JP3543711B2 - 自動車のフェンダーライナ - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のフェンダーライナ、特にスパッツを備えたフェンダーライナに関する。
【０００２】
【従来の技術】
図２に示すように、フェンダーライナ１は、アーチ形状で一般に合成樹脂の一体成形品であり、その内周縁が図略のフェンダエプロンに、外周縁が図略のフェンダパネルのアーチ部に、それぞれ複数個所の取付穴２を介してボルト締め固定されてホイールハウスを覆い、タイヤのはね上げる飛石や泥水等の飛散を防止する役割を果たしている。
【０００３】
ところで、フェンダーライナ１には平坦な前端部３に図３に示すように下方へ向けて突出するスパッツ５を形成し、自動車走行時に車体の下部を通過する気流をタイヤＴの前方で遮断し、タイヤＴの空気抵抗を低減するようにしたものがある（例えば、実開昭６１−１８３２７１号）。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のスパッツ５では、スパッツ５の前面に沿って下方へ流れる気流Ａの一部Ｂ（破線）がスパッツ５の下端から剥離せずに後方へ流れタイヤＴの抵抗となり、スパッツとしての効果が減少するという問題があった。
【０００５】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡単な構造によりタイヤの空気抵抗を更に低減しスパッツの効果をより十分発揮させる自動車のフェンダーライナを提供することを課題としてなされたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車体のホイールアーチ部に設置するフェンダーライナであって、その前端部に、下方へ向けて突出して自動車走行時の気流をタイヤの前方で遮断するスパッツを設けたフェンダーライナにおいて、上記スパッツを、上端がフェンダーライナの前端部の板面に開口する空洞状に形成し、スパッツの下端に、自動車走行時に上端の開口からスパッツ内に流入した空気をスパッツの下方に吹き出させる吹出口を形成したことを特徴とする（請求項１）。これにより、自動車走行時にスパッツの吹出口から吹き出した空気が、スパッツの下端に沿って流れる気流をスパッツから剥離させて下方へ流す。
【０００７】
上記スパッツは、幅がタイヤ幅とほぼ同じないしタイヤ幅よりも若干小さく、下端に向けて前後幅が先細りとなる断面ほぼＵ字状で、合成樹脂からなるフェンダーライナと一体の成形体であり、該スパッツの下端面に車幅方向に長い長穴状の上記吸出口を形成した（請求項２）。本発明のスパッツは構造が簡単で、合成樹脂からなるフェンダーライナの本体部と一体成形できる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１とともに図２により本発明の実施の形態を説明する。図２において、フェンダーライナ１は、ポリエチレン等の合成樹脂を真空成形で一体成形したもので、全体がアーチ形状をなしており、その内周縁が図略のフェンダーエプロンに、外周縁が図略のフェンダパネルのアーチ部に、複数の取付穴２でボルト締め固定されてホイールハウスを覆う。
【０００９】
フェンダーライナ１の前端部３は図１に示すように、図略のフロントバンパの内面まで延びる水平な平板状に形成されている。前端部３には下方へ向けて突出しタイヤＴと対向するスパッツ５が一体に形成してある。前端部３には、スパッツ５よりも内側位置に、板面を上方へ膨出させた膨出部４が形成してあり、自動車走行時にブレーキ装置への通風をよくし、ブレーキ装置を冷却するようにしてある。
【００１０】
スパッツ５は、前後方向の縦断面がほばＵ字状の空洞体で、上端は上記前端部３の板面に開口５０を形成している。スパッツ５の前面５１は斜め後方かつ下方へ延びる傾斜面で、その延長線がタイヤＴと交わらない傾斜面としてある。スパッツ５の後面５３は、フェンダーライナ１のアーチ部へと連続している。
【００１１】
スパッツ５の幅はタイヤＴの幅とほぼ同じ、ないしそれよりも若干小さくしてあり、下端底面５２はタイヤＴの上下方向ほぼ中間の高さ位置としてある。スパッツ５の下端底面５２には、車幅方向に長い二つの長孔状の開口が並列形成してあり、空気の吹出口６を形成している。
【００１２】
自動車走行時、前方からの気流Ａはフェンダーライナ１の前端部３の下面に沿い、更にスパッツ５の前面５１に沿って下向きに案内されてタイヤＴ前方の地面Ｅ方向に導かれる。その際、同時に図略のフロントバンパに形成された通風口などから導入された気流Ｃは、スパッツ５の上端開口５０からスパッツ５内に入り、スパッツ５の下方の負圧で下端底面５２の吹出口６から吸い出されて下方へ吹き出す。これにより、上記気流Ａのうち、スパッツ５の下端底面５２に沿って後方へ流れようとする気流Ｂは、上記下端底面５２から剥離され、下方へ流れる気流Ａと合流して下方へ流れる。
【００１３】
【発明の効果】
本発明のフェンダーライナによれば、スパッツによりタイヤの前方で遮断された気流は、スパッツの裏面側へ廻り込むことなくスパッツの下方へ導かれるから、タイヤに作用する風圧が減少し、スパッツの効果がより完全に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のフェンダーライナのスパッツ形成部を示すもので、図１（Ａ）は図１（Ｂ）Ａ−Ａ線に沿う位置での断面図、図１（Ｂ）はスパッツ形成部を下方から見た斜視図である。
【図２】フェンダーライナの全体斜視図である。
【図３】従来のフェンダーライナのスパッツ形成部を示すもので、図３（Ａ）は図３（Ｂ）Ａ−Ａ線に沿う位置での断面図、図３（Ｂ）はスパッツ形成部を下方から見た斜視図である。
【符号の説明】
１ フェンダーライナ
３ 前端部
５ スバッツ
６ 吹出口
Ｔ タイヤ
Ａ，Ｂ，Ｃ 気流
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のフェンダーライナ、特にスパッツを備えたフェンダーライナに関する。
【０００２】
【従来の技術】
図２に示すように、フェンダーライナ１は、アーチ形状で一般に合成樹脂の一体成形品であり、その内周縁が図略のフェンダエプロンに、外周縁が図略のフェンダパネルのアーチ部に、それぞれ複数個所の取付穴２を介してボルト締め固定されてホイールハウスを覆い、タイヤのはね上げる飛石や泥水等の飛散を防止する役割を果たしている。
【０００３】
ところで、フェンダーライナ１には平坦な前端部３に図３に示すように下方へ向けて突出するスパッツ５を形成し、自動車走行時に車体の下部を通過する気流をタイヤＴの前方で遮断し、タイヤＴの空気抵抗を低減するようにしたものがある（例えば、実開昭６１−１８３２７１号）。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のスパッツ５では、スパッツ５の前面に沿って下方へ流れる気流Ａの一部Ｂ（破線）がスパッツ５の下端から剥離せずに後方へ流れタイヤＴの抵抗となり、スパッツとしての効果が減少するという問題があった。
【０００５】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡単な構造によりタイヤの空気抵抗を更に低減しスパッツの効果をより十分発揮させる自動車のフェンダーライナを提供することを課題としてなされたものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車体のホイールアーチ部に設置するフェンダーライナであって、その前端部に、下方へ向けて突出して自動車走行時の気流をタイヤの前方で遮断するスパッツを設けたフェンダーライナにおいて、上記スパッツを、上端がフェンダーライナの前端部の板面に開口する空洞状に形成し、スパッツの下端に、自動車走行時に上端の開口からスパッツ内に流入した空気をスパッツの下方に吹き出させる吹出口を形成したことを特徴とする（請求項１）。これにより、自動車走行時にスパッツの吹出口から吹き出した空気が、スパッツの下端に沿って流れる気流をスパッツから剥離させて下方へ流す。
【０００７】
上記スパッツは、幅がタイヤ幅とほぼ同じないしタイヤ幅よりも若干小さく、下端に向けて前後幅が先細りとなる断面ほぼＵ字状で、合成樹脂からなるフェンダーライナと一体の成形体であり、該スパッツの下端面に車幅方向に長い長穴状の上記吸出口を形成した（請求項２）。本発明のスパッツは構造が簡単で、合成樹脂からなるフェンダーライナの本体部と一体成形できる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１とともに図２により本発明の実施の形態を説明する。図２において、フェンダーライナ１は、ポリエチレン等の合成樹脂を真空成形で一体成形したもので、全体がアーチ形状をなしており、その内周縁が図略のフェンダーエプロンに、外周縁が図略のフェンダパネルのアーチ部に、複数の取付穴２でボルト締め固定されてホイールハウスを覆う。
【０００９】
フェンダーライナ１の前端部３は図１に示すように、図略のフロントバンパの内面まで延びる水平な平板状に形成されている。前端部３には下方へ向けて突出しタイヤＴと対向するスパッツ５が一体に形成してある。前端部３には、スパッツ５よりも内側位置に、板面を上方へ膨出させた膨出部４が形成してあり、自動車走行時にブレーキ装置への通風をよくし、ブレーキ装置を冷却するようにしてある。
【００１０】
スパッツ５は、前後方向の縦断面がほばＵ字状の空洞体で、上端は上記前端部３の板面に開口５０を形成している。スパッツ５の前面５１は斜め後方かつ下方へ延びる傾斜面で、その延長線がタイヤＴと交わらない傾斜面としてある。スパッツ５の後面５３は、フェンダーライナ１のアーチ部へと連続している。
【００１１】
スパッツ５の幅はタイヤＴの幅とほぼ同じ、ないしそれよりも若干小さくしてあり、下端底面５２はタイヤＴの上下方向ほぼ中間の高さ位置としてある。スパッツ５の下端底面５２には、車幅方向に長い二つの長孔状の開口が並列形成してあり、空気の吹出口６を形成している。
【００１２】
自動車走行時、前方からの気流Ａはフェンダーライナ１の前端部３の下面に沿い、更にスパッツ５の前面５１に沿って下向きに案内されてタイヤＴ前方の地面Ｅ方向に導かれる。その際、同時に図略のフロントバンパに形成された通風口などから導入された気流Ｃは、スパッツ５の上端開口５０からスパッツ５内に入り、スパッツ５の下方の負圧で下端底面５２の吹出口６から吸い出されて下方へ吹き出す。これにより、上記気流Ａのうち、スパッツ５の下端底面５２に沿って後方へ流れようとする気流Ｂは、上記下端底面５２から剥離され、下方へ流れる気流Ａと合流して下方へ流れる。
【００１３】
【発明の効果】
本発明のフェンダーライナによれば、スパッツによりタイヤの前方で遮断された気流は、スパッツの裏面側へ廻り込むことなくスパッツの下方へ導かれるから、タイヤに作用する風圧が減少し、スパッツの効果がより完全に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のフェンダーライナのスパッツ形成部を示すもので、図１（Ａ）は図１（Ｂ）Ａ−Ａ線に沿う位置での断面図、図１（Ｂ）はスパッツ形成部を下方から見た斜視図である。
【図２】フェンダーライナの全体斜視図である。
【図３】従来のフェンダーライナのスパッツ形成部を示すもので、図３（Ａ）は図３（Ｂ）Ａ−Ａ線に沿う位置での断面図、図３（Ｂ）はスパッツ形成部を下方から見た斜視図である。
【符号の説明】
１ フェンダーライナ
３ 前端部
５ スバッツ
６ 吹出口
Ｔ タイヤ
Ａ，Ｂ，Ｃ 気流
Claims (2)
- 車体のホイールアーチ部に設置するフェンダーライナであって、その前端部に、下方へ向けて突出して自動車走行時の気流をタイヤの前方で遮断するスパッツを設けたフェンダーライナにおいて、上記スパッツを、上端がフェンダーライナの前端部の板面に開口する空洞状に形成し、スパッツの下端に、自動車走行時に上端の開口からスパッツ内に流入した空気をスパッツの下方に吹き出させる吹出口を形成したことを特徴とする自動車のフェンダーライナ。
- 上記スパッツは、幅がタイヤ幅とほぼ同じないしタイヤ幅よりも若干小さく、下端に向けて前後幅が先細りとなる断面ほぼＵ字状で、合成樹脂からなるフェンダーライナと一体の成形体であり、該スパッツの下端面に車幅方向に長い長穴状の上記吹出口を形成した請求項１記載の自動車のフェンダーライナ。
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|---|---|---|---|
| JP36599399A JP3543711B2 (ja) | 1999-12-24 | 1999-12-24 | 自動車のフェンダーライナ |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP36599399A JP3543711B2 (ja) | 1999-12-24 | 1999-12-24 | 自動車のフェンダーライナ |
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2001180530A JP2001180530A (ja) | 2001-07-03 |
| JP3543711B2 true JP3543711B2 (ja) | 2004-07-21 |
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|---|---|---|---|
| JP36599399A Expired - Fee Related JP3543711B2 (ja) | 1999-12-24 | 1999-12-24 | 自動車のフェンダーライナ |
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| US10059291B2 (en) | 2016-06-13 | 2018-08-28 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicle lower structure |
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| DE10333021A1 (de) * | 2002-07-22 | 2004-03-04 | Siemens Vdo Automotive Inc., Chatham | HERSCHEL-QUINCKE Röhre für Fahrzeuganwendungen |
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1999
- 1999-12-24 JP JP36599399A patent/JP3543711B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| US10059291B2 (en) | 2016-06-13 | 2018-08-28 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicle lower structure |
| DE102017111870B4 (de) | 2016-06-13 | 2023-06-01 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Fahrzeugunterstruktur |
| US11072379B2 (en) | 2017-03-06 | 2021-07-27 | Mazda Motor Corporation | Tire deflector device |
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| CN109955914B (zh) * | 2017-12-11 | 2021-11-02 | 丰田自动车株式会社 | 挡泥板衬里结构 |
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2001180530A (ja) | 2001-07-03 |
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