JP3685071B2 - スクリーン印刷方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品実装工程において、基板上にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷する方法としてスクリーン印刷が用いられている。この方法は、印刷対象部位に応じてパターン孔が開孔されたマスクプレートを基板上にセットし、スキージングによりマスクプレートのパターン孔を介して基板上にペーストを印刷するものである。
【0003】
このスクリーン印刷のスキージング方法として、密閉型のスキージヘッドを用いる方法が知られている。この方法は、通常のスクリーン印刷と異なりマスクプレート上にペーストを直接供給するのではなく、内部にペーストを貯溜したスキージヘッドを用いるものである。この方法では、スキージヘッドの下面に設けられたペースト接触面としての開口部をマスクプレートに当接させた状態で、スキージヘッド内のペーストを加圧することにより、マスクプレートのパターン孔に開口部を介してペーストが押し込まれる。そしてスキージヘッドをマスクプレート上で摺動させることにより、各パターン孔に順次ペーストを充填する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の密閉型のスキージヘッドを用いたスクリーン印刷には、以下に述べるような問題点があった。密閉型のスキージヘッドでは、上述のように印刷作業中はペーストはスキージヘッド内で常に加圧された状態にある。このため、加圧時間の経過と共にペーストに高密度で含有される粒状成分が相互に押し付けられ、これにより徐々にペーストは流動性を失って硬化する。
【0005】
このような硬化した状態のペーストがスキージヘッドの下面を介してマスクプレートの上面に供給されると、パターン孔への押し込みが正常に行われない結果、「かすれ」などの印刷不良を生じる。このように従来の密閉型のスキージヘッドを用いたスクリーン印刷には、ペーストの加圧による硬化に起因して印刷不良が発生し易いという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、ペーストの硬化に起因する印刷不良を防止することができるスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のスクリーン印刷方法は、内部にペーストを貯溜したスキージヘッドをペースト加圧手段によって前記ペーストを加圧した状態でマスクプレート上で摺動させることにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、前記スキージヘッドが印刷対象の基板範囲外に位置して下受けされた状態にある印刷待機時において、前記ペースト加圧手段によるペーストへの加圧を停止した状態でスキージヘッドをマスクプレートに押圧する押圧工程と、この押圧を保持した状態で前記ペースト加圧手段によるペーストの加圧を行う加圧工程と、前記加圧を保持した状態で前記押圧力を低下させる押圧力低下工程とを含むペースト移動促進動作を、所定のタイミングにおいて実行するようにした。
【0008】
本発明によれば、スキージヘッドが印刷対象の基板範囲外に位置している印刷待機時において、スキージヘッドをマスクプレートに押圧する押圧手段による押圧力を増加させる押圧力増加工程と、押圧力を増加させた状態で前記ペースト加圧手段によるペーストの加圧を行う加圧工程と、ペーストへの加圧を保持した状態でスキージヘッドの押圧力を低下させる押圧力低下工程とを含むペースト移動促進動作を、所定のタイミングにおいて実行することにより、ペーストのマスクプレートへの粘着力を利用してスキージヘッド内でのペーストの移動を促進し、ペーストの硬化を防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図、図2は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドの部分断面図、図4は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷におけるクリーム半田の移動促進動作の説明図である。
【0010】
まず図1、図2を参照してスクリーン印刷装置の構造を説明する。図1、図2において、基板3の位置決め部1は、図示しない移動テーブル上に基板保持部2を配設して構成されている。スクリーン印刷対象の基板3は基板保持部2のクランパ4によって保持されており、図示しない移動テーブルを駆動することにより、基板保持部2に保持された基板3は水平方向および上下方向に位置決めされる。
【0011】
位置決め部1の上方には、スクリーンマスク10が配設されている。スクリーンマスク10はホルダ11にマスクプレート12を装着して構成されており、マスクプレート12には印刷対象の基板3の印刷部位に対応したパターン孔12aが開孔されている。
【0012】
スクリーンマスク10上にはスキージヘッド13がヘッド昇降部20によって昇降自在に配設されている。ヘッド昇降部20はプレート部材21上に立設されたシリンダ22を備えている。シリンダ22はバルブV1,レギュレータR1を介してエア源18と接続されている。シリンダ22のロッド22aの下端部には、結合部材15を介してスキージヘッド13が結合されている。
【0013】
シリンダ22を駆動することにより、スキージヘッド13はマスクプレート12に対して昇降するとともに、スキージヘッド13をマスクプレート12に対して押圧する。ヘッド昇降部20はスキージヘッド13をスクリーンマスク10に対して昇降させる昇降手段となっている。またシリンダ22は、スキージヘッド13をマスクプレート12に対して押圧する押圧手段となっている。このときの昇降・押圧の制御は、制御部19によってバルブV1,レギュレータR1を制御することにより行われる。
【0014】
ヘッド昇降部20のプレート部材21の下面には、両端部にスライダ23が固着されており、スライダ23はフレーム25の上面に配設されたガイドレール24にスライド自在に嵌着されている。またプレート部材21の下面にはナット26が結合されており、ナット26に螺合した送りねじ27は、モータ28によって回転駆動される。
【0015】
モータ28を駆動することにより、プレート部材21は水平移動し、したがってヘッド昇降部20に結合されたスキージヘッド13も水平移動する。スキージヘッド13を下降させた状態で、モータ28を駆動することにより、スキージヘッド13はマスクプレート12上で水平移動する。すなわち、モータ28、送りねじ27およびナット26は、スキージヘッド13をマスクプレート12上で水平移動させる移動手段となっている。
【0016】
スキージヘッド13の下部には、マスクプレート12の表面に当接してペーストであるクリーム半田5をパターン孔12aに充填する印刷部14が設けられている。図3を参照して印刷部14の構造を説明する。図3において、30は本体部であり、マスクプレート12の幅方向に細長形状のブロック状部材である。本体部30の長さ寸法は図2に示すように印刷対象の基板3の幅寸法をカバーするように設定される。本体部30には、クリーム半田5が貯溜されたカートリッジ31が着脱自在に装着される凹部30aが形成されている。
【0017】
カートリッジ31は予め所定量のクリーム半田5が貯溜されたクリーム半田の貯溜部(ペースト貯溜部)となっており、印刷時に本体部30に装着される。カートリッジ31の上面の開口には、内部のクリーム半田5を加圧する加圧板32が嵌入している。加圧板32は上方に配置されたシリンダ16のロッド16aと結合されており、シリンダ16を駆動することにより、加圧板32はカートリッジ31内で上下動するようになっている。
【0018】
シリンダ16は、バルブV2,レギュレータR2を介してエア源18と接続されている。レギュレータR2は、制御部19からの圧力設定信号に従ってシリンダ16に供給されるエアの圧力を設定できるようになっており、カートリッジ31内のクリーム半田5を所定の圧力で押し下げるようになっている。
【0019】
カートリッジ31の底面はクリーム半田5の押し出し板31aとなっており、押し出し板31aには多数の開口31bが設けられている。加圧板32をシリンダ16で下方に押圧することにより、カートリッジ31内のクリーム半田5は加圧され、押し出し板31aの開口31bを介して下方に押し出される。シリンダ16および加圧板32はペーストであるクリーム半田5を加圧するペースト加圧手段となっている。このときの加圧の制御は、制御部19によってバルブV2,レギュレータR2を制御することにより行われる。
【0020】
本体部30の底部には、カートリッジ31の押し出し板31aと同様に多数の開口34aが設けられた絞り板34が装着されている。シリンダ16によってクリーム半田5が押し出される際には、押し出し板31aの開口31bと絞り板34の開口34aを2段階に通過して下方に移動する。そして押し出されたクリーム半田5は、本体部30の下方に形成された空間、すなわち本体部30の下部に内側斜め方向に配設された2枚の掻き取り部材36A,36Bと本体部30の下面とによって囲まれた印刷空間35に到達する。
【0021】
掻き取り部材36A,36Bは可撓性を有する板状部材であって、印刷空間35のスキージング方向の前後壁を形成し、スキージヘッド13を下降させた状態では、掻き取り部材36A,36B下端部がマスクプレート12の表面に当接する。印刷動作時には、この印刷空間35は加圧されたクリーム半田5を収容し、掻き取り部材36A,36Bの間の開口部を介してクリーム半田5をマスクプレート12の表面に接触させる。
【0022】
加圧板32を押し下げてカートリッジ31内のクリーム半田5を加圧することにより、クリーム半田5は押し出し板31aと絞り板34を通過して印刷空間35内まで移動する。このクリーム半田5の移動経路中の流路には、多数の小さい開口31b、34aによって断面積が絞られた絞り部が設けられており、この絞り部を加圧されたクリーム半田5が通過することにより、クリーム半田5の粘度が低下しスクリーン印刷に適した性状に改質される。
【0023】
スクリーン印刷においては、加圧板32により内部のクリーム半田5が加圧され、上述のように適正粘度に改質されたクリーム半田5が印刷空間35内に満たされた状態のスキージヘッド13を、マスクプレート12上で摺動させる。これにより、印刷空間35内のペーストは掻き取り部材36A,36Bの間の開口部を介してマスクプレート12のパターン孔12a内に充填される。
【0024】
そしてスキージヘッド13を移動させることにより各パターン孔12a内に順次クリーム半田5が充填される。全てのパターン孔12a内にクリーム半田が充填されたならば、基板保持部2を下降させて、版離れを行わせる。すなわち、パターン孔12a内のクリーム半田5は基板3とともに下降してパターン孔12aから分離し、これにより、基板3へのクリーム半田5のスクリーン印刷が完了する。
【0025】
次に、クリーム半田5の印刷過程において、クリーム半田5のスキージヘッド13内での下方への移動を促進して粘度を適正値に保持するために行われるクリーム半田5の移動促進動作について図4を参照して説明する。密閉型スキージヘッドを用いたスクリーン印刷においては、クリーム半田5はスキージヘッド13内で常に上方から所定圧力で加圧された状態にあるため、時間の経過に伴って粘度が増加する傾向にある。クリーム半田5の粘度が増加すると流動性が低下し、スクリーン印刷時のパターン孔内への充填不良が生じやすく印刷不良の原因となるため、クリーム半田5の粘度を適正に保つことが求められる。この移動促進動作は、クリーム半田5のスキージヘッド13内での移動を促進することにより、クリーム半田5の硬化を防止するものである。
【0026】
図4は、スキージヘッド13によるスキージングを開始する前の印刷待機時の状態を示しており、スキージヘッド13は基板3の範囲外のクランパ4上に位置して、クランパ4によって下受けされた状態にある。この印刷待機時において、まず図4(a)に示すようにシリンダ16による加圧を停止する。次いで図4(b)に示すように、シリンダ22によるスキージヘッド13の押圧力を通常の印圧より高い押圧力に増加させる。これにより、撓みやすい板状部材である掻き取り部36A、36Bの撓みが増加した分だけスキージヘッド13は下降する。そしてこのスキージヘッド13の下降とともに、スキージヘッド13内のクリーム半田5は、掻き取り部36A、36Bの間の開口部を介してマスクプレート12に押し付けられ、クリーム半田5とマスクプレート12の上面との密着度が向上する。
【0027】
この後図4(c)に示すように、スキージヘッド13の押圧状態を保ったまま、シリンダ16によりクリーム半田5を加圧する。この加圧によりスキージヘッド13内のクリーム半田5はさらに押し込まれ、掻き取り部36A,36Bの間の開口部付近のクリーム半田5とマスクプレート12との密着度がさらに向上する。
【0028】
そしてこの後、図4(d)に示すように、スキージヘッド13の押圧力を通常の印刷動作時の印圧に低下させる。これにより、掻き取り部36A、36Bの撓みが減少し、この撓み減少分だけスキージヘッド13は上昇する。このとき、スキージヘッド13内のクリーム半田5は、マスクプレート12との密着による粘着保持力で保持され、スキージヘッド13内のクリーム半田5はスキージヘッド13内において相対的に下方に移動する。
【0029】
そしてこの移動促進動作を、予め設定された所定のインターバル(例えば、各印刷動作毎、所定回数おき、または所定の印刷待機時間経過後など)で実行することにより、クリーム半田5の硬化を防止することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、スキージヘッドが印刷対象の基板範囲外に位置している印刷待機時において、スキージヘッドをマスクプレートに押圧する押圧手段による押圧力を増加させる押圧力増加工程と、押圧力を増加させた状態で前記ペースト加圧手段によるペーストの加圧を行う加圧工程と、ペーストへの加圧を保持した状態でスキージヘッドの押圧力を低下させる押圧力低下工程とを含むペースト移動促進動作を、所定のタイミングにおいて実行するようにしたので、ペーストのマスクプレートへの粘着力を利用してスキージヘッド内でのペーストの移動を促進し、ペーストの硬化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドの部分断面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷におけるクリーム半田の移動促進動作の説明図
【符号の説明】
3 基板
5 クリーム半田
12 マスクプレート
12a パターン孔
13 スキージヘッド
14 印刷部
16 シリンダ
19 制御部
22 シリンダ
31 カートリッジ
32 加圧板
35 印刷空間
Claims (1)
- 内部にペーストを貯溜したスキージヘッドをペースト加圧手段によって前記ペーストを加圧した状態でマスクプレート上で摺動させることにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、前記スキージヘッドが印刷対象の基板範囲外に位置して下受けされた状態にある印刷待機時において、前記ペースト加圧手段によるペーストへの加圧を停止した状態でスキージヘッドをマスクプレートに押圧する押圧工程と、この押圧を保持した状態で前記ペースト加圧手段によるペーストの加圧を行う加圧工程と、前記加圧を保持した状態で前記押圧力を低下させる押圧力低下工程とを含むペースト移動促進動作を、所定のタイミングにおいて実行することを特徴とするスクリーン印刷方法。
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