JP3544723B2 - 2サイクルエンジンの排気制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、排気通路に配設した制御弁体を用いて排気タイミングを可変制御する2サイクルエンジンの排気制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、2サイクルエンジンでは、ピストンの上下運動により排気ポートが開閉されるため、クランク角に対して排気タイミングは常に一定であり、従って、高速運転時に高出力が得られるように排気ポートの開閉タイミングを設定すると、低速運転では排気ポートの開閉時間が相対的に長くなり、吹抜けが生じる。また、逆に、排気ポートの開閉タイミングを低速運転で滑らかな運転性能を得られるように設定すると、高速運転での排気効率が低下して出力不足が生じる。
【0003】
このように、、従来の2サイクルエンジンでは、全運転領域で常に安定した出力を得ることは困難であると考えられていたが、最近では、排気タイミングを積極的に制御して、全運転領域で安定した出力を得られるようにした排気制御装置の技術が種々提案されている。この排気制御装置としては、以下に述べるような、1)スライド式、2)ロータリ式、3)フラップ式等がある。
【0004】
1)スライド式
制御弁体を排気ポートに近接離間させる方向へ進退動作させることで、排気タイミングを可変するもので、実公昭60−3314号公報、実公平4−20979号公報、実公平5−9458号公報、特開平1−159414号公報等に開示されている。
【0005】
2)ロータリ式
切欠き部を有する鼓型や円柱型の回転制御弁体を排気通路に横設し、この回転制御弁体の回転角度により排気タイミングを制御するもので、実開昭56−54336号公報等に開示されている。
【0006】
3)フラップ式
後端を軸支する板状制御弁体の排気タイミング制御面を排気ポートの上部に臨ませ、この排気タイミング制御面の揺動角度によって排気タイミングを制御するもので、特公平5−61452号公報、米国特許第4,391,234号等に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来の排気制御装置には以下に示すような課題がある。
【0008】
1)スライド式では、制御弁体を斜め上方、或は水平方向から突出させて排気ポート上部を閉塞するようにしているため、排気タイミングを低速−高速、或は、低速−中速−高速といった段階的な制御しか行えず、エンジン回転数の変化に応じて連続的な制御を行うことができない。
【0009】
2)これに対して、ロータ式、フラップ式では、排気タイミングを連続的に可変制御することは可能であるが、上下方向への回転或は揺動運動により可変制御する構造であるため、回動角或は揺動角が大きくなるに従い、排気ポートに近接する制御弁体の排気タイミング制御面とシリンダ壁面とのクリアランスが次第に大きくなるため、正確な排気タイミングを得ることができない。このことを、図8、図9に示すフラップ式の制御弁体を用いて具体的に説明する。
【0010】
制御弁体1は、排気通路2の上部に配設され、その後端が支持軸3を介して揺動自在に支持されている。この制御弁体1の排気タイミング制御面1aは、シリンダ壁面4の内周に沿う曲率に湾曲形成されて、この排気タイミング制御面1aの幅方向端部が排気ポート2aの幅方向端縁部2bに近接されている。
【0011】
そして、例えば、図9の実線で示すように、上記制御弁体1の排気タイミング制御面1aが排気ポート2aの上部に臨まされるときの、上記支持軸3の軸中心から水平方向へ延出する延長線との交点である排気タイミング制御面1aの下部を上記排気ポート2aの周面上に臨ませ、この状態で上記制御弁体1を上下方向へ10mm揺動させると、図の一点鎖線、或は二点鎖線に示すように、上記排気ポート2aに対して、制御弁体1の幅方向中央の下部で0.81mm(実測値)、幅方向端部の下部で0.95mm(実測値)のクリアランスが生じてしまう。その結果、この間隙部からの吹抜けにより排気タイミングを充分に制御することができない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、制御弁体と排気ポート端縁との間のクリアランスを最小にしつつ、排気タイミングの連続的で、しかも正確に制御することのできる2サイクルエンジンの排気制御装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による2サイクルエンジンの排気制御装置は、ピストンの上下動により開閉する排気ポートの排気タイミングを制御弁体の先端に設けた排気タイミング制御面により可変制御する2サイクルエンジンの排気制御装置において、前記排気ポートに連通する排気通路の上壁に前記制御弁体を収納する弁体収納凹部を形成し、上記制御弁体の前記排気タイミング制御面の幅方向をシリンダ壁面に沿う曲率で湾曲形成すると共に、この排気タイミング制御面の幅方向中央部の少なくとも下端縁を上記排気ポートの幅方向中央線上に臨ませ、上記制御弁体の中途に形成した支持部を上記排気ポート方向へのスライド及び上下方向への揺動を許容した状態で支持し、この制御弁体の後部を、この後部と上記支持部との間に旋回中心を有するピボット旋回軸の一方へ偏心した位置に設けたピボット軸に枢支して上記排気タイミング制御面の少なくとも幅方向中央部の下端縁を上記排気ポートの幅方向中央線に沿って揺動スライドさせることを特徴とする。また、好ましくは、前記弁体収納凹部の前記排気タイミング制御面に対峙する壁面の内、少なくとも上記排気タイミング制御面上部の移動軌跡に対峙する面が、この排気タイミング制御面上部の移動軌跡に沿って形成されていることを特徴とする。
【0014】
【作 用】
本発明では、ピボット旋回軸が回動して、このピボット旋回軸の一方へ偏心した位置に設けたピボット軸に連設する制御弁体の後部が上方へ回動すると、この制御弁体の先端に設けた排気タイミング制御面が、上記制御弁体の中途に設けた支持部を支点として下方へ回動すると共に、上記ピボット旋回軸の回動中心が制御弁体の支持部と後部との間に設定されているため、上記排気タイミング制御面が上記ピボット軸の回動曲率に沿って排気ポートの方向へスライドされる。その結果、シリンダ壁面とほぼ同じ曲率で湾曲形成された上記排気タイミング制御面の幅方向中央部の少なくとも下縁部が上記排気ポートの幅方向中心線上に沿って移動し、上記排気ポート上縁部を次第に狭め、また、上記制御弁体の後部が上記ピボット旋回軸の回動により下方へ所定角度回動すると、上記排気タイミング制御面が排気通路の上壁に形成された弁体収納凹部に収納される方向へ回動し、上記排気ポート上縁部を次第に広げる。その結果、ピストンの上下動による上記排気ポートの開閉タイミングが上記排気タイミング制御面により可変設定される。
【0015】
尚、上記排気タイミング制御面の上部に対峙する上記弁体収納凹部の壁面が上記排気タイミング制御面上部の移動する軌跡に沿って略一定の微小間隙を有する形状に形成されていると、この壁面と上記排気タイミング制御面上部との間隙が常に一定の状態となり、この間隙からの吹き抜けがなくなる。
【0016】
【実施例】
以下、図1〜図7の図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図において、符号11は2サイクルエンジンのシリンダブロック、12はシリンダヘッド、13はピストンで、このシリンダブロック11のシリンダ壁面11aに、掃気ポート14aと排気ポート15aとが各々開口されている。上記掃気ポート14aはクランク室に連通する掃気通路14に連通され、上記排気ポート15aが排気通路15に連通され、この排気ポート15aの下流端に排気孔15bが開口されている。上記両ポート14a,15aは上記ピストン13の上下動により開閉され、所定に掃排気が所定に動作される。
【0017】
また、上記排気通路15上壁の上記排気ポート15a寄りに形成された弁体収納凹部16に、制御弁体17が横設されている。
【0018】
この制御弁体17の中途には、一方の側面から他方の側面へ貫通されていると共に、上記排気ポート15aの方向へ延びる長円形の支持孔17aが穿設されている。この支持孔17aには、その両端を上記シリンダブロック11に固定する弁体支持軸18に挿通支持され、揺動スライド自在に支持されている。
【0019】
さらに、この制御弁体17の後端に、ピボット旋回軸19のピボット軸19aが枢軸されている。このピボット旋回軸19のピボット旋回中心は上記支持軸18と、上記制御弁体17の後端との間に存在しており、このピボット旋回軸19の往復動作により、上記制御弁体17が前後方向及び上下方向へ揺動スライドする。
【0020】
また、上記制御弁体17の先端部17bがアーム17cを介して上記排気ポート15aの方向へ延出されている。この先端部17bは上方へ楔状に延出され、その上端部17dが鋭角に切込まれ、また、上記先端部17bの上記排気ポート15aに対峙する面が排気タイミング制御面17eをなしている。この排気タイミング制御面17eの下端縁17fの幅方向が上記シリンダ壁面11aとほぼ同じ曲率で湾曲形成され、さらに、その幅方向両端縁17gが上記シリンダ内壁11aに対してやや大きい曲率で形成されている。尚、この排気タイミング制御面17e全体も、上記下端縁17fとほぼ同じ曲率で幅方向へ湾曲形成されている。
【0021】
一方、上記制御弁体17を収納する上記弁体収納凹部16は、図1、図6に示すように、後部が、上記制御弁体17後部の上方への揺動を許容する形状に形成されており、また、前部に形成した上記制御弁体17の先端部17bを収納する先端部収納凹部16aが、上記制御弁体17の先端部17bに対してほぼ相似形をなしている。このような上記弁体収納凹部16の形状は、上記先端部収納凹部16a以外の、上記制御弁体17の上面と対峙する全ての壁面に渡ってほぼ相似形をなしており、上記弁体収納凹部16と上記制御弁体17とのクリアランスが小さくなる面積を多く取るようになっている。また、上記弁体収納凹部16と上記制御弁体17の幅方向両端部においても同様に上記弁体収納凹部16の形状は、上記制御弁体17に沿ったものでありクリアランスを小さくしてある。
【0022】
さらに、上記制御弁体17の上記先端部17bの下端縁17fの幅方向中央部が、上記排気ポート15aの幅方向中央線上に臨まされており、この制御弁体17の揺動スライドにより、上記先端部17bの下端縁17fの幅方向中央部が上記排気ポート15aの幅方向中央線に沿って上下動するように、上記支持軸18と上記ピボット旋回軸19の旋回中心、及びこのピボット旋回軸19のピボット軸19aの旋回半径が設定されている。
【0023】
実験では、従来例で述べたように上記制御弁体17を上下方向へ10mm揺動させると、上記制御弁体17の先端部17bの下端縁17fの幅方向中央と上記排気ポート15aとの距離は、最大値が0.026mmであった。また、上記先端部収納凹部16aの、上記排気タイミング制御面17eに対峙する壁面16bが、この排気タイミング制御面17eの上部屈曲部17hの軌跡に対し、常に一定の微小間隙を保持して対峙するように設定されている。その結果、上記排気タイミング制御面17eの下端縁17fと上記上部屈曲部17hとがピストン13、排気ポート15aの上端縁に対してシール面となり、上記排気タイミング制御面17eの上下動により、排気ポート15aの開閉タイミング(排気タイミング)が可変制御される。
【0024】
尚、図4に示すように、2気筒エンジンの場合には、各気筒ごとに設けたピボット旋回軸19をユニバーサルジョイント20を介して連結する。このピボット旋回軸19の一端にはプーリ21が軸着されており、このプーリ21が、ベルト22を介してサーボモータ23に軸着されているプーリ23aに連設されている。このサーボモータ23は、制御装置24からの駆動信号に従って往復回動される。この制御装置24には、エンジン回転数情報と、エンジン壁温情報とが入力され、この両パラメータに応じて上記サーボモータ24の回動角、すなわち排気タイミングを連続的に可変設定する。尚、上記サーボモータ24に代えて、ステッピングモータ、或いはデューテイソレノイド等を採用しても良い。
【0025】
次に、上記構成による実施例の作用について説明する。排気通路15の上面に配設した制御弁体17は、ピボット旋回軸19の回動により揺動スライドされる。すなわち、このピボット旋回軸19を、図6の時計回り方向へ回動させると、このピボット旋回軸19のピボット軸19aが同方向へ回動し、上記制御弁体17は支持軸18に支持されながら、その先端部17bが図の上方へ移動し、上記排気通路15の上壁に形成した弁体収納凹部16に収納される(図6(a))。
【0026】
一方、上記ピボット旋回軸19が反時計回り方向へ回動すると、上記制御弁体17は上記支持軸18に支持されながら、その先端部17bを、図6の下方へ移動させる。このとき、上記ピボット軸19aと上記支持軸18との距離が次第に狭くなり、相対的に上記先端部17bの下端縁17fの幅方向の中央部は、上記排気ポート15aの幅方向中央線上に沿って移動することになる(図6(b)〜(f))。その結果、上記制御弁体17の下端縁17fは、シリンダ内壁11aに沿って鉛直方向へ連続的に移動させることが可能になる。尚、この制御弁体17の回動角は、制御装置24からサーボモータ23へ出力される制御信号により予め設定されている。
【0027】
一方、同時に、上記制御弁体17の上記先端部17bの上部屈曲部17hが、上記弁体収納凹部16の上記先端部17bを収納する先端部収納凹部16aの壁面16bに対して微小間隙を保持したまま移動する。従って、この上部屈曲部17hと上記下端縁17fとがシール面となり、上記制御弁体17の上記排気タイミング制御面17eが、ピストン13の上下動により開閉する排気ポート15aの開閉タイミングを可変設定する。
【0028】
すなわち、上記排気タイミング制御面17eが、図6(a)に示すように上記弁体収納凹部16の先端部収納凹部16aに収納されている状態では、排気ポート15aは早く開かれ、且つ遅く閉じられる。そして、上記排気タイミング制御面17eが排気ポート15aに露呈するに従って、排気ポート15aの開弁するタイミングが次第に遅くなり、且つ閉弁するタイミングが次第に早くなる。
【0029】
この排気タイミングは、サーボモータ23の回動を制御する制御装置24により、エンジン回転数とエンジン壁温とをパラメータとして設定される。図7に、この排気タイミングの一例を示す。
【0030】
エンジン壁温の低い冷態始動では、上記制御弁体17を上記弁体収納凹部16内に収納する(図6(a))。すると、排気ポート15aが全開状態となるため、排気タイミングが早くなり、その分、排気ガスの吹抜けが生じて、実圧縮比が低くなるため、クランキングが楽になる。
【0031】
一方、エンジン壁温がさほど低くない通常始動では、上記制御弁体17の先端部17bを、図6(b)に示すように、やや下げて、排気ポート15aの排気タイミングを若干遅らせる。すると、排気タイミングが若干遅れる分、吹抜け量が減少し、圧縮圧が相対的に高くなり良好な始動性能が得られる。
【0032】
また、エンジン始動後のアイドル状態から低中回転域では、図6(f)に示すように上記制御弁体17の先端部17bを設定最大角に傾斜させて、排気ポート15aを遅く開かせると共に早く閉じさせる。すなわち、エンジン回転数が低い運転領域では、ピストン13の上下周期が長いため、それに応じて、排気ポートの開くタイミングを遅らせることで、排気ポート15aからの吹抜けを防止することができる。
【0033】
このとき、上記制御弁体17の上記排気タイミング制御面17eのシール性が、上述したように充分に保証されているため、排気タイミングの高い設定精度を得ることかできて、低中回転域での回転数を安定させることができる。
【0034】
そして、エンジン回転数が高回転へ移行するに従い、上記制御弁体17の先端部17bを上方へ移動させて、上記排気タイミング制御面17eを上記先端面収納凹部16aに徐々に没入させる。その結果、高速回転に伴うピストン13の上下周期が短くなるに従って排気ポートの開くタイミングが次第に早くなり、やがて、高速回転に達すると、上記制御弁体17の先端部17bが、図6(a)に示すように、排気ポート15aの上端縁まで移動して、排気ポート15aを全開状態にし、排気効率を良くする。
【0035】
一方、エンジン回転数が過回転領域に達したときは、上記制御弁体17の先端部17bを下方へ所定角度回動させ、排気ポート15aの開くタイミングを遅らせる。すると、排気効率が低下し、エンジンの過回転が抑制される。
【0036】
このように、本発明によれば排気ポート15aに臨まされた制御弁体17の排気タイミング制御面17eが、排気ポート15aに対してほぼ直線的に上下動するため、排気タイミングを連続的に制御することが容易で、しかも、この排気タイミング制御面17eの端縁と上記排気ポート15aとの間が常にほぼ一定の微小間隙を維持して移動するようにされているので、ガスの吹き抜けがなく、排気タイミングを設定通りに制御することができて、エンジンの出力向上及び安定性が得られる。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、排気タイミングを可変設定する制御弁体を排気ポートに沿って上下方向へ揺動スライド自在に支持することで、先端部に形成した排気タイミング制御面を排気ポートに対して最小の間隙を維持したまま上下動させることができ、その結果、この排気タイミング制御面と排気ポートの周縁との間からの吹抜けがなくなり、排気タイミングの連続的制御が比較的容易で、しかも、高精度に制御することができる。
【0038】
また、請求項2に記載されているように、上記排気タイミング制御面の上部と、この排気タイミング制御面の上部に対峙する、上記先端部を収納する弁体収納凹部の壁面を、上記排気タイミング制御面上部が移動する軌跡に沿う形状にすることで、この排気タイミング制御面上部と上記弁体収納凹部の壁面との間のシール性が向上し、吹抜けをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2サイクルエンジンの側面断面図
【図2】図1の右側面図
【図3】制御弁体の平面図
【図4】2気筒2サイクルエンジンの要部平面図
【図5】制御弁体の側面図
【図6】制御弁体の動作を時系列に示す側面図
【図7】制御弁体の排気タイミング制御状態を示す特性図
【図8】従来の制御弁体の平面図
【図9】従来の制御弁体の側面図
【符号の説明】
11a…シリンダ壁面
15…排気通路
15a…排気ポート
16…弁体収納凹部
16b…壁面
17…制御弁体
17a…支持孔(支持部)
17e…排気タイミング制御面
17f…下端縁
19…ピボット旋回軸
19a…ピボット軸
23…サーボモータ(駆動手段)
【産業上の利用分野】
本発明は、排気通路に配設した制御弁体を用いて排気タイミングを可変制御する2サイクルエンジンの排気制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、2サイクルエンジンでは、ピストンの上下運動により排気ポートが開閉されるため、クランク角に対して排気タイミングは常に一定であり、従って、高速運転時に高出力が得られるように排気ポートの開閉タイミングを設定すると、低速運転では排気ポートの開閉時間が相対的に長くなり、吹抜けが生じる。また、逆に、排気ポートの開閉タイミングを低速運転で滑らかな運転性能を得られるように設定すると、高速運転での排気効率が低下して出力不足が生じる。
【0003】
このように、、従来の2サイクルエンジンでは、全運転領域で常に安定した出力を得ることは困難であると考えられていたが、最近では、排気タイミングを積極的に制御して、全運転領域で安定した出力を得られるようにした排気制御装置の技術が種々提案されている。この排気制御装置としては、以下に述べるような、1)スライド式、2)ロータリ式、3)フラップ式等がある。
【0004】
1)スライド式
制御弁体を排気ポートに近接離間させる方向へ進退動作させることで、排気タイミングを可変するもので、実公昭60−3314号公報、実公平4−20979号公報、実公平5−9458号公報、特開平1−159414号公報等に開示されている。
【0005】
2)ロータリ式
切欠き部を有する鼓型や円柱型の回転制御弁体を排気通路に横設し、この回転制御弁体の回転角度により排気タイミングを制御するもので、実開昭56−54336号公報等に開示されている。
【0006】
3)フラップ式
後端を軸支する板状制御弁体の排気タイミング制御面を排気ポートの上部に臨ませ、この排気タイミング制御面の揺動角度によって排気タイミングを制御するもので、特公平5−61452号公報、米国特許第4,391,234号等に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら従来の排気制御装置には以下に示すような課題がある。
【0008】
1)スライド式では、制御弁体を斜め上方、或は水平方向から突出させて排気ポート上部を閉塞するようにしているため、排気タイミングを低速−高速、或は、低速−中速−高速といった段階的な制御しか行えず、エンジン回転数の変化に応じて連続的な制御を行うことができない。
【0009】
2)これに対して、ロータ式、フラップ式では、排気タイミングを連続的に可変制御することは可能であるが、上下方向への回転或は揺動運動により可変制御する構造であるため、回動角或は揺動角が大きくなるに従い、排気ポートに近接する制御弁体の排気タイミング制御面とシリンダ壁面とのクリアランスが次第に大きくなるため、正確な排気タイミングを得ることができない。このことを、図8、図9に示すフラップ式の制御弁体を用いて具体的に説明する。
【0010】
制御弁体1は、排気通路2の上部に配設され、その後端が支持軸3を介して揺動自在に支持されている。この制御弁体1の排気タイミング制御面1aは、シリンダ壁面4の内周に沿う曲率に湾曲形成されて、この排気タイミング制御面1aの幅方向端部が排気ポート2aの幅方向端縁部2bに近接されている。
【0011】
そして、例えば、図9の実線で示すように、上記制御弁体1の排気タイミング制御面1aが排気ポート2aの上部に臨まされるときの、上記支持軸3の軸中心から水平方向へ延出する延長線との交点である排気タイミング制御面1aの下部を上記排気ポート2aの周面上に臨ませ、この状態で上記制御弁体1を上下方向へ10mm揺動させると、図の一点鎖線、或は二点鎖線に示すように、上記排気ポート2aに対して、制御弁体1の幅方向中央の下部で0.81mm(実測値)、幅方向端部の下部で0.95mm(実測値)のクリアランスが生じてしまう。その結果、この間隙部からの吹抜けにより排気タイミングを充分に制御することができない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、制御弁体と排気ポート端縁との間のクリアランスを最小にしつつ、排気タイミングの連続的で、しかも正確に制御することのできる2サイクルエンジンの排気制御装置を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による2サイクルエンジンの排気制御装置は、ピストンの上下動により開閉する排気ポートの排気タイミングを制御弁体の先端に設けた排気タイミング制御面により可変制御する2サイクルエンジンの排気制御装置において、前記排気ポートに連通する排気通路の上壁に前記制御弁体を収納する弁体収納凹部を形成し、上記制御弁体の前記排気タイミング制御面の幅方向をシリンダ壁面に沿う曲率で湾曲形成すると共に、この排気タイミング制御面の幅方向中央部の少なくとも下端縁を上記排気ポートの幅方向中央線上に臨ませ、上記制御弁体の中途に形成した支持部を上記排気ポート方向へのスライド及び上下方向への揺動を許容した状態で支持し、この制御弁体の後部を、この後部と上記支持部との間に旋回中心を有するピボット旋回軸の一方へ偏心した位置に設けたピボット軸に枢支して上記排気タイミング制御面の少なくとも幅方向中央部の下端縁を上記排気ポートの幅方向中央線に沿って揺動スライドさせることを特徴とする。また、好ましくは、前記弁体収納凹部の前記排気タイミング制御面に対峙する壁面の内、少なくとも上記排気タイミング制御面上部の移動軌跡に対峙する面が、この排気タイミング制御面上部の移動軌跡に沿って形成されていることを特徴とする。
【0014】
【作 用】
本発明では、ピボット旋回軸が回動して、このピボット旋回軸の一方へ偏心した位置に設けたピボット軸に連設する制御弁体の後部が上方へ回動すると、この制御弁体の先端に設けた排気タイミング制御面が、上記制御弁体の中途に設けた支持部を支点として下方へ回動すると共に、上記ピボット旋回軸の回動中心が制御弁体の支持部と後部との間に設定されているため、上記排気タイミング制御面が上記ピボット軸の回動曲率に沿って排気ポートの方向へスライドされる。その結果、シリンダ壁面とほぼ同じ曲率で湾曲形成された上記排気タイミング制御面の幅方向中央部の少なくとも下縁部が上記排気ポートの幅方向中心線上に沿って移動し、上記排気ポート上縁部を次第に狭め、また、上記制御弁体の後部が上記ピボット旋回軸の回動により下方へ所定角度回動すると、上記排気タイミング制御面が排気通路の上壁に形成された弁体収納凹部に収納される方向へ回動し、上記排気ポート上縁部を次第に広げる。その結果、ピストンの上下動による上記排気ポートの開閉タイミングが上記排気タイミング制御面により可変設定される。
【0015】
尚、上記排気タイミング制御面の上部に対峙する上記弁体収納凹部の壁面が上記排気タイミング制御面上部の移動する軌跡に沿って略一定の微小間隙を有する形状に形成されていると、この壁面と上記排気タイミング制御面上部との間隙が常に一定の状態となり、この間隙からの吹き抜けがなくなる。
【0016】
【実施例】
以下、図1〜図7の図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図において、符号11は2サイクルエンジンのシリンダブロック、12はシリンダヘッド、13はピストンで、このシリンダブロック11のシリンダ壁面11aに、掃気ポート14aと排気ポート15aとが各々開口されている。上記掃気ポート14aはクランク室に連通する掃気通路14に連通され、上記排気ポート15aが排気通路15に連通され、この排気ポート15aの下流端に排気孔15bが開口されている。上記両ポート14a,15aは上記ピストン13の上下動により開閉され、所定に掃排気が所定に動作される。
【0017】
また、上記排気通路15上壁の上記排気ポート15a寄りに形成された弁体収納凹部16に、制御弁体17が横設されている。
【0018】
この制御弁体17の中途には、一方の側面から他方の側面へ貫通されていると共に、上記排気ポート15aの方向へ延びる長円形の支持孔17aが穿設されている。この支持孔17aには、その両端を上記シリンダブロック11に固定する弁体支持軸18に挿通支持され、揺動スライド自在に支持されている。
【0019】
さらに、この制御弁体17の後端に、ピボット旋回軸19のピボット軸19aが枢軸されている。このピボット旋回軸19のピボット旋回中心は上記支持軸18と、上記制御弁体17の後端との間に存在しており、このピボット旋回軸19の往復動作により、上記制御弁体17が前後方向及び上下方向へ揺動スライドする。
【0020】
また、上記制御弁体17の先端部17bがアーム17cを介して上記排気ポート15aの方向へ延出されている。この先端部17bは上方へ楔状に延出され、その上端部17dが鋭角に切込まれ、また、上記先端部17bの上記排気ポート15aに対峙する面が排気タイミング制御面17eをなしている。この排気タイミング制御面17eの下端縁17fの幅方向が上記シリンダ壁面11aとほぼ同じ曲率で湾曲形成され、さらに、その幅方向両端縁17gが上記シリンダ内壁11aに対してやや大きい曲率で形成されている。尚、この排気タイミング制御面17e全体も、上記下端縁17fとほぼ同じ曲率で幅方向へ湾曲形成されている。
【0021】
一方、上記制御弁体17を収納する上記弁体収納凹部16は、図1、図6に示すように、後部が、上記制御弁体17後部の上方への揺動を許容する形状に形成されており、また、前部に形成した上記制御弁体17の先端部17bを収納する先端部収納凹部16aが、上記制御弁体17の先端部17bに対してほぼ相似形をなしている。このような上記弁体収納凹部16の形状は、上記先端部収納凹部16a以外の、上記制御弁体17の上面と対峙する全ての壁面に渡ってほぼ相似形をなしており、上記弁体収納凹部16と上記制御弁体17とのクリアランスが小さくなる面積を多く取るようになっている。また、上記弁体収納凹部16と上記制御弁体17の幅方向両端部においても同様に上記弁体収納凹部16の形状は、上記制御弁体17に沿ったものでありクリアランスを小さくしてある。
【0022】
さらに、上記制御弁体17の上記先端部17bの下端縁17fの幅方向中央部が、上記排気ポート15aの幅方向中央線上に臨まされており、この制御弁体17の揺動スライドにより、上記先端部17bの下端縁17fの幅方向中央部が上記排気ポート15aの幅方向中央線に沿って上下動するように、上記支持軸18と上記ピボット旋回軸19の旋回中心、及びこのピボット旋回軸19のピボット軸19aの旋回半径が設定されている。
【0023】
実験では、従来例で述べたように上記制御弁体17を上下方向へ10mm揺動させると、上記制御弁体17の先端部17bの下端縁17fの幅方向中央と上記排気ポート15aとの距離は、最大値が0.026mmであった。また、上記先端部収納凹部16aの、上記排気タイミング制御面17eに対峙する壁面16bが、この排気タイミング制御面17eの上部屈曲部17hの軌跡に対し、常に一定の微小間隙を保持して対峙するように設定されている。その結果、上記排気タイミング制御面17eの下端縁17fと上記上部屈曲部17hとがピストン13、排気ポート15aの上端縁に対してシール面となり、上記排気タイミング制御面17eの上下動により、排気ポート15aの開閉タイミング(排気タイミング)が可変制御される。
【0024】
尚、図4に示すように、2気筒エンジンの場合には、各気筒ごとに設けたピボット旋回軸19をユニバーサルジョイント20を介して連結する。このピボット旋回軸19の一端にはプーリ21が軸着されており、このプーリ21が、ベルト22を介してサーボモータ23に軸着されているプーリ23aに連設されている。このサーボモータ23は、制御装置24からの駆動信号に従って往復回動される。この制御装置24には、エンジン回転数情報と、エンジン壁温情報とが入力され、この両パラメータに応じて上記サーボモータ24の回動角、すなわち排気タイミングを連続的に可変設定する。尚、上記サーボモータ24に代えて、ステッピングモータ、或いはデューテイソレノイド等を採用しても良い。
【0025】
次に、上記構成による実施例の作用について説明する。排気通路15の上面に配設した制御弁体17は、ピボット旋回軸19の回動により揺動スライドされる。すなわち、このピボット旋回軸19を、図6の時計回り方向へ回動させると、このピボット旋回軸19のピボット軸19aが同方向へ回動し、上記制御弁体17は支持軸18に支持されながら、その先端部17bが図の上方へ移動し、上記排気通路15の上壁に形成した弁体収納凹部16に収納される(図6(a))。
【0026】
一方、上記ピボット旋回軸19が反時計回り方向へ回動すると、上記制御弁体17は上記支持軸18に支持されながら、その先端部17bを、図6の下方へ移動させる。このとき、上記ピボット軸19aと上記支持軸18との距離が次第に狭くなり、相対的に上記先端部17bの下端縁17fの幅方向の中央部は、上記排気ポート15aの幅方向中央線上に沿って移動することになる(図6(b)〜(f))。その結果、上記制御弁体17の下端縁17fは、シリンダ内壁11aに沿って鉛直方向へ連続的に移動させることが可能になる。尚、この制御弁体17の回動角は、制御装置24からサーボモータ23へ出力される制御信号により予め設定されている。
【0027】
一方、同時に、上記制御弁体17の上記先端部17bの上部屈曲部17hが、上記弁体収納凹部16の上記先端部17bを収納する先端部収納凹部16aの壁面16bに対して微小間隙を保持したまま移動する。従って、この上部屈曲部17hと上記下端縁17fとがシール面となり、上記制御弁体17の上記排気タイミング制御面17eが、ピストン13の上下動により開閉する排気ポート15aの開閉タイミングを可変設定する。
【0028】
すなわち、上記排気タイミング制御面17eが、図6(a)に示すように上記弁体収納凹部16の先端部収納凹部16aに収納されている状態では、排気ポート15aは早く開かれ、且つ遅く閉じられる。そして、上記排気タイミング制御面17eが排気ポート15aに露呈するに従って、排気ポート15aの開弁するタイミングが次第に遅くなり、且つ閉弁するタイミングが次第に早くなる。
【0029】
この排気タイミングは、サーボモータ23の回動を制御する制御装置24により、エンジン回転数とエンジン壁温とをパラメータとして設定される。図7に、この排気タイミングの一例を示す。
【0030】
エンジン壁温の低い冷態始動では、上記制御弁体17を上記弁体収納凹部16内に収納する(図6(a))。すると、排気ポート15aが全開状態となるため、排気タイミングが早くなり、その分、排気ガスの吹抜けが生じて、実圧縮比が低くなるため、クランキングが楽になる。
【0031】
一方、エンジン壁温がさほど低くない通常始動では、上記制御弁体17の先端部17bを、図6(b)に示すように、やや下げて、排気ポート15aの排気タイミングを若干遅らせる。すると、排気タイミングが若干遅れる分、吹抜け量が減少し、圧縮圧が相対的に高くなり良好な始動性能が得られる。
【0032】
また、エンジン始動後のアイドル状態から低中回転域では、図6(f)に示すように上記制御弁体17の先端部17bを設定最大角に傾斜させて、排気ポート15aを遅く開かせると共に早く閉じさせる。すなわち、エンジン回転数が低い運転領域では、ピストン13の上下周期が長いため、それに応じて、排気ポートの開くタイミングを遅らせることで、排気ポート15aからの吹抜けを防止することができる。
【0033】
このとき、上記制御弁体17の上記排気タイミング制御面17eのシール性が、上述したように充分に保証されているため、排気タイミングの高い設定精度を得ることかできて、低中回転域での回転数を安定させることができる。
【0034】
そして、エンジン回転数が高回転へ移行するに従い、上記制御弁体17の先端部17bを上方へ移動させて、上記排気タイミング制御面17eを上記先端面収納凹部16aに徐々に没入させる。その結果、高速回転に伴うピストン13の上下周期が短くなるに従って排気ポートの開くタイミングが次第に早くなり、やがて、高速回転に達すると、上記制御弁体17の先端部17bが、図6(a)に示すように、排気ポート15aの上端縁まで移動して、排気ポート15aを全開状態にし、排気効率を良くする。
【0035】
一方、エンジン回転数が過回転領域に達したときは、上記制御弁体17の先端部17bを下方へ所定角度回動させ、排気ポート15aの開くタイミングを遅らせる。すると、排気効率が低下し、エンジンの過回転が抑制される。
【0036】
このように、本発明によれば排気ポート15aに臨まされた制御弁体17の排気タイミング制御面17eが、排気ポート15aに対してほぼ直線的に上下動するため、排気タイミングを連続的に制御することが容易で、しかも、この排気タイミング制御面17eの端縁と上記排気ポート15aとの間が常にほぼ一定の微小間隙を維持して移動するようにされているので、ガスの吹き抜けがなく、排気タイミングを設定通りに制御することができて、エンジンの出力向上及び安定性が得られる。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、排気タイミングを可変設定する制御弁体を排気ポートに沿って上下方向へ揺動スライド自在に支持することで、先端部に形成した排気タイミング制御面を排気ポートに対して最小の間隙を維持したまま上下動させることができ、その結果、この排気タイミング制御面と排気ポートの周縁との間からの吹抜けがなくなり、排気タイミングの連続的制御が比較的容易で、しかも、高精度に制御することができる。
【0038】
また、請求項2に記載されているように、上記排気タイミング制御面の上部と、この排気タイミング制御面の上部に対峙する、上記先端部を収納する弁体収納凹部の壁面を、上記排気タイミング制御面上部が移動する軌跡に沿う形状にすることで、この排気タイミング制御面上部と上記弁体収納凹部の壁面との間のシール性が向上し、吹抜けをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2サイクルエンジンの側面断面図
【図2】図1の右側面図
【図3】制御弁体の平面図
【図4】2気筒2サイクルエンジンの要部平面図
【図5】制御弁体の側面図
【図6】制御弁体の動作を時系列に示す側面図
【図7】制御弁体の排気タイミング制御状態を示す特性図
【図8】従来の制御弁体の平面図
【図9】従来の制御弁体の側面図
【符号の説明】
11a…シリンダ壁面
15…排気通路
15a…排気ポート
16…弁体収納凹部
16b…壁面
17…制御弁体
17a…支持孔(支持部)
17e…排気タイミング制御面
17f…下端縁
19…ピボット旋回軸
19a…ピボット軸
23…サーボモータ(駆動手段)
Claims (2)
- ピストンの上下動により開閉する排気ポートの排気タイミングを制御弁体の先端に設けた排気タイミング制御面により可変制御する2サイクルエンジンの排気制御装置において、
前記排気ポートに連通する排気通路の上壁に前記制御弁体を収納する弁体収納凹部を形成し、
上記制御弁体の前記排気タイミング制御面の幅方向をシリンダ壁面に沿う曲率で湾曲形成すると共に、
この排気タイミング制御面の幅方向中央部の少なくとも下端縁を上記排気ポートの幅方向中央線上に臨ませ、
上記制御弁体の中途に形成した支持部を上記排気ポート方向へのスライド及び上下方向への揺動を許容した状態で支持し、
この制御弁体の後部を、この後部と上記支持部との間に旋回中心を有するピボット旋回軸の一方へ偏心した位置に設けたピボット軸に枢支して上記排気タイミング制御面の少なくとも幅方向中央部の下端縁を上記排気ポートの幅方向中央線に沿って揺動スライドさせることを特徴とする2サイクルエンジンの排気制御装置。 - 前記弁体収納凹部の前記排気タイミング制御面に対峙する壁面の内、少なくとも上記排気タイミング制御面上部の移動軌跡に対峙する面が、この排気タイミング制御面上部の移動軌跡に沿って形成されていることを特徴とする請求項1記載の2サイクルエンジンの排気制御装置。
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