JP2009065885A - 肉類含有ドーナツ - Google Patents

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Abstract

【課題】吸油量を抑え、且つ弾力のある食感のドーナツ、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、牛肉、豚肉、鶏肉などの家畜の肉類を含有することを特徴とするドーナツであり、前記肉類は、ミンチあるいは塩ずりされていることが好ましく、前記肉類の含有量が、全原材料の10〜40重量%が好ましい。更に本発明は、ミンチあるいは塩ずりされた肉類に、少なくとも水及び小麦粉を加えて混捏する工程を有することを特徴とする肉入りドーナツの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、家畜の肉類を含有するドーナツに関する。
ドーナツは、小麦粉、デンプン質、塩、砂糖、膨張剤及びイースト等に、水等を加え混捏後、イースト発酵させて膨らませた生地を所定の形状に成形し、油で揚げることにより製造されるタイプのイーストドーナツと、イーストを使用せず、膨張剤や卵の力を利用して油で揚げる際に膨らませるタイプのノンイーストドーナツがある。
イーストドーナツは、外相、内相ともにソフトでしっとりとした食感を有し、ノンイーストドーナツは、外相はサクサクした食感で、内相はソフトな食感を有するが、いずれのタイプのドーナツも品質劣化の要因として、油で揚げる際の吸油の多さから生じる「油っこさ」と、澱粉の老化により生じ引きのある弾力がなくなる「ボソボソ感」などが挙げられる。
一方、カロリーの過剰摂取に起因する生活習慣病に悩まされている人の増加により、ドーナツにおいても油自体の摂取量の抑制が大きなニーズとなっており、また咀嚼の重要性が見直されていることから、適度な弾力を有するドーナツのニーズも存在する。更に従来のデンプン質のみならずタンパク質等の他の栄養素を含有すれば、ファーストフードとしてより好適である。
パンにおいては、魚肉のすり身を配合することにより、魚肉由来の良質なタンパク質を豊富に含む栄養価の高いパンが提案されているが(特許文献1を参照。)、ドーナツにおいては、コンニャク粉を配合したドーナツが報告されているにすぎない(特許文献2を参照。)。
特開平11‐32659号公報 特開2007‐60942号公報
本発明は、油脂含量を抑え、且つ弾力のある食感のドーナツ及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ドーナツ生地に肉類のミンチや、肉類を塩ずりしたものを添加すると、ドーナツの油脂含量を減少させ、さらにはドーナツの弾力を向上させることを見出し、本発明を完成するに至ったもので、本発明の課題を解決するための手段は下記の通りである。
<1> 本発明は、牛肉、豚肉、鶏肉などの家畜の肉類を含有することを特徴とするドーナツである。
<2> また前記肉類は、ミンチあるいは塩ずりされていることが好ましく、前記肉類の含有量は、全原材料の10〜40重量%が好ましい。
<3> 更に本発明は、ミンチあるいは塩ずりされた肉類に、少なくとも水及び小麦粉を加えて混捏する工程を有することを特徴とする肉入りドーナツの製造方法である。
本発明のドーナツは、ドーナツの油脂含量が低下し、油っこさが少なく、弾力を有する。したがって食味の点でさっぱりした、弾力のあるドーナツで、栄養面では脂質の過剰摂取を抑制し、さらにタンパク質等の肉類由来の栄養素を含むドーナツを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、より詳細に説明する。
原料に使用する肉類は、鶏、牛、豚等の家畜の肉類が挙げられる。肉類としては、精肉の他にレバー等の内臓や鶏皮等も含むことができる。該肉類は、ドーナツの目的に応じ任意に選択できるが、脂肪分を抑える場合には、鶏の精肉を使用することが好ましい。又肉類により、油抜き等の適宜の前処理を行うことも好ましい。
ドーナツにおける肉類の含有量は、全原材料に対して10〜40重量%の範囲内が好ましく、15〜35重量%がより好ましい。10重量%よりも少ないと肉類添加の効果が得られず、40重量%より多いとドーナツのボリュームが小さくなり表面にしわができるため、いずれも好ましくない。
肉類は、ミートチョッパー等にて処理したミンチを使用しても良いが、該ミンチにさらに塩ずりしたものを使用することがより好ましい。塩ずりは、肉類に対して1.0〜10重量%、より好ましくは1.3〜3.0重量%の食塩を少しずつ添加し、所定時間混合することにより行う。塩ずりの際には、該ミンチの温度が0℃以上であることを確認する。該塩ずりはさらに必要に応じて、水、保水剤、甘味料、調味料、澱粉等の添加剤を添加してもよい。混合は、フードプロセッサー等の任意の装置により行うことができる。該塩ずりの時間は、肉類のミンチ100gに対し、20〜90秒が好ましく、30〜75秒がより好ましい。
次いで、ミンチ、または塩ずりした肉類に、小麦粉、水、卵、糖類、膨張剤等の肉類以外の原材料を添加し、混捏することで生地を調製する。これらの肉類以外の原材料を添加する順番に特に制限はない。
前記小麦粉は、ドーナツの製造に使用可能なものであれば特に制限はなく、強力粉、中力粉、薄力粉のいずれもが、好ましく用いられる。また強力粉、中力粉、薄力粉の混合物であってもよい。更に前記強力粉、中力粉、薄力粉、及びこれらの混合物と、大麦粉、ライ麦粉、米粉等のその他の穀粉との混合物であってもよい。また、小麦粉は未処理のものであってもよく、α処理、またはその他の物理的、化学的処理を行ったものであってもよい。
糖類は、ドーナツの製造に使用可能なものであれば特に制限はなく、砂糖、ブドウ等、果糖、乳糖、水飴、異性化糖、またはこれらの混合物等を挙げることができる。
膨張剤としては、通常ベーキングパウダーが使用されるが、その他の膨張剤を用いても良い。
その他、必要に応じて、ドーナツの製造に使用される任意の添加物をさらに添加することもできる。その他の添加物の具体例としては、バター、マーガリン、ショートニング等の油脂、バニラエッセンス等の香料、全卵、卵白、卵黄等の卵、牛乳、脱脂粉乳等の乳製品等が挙げられる。
前記肉類以外の原材料の配合割合は、生地の柔らかさ、得られるドーナツの食感や風味等に応じて適宜調節される。
肉類を含めた原材料を混捏することにより、生地を製作するが,該混捏はミキサーその他の任意の装置を用いて行うことができる。該混捏は、例えば生地量が300g程度で、卓上ミキサー(ケンミックスKM-800 ビーター使用)を使用する場合であれば、始めに低速で1分程度の混合をし、その後低速、または中速で2〜3分程度の混合をすることにより、生地がなめらかな状態になるまで行うことが好ましい。
前記により得られた生地を、所定の形状に成形した後、油で揚げてドーナツを得る。使用する油の種類、油温及び揚げ時間は、適宜選択することが可能である。
以下、本発明について実施例により更に具体的に説明する。
<実施例1〜5>
表1に示す配合割合に基づき、実施例1〜5、比較例、及び対照区のドーナツを、下記の工程により作製した。なお比較例として魚肉のすり身を含有するドーナツを作製し、肉のすり身を含有したドーナツとの吸油量、及び弾力の違いを比較した。
Figure 2009065885
(実施例1の工程)
肉温が10℃の鶏の精肉をミートチョッパー(穴径3.2mm)にて処理したミンチに、調味料、澱粉を加え、鶏肉ミンチを得た。該鶏肉ミンチと卵、水を縦型のミキサー(ケンミックス社製、ビーター使用)を用い、30秒間低速で混合した後に、あらかじめ砂糖、ケーキドーナツミックス(熊本製粉(株)製)、ベーキングパウダーを混ぜ合わせたものを加え、低速にて2分間混捏して、ドーナツ生地を得た。得られた生地を30gに分割し、リング状に成型して、175℃の大豆白絞油にて2分30秒間揚げて、実施例1の肉入りドーナツを作製した。
(実施例2〜5の工程)
鶏の精肉をミートチョッパー(穴径3.2mm)にて処理したミンチに、調味料、澱粉を加え、フードプロセッサーにかけ、食塩を少しずつ加えながら合計60秒間混合することにより塩ずりを行い、鶏肉のすり身を得た。該鶏肉のすり身について、総原材料の10重量%(実施例2)、総原材料の20重量%(実施例3)、総原材料の30重量%(実施例4)、総原材料の40重量%(実施例5)の各量と、卵、水を縦型のミキサー(ケンミックス社製、ビーター使用)を用い、30秒間低速で混合した後に、あらかじめ砂糖、ケーキドーナツミックス(熊本製粉(株)製)、ベーキングパウダーを混ぜ合わせたものを加え、低速にて2分間混捏して、ドーナツ生地を得た。得られた生地を30gに分割し、リング状に成型して、175℃の大豆白絞油にて2分30秒間揚げて、実施例2〜5の肉入りドーナツを作製した。
(対照例の工程)
ケーキドーナツミックス(熊本製粉)に卵、水を加え、縦型のミキサー(ケンミックス社製、ビーター使用)を用い、低速で3分間混捏して、ドーナツ生地を得た。得られた生地を30gに分割し、リング状に成型して、175℃の大豆白絞油にて2分30秒間揚げて、対照例のドーナツを作製した。
(比較例の工程)
白身魚のすり身に調味料、澱粉を添加し、食塩を少しずつ加えながらフードプロセッサーにかけ、1分間混合することにより塩ずりを行い、魚肉の塩ずりしたすり身を得た。前記魚肉の塩ずりしたすり身と卵、水を縦型のミキサー(ケンミックス社製、ビーター使用)を用い、30秒間低速で混合した後に、あらかじめ砂糖、ケーキドーナツミックス(熊本製粉(株)製)、ベーキングパウダーを混ぜ合わせたものを加え、低速にて2分間混捏して、ドーナツ生地を得た。得られた生地を30gに分割し、リング状に成型して、175℃の大豆白絞油にて2分30秒間揚げて、比較例のドーナツを作製した。
(評価)
前記により得た実施例1〜5、比較例、及び対照区の各ドーナツについて、最大荷重、表面吸油量、及び油脂含量を測定した。また、ボリューム、形状、及び油っこさの各項目について、官能評価を行った。
最大荷重は、テクスチャーアナライザーTA-XT2i(マイクロステイブル社製)を用いCYLINDER PROBE SMSP/25にてドーナツの最大荷重を測定した。最大荷重は、ドーナツを上から一定の速度で押さえる際にかかる跳ね返りの力の最大値を示すものであり、最大荷重が大きいことは、食感の弾力が大きいことを意味する。
表面吸油量は、各ドーナツをキッチンペーパーに包み込み、室温(25℃)で10時間放置し、ドーナツからキッチンペーパーへ移行した油の量を測定した。
油脂含量は、ドーナツに含まれる油脂の含有量をエーテル抽出法により測定した。該エーテル抽出法による測定は、ドーナツを105℃の乾熱滅菌機中で3時間乾燥させ、乾燥したドーナツをジエチルエーテルに8時間浸漬させて油脂を抽出した。油脂抽出後のエーテルを十分に揮発させ、取り出した油脂を油脂含量として測定した。
ボリューム、形状、及び油っこさは、官能評価により行い、対照区の得点を5点とし、表2に示す官能評価得点表に従い、専門パネラー5人の平均値を評価とした。前記官能評価について、ボリュームは外観評価により、対照区よりボリュームが大きいものは得点が高く、対照区よりボリュームが小さいものは得点が低く表示されている。形状も外観評価により、対照区より表面にしわなどが少なく形状が良いものは得点が高く、対照区より表面にしわや、ざらつき感、縮んだ跡があること、またドーナツがリング状になっていないものは得点が低く表示されている。油っこさは、手に触れたときの触感及び食した時の食感で評価し、油っこさが少ないものは得点が高く、油っこさが多いものは得点が低く表示されている。結果を表3に示す。
Figure 2009065885
Figure 2009065885
表3の結果から、最大荷重については、実施例1〜5のいずれのドーナツも、対照区、比較例に比べ最大荷重が大きく、弾力があることがわかる。一方比較例は対照区に比して顕著な差はないが、むしろ対照区よりも小さかった。各実施例間においては、肉類含有量が高いほど最大荷重が大きく、弾力がある傾向であった。
吸油量については、表面吸油量、油脂含量ともに、同様の傾向を示し、実施例1〜5は、対照区比べ大幅に減少していた。比較例との比較では、肉類としての含量が同一の実施例4と比較すると、実施例4が比較例に比して顕著に減少しており、特に油脂含量の減少よりも、表面吸油量の減少が著しい。実施例間においては、肉類含有量が高いほど、表面吸油量の低下がみられた。
ボリューム、及び形状はいずれも、実施例1及び2が対照区と同等であったが、実施例3〜5では、対照区、比較例に対しともに低い評価で、特に肉の添加量が多くなるほど、ボリュームが小さくなり、しわが生じ、ボリューム及び形状の評価が低くなる傾向であった。
油っこさについては、実施例1〜5のいずれもが、対照区、比較例に比べ評価が高く、特に肉の添加量が多くなるほど、高い評価となった。
各実施例間においては、弾力、吸油量、形状、ボリュームのバランスが最もすぐれていたのは、実施例4であった。
<実施例6〜7>
前記実施例4のドーナツの原材料配合割合を用いて、塩ずり時間を実施例4の60秒から、30秒(実施例6)、90秒(実施例7)に替えた以外は実施例4と同様にして、実施例6及び7のドーナツを作製した。調査は油脂含量調査を除き実施例4と同様に行った。結果を表4に示す。なお塩ずり時間が0秒、即ちミンチである実施例1も併せ示した。
Figure 2009065885
表4の結果より、各実施例と対照区との間においては、前記表3の結果と同様に各評価項目において対照区との差が顕著であった。各実施例間において、塩ずりを行った実施例4、6、及び7とミンチである実施例1との比較では、塩ずりを行った各区において最大荷重が小さく、表面吸油量が減少した。塩ずりを行った各区間においては、顕著な差はみられないが、実施例4が官能検査の各評価が優れた。
脂肪分を抑え、弾力に富み、肉類のタンパク質等を含有して栄養バランスに優れたドーナツは、ファーストフードとして、ドーナツの新たな用途を開拓することができる。

Claims (4)

  1. 牛肉、豚肉、鶏肉などの家畜の肉類を含有することを特徴とするドーナツ。
  2. 前記肉類が、ミンチあるいは塩ずりされている請求項1に記載のドーナツ。
  3. 前記肉類の含有量が、全原材料の10〜40重量%である請求項1または2に記載のドーナツ。
  4. ミンチあるいは塩ずりされた肉類に、少なくとも水及び小麦粉を加えて混捏する工程を有することを特徴とする肉入りドーナツの製造方法。


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