精製した。このDNAを鋳型に、以下に示す2種類のプライマーDNAを用いてPCR法により酵母由来N−アセチルグルコサミンホスフェートムターゼ遺伝子(agm1)を含むDNA断片を再度増幅した。なお、2度目のPCR反応条件は1回目と同じである。
遺伝子増幅後、前述と同様の手法により1.7kbのDNA断片を精製した。回収したDNAをDNAブランティングキット(宝酒造より入手)により末端平滑化した。これを制限酵素Nco Iで消化後、末端平滑化したプラスミドpTrc99A(Pharmacia Biothech.社より入手)とT4DNAリガーゼを用いて連結した。この反応液を用いて大腸菌K12株JM109菌を形質転換し、得られたアンピシリン耐性形質転換体よりプラスミドpTrc−agm1を単離した。プラスミドpTrc−agm1は、pTrc99Aのtrcプロモーター下流のNco I切断部位のATGに酵母agm1遺伝子の開始コドンのATGが揃うように挿入されたものである。また、得られた形質転換体をJM109[pTrc−agm1]と命名した。
(2)酵母由来N−アセチルグルコサミンホスフェートムターゼの調製
JM109[pTrc−agm1]をアンピシリンを100μg/ml含む2×YT培地25mlで一夜37℃で培養した。これをアンピシリンを100μg/ml含む2×YT培地500mlに植菌した。37℃で2時間培養後、IPTGを終濃度1mMになるように添加し、37℃で5時間、引き続き20℃で一夜培養した。培養終了後、遠心分離(9,000×g,20分)により菌体を回収した。回収した菌体を50mMイミダゾール緩衝液(pH6.8)に懸濁した。ブランソン社超音波破砕機(モデル450ソニファー)を用いて菌体を破砕後(50W,5分,3回)、15,000rpmで30分間遠心分離し、可溶性画分(上清)を回収した。
このように得られた上清画分を酵素標品とし、酵素標品におけるN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ活性を測定した。その結果を対照菌(pTrc99Aを保持する大腸菌JM109菌)と共に下記表2に示す。
なお、N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ活性は、公知の文献(European Journal of Biochemistry,No.221,741(1994))に従い、以下に示す方法でN−アセチルグルコサミン−1リン酸からN−アセチルグルコサミン−6リン酸への転換活性を測定、算出したものである。
すなわち、50mMイミダゾール(pH6.8)、100mM塩化カリウム、10mM塩化マグネシウム、0.1mM EDTA、20μMグルコース−1,6−ビスリン酸、2mM N−アセチルグルコサミン−1リン酸にN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ酵素標品を添加し、30℃で反応させる。また、グルコース−1,6−ビスリン酸の代わりに水を用い同様の反応を行わせ、コントロールとする。
反応液量と等量の1M硫酸溶液と混合することで酵素を失活させ、10分間煮沸後、25℃に冷却する。これにより、熱に弱いN−アセチルグルコサミン−1リン酸は分解し、リン酸を遊離する。遊離した無機リン酸を次の方法で定量する。すなわち、25℃に冷却したサンプル200μlに蒸留水700μl、アミドール(亜硫酸水素ナトリウム100gとアミドール5gを溶解して500ml水溶液としたもの)100μl、および8.3%モリブデン酸アンモニウム(モリブデン酸アンモニウム41.5gを溶解し、アンモニア水を滴下してよく溶解して500mlとしてもの)70μlを添加する。室温に10分間放置後、分光光度計で750nmにおける吸光度を測定する。無機リン酸1mMのときの吸光度を0.3867とし、無機リン酸の濃度から酵素反応で減少したN−アセチルグルコサミン−1リン酸の量を換算し、30℃で1分間に1μmoleのN−アセチルグルコサミン−1リン酸をN−アセチルグルコサミン−6リン酸に転換する活性を1単位(ユニット)とする。
後述するUDPAGの合成にはN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼのN−アセチルグルコサミン−6リン酸からN−アセチルグルコサミン−1リン酸への転換活性を利用する。したがって、この転換反応の活性測定は、上記反応液のうちN−アセチルグルコサミン−1リン酸をN−アセチルグルコサミン−6リン酸に代えて行い、反応によって生じたN−アセチルグルコサミン−1リン酸の量を上述の方法から算出し、酵素活性を求めた。その結果、N−アセチルグルコサミン−6リン酸からN−アセチルグルコサミン−1リン酸への転換活性の比活性は,N−アセチルグルコサミン−1リン酸からN−アセチルグルコサミン−6リン酸への転換活性のそれの約30分の1であった。
(3)大腸菌由来UDPAGピロホスホリラーゼ遺伝子の調製
大腸菌のUDPAGピロホスホリラーゼはグルコサミン・ウリジル・トランスフェラーゼ(EC2.7.7.23)(g1mU)と同一であることが知られている(Journal of Bacteriology,175,19,6150(1993))。そこで、大腸菌IFO 3972の染色体DNAを斎藤と三浦の方法(Biochemica et Biophysica Acta,72,619(1963))で調製し、これを鋳型に以下に示す2種類のプライマーDNAを用いて、PCR法によりUDPAGピロホスホリラーゼ遺伝子(Biochem.J.,(1984),224,799−815)を含むDNA断片を増幅した。
PCR反応は、PCR反応は実施例5と同じ反応組成、反応機器を用い、熱変性(94℃,1分)、アニーリング(55℃,2分)、伸長反応(72℃,3分)のステップを25回繰り返すことにより行った。
遺伝子増幅後は実施例5と同様の手法により、1.5kbのDNA断片を精製した。回収したDNAはDNAブランティング・キット(宝酒造より入手)により末端平滑化した。これを制限酵素Dra Iで消化した後,制限酵素Sma Iで消化したプラスミドpUC18とT4DNAリガーゼを用いて連結した。このプラスミドを制限酵素EcoR IおよびHind IIIで消化し、前述と同様に1.5kbのDNA断片を精製し、同じく制限酵素EcoR IおよびHind IIIで消化したプラスミドpTrc99A(Pharmacia Biotech.社より入手)とT4DNAリガーゼを用いて連結した。連結反応液を用いて大腸菌K12株JM109菌を形質転換し、得られたアンピシリン耐性形質転換体よりプラスミドpTrc−g1mUを単離した。pTrc−g1mUは、pTrc99Aのtrcプロモーター下流のSma I−Hind III認識部位に大腸菌g1mUの構造遺伝子が挿入されたものである。得られた形質転換体をJM109[pTrc−g1mU]と命名した。
(4)UDPAGピロホスホリラーゼの調製
JM109[pTrc−g1mU]をアンピシリンを100μg/ml含む2×YT培地25mlで一夜37℃で培養した。これを、アンピシリンを100μg/ml含む2×YT培地500mlに植菌した。37℃で2時間培養後、IPTGを終濃度1mMになるように添加し、引き続き37℃で一夜培養した。培養終了後、遠心分離(4℃,9,000×g,20分)により菌体を回収した。回収した菌体を50mMトリス塩酸(pH7.5)に懸濁し、ブランソン社製超音波破砕機(モデル450ソニファー)を用いて破砕後(50W,5分,3回)、4℃、15,000rpmの条件下で30分間遠心分離し、可溶性画分(上清)を回収した。
このように得られた上清画分を酵素標品とし、酵素標品におけるUDPAGピロホスホリラーゼ活性を測定した。その結果を対照菌(pTrc99Aを保持する大腸菌JM109菌)と共に下記表3に示す。
なお、UDPAGピロホスホリラーゼ活性は、以下に示す方法でUDPAGとピロリン酸からN−アセチルグルコサミン−1リン酸とUTPへの分解活性を測定、算出したものである。
すなわち、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)、5mM塩化マグネシウム、3mMピロリン酸ナトリウム、1mM UDPAGにUDPAGピロホスホリラーゼ酵素標品を添加して(反応液1ml当たり約6μg相当量)37℃で5分反応させる。また、ピロリン酸ナトリウム溶液の代わりに水を用い同様の反応を行い、これをコントロールとする。
反応液を5分間の煮沸にて反応を停止し、これを30倍に希釈した後HPLCによる分析を行う。分離にはYMC社製のODS−AQ312カラムを用い、溶出液として0.5M リン酸一カリウム溶液を用いる。HPLC分析結果から反応液中のUDPAGの残量を算出し、37℃で1分間に1μmoleのUDPAGを分解する活性を1単位(ユニット)とする。
(5)組換え酵素を用いたUDPAGの合成
200mMグルコース、50mM N−アセチルグルコサミン、50mM UMP、200mMリン酸カリウム(pH8.0)、10mM 塩化マグネシウム、5%(w/v)乾燥パン酵母(オリエンタル酵母工業)を含む溶液5mlに調製した組換え酵素(N−アセチルグルコサミンキナーゼ;0.2ユニット,N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ;0.5ユニット,UDPAGピロホスホリラーゼ;5ユニット)を添加し、20℃で300rpmで撹拌しながら反応を行った。また,反応開始16,24,40,48,64,72時間目に50%グルコース溶液を反応液の14分の1量ずつ添加した。
経時的に反応液の分析を行った結果を図5に示す。グルコース添加した場合、5%乾燥パン酵母とN−アセチルグルコサミンキナーゼを組み合わせた反応液では、反応88時間でUDPAGは27mM蓄積した。N−アセチルグルコサミンキナーゼの他にUDPAGピロホスホリラーゼを組み合わせた場合、N−アセチルグルコサミンホスフェートムターゼを組み合わせた場合、UDPAGピロホスホリラーゼとN−アセチルグルコサミンホスフェートムターゼの両方を組み合わせた場合、UDPAGの蓄積量はそれぞれ33mM、37mM、および39mMに増加した。
実施例7
実施例6では、試験管での反応例を示したが、ここではジャーファーメンターを用いてUDPAG合成反応のスケール・アップを行った結果を示す。すなわち、400mMグルコース、100mM N−アセチルグルコサミン、100mM UMP、200mM リン酸カリウム(pH8.0)、20mM 塩化マグネシウム、5%(w/v)乾燥パン酵母(オリエンタル酵母工業)を含む1.5L溶液に、実施例5(2)および実施例6(2)および(4)で調製した組換え酵素液(N−アセチルグルコサミンキナーゼ;120ユニット、N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ;750ユニット、UDPAGピロホスフォリラーゼ;750ユニット)を添加して、23℃、通気量1.5L/分、700rpmで撹拌しながら反応を行った。反応中消泡剤としてエイノールを適宜添加した。また、12,20,36時間目にグルコースを54g反応液に添加した。
経時的に反応液を分析した結果を図6に示す。反応45時間でUDPAGは82mM蓄積した。
実施例8
実施例7までは乾燥パン酵母を用いたUDPAG合成について説明したが、乾燥パン酵母を使用する代わりに、一例としてUMPキナーゼ、ポリリン酸キナーゼ、アデニレートキナーゼから成るUTP生成を利用し、in vitroでもUDPAG合成が可能であることを以下に示す。なお、UDPからのUTPの合成に通常ヌクレオシド二リン酸キナーゼが必要であるが、アデニレートキナーゼも当該活性を有しているため、ヌクレオシド二リン酸キナーゼの添加は必要ない。
(1)大腸菌由来UMPキナーゼ遺伝子のクローニング
大腸菌12株JM109菌(宝酒造(株)より入手)の染色体DNAを斉藤と三浦の方法(Biochemica et Biophysica Acta.,72,619(1963))で調製した。このDNAをテンペレートとして、以下に示す2種類のプライマーDNAを常法に従って合成し、PCR法により大腸菌UMPキナーゼ(pyrH)遺伝子(Genetics(Life Sci.Adv.),11,59−65(1992))を増幅した。
PCRによるpyr H遺伝子の増幅は、実施例5と同じ反応組成、反応機器を用い、熱変性(94℃,1分)、アニーリング(55℃,2分)、伸長反応(72℃,4分)のステップを25回繰り返すことにより行った。
遺伝子増幅後は実施例5と同様の手法により、0.74kb相当のDNA断片を精製した。該DNAを制限酵素Nco I及びBamH Iで切断し、同じく制限酵素Nco I及びBamH Iで消化したプラスミドpTrc99A(Pharmacia Biothech.社より入手)とT4DNAリガーゼを用いて連結した。この反応液を用いて大腸菌JM109菌を形質転換し、得られたアンピシリン耐性形質転換体よりプラスミドpTP01を単離した。pTP01は、pTrc99Aのtrcプロモーター及びシャイン−ダルガノ配列下流のNco I−BamH I切断部位に大腸菌pyrH遺伝子の構造遺伝子を含有するNco I−BamH I DNA断片が挿入されたものである。
(2)大腸菌由来UMPキナーゼの調製
プラスミドpTP01を保持する大腸菌JM109菌を、50μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地10mlに植菌し、30℃で振とう培養した。4×108個/mlに達した時点で培養液に最終濃度1mMになるようにIPTGを添加し、さらに30℃で5時間振とう培養を続けた。
培養終了後、遠心分離(9,000×g,10分)により菌体を回収し、2mlの緩衝液(50mMトリス塩酸(pH7.5)、50mM塩化カリウム、2mM 塩化マグネシウム)に懸濁した。懸濁液を超音波処理して菌体を破砕し、さらに遠心分離(20,000×g,10分)により上清画分を除去した。このように得られた沈殿画分を酵素標品とした。
酵素標品におけるUMPキナーゼ活性を対照菌(pTrc99Aを保持する大腸菌JM109菌)と共に下記表4に示す。なお、本発明におけるUMPキナーゼ活性の単位(ユニット)は、以下の方法で測定、算出したものである。
すなわち、50mMトリス塩酸(pH7.5)、50mM塩化カリウム、2mM塩化マグネシウム、3mM UTP、3mM ATPの条件下で30℃で保温することで反応を行い、1分間煮沸することにより酵素を失活させる。
HPLCにより反応液中のUDPを定量し、30℃で1分間に1μmoleのUDPを生成する活性を1単位(ユニット)とする。
(3)大腸菌由来ポリリン酸キナーゼ遺伝子のクローニング
大腸菌K12株JM109菌(宝酒造(株)より入手)の染色体DNAを斉藤と三浦の方法(Biochemica et Biophysica Acta.,72,619(1963))で調製した。このDNAをテンペレートとして、以下に示す2種類のプライマーDNAを常法に従って合成し、PCR法により大腸菌ポリリン酸キナーゼ(ppk)遺伝子(J.Biol.Chem.,267,22556−22561(1992))を増幅した。
PCRによるppk遺伝子の増幅は、実施例5と同じ反応組成、反応機器を用い、熱変性(94℃,1分)、アニーリング(55℃,1.5分)、伸長反応(72℃,1.5分)のステップを25回繰り返すことにより行った。
遺伝子増幅後は実施例5と同様の手法により、1.0kb相当のDNA断片を精製した。該DNAを制限酵素Nco I及びBamH Iで切断し、同じく制限酵素Nco I及びBamH Iで消化したプラスミドpTrc99A(Pharmacia Biotech.社より入手)とT4DNAリガーゼを用いて連結した。この反応液を用いて大腸菌JM109菌を形質転換し、得られたアンピシリン耐性形質転換体よりプラスミドpTrc−PPKを単離した。pTrc−PPKは、pTrc99Aのtrcプロモーター下流のNco I−BamH I切断部位に大腸菌ppk遺伝子を含有するNco I−BamH I DNA断片が挿入されたものである。
(4)大腸菌由来ポリリン酸キナーゼの調製
プラスミドpTrc−PPKを保持する大腸菌JM109菌を、100μg/mlのアンピシリンを含有する2×YT培地300mlに植菌し、37℃で振とう培養した。4×108菌/mlに達した時点で、培養液に終濃度1mMになるようにIPTGを添加し、さらに30℃で5時間振とう培養を続けた。
培養終了後、遠心分離(9,000×g,10分)により菌体を回収し、60mlの緩衝液(50mMトリス塩酸(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%トライトンX−100、0.2mg/mlリゾチーム)に懸濁した。37℃で1時間保温した後、超音波処理を行い菌体を破砕し、さらに遠心分離(20,000×g、10分)により菌体残さを除去した。このように得られた上清画分を5mM塩化マグネシウム及び1mM 2−メルカプトエタノールを含有する50mMトリス塩酸(pH7.8)に対して透析を行い、粗酵素液とした。
このように得られた粗酵素液におけるポリリン酸キナーゼ活性を測定した。その結果を対照菌(pTrc99Aを保持する大腸菌JM109菌)と共に下記表5に示す。
なお、本発明におけるポリリン酸キナーゼ活性の単位(ユニット)は、以下の方法で測定、算出したものである。
すなわち、5mM塩化マグネシウム、100mM硫酸アンモニウム、5mM ADP、ポリリン酸(無機リン酸として150mM)を含有する5mM トリス塩酸緩衝液(pH7.8)に酵素標品を添加して37℃で保温することで反応を行い、1分間煮沸することにより酵素を失活させる。HPLCにより反応液中のATPを定量し、37℃で1分間に1μmoleのATPを生成する活性を1単位(ユニット)とする。
次に粗酵素液をDEAEトヨパール650M(トーソー(株))を用いて0〜0.5M NaClの濃度勾配にて分画し、ポリリン酸キナーゼ画分を得た。この画分をポリリン酸キナーゼ酵素標品とした。なお、この酵素標品におけるポリリン酸キナーゼの比活性は、0.6ユニット/mg蛋白質であった。
(5)大腸菌由来アデニレートキナーゼのクローニング
大腸菌K12株JM109菌(宝酒造(株)より入手)の染色体DNAを斉藤と三浦の方法(Biochim.Biopys.Acta.,72,619(1963))で調製した。このDNAをテンペレートとして、以下に示す2種類のプライマーDNAを常法に従って合成し、PCR法により大腸菌アデニレートキナーゼ(adk)遺伝子(Nucleic Acids Res.,13(19),7139−7151(1985))を増幅した。
PCRによるadk遺伝子の増幅は、実施例5と同じ反応組成、反応機器を用い、熱変性(94℃,1分)、アニーリング(56℃,1分)、伸長反応(72℃,3分)のステップを25回繰り返すことにより行った。
遺伝子増幅後は実施例5と同様の手法により、1.0kb相当のDNA断片を精製した。該DNAを制限酵素BamH I及びHind IIIで切断し、同じく制限酵素BamH I及びHind IIIで消化したプラスミドpUC18(宝酒造(株)より入手)とT4DNAリガーゼを用いて連結した。この反応液を用いて大腸菌JM109菌を形質転換し、得られたアンピシリン耐性形質転換体よりプラスミドpUC−ADKを単離した。pUC−ADKは、pUC18のlacプロモーター下流のBamH I−Hind III切断部に大腸菌adk遺伝子を含有するBamH I−Hind III DNA断片が挿入されたものである。
(6)大腸菌由来アデニレートキナーゼの調製
プラスミドpUC−ADKを保持する大腸菌JM109菌を、100μg/mlのアンピシリンを含有する2×YT培地300mlに植菌し、37℃で振とう培養した。4×108菌/mlに達した時点で、培養液に終濃度1mMになるようにIPTGを添加し、さらに30℃で5時間振とう培養を続けた。
培養終了後、遠心分離(9,000×g,10分)により菌体を回収し、60mlの緩衝液(50mMトリス塩酸(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%トライトンX−100、0.2mg/mlリゾチーム)に懸濁した。37℃で1時間保温した後、超音波処理を行い、菌体を破砕し、さらに遠心分離(20,000×g、10分)により菌体残さを除去した。このように得られた上清画分を5mM塩化マグネシウム及び1mM2−メルカプトエタノールを含有する50mMトリス塩酸(pH7.8)に対して透析を行い、粗酵素液とした。
このように得られた粗酵素液におけるアデニレートキナーゼ活性を測定した。その結果を対照菌(pUC18を保持する大腸菌JM109菌)と共に下記表6に示す。
なお、本発明におけるアデニレートキナーゼ活性の単位(ユニット)は、以下の方法で測定、算出したものである。
すなわち、5mM塩化マグネシウム、5mM ATP、5mM AMPを含有する50mM トリス塩酸緩衝液(pH7.8)に酵素標品を添加して37℃で保温することで反応を行い、1分間煮沸することにより酵素を失活させる。HPLCにより反応液中のADPを定量し、37℃で1分間に2μmoleのADPを生成する活性を1単位(ユニット)とする。
次に粗酵素液をDEAEトヨパール650M(トーソー(株))を用いて0〜0.5M NaClの濃度勾配にて分画し、アデニレートキナーゼ活性のある画分を回収した。この画分をアデニレートキナーゼ酵素標品とした。なお、この酵素標品におけるポリリン酸キナーゼの比活性は、344ユニット/mg蛋白質であった。
(7)UMPキナーゼ、ポリリン酸キナーゼ、アデニレートキナーゼからなるUTP生成系を用いたUDPAGの合成
10mM塩化マグネシウム、100mM硫安、ポリリン酸(無機リン酸として75mM)、10mM UMP及び3mM AMPを含有する200mMトリス塩酸緩衝液(pH7.8)に0.1ユニット/mlポリリン酸キナーゼ、2.5ユニット/mlアデニレートキナーゼ、0.5ユニット/mlUMPキナーゼ、0.05ユニット/ml N−アセチルグルコサミンキナーゼ、0.5ユニット/ml N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ、及び1.0ユニット/ml UDPAGピロホスホリラーゼ酵素標品を添加し、37℃で24時間保温したところ3.4mMのUDPAGの生成が確認された。
産業上の利用可能性
本発明により、基質としての利用価値が低かったN−アセチルグルコサミンを基質として用いた場合であってもUDPAGを効率的に製造することが初めて可能となったのである。
Claims (9)
- 酵母菌体を用いてウリジル酸(UMP)及びN−アセチルグルコサミンからウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミン(UDPAG)を製造する方法において、N−アセチルグルコサミンキナーゼを生存せしめることを特徴とするUDPAGの製造法。
- N−アセチルグルコサミンキナーゼが細菌由来のものである請求項1記載のUDPAGの製造法。
- さらにN−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ及び/またはウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを作用せしめる請求項1記載のUDPAGの製造法。
- 酵素を用いてウリジン三リン酸(UTP)及びN−アセチルグルコサミンからUDPAGを製造する方法において、酵素としてN−アセチルグルコサミンキナーゼ、N−アセチルグルコサミン・ホスフェートムターゼ及びウリジン二リン酸−N−アセチルグルコサミンピロホスホリラーゼを併用することを特徴とするUDPAGの製造法。
- UTPを用いる代わりにUTP生成系を共存させる請求項4記載のUDPAGの製造法。
- UTP生成系が微生物菌体を用いる方法である請求項5記載のUDPAGの製造法。
- UTP生成系が酵素を用いる方法である請求項5記載のUDPAGの製造法。
- UTP生成系がUTP生成系とアデノシン三リン酸(ATP)再生系とが共役したものである請求項5記載のUDPAGの製造法。
- UTP生成系が、アデニル酸(AMP)にポリリン酸キナーゼ、アデニレートキナーゼ及びポリリン酸を作用せしめてATPを再生しながらUMPにウリジル酸キナーゼを作用せしめてUTPを生成するものである請求項8記載のUDPAGの製造法。
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