JP4073599B2 - スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷装置におけるペースト充填状態の検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷装置におけるペースト充填状態の検出方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品実装工程において、基板上にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷する方法としてスクリーン印刷が用いられている。この方法は、印刷対象部位に応じてパターン孔が開孔されたマスクプレートを基板上にセットし、スキージングによりマスクプレートのパターン孔を介して基板上にペーストを印刷するものである。
【0003】
このスクリーン印刷のスキージング方法として、密閉型のスキージヘッドを用いる方法が知られている。この方法は、通常のスクリーン印刷と異なりマスクプレート上にペーストを直接供給するのではなく、ペースト貯溜容器を備えたスキージヘッドを用いるものである。この方法では、ペースト貯溜容器の下面に設けられた開口をマスクプレートに当接させた状態で、ペースト貯溜容器内のペーストを加圧することにより、マスクプレートのパターン孔に開口を介してペーストが押し込まれる。そしてスキージヘッドをマスクプレート上で摺動させることにより、各パターン孔に順次ペーストを充填する。
【0004】
この密閉型のスキージヘッドでは、スクリーンマスク上に直接ペーストを供給する従来の印刷方法と異なり、ペーストはスキージヘッド内に供給される。ペースト供給は、ペーストを貯溜した交換式のカートリッジをスキージヘッドにセットすることにより行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の密閉型のスキージヘッドを用いたスクリーン印刷には、以下に述べるような問題点があった。前述のように、この方法では、スキージヘッド内のペーストを加圧することによりスクリーンマスク内のパターン孔にペーストを充填することから、スキージヘッド内のペーストは大きな空所や気泡など不充填部のない良好な状態であることが求められる。しかしながら、ペースト補給の際に新たなカートリッジをセットした後ペーストの加圧を開始する際には、スキージヘッド内のペーストの充填状態を的確に確認することができなかった。このため、従来の密閉型のスキージヘッドを用いたスクリーン印刷装置では、充填不良のままスクリーン印刷が開始されて印刷不良やスキージなどの破損を生じる場合が発生するという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、スキージヘッド内部のペースト充填状態を正確に検出して印刷品質を確保することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷装置におけるペースト充填状態の検出方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のスクリーン印刷装置は、マスクプレート上で2つの掻き取り部材によって形成される印刷空間を有する密閉型のスキージヘッドを摺動させることにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記スキージヘッドに、ペーストを貯溜するペースト貯溜部と、このペースト貯溜部内のペーストを加圧板により押し下げて加圧するシリンダから成るペースト加圧手段と、加圧されたペーストを収容しマスクプレートの表面に接触させる前記印刷空間と、前記印刷空間のスキージング方向の前後壁を形成し下端部が前記マスクプレートの表面に当接して設けられた前記2つの掻き取り部材と、前記シリンダを駆動するエアの圧力から前記加圧板に作用するペーストから受ける反力を検出することによりスキージヘッド内でのペーストの充填状態を検出する充填状態検出手段とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【0009】
請求項2記載のスクリーン印刷装置におけるペースト充填状態の検出方法は、2つの掻き取り部材によって形成される印刷空間を有する密閉型のスキージヘッドを用い、このスキージヘッドの内部に貯留したペーストをシリンダから成るペースト加圧手段によって加圧した状態でこのスキージヘッドをマスクプレート上で摺動させることにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置における前記スキージヘッド内でのペーストの充填状態を検出するペースト充填状態の検出方法であって、前記ペースト加圧手段に備えられ前記ペースト貯溜部内でペーストを加圧して押し下げる加圧板に作用するペーストから受ける反力を前記シリンダを駆動するエアの圧力から検出し、検出された反力に基づいてペーストの充填状態を検出するようにした。
【0010】
請求項3記載のスクリーン印刷装置におけるペースト充填状態の検出方法は、請求項2記載のスクリーン印刷装置におけるペースト充填状態の検出方法であって、前記検出された反力の大きさおよび変動幅に基づいてペーストの充填状態を判定するものであって、反力があらかじめ設定された所定のレベルに達していない場合はスキージヘッドの内部に空所があって充填状態は不良と判定し、圧力検出結果の平均値は所定レベルに到達しているが大きな変動幅を有するときはスキージ内部の気泡が放出される過程であって充填状態は不良と判定するようにした。
【0011】
本発明によれば、ペースト貯溜部内のペーストの充填状態を検出する充填状態検出手段を備えることにより、常に適正なペーストの加圧状態でスクリーン印刷を行って印刷品質不良を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図、図2は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドの部分断面図、図4は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷におけるペースト充填状態検出方法の説明図である。
【0013】
まず図1、図2を参照してスクリーン印刷装置の構造を説明する。図1、図2において、基板の位置決め部1は、図示しない移動テーブル上に基板保持部2を配設して構成されている。スクリーン印刷対象の基板3は基板保持部2のクランパ4によって保持されており、図示しない移動テーブルを駆動することにより、基板保持部2に保持された基板3は水平方向および上下方向に位置決めされる。
【0014】
位置決め部1の上方には、スクリーンマスク10が配設されている。スクリーンマスク10はホルダ11にマスクプレート12を装着して構成されており、マスクプレート12には印刷対象の基板3の印刷部位に対応したパターン孔12aが開孔されている。
【0015】
スクリーンマスク10上にはスキージヘッド13がヘッド昇降部20によって昇降自在に配設されている。ヘッド昇降部20はプレート部材21上に立設されたシリンダ22を備えており、シリンダ22のロッド22aの下端部には、結合部材15を介してスキージヘッド13が結合されている。シリンダ22を駆動することにより、スキージヘッド13はマスクプレート12に対して昇降する。ヘッド昇降部20はスキージヘッド13をスクリーンマスク10に対して昇降させる昇降手段となっている。
【0016】
ヘッド昇降部20のプレート部材21の下面には、両端部にスライダ23が固着されており、スライダ23はフレーム25の上面に配設されたガイドレール24にスライド自在に嵌着されている。またプレート部材21の下面にはナット26が結合されており、ナット26に螺合した送りねじ27は、モータ28によって回転駆動される。
【0017】
モータ28を駆動することにより、プレート部材21は水平移動し、したがってヘッド昇降部20に結合されたスキージヘッド13も水平移動する。スキージヘッド13を下降させた状態で、モータ28を駆動することにより、スキージヘッド13はマスクプレート12上で水平移動する。すなわち、モータ28、送りねじ27およびナット26は、スキージヘッド13をマスクプレート12上で水平移動させる移動手段となっている。
【0018】
スキージヘッド13の下部には、マスクプレート12の表面に当接してペーストであるクリーム半田5をパターン孔12aに充填する印刷部14が設けられている。図3を参照して印刷部14の構造を説明する。図3において、30は本体部であり、マスクプレート12の幅方向に細長形状のブロック状部材である。本体部30の長さ寸法は図2に示すように印刷対象の基板3の幅寸法をカバーするように設定される。本体部30には、クリーム半田5が貯溜されたカートリッジ31が着脱自在に装着される凹部30aが形成されている。
【0019】
カートリッジ31は予め所定量のクリーム半田5が貯溜されたクリーム半田5の貯溜部(ペースト貯溜部)となっており、印刷時に本体部30に装着される。カートリッジ31の上面の開口には、内部のクリーム半田5を加圧する加圧板32が嵌入している。加圧板32は上方に配置されたシリンダ16のロッド16aと結合されており、シリンダ16を駆動することにより、加圧板32はカートリッジ31内で上下動するようになっている。
【0020】
シリンダ16には、エア源18からレギュレータ17を介して駆動用のエアが供給される。レギュレータ17は、制御部19からの圧力設定信号に従ってシリンダ16に供給されるエアの圧力を設定できるようになっており、カートリッジ31内のクリーム半田5を所定の圧力で押し下げるようになっている。また、レギュレータ17は、シリンダ16のエア圧を検出して、圧力検出信号を制御部19に伝達できるようになっている。すなわち、レギュレータ17は圧力検出手段となっている。
【0021】
これにより、カートリッジ31内のクリーム半田5を加圧する際に、加圧板32がクリーム半田5から受ける反力を検出し、電気信号で出力できる。この電気信号は制御部19によって処理され、制御部19は検出された圧力値の大きさおよび圧力値の変動状態を求める処理を行う。そして後述するように圧力値の大きさや変動幅に基づいてクリーム半田5の充填状態の検出が行われる。したがって、レギュレータ17、制御部19はクリーム半田5充填状態検出手段となっている。
【0022】
また、カートリッジ31の底面はクリーム半田5の押し出し板31aとなっており、押し出し板31aには多数の開口31bが設けられている。加圧板32をシリンダ16で下方に押圧することにより、カートリッジ31内のクリーム半田5は加圧され、押し出し板31aの開口31bを介して下方に押し出される。シリンダ16および加圧板32はクリーム半田5を加圧する加圧手段となっている。
【0023】
本体部30の底部には、カートリッジ31の押し出し板31aと同様に多数の開口34aが設けられた絞り板34が装着されている。シリンダ16によってクリーム半田5が押し出される際には、押し出し板31aの開口31bと絞り板34の開口34aを2段階に通過して下方に移動する。そして押し出されたクリーム半田5は、本体部30の下方に形成された空間、すなわち本体部30の下部に内側斜め方向に配設された2枚の掻き取り部材36A,36Bと本体部30の下面とによって囲まれた印刷空間35に到達する。
【0024】
掻き取り部材36A,36Bは、印刷空間35のスキージング方向の前後壁を形成し、スキージヘッド13を下降させた状態では掻き取り部材36A,36B下端部がマスクプレート12の表面に当接する。印刷動作時には、この印刷空間35は加圧されたクリーム半田5を収容し、掻き取り部材36A,36Bの間の開口を介してクリーム半田5をマスクプレート12の表面に接触させる。
【0025】
加圧板32を押し下げてカートリッジ31内のクリーム半田5を加圧することにより、クリーム半田5は押し出し板31aと絞り板34を通過して印刷空間35内まで移動する。このクリーム半田5の移動経路の途中は、多数の小さい開口31b、34aによって断面積が絞られた絞り部となっており、この絞り部を加圧されたクリーム半田5が通過することにより、クリーム半田5の粘度が低下しスクリーン印刷に適した性状に改質される。
【0026】
スクリーン印刷においては、加圧板32により内部のクリーム半田5が加圧され、上述のように適正粘度に改質されたクリーム半田5が印刷空間35内に満たされた状態のスキージヘッド13を、マスクプレート12上で摺動させる。これにより、印刷空間35内のクリーム半田5は掻き取り部材36A,36Bの間の開口を介してマスクプレート12のパターン孔12a内に充填される。
【0027】
そしてスキージヘッド13を移動させることにより各パターン孔12a内に順次クリーム半田5が充填される。全てのパターン孔12a内にクリーム半田5が充填されたならば、基板保持部2を下降させて、版離れを行わせる。すなわち、パターン孔12a内のクリーム半田5は基板3とともに下降してパターン孔12aから分離し、これにより、基板3へのクリーム半田5のスクリーン印刷が完了する。
【0028】
次に、クリーム半田5の印刷において行われるクリーム半田5充填状態の検出について図4を参照して説明する。密閉型スキージヘッドを用いたスクリーン印刷においては、クリーム半田5はスキージヘッド13内で所定圧力に加圧され、この圧力によってマスクプレート12のパターン孔12a内に圧入されるため、クリーム半田5の加圧の圧力を常に適正圧力に保つ必要がある。特に新たにカートリッジ31を装着して印刷作業を開始する際には、クリーム半田5は空状態のスキージヘッド13内に送り込まれるため、内部に空所が生じた状態や気泡を含んだ状態で送り込まれやすい。このようなスキージヘッド13内部の状態は外部から視認できず、クリーム半田5が良好に充填されたか否かを確認することが困難である。
【0029】
そこで、本実施の形態では以下の方法でクリーム半田5の充填状態を検出する。図3に示すように、加圧板32を押し下げるシリンダ16を駆動するエアの圧力は圧力検出手段であるレギュレータ17によって検出される。新たにカートリッジ31を交換した後に加圧板32を押し下げてクリーム半田5の加圧を開始する際には、レギュレータ17の検出データをモニタリングする。
【0030】
図4は、このようにしてモニタリングされたレギュレータ17の検出圧力を示している。図4(a)は、検出されたクリーム半田5の反力があらかじめ設定される所定レベルLに到達していない例を示している。この場合には付図に示すようにスキージヘッド13の内部には空所Aが存在し、まだクリーム半田5の押し込みが不完全な状態にある。したがって、充填状態は不良と判定される。
【0031】
また、図4(b)に示す例では、圧力検出結果は全体の平均値からみれば所定レベルLに到達しているものの、圧力状態は大きな変動幅Vを示している。すなわち、スキージヘッド13内部に含まれた気泡Bが放出される過程であることを示している。従って、この場合も充填状態は不良と判定される。
【0032】
これに対し、図4(c)に示す例では、検出圧力値の平均は所定レベルLを超えており、しかも圧力変動はわずかである。すなわち、内部のクリーム半田5は安定した状態で所定圧力で押し込まれた状態にあることを示しており、従ってこの場合には充填状態は良好であると判定される。
【0033】
すなわち、上記例で示すように、加圧板32に作用するクリーム半田5の反力を検出し、検出された反力に基づいてクリーム半田5の充填状態を検出する。このとき、検出された反力の大きさが所定レベル以上であるか否か、および検出された圧力の変動幅が許容範囲以内であるか否かによってクリーム半田5の充填状態を検出する。
【0034】
これにより、スキージヘッド13内のクリーム半田5の充填状態を常に検出して、正常な充填状態でスクリーン印刷を行うことができ、充填不良状態で印刷を行うことによる印刷品質不良を防止することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、スキージヘッド内でのペーストの充填状態を検出する充填状態検出手段を備えたので、常に適正なペーストの加圧状態でスクリーン印刷を行って印刷品質不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドの部分断面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷におけるペースト充填状態検出方法の説明図
【符号の説明】
3 基板
5 クリーム半田
12 マスクプレート
12a パターン孔
13 スキージヘッド
14 印刷部
16 シリンダ
17 レギュレータ
19 制御部
20 ヘッド昇降部
22 シリンダ
31 カートリッジ
32 加圧板
35 印刷空間
Claims (3)
- マスクプレート上で2つの掻き取り部材によって形成される印刷空間を有する密閉型のスキージヘッドを摺動させることにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記スキージヘッドに、ペーストを貯溜するペースト貯溜部と、このペースト貯溜部内のペーストを加圧板により押し下げて加圧するシリンダから成るペースト加圧手段と、加圧されたペーストを収容しマスクプレートの表面に接触させる前記印刷空間と、前記印刷空間のスキージング方向の前後壁を形成し下端部が前記マスクプレートの表面に当接して設けられた前記2つの掻き取り部材と、前記シリンダを駆動するエアの圧力から前記加圧板に作用するペーストから受ける反力を検出することによりスキージヘッド内でのペーストの充填状態を検出する充填状態検出手段とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷装置。
- 2つの掻き取り部材によって形成される印刷空間を有する密閉型のスキージヘッドを用い、このスキージヘッドの内部に貯留したペーストをシリンダから成るペースト加圧手段によって加圧した状態でこのスキージヘッドをマスクプレート上で摺動させることにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置におけるスキージヘッド内でのペーストの充填状態を検出するペースト充填状態の検出方法であって、
前記ペースト加圧手段に備えられ前記ペースト貯溜部内でペーストを加圧して押し下げる加圧板に作用するペーストから受ける反力を前記シリンダを駆動するエアの圧力から検出し、検出された反力に基づいてペーストの充填状態を検出することを特徴とするスクリーン印刷装置におけるペースト充填状態の検出方法。 - 前記検出された反力の大きさおよび変動幅に基づいてペーストの充填状態を判定するものであって、反力があらかじめ設定された所定のレベルに達していない場合はスキージヘッドの内部に空所があって充填状態は不良と判定し、圧力検出結果の平均値は所定レベルに到達しているが大きな変動幅を有するときはスキージ内部の気泡が放出される過程であって充填状態は不良と判定することを特徴とする請求項2記載のスクリーン印刷装置におけるペースト充填状態の検出方法。
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