JP4864747B2 - さつま揚げの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は例えば、新規な食感のさつま揚げとその製造方法に関するものである。
現在、魚肉すり身を原料として様々な練製品が製造・販売されているが、そのなかで油で揚げられた魚肉練製品であるさつま揚げは、表面に食欲をそそる色合いの揚げ色が付いた香ばしい製品である。
このさつま揚げは、通常、原料を魚肉すり身に塩を加えて擂潰してなる塩ずり身としてから、さらに適宜調味料等の副原料を添加して調整して型枠等で成形し、油ちょう加熱して得られている。また油ちょう加熱としては、まず120〜150℃の比較的低温で1〜2分間かけて中まで火を通してから次に160〜190℃の高温で数十秒間の短時間の揚げで表面に揚げ色を付けるという2度揚げが行われている。これは、1度揚げによる加熱では、中心部まで十分に加熱しながらも表面を焦がすことなく適度な黄褐色の揚げ色に留めるという制御が困難なためである。従って、通常は2度揚げにより弾力性に富み、歯応えのある食感で好ましい揚げ色の付いたさつま揚げが製造されている。
一方、魚肉練製品においては、新たな食品も求められており、従来からある魚肉練製品に新たな食感を持たせることも行われている。さつま揚げにおいても従来とは異なるタイプのものの製造が試みられている。例えば、従来にないソフトでふわっとした食感を持つさつま揚げを得るために、すり身原料に気泡力のある加水分解大豆蛋白を加えたり、ホイップさせるなど、含気により比重を軽くした製造方法も考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
特公平6−101997号公報
上記の如くさつま揚げの新たな食感の試みにおいて、すり身原料の比重を0.50〜0.75に調整したものは、加熱後にソフトでふわっとした食感のものが得られており、新規食感のさつま揚げ商品として期待される。しかしながら、表面に揚げ色が付いたさつま揚げとしての特徴を保持するためには、加熱工程に油ちょうが必要であり、すり身原料を上記の比重範囲に調整されたものを揚げると、火脹れ状に膨らみすぎたり、加熱後の温度低下に伴って萎んでシワになってしまうなど、外観的に商品にできない形態となるため、さつま揚げとして、商品化可能なソフトでふわっとした新規な食感のものを安定して製造することができなかった。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、加熱時に火脹れができたり加熱後の温度低下に伴って萎んでシワになることなく、良好な商品形態を持ちながらもソフトでふわっとした従来にない新規食感を備えたさつま揚げ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るさつま揚げの製造方法は、主原料の魚肉すり身に食塩を添加して擂り潰してなる塩ずり身に添加水と副原料とを添加混合する原料調製工程の後に、この調製後原料を所定形状に成形する成形工程と、該成形工程によって得られた成形品を加熱調理する加熱工程とを備えたさつま揚げの製造方法において、前記原料調製工程は、卵白とトランスグルタミナーゼとを添加混合する工程を含み、前記原料調製工程後に、調製後原料に含気させて比重を0.50〜0.75とする比重調整工程を備え、前記加熱工程は、黄褐色の揚げ色を付ける油温加熱を備えているものである。
請求項2に記載の発明に係るさつま揚げの製造法方は、請求項1に記載のさつま揚げの製造方法において、前記トランスグルタミナーゼの添加量は、魚肉すり身1g当たり0.12ユニットであることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明に係るさつま揚げの製造方法は、請求項1または請求項2に記載のさつま揚げの製造方法において、前記卵白は、調製後原料全体に対する含有割合が、粉末卵白で1〜1.5wt%あるいは液体卵白で8〜20wt%であることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明に係るさつま揚げの製造方法は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のさつま揚げの製造方法において、前記加熱工程は、蒸し工程とその後の揚げ工程との2段階工程からなるもの、あるいは1段階揚げ工程のみからなるもの、または第1揚げ工程とその後の第2揚げ工程との2段階揚げ工程からなるものであり、前記蒸し工程は85℃で3分の加熱を行い、その後の揚げ工程は油温175℃で黄褐色の揚げ色が付くまで加熱を行うものであり、前記1段階揚げ工程は、油温155℃〜160℃で1分10秒〜2分の加熱を行うものであり、前記第1揚げ工程は、油温125℃〜130℃で1分〜2分の加熱を行い、その後の第2揚げ工程は、油温175℃で20秒〜30秒の加熱を行うものであることを特徴とするものである。
本発明においては、塩ずり身の原料調製工程後の比重調整工程にて原料を含気させて比重を軽くすると共に原料調製工程にて魚肉すり身原料に卵白とトランスグルタミナーゼを添加することによって、成形後の加熱でふわっとソフトな新しい食感と同時に、加熱時の火脹れや割れなど生じることなく、またその後の温度低下において萎みやシワ発生を抑えた良好な形態が得られるため、商品価値のあるふわっとソフトな新規食感のさつま揚げを安定して製造できるという効果がある。
本発明によるさつま揚げの製造方法は、塩ずり身の原料調製工程後の比重調整工程にて原料を含気させて比重を軽くすることによって成形後の加熱でふわっとソフトな食感のさつま揚げを得るものであり、原料調製工程にて魚肉すり身原料に卵白とトランスグルタミナーゼを添加することによって、加熱時の火脹れや割れなど生じることなく、その後の温度低下において萎みやシワ発生を抑えて得られた食感を良好に維持できるものである。
これは、前記卵白の加熱凝固性蛋白質としての機能と前記トランスグルタミナーゼの蛋白質同士を架橋する機能とによって、加熱時の膨らみ過ぎと加熱後の萎みを防止することによる。このようにして得られる本発明のさつま揚げは、従来のさつま揚げと異なるだけでなく、所謂東京揚げやはんぺんとも異なる新規な食感のさつま揚げである。
即ち、本発明によれば、さつま揚げにふわっとソフトな食感を充分もたせることのできる比重0.50〜0.75としたすり身原料において、従来は油ちょう加熱で商品化可能な形態を得るのが困難であったのに対して、良質な形態のものを安定して製造することができ、商品価値のある新規な食感のさつま揚げの提供が可能となる。
また、卵白とトランスグルタミナーゼの添加は、後述の実施例に示すように、本発明者等の種々の検討の結果、何れか一方を単独で添加するのでは加熱後の萎み・シワ発生を抑える効果は不充分であり、両者を併用することによって、相乗的に加熱時の火脹れや加熱後の萎みの抑制効果が発揮され、新規な食感を有するさつま揚げのとしての良好な商品形態の発生と維持が可能となる。
このような卵白とトランスグルタミナーゼの添加量は、両者の作用が最も効果的に現れる特定の範囲に設定するのが好ましい。まず、卵白は、調製後原料全体に対する含有割合が、粉末卵白の場合は1〜1.5wt%、液体卵白の場合には8〜20wt%となるように添加する。この範囲より少ない添加量では、加熱凝固性による加熱時の膨らみすぎ防止や加熱後の形状維持の効果が発揮されず、多すぎる添加量では凝固性が過多となり、加熱時の適度な膨らみやふわっとした食感が阻害されてしまう。
またトランスグルタミナーゼは、魚肉すり身1g当たり0.12ユニットとなる添加量で原料に混合するのが望ましい。これより少ない添加量では、その蛋白質結着作用による加熱時の膨らみすぎや加熱後の萎みを抑える効果が発揮されない。また、添加量が多すぎても卵白との相乗効果が発揮されず、油ちょうでの有効な効果が期待できない。これは、トランスグルタミナーゼの添加量が多いと、卵白及び魚肉の蛋白質に対するトランスグルタミナーゼによる凝固反応と加熱による凝固反応とのバランスが崩れることに起因するものと考えられる。
即ち、加熱による卵白及び魚肉の蛋白質の凝固よりもトランスグルタミナーゼの凝固反応による蛋白質の架橋が速く形成され、その架橋が多すぎるとゲル構造のバランスが悪くなるためと思われる。このことは、後述する実施例3において、トランスグルタミナーゼの添加量が魚肉すり身1g当たり0.12ユニットの場合に得られたさつま揚げがこの倍の添加量の場合に得られたさつま揚げより高い弾力性と良好な油ちょう適性が示されたことからも理解でき、本発明においてトランスグルタミナーゼの添加量を適量に制御することは重要であると言える。
なお、トランスグルタミナーゼにはカルシウム非依存性のものと依存性のものとがあり、また、微生物由来のもの、動物由来のもの、魚由来のものなど種々のものがあるが、従来から食品加工用に市販されたものがあり、安全性が確認されているカルシウム非依存性の市販品を用いるのが経済的にも有効である。従って、本発明におけるトランスグルタミナーゼの活性単位の定義は、このような市販品で一般的に採用されているものとする。即ち、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質としてカルシウム非存在下でトランスグルタミナーゼ酵素液による反応を所定時間行い、反応液中のヒドロキサム酸の鉄錯体をトリクロロ酢酸存在下で形成させて525nmの吸収を測定し、L−グルタミン酸γ−モノヒドロキサム酸を用いて作成した検量線に基づいて、前記吸光度からヒドロキサム酸の生成量を求め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成する酵素活性を1ユニットとしたものである。
なお、本発明で望ましいとしたトランスグルタミナーゼの添加量、魚肉すり身1g当たり0.12ユニットとは、後述する実施例にて比活性が60ユニット/gのトランスグルタミナーゼ(味の素株式会社製TG−AK)を用いた場合の好適な添加濃度(魚肉すり身300gに対して0.6g、全原料中0.11wt%)から求めたものである。しかしながらこのような市販の酵素製品では、ロット毎に酵素比活性にバラツキが生じることから、実質的に魚肉すり身1g当たり0.12ユニットとなるように、実際に用いるトランスグルタミナーゼ酵素製剤の比活性に応じてその都度添加濃度を適宜調整すればよい。
また、成形工程後の加熱工程としては、中身が全体的にふわっとソフトな食感となるように十分膨らむと共に表面には従来のさつま揚げと同様の好ましい黄褐色の揚げ色が付くように加熱するものとする。具体的な方法としては、まず従来と同様に2段階の揚げ工程で行う方法が採用できる。即ち、比較的低い油温で中まで火を通す第1揚げ工程と、高い油温で表面に揚げ色を付ける第2揚げ工程との2段階である。この2段階の揚げ工程は、従来のさつま揚げの製造方法における加熱工程と共通するため、従来の生産ラインをそのまま使うことができ、経済性も良く製造工程が簡便に済む。
また、まず成形品を蒸し加熱して膨らませ、その蒸し上がり品を揚げ工程で揚げて表面に揚げ色を付けるという2段階工程でも本発明による新規食感のさつま揚げを製造することができる。この場合、1段階目の加熱が油ちょうでなく蒸し加熱であるため、火脹れが生じ難く、良好な商品形態が得やすい。ただし、蒸し工程と揚げ工程とは互いに離れた別ラインで構成されるため、2段階共揚げ工程の場合より、工程が複雑となる。
そこで、最も簡便な加熱工程は、1段階の揚げ工程のみで揚げ色付着まで完了させてしまう加熱方法である。この1段階揚げ工程のみからなる加熱では通常のさつま揚げでも良好な揚げ製品を得るのが困難で、特に比重が0.50〜0.75と軽いすり身原料から従来は商品化できる形態のものを得ることができなかったのに対して、後述のように、本発明によれば、1段階揚げ工程のみからなる加熱でも適度な油温設定により、ふわっとソフトな新食感のさつま揚げを商品化可能な良好な形態で形成することが可能となった。
この場合の油温設定とは、2段階揚げ工程の場合の第1揚げ工程で設定される比較的低い油温では揚げ色が付かず、また第2揚げ工程で設定される高い油温でいきなり揚げると火脹れが生じ易くなるため、例えば2段階揚げ工程における第1と第2の揚げ工程で設定される両油温の中間温度程度に設定する方法が簡便である。
また、本発明によって実現できたふわっとソフトな新規食感のさつま揚げとして商品価値のある良好な形態のものは、結果として破断強度が150〜250gの範囲内に入り且つ破断距離が9〜11mmの範囲内に入る物性(株式会社サン科学製のレオメーターCR−200Dにより試料厚13mmで径2mmの楔をプランジャーとしてテーブルスピード60mm/minで測定した場合)を備えたものである。
なお、本発明において主原料となる魚肉すり身は、従来から一般的にさつま揚げの原料に用いられているものでよく、特に限定されるものではない。例えば、現在練り製品原料用として多く流通しているスケトウダラやヨシキリザメおよびその他の魚肉からなる冷凍すり身を用いても良い。
まず第1の実施例として、スケトウダラすり身とヨシキリザメすり身とを主原料とした塩ずり身を用いて、副原料として馬鈴薯澱粉とグルコース、添加水を混合した後、型枠で成形し、1段揚げ工程、2段揚げ工程、蒸し揚げ工程の3種の加熱方法によってさつま揚げを作製し、それぞれの加熱後の形態を油ちょう適性として評価し、また各加熱工程にて得られたさつま揚げで、測定可能な良好な形態のものを対象にして物性測定を行った。物性測定は破断強度と破断距離であり、破断強度が大きいほど弾力性が高く、破断距離が大きいほど歯応えがしなやかになる傾向がある。
成形用型枠は、内寸法で71mm×73mm×100mmであり、魚肉塩ずり身原料が比重0.75の際に成形量目約30gとなるものを用いた。各加熱工程は、1段揚げ工程は油温155℃〜160℃で1分10秒〜2分の油ちょう加熱、2段揚げ工程は、第1揚げ工程が油温125℃〜130℃で1分〜2分の油ちょう加熱と続く第2揚げ工程が油温175℃で20〜30秒の油ちょう加熱とし、また蒸し上げ工程は、85℃、3分の蒸し加熱の後、175℃で黄褐色の揚げ色が付くまで揚げるものとした。
また油ちょう適性は、加熱後、約20℃の室温状態にしたさつま揚げの形態を商品価値の有無を基準として、加熱後のさつま揚げに火脹れや萎み、シワが目立って全くの不良品となるもの(×)、火脹れや萎み、シワの少なくともいずれかが目立って商品として不適切なもの(△)、萎みやシワが全くないわけではないが、商品としては問題ないもの(○)、ほとんど火脹れや萎み、シワがなく商品として最も良好な形態であるもの(◎)、の4段階で評価した。
さらに、破断強度および破断距離の物性測定は、レオメーター(株式会社サン科学製、商品名:レオメーターCR−200D)によって、約20℃の室温状態にあるさつま揚げの厚み13mmの試料を対象として、径2mm楔をプランジャーとし、テーブルスピード60mm/min、で行った。
なお、この物性測定には、比較的測定用試料が取り出しやすい蒸し揚げによって得られたさつま揚げを対象とした。これは、同じ調製後原料でも、1段揚げ及び2段揚げにより得られたさつま揚げで物性測定可能なものが得られにくいのに対して蒸し揚げによって得られたさつま揚げでは最も火脹れや萎み等が生じにくく、物性測定用の試料とし易いためである。また、1段揚げおよび2段揚げによるさつま揚げで物性測定可能な比較的油ちょう適性の良好なものと比較すると、測定値に大きな差は無く、1段揚げおよび2段揚げによるものが蒸し揚げによるものより破断強度及び破断距離共に若干高めの数値が出る傾向にあるだけである。従って、本実施例以降、各調製後原料毎の物性測定は、蒸し揚げによるさつま揚げを基準として評価するものとする。
本実施例1では、表1に示すように、主原料すり身300gのうち、スケトウダラ:ヨシキリザメの比率をそれぞれ3:0,2:1,1:2,0:3としたサンプルA,B,C,Dの4種の場合について、それぞれ天日塩7.5gを加えて塩擂りしてなる塩ずり身に、主原料の魚肉すり身重量の100〜47wt%相当分に亘って加水量を調整して添加し、他の副原料としてそれぞれ調製後原料全体に対する含有割合が馬鈴薯澱粉が4%、グルコースが1%となるようにそれぞれ投入し、混合したものを調製後原料とした。
Figure 0004864747
これらサンプルA〜Dの4種の調製後原料からそれぞれ前記型枠で略四角形の成形物を成形し、前記3種の加熱工程でそれぞれ加熱して新食感のさつま揚げを製造し、加熱後に室温状態とした各サンプルについて前記物性の測定と油ちょう適性の評価を行い、その結果を表1に示した。
本実施例1において、原料調製工程における原料撹拌混合の際に、強制発泡を行うことなく、主原料の魚肉すり身中におけるヨシキリザメすり身の比率が高くなるほど比較的比重が軽くなっている。これは、ヨシキリザメすり身自身が撹拌により発泡する特性による。しかしながら、このような主原料組成の調整だけでは、最も軽い比重で0.8程度までしか得られず、望まれる新規食感のさつま揚げとしてはふわっとしたソフト感が不充分であった。
一方、油ちょう適性においては、蒸し揚げによる加熱でも最も望ましい良品形態にまでは達しておらず、また1段揚げおよび2段揚げによるさつま揚げでは商品として不適なものしか得られなかった。以上のように主原料の魚肉すり身の組成や加水量等の調整だけでは、満足のいくものは得られないことが確認できた。
次に、第2の実施例として、副原料にトランスグルタミナーゼと粉末卵白を加えた場合を、粉末卵白に代えて小麦蛋白質あるいは大豆蛋白質を加えた場合と比較して、それぞれ目的とするふわっとソフトな新規食感が得られる比重0.50〜0.75に調整した原料で各加熱工程で得られたさつま揚げについて油ちょう適性を評価した。
本実施例2では、まず主原料を2:1の比率でスケトウダラすり身200g+ヨシキリザメすり身100gとし、天日塩7.5gを加えて擂り潰して得た塩ずり身に対して、馬鈴薯澱粉22g、グルコース5.5g、増粘多糖類1.5g、を添加したものを全原料サンプルNo1〜No14に亘って共通とした。
これにサンプルNo1〜No10およびNo12〜No14について添加水を210mL(主原料の魚肉すり身重量の70wt%相当分)、サンプルNo11のみ添加水を180mL(対魚肉60wt%相当)とし、表2に示すようにサンプルNo2以降、トランスグルタミナーゼ(味の素株式会社製、商品名TG−AK:比活性60ユニット/g)と、小麦蛋白質(グリコ栄養食品株式会社製、商品名A−グル)、大豆蛋白質(不二製油株式会社製、商品名フジプロFX)、粉末卵白(キューピータマゴ株式会社製,乾燥卵白Kタイプ)のうちの何れかを添加して得た原料について、それぞれ混合撹拌時の含気により比重を0.50〜0.75の範囲内で調製したものについて、実施例1と同様に3種の加熱方法でさつま揚げを製造し、油ちょう適性の評価を行った。また蒸し揚げによるさつま揚げ試料を室温状態にしたものの物性測定を行った。
Figure 0004864747
なお、トランスグルタミナーゼの添加量は、魚肉すり身1g当たり0.12ユニット(魚肉すり身300gに対してTG−AK0.6g、全原料中0.11wt%)の場合(サンプルNo2〜No6,No8,No10〜No14)と、魚肉すり身1g当たり0.24ユニット(魚肉すり身300gに対してTG−AK1.2g、全原料中0.22wt%)の場合(サンプルNo7,No10)とで検討した。また、成形には実施例1で用いたものと同寸法の型枠を用いた。結果は表3に示す通りである。
Figure 0004864747
まず、全体的に原料比重を0.50〜0.75と軽く調製することによって、ふわっとソフトな食感が得られた。さらに、加熱凝固性蛋白質として、粉末卵白をトランスグルタミナーゼと併用した場合では、他の蛋白質を用いた場合より油ちょう適性が格段に改善されている。望まれる油ちょう適性が得られるのは、粉末卵白が全原料含有割合1〜1.5wt%となる添加量で且つトランスグルタミナーゼが魚肉すり身1g当たり0.12ユニット添加された場合である。
これに対してトランスグルタミナーゼが魚肉すり身1g当たり0.24ユニットと倍の添加量とした場合のさつま揚げでは油ちょう適性が不良であった。これは、トランスグルタミナーゼの添加量が多いと、卵白及び魚肉の蛋白質に対するトランスグルタミナーゼの凝固反応による架橋が多すぎて、加熱による凝固反応とのバランスが悪くなったためと考えられる。
次に、第3の実施例として、表4に示すように、実施例2における粉末卵白の代わりに液体卵白(原料サンプルNo22〜No30)あるいは粉末卵白+液体卵白の両方を用いた場合(サンプルNo34)を粉末卵白を用いた場合(サンプルNo31〜No33)と比較して、上記実施例と同様に得られたさつま揚げの油ちょう適性評価と物性測定とを行った。
Figure 0004864747
なお、液体卵白添加の際は、水分換算して、全サンプルで加水量が主原料の魚肉すり身重量の70wt%相当分となるように調整し、トランスグルタミナーゼの添加量は魚肉すり身1g当たり0.12ユニットに統一し、他の組成は実施例2と同じ条件とした。結果は表5に示す通りである。
Figure 0004864747
まずいずれの加熱工程によるさつま揚げも原料比重が0.55〜0.75に調整されたものであるため、望まれるふわっとソフト食感を備えたものであった。また、表5の結果から明らかなように、液体卵白を用いた場合、および液体卵白と粉末卵白との併用の場合のいずれも、添加量が全原料中の含有割合が8〜20wt%の範囲に亘って、粉末卵白の場合と同様の良好な油ちょう適性が得られた。
以上の実施例に示すとおり、魚肉すり身を主原料としたさつま揚げにおいて、通常の副原料に加えて原料調製工程においてトランスグルタミナーゼを魚肉すり身1g当たり0.2ユニット添加するともに、卵白を調製後原料全体に対する含有割合が、粉末卵白で1〜1.5%あるいは液体卵白で8〜20%となるように添加することによって、比重が0.50〜0.75に調整された原料の、蒸し揚げおよび2段階揚げによる加熱方法はもちろん1段階揚げによる加熱方法においても、目標とするふわっとソフトな新しい食感を持ち、且つ火脹れや膨らんだ後の萎み、シワ等の不具合のない商品として良好な外観を備えたさつま揚げを製造できた。
以上の実施例の結果から、目標とするふわっとソフトな新規食感を備えながらも油ちょう適性が良好で商品価値があると評価できたさつま揚げの物性を全体的に見てみると、破断強度150〜250gの範囲内に入ると共に、破断距離9〜11mmの範囲内に入るものであることが判った。
第4の実施例として、以上の実施例で示すようにして得られた商品として良好な新しい食感のさつま揚げ(表4および表5のサンプルNo22〜34)の物性を、従来の市販はんぺんと比較し、図1に示した。図1は、それぞれの試料グループの物性測定値を分布領域で示したものである。図1の結果から判るように、本発明による新規食感のさつま揚げは、破断距離が大きくて従来のはんぺんに近くなってはいるが一致はしておらず、また破断強度も異なり、従来のはんぺんとは物性の違いが示すように異なる食感のものであることが判る。
さらに、表4中サンプルNo31〜33と同じ組成で比重を0.55、0.65、0.75にそれぞれ調整した原料から蒸し揚げにより得た新食感さつま揚げの破断強度と破断距離を、室温状態のものと、中心が60〜70℃となるように暖めた状態のものとの比較を従来のはんぺんを対照として行い、その結果を図2に示す。図2から明らかなように、従来のはんぺんが温度差による物性の違いが大きくなるのに比べて、本発明の新規食感さつま揚げは、温度差による物性の違いが極めて小さいことが確認された。
これは、本発明のさつま揚げの火脹れが生じ難いと共に加熱後に膨らみが萎んでシワが生じ難く良好な形態が維持されるという特徴が、温度差によって物性が変化し難いという性質によるためであることがわかる。これは、得られたふわっとソフトな食感も加熱後の温度低下に伴って損なわれることなく維持されやすいことを示すものである。
第5の実施例として、本発明による新規食感さつま揚げの物性を、従来タイプのさつま揚げの市販品と比較した結果を図3の分布図に示す。比較対象品は一般的に市販されている各社のさつま揚げ4種(E〜H社製)のさつま揚げとし、新食感さつま揚げは、表4中サンプルNo32のもので比較した。
図3の結果から明らかなように、従来タイプのさつま揚げの様々な市販品には、本発明によるさつま揚げと同様のものはなく、本発明によるさつま揚げが新規な食感の物であることが確認できた。
本発明の実施例4における新規食感さつま揚げと従来の市販はんぺんとの室温状態におけるレオメーター(サン科学社製、プランジャー:径2mmの楔)による物性測定結果を示す分布図(縦軸:破断強度g,横軸:破断距離mm)である。 本発明の実施例4における新規食感さつま揚げと従来の市販はんぺんとの室温状態と暖めた状態でのレオメーター(プランジャー:径2mmの楔)による物性測定結果を示す分布図(縦軸:破断強度g,横軸:破断距離mm)である。 本発明の実施例5における新規食感さつま揚げと従来タイプの市販さつま揚げ(E〜H社製)との室温状態でのレオメーターによる物性測定結果を示す分布図(縦軸:破断強度g,横軸:破断距離mm)であり、(a)は径2mmの楔をプランジャーとして測定した場合の結果(b)は径1mmの楔をプランジャーとして測定した場合の結果をそれぞれ示すものである。

Claims (4)

  1. 主原料の魚肉すり身に食塩を添加して擂り潰してなる塩ずり身に添加水と副原料とを添加混合する原料調製工程の後に、この調製後原料を所定形状に成形する成形工程と、該成形工程によって得られた成形品を加熱調理する加熱工程とを備えたさつま揚げの製造方法において、
    前記原料調製工程は、卵白とトランスグルタミナーゼとを添加混合する工程を含み、
    前記原料調製工程後に、調製後原料に含気させて比重を0.50〜0.75とする比重調整工程を備え
    前記加熱工程は、黄褐色の揚げ色を付ける油温加熱を備えていることを特徴とするさつま揚げの製造方法。
  2. 前記トランスグルタミナーゼの添加量は、魚肉すり身1g当たり0.12ユニットであることを特徴とする請求項1に記載のさつま揚げの製造方法。
  3. 前記卵白は、調製後原料全体に対する含有割合が、粉末卵白で1〜1.5wt%あるいは液体卵白で8〜20wt%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のさつま揚げの製造方法。
  4. 前記加熱工程は、
    蒸し工程とその後の揚げ工程との2段階工程からなるもの、
    あるいは1段階揚げ工程のみからなるもの、
    または第1揚げ工程とその後の第2揚げ工程との2段階揚げ工程からなるものであり、
    前記蒸し工程は85℃で3分の加熱を行い、その後の揚げ工程は油温175℃で黄褐色の揚げ色が付くまで加熱を行うものであり、
    前記1段階揚げ工程は、油温155℃〜160℃で1分10秒〜2分の加熱を行うものであり、
    前記第1揚げ工程は、油温125℃〜130℃で1分〜2分の加熱を行い、その後の第2揚げ工程は、油温175℃で20秒〜30秒の加熱を行うものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のさつま揚げの製造方法。
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