JP3544612B2 - クリーム半田印刷装置及び印刷方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリーム半田を被印刷物である回路基板面上に印刷、塗布するクリーム半田印刷装置及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子回路基板の製造においてプリント基板上にチップ部品等の電子部品を半田付けする際には主にクリーム半田が使用され、このクリーム半田を所望のパターンにて印刷、塗布するためにクリーム半田印刷機が用いられる。
従来のクリーム半田印刷機100に塔載されているスキージヘッドの一例としては、図20に示す様な構成のものが挙げられる。通常、印刷動作は、スキージヘッド102が、図20における左から右へ、及び右から左へ各プリント基板5毎に交互に移動するが、この際、上記左から右への右方向印刷では右方向印刷用スキージ101aが、反対の左方向印刷では左方向印刷用スキージ101bが使用される。
このような従来のクリーム半田印刷機100による、プリント基板5へのクリーム半田の印刷動作を図20ないし図22に基づいて説明する。図20ないし図22において、3は所望のパターンの開口部4が形成されたマスク、5はプリント基板、6はクリーム半田7を印刷するランド、8はソルダーレジストである。尚、マスク3の上記所望のパターンとは、プリント基板5上のランド6に対応して開口部4が形成されてなるパターンをいう。
【0003】
先ず、上記右方向印刷を行う場合、開口部4とランド6とが一致するように、プリント基板5をマスク3に位置決めして重ね合わした後、左方向印刷用スキージ101bを上昇させた状態で右方向印刷用スキージ101aを下降させてスキージ先端部103をマスク3の表面3aに適正な印圧で接触させる。この状態で、右方向に沿って右方向印刷用スキージ101aを直線移動させることで、予めマスク3の表面3aに設けたクリーム半田7をマスク3の開口部4に充填させていく。右方向印刷用スキージ101aがマスク3の右端まで移動した後、プリント基板5をマスク3から離すことで印刷動作が終了する。又、上記左方向印刷を行う場合には、上述の右方向印刷と同様に、プリント基板5をマスク3に位置決めして重ね合わした後、今度は反対に右方向印刷用スキージ101aを上昇させたまま、左方向印刷用スキージ101bを下降させてスキージ先端部103を接触させる。その後の動作は上述の右方向印刷と同様である。この様に、これらの動作を各プリント基板5毎に交互に繰り返すことにより、マスク3を介して各プリント基板5のランド6上にクリーム半田7を連続して印刷、塗布するものである。
【0004】
従来のクリーム半田印刷機100を使用した印刷では、印刷用スキージ101a又は印刷用スキージ101bの先端部103をマスク3の表面3aに適正な印圧で接触させた状態で印刷用スキージ101a又は印刷用スキージ101bを移動させていることからも分かる様に、従来の印刷用スキージ101a,101bは、マスク3の表面3aのクリーム半田7を掻き取る掻き取り動作と、マスク3の開口部4にクリーム半田7を充填する充填動作の2つの作業を1種類のスキージで行っている。これを図21及び図22に基づいて説明する。
図21及び図22は右方向印刷の場合の印刷用スキージ101a等の拡大図である。先ず図21に示す様に、マスク3の表面3aに先端部103が接触するように右方向印刷用スキージ101aが下降して右方向に沿って直線移動すると、右方向印刷用スキージ101aは、マスク3の表面3aに供給されたクリーム半田7に到達してこれを掻き取りながら移動していく。この掻き取り動作によりクリーム半田7は、図22に矢印Iにて示す様に、ローリングと呼ばれる回転運動を行いながら流動する。このとき、クリーム半田7の内部では流体圧力が発生している。この様な状態でさらに右方向印刷用スキージ101aが右方向に移動し、マスク3の開口部4に達したとき、上述の流体圧力によりクリーム半田7は開口部4内に押し込まれて、いわゆるクリーム半田7の充填が行われる。以下、クリーム半田7が開口部4内に押し込まれる圧力を充填圧力と記す。
【0005】
印刷用スキージ101aに対し、図23に示す様な座標系を考える。クリーム半田7の粘度をη、マスク3の表面3aと該表面3aに対向する印刷用スキージ101aの面104とのなす角度(以下、スキージ角度と記す)をα、印刷用スキージ101aの移動速度(以下、スキージ速度と記す)をvとすると、クリーム半田7の内部に発生する流体圧力pは次式で表されることが知られている。
p=(2ηv/r)・(Asinθ+Bcosθ) … (1)
ここで、
rは図23に示す極座標系における任意の位置、
θはマスク3の表面3aと上記rとのなす角度、
A=sin2α/(α2−sin2α)、
B=(α−sinα・cosα)/(α2−sin2α)。
従って、(1)式からクリーム半田7の内部の流体圧力分布及び印刷用スキージ101aの面104での圧力分布は図24に示す様な状態になることが分かる。即ち、図24にて斜線を施した部分105が上記流体圧力p、即ち上記充填圧力が発生した部分を示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、生産性向上の観点からクリーム半田印刷工程においても印刷時間の短縮が望まれている。しかしながら、従来のクリーム半田印刷機100において、上記時間短縮のため上記スキージ速度vを従来よりも高速にした場合、図25に示す様に、マスク3の開口部4へのクリーム半田7の充填量が不足する、いわゆる未充填部分9が発生して印刷不良となり、安定した印刷が行えない。尚、このような未充填部分9は、例えばスクリーン印刷にてインクを被印刷体へ印刷する通常の印刷では発生せず、例えばクリーム半田7のように高粘性フラックスに粉末半田を混ぜ合わせたペースト状物質を使用する場合に発生する。即ち、上記半田粉末に起因して上記未充填部分9が発生する。したがって、従来のクリーム半田印刷機100では、スキージ速度vの高速化による印刷時間の短縮は行えないという問題があった。
スキージ速度vの高速化による未充填部分9の発生は以下に示す様な現象により発生する。スキージ速度vを従来より高速化した場合には、開口部4上を印刷用スキージ101aの先端部103が通過する時間は短くなる。従って、クリーム半田7が開口部4へ充填される時間(以下、充填時間と記す)も当然短くなる。又、(1)式並びに図23及び図24より、r=0、即ち印刷用スキージ101aの先端部103とマスク3の表面3aとの接触点で、上記充填圧力は最大になる。尚、理論上はr=0ではpr=pθ=∞であるが、実際はこの部分でよどみ点となるために最大値を示すことになる。
しかしながら、スキージ速度vを従来より速くすることで上記充填圧力自体は上昇しているにもかかわらず、図24にて斜線にて示す圧力分布からも分かる様に、圧力の高い範囲が狭く、又、スキージ先端部103が開口部4上を瞬時に通過するために十分な充填時間を得ることができず、その結果として未充填部分9が発生してしまう。
【0007】
上記未充填部分9の発生を防ぐためには、(1)式から判断すると、上記スキージ角度αを小さくして、更に上記充填圧力を上昇させることで、短い充填時間でも充填を完了する様にすればよいと考えられる。しかしながら、上述の様に従来の印刷用スキージ101aは、クリーム半田7の充填動作とマスク3の表面3aのクリーム半田7の掻き取り動作との2つの動作を行っているために、充填圧力を増加させることはスキージ先端部103の変形を大きくすることになり、マスク3の表面3aのクリーム半田7を掻き取ることができなくなる。よって、図26に示すように、マスク3の表面3aにクリーム半田7が残ってしまう。これを防ぐために、更に印刷用スキージ101aの先端部103をより強くマスク3の表面3aに接触させた場合には、図27に示す様にクリーム半田7の掻き取りは行われるが、その一方で、上記強い接触圧によりスキージ先端部103の変形量が大きくなってしまう。よって、スキージ先端部103が開口部4に位置したとき、スキージ先端部103の復元によりスキージ先端部103の一部分が開口部4に侵入し、開口部4に充填したクリーム半田7を削り取る現象が発生してしまう。又、クリーム半田7に含まれる半田粉末も上記削り取り現象を助長している。このため開口部4におけるクリーム半田7の充填量が減少し、安定した印刷が行えない。
【0008】
このようなことから、従来、印刷を行う際は、上述の充填及び掻き取り動作の両方が十分に行え安定した印刷ができる様に、作業者が経験的に各印刷条件の設定や調整、変更を行っていた。よって、上記印刷条件の設定や調整、変更作業は作業者による個人差が大きく、安定した印刷を維持することは困難であるという問題もあった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、従来に比べ印刷時間の高速化を図った場合においても安定した印刷を行うことができる、クリーム半田印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1態様であるクリーム半田印刷装置は、開口部が形成された印刷用マスクの表面をスキージが印刷方向に移動することにより上記表面上のクリーム半田を上記印刷用マスクの裏面に位置する回路基板面に上記開口部を介して印刷し塗布するクリーム半田印刷装置であって、
上記スキージは、
印刷時には上記表面に対して隙間を隔てた非接触な状態に先端が配置されて上記印刷方向に移動して上記クリーム半田を上記開口部へ充填する充填用スキージと、
上記印刷方向において上記充填用スキージの後方に配置され印刷時には上記表面に接触して上記充填用スキージと同方向に移動する掻き取り用スキージであって、当該掻き取り用スキージの軸方向と上記印刷用マスクの表面とを鈍角として設けられ上記開口部に充填された上記クリーム半田に影響を与えずに上記表面上の不要なクリーム半田の除去を行い、かつ当該掻き取り用スキージと上記印刷用マスクの表面との接触線の延在方向と上記開口部を形成する縁部の延在方向とが交差して設けられる掻き取り用スキージと、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の第2態様であるクリーム半田印刷方法は、開口部が形成された印刷用マスクの表面を印刷時には充填用スキージの先端と上記表面とが隙間を隔てた非接触な状態で上記充填用スキージを印刷方向に移動して上記表面上のクリーム半田を上記開口部へ充填した後、
上記表面に接触して上記印刷方向に移動する掻き取り用スキージであって当該掻き取り用スキージの軸方向と上記印刷用マスクの表面とを鈍角として設けられ、かつ当該掻き取り用スキージと上記印刷用マスクの表面との接触線の延在方向と上記開口部を形成する縁部の延在方向とが交差して設けられる掻き取り用スキージにて、上記開口部に充填された上記クリーム半田に影響を与えずに上記表面上の不要なクリーム半田の除去する、
ことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態であるクリーム半田印刷装置及び印刷方法について図面を参照しながら以下に説明する。尚、上記印刷方法は上記クリーム半田印刷装置にて実行されるものである。又、各図において、同一又は同様の機能を果たす構成部分については同じ符号を付し、その説明を省略する。又、本明細書において、クリーム半田とは、粉末半田を高粘性フラックスに混ぜ合わせたペースト状半田をいう。又、充填調整装置の機能を果たす一実施形態として後述する充填用スキージ10用の上下駆動装置11及び角度可変装置12が相当する。又、充填圧力検出器の機能を果たす一実施形態として後述する反力検出器13、及び圧力検出器532a,532bが相当する。
図1は、本実施形態におけるクリーム半田印刷装置51におけるスキージ周りの概略を示す図である。尚、該クリーム半田印刷装置51は、上述の左、右の両印刷方向にスキージが移動するタイプである。
クリーム半田印刷装置51には、上記右方向印刷時に使用する掻き取り用スキージ14a、上記左方向印刷時に使用する掻き取り用スキージ14bに加え、さらに、印刷方向においてこれら掻き取り用スキージ14a、14bに挟まれた位置に、クリーム半田7をマスク3の上記開口部4に充填するための充填用スキージ10を設けた。
【0012】
印刷時においてマスク3上の不要なクリーム半田7の掻き取り動作を行う掻き取り用スキージ14a,14bのそれぞれは、当該クリーム半田印刷装置51を構成するスキージヘッドの台板17にそれぞれ取り付けられた掻き取りスキージ用の上下駆動装置15,16にて、待機位置18と掻取位置19との間で昇降可能である。尚、上記台板17は、制御装置48にて動作制御される駆動装置49にて左、右の印刷方向へ移動される。図1では、右方向印刷を行っている状態を示しているので、掻き取り用スキージ14aが掻取位置19に下降し、掻き取り用スキージ14bが待機位置18に上昇した状態を図示している。掻き取り用スキージ14a,14bが掻取位置19に位置した状態にあっては、各スキージの先端部20は、適宜な圧力がマスク3の表面3aに印加されるような状態でマスク3の表面3aに接触する。尚、図1では、掻き取り用スキージ14a,14bの各先端部20,20の掻き取り用スキージ側面21,21は、上記表面3aに対して直交方向に延在するように図示しているが、実際の印刷時には、掻き取り用スキージ14a,14bは、例えば図11,13に示すようにマスク3の表面3aに対して上記側面21が鋭角な角度、又は鈍角な角度の任意の角度をなすように傾斜し、表面3a上の不要なクリーム半田7の掻き取り動作を行う。又、上記表面3a上の上記不要なクリーム半田7とは、マスク3の表面3a及び開口部4において、表面3aを超えて表面3a及び開口部4に盛り上がって存在するクリーム半田をいう。
又、上記駆動装置49、上下駆動装置15,16のそれぞれは、当該クリーム半田印刷装置51の動作制御を行う制御装置48に接続される。
【0013】
充填用スキージ10は、大略、充填用部材22、該充填用部材22を保持する保持部材23を有し、台板17に取り付けられた、充填用スキージ10用の上下駆動装置11の駆動軸11aに反力検出器13を介して連結されている。上下駆動装置11は、制御装置48に接続されており、詳細後述するように、反力検出器13の出力情報に基づき制御装置48を介して駆動され駆動軸11aを昇降する。
本実施形態では左右両印刷方向に対して一つの充填用スキージ10を設けたものであるので、充填用部材22は、図示するように大略船底形に形成され、その先端部分における表面3aへの対向面は、図2に詳しく示すように、充填用部材22の先端24から各印刷方向に向かって上り傾斜となる充填加圧面25を形成する。尚、充填用部材22の材質としては、従来のスキージに使用されるような、ゴム材や金属等が使用できる。充填用スキージ10は、印刷時において、上記先端24が表面3aに対して寸法h2にてなる隙間H2をなすように配置される。又、このとき充填用部材22の印刷方向側の側面22aと充填加圧面25との交線部分26と表面3aとの隙間H1の寸法はh1となる。
上述のような充填用部材22を有する充填用スキージ10及び掻き取り用スキージ14a,14bを設けることで、充填用スキージ10のスキージ速度を高速化した場合においても従来のようにマスク3の開口部4にクリーム半田7の未充填部分9が生じることはなく、安定した印刷を行うことができる。その理由を以下に説明する。
【0014】
充填用スキージ10による開口部4へのクリーム半田7の充填の際に発生する充填圧力について、図2に基づいて説明する。図2に示す状態にて、矢印で示すように右方向へ充填用スキージ10を移動させると、クリーム半田7は、上述した隙間H1側から充填用部材22の充填加圧面25へ流入して、上記隙間H2から流出する。この現象は、狭いくさび状の隙間に入り込む物質の流れを考えることにより説明することができる。即ち、図3に示す様なモデルを考える。このモデルは、軸受等における流体潤滑の説明で用いられる一般的に良く知られたモデルであるが、このモデルはちょうど充填用部材22の中心から右側の隙間H2から隙間H1までの形態と近似している。図3において、壁体301と基準面302との流体の入口側の隙間の大きさをh1、出口側の隙間の大きさをh2、入口隙間と出口隙間の間隔をL、入口隙間からxの距離における壁体301と基準面302との隙間の大きさをh、壁体301の移動速度をv、流体の粘度をηとすると、流体の流れにより距離xの位置で発生する圧力p’は次式で表され、又、圧力分布は図4に示すようになることが良く知られている。
p’=(6ηvL/(h1 2−h2 2))・((h1−h)(h−h2)/h2)…(2)
従って、充填用スキージ10の充填用部材22によりクリーム半田7に発生する充填圧力及び圧力分布も同様に考えることができる。即ち、図24における斜線部分105に比べて、図4における斜線部分303に示すように、充填用スキージ10を使用することで高い充填圧力が広範囲で発生していることがわかる。したがって、充填時間が短くても上記開口部4への充填を行うことができる。よって、スキージ速度を高速化した場合においても上記未充填等の充填不良の発生が無く、安定した印刷を行うことができる。
【0015】
このような充填用部材22は、上記駆動軸11aと同軸上にてピン27にて左、右の印刷方向側に揺動可能な状態で保持部材23にて保持される。後述するように充填用部材22の充填加圧面25とマスク3の表面3aとの交差角度を可変とするとともに、ピン27を中心に揺動可能な充填用部材22を適宜な上記交差角度に維持するために、保持部材23にはモータ又はシリンダなどのような角度可変装置12が取り付けられている。該角度可変装置12は、その本体の一端が保持部材23に回動可能に支持され、該本体に対して進退可能である駆動軸12aの先端部分が充填用部材22の肩部22aに対して回動可能に連結されている。よって、駆動軸12aを進退させることで充填用部材22は、ピン27を支点として揺動することになる。又、角度可変装置12は、制御装置48に接続されており、制御装置48の制御により上記駆動軸12aを進退させて上記交差角度を変更する。
【0016】
さらに本実施形態では、印刷時においてクリーム半田7を介して充填用部材22の充填加圧面25に作用する反力を検出可能なように、保持部材23はロードセルなどのような反力検出器13を介して上下駆動装置11の駆動軸11aに接続されている。尚、従来のクリーム半田印刷装置に対して上記反力検出器13を単に設けたとしても反力を検出することはできない。その理由を図28を参照して説明する。従来の印刷用スキージ101aの先端部はマスク3の表面3aと接触した状態で移動するために、図29に示すように、その摩擦により印刷用スキージ101aの先端部が大きく変形する。又、印刷用スキージ101aの先端部とマスク3の表面3aとの接触部分が反力検出器の鉛直方向上には位置していない。よって、クリーム半田7の反力で印刷用スキージ101aの上記接触部分が押し上げられることで、上記接触部分とは反対側に位置する印刷用スキージ101aの反接触側端部は逆にマスク3側に引っ張られるような状態を生じる。よって印刷用スキージ101aにはクリーム半田7による反力が作用しているにも拘わらず、反力検出器は逆にマスク3側への引張力を検出するようになってしまう。したがって反力検出器はクリーム半田7の反力を検出することはできない。これに対し、本実施形態のクリーム半田印刷装置51では、充填用スキージ10は、マスク3の表面3aに接触しない状態で移動するので、クリーム半田7の反力を検出することが可能となる。
【0017】
又、図3及び上記(2)式からも分かる様に、圧力p’をx=0〜Lの範囲で積分することにより、充填加圧面25に作用する反力を求めることができる。よって、反力検出器13により検出されたクリーム半田7の反力により、充填圧力の状態を知ることができる。さらに又、上記(2)式よりわかるように、圧力p’は、隙間H1及び隙間H2の寸法h1及び寸法h2を調整することで変化させることができ、寸法h1及び寸法h2は、充填用スキージ10の上下駆動装置11及び角度可変装置12の少なくとも一方を動作させることにより調整が可能である。
よって、反力検出器13は制御装置48に接続されており、制御装置48は、反力検出器13が検出した上記反力の情報に基づき、上述の未充填部分9がマスク3の開口部4にて発生しないように上記隙間H2の寸法h2や、上記隙間H1の寸法h1を調整するために上下駆動装置11を動作させ駆動軸11aを介して充填用部材22を昇降させたり、上記交差角度を調整するために角度可変装置12を動作する制御を行う。したがって、例えば、環境変化等の影響でクリーム半田7の物性、特に粘度η、が変化して充填圧力が変化したり、生産機種切り替え等によりクリーム半田7の種類が変更されたとき等でも、反力検出器13にて検出されたクリーム半田7の反力情報が予め設定した反力値や機種切り替え前における反力値に近似していくように、制御装置48は上下駆動装置11及び角度可変装置12の少なくとも一方を動作させる。これにより充填用スキージ10の高さ及び上記交差角度の少なくとも一方が変化して上記寸法h1及びh2が調整され、印刷条件を自動的に調整、変更することができ、安定した印刷を行うことができる。尚、制御装置48による上記上下駆動装置11及び角度可変装置12の動作制御は、充填用スキージ10の移動とともにリアルタイムにて行ってもよいし、各回路基板毎又はある印刷回数毎に行ってもよい。
このように、印刷条件を自動的に調整、変更することができるので、安定した印刷を維持することができ、作業時間も短縮することができる。
【0018】
尚、本実施形態では、充填用スキージ10の充填用部材22の充填加圧面25は、平面であるが、これに限るものではなく、例えば図5に示すように表面3a側に凸状となる曲面であってもよい。要するに、印刷方向に向かって、充填加圧面25とマスク3の表面3aとの間の隙間における寸法が上記寸法h2よりも上記寸法h1の方が大きい、即ち、h1>h2の関係を有するものであれば充填加圧面25の形状は問わない。又、充填用部材22の先端24は、図2に示すように尖っていてもよいし、図7に示すように上記印刷方向に沿って適宜な長さにわたり表面3aに平行な平面であってもよい。
【0019】
又、反力検出器13及び角度可変装置12の設置場所は、上述した箇所に限定されるものではなく各機能を果たすことができるような場所であればよい。
【0020】
又、当該クリーム半田印刷装置51は、左、右の両印刷方向に移動するタイプであるので、掻き取り用スキージ14a,14bの両方を備えるが、クリーム半田印刷装置はいずれか一方のみに移動するタイプであってもよく、その場合には移動方向に対応する掻き取り用スキージ14a又は掻き取り用スキージ14bが設けられる。
【0021】
又、本クリーム半田印刷装置51では、充填用スキージ10の充填用部材22の形状を左右対称形とし、右及び左の両方の印刷方向において同一の充填用スキージ10を使用するようにしているが、図6に示すように、右方向印刷用充填用スキージ305a及び左方向印刷用充填用スキージ305bとして分割し、個々に動作させて印刷を行っても良い。このように2つの充填用スキージ305a,305bを設けることで次のような利点がある。即ち、充填用スキージ10の場合で、上記充填用スキージ10の高さや上記交差角度をリアルタイムの制御ではなく各印刷開始前に設定するような場合には、例えば右方向印刷において充填用スキージ10の高さや上記交差角度を変更したときには、左方向印刷においても同様の印刷条件を得るために、左方向印刷の開始前に上下駆動装置11や角度可変装置12を動作させる必要がある。これに対して2つの充填用スキージ305a,305bを設けた場合には、印刷方向に応じて予め別個に上下駆動装置11や角度可変装置12を動作させておくことができる。
【0022】
以上の様に構成されたクリーム半田印刷装置51を使用したクリーム半田印刷動作について図8を参照しながら以下に説明する。尚、上下駆動装置11や角度可変装置12の動作制御は、上述したリアルタイムにて実行する場合を例にとる。
ステップ(図内では「S」にて示す)1においては以下の動作が行われる。先ず、マスク3の表面3aにクリーム半田7を所定量供給する。右方向印刷の場合、プリント基板5をマスク3に位置決めして重ね合わし、上下駆動装置11及び15により充填用スキージ10及び右方向印刷用掻き取りスキージ14aをそれぞれ下降させる。このとき、掻き取り用スキージ14aの先端部20はマスク3の表面3aに適正な押圧力で接触させる。又、このとき、充填用スキージ10は、図2に示す様に、マスク3の表面3aに接触せずに所定の寸法h2の隙間H2が形成される。又、充填用スキージ10は、印刷方向に向かって、上記隙間H2が、上記供給されたクリーム半田7の後方に位置する様に下降される。
【0023】
ステップ2では、この状態を保持した状態で、駆動装置49にて台板17を右方向へ移動させ、充填用スキージ10と掻き取り用スキージ14aを右方向の印刷方向へ直線移動させる。これにより、充填用スキージ10によるマスク3の開口部4へのクリーム半田7の充填が開始される。
このとき、ステップ3では、充填用スキージ10へ作用する反力が反力検出器13にて検出され、ステップ4にて検出された反力が上述したように例えば予め設定した反力値の範囲であるか等が判断される。検出された反力が適正範囲から外れるときには、ステップ5にて、上記検出された反力が適正範囲内となるように、制御装置48により上下駆動装置11及び角度可変装置12の少なくとも一方が動作される。これにより充填用スキージ10の高さ及び上記交差角度の少なくとも一方が変化する。
【0024】
ステップ6では、充填用スキージ10の隙間H2によってマスク3の表面3aに形成されたクリーム半田7の層を掻き取り用スキージ14aにより掻き取る。この掻き取り用スキージ14aの掻き取り動作によりマスク3の表面3a上の不要なクリーム半田7が除去され、開口部4に上記表面3aを越えて盛り上がって充填されたクリーム半田7は表面3aと同一面まで掻き取られる。
【0025】
この後、プリント基板5をマスク3から離すことにより、クリーム半田7の印刷が行なわれる。次に、左方向印刷では、上述の右方向印刷の場合と同様に、プリント基板5をマスク3に位置決めして重ね合わした後、上下駆動装置11,16により、充填用スキージ10と左方向印刷用掻き取りスキージ14bをそれぞれ下降させる。このときも、掻き取り用スキージ14bの先端部20はマスク3の表面3aに適正な押圧力で接触させ、又、充填用スキージ10はマスク3の表面3aに接触させずに所定の寸法h2にてなる隙間H2を形成する。又、左方向への印刷方向に向かって、上記隙間H2がクリーム半田7の後方に位置する様に充填用スキージ10は下降させる。その後の動作は上述の右方向印刷と同様にして行う。
上述したような印刷動作を交互に繰り返すことにより、マスク3を介してプリント基板5のランド6上にクリーム半田7を連続して印刷、塗布する。
【0026】
上記実施形態において、実際の印刷時には掻き取り用スキージ14a,14bは、マスク3の表面3aに対して上記掻き取り用スキージ14a,14bの側面21が鋭角又は鈍角の任意の角度をなすように傾斜して上記不要なクリーム半田7の掻き取り動作を行う旨を説明したが、以下に説明するように、マスク3の表面3aに対して、掻き取り用スキージ14a,14bの軸方向を、具体的には上記側面21を鋭角ないし鈍角の任意の角度をなすように予め傾斜させて設置してもよい。
即ち、図9に示すクリーム半田印刷装置501では、掻き取り用スキージ14a、14bのそれぞれは、ホルダー507,510にそれぞれ保持されており、該ホルダー507,510は、上記上下駆動装置15、16の駆動軸15a、16aに取り付けられた保持部材506,509にピン505,508を介して取り付けられる。ピン505,508は、上記駆動軸15a,16aと同軸上にそれぞれ配置され、保持部材506,509に対して上記左、右の印刷方向にホルダー507,510を揺動可能に支持する。よって掻き取り用スキージ14a、14bのそれぞれは、マスク3の表面3aに対して、掻き取り用スキージ14a、14bの側面21、21が鋭角から直角を介して鈍角までの範囲の任意の角度をなすように設定可能である。ここで、ピン505,508を例えばボルト、ナットのような締結部材にて構成することで、ピン505,508の締め付けにより、ホルダ507,510の上記揺動を止めかつ掻き取り用スキージ14a、14bを上記任意の角度に固定することができる。
又、ピン505,508を回転中心として、例えばモータを使用した公知の機構にてホルダ507,510を揺動させかつ上記任意の角度にホルダ507,510を固定するようにしてもよい。
このように、ピン505,508、保持部材506,509、及びホルダ507,510にて、掻き取り用スキージ14a、14bの角度設定装置502,503を形成する。
尚、図9に示すクリーム半田印刷装置501におけるその他の構造は、図1を参照し上述したクリーム半田印刷装置51と同じである。
【0027】
掻き取り用スキージ14a、14bの側面21をマスク3の表面3aに対して、例えば鈍角に設定した場合には、図11に示すように、充填用スキージ10によりマスク3の開口部4に充填されたクリーム半田7に極力影響を与えないようにして上記表面3a上の不要なクリーム半田7を除去することができる。その理由は、図12に示すような、工具520による工作物521の切削加工における一般的なせん断切削モデルを考えることにより説明することができる。このモデルに示すように工具520で工作物521を切削する場合、工具520により作用するせん断力は、仕上げ面522よりも上部、即ち、図12に斜線を施したせん断領域524に主に作用する。即ち、上記せん断力は、切りくず523になる部分だけに作用する。つまり、図12において、掻き取り用スキージ14a、14bを工具520に、上記開口部4に充填されたクリーム半田7を仕上げ面522より下の工作物521に、上記表面3a上の不要な上記クリーム半田7を切りくず523に、それぞれ置き換えて考えると、掻き取り用スキージの側面21の角度を鈍角に設定した場合のせん断力は、上記表面3a上の不要な上記クリーム半田7だけに作用するので、上記開口部4に充填された上記クリーム半田7に影響を与えないで上記表面3a上の不要なクリーム半田7を除去することができる。
【0028】
一方、掻き取り用スキージ14a、14bの側面21をマスク3の表面3aに対して鋭角に設定した場合には以下の効果を得ることができる。例えば、もし充填用スキージ10によるクリーム半田7の開口部4への充填が不完全であり、未充填部分9が発生した場合においても、掻き取り用スキージ14a,14bを上記鋭角に設置することにより、クリーム半田7の開口部4への充填を確実に行うことができる。即ち、図13に示すように、掻き取り用スキージ14a,14bを上記鋭角に設置することで、充填用スキージ10だけでなく掻き取り用スキージ14a、14bにおいても補助的に充填圧力を発生させ、未充填部分9が存在する開口部4へのクリーム半田7の再充填と、上記表面3a上の不要なクリーム半田7の除去とを掻き取り用スキージ14a、14bにて行うことができる。
又、図14から図16に示すように、表面3aに対する側面21のなす角度を鈍角にした場合や直角にした場合においても上記と同様の効果を得ることも可能である。つまり、掻き取り用スキージ14a,14bの先端形状により、表面3aに接触している先端部20よりも、印刷方向に向かって前方の位置に、側面21とは別に存在する面21aのなす角度が表面3aに対して鋭角である場合には、側面21のなす角度を鈍角や直角に設定した場合であっても側面21を鋭角に設定した場合と同様の効果を得ることができる。尚、上述したようにクリーム半田7の開口部4への充填は、主に充填用スキージ10によって実行されるものであり、上記のような掻き取り用スキージ14a、14bによる充填はあくまで補助的なものである。よって掻き取り用スキージ14a、14bにより生じさせる充填圧力は充填用スキージ10によるものに比べて低くてよいので、上記側面21の角度を大きく設定することができ、従来スキージでスキージ角度αを小さくしたときのような問題は生じない。よって、スキージ速度を高速化した場合においても未充填部分9の発生がなく、安定した印刷を行うことができる。
【0029】
さらに又、掻き取り用スキージ14a、14bは、マスク上面の概略図である図10に示すように、各先端部20,20とマスク3の表面3aとの接触線515が、マスク3に形成されている開口部4を形成する縁部の延在方向と平行にならないように配置されるのが好ましい。即ち、上記マスク3の開口部4のパターンの形状は、開口部4を形成する縁部の延在方向が直線状をなしかつ矢印にて示す印刷方向に対して上記延在方向が直交する直線部分4aを有するように形成されている場合がある。この状態で、上記接触線515の延在方向が印刷方向に対して直交する状態、換言すると上記接触線515の延在方向と上記直線部分4aの延在方向とが平行になる状態にて、掻き取り用スキージ14a、14bが上記印刷方向に移動したときには、掻き取り用スキージ14a、14bの先端部20がマスク3の開口部4の直線部分4aに引っかかり、先端部20や開口部4を破損してしまう危険性がある。よって、接触線515の延在方向が開口部4を形成する縁部の延在方向と交差するように、接触線515の延在方向と直線部分4aの延在方向とのなす角度516が鋭角となるように、又は角度517が鈍角となるように、掻き取り用スキージ14a、14bを上下駆動装置15、16の駆動軸15a、16aに取り付けるのが好ましい。尚、上記角度516は、例えば1度から45度程度が好ましく、最も好ましくは45度である。
又、角度516,517が変更可能となるように、駆動軸15a、16aに対して掻き取り用スキージ14a、14bを取り付けてもよい。
【0030】
又、上述の実施形態では、マスク3の開口部4のパターンが接触線515の延在方向に平行とならないように、マスク3に対して掻き取り用スキージ14a、14bを配向させたが、これとは逆に、接触線515の延在方向と上記印刷方向とを直交させた状態にて、直線部分4aと接触線515とが平行にならないように掻き取り用スキージ14a、14bに対してマスク3側をずらしてもよい。
【0031】
尚、マスク3の開口部4のパターンが、接触線515の延在方向に平行となるような直線部分4aを有さずに形成されているときには、例えば上記角度516が鋭角となるようにして掻き取り用スキージ14a、14bを配向させる必要はない。
【0032】
又、上述の実施形態では、充填用スキージ10用の上下駆動装置11の駆動軸11aに反力検出器13を設け、充填用スキージ10の全面に作用するクリーム半田7の反力を上記反力検出器13にて検出するようにしたが、以下のような構成により、開口部4へのクリーム半田7の充填圧力を直接に検出するようにしてもよい。
即ち、図17に示すクリーム半田印刷装置535において、上述の充填用スキージ10に相当する充填用スキージ530は、上述の充填用スキージ10の場合と同様に、大略、充填用部材22に相当する充填用部材531、該充填用部材531を保持する保持部材23を有し、台板17に取り付けられた、充填用スキージ530用の上下駆動装置11の駆動軸11aに連結されている。上下駆動装置11は、制御装置536に接続されており、詳細後述するように、圧力センサなどの圧力検出器532a又は532bの出力等の情報に基づき制御装置536を介して駆動され、駆動軸11aを昇降する。
【0033】
充填用部材531には、図18及び図19に示すように、充填用部材531の軸方向のほぼ中央部付近であって充填用部材531の先端534部分にて、それぞれの充填加圧面533,533から充填用部材531の内部側へ圧力検出器532a、532bが埋設されている。尚、圧力検出器532a、532bは、充填用スキージ530による開口部4へのクリーム半田7の充填の際に発生する充填圧力を検出可能なように、印刷時にクリーム半田7が存在する位置に取り付けられ、各充填加圧面533,533に少なくとも1個、設けられる。又、上述したように、充填圧力はその分布より、充填用部材531の先端534の近傍に最大圧力を発生することから、圧力検出器532a、532bは、充填用部材531の先端534の近傍に設けることが望ましい。又、上記充填圧力をより正確に検出可能なように、図示するように圧力検出器532a,532bは、それぞれ圧力検出面を充填加圧面533,533に露出させて埋設されている。
尚、図17に示すクリーム半田印刷装置535におけるその他の構造は、図1に示すクリーム半田印刷装置51及び図9に示すクリーム半田印刷装置501に同じである。
【0034】
ここで、上述の実施形態におけるクリーム半田印刷装置51に設けられる反力検出器13と、クリーム半田印刷装置535に設けられる圧力検出器532a、532bとの違いについて説明する。両検出器とも印刷時におけるクリーム半田7の充填圧力の状態変化を知るために設るものであるが、圧力検出器532a、532bが充填圧力を直接検出するのに対し、反力検出器13では充填加圧面25の全面に作用する充填圧力の総和である反力を検出しているので、充填圧力を間接的に検出している。
従って、反力検出器13の場合には充填圧力が同一でも充填加圧面25の面積により検出される反力が異なってしまうので、例えば、プリント基板5の寸法に合わせて充填用部材22の寸法を変えた場合など、過去に蓄積された反力検出情報の参照が容易ではなく、印刷条件を再現するのに手間がかかる。尚、同一の充填用部材22を用いて充填加圧面25の面積を変えなければ、過去に蓄積された反力検出情報を容易に参照可能である。これに対し、圧力検出器532a、532bを用いる場合には、充填圧力を直接検出しているので、充填用部材531の寸法を変えた場合などでも過去の圧力検出情報を容易に参照でき、印刷条件を容易に再現することができ、より望ましい。
【0035】
以上のように構成されたクリーム半田印刷装置535を使用したクリーム半田印刷動作については、上述の実施形態におけるクリーム半田印刷装置51の場合と同様の動作が行われる。基本的には図8に示すステップ3,4に記載する「反力」が「圧力」に置き換わるだけである。つまり、ステップ3で、充填用スキージ530による開口部4へのクリーム半田7の充填の際に発生する充填圧力が圧力検出器532aにて検出され、検出された圧力が、ステップ4にて、例えば予め設定した圧力値の範囲であるか否かが判断される。上記検出された圧力が適正範囲から外れるときには、ステップ5にて、上記検出された圧力が適正範囲内となるように、制御装置536により上下駆動装置11及び角度可変装置12の少なくとも一方が動作される。これにより充填用スキージ530の高さ及び上記交差角度の少なくとも一方が変化する。
尚、これ以外の動作は、クリーム半田印刷装置51の場合と同様であり、以上のような印刷動作を交互に繰り返すことにより、マスク3を介してプリント基板5のランド6上にクリーム半田7を連続して印刷、塗布する。
【0036】
尚、以上の説明では、反力検出器13、又は圧力検出器532a,532bのいずれか一方のみを設けた場合についてそれぞれ説明したが、反力検出器13と圧力検出器532a,532bとの両方を一つのクリーム半田印刷装置に設けた構成とし、反力と圧力の両方を検出してもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明の第1態様のクリーム半田印刷装置及び第2態様のクリーム半田印刷方法によれば、充填用スキージと掻き取り用スキージとを備え、充填用スキージをマスクの表面に対して非接触な状態で移動させてクリーム半田を印刷用マスクの開口部に充填した後、マスクの表面上の不要なクリーム半田を掻き取り用スキージにて除去するようにしたことより、スキージ速度を高速化しても開口部へのクリーム半田の充填不良やクリーム半田の掻き取り不良の発生が無く、回路基板上に安定した印刷を行うことができる。よって、印刷時間の短縮を図り生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるクリーム半田印刷装置の大略の構造を示す図である。
【図2】図1に示す充填用スキージの充填用部材の先端部分を示す図である。
【図3】図1に示す充填用スキージの充填用部材によるクリーム半田の充填圧力を求めるためのモデルを示す図である。
【図4】図3に示すモデルにて得られる圧力分布を示す図である。
【図5】図1に示す充填用スキージの充填用部材の他の実施形態を示す図である。
【図6】図1に示す充填用スキージの他の実施形態を示す図である。
【図7】図1に示す充填用スキージの充填用部材のさらに他の実施形態を示す図である。
【図8】図1に示すクリーム半田印刷装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】図1に示すクリーム半田印刷装置の他の実施形態を示す図である。
【図10】図9に示すクリーム半田印刷装置における掻き取り用スキージとマスクとの接触線と開口部との配置関係を示す図である。
【図11】図9に示すクリーム半田印刷装置において掻き取り用スキージの側面とマスクの表面とのなす角度を鈍角にしクリーム半田を掻き取っている状態を示す図である。
【図12】図11に示す掻き取り用スキージにてクリーム半田が掻き取られることを説明するためのモデルを示す図である。
【図13】図9に示すクリーム半田印刷装置において掻き取り用スキージの側面とマスクの表面とのなす角度を鋭角にしクリーム半田を開口部に充填している状態を示す図である。
【図14】図9に示すクリーム半田印刷装置において掻き取り用スキージの側面とマスクの表面とのなす角度を種々に変化させた場合を示す図である。
【図15】図9に示すクリーム半田印刷装置において掻き取り用スキージの側面とマスクの表面とのなす角度を種々に変化させた場合を示す図である。
【図16】図9に示すクリーム半田印刷装置において掻き取り用スキージの側面とマスクの表面とのなす角度を種々に変化させた場合を示す図である。
【図17】図1に示すクリーム半田印刷装置のさらに他の実施形態を示す図である。
【図18】図17に示すクリーム半田印刷装置における充填用スキージの充填用部材の斜視図である。
【図19】図18に示す充填用部材の断面図である。
【図20】従来のクリーム半田印刷装置の大略の構造を示す図である。
【図21】図20に示すスキージにて印刷を行う状態を示す図である。
【図22】図20に示すスキージにてクリーム半田が開口部に充填されていく状態を示す図である。
【図23】図20に示すスキージにてクリーム半田に生じる充填圧力を求めるためのモデルを示す図である。
【図24】図20に示すスキージにてクリーム半田に生じる充填圧力の圧力分布を示す図である。
【図25】マスクの開口部にクリーム半田の未充填部分が生じた場合を示す図である。
【図26】図20に示すスキージにおいてその先端部の変形を大きくした場合に、マスクの表面にクリーム半田が残ってしまう状態を示す図である。
【図27】図20に示すスキージにおいてその先端部の変形を大きくした場合に、開口部に充填されたクリーム半田が掻き取られてしまう状態を示す図である。
【図28】図20に示す従来のクリーム半田印刷装置における印刷用スキージに反力検出器を設けた状態を示す図である。
【図29】図28に示す反力検出器がクリーム半田の反力を検出できないことを説明するための図である。
【符号の説明】
3…印刷用マスク、3a…表面、5…回路基板、7…クリーム半田、
10…充填用スキージ、11…上下駆動装置、12…角度可変装置、
13…反力検出器、14a…右方向印刷用掻き取り用スキージ、
14b…左方向印刷用掻き取り用スキージ、
15,16…上下駆動装置、22…充填用部材、23…保持部材、
25…充填加圧面、48…制御装置、
51…クリーム半田印刷装置、
501…クリーム半田印刷装置、502,503…角度設定装置、
532a,532b…圧力検出器、
535…クリーム半田印刷装置。
Claims (12)
- 開口部が形成された印刷用マスク(3)の表面(3a)をスキージが印刷方向に移動することにより上記表面上のクリーム半田(7)を上記印刷用マスクの裏面に位置する回路基板面に上記開口部を介して印刷し塗布するクリーム半田印刷装置であって、
上記スキージは、
印刷時には上記表面に対して隙間(H2)を隔てた非接触な状態に先端(24)が配置されて上記印刷方向に移動して上記クリーム半田を上記開口部へ充填する充填用スキージ(10)と、
上記印刷方向において上記充填用スキージの後方に配置され印刷時には上記表面に接触して上記充填用スキージと同方向に移動する掻き取り用スキージであって、当該掻き取り用スキージの軸方向と上記印刷用マスクの表面とを鈍角として設けられ上記開口部に充填された上記クリーム半田に影響を与えずに上記表面上の不要なクリーム半田の除去を行い、かつ当該掻き取り用スキージと上記印刷用マスクの表面との接触線の延在方向と上記開口部を形成する縁部の延在方向とが交差して設けられる掻き取り用スキージ(14)と、
を備えたことを特徴とするクリーム半田印刷装置。 - 上記印刷用マスクの表面をスキージが往復移動する場合、上記印刷方向において上記充填用スキージの後方にそれぞれ上記掻き取り用スキージを配置した、請求項1記載のクリーム半田印刷装置。
- 上記充填用スキージは、上記印刷方向において2つに分割されている、請求項2記載のクリーム半田印刷装置。
- 上記掻き取り用スキージを上記鈍角に設置する角度設定装置(502,503)を備えた、請求項1ないし3のいずれかに記載のクリーム半田印刷装置。
- 上記充填用スキージにおける上記マスクの表面への対向面は、上記クリーム半田の上記表面への加圧及び上記開口部への充填を行うため、上記印刷方向に向かって上記先端から上り傾斜となる充填加圧面(25)を形成している、請求項1ないし4のいずれかに記載のクリーム半田印刷装置。
- 上記隙間の大きさ及び上記充填加圧面と上記表面との交差角度の少なくとも一方を可変とし上記開口部への上記クリーム半田の充填を調整する充填調整装置(11,12)を備えた、請求項5記載のクリーム半田印刷装置。
- 印刷時において上記開口部へ充填される上記クリーム半田の充填圧力の変化を検出する充填圧力検出器(13,532a,532b)と、
上記充填圧力検出器にて検出した上記充填圧力に基づき上記充填調整装置の制御を行う制御装置(48)と、
をさらに備えた、請求項6記載のクリーム半田印刷装置。 - 上記充填圧力検出器は、印刷時において上記充填加圧面の全面に作用する上記クリーム半田の充填圧力の総和である反力を検出する反力検出器(13)である、請求項7記載のクリーム半田印刷装置。
- 上記充填圧力検出器は、上記充填加圧面に設けられ上記クリーム半田の充填圧力を直接に検出する圧力検出器(532a,532b)である、請求項7記載のクリーム半田印刷装置。
- 開口部が形成された印刷用マスク(3)の表面(3a)を印刷時には充填用スキージ(10)の先端と上記表面とが隙間(H2)を隔てた非接触な状態で上記充填用スキージを印刷方向に移動して上記表面上のクリーム半田(7)を上記開口部へ充填した後、
上記表面に接触して上記印刷方向に移動する掻き取り用スキージであって当該掻き取り用スキージの軸方向と上記印刷用マスクの表面とを鈍角として設けられ、かつ当該掻き取り用スキージと上記印刷用マスクの表面との接触線の延在方向と上記開口部を形成する縁部の延在方向とが交差して設けられる掻き取り用スキージ(14)にて、上記開口部に充填された上記クリーム半田に影響を与えずに上記表面上の不要なクリーム半田の除去する 、
ことを特徴とするクリーム半田印刷方法。 - 上記充填用スキージにおける上記マスクの表面への対向面は、上記クリーム半田の上記表面への加圧及び上記開口部への充填を行うため、上記印刷方向に向かって上記先端から上り傾斜となる充填加圧面(25)を形成している、請求項10記載のクリーム半田印刷方法。
- 印刷時において上記充填用スキージにて上記開口部へクリーム半田を充填するとき上記クリーム半田の充填圧力の変化を充填圧力検出器(13,532a,532b)にて検出し、検出した上記充填圧力に基づき上記充填加圧面と上記表面との交差角度及び上記隙間の大きさの少なくとも一方を調整して印刷条件の変更を行う、請求項11記載のクリーム半田印刷方法。
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