JP3394571B2 - いか刺身風ねり製品及びその製造法 - Google Patents

いか刺身風ねり製品及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はすり身でありながら、風
味がいかの刺身によく似た製品に関するものであり、す
り身製品を刺身のように切断し、いかの刺身の味及び風
味を楽しむことができる。
【0002】
【従来の技術】一般に、いかの刺身はいかを薄身に切っ
て食用に供するものであるが、いかはとれたての新鮮な
ものでなければならず、また、美味ないかは年々高価な
ものとなって来て、一般家庭では気軽に食することが困
難な状況になって来ているのである。
【0003】
【発明が解決すべき課題】本発明では、新鮮で高級ない
かの刺身の食感をいつでも気楽に楽しむことができるよ
うに、いか刺身風ねり製品を提供することを目的として
いる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明においては、いか
のすり身乃至は魚肉すり身との混合物にコンニャクゼリ
ーを混合することによって、ねり製品でいか刺身の風味
を出すことに成功したものである。
【0005】本発明は、いかすり身を原料とし、必要に
応じて魚肉すり身を加え、これにコンニャクゼリーが添
加されてなるいか刺身風ねり製品に関するものである。
【0006】また、本発明はいかすり身:魚肉すり身を
100:0〜5:95に混合し、更にコンニャクゼリー
を添加し、必要に応じて添加料を混合してなるいか刺身
風ねり製品に関するものである。
【0007】本発明においては、いかすり身、魚肉すり
身、コンニャクゼリー及び添加料を混合攪拌し、成型
し、加熱することによっていか刺身風ねり製品を製造す
ることができる。
【0008】一般に、いかの刺身はしなやかな弾力とこ
りっとした独特の食感を持つものであるが、従来、ねり
製品でこの食感を持つものは製造することができなかっ
た。
【0009】本発明においては、いかすり身と魚肉すり
身の混合物にコンニャクゼリーを1〜20%、好ましく
は5〜10%程度添加して混合、成型、加熱することに
よって、刺身のように切断したとき、しなやかな弾力と
こりっとしたいか独特の食感を出すことができたもので
ある。
【0010】本発明に用いるいかとしては、もんごうい
か、するめいか、すみいか、ほたるいかなどいかなるい
かでもよく、また、肉身だけでなく白子なども一緒に使
用することができる。
【0011】いかはミンチにかけ、磨砕機にかけてすり
身とし、これに助宗などのすり身を加え、磨砕機でよく
粉砕して、すり身とし、これに少量の調味料、澱粉など
を加えて混合し、次いでコンニャクゼリーを添加してよ
く混合する。
【0012】いかすり身:魚肉すり身は100:0〜
5:95、好ましくは70:30〜20:80程度の混
合割合がよい。
【0013】また、コンニャクゼリーの添加は原料すり
身の粗ずりの時でもよく、また調味料等の添加と同時で
もよく、調味料等の添加混合後などいずれでもよい。
【0014】本発明で用いるコンニャクゼリーはコンニ
ャク粉に水を加えて攪拌膨潤せしめ次いで塩基性アミノ
酸、塩基性塩類又は両者の混合物を添加混合するか:又
は塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を予め
添加混合した水をコンニャク粉に加えるか:又はコンニ
ャク粉に塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物
を予め混合し、次いで水を混合物に添加して膨潤溶解し
たものを加温、冷却して製造される。
【0015】ここで用いるコンニャク粉はコンニャク
芋、コンニャク芋を乾燥、粉砕したもの、或いはこれを
精製したもの等、いずれも使用できる。
【0016】又、使用する塩基性アミノ酸として通常
は、アルギニン、ヒスチジン、リジン、シトルリン、オ
ルニチン等の単独または混合したものが含まれる。特に
好ましいのはアルギニン又はリジンである。
【0017】塩基性アミノ酸の使用量はコンニャク粉に
対して1.25〜15重量%がよい。塩基性アミノ酸を
用いることによって、塩基性アミノ酸のもつpHの緩衝
性が高いという点が利用でき、安定したpHが得られ、
晶質の安定したゼリーが得られると共に、アルカリ性で
ありながらアルカリ臭がなく味のよいコンニャクゼリー
が得られるという利点を得ることができる。
【0018】また、塩基性物質として通常はクエン酸ナ
トリウム、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酢
酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等
の有機酸塩、及びポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナ
トリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸2〜3ナトリ
ウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、メタ
リン酸カリウム、リン酸2〜3カリウム等のリン酸塩、
及び炭酸ナトリウム、ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸カリ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の
炭酸塩、及び硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カル
シウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、及び水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等の単塩又は混合したものが含
まれる。これらの例のように、塩基性の食品用塩類であ
ればいずれも本発明の塩基性塩類として使用できる。
【0019】なお、バッファ効果を持たせるための各々
の塩、又は酸性塩類を組み合せて、最終的にpHがアル
カリ性になる組み合わせで用いてもよい。その場合の
酸、塩基性塩類としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ
酸、酢酸、乳酸、リン酸、リン酸1ナトリウム、リン酸
1カリウム等が用いられる。使用量はコンニャク粉に対
し0.01〜5重量%用いるのがよい。
【0020】塩基性アミノ酸と塩基性塩類を併用するこ
とによって、塩基性アミノ酸のpH緩衝性が高く、安定
したpHが得られる反面、pH域を任意に設定すること
が難しいという点と塩基性塩類のpHの緩衝性は低い
が、物質の選択により任意にpHを調整できる点をうま
く組み合せて、pH設定を容易にし、原料、使用水によ
るpHの変動をおさえて、均一なコンニャクゼリーを製
造することが可能になったのである。
【0021】本発明で用いるコンニャクゼリーはコンニ
ャク粉を水で膨潤したいわゆるコンニャク糊といわれる
ものとは異なったものである。また、アリカリを加え、
加熱して得るコンニャクゲルとも異っている。このコン
ニャクゼリーは両者の丁度中間的な性質を持っている。
【0022】次に、コンニャクゼリーを製造する方法を
説明する。まず、コンニャク粉に20〜40倍の水を加
えて膨潤溶解する。このコンニャク糊状物の塩基性アミ
ノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を加え、よく混合す
る。又は、コンニャク粉の20〜40倍の水に塩基性ア
ミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を予め混合溶解
し、この溶解でコンニャク粉を膨潤溶解する。更に、別
法としてはコンニャク粉に塩基性アミノ酸、塩基性塩類
又は両者の混合物を予め混合し、次いでコンニャク粉の
20〜40倍の水を添加混合して膨潤溶解し:膨潤溶解
したコンニャク糊は、アルカリ性下で加熱した後、冷却
すると目的とするコンニャクゼリーが得られる。
【0023】なお、加熱温度、時間は使用する塩類の濃
度、pH、及び求めるコンニャクゼリーの物性に応じて
調製する。コンニャク糊のpHが高い場合加熱時間は短
く、pHが低い場合加熱時間は長くなる。
【0024】このコンニャクゼリーはアルカリ性下に加
熱される必要があり、冷却後得られるコンニャクゼリー
のpHが8.0〜10.5の範囲、好ましくは8.2〜
10.0の範囲に入るようにpHを調整して加熱するこ
とが望ましい。
【0025】又、この場合加熱温度は60〜95℃で、
加熱時間は5〜210分という条件の組み合わせが選ば
れる。
【0026】なお、pH、温度、時間の好ましい組み合
わせは冷却後得られるコンニャクゼリーのpHが8.0
〜10.5、好ましくはpHが8.2〜10.0の範囲
に入るように選択するのが良く、そのためにそれらの最
適組合せ条件を予備実験で求めておくことが望ましい。
【0027】この加熱はコンニャク糊がゲル化する前に
終了させる。通常加温条件を越えるとコンニャク粉はゲ
ルとなってしまい本発明のコンニャクゼリーとしての特
徴である他の成分との混合性を失ってしまう。又、加熱
の条件が悪いと再加熱によるゲル化能が得られず、いつ
までも糊状であり、食品素材としては単にコンニャク粉
を水に溶解したものと同じになってしまう。
【0028】加熱の終ったものは急速に冷却して反応を
停止させることが必要で、この操作を省くとコンニャク
糊はゲルになってしまう。
【0029】得られたコンニャクゼリーのpHは8.0
〜10.5、好ましくは8.2〜10.0である。pH
10.5を越えると通常のコンニャクになってしまい、
他の食品との混合が難しく、又pH8.0未満では他の
食品との混合した場合、糊状のままで固まらず商品価値
を低下せしめるので好ましくない。
【0030】本発明においては、いかすり身、魚肉すり
身、コンニャクゼリー及び添加料を磨砕混合して得られ
たいか調味すり身を成型容器に入れて坐りを行い、次い
で、揚げる、蒸す、茹でるなどによって加熱し、製品と
する。
【0031】得られたねり製品は、いか刺身と同様に切
断して、食すれば、いかの呈味及びしなやかで、こりっ
とした独特の食感を楽しむことができる。
【0032】
【実施例】いか100部をミンチにかけた後サイレント
カッターに入れ粉砕し、次いで半解凍にした助宗スリ身
50部を加えて更に粉砕した後、食塩2.5部を加え塩
ズリを行った。この塩ズリ身にみりん1.5部、グルタ
ミン酸ナトリウム0.8部、魚介エキス調味料2部、澱
粉5部、水30部を加えて良く混合する。
【0033】得られた混合物に、コンニャク粉28gに
0.5%炭酸ナトリウム液1000mlを加え攪拌しな
がら膨潤させ、さらに2時間放置して良く膨潤させ、こ
れを合成樹脂製の容器に入れ80℃10分間の加熱を行
い、冷却して作成したコンニャクゼリー15部を加え良
く混合した。これを4〜5cmのボール状に成型し、8
5℃の熱水中で10分間加熱しコンニャクゼリー入りい
かボールを製造した。このボールはしなやかないか刺身
風の食感をもったねり製品であった。
【0034】
【発明の効果】本発明は、いかすり身を使用したねり製
品であっても、コンニャクゼリーを添加することによっ
て、いか刺身独特のしなやかで、こりっとした食感を出
すことに成功したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/325 101 - 103 A23L 1/333 JICSTファイル(JOIS) 食品関連文献情報(食ネット)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 いかすり身:魚肉すり身を100:0〜
    5:95に混合し、得られた混合物にコンニャクゼリー
    を1〜20%、及び添加料を混合攪拌し、成型し、加熱
    することを特徴とし、且つ、該コンニャクゼリーは、コ
    ンニャク粉に水を加えて攪拌膨潤せしめ次いで塩基性ア
    ミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物を添加混合する
    か;又は塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の混合物
    を予め添加混合した水をコンニャク粉に加えるか;又は
    コンニャク粉に塩基性アミノ酸、塩基性塩類又は両者の
    混合物を予め混合し、次いで水を混合物に添加して膨潤
    溶解したものを加温、冷却して製造されるものであるこ
    と、を特徴とするいか刺身風ねり製品の製造法。
  2. 【請求項2】 コンニャクゼリーの製造において、塩基
    性塩類として炭酸ナトリウムを使用すること、を特徴と
    する請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の製造法で製造し
    てなり、いか刺身独特のしなやかで、こりっとした食感
    を有するいか刺身風ねり製品。
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