JP3543451B2 - 魚肉練製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は魚肉練製品の製造方法に関するものである。特に、迅速な製造が可能で、すり身の品質の低下を招くことがなく、高いゲル化力を有した蒲鉾等の魚肉練製品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
練製品の製造は、生すり身や解凍された冷凍魚肉すり身に食塩を加えて攪拌・混合(所謂「塩ズリ」)し、更にこれに副原料を加えて調味し、摺り上げていたが、この間に昇温し、ゲル化力の低下や、坐りなどが起こり安定した練製品が得られ難かった。
【0003】
攪拌・混合工程を行うための機械として、最近ではボールカッター,カッティングミキサー,連続ミキサー(特公平3−41145号公報参照)等様々なものを用いるが、これら高速回転で魚肉すり身を処理する機器は、短時間ですり身を摺り上げることができる。また、すり身の品温も短時間で行った場合には、温度上昇をさせないで摺り上げることができる。従って、ゲル化力の低下が少なく、極めて品質のよい製品が得られる。
【0004】
しかし、これらの機器で得られる魚肉すり身は、高いゲル化力を有していながら従来方法に比べ温度が低いため昇温に時間を要し、品質のバラツキや立体的な形状を保持させることは非常に困難であった。即ち、これらの機械で得られるすり身は、温度上昇はさほど起こらないため、ゲル化力の低下が少なく、所謂摺り上り温度が低く、昇温に時間を要し、すり身に流動性が有る。従って、昇温による品質のバラツキをなくしたり、立体的な成形を行った後に形状を保持することは非常に困難であり、そのまま成形・坐り・加熱を行うと、部分的な温度差が大きくなったり、タンパク質が変性固化するまでに、その形状が崩れ、商品価値を損ねることになったり、温度が低いので加熱工程での坐りが長時間を要したり、坐り効果が不安定になったりした。
【0005】
例えば、塩ズリにより摺り上ったすり身を、蒲鉾型に成型して坐り加熱又は加熱を行うと、品温が上昇するのに時間を要し、坐りの効果にバラツキが生じてゲルのバラツキが生じたり、更には品温が上昇して塩ズリすり身の流動性が失われるまでに形が崩れ、甲高に成型された蒲鉾の形状が偏平になる、所謂ダレの現象が起こる。特に小田原式の大きくて且つ甲高成型の蒲鉾にはその傾向は著しく商品価値を損ねるようなことも起こっていた。
【0006】
従来、特にこのダレ防止には、すり身の坐りを促進させる炭酸カルシウム,塩化カルシウム等を加える方法やすり身を室温に保持し、すり身の温度を上昇させる等のダレを防止する方法が取られてきたが、何れの場合でも万全の方法とは言い難く、前記の方法によって、品質を損ねることもあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、生すり身も、冷凍魚肉すり身も、練製品原料は、温度上昇には極めて敏感で、高温に置かれたり、解凍されての放置は著しい品質の劣化をもたらす。ところが、温度が低い方が良くても、冷凍での塩ズリは効果がなく、最低限解凍が完了していなければ成らず、温度の上昇を防ぎ、滞留もなく、塩ズリにつなげるに、有効な方式はこれまでには提案されていない。また、塩ズリ後の塩ズリ身は更に温度上昇には敏感で、低温であれば低温である程好ましいが、低温で摺り上った後の処理についても具体的には提案されていない。
【0008】
本発明は、迅速な製造が可能で、すり身の品質の低下を招くことがなく、高いゲル化力を有した蒲鉾等の魚肉練製品の製造方法を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本請求項1に記載された発明に係る魚肉練製品の製造方法では、魚肉すり身に食塩を加えて撹拌・混合する(所謂、塩ズリ)工程と、この撹拌・混合された魚肉すり身を成型して加熱する工程とを含む魚肉練製品の製造方法において、
前記撹拌・混合する工程で、撹拌・混合された魚肉すり身の摺り上がり温度を10℃以下とし、
前記加熱する工程で、成型されたすり身に通電してすり身の電気抵抗により25〜40℃の坐り温度帯に昇温させ、前記温度帯域に15〜30分間保持し、その後、さらに当該すり身を75〜85℃まで加熱するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明においては、先ず魚肉すり身に食塩を加えて攪拌・混合する(所謂「塩ズリ」)を行う際に、魚肉すり身の摺り上がり温度を10℃以下で行うものである。これにより、魚肉すり身の有するゲル化力を最大限に発揮することができる。更に、得られた魚肉すり身を予め定められた形状に成形して加熱する際に、成型されたすり身に通電してすり身内部の電気抵抗によって、速やかに均一に加熱するものである。尚、必要に応じて、速やかに25〜40℃の坐り温度帯に昇温させ坐り工程を経た後に、加熱するものである。これにより、低温の塩ズリで高いゲル化力を有した魚肉すり身が坐り温度帯に速やかに均一に昇温され、迅速な製造が可能で、ダレが少なく、すり身の品質の低下を招くことがない。
【0012】
本発明で用いる魚肉の原材料は、グチ、クロカワカジキ,オキギス,エソ,ワラズカ,スケソウダラ等の冷凍魚肉すり身等が用いられる。攪拌・混合工程(塩ズリ工程)で、必要に応じて氷を加えたり、冷却環境下で行うようにして、摺り上がり温度を10℃以下にすることが肝要である。
【0013】
攪拌・混合に用いる装置としては、通常の練製品で使用されるカッティングミキサー,ステファンカッター,ボールカッター,カプセルカッター等が用いられる。
【0014】
塩ズリ工程後の摺り上がり温度は、10℃以下、好ましくは5℃以下で行われる。尚、下限は、少なくとも塩ズリ可能な温度であればよいが、通常は解凍が始まる温度(0〜−3℃)である。この低温の塩ズリにより、魚肉すり身のもっているゲル化力を最大限に発揮することができる。また、塩ズリ工程中に調味料,澱粉,水等の副原料を食塩と同時に添加してもよいし、塩ズリ工程後にそれら副原料を添加混合してもよい。
【0015】
すり身の能力を100%いかすために低温で摺りあげた塩ズリ身はそのままでは流動性があり、甲高の蒲鉾(例えば小田原式蒲鉾)に成型した時や、加熱した時には内部と表面の温度差が大きくなるし、坐りの時にはダレが生じる。特に得られたすり身は低温で摺り上るため、加熱までの温度差も大きいし、ダレが生じ易い。従って、短時間で坐り温度帯に昇温させることが必要で有る。このために、材料中の塩類を抵抗にして、電気を通電することにより材料の電気抵抗を利用し、ジュール加熱を行う。このジュール加熱により、塩ズリ身の摺り上がり温度を速やかに均一に加熱でき、坐りの時には25〜40℃に昇温させ、ダレが生じないようにして坐りを行う。通常の坐りは25〜40℃の保温室に保持させるため、昇温自体に時間を要するので坐り効果にバラツキが生じたりダレが生じ易いが、このジュール加熱では短時間で昇温させることができ、ダレが生じ難い。
【0016】
即ち、すり身の成形は、常法通りに、板付蒲鉾をはじめ、希望する形に成形する。通常は、この成形後に所定の加熱工程に入っていくが、この加熱工程中に徐々に当所の形が崩れてくる。そこで、成形後のすり身に通電してすり身内部の電気抵抗により加熱を行う、所謂ジュール加熱を行う。このときの条件として、電圧20〜50V,坐り温度帯としては25〜40℃を目安として昇温する。
【0017】
具体的なジュール加熱を行う装置としては、板付蒲鉾用、竹輪用、笹かま用等適合したものを用いる。ジュール加熱処理によって、坐り温度帯に昇温された成形すり身は、この坐り温度帯域に15〜30分間保持されて坐り処理が行われる。この場合、ジュール加熱を引続き行って坐りを行ってもよいが、ジュール化熱処理は、摺り上がり温度を25〜40℃に昇温させるのみとして、その後は25〜40℃の保温室に移して、そこで坐り加熱を行ってもよい。坐り加熱処理を施された成形すり身は既に、保形されており、坐り温度帯の昇温でも、その後の工程中にも形状が崩れることはない。
【0018】
その後は、常法通りの蒸煮,焼き,湯煮,油で揚げる等の加熱か、引続いてジュール加熱で、中心温度が約75〜85℃まで加熱してゲル化を行う。この加熱においても、好ましくはジュール加熱を行うことにより、内部から急速に加熱されるため、練製品の戻りの温度帯を速く通過するため、弾力のある練製品が得られる効果もある。
【0019】
このようにして得られた製品は、高速攪拌機で低温摺り上げを実施し、且つジュール加熱で保形されているため、「足」が強く、尚且希望する形状になった極めて優れた製品となった。坐り温度への昇温時間経過が一定化されるため、坐り効果が安定し、均一な品質の最終製品が得られた。
【0020】
【実施例】
解凍された助宗冷凍魚肉すり身SA級(10kg)に、食塩0.3kg,砂糖0.5kg,馬鈴薯澱粉0.5kg,卵白0.3kg,味醂0.3kg,グルタミン酸ナトリウム0.1kg,氷水4kgを添加し、ボールカッターにて、3℃を維持するように摺り上げた。
【0021】
このすり身を板付蒲鉾成形機で成形後、板かま用ジュール加熱装置(フロンティアエンジニアリング社製)で、50V,2分間の通電を行った。このときの処理後の摺り上がり温度は約30℃であった。この摺り上がり温度を下げることなく、通常の保温装置内に保持させて坐り加熱を続けた。坐り加熱を30分間行った後、包装し、蒸し器内で中心温度を85℃となるように加熱して、固化させた。
【0022】
得られた製品は極めて「足」が強く、形状についても、製品断面が成形口金の形状とほぼ同じ製品に仕上り、ダレが全くなかった。また、このジュール加熱による急速な加熱により、昇温による品質低下を防止することができる。また、急速な加熱であるため品質安定が達成され、急速な加熱による工程の迅速化も達成することができる。更に、練製品の形状を安定化することもできる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通り、先ず魚肉に食塩を加えて攪拌・混合する(所謂「塩ズリ」)を行う際に、魚肉すり身の摺り上がり温度を10℃以下で行うものである。これにより、魚肉すり身の有するゲル化力を最大限に発揮することができる。更に、得られた魚肉すり身を予め定められた形状に成形して加熱する際に、成型されたすり身に通電してすり身内部の電気抵抗によって、加熱するものである。尚、必要に応じて、速やかに25〜40℃の坐り温度帯に昇温させた後に、加熱するものである。これにより、低温の塩ズリで高いゲル化力を有した魚肉すり身が坐り温度帯に速やかに昇温・保形され、迅速な製造が可能で、ダレが少なく、すり身の品質の低下を招くことがないという効果がある。
Claims (1)
- 魚肉すり身に食塩を加えて撹拌・混合する工程と、この撹拌・混合された魚肉すり身を成型して加熱する工程とを含む魚肉練製品の製造方法において、
前記撹拌・混合する工程で、撹拌・混合された魚肉すり身の摺り上がり温度を10℃以下とし、
前記加熱する工程で、成型されたすり身に通電してすり身の電気抵抗により25〜40℃の坐り温度帯に昇温させ、前記温度帯域に15〜30分間保持し、その後、さらに当該すり身を75〜85℃まで加熱することを特徴とする魚肉練製品の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP30332395A JP3543451B2 (ja) | 1995-10-30 | 1995-10-30 | 魚肉練製品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP30332395A JP3543451B2 (ja) | 1995-10-30 | 1995-10-30 | 魚肉練製品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09121817A JPH09121817A (ja) | 1997-05-13 |
JP3543451B2 true JP3543451B2 (ja) | 2004-07-14 |
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ID=17919595
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP30332395A Expired - Fee Related JP3543451B2 (ja) | 1995-10-30 | 1995-10-30 | 魚肉練製品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP2010068786A (ja) * | 2008-09-22 | 2010-04-02 | Frontier Engineering Co Ltd | 魚肉すり身加工食品およびその製造方法 |
-
1995
- 1995-10-30 JP JP30332395A patent/JP3543451B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09121817A (ja) | 1997-05-13 |
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