JP3542520B2 - ビトリファイド砥石 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビトリファイド砥石及びその製造方法に関し、特に、ホーニング加工やベアリングのレース面の超仕上加工、PCD研磨加工など、ドレッシングを行わずに研削加工を行う場合に好適に用いられるビトリファイド砥石、特に、砥石中にカーボン質の球形状粒子を含有せしめたビトリファイド砥石、その中でも砥粒としてCBN(立方晶窒化ホウ素、以下同様。)砥粒、ダイヤモンド砥粒等の超砥粒を用いたビトリファイド超砥粒砥石及びそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超仕上加工においては、砥石使用面は加工物と面接触した状態で使用される。従って、安定して高精度の仕上面を得るためには、砥石組織が均一であるとともに、面接触によって目詰まり又は目潰れを生じないようにすることが重要である。
【0003】
よって、気孔を含み目詰まり又は目潰れを生じにくいビトリファイド砥石が使用されている。例えば、特公昭64−2870号公報の大気孔を有する多孔性超仕上砥石、特公平6−69669号公報のダイヤモンド砥粒とCBN砥粒の両方を含む超砥粒超仕上砥石、特公平7−16880号公報の巨大気孔の粒径分布を制御した超仕上砥石が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記、ビトリファイド超仕上砥石には次のような問題点がある。
【0005】
(1)高温で焼成して製造するため、製造された砥石における砥粒は熱劣化により砥粒の機能を低下させている。例えば、ダイヤモンド砥粒は600℃程度で熱劣化をおこす。また、CBN砥粒は900℃程度で熱劣化をおこす。さらに、前記砥粒は微粒になるほど、粗粒に比べ熱劣化が大きくなる。従って、砥粒の特性を十分に発揮させるためには、砥粒が熱劣化しない温度で焼成して砥石を製造することが理想的である。
【0006】
しかしながら、砥石における砥粒の保持力の確保のためには、下記例にみられるように高温で焼成することが必要であるから、現実には砥粒の劣化をひきおこしてしまう。例えば、特公昭64−2870号公報の実施例には1240℃で焼成する旨が記載されている。また、特公平6−69669号公報の実施例には窒素雰囲気中において900℃で焼成する旨が記載されている。また、特公平7−16880号公報の実施例には、980℃で焼成する旨が記載されている。
【0007】
(2)焼成時における砥粒とビトリファイド結合材との化学反応により砥粒が劣化し、砥粒としての機能を低下させている。例えば、CBN砥粒は焼成時の熱により表面にB2O3が発生し、ビトリファイド結合材と化学反応し強固に保持される。これが砥粒保持力につながる。しかし、その一方で、砥粒が微粒になればなるほど、ビトリファイド結合材との反応性が高くなり、ビトリファイド結合材との反応の程度が大きい砥粒ほど劣化を引き起こし、砥粒としての機能を低下させると考えられる。
【0008】
(3)砥石の構造が限定される。例えば、砥粒の含有率を小さく(例えば、25体積%以下)したい場合、焼成前の生砥石(成形体、以下同様。)に含有させる気孔形成材の量を多くして製造する。気孔形成材は、成形体に含有させ成形体の焼成時に燃え抜けさせて、焼成後に得られる砥石中に気孔を形成しようとする燃焼可能な材料である。しかし、気孔形成材の量を多くすると成形体における気孔形成材の分散不具合等によって、成形体の乾燥時に亀裂が発生したり、また、焼成後に得られた砥石の収縮不均一によっても亀裂が発生し、亀裂の発生なしに砥粒率を低くすることは困難である。亀裂の発生なしに砥石を製造できた場合でも、製造された砥石の形状や寸法のバラツキ、収縮が大きいことから、所定の形状や寸法にするための仕上加工が必要であるので製造コストが高くなる。
【0009】
このため、メタルボンド砥石の製造方法で用いられる、ホットプレス、ホットコイニング等の手法を用いてビトリファイド砥石を製造することが考えられ、特公昭55−137885号公報のビトリファイド砥石等が開示されている。前記手法を用いてビトリファイド砥石を製造する方法によると、砥石中に気孔を生成することが困難であり、砥石中には気孔を2体積%以下しか含まないが、可溶性部分(湿式研削中に溶出することにより気孔を形成する可溶性部分)を含むことによって、気孔を創出している。
【0010】
しかしながら、特公昭64−2870号公報、特公平6−69669号公報等にも記載されているように、超仕上加工においては、気孔の量、気孔の形状及び気孔の分布が重要であるから、ホットプレス、ホットコイニング等の手法を用いてビトリファイド砥石を製造する方法を単純に超仕上砥石に適用しても、望ましい気孔の量、形状及び分布を制御することは難しく、実用に耐え得る超仕上砥石を得ることはできなかった。
【0011】
以上のとおりであるから、▲1▼砥粒が熱劣化をおこさない製造方法で製造できる砥石であること、▲2▼砥粒の保持力を十分に確保するためビトリファイド結合材との反応により砥粒が熱劣化しているビトリファイド砥石と同等以上の砥粒保持力を有する砥石であること、▲3▼気孔の量、形状及び分布を自由に制御して製造することができるビトリファイド砥石であることが理想的であると考えられる。
【0012】
本発明の第1の目的は、砥粒が熱劣化していないにもかかわらず、十分に高い砥粒保持力を発揮するビトリファイド砥石を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、気孔の量、形状及び分布を自由に制御して製造することができるビトリファイド砥石を提供することである。
【0013】
本発明の第3の目的は、砥粒の熱劣化を防止して製造することができるにもかかわらず、十分に高い砥粒保持力を発揮するビトリファイド砥石を製造することができる、ビトリファイド砥石の製造方法を提供することである。
また、本発明の第4の目的は、ビトリファイド砥石における気孔の量、形状及び分布を自由に制御してビトリファイド砥石を製造することができる、ビトリファイド砥石の製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ビトリファイド砥石について、種々の研究を重ねた結果、ビトリファイド砥石の充填材として特定の物質を使用したところ、優れた結果を得たため、ここに提案する。
【0015】
即ち、本発明の第1の視点によれば、熱劣化していない砥粒と、カーボン質の球形状粒子(但し、被覆層を有するものを除く。以下同様。)と、ビトリファイド結合材を少なくとも含有し、前記砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子は前記ビトリファイド結合材で結合されている焼結体を有し、前記焼結体は気孔率が5体積%以下であり、前記カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、前記焼結体中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までであるビトリファイド砥石により上記目的を達成することができる。前記カーボン質の球形状粒子の作用は、次の(1)〜(3)に示すとおりである。
【0016】
(1)前記カーボン質の球形状粒子は、固体潤滑材として作用する。即ち、加工初期のワーク(被研削物)の凹凸部によって、カーボン質の球形状粒子は容易にえぐられ、遊離したものが固体潤滑材として作用し、研削抵抗を低下させ砥石の切れ味を向上させる。
【0017】
(2)カーボン質の球形状粒子は、研削中に砥石から脱落する。カーボン質の球形状粒子の脱落後に砥石に生じる空間部は、大気孔として作用する。即ち、カーボン質の球形状粒子がえぐられ脱落した跡には、大気孔が得られ、切り粉の除去に有効に作用し、砥石が目詰まりをおこさない。
【0018】
(3)カーボン質の球形状粒子は、砥石構造の強度を低下させない。即ち、本発明の砥石におけるカーボン質の球形状粒子は、球形状であるとともに平均粒径が砥粒の半分以上であるため、砥石自体の強度を低下させることがないから、砥石の構造が弱くなって、砥粒が異常脱落するようなことがない。
【0019】
本発明のビトリファイド砥石では、次のようにすることができる。前記カーボン質の球形状粒子の平均アスペクト比を1.7以下にすることができる。前記焼結体におけるカーボン質の球形状粒子の含有率を3〜50体積%にすることができる。前記砥粒を、立方晶窒化ホウ素砥粒とダイヤモンド砥粒の双方を含み、前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径は前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径以下である砥粒にすることができる。前記焼結体は、少なくとも1種の金属粒子をビトリファイド結合材の相中に分散させることができる。
【0020】
前記金属粒子は、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上であること、▲2▼実質的に酸化していないこと、▲3▼平均粒子径が10μm以下であること、▲4▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲にあることの全ての構成を具備することができる。
【0021】
また、本発明の第2の視点によれば、熱劣化していない砥粒と3〜50体積%のカーボン質の球形状粒子とビトリファイド結合材粉末を少なくとも含有する混合粉末を700℃以下で加圧焼結して、前記熱劣化していない砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子がビトリファイド結合材で結合されている、気孔率が5体積%以下の焼結体を得る加圧焼結工程を有し、前記カーボン質の球形状粒子として、前記混合粉末中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までの平均粒径を有すると共に、平均アスペクト比が1.7以下のカーボン質の球形状粒子を用いるビトリファイド砥石の製造方法により上記目的の少なくとも1を達成することができる。
【0022】
本発明のビトリファイド砥石の製造方法では、前記砥粒として、立方晶窒化ホウ素砥粒とダイヤモンド砥粒の双方を含み、前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径が前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径以下である砥粒を用いることができる。また、前記混合粉末として、少なくとも1種の金属粒子をさらに含有する混合粉末を用い、前記金属粒子として、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上であること、▲2▼平均粒子径が10μm以下であること、▲3▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲にあることの全ての構成を具備する金属粒子を用い、前記加圧焼結工程において、前記▲1▼〜▲3▼の全ての構成を具備する金属粒子を酸化させない条件で、前記混合粉末を加圧焼結することができる。なお、本発明において数値範囲の記載は、両端値のみならず、その中に含まれる全ての任意の中間値を含むものとする。
【0023】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のビトリファイド砥石又はビトリファイド砥石の製造方法において好適に用いることができる砥粒、カーボン質の球形状粒子及びビトリファイド結合材について説明する。
【0024】
[砥粒]
砥粒としては、Al2O3系砥粒やSiC系砥粒等の一般砥粒、あるいは立方晶窒化ホウ素砥粒やダイヤモンド砥粒等のようなヌープ硬度3000以上の超砥粒があり、これらの中から選択した少なくとも1種を使用することができる。例えば、前記一般砥粒のうちの少なくとも1種と前記超砥粒のうちの少なくとも1種を組み合わせて用いることができる。砥粒の寸法は、砥石の用途等に応じて適宜設定することができ、平均粒径が例えば0.1〜200μmのものを用いることができる。
【0025】
なお、超砥粒とは、一般的に、ヌープ硬度3000以上の砥粒であり、好ましくは、立方晶窒化ホウ素と同程度以上の硬度を有する砥粒のことであり、例えば、立方晶窒化ホウ素砥粒、ダイヤモンド砥粒等の砥粒があり、場合によってはこれらの混合物でもよい。
【0026】
[カーボン質の球形状粒子]
本発明におけるカーボン質(炭素質)の球形状粒子における「カーボン質」とは、炭素を90重量%以上含有する材料のことであり、グラファイト(黒鉛)を包含する。
【0027】
また、本発明におけるカーボン質の球形状粒子における「球形状」とは、完全な球形状だけでなく、長径と短径を有する略球形状を包含し、例えば、長径方向の断面が略楕円形であり短径方向の断面が円形のもの、長径方向及び短径方向の各断面が略楕円形のものを包含する。
【0028】
カーボン質の球形状粒子は、好ましくは平均のアスペクト比が1.7以下(より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3以下、特に好ましくは1〜1.2)のカーボン質の球形状粒子にする。なお、アスペクト比とは、カーボン質の球形状粒子における最長の径Lと最短の径Sとの比L/Sのことをいう。
【0029】
本発明におけるカーボン質の球形状粒子は、例えば、中実で真比重が1以上(例えば、1.3〜1.4程度)のものにすることができる。なお、本発明におけるカーボン質の球形状粒子としては、例えば金属等の被覆層を有するものは除いている。
【0030】
カーボン質の粒子のうちで特に球形状のものを選択した理由は次のとおりである。
【0031】
カーボン質粒子はビトリファイドマトリックス(ビトリファイド結合材相)と強固に結合するわけではないので、砥石中では異物として作用するから砥石の強度低下を引き起こす原因となりうる。このため、表面積が小さくなる球形状粒子が適するのである。
【0032】
また、表面積が小さいとカーボン質粒子同士が砥石中で接触することが少なくなり、砥石は多量のカーボン質粒子を含有することができるのである。カーボン質粒子の平均粒径を、砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までとすることは、カーボン質の球形状粒子の表面積を小さくすることになる。
【0033】
よって、本発明のビトリファイド砥石は、カーボン質粒子を多量に含むことができ、カーボン質粒子の前記潤滑作用・気孔形成作用をより大きくすることができる。
【0034】
カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、砥粒の平均粒径の半分(0.5倍)以上ないし50倍まで(好ましくは0.7〜40倍、より好ましくは1〜30倍)にする。カーボン質の球形状粒子の平均粒径が砥粒の平均粒径の半分未満である場合には、カーボン質の球形状粒子の粒子表面積の増大により砥石強度が低下する傾向があり、また、加工時に形成される気孔が小さく、目詰まり防止効果が小さい傾向がある。
【0035】
カーボン質の球形状粒子の平均粒径が砥粒の平均粒径の50倍を越える場合には、カーボン質の球形状粒子の平均粒径が砥石寸法に近付くため、砥石強度が低下する傾向がある。例えば、砥粒の平均粒径が5μmの場合には、カーボン質の球形状粒子の平均粒径は250μmを越えることとなるから、砥石寸法(例えば、砥石の厚さ)が1mm程度の砥石に対しては大きすぎる。
【0036】
カーボン質の球形状粒子は、砥石に均一に分散するのが望ましいが、カーボン質の球形状粒子が大きい場合にはカーボン質の球形状粒子の数が少なくなる傾向があるから、砥石の均一性が低下する傾向がある。
【0037】
[ビトリファイド結合材]
ビトリファイド結合材は、例えば、ホウ珪酸ガラス、結晶化ガラスを用いると良い。結晶化ガラスとしては、例えばウィレマイトを析出するものなどがある。砥粒の保持力を充分なものとするため、ビトリファイド結合材の熱膨張係数は、砥粒の熱膨張係数に対して±2×10−6(1/K)(室温〜500℃)の範囲内であることが望ましい。
【0038】
結合材として好ましい組成は次の通りである。
【0039】
SiO2 40〜70 重量%
Al2O3 10〜20 重量%
B2O3 10〜20 重量%
RO 2〜10 重量%
R2O 2〜10 重量%
【0040】
上記において、「RO」はアルカリ土類金属から選ばれる一種類以上の金属の酸化物を示し、「R2O」はアルカリ金属より選ばれる一種類以上の金属の酸化物を示す。
【0041】
本発明の製造方法で用いるビトリファイド結合材の粉末の粒径は、加圧焼結が可能な程度の粒径であればよく、平均粒径は例えば1〜15μmにすることができ、好ましくは2〜10μmにすることができる。
【0042】
本発明の製造方法における前記特定の混合粉末又はその成形体を700℃以下で加圧焼結させて製造する場合には、ビトリファイド結合材の粉末は700℃で溶融することが必要である。
【0043】
〔ビトリファイド砥石〕
本発明のビトリファイド砥石における焼結体は、熱劣化していない砥粒と、カーボン質の球形状粒子と、ビトリファイド結合材を少なくとも含有し、前記砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子は前記ビトリファイド結合材で結合されているものであり、前記ビトリファイド結合材は、好ましくはビトリファイド結合材の相(マトリックス相)として含有する。前記焼結体は、好ましくは、砥粒と、カーボン質の球形状粒子と、ビトリファイド結合材の粉末を少なくとも含有する混合粉末の焼結体である。前記焼結体の気孔率は5体積%以下であり、好ましくは3体積%以下(より好ましくは2体積%以下)にする。このようにする理由は、カーボン質の球形状粒子の添加による前記焼結体の強度低下がおこらないようにするためである。
【0044】
前記カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、前記焼結体中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までである。平均粒径が相違する複数の種類の砥粒が前記焼結体中に存在する場合、前記焼結体中に主に存在する砥粒とは、前記平均粒径が相違する複数の種類の砥粒の中で最も含有体積率が高い砥粒のことである。なお、材質が相違し平均粒径が同一の砥粒は、1種類の砥粒とみなすことができる。
【0045】
本発明のビトリファイド砥石における焼結体は、少なくとも1種の金属粒子を含有することができる。前記金属粒子は、好ましくは、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上(好ましくは−500kJ/mol/02以上、より好ましくは−400kJ/mol/02以上)であること、▲2▼実質的に酸化していないこと、▲3▼平均粒子径が10μm以下(好ましくは8μm以下、より好ましくは5μm以下)であること、▲4▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲(好ましくは10〜18×10−6/℃の範囲、より好ましくは10〜17×10−6/℃の範囲)にあることの前記▲1▼〜▲4▼の全ての構成を具備する金属粒子にすることができる。
【0046】
前記▲1▼〜▲4▼の全ての構成を具備する前記特定の金属粒子を焼結体におけるビトリファイド結合材相中に分散させることにより、本発明の砥石の使用中におけるビトリファイド結合材相の後退性を自由に制御することができる。即ち、ビトリファイド結合材相中の前記特定の金属粒子を少なめとして、ビトリファイド結合材相の後退性を低くし砥石摩耗量の低減を重視した設計や、逆に、ビトリファイド結合材相中の前記特定の金属粒子を多めとして、ビトリファイド結合材相の後退性を高め被加工体の加工量の増加を重視した設計を行うことができる。
【0047】
前記▲1▼〜▲4▼のうちの全ての構成を具備する金属粒子としては、例えば、Co、Cu及びNiの各金属粒子があり、それぞれ好適に使用できる。
【0048】
本発明の砥石における焼結体に含まれる砥粒が、立方晶窒化ホウ素砥粒とダイヤモンド砥粒の双方を含み、前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径が前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径以下である場合、微細なダイヤモンド砥粒が加工面に放出され遊離砥粒となることによるラッピングの効果と、立方晶窒化ホウ素固定砥粒による研削効果とによって、高い加工量を維持しつつ面粗度を向上させる効果が同時に得られる。
【0049】
好ましくは、ダイヤモンド砥粒の平均粒径を立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径未満とする。これにより、平均粒径が小さいダイヤモンド砥粒が遊離しやすくなり、より細かい粒径のダイヤモンド砥粒の方が被研削物の面粗度の向上には有利だからである。前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径は、好ましくは、前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径の1/100〜1倍(より好ましくは1/100〜0.7倍、さらに好ましくは1/100〜1/2倍)にする。
【0050】
前記焼結体における砥粒の含有率は好ましくは5〜40体積%(より好ましくは5〜30体積%、さらに好ましくは5〜25体積%)であり、カーボン質の球形状粒子の含有率は好ましくは3〜50体積%であり、ビトリファイド結合材の含有率は好ましくは10〜85体積%(より好ましくは15〜80体積%、さらに好ましくは20〜75体積%)である。
【0051】
また、前記焼結体は少なくとも1種の金属粒子を含有することができる。前記焼結体が金属粒子を含有する場合、前記焼結体におけるビトリファイド結合材と金属粒子の体積比は、好ましくは100:5〜100:100(より好ましくは100:10〜100:90、さらに好ましくは100:10〜100:80)である。また、前記焼結体が金属粒子を含有する場合、ビトリファイド結合材と金属粒子の合計の含有量は、好ましくは10〜85体積%(より好ましくは15〜80体積%、さらに好ましくは20〜75体積%)である。
【0052】
本発明のビトリファイド砥石は、前記特定の焼結体を有するものであればよく、少なくとも研削に関与する部分が前記特定の焼結体であれば良い。例えば、金属、セラミックス、プラスチック等から成る保持体の表面に前記特定の焼結体を存在させたものも本発明のビトリファイド砥石に包含される。
【0053】
本発明のビトリファイド砥石は、高度な精密部品の研削用として好適なものである。
【0054】
〔ビトリファイド砥石の製造方法〕
本発明のビトリファイド砥石の製造方法は、熱劣化していない砥粒と3〜50体積%のカーボン質の球形状粒子とビトリファイド結合材粉末を少なくとも含有する混合粉末を700℃以下で加圧焼結して、前記熱劣化していない砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子がビトリファイド結合材で結合されている、気孔率が5体積%以下の焼結体を得る加圧焼結工程を有する。なお、加圧焼結工程では、前記混合粉末の成形体を加圧焼結して気孔率が5体積%以下の焼結体を得ることもできる。前記カーボン質の球形状粒子として、前記混合粉末中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までの平均粒径を有するカーボン質の球形状粒子を用いる。前記混合粉末ないしその成形体には、少なくとも1種の金属粉末を含有させることができる。
【0055】
前記カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、前記混合粉末ないしその成形体中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までである。平均粒径が相違する複数の種類の砥粒が前記混合粉末ないしその成形体中に存在する場合、前記混合粉末ないしその成形体中に主に存在する砥粒とは、前記平均粒径が相違する複数の種類の砥粒の中で最も含有体積率が高い砥粒のことである。なお、この場合、材質が相違し平均粒径が同一の砥粒は、1種類の砥粒とみなすことができる。
【0056】
本発明のビトリファイド砥石の製造方法における前記加圧焼結工程においては、前記混合粉末ないしその成形体を好ましくは700℃以下で加圧焼結させる。700℃以下で加圧焼結することにより、砥粒の劣化及びカーボン質の球形状粒子の燃焼を十分に避けることができる。
【0057】
前記加圧焼結工程において、前記混合粉末ないしその成形体を加圧焼結する際の圧力は、加圧焼結して得られる焼結体の気孔率が5体積%以下(好ましくは3体積%以下、より好ましくは2体積%以下)になる程度の圧力でよく、具体的には前記圧力は好ましくは50〜400kgf/cm2程度でよい。
【0058】
焼結する際に加圧するのは、砥粒とビトリファイド結合材粉末とカーボン質の球形状粒子の相互間(金属粒子を前記混合粉末ないしその成形体に添加した場合には、砥粒とビトリファイド結合材粉末とカーボン質の球形状粒子と金属粒子の相互間)の接触を促進させ、焼結させるためである。そのため、カーボン質の球形状粒子と砥粒をより一層接触させることが可能になり、カーボン質の球形状粒子のまわりに砥粒が押しつけられる。従って、本発明の製造方法で得られた砥石の使用時において、環状に配列した複数の砥粒が砥石の研削面に露出し、カーボン質の球形状粒子が抜けた跡で前記複数の砥粒が切れ刃として有効に作用する。
【0059】
また、砥粒として、特に、結晶粒子径が細かい(1μm以下)のアルミナ系砥粒(例えば、ゾルゲル焼結法を用いて製造される焼結アルミナ質砥粒)等を本発明の製造方法に適用する場合には、加圧焼結時の温度を低くして製造できる為に砥粒が粒成長をおこさないから、微小破砕が特徴の前記アルミナ系砥粒の性能を十分に発揮させることができる。
【0060】
加圧焼結する方法としては、ホットプレス、ホットコイニングのほか、通電加熱焼結法である抵抗焼結、プラズマ放電焼結、ホットプレスにポンプ機能を加えた真空加圧焼結等が好適に用いられる。
【0061】
前記加圧焼結工程の前には、前記混合粉末を成形して成形体を得る成形工程を設けることができる。前記混合粉末に含有させる原料成分とその含有率は、製造しようとするビトリファイド砥石の構造に応じて適宜設定する。
【0062】
前記混合粉末に製造原料として含有させる金属粒子としては、好ましくは、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上(好ましくは−500kJ/mol/02以上、より好ましくは−400kJ/mol/02以上)であること、▲2▼平均粒子径が10μm以下(好ましくは8μm以下、より好ましくは5μm以下)であること、▲3▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲(好ましくは10〜18×10−6/℃の範囲、さらに好ましくは10〜17×10−6/℃の範囲)にあることの前記▲1▼〜▲3▼の全ての構成を具備する金属粒子にする。前記▲1▼〜▲3▼の全ての構成を具備する金属粒子としては、例えば、Co、Cu及びNiの各金属粒子があり、それぞれ好適に使用できる。
【0063】
本発明の製造方法における前記加圧焼結工程において、金属粒子を含有する混合粉末ないしその成形体を加圧焼結する場合、好ましくは、金属粒子(特に、前記▲1▼〜▲3▼の全ての構成を具備する金属粒子)を実質的に酸化させない条件で、前記混合粉末ないしその成形体を加圧焼結する。
【0064】
【実施例】
[実施例1]
本発明の実施例2以下で使用するカーボン質ビーズと同質のカーボン質ビーズの評価を行った。以下、「wt%」は「重量%」である。
【0065】
昇温条件10℃/分でカーボン質ビーズの質量減少を測定したところ、燃え抜け開始温度(カーボン質ビーズの質量が10wt%減少した時の温度)は700℃であり、燃え抜け完了温度(カーボン質ビーズの質量が90wt%減少した時の温度)は820℃であった。なお、前記カーボン質ビーズの平均粒径は、50μmであった。
【0066】
また、電子顕微鏡で原料(前記カーボン質ビーズ)を観察し、電子顕微鏡写真から10のサンプル(カーボン質ビーズ)を選択してアスペクト比の確認をおこなった。アスペクト比の平均は1.0であった。
【0067】
[実施例2]
下記表1の製造原料を実施例2の欄に示す容量比で混合し撹拌し、得られた混合攪拌物をカーボン製の型(凹部の空間部の寸法40mm×4mm×7mm)に詰め、抵抗焼結機で圧力300kgf/cm2、600℃で2分間保持して、通電加熱加圧焼結製造を行いビトリファイド砥石を得た。ビトリファイド結合材の平均粒径は3μmである。なお、以下の実施例及び比較例の各々で用いたビトリファイド結合材の平均粒径も同様に3μmである。
【0068】
【表1】
【0069】
[比較例1]
上記表1の製造原料を比較例1の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0070】
[比較例2]
上記表1の製造原料を比較例2の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0071】
なお、表1には、実施例2及び比較例1〜2の各々で使用したカーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bも併せて示す。また、表1のCBN砥粒の平均粒径は3〜6μmであるが、前記粒径比A/Bを算出する際の平均粒径は(3+6)/2=4.5(μm)とした。以下、カーボン質ビーズの粒径とCBN砥粒の粒径との粒径比を求める場合において、平均粒径がa〜bμmと表記されている時は、平均粒径を(a+b)/2(μm)とした。
【0072】
〈3点曲げ強度の評価〉
実施例2及び比較例1〜2の各々で得られたビトリファイド砥石の3点曲げ強度(JIS R1601−1995、以下同様。)の測定を行った。その測定結果も表1に示す。比較例1の砥石に対し、比較例2の砥石は強度低下が大きすぎるが、実施例2の砥石はカーボン質ビーズの添加による強度低下が小さく、実用に耐えうる。よって、カーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bが50以下であれば実用に耐え得ると考えられる。
【0073】
[実施例3]
下記表2の製造原料を実施例3の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0074】
【表2】
【0075】
[比較例3]
上記表2の製造原料を比較例3の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0076】
[比較例4]
上記表2の製造原料を比較例4の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0077】
なお、表2には、実施例3及び比較例3〜4の各々で使用したカーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bも併せて示す。
【0078】
〈3点曲げ強度の評価〉
実施例3及び比較例3〜4の各々で得られたビトリファイド砥石の3点曲げ強度の測定を行った。その測定結果も表2に示す。比較例3の砥石に対し、比較例4の砥石は強度低下が大きすぎるが、実施例3の砥石はカーボン質ビーズの添加による強度低下が小さく、実用に耐えうる。よって、カーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bが1/2以上(半分以上)であれば実用に耐えうると考えられる。
【0079】
[実施例4A及び4B]
下記表3の製造原料を実施例4A又は実施例4Bの欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。なお、表3には、実施例4A及び4Bの各々で使用したカーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bも併せて示す。
【0080】
【表3】
【0081】
[比較例5〜7]
下記表4の製造原料を比較例5〜7の各欄に示す容量比で混合し撹拌し、得られた混合攪拌物をプレス成形し、900℃で5時間大気雰囲気中で焼成し、ビトリファイド砥石を得た。
【0082】
【表4】
【0083】
〈研削性能の評価〉
実施例4A、実施例4B及び比較例5〜7の各々で得られた砥石を、それぞれ4mm×9mm×6mmの寸法の直方体に加工して、研削性能、即ち、(a)超仕上量、(b)砥石摩耗寸法、(c)面粗度について調べた。その結果を表5に示す。なお、表5の各項目の結果として示された数値は、比較例5の値を100とした場合の相対的な値である。
【0084】
【表5】
【0085】
実施例4Aの砥石は比較例5の砥石に対し、超仕上量が高く、面粗度が細かく、高い性能を有する。砥石摩耗寸法について実施例4Aの砥石は、比較例5の砥石よりもやや高いが、同等といえる。また、実施例4Aの砥石は、比較例6〜7の砥石と比較すると、砥石摩耗寸法は大きいが、比較例6〜7の砥石は超仕上量が少なすぎる。実施例4Bの砥石は実施例4Aの砥石と比較して、超仕上量・砥石摩耗寸法で実施例4Aの砥石に劣るものの、面粗度は向上し、細粒のダイヤの効果が現れている。
【0086】
なお、上記研削性能を評価した時の研削条件及びドレス条件は下記の通りである。
【0087】
研削方式 超仕上
研削液流量 1.4 l/分
被削材 SUJ−2(HRC61)
被削材周速度 3.3m/秒
サイクルタイム 10秒
砥石面圧 2.8MPa
前加工面粗度 3S
砥石振動数 16.7 /秒
砥石振幅 1.5mm
【0088】
[実施例5A及び5B]
下記表6の製造原料を実施例5A又は5Bの欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0089】
【表6】
【0090】
[比較例8]
上記表6の製造原料を比較例8の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0091】
[比較例9〜11]
下記表7の製造原料を比較例9〜11の各欄に示す容量比で混合し撹拌して混合攪拌物を得た。砥粒率が砥石体積の45体積%を占めるように前記各々の混合攪拌物をプレス成形し、得られた成形体を900℃で5時間大気雰囲気中で焼成し、比較例9〜11のビトリファイド砥石を得た。
【0092】
【表7】
【0093】
〈研削性能の評価〉
実施例5A、実施例5B及び比較例8〜11の各々で得られた砥石を、それぞれ3mm×3mm×20mmの寸法の四角柱状の砥石に加工して、研削性能、即ち、(a)取代、(b)砥石摩耗寸法、(c)面粗度、(d)消費電力について調べた。その結果を表8に示す。なお、表8の各項目の結果として示された数値は、比較例8の値を100とした場合の相対的な値である。
【0094】
【表8】
【0095】
実施例5Aの砥石は比較例8の砥石に対し、取代が多く、面粗度が細かく、消費電力が低く、高性能である。砥石摩耗寸法は、実施例5Aの砥石が比較例8の砥石よりもやや高いが、同等といえる。
【0096】
実施例5Aの砥石を比較例9、10、11の各砥石と比較すると、摩耗寸法は大きいが比較例の各砥石は取代が少なすぎる。
【0097】
実施例5Aの砥石と実施例5Bの砥石とを比較すると、取代と砥石摩耗寸法では実施例5Aの砥石が優れており、面粗度と消費電力では実施例5Bの砥石が低くなり優れており、実施例5Bの砥石で使用している細粒のダイヤモンド砥粒の効果が現れている。
【0098】
なお、上記研削性能を評価した時の研削条件及びドレス条件は下記の通りである。
【0099】
研削方式 ホーニング
主軸周速度 0.50 m/秒
主軸往復速度 0.13 m/秒
ストローク量 20mm
クロスハッチ角 30度
研削液 不水
ツルーイング方法 ハンドツルーイング
被削材 SCM415H(浸炭焼入)
【0100】
【表9】
スパークアウト :3往復
【0101】
【発明の効果】
本発明のビトリファイド砥石は、熱劣化していない砥粒と、カーボン質の球形状粒子と、ビトリファイド結合材を少なくとも含有し、前記砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子は前記ビトリファイド結合材で結合されている焼結体を有し、前記焼結体は気孔率が5体積%以下であり、前記カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、前記焼結体中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までであるので、砥粒が熱劣化していないにもかかわらず、十分に高い砥粒保持力を発揮するから、十分な加工量を確保できると共に砥石摩耗量の低減を達成することができる。
【0102】
また、本発明のビトリファイド砥石は、上記構成を有するので、被研削物を加工する際の加工条件、要求される精度に応じ、気孔の量、形状及び分布のそれぞれを自由に制御して製造することができる。
【0103】
本発明のビトリファイド砥石の製造方法は、熱劣化していない砥粒と3〜50体積%のカーボン質の球形状粒子とビトリファイド結合材粉末を少なくとも含有する混合粉末を700℃以下で加圧焼結して、前記熱劣化していない砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子がビトリファイド結合材で結合されている、気孔率が5体積%以下の焼結体を得る加圧焼結工程を有し、前記カーボン質の球形状粒子として、前記混合粉末中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までの平均粒径を有すると共に、平均アスペクト比が1.7以下のカーボン質の球形状粒子を用いるので、砥粒の熱劣化を防止して製造することができるにもかかわらず、十分に高い砥粒保持力を発揮するビトリファイド砥石を製造することができる。
【0104】
また、本発明のビトリファイド砥石の製造方法は、上記構成を有するので、ビトリファイド砥石における気孔の量、形状及び分布を自由に制御してビトリファイド砥石を製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はビトリファイド砥石及びその製造方法に関し、特に、ホーニング加工やベアリングのレース面の超仕上加工、PCD研磨加工など、ドレッシングを行わずに研削加工を行う場合に好適に用いられるビトリファイド砥石、特に、砥石中にカーボン質の球形状粒子を含有せしめたビトリファイド砥石、その中でも砥粒としてCBN(立方晶窒化ホウ素、以下同様。)砥粒、ダイヤモンド砥粒等の超砥粒を用いたビトリファイド超砥粒砥石及びそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超仕上加工においては、砥石使用面は加工物と面接触した状態で使用される。従って、安定して高精度の仕上面を得るためには、砥石組織が均一であるとともに、面接触によって目詰まり又は目潰れを生じないようにすることが重要である。
【0003】
よって、気孔を含み目詰まり又は目潰れを生じにくいビトリファイド砥石が使用されている。例えば、特公昭64−2870号公報の大気孔を有する多孔性超仕上砥石、特公平6−69669号公報のダイヤモンド砥粒とCBN砥粒の両方を含む超砥粒超仕上砥石、特公平7−16880号公報の巨大気孔の粒径分布を制御した超仕上砥石が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記、ビトリファイド超仕上砥石には次のような問題点がある。
【0005】
(1)高温で焼成して製造するため、製造された砥石における砥粒は熱劣化により砥粒の機能を低下させている。例えば、ダイヤモンド砥粒は600℃程度で熱劣化をおこす。また、CBN砥粒は900℃程度で熱劣化をおこす。さらに、前記砥粒は微粒になるほど、粗粒に比べ熱劣化が大きくなる。従って、砥粒の特性を十分に発揮させるためには、砥粒が熱劣化しない温度で焼成して砥石を製造することが理想的である。
【0006】
しかしながら、砥石における砥粒の保持力の確保のためには、下記例にみられるように高温で焼成することが必要であるから、現実には砥粒の劣化をひきおこしてしまう。例えば、特公昭64−2870号公報の実施例には1240℃で焼成する旨が記載されている。また、特公平6−69669号公報の実施例には窒素雰囲気中において900℃で焼成する旨が記載されている。また、特公平7−16880号公報の実施例には、980℃で焼成する旨が記載されている。
【0007】
(2)焼成時における砥粒とビトリファイド結合材との化学反応により砥粒が劣化し、砥粒としての機能を低下させている。例えば、CBN砥粒は焼成時の熱により表面にB2O3が発生し、ビトリファイド結合材と化学反応し強固に保持される。これが砥粒保持力につながる。しかし、その一方で、砥粒が微粒になればなるほど、ビトリファイド結合材との反応性が高くなり、ビトリファイド結合材との反応の程度が大きい砥粒ほど劣化を引き起こし、砥粒としての機能を低下させると考えられる。
【0008】
(3)砥石の構造が限定される。例えば、砥粒の含有率を小さく(例えば、25体積%以下)したい場合、焼成前の生砥石(成形体、以下同様。)に含有させる気孔形成材の量を多くして製造する。気孔形成材は、成形体に含有させ成形体の焼成時に燃え抜けさせて、焼成後に得られる砥石中に気孔を形成しようとする燃焼可能な材料である。しかし、気孔形成材の量を多くすると成形体における気孔形成材の分散不具合等によって、成形体の乾燥時に亀裂が発生したり、また、焼成後に得られた砥石の収縮不均一によっても亀裂が発生し、亀裂の発生なしに砥粒率を低くすることは困難である。亀裂の発生なしに砥石を製造できた場合でも、製造された砥石の形状や寸法のバラツキ、収縮が大きいことから、所定の形状や寸法にするための仕上加工が必要であるので製造コストが高くなる。
【0009】
このため、メタルボンド砥石の製造方法で用いられる、ホットプレス、ホットコイニング等の手法を用いてビトリファイド砥石を製造することが考えられ、特公昭55−137885号公報のビトリファイド砥石等が開示されている。前記手法を用いてビトリファイド砥石を製造する方法によると、砥石中に気孔を生成することが困難であり、砥石中には気孔を2体積%以下しか含まないが、可溶性部分(湿式研削中に溶出することにより気孔を形成する可溶性部分)を含むことによって、気孔を創出している。
【0010】
しかしながら、特公昭64−2870号公報、特公平6−69669号公報等にも記載されているように、超仕上加工においては、気孔の量、気孔の形状及び気孔の分布が重要であるから、ホットプレス、ホットコイニング等の手法を用いてビトリファイド砥石を製造する方法を単純に超仕上砥石に適用しても、望ましい気孔の量、形状及び分布を制御することは難しく、実用に耐え得る超仕上砥石を得ることはできなかった。
【0011】
以上のとおりであるから、▲1▼砥粒が熱劣化をおこさない製造方法で製造できる砥石であること、▲2▼砥粒の保持力を十分に確保するためビトリファイド結合材との反応により砥粒が熱劣化しているビトリファイド砥石と同等以上の砥粒保持力を有する砥石であること、▲3▼気孔の量、形状及び分布を自由に制御して製造することができるビトリファイド砥石であることが理想的であると考えられる。
【0012】
本発明の第1の目的は、砥粒が熱劣化していないにもかかわらず、十分に高い砥粒保持力を発揮するビトリファイド砥石を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、気孔の量、形状及び分布を自由に制御して製造することができるビトリファイド砥石を提供することである。
【0013】
本発明の第3の目的は、砥粒の熱劣化を防止して製造することができるにもかかわらず、十分に高い砥粒保持力を発揮するビトリファイド砥石を製造することができる、ビトリファイド砥石の製造方法を提供することである。
また、本発明の第4の目的は、ビトリファイド砥石における気孔の量、形状及び分布を自由に制御してビトリファイド砥石を製造することができる、ビトリファイド砥石の製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ビトリファイド砥石について、種々の研究を重ねた結果、ビトリファイド砥石の充填材として特定の物質を使用したところ、優れた結果を得たため、ここに提案する。
【0015】
即ち、本発明の第1の視点によれば、熱劣化していない砥粒と、カーボン質の球形状粒子(但し、被覆層を有するものを除く。以下同様。)と、ビトリファイド結合材を少なくとも含有し、前記砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子は前記ビトリファイド結合材で結合されている焼結体を有し、前記焼結体は気孔率が5体積%以下であり、前記カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、前記焼結体中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までであるビトリファイド砥石により上記目的を達成することができる。前記カーボン質の球形状粒子の作用は、次の(1)〜(3)に示すとおりである。
【0016】
(1)前記カーボン質の球形状粒子は、固体潤滑材として作用する。即ち、加工初期のワーク(被研削物)の凹凸部によって、カーボン質の球形状粒子は容易にえぐられ、遊離したものが固体潤滑材として作用し、研削抵抗を低下させ砥石の切れ味を向上させる。
【0017】
(2)カーボン質の球形状粒子は、研削中に砥石から脱落する。カーボン質の球形状粒子の脱落後に砥石に生じる空間部は、大気孔として作用する。即ち、カーボン質の球形状粒子がえぐられ脱落した跡には、大気孔が得られ、切り粉の除去に有効に作用し、砥石が目詰まりをおこさない。
【0018】
(3)カーボン質の球形状粒子は、砥石構造の強度を低下させない。即ち、本発明の砥石におけるカーボン質の球形状粒子は、球形状であるとともに平均粒径が砥粒の半分以上であるため、砥石自体の強度を低下させることがないから、砥石の構造が弱くなって、砥粒が異常脱落するようなことがない。
【0019】
本発明のビトリファイド砥石では、次のようにすることができる。前記カーボン質の球形状粒子の平均アスペクト比を1.7以下にすることができる。前記焼結体におけるカーボン質の球形状粒子の含有率を3〜50体積%にすることができる。前記砥粒を、立方晶窒化ホウ素砥粒とダイヤモンド砥粒の双方を含み、前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径は前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径以下である砥粒にすることができる。前記焼結体は、少なくとも1種の金属粒子をビトリファイド結合材の相中に分散させることができる。
【0020】
前記金属粒子は、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上であること、▲2▼実質的に酸化していないこと、▲3▼平均粒子径が10μm以下であること、▲4▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲にあることの全ての構成を具備することができる。
【0021】
また、本発明の第2の視点によれば、熱劣化していない砥粒と3〜50体積%のカーボン質の球形状粒子とビトリファイド結合材粉末を少なくとも含有する混合粉末を700℃以下で加圧焼結して、前記熱劣化していない砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子がビトリファイド結合材で結合されている、気孔率が5体積%以下の焼結体を得る加圧焼結工程を有し、前記カーボン質の球形状粒子として、前記混合粉末中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までの平均粒径を有すると共に、平均アスペクト比が1.7以下のカーボン質の球形状粒子を用いるビトリファイド砥石の製造方法により上記目的の少なくとも1を達成することができる。
【0022】
本発明のビトリファイド砥石の製造方法では、前記砥粒として、立方晶窒化ホウ素砥粒とダイヤモンド砥粒の双方を含み、前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径が前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径以下である砥粒を用いることができる。また、前記混合粉末として、少なくとも1種の金属粒子をさらに含有する混合粉末を用い、前記金属粒子として、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上であること、▲2▼平均粒子径が10μm以下であること、▲3▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲にあることの全ての構成を具備する金属粒子を用い、前記加圧焼結工程において、前記▲1▼〜▲3▼の全ての構成を具備する金属粒子を酸化させない条件で、前記混合粉末を加圧焼結することができる。なお、本発明において数値範囲の記載は、両端値のみならず、その中に含まれる全ての任意の中間値を含むものとする。
【0023】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のビトリファイド砥石又はビトリファイド砥石の製造方法において好適に用いることができる砥粒、カーボン質の球形状粒子及びビトリファイド結合材について説明する。
【0024】
[砥粒]
砥粒としては、Al2O3系砥粒やSiC系砥粒等の一般砥粒、あるいは立方晶窒化ホウ素砥粒やダイヤモンド砥粒等のようなヌープ硬度3000以上の超砥粒があり、これらの中から選択した少なくとも1種を使用することができる。例えば、前記一般砥粒のうちの少なくとも1種と前記超砥粒のうちの少なくとも1種を組み合わせて用いることができる。砥粒の寸法は、砥石の用途等に応じて適宜設定することができ、平均粒径が例えば0.1〜200μmのものを用いることができる。
【0025】
なお、超砥粒とは、一般的に、ヌープ硬度3000以上の砥粒であり、好ましくは、立方晶窒化ホウ素と同程度以上の硬度を有する砥粒のことであり、例えば、立方晶窒化ホウ素砥粒、ダイヤモンド砥粒等の砥粒があり、場合によってはこれらの混合物でもよい。
【0026】
[カーボン質の球形状粒子]
本発明におけるカーボン質(炭素質)の球形状粒子における「カーボン質」とは、炭素を90重量%以上含有する材料のことであり、グラファイト(黒鉛)を包含する。
【0027】
また、本発明におけるカーボン質の球形状粒子における「球形状」とは、完全な球形状だけでなく、長径と短径を有する略球形状を包含し、例えば、長径方向の断面が略楕円形であり短径方向の断面が円形のもの、長径方向及び短径方向の各断面が略楕円形のものを包含する。
【0028】
カーボン質の球形状粒子は、好ましくは平均のアスペクト比が1.7以下(より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3以下、特に好ましくは1〜1.2)のカーボン質の球形状粒子にする。なお、アスペクト比とは、カーボン質の球形状粒子における最長の径Lと最短の径Sとの比L/Sのことをいう。
【0029】
本発明におけるカーボン質の球形状粒子は、例えば、中実で真比重が1以上(例えば、1.3〜1.4程度)のものにすることができる。なお、本発明におけるカーボン質の球形状粒子としては、例えば金属等の被覆層を有するものは除いている。
【0030】
カーボン質の粒子のうちで特に球形状のものを選択した理由は次のとおりである。
【0031】
カーボン質粒子はビトリファイドマトリックス(ビトリファイド結合材相)と強固に結合するわけではないので、砥石中では異物として作用するから砥石の強度低下を引き起こす原因となりうる。このため、表面積が小さくなる球形状粒子が適するのである。
【0032】
また、表面積が小さいとカーボン質粒子同士が砥石中で接触することが少なくなり、砥石は多量のカーボン質粒子を含有することができるのである。カーボン質粒子の平均粒径を、砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までとすることは、カーボン質の球形状粒子の表面積を小さくすることになる。
【0033】
よって、本発明のビトリファイド砥石は、カーボン質粒子を多量に含むことができ、カーボン質粒子の前記潤滑作用・気孔形成作用をより大きくすることができる。
【0034】
カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、砥粒の平均粒径の半分(0.5倍)以上ないし50倍まで(好ましくは0.7〜40倍、より好ましくは1〜30倍)にする。カーボン質の球形状粒子の平均粒径が砥粒の平均粒径の半分未満である場合には、カーボン質の球形状粒子の粒子表面積の増大により砥石強度が低下する傾向があり、また、加工時に形成される気孔が小さく、目詰まり防止効果が小さい傾向がある。
【0035】
カーボン質の球形状粒子の平均粒径が砥粒の平均粒径の50倍を越える場合には、カーボン質の球形状粒子の平均粒径が砥石寸法に近付くため、砥石強度が低下する傾向がある。例えば、砥粒の平均粒径が5μmの場合には、カーボン質の球形状粒子の平均粒径は250μmを越えることとなるから、砥石寸法(例えば、砥石の厚さ)が1mm程度の砥石に対しては大きすぎる。
【0036】
カーボン質の球形状粒子は、砥石に均一に分散するのが望ましいが、カーボン質の球形状粒子が大きい場合にはカーボン質の球形状粒子の数が少なくなる傾向があるから、砥石の均一性が低下する傾向がある。
【0037】
[ビトリファイド結合材]
ビトリファイド結合材は、例えば、ホウ珪酸ガラス、結晶化ガラスを用いると良い。結晶化ガラスとしては、例えばウィレマイトを析出するものなどがある。砥粒の保持力を充分なものとするため、ビトリファイド結合材の熱膨張係数は、砥粒の熱膨張係数に対して±2×10−6(1/K)(室温〜500℃)の範囲内であることが望ましい。
【0038】
結合材として好ましい組成は次の通りである。
【0039】
SiO2 40〜70 重量%
Al2O3 10〜20 重量%
B2O3 10〜20 重量%
RO 2〜10 重量%
R2O 2〜10 重量%
【0040】
上記において、「RO」はアルカリ土類金属から選ばれる一種類以上の金属の酸化物を示し、「R2O」はアルカリ金属より選ばれる一種類以上の金属の酸化物を示す。
【0041】
本発明の製造方法で用いるビトリファイド結合材の粉末の粒径は、加圧焼結が可能な程度の粒径であればよく、平均粒径は例えば1〜15μmにすることができ、好ましくは2〜10μmにすることができる。
【0042】
本発明の製造方法における前記特定の混合粉末又はその成形体を700℃以下で加圧焼結させて製造する場合には、ビトリファイド結合材の粉末は700℃で溶融することが必要である。
【0043】
〔ビトリファイド砥石〕
本発明のビトリファイド砥石における焼結体は、熱劣化していない砥粒と、カーボン質の球形状粒子と、ビトリファイド結合材を少なくとも含有し、前記砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子は前記ビトリファイド結合材で結合されているものであり、前記ビトリファイド結合材は、好ましくはビトリファイド結合材の相(マトリックス相)として含有する。前記焼結体は、好ましくは、砥粒と、カーボン質の球形状粒子と、ビトリファイド結合材の粉末を少なくとも含有する混合粉末の焼結体である。前記焼結体の気孔率は5体積%以下であり、好ましくは3体積%以下(より好ましくは2体積%以下)にする。このようにする理由は、カーボン質の球形状粒子の添加による前記焼結体の強度低下がおこらないようにするためである。
【0044】
前記カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、前記焼結体中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までである。平均粒径が相違する複数の種類の砥粒が前記焼結体中に存在する場合、前記焼結体中に主に存在する砥粒とは、前記平均粒径が相違する複数の種類の砥粒の中で最も含有体積率が高い砥粒のことである。なお、材質が相違し平均粒径が同一の砥粒は、1種類の砥粒とみなすことができる。
【0045】
本発明のビトリファイド砥石における焼結体は、少なくとも1種の金属粒子を含有することができる。前記金属粒子は、好ましくは、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上(好ましくは−500kJ/mol/02以上、より好ましくは−400kJ/mol/02以上)であること、▲2▼実質的に酸化していないこと、▲3▼平均粒子径が10μm以下(好ましくは8μm以下、より好ましくは5μm以下)であること、▲4▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲(好ましくは10〜18×10−6/℃の範囲、より好ましくは10〜17×10−6/℃の範囲)にあることの前記▲1▼〜▲4▼の全ての構成を具備する金属粒子にすることができる。
【0046】
前記▲1▼〜▲4▼の全ての構成を具備する前記特定の金属粒子を焼結体におけるビトリファイド結合材相中に分散させることにより、本発明の砥石の使用中におけるビトリファイド結合材相の後退性を自由に制御することができる。即ち、ビトリファイド結合材相中の前記特定の金属粒子を少なめとして、ビトリファイド結合材相の後退性を低くし砥石摩耗量の低減を重視した設計や、逆に、ビトリファイド結合材相中の前記特定の金属粒子を多めとして、ビトリファイド結合材相の後退性を高め被加工体の加工量の増加を重視した設計を行うことができる。
【0047】
前記▲1▼〜▲4▼のうちの全ての構成を具備する金属粒子としては、例えば、Co、Cu及びNiの各金属粒子があり、それぞれ好適に使用できる。
【0048】
本発明の砥石における焼結体に含まれる砥粒が、立方晶窒化ホウ素砥粒とダイヤモンド砥粒の双方を含み、前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径が前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径以下である場合、微細なダイヤモンド砥粒が加工面に放出され遊離砥粒となることによるラッピングの効果と、立方晶窒化ホウ素固定砥粒による研削効果とによって、高い加工量を維持しつつ面粗度を向上させる効果が同時に得られる。
【0049】
好ましくは、ダイヤモンド砥粒の平均粒径を立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径未満とする。これにより、平均粒径が小さいダイヤモンド砥粒が遊離しやすくなり、より細かい粒径のダイヤモンド砥粒の方が被研削物の面粗度の向上には有利だからである。前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径は、好ましくは、前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径の1/100〜1倍(より好ましくは1/100〜0.7倍、さらに好ましくは1/100〜1/2倍)にする。
【0050】
前記焼結体における砥粒の含有率は好ましくは5〜40体積%(より好ましくは5〜30体積%、さらに好ましくは5〜25体積%)であり、カーボン質の球形状粒子の含有率は好ましくは3〜50体積%であり、ビトリファイド結合材の含有率は好ましくは10〜85体積%(より好ましくは15〜80体積%、さらに好ましくは20〜75体積%)である。
【0051】
また、前記焼結体は少なくとも1種の金属粒子を含有することができる。前記焼結体が金属粒子を含有する場合、前記焼結体におけるビトリファイド結合材と金属粒子の体積比は、好ましくは100:5〜100:100(より好ましくは100:10〜100:90、さらに好ましくは100:10〜100:80)である。また、前記焼結体が金属粒子を含有する場合、ビトリファイド結合材と金属粒子の合計の含有量は、好ましくは10〜85体積%(より好ましくは15〜80体積%、さらに好ましくは20〜75体積%)である。
【0052】
本発明のビトリファイド砥石は、前記特定の焼結体を有するものであればよく、少なくとも研削に関与する部分が前記特定の焼結体であれば良い。例えば、金属、セラミックス、プラスチック等から成る保持体の表面に前記特定の焼結体を存在させたものも本発明のビトリファイド砥石に包含される。
【0053】
本発明のビトリファイド砥石は、高度な精密部品の研削用として好適なものである。
【0054】
〔ビトリファイド砥石の製造方法〕
本発明のビトリファイド砥石の製造方法は、熱劣化していない砥粒と3〜50体積%のカーボン質の球形状粒子とビトリファイド結合材粉末を少なくとも含有する混合粉末を700℃以下で加圧焼結して、前記熱劣化していない砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子がビトリファイド結合材で結合されている、気孔率が5体積%以下の焼結体を得る加圧焼結工程を有する。なお、加圧焼結工程では、前記混合粉末の成形体を加圧焼結して気孔率が5体積%以下の焼結体を得ることもできる。前記カーボン質の球形状粒子として、前記混合粉末中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までの平均粒径を有するカーボン質の球形状粒子を用いる。前記混合粉末ないしその成形体には、少なくとも1種の金属粉末を含有させることができる。
【0055】
前記カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、前記混合粉末ないしその成形体中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までである。平均粒径が相違する複数の種類の砥粒が前記混合粉末ないしその成形体中に存在する場合、前記混合粉末ないしその成形体中に主に存在する砥粒とは、前記平均粒径が相違する複数の種類の砥粒の中で最も含有体積率が高い砥粒のことである。なお、この場合、材質が相違し平均粒径が同一の砥粒は、1種類の砥粒とみなすことができる。
【0056】
本発明のビトリファイド砥石の製造方法における前記加圧焼結工程においては、前記混合粉末ないしその成形体を好ましくは700℃以下で加圧焼結させる。700℃以下で加圧焼結することにより、砥粒の劣化及びカーボン質の球形状粒子の燃焼を十分に避けることができる。
【0057】
前記加圧焼結工程において、前記混合粉末ないしその成形体を加圧焼結する際の圧力は、加圧焼結して得られる焼結体の気孔率が5体積%以下(好ましくは3体積%以下、より好ましくは2体積%以下)になる程度の圧力でよく、具体的には前記圧力は好ましくは50〜400kgf/cm2程度でよい。
【0058】
焼結する際に加圧するのは、砥粒とビトリファイド結合材粉末とカーボン質の球形状粒子の相互間(金属粒子を前記混合粉末ないしその成形体に添加した場合には、砥粒とビトリファイド結合材粉末とカーボン質の球形状粒子と金属粒子の相互間)の接触を促進させ、焼結させるためである。そのため、カーボン質の球形状粒子と砥粒をより一層接触させることが可能になり、カーボン質の球形状粒子のまわりに砥粒が押しつけられる。従って、本発明の製造方法で得られた砥石の使用時において、環状に配列した複数の砥粒が砥石の研削面に露出し、カーボン質の球形状粒子が抜けた跡で前記複数の砥粒が切れ刃として有効に作用する。
【0059】
また、砥粒として、特に、結晶粒子径が細かい(1μm以下)のアルミナ系砥粒(例えば、ゾルゲル焼結法を用いて製造される焼結アルミナ質砥粒)等を本発明の製造方法に適用する場合には、加圧焼結時の温度を低くして製造できる為に砥粒が粒成長をおこさないから、微小破砕が特徴の前記アルミナ系砥粒の性能を十分に発揮させることができる。
【0060】
加圧焼結する方法としては、ホットプレス、ホットコイニングのほか、通電加熱焼結法である抵抗焼結、プラズマ放電焼結、ホットプレスにポンプ機能を加えた真空加圧焼結等が好適に用いられる。
【0061】
前記加圧焼結工程の前には、前記混合粉末を成形して成形体を得る成形工程を設けることができる。前記混合粉末に含有させる原料成分とその含有率は、製造しようとするビトリファイド砥石の構造に応じて適宜設定する。
【0062】
前記混合粉末に製造原料として含有させる金属粒子としては、好ましくは、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上(好ましくは−500kJ/mol/02以上、より好ましくは−400kJ/mol/02以上)であること、▲2▼平均粒子径が10μm以下(好ましくは8μm以下、より好ましくは5μm以下)であること、▲3▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲(好ましくは10〜18×10−6/℃の範囲、さらに好ましくは10〜17×10−6/℃の範囲)にあることの前記▲1▼〜▲3▼の全ての構成を具備する金属粒子にする。前記▲1▼〜▲3▼の全ての構成を具備する金属粒子としては、例えば、Co、Cu及びNiの各金属粒子があり、それぞれ好適に使用できる。
【0063】
本発明の製造方法における前記加圧焼結工程において、金属粒子を含有する混合粉末ないしその成形体を加圧焼結する場合、好ましくは、金属粒子(特に、前記▲1▼〜▲3▼の全ての構成を具備する金属粒子)を実質的に酸化させない条件で、前記混合粉末ないしその成形体を加圧焼結する。
【0064】
【実施例】
[実施例1]
本発明の実施例2以下で使用するカーボン質ビーズと同質のカーボン質ビーズの評価を行った。以下、「wt%」は「重量%」である。
【0065】
昇温条件10℃/分でカーボン質ビーズの質量減少を測定したところ、燃え抜け開始温度(カーボン質ビーズの質量が10wt%減少した時の温度)は700℃であり、燃え抜け完了温度(カーボン質ビーズの質量が90wt%減少した時の温度)は820℃であった。なお、前記カーボン質ビーズの平均粒径は、50μmであった。
【0066】
また、電子顕微鏡で原料(前記カーボン質ビーズ)を観察し、電子顕微鏡写真から10のサンプル(カーボン質ビーズ)を選択してアスペクト比の確認をおこなった。アスペクト比の平均は1.0であった。
【0067】
[実施例2]
下記表1の製造原料を実施例2の欄に示す容量比で混合し撹拌し、得られた混合攪拌物をカーボン製の型(凹部の空間部の寸法40mm×4mm×7mm)に詰め、抵抗焼結機で圧力300kgf/cm2、600℃で2分間保持して、通電加熱加圧焼結製造を行いビトリファイド砥石を得た。ビトリファイド結合材の平均粒径は3μmである。なお、以下の実施例及び比較例の各々で用いたビトリファイド結合材の平均粒径も同様に3μmである。
【0068】
【表1】
【0069】
[比較例1]
上記表1の製造原料を比較例1の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0070】
[比較例2]
上記表1の製造原料を比較例2の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0071】
なお、表1には、実施例2及び比較例1〜2の各々で使用したカーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bも併せて示す。また、表1のCBN砥粒の平均粒径は3〜6μmであるが、前記粒径比A/Bを算出する際の平均粒径は(3+6)/2=4.5(μm)とした。以下、カーボン質ビーズの粒径とCBN砥粒の粒径との粒径比を求める場合において、平均粒径がa〜bμmと表記されている時は、平均粒径を(a+b)/2(μm)とした。
【0072】
〈3点曲げ強度の評価〉
実施例2及び比較例1〜2の各々で得られたビトリファイド砥石の3点曲げ強度(JIS R1601−1995、以下同様。)の測定を行った。その測定結果も表1に示す。比較例1の砥石に対し、比較例2の砥石は強度低下が大きすぎるが、実施例2の砥石はカーボン質ビーズの添加による強度低下が小さく、実用に耐えうる。よって、カーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bが50以下であれば実用に耐え得ると考えられる。
【0073】
[実施例3]
下記表2の製造原料を実施例3の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0074】
【表2】
【0075】
[比較例3]
上記表2の製造原料を比較例3の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0076】
[比較例4]
上記表2の製造原料を比較例4の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0077】
なお、表2には、実施例3及び比較例3〜4の各々で使用したカーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bも併せて示す。
【0078】
〈3点曲げ強度の評価〉
実施例3及び比較例3〜4の各々で得られたビトリファイド砥石の3点曲げ強度の測定を行った。その測定結果も表2に示す。比較例3の砥石に対し、比較例4の砥石は強度低下が大きすぎるが、実施例3の砥石はカーボン質ビーズの添加による強度低下が小さく、実用に耐えうる。よって、カーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bが1/2以上(半分以上)であれば実用に耐えうると考えられる。
【0079】
[実施例4A及び4B]
下記表3の製造原料を実施例4A又は実施例4Bの欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。なお、表3には、実施例4A及び4Bの各々で使用したカーボン質ビーズの粒径AとCBN砥粒の粒径Bとの粒径比A/Bも併せて示す。
【0080】
【表3】
【0081】
[比較例5〜7]
下記表4の製造原料を比較例5〜7の各欄に示す容量比で混合し撹拌し、得られた混合攪拌物をプレス成形し、900℃で5時間大気雰囲気中で焼成し、ビトリファイド砥石を得た。
【0082】
【表4】
【0083】
〈研削性能の評価〉
実施例4A、実施例4B及び比較例5〜7の各々で得られた砥石を、それぞれ4mm×9mm×6mmの寸法の直方体に加工して、研削性能、即ち、(a)超仕上量、(b)砥石摩耗寸法、(c)面粗度について調べた。その結果を表5に示す。なお、表5の各項目の結果として示された数値は、比較例5の値を100とした場合の相対的な値である。
【0084】
【表5】
【0085】
実施例4Aの砥石は比較例5の砥石に対し、超仕上量が高く、面粗度が細かく、高い性能を有する。砥石摩耗寸法について実施例4Aの砥石は、比較例5の砥石よりもやや高いが、同等といえる。また、実施例4Aの砥石は、比較例6〜7の砥石と比較すると、砥石摩耗寸法は大きいが、比較例6〜7の砥石は超仕上量が少なすぎる。実施例4Bの砥石は実施例4Aの砥石と比較して、超仕上量・砥石摩耗寸法で実施例4Aの砥石に劣るものの、面粗度は向上し、細粒のダイヤの効果が現れている。
【0086】
なお、上記研削性能を評価した時の研削条件及びドレス条件は下記の通りである。
【0087】
研削方式 超仕上
研削液流量 1.4 l/分
被削材 SUJ−2(HRC61)
被削材周速度 3.3m/秒
サイクルタイム 10秒
砥石面圧 2.8MPa
前加工面粗度 3S
砥石振動数 16.7 /秒
砥石振幅 1.5mm
【0088】
[実施例5A及び5B]
下記表6の製造原料を実施例5A又は5Bの欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0089】
【表6】
【0090】
[比較例8]
上記表6の製造原料を比較例8の欄に示す容積比で用いる以外は前記実施例2と同様にしてビトリファイド砥石を得た。
【0091】
[比較例9〜11]
下記表7の製造原料を比較例9〜11の各欄に示す容量比で混合し撹拌して混合攪拌物を得た。砥粒率が砥石体積の45体積%を占めるように前記各々の混合攪拌物をプレス成形し、得られた成形体を900℃で5時間大気雰囲気中で焼成し、比較例9〜11のビトリファイド砥石を得た。
【0092】
【表7】
【0093】
〈研削性能の評価〉
実施例5A、実施例5B及び比較例8〜11の各々で得られた砥石を、それぞれ3mm×3mm×20mmの寸法の四角柱状の砥石に加工して、研削性能、即ち、(a)取代、(b)砥石摩耗寸法、(c)面粗度、(d)消費電力について調べた。その結果を表8に示す。なお、表8の各項目の結果として示された数値は、比較例8の値を100とした場合の相対的な値である。
【0094】
【表8】
【0095】
実施例5Aの砥石は比較例8の砥石に対し、取代が多く、面粗度が細かく、消費電力が低く、高性能である。砥石摩耗寸法は、実施例5Aの砥石が比較例8の砥石よりもやや高いが、同等といえる。
【0096】
実施例5Aの砥石を比較例9、10、11の各砥石と比較すると、摩耗寸法は大きいが比較例の各砥石は取代が少なすぎる。
【0097】
実施例5Aの砥石と実施例5Bの砥石とを比較すると、取代と砥石摩耗寸法では実施例5Aの砥石が優れており、面粗度と消費電力では実施例5Bの砥石が低くなり優れており、実施例5Bの砥石で使用している細粒のダイヤモンド砥粒の効果が現れている。
【0098】
なお、上記研削性能を評価した時の研削条件及びドレス条件は下記の通りである。
【0099】
研削方式 ホーニング
主軸周速度 0.50 m/秒
主軸往復速度 0.13 m/秒
ストローク量 20mm
クロスハッチ角 30度
研削液 不水
ツルーイング方法 ハンドツルーイング
被削材 SCM415H(浸炭焼入)
【0100】
【表9】
スパークアウト :3往復
【0101】
【発明の効果】
本発明のビトリファイド砥石は、熱劣化していない砥粒と、カーボン質の球形状粒子と、ビトリファイド結合材を少なくとも含有し、前記砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子は前記ビトリファイド結合材で結合されている焼結体を有し、前記焼結体は気孔率が5体積%以下であり、前記カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、前記焼結体中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までであるので、砥粒が熱劣化していないにもかかわらず、十分に高い砥粒保持力を発揮するから、十分な加工量を確保できると共に砥石摩耗量の低減を達成することができる。
【0102】
また、本発明のビトリファイド砥石は、上記構成を有するので、被研削物を加工する際の加工条件、要求される精度に応じ、気孔の量、形状及び分布のそれぞれを自由に制御して製造することができる。
【0103】
本発明のビトリファイド砥石の製造方法は、熱劣化していない砥粒と3〜50体積%のカーボン質の球形状粒子とビトリファイド結合材粉末を少なくとも含有する混合粉末を700℃以下で加圧焼結して、前記熱劣化していない砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子がビトリファイド結合材で結合されている、気孔率が5体積%以下の焼結体を得る加圧焼結工程を有し、前記カーボン質の球形状粒子として、前記混合粉末中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までの平均粒径を有すると共に、平均アスペクト比が1.7以下のカーボン質の球形状粒子を用いるので、砥粒の熱劣化を防止して製造することができるにもかかわらず、十分に高い砥粒保持力を発揮するビトリファイド砥石を製造することができる。
【0104】
また、本発明のビトリファイド砥石の製造方法は、上記構成を有するので、ビトリファイド砥石における気孔の量、形状及び分布を自由に制御してビトリファイド砥石を製造することができる。
Claims (9)
- 熱劣化していない砥粒と、カーボン質の球形状粒子(但し、被覆層を有するものを除く。)と、ビトリファイド結合材を少なくとも含有し、前記砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子は前記ビトリファイド結合材で結合されている焼結体を有し、
前記焼結体は気孔率が5体積%以下であり、前記カーボン質の球形状粒子の平均粒径は、前記焼結体中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までであることを特徴とするビトリファイド砥石。 - 前記カーボン質の球形状粒子の平均アスペクト比は1.7以下であることを特徴とする請求項1に記載のビトリファイド砥石。
- 前記焼結体におけるカーボン質の球形状粒子の含有率は3〜50体積%であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一に記載のビトリファイド砥石。
- 前記砥粒として、立方晶窒化ホウ素砥粒とダイヤモンド砥粒の双方を含み、前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径は前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載のビトリファイド砥石。
- 前記焼結体は、少なくとも1種の金属粒子がビトリファイド結合材の相中に分散していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載のビトリファイド砥石。
- 前記金属粒子は、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上であること、▲2▼実質的に酸化していないこと、▲3▼平均粒子径が10μm以下であること、▲4▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲にあることの全ての構成を具備することを特徴とする請求項5に記載のビトリファイド砥石。
- 熱劣化していない砥粒と3〜50体積%のカーボン質の球形状粒子(但し、被覆層を有するものを除く。)とビトリファイド結合材粉末を少なくとも含有する混合粉末を700℃以下で加圧焼結して、前記熱劣化していない砥粒及び前記カーボン質の球形状粒子がビトリファイド結合材で結合されている、気孔率が5体積%以下の焼結体を得る加圧焼結工程を有し、
前記カーボン質の球形状粒子として、前記混合粉末中に主に存在する砥粒の平均粒径の半分以上ないし50倍までの平均粒径を有すると共に、平均アスペクト比が1.7以下のカーボン質の球形状粒子を用いることを特徴とするビトリファイド砥石の製造方法。 - 前記砥粒として、立方晶窒化ホウ素砥粒とダイヤモンド砥粒の双方を含み、前記ダイヤモンド砥粒の平均粒径が前記立方晶窒化ホウ素砥粒の平均粒径以下である砥粒を用いることを特徴とする請求項7に記載のビトリファイド砥石の製造方法。
- 前記混合粉末として、少なくとも1種の金属粒子をさらに含有する混合粉末を用い、
前記金属粒子は、▲1▼700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔGが−600kJ/mol/02以上であること、▲2▼平均粒子径が10μm以下であること、▲3▼熱膨張係数が0〜100℃で10〜20×10−6/℃の範囲にあることの全ての構成を具備し、
前記加圧焼結工程において、前記▲1▼〜▲3▼の全ての構成を具備する金属粒子を酸化させない条件で、前記混合粉末を加圧焼結することを特徴とする請求項7〜8のいずれか一に記載のビトリファイド砥石の製造方法。
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