JP4197832B2 - スクリーン印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品実装工程において、基板上にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷する方法としてスクリーン印刷が用いられている。この方法は、印刷対象部位に応じてパターン孔が開孔されたマスクプレートを基板上にセットし、スキージングによりマスクプレートのパターン孔を介して基板上にペーストを印刷するものである。
【0003】
このスクリーン印刷のスキージング方法として、密閉型のスキージヘッドを用いる方法が知られている。この方法は、通常のスクリーン印刷と異なりマスクプレート上にペーストを直接供給するのではなく、内部にペーストを貯溜したスキージヘッドを用いるものである。この方法では、スキージヘッドの下面に設けられたペースト接触面をマスクプレートに当接させた状態で、スキージヘッド内のペーストを加圧することにより、マスクプレートのパターン孔にペースト接触面を介してペーストが押し込まれる。そしてスキージヘッドをマスクプレート上で摺動させることにより、各パターン孔に順次ペーストを充填する。
【0004】
この方法では、スキージヘッド内で加圧されたペーストを下面に設けられたペースト接触面を介してスクリーンマスク内のパターン孔に充填することから、ペースト接触面の周囲には加圧されたペーストを収容する空間を形成するとともに、スキージング時にマスクプレートの上面で摺動して余分なペーストを掻き取る掻き取り部が設けられている。そしてこの掻き取り部はペーストの漏出を防ぐため所定の押圧荷重でマスクプレートに対して押圧されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のスクリーン印刷装置に用いられていた掻き取り部には、以下のような問題点があった。掻き取り部には、マスクプレートの表面にならって当接する良好な追従性が求められるとともに、マスクプレートと常に摺接する当接部には摩耗による損耗をできるだけ軽減する耐摩耗性が求められる。しかしながら従来の掻き取り部は、追従性を確保するために可撓性に富む樹脂などの材質のものを用いると摺動による摩耗量が大きくなって部品寿命が短くなり、また摩耗を防止するために耐摩耗性の硬質材を用いると剛性が増加して追従性が確保されず、掻き取り不良による印刷品質低下を招く結果となっていた。このように従来の密閉型のスキージを用いたスクリーン印刷には、印刷品質の確保と部品寿命を両立させることが困難であるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、掻き取り不良による印刷品質低下を防止するとともに、部品寿命を延長することができるスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のスクリーン印刷装置は、マスクプレート上でスキージヘッドを摺動させることにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記スキージヘッドをマスクプレートに対して押圧する押圧手段とこのスキージヘッド内でペーストを貯溜するペースト貯溜部と、このペースト貯溜部内のペーストを加圧するペースト加圧手段と、加圧されたペーストを収容しマスクプレートの表面に接触させる印刷空間と、前記印刷空間のスキージング方向の前後壁を形成し下端部が前記マスクプレートの表面に当接するように互いにスキージヘッドに対して内側斜め方向に配設された2つの掻き取り部とを備え、この掻き取り部は、マスクプレートの表面との摺接面の摩耗の進行を軽減する耐摩耗手段を備えた摺接部とこの摺接部を保持してマスクプレートの表面に対して弾性的に押しつける保持部とを有し、前記摺接部は前記保持部の下端部に整形されており、その断面形状はマスクプレート上面との当接部分にスキージング方向の長さをFとする平坦部を有する扁平形状であって、前記保持部と前記摺接部から成る前記掻き取り部は可撓性を有する単一材質の素材より成り、前記保持部はこの素材を薄板形状に成形し、前記摺接部は前記平坦部のスキージング方向の長さFを前記保持部の板厚tよりも大きくして肉厚の棒形状に前記印刷空間に対して外方へ膨出させて整形して成る。
【0009】
本発明によれば、マスクプレートの表面に当接する掻き取り部を、マスクプレートの表面との摺接面の摩耗の進行を軽減する耐摩耗手段を備えた摺接部とこの摺接部を保持してマスクプレートの表面に対して弾性的に押しつける保持部とで構成し、且つ摺接部は前記保持部の下端部に整形されており、その断面形状はマスクプレート上面との当接部分にスキージング方向の長さをFとする平坦部を有する扁平形状であって、前記保持部と前記摺接部から成る前記掻き取り部は可撓性を有する単一材質の素材より成り、前記保持部はこの素材を薄板形状に成形し、前記摺接部は前記平坦部のスキージング方向の長さFを前記保持部の板厚tよりも大きくして肉厚の棒形状に前記印刷空間に対して外方へ膨出させて整形して成るので、マスクプレートへの良好な追従性と耐摩耗性とを両立させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図、図2は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドの部分断面図、図4(a)は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の掻き取り部の断面図、図4(b)は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の掻き取り部の斜視図、図5は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷におけるクリーム半田の掻き取り動作の説明図である。
【0011】
まず図1、図2を参照してスクリーン印刷装置の構造を説明する。図1、図2において、基板の位置決め部1は、図示しない移動テーブル上に基板保持部2を配設して構成されている。スクリーン印刷対象の基板3は基板保持部2のクランパ4によって保持されており、図示しない移動テーブルを駆動することにより、基板保持部2に保持された基板3は水平方向および上下方向に位置決めされる。
【0012】
位置決め部1の上方には、スクリーンマスク10が配設されている。スクリーンマスク10はホルダ11にマスクプレート12を装着して構成されており、マスクプレート12には印刷対象の基板3の印刷部位に対応したパターン孔12aが開孔されている。
【0013】
スクリーンマスク10上には、スキージヘッド13がヘッド昇降部20によって昇降自在に配設されている。ヘッド昇降部20はプレート部材21上に立設されたシリンダ22を備えており、シリンダ22のロッド22aの下端部には、結合部材15を介してスキージヘッド13が結合されている。シリンダ22を駆動することにより、スキージヘッド13はマスクプレート12に対して昇降する。ヘッド昇降部20はスキージヘッド13をスクリーンマスク10に対して昇降させる昇降手段となっている。またシリンダ22は、スキージヘッド13をマスクプレート12に対して押圧する押圧手段となっている。
【0014】
ヘッド昇降部20のプレート部材21の下面には、両端部にスライダ23が固着されており、スライダ23はフレーム25の上面に配設されたガイドレール24にスライド自在に嵌着されている。またプレート部材21の下面にはナット26が結合されており、ナット26に螺合した送りねじ27は、モータ28によって回転駆動される。
【0015】
モータ28を駆動することにより、プレート部材21は水平移動し、したがってヘッド昇降部20に結合されたスキージヘッド13も水平移動する。スキージヘッド13を下降させた状態で、モータ28を駆動することにより、スキージヘッド13はマスクプレート12上で水平移動する。すなわち、モータ28、送りねじ27およびナット26は、スキージヘッド13をマスクプレート12上で水平移動させる移動手段となっている。
【0016】
スキージヘッド13の下部には、マスクプレート12の表面に当接してペーストであるクリーム半田5をパターン孔12aに充填する印刷部14が設けられている。図3を参照して印刷部14の構造を説明する。図3において、30は本体部であり、マスクプレート12の幅方向に細長形状のブロック状部材である。本体部30の長さ寸法は図2に示すように印刷対象の基板3の幅寸法をカバーするように設定される。本体部30には、クリーム半田5が貯溜されたカートリッジ31が着脱自在に装着される凹部30aが形成されている。
【0017】
カートリッジ31は予め所定量のクリーム半田5が貯溜されたクリーム半田5の貯溜部(ペースト貯溜部)となっており、印刷時に本体部30に装着される。カートリッジ31の上面の開口には、内部のクリーム半田5を加圧する加圧板32が嵌入している。加圧板32は上方に配置されたシリンダ16のロッド16aと結合されており、シリンダ16を駆動することにより、加圧板32はカートリッジ31内で上下動するようになっている。
【0018】
また、カートリッジ31の底面はクリーム半田5の押し出し板31aとなっており、押し出し板31aには多数の開口部31bが設けられている。加圧板32をシリンダ16で下方に押圧することにより、カートリッジ31内のクリーム半田5は加圧され、押し出し板31aの開口部31bを介して下方に押し出される。シリンダ16および加圧板32はクリーム半田5を加圧する加圧手段となっている。
【0019】
本体部30の底部には、カートリッジ31の押し出し板31aと同様に多数の開口部34aが設けられた板状の絞り部34が装着されている。シリンダ16によってクリーム半田5が押し出される際には、押し出し板31aの開口部31bと絞り部34の開口部34aを2段階に通過して下方に移動する。そして押し出されたクリーム半田5は、本体部30の下方に形成された空間、すなわち本体部30の下部に内側斜め方向に配設された2枚の掻き取り部36A,36Bと本体部30の下面とによって囲まれた印刷空間35に到達する。
【0020】
掻き取り部36A,36Bは、印刷空間35のスキージング方向の前後壁を形成し、スキージヘッド13を下降させた状態では掻き取り部36A,36B下端部がマスクプレート12の表面に当接する。印刷動作時には、この印刷空間35は加圧されたクリーム半田5を収容し、掻き取り部36A,36Bの間の印刷面を介してクリーム半田5をマスクプレート12の表面に接触させる。
【0021】
加圧板32を押し下げてカートリッジ31内のクリーム半田5を加圧することにより、クリーム半田5は押し出し板31aと絞り部34を通過して印刷空間35内まで移動する。このクリーム半田5の移動経路の途中で、断面積が絞られた開口部31b,34aを通過することにより、クリーム半田5の粘度が低下しスクリーン印刷に適した性状に改質される。
【0022】
図4(a),(b)に示すように、掻き取り部36A,36Bは樹脂などの可撓性を有する単一材質より成る板状の部材であり、一体の素材から製作される。掻き取り部36A,36Bは、マスクプレート12の表面に当接する下端部の摺接部37aと、この摺接部37aを保持する保持部37bより構成される。図4(b)に示すように、保持部37bは樹脂を薄く整形した薄板形状であり、摺接部37aは保持部37bの板厚tよりも肉厚の断面を有する棒形状に整形される。
【0023】
摺接部37aの断面形状は、マスクプレート12上面との接触面積を大きくするため、当接部分にスキージング方向の長さをFとする平坦部を有する扁平形状に設定されている。摺接部は平坦部のスキージング方向の長さFを保持部の板厚tよりも大きくして肉厚の棒形状に印刷空間に対して外方へ膨出させて整形して成ることにより、スキージヘッド13がマスクプレート12に押圧されたときの摺接部37aに作用する面圧を低く抑えることができ、摩耗の進行が軽減される。したがって、肉厚の棒形状断面は、マスクプレート12の表面との摺接面の摩耗の進行を軽減する耐摩耗手段となっている。
【0024】
摺接部37aをマスクプレート12に押し付ける際には、押圧力は保持部37bを介して作用する。前述のように保持部37bは可撓性の材質を薄板形状に加工したものであるため弾性に富み、摺接部37aはマスクプレート12に追従性よく弾性的に押し付けられる。すなわち、マスクプレート12が完全な平面でなく部分的にうねりやたわみがある場合でも、摺接部37aはマスクプレート12との間に隙間を生じることなく当接する。
【0027】
スクリーン印刷においては、加圧板32により内部のクリーム半田5が加圧され、上述のように適正粘度に改質されたクリーム半田5が印刷空間35内に満たされた状態のスキージヘッド13を、マスクプレート12上で摺動させる。これにより、印刷空間35内のクリーム半田5は掻き取り部36A,36Bの間の開口部を介してマスクプレート12のパターン孔12a内に充填される。
【0028】
そしてこのスキージング動作において、マスクプレート12の上面に当接した掻き取り部36A,36Bは、その下端部でマスクプレート12の上面に付着したクリーム半田5を掻き取りながら進行する。このスキージング動作を行う場合に、印刷対象の基板の種類によっては、図5(a)に示すように基板3の幅bがスキージヘッド13の印刷幅Bよりも小さい場合がある。
【0029】
この場合には、掻き取り部36A,36Bが摺接するマスクプレート12の摺接範囲において、マスクプレート12が基板3の幅よりも張り出して下面が下方から基板3によって支持されていない不支持部Eが発生する。摺接範囲では印圧により掻き取り部36A,36Bはマスクプレート12に対して押し付けられているため、不支持部Eにおいてはマスクプレート12には図5(c)に示すように下方への撓みdが生じる。
【0030】
このような場合にあっても、掻き取り部36A,36Bの摺接部37aは可撓性に富む保持部37bを介してマスクプレート12上面に弾性的に押し付けられているため、マスクプレート12の撓みに良好に追従する。このため摺接部37aとマスクプレート12の間に隙間が発生することがなく、スキージング時においてクリーム半田5の掻き取り残りが発生しない。したがって、マスクプレート12上に掻き取り残りのクリーム半田5が存在することによる印刷不具合が発生しない。
【0031】
このようにしてスキージヘッド13を移動させることにより、各パターン孔12a内に順次クリーム半田5が充填される。全てのパターン孔12a内にクリーム半田5が充填されたならば、基板保持部2を下降させて、版離れを行わせる。すなわち、パターン孔12a内のクリーム半田5は基板3とともに下降してパターン孔12aから分離し、これにより、基板3へのクリーム半田5のスクリーン印刷が完了する。
【0032】
このスクリーン印刷を反復して行う過程において、マスクプレートと常に摺接状態にある掻き取り部36A,36Bは次第に摩耗により損耗するが、下端部に設けられた摺接部37aは摩耗の進行を軽減するような構成となっているため、長期間の使用においても摺接部37aの損耗が抑えられ、部品寿命を延長することができる。
【0033】
上記説明したように、本発明はマスクプレート12上でスキージング動作を行う際にマスクプレートの表面に当接する掻き取り部を、マスクプレートとの摺接面の摩耗の進行を軽減する耐摩耗手段を備えた摺接部と、この摺接部を保持してマスクプレートの表面に弾性的に押しつける可撓性の保持部とで構成するようにしたものである。これにより、スキージング時に掻き取り部をマスクプレートへ追従性よく押し付けることができ、印刷不具合の発生を防止すると共に、摺接部の耐摩耗性を向上させて部品寿命を延長することができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、マスクプレートの表面に当接する掻き取り部を、マスクプレートの表面との摺接面の摩耗の進行を軽減する耐摩耗手段を備えた摺接部とこの摺接部を保持してマスクプレートの表面に対して弾性的に押しつける保持部とで構成し、且つ摺接部は前記保持部の下端部に整形されており、その断面形状はマスクプレート上面との当接部分にスキージング方向の長さをFとする平坦部を有する扁平形状であって、前記保持部と前記摺接部から成る前記掻き取り部は可撓性を有する単一材質の素材より成り、前記保持部はこの素材を薄板形状に成形し、前記摺接部は前記平坦部のスキージング方向の長さFを前記保持部の板厚tよりも大きくして肉厚の棒形状に前記印刷空間に対して外方へ膨出させて整形して成るので、マスクプレートへの良好な追従性と耐摩耗性とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図2】 本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図3】 本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置のスキージヘッドの部分断面図
【図4】 (a)本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の掻き取り部の断面図
(b)本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の掻き取り部の斜視図
【図5】 本発明の一実施の形態のスクリーン印刷におけるクリーム半田の掻き取り動作の説明図
【符号の説明】
3 基板
5 クリーム半田
12 マスクプレート
12a パターン孔
13 スキージヘッド
14 印刷部
31 カートリッジ
32 加圧板
35 印刷空間
36A,36B 掻き取り部
Claims (1)
- マスクプレート上でスキージヘッドを摺動させることにより、マスクプレートのパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記スキージヘッドをマスクプレートに対して押圧する押圧手段とこのスキージヘッド内でペーストを貯溜するペースト貯溜部と、このペースト貯溜部内のペーストを加圧するペースト加圧手段と、加圧されたペーストを収容しマスクプレートの表面に接触させる印刷空間と、前記印刷空間のスキージング方向の前後壁を形成し下端部が前記マスクプレートの表面に当接するように互いにスキージヘッドに対して内側斜め方向に配設された2つの掻き取り部とを備え、この掻き取り部は、マスクプレートの表面との摺接面の摩耗の進行を軽減する耐摩耗手段を備えた摺接部とこの摺接部を保持してマスクプレートの表面に対して弾性的に押しつける保持部とを有し、前記摺接部は前記保持部の下端部に整形されており、その断面形状はマスクプレート上面との当接部分にスキージング方向の長さをFとする平坦部を有する扁平形状であって、前記保持部と前記摺接部から成る前記掻き取り部は可撓性を有する単一材質の素材より成り、前記保持部はこの素材を薄板形状に成形し、前記摺接部は前記平坦部のスキージング方向の長さFを前記保持部の板厚tよりも大きくして肉厚の棒形状に前記印刷空間に対して外方へ膨出させて整形して成ることを特徴とするスクリーン印刷装置。
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