JP3055084B2 - 多孔質メタルボンド砥石およびその製造方法 - Google Patents
多孔質メタルボンド砥石およびその製造方法Info
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Description
研削するためのメタルボンド砥石に属する多孔質メタル
ボンド砥石およびその製造方法に関する。さらに詳しく
は、本発明は、結合剤相の気孔率を向上し、砥粒の自生
発刃作用を促進させ、またボンドの摩耗特性を生かし、
切れ味の優れた多孔質メタルボンド砥石およびその製造
方法に関する。
られる砥石である。研削砥石は砥粒、結合剤、気孔から
なり、砥粒は切れ刃、結合剤はその支持体、気孔は多数
の連続した気孔からなっており、切屑の排出を助けるチ
ップポケットの働きをするものである。最近、セラミッ
クス、超硬合金、高速度鋼などの研削が困難な難削材を
使用する度合が多くなり、これを研削する必要がますま
す重要となり、これに伴ってダイヤモンド砥粒や立方晶
系窒化ホウ素砥粒等の超砥粒を使用した研削ホイールが
ますます使用されるようになった。
の場合と同様結合剤の種類に応じてビトリファイドボン
ド系、レジノイドボンド系、メタルボンド系、シリケー
トボンド系、ラバーボンド系等のものがあるが、それぞ
れ一長一短があり、強度や保持力、寿命等から、金属お
よびその合金を結合剤として用いたメタルボンド系のも
のが主として用いられている。
金属粉末に砥粒を均一に分散して台金と共に型込めしプ
レス成形および焼結(またはホットプレス)を経て成形
される。メタルボンド砥石の金属結合剤としては、例え
ばCu−Sn系、Cu−Sn−Co系、Cu−Sn−F
e−Co系、Cu−Sn−Ni系、もしくはCu−Sn
−Fe−Ni系、またはこれらに燐を添加したもの等が
用いられている。
ノイドボンド砥石やビトリファイドボンド砥石に比べ
て、結合強度が格段に高く、超砥粒を用いて強力な研削
を行う場合に必要な優れた砥粒保持力を有している利点
があるが、切り屑の排出を助けるチップポケットの働き
をする気孔は有していない。研削時に切り屑の逃げ場所
となりうるような大きな気孔は有していないために、研
削屑の逃げ場所は、結合剤のメタルボンドから突出して
いる砥粒切れ刃によって生ずる結合剤と工作物の間の微
少な隙間および表面の砥粒脱落した跡であって、極めて
小さい。
屑の排出が悪くて目づまりし易いために、研削抵抗が大
きく、いわゆる切れ味が悪くて発熱が大きくなり、仕上
げ面が不良となり易く、また切り込みを増やしたり、砥
石と工作物との接触面積を大きくして高能率研削を行う
ことは極めて難しい等の欠点がある。そのうえ、これら
のボンドは焼結温度が低いために耐熱構造材料に対して
は、研削時に軟化して塑性流動を起こし砥石表面に目づ
まりを生ずる欠点もある。
メタルボンド砥石が提案されているが(特開昭59−1
82064号公報)、粉末焼結法を利用するものではな
い。溶剤可溶無機化合物を所定の形状に焼結して成形し
たのち、得られた焼結体の空隙部に砥粒を充てんして予
熱し、ついでこの砥粒充填てん焼結体んの空隙部にさら
に溶融した金属または合金を圧入し、凝固させたのち、
溶剤で前記無機化合物を溶出させて製造するという、気
孔付与剤をフィラーとして添加し砥粒層に気孔を介在さ
せる方法が記載されている。
施し、ホットプレスによってビトリファイドボンドのよ
うな構造に焼結させ気孔をもたせたもの(特公昭54−
31727号公報)等、切れ味の低下を防ぐ手段が提案
されている。
用いた砥石(特開平3−264263号公報)が提案さ
れている。その鋳鉄ボンドの砥石は、高強度で剛性が高
く、高切り込み重研削が可能であり、塑性流動を起こさ
ない脆性破壊的な摩耗であり、目づまりは生じにくい等
のさまざまな利点をもっているが、強度が大きすぎるた
めに銅系のボンドに比べてドレッシング性が悪く、また
その剛性の高さが既存の研削盤、方式では実用が難しい
のが現状である。
とは、その気孔に研削液を含浸させて砥石の冷却性を高
めたり、研削面に多数のチップポケットを発生させ、切
り粉の排出性を高めることができ、またこの気孔で研削
抵抗を小さくさせ良好な切れ味を有することができ、言
いかえると、発熱が少なく、高品質の仕上げ面が得られ
ることが予想できる。しかし、従来の銅系のメタルボン
ド砥石においては、気孔を有することは、当然強度の低
下、ひいては砥粒保持力の低下を招き、十分な研削性能
を得るには至っていない。
鋳鉄粉の焼結性の悪さから鋳鉄粉に鉄粉を加え、なおか
つ8,000kgf/cm2から10,000kgf/
cm2の荷重で成形している。鉄粉を加えることで鋳鉄
本来の脆性破壊挙動を消失させ、銅系ボンドと同様な塑
性変形を起こす原因にもなり、鋳鉄の特徴が引き出され
るには至っていない。
質鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石のような、多孔質メタル
ボンド砥石およびその製造方法の提供を目的とする。さ
らに詳しくは本発明は、砥石全体の気孔率を調節し、か
つ、超砥粒が粉末焼結により形成された多孔構造相によ
って保持されている性能の改善されたメタルボンド砥
石、およびその製造方法の提供を目的とする。さらに、
上記多孔構造相が結合剤金属が炭素等の侵入型固溶反応
により形成された多孔構造相であることを特徴とする性
能の改善されたメタルボンド砥石、およびその製造方法
の提供を目的とする。
決するためになされたもので、以下その構成を具体的に
説明する。
発生する切屑が一時保管され、砥石が被加工物と離れる
時に放出されるため、目詰りを抑制し砥石の切れ味を向
上する効果がある。また、研削時に発生する多量の研削
熱を放散させる作用もあり、研削焼けの防止が問題とな
る場合は高気孔率の砥石が求められ、中には通常の気孔
のほかに意図的に大孔径の気孔をつくったものもしばし
ば用いられる。
を取り囲むいわゆるマトリックスタイプのメタルボンド
に、多数の気孔を含有させて、結合剤部分(メタルボン
ド)の機械的特性および/または砥粒の保持力を改善す
る。さらに、必要により結合剤の侵入型固溶反応によっ
ても、結合剤部分の機械的特性および/または砥粒の保
持力を改善する。
び結合剤として金属粉末からなり、かつ、超砥粒が、粉
末焼結により形成された多孔構造相である結合剤部分に
よって保持されていることを特徴とする多孔質メタルボ
ンド砥石を提供する。
ド砥粒や立方晶系窒化ホウ素砥粒等の超砥粒を、結合剤
として侵入型固溶反応の可能な金属粉末を用いる。侵入
型固溶反応の可能な金属として炭素、窒素および/また
は珪素と固溶反応できる合金粉末粒子を挙げることがで
きる。
いため砥粒保持力が格段に高いことであり、その特徴と
する砥粒保持力の低下をもたらす気孔をメタルボンドに
積極的に含有させることはこれまで行われていない。本
発明は、気孔により、研削過程でメタルボンドが抵抗な
く適度に摩滅するように、メタルボンドの結合強度を制
御する。
持力が強くなりすぎるため、切削部が摩耗した砥粒がバ
インダーメタルが脱落せずに残り、この結果、砥石の切
削能力が低下し、また、気孔率を上げすぎると、砥粒を
保持する保持力が弱くなりすぎるため、バインダーメタ
ルから脱落する砥粒が多くなり、この結果、砥石の摩耗
が増大し、砥石の寿命が短くなる。
元素の濃度勾配の調節によって、結合剤部分の機械的特
性および/または砥粒の保持力を制御する。気孔率およ
び/または侵入型固溶元素の濃度勾配は、金属粉末の粒
径、砥石の成形条件および/または砥石の焼成条件、さ
らには結合剤の炭素、窒素および/または珪素量によっ
て調節する。
の侵入型固溶反応により形成された多孔構造相によって
保持されているタイプのものを包含する。この場合、砥
粒としてダイヤモンドを使用したとき、ダイヤモンドの
炭素分が炭素、窒素および/または珪素と固溶反応でき
る合金粉末粒子と表面で反応することがある。
砥石として使用されているものの最大の気孔率は特殊な
場合を除いて、ビトリファイドボンド砥石が最も大き
く、最大で50%程度である。実際に使用している範囲
は35%〜45%ぐらいが多く、50%の気孔率までい
くと砥石の強度はかなり低下し、砥石が破壊する恐れも
生じてくる。
を十分に発揮させ、しかも高価な砥粒を有効に利用する
ためには、基本的には砥粒率は低めにし、結合剤は砥粒
保持力の強いメタルボンドとし、それを必要最小限に用
い、そして気孔率は大きくすることが望ましいと考え
る。
徴は、強度だけではなくその脆性的な破壊にある。鉄が
炭素を固溶することによって、脆性破壊を伴うようにな
る。銅系のメタルボンドでは塑性変形摩耗によってボン
ド成分が砥石表面を覆ってしまい目づまりを起こし切れ
味を低下させるが、鋳鉄ボンドは脆性的な破壊によって
目づまりを防止することができる。こうした目づまりが
生じにくいという利点をいかすためには、強度が大きす
ぎるという欠点を強度調整することによって克服するこ
とが必要である。
は5〜45%に調節する。本発明の多孔質メタルボンド
砥石において、砥石全体の気孔率は結合剤の気孔率に相
当する。その気孔率は、金属粉末の粒径、砥石の成形条
件、および/または砥石の焼成条件によって調節する。
合、ボンド自身の気孔率はほとんどなく、砥粒を介在し
てその隙間を得るか、または気孔付与剤を添加するかで
あるのに対して、本発明はメタルボンド自身が多数の気
孔を含んでいることを特徴としている。
%より少ないとボンド強度がかなり高くなり結合剤金属
の摩耗特性を十分に発揮できないので、下限は5%とす
る。また気孔率が高すぎると砥石の強度が低下し破壊す
るおそれのあるので60%以下、好ましくは45%以下
とする。
密度の低い多孔質相によって保持されている。気孔率
は、金属粉末の粒径、砥石の成形条件および砥石の焼成
条件によって調節する。すなわちメタルボンドの機械的
強度および砥粒保持力を制御するため金属粉末の粒径、
砥石の成形条件および砥石の焼成条件を調節する。
侵入型固溶元素の濃度勾配を調節してメタルボンドの機
械的強度および砥粒保持力を制御することができる。し
たがって本発明は砥粒が多孔質であって、かつ、結合剤
相互の侵入型固溶反応物である相によって保持されてい
る態様を包含する。炭素、窒素および/または珪素と固
溶反応できる合金粉末の反応は、炭素、窒素および/ま
たは珪素量ならびに合金粉末の粒径によって調節する。
これも、メタルボンドの機械的強度および砥粒保持力を
制御するためである。
孔構造相は、多数の気孔を含有する結合剤相互の侵入型
固溶反応物で構成されている。侵入型固溶元素の濃度勾
配は、炭素、窒素および/または珪素と固溶反応できる
金属粉末の粒度および炭素、窒素および/または珪素量
を調節することにより行われる。炭素、窒素および/ま
たは珪素と固溶反応できる金属粉末が、例えば鉄系金属
粉末である場合、鋳鉄粉、炭素被覆鉄粉、窒化鉄粉、炭
素および鉄の混合物からなる群から選ばれる一種または
二種以上からなる。
して、焼結させた場合、焼結温度に達した時、鉄粉の表
面が部分溶融しはじめ焼結が始まる。この時、鉄の炭
素、窒素および/または珪素量が許容範囲に満たない場
合は、近接する炭素等と反応(拡散接合)することがで
きる。焼結の際に拡散による物質の移動によって結合剤
相互に濃度勾配が生じる。したがって侵入型固溶反応に
は焼結密度も影響する。前述したとおり、砥粒としてダ
イヤモンドを用いたとき、条件によっては、侵入型固溶
反応は結合剤と砥粒の表面でも起きる。
てダイヤモンド、結合剤として鋳鉄を使用した多孔質鋳
鉄ボンドダイヤモンド砥石を例に挙げて説明する。
ヤモンド砥石について、銅系のメタルボンド砥石と同等
の強度および砥粒保持力とするために、鋳鉄粉の炭素量
および粒径を調節する。鋳鉄粉の炭素量および粒径によ
って、鋳鉄ボンド自身の強度を制御することができる。
また、鋳鉄粉とダイヤモンドとの接合は、図1に示すよ
うに、ダイヤモンドと鋳鉄粉を反応させて結合させる。
この接合強度についても、鋳鉄粉の炭素量および粒径に
よって制御することができる。
製造方法について説明する。
法は、砥粒として超砥粒および結合剤として金属粉末を
混合し所定の寸法形状に成形した後、加熱焼結して多孔
質メタルボンド砥石を製造するに際し、気孔率によって
結合剤部分の機械的特性および砥粒の保持力を制御する
ことを特徴とする。気孔率に加えて、侵入型固溶元素の
濃度勾配を利用することによって結合剤部分の機械的特
性および砥粒の保持力を制御する。
力の制御のため、気孔率を調節することおよび/または
侵入型固溶元素の濃度勾配を利用することは、結合剤と
しての金属粉末の粒径、砥石の成形条件および砥石の焼
成条件を変化させて行う。焼成温度は、0.8Tmない
しTm(ただし、Tmは結合剤の融点または液相生成温
度Kである。)の温度範囲である。金属の種類、その粉
末の粒度などによって変化し、砥粒がダイヤモンドの場
合は、真空中でも不溶性雰囲気中でも1100〜120
0℃ぐらいで炭化するため、それ以下の温度が採用され
る。金属粉末としては炭素、窒素および/または珪素と
固溶反応できる金属、合金粉末が使用され、その平均粒
度を0.01μm〜500μmの範囲で調節する。さら
に炭素、窒素および/または珪素量も適宜調節する。
て、多孔質鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石の製造方法を例
に挙げて説明する。
粒としてダイヤモンドおよび結合剤として鋳鉄粉を混合
し所定の寸法形状に成形した後、900〜1150℃で
加熱焼結することにより製造される。
た成形体を焼結する。この焼結は常圧において行うもの
とし、焼結温度は少なくとも900℃以上の温度とす
る。焼結温度は砥粒としてダイヤモンドを用いた場合の
熱劣化、および焼結温度が高くなると焼結が進行し、目
的とする砥石全体の気孔率5〜60%が得られなくなる
こと等を考慮して決める。好ましい焼結温度は900〜
1150℃の範囲といえる。なお、焼結温度は鋳鉄の炭
素量、その粉末の粒度などによって変化する。
力の制御は、鋳鉄粉の平均粒度を0.01μm〜500
μmの範囲で調節することによりおよび/または炭素量
を4.5%以下、好ましくは1%〜4.2%の範囲で調
節することにより、なされる。好ましい鋳鉄粉の平均粒
度は5μm〜80μm範囲で、最大粒径が500μm以
下のものである。
持力が強くなりすぎるため、切削部が摩耗した砥粒がバ
インダーメタルか脱落せずに残り、この結果、砥石の切
削能力が低下し、また、気孔率を上げすぎると、砥粒を
保持する保持力が弱くなりすぎるため、バインダーメタ
ルから脱落する砥粒が多くなり、この結果、砥石の摩耗
が増大し、砥石の寿命が短くなる。
囲で調節することで、砥粒としてダイヤモンドと鋳鉄を
固相拡散させ、砥粒の保持力を向上させることが可能と
なる。鋳鉄は、砥粒を保持する役目を担うため、砥粒と
の接触面積を増すようにその粒径の小さいものが存在す
ることが望ましい。
石は、通常の砥石の作製法と同様に、鋳鉄粉とダイヤモ
ンド砥粒を均一に混合し、従来通りプレス装置に台金と
ともに型込めして圧粉成形して製造する。このようにし
て焼成したものを、砥石径100mmの6A2タイプの
カップ型砥石に接着し、定圧研削試験によって評価す
る。通常の無気孔型鋳鉄ボンド砥石、ビトリファイド砥
石およびレジノイド砥石と比較して、本発明の多孔質鋳
鉄ボンド砥石の優位性を確認する。
いた。その鋳鉄粉の平均粒径は100μm以上であり、
しかも粒度分布が広範囲であるため、鋳鉄の融点まで温
度を上げても焼結しにくい。そのため鋳鉄粉の炭素量な
らびに粒径を制御することにより、鋳鉄粉の焼結性、機
械的強度ならびに気孔率を調整する。
3.0%,3.5%,4.0%である3種類の市販の鋳
鉄粉を38μm以下のふるいによって整粒したものを用
いた。粒径の影響を調べるため、炭素量3.5%の鋳鉄
粉をふるいによって20μm以下、20μmから32μ
m、32μmから38μm、38μmから45μm、4
5μmから75μmにそれぞれ整粒した。
のダイヤモンド砥粒を集中度125になるように混合
し、1120℃の温度でアルゴン雰囲気中において焼成
した。
にアルミナセラミックスを用い、100m/minの砥
石周速で定圧研削試験を行った。表1(試作した砥石の
物性と研削性能)は焼成後の多孔質鋳鉄ボンドダイヤモ
ンド砥石の物性値と研削結果を示している。
小さくなるにつれて曲げ強さ、ヤング率は上昇し強度が
増加している。鋳鉄粉の炭素量が3.5%の時に曲げ強
度、ヤング率が最高の値を示した。また研削性能は鋳鉄
粉粒径が小さくなるにつれて研削エネルギー(被削材を
除去するのに必要なエネルギー)は減少し、約半分のエ
ネルギーで被削材を除去することができた。研削比も研
削エネルギーと同様な結果を示した。
mの時の顕微鏡写真を示すが、鋳鉄粒子同士、ならび
に、ダイヤモンドと鋳鉄ボンドの接合が化学反応によっ
て行われていることが確認できる。ダイヤモンド表面の
炭素分が鋳鉄に固溶し、接合強度を高めている。その傾
向は、粒径が小さくなるにつれて多くなりまた接触点も
増加するために曲げ強度、ヤング率が増加し、研削する
際にはダイヤモンド砥粒の保持力が高くなるために砥粒
の脱落がなく被削材を除去するために研削エネルギーが
低くなり、研削比が増加したと思われる。このように多
孔質鋳鉄ダイヤモンド砥石の物性または研削性能は、鋳
鉄粉の粒径と炭素量で制御することができる。
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。
平均粒径20μm以下の鋳鉄粉を使用して、1120℃
の温度でアルゴンガス雰囲気中で焼成し、多孔質鋳鉄ボ
ンドダイヤモンド砥石を得た。この多孔質鋳鉄ボンドダ
イヤモンド砥石を、市販のビトリファイド砥石、市販の
レジノイド砥石および市販の無気孔鋳鉄ボンド砥石と比
較した。それぞれの砥石の形状は直径100mmの6A
2のカップ型砥石であり、集中度は125に統一した。
研削試験は、アルミナを被削材として、砥石周速110
0m/minで定圧研削試験を行った。
係を表した説明図)に示す。
て除去速度は増加しているが、多孔質鋳鉄ボンドは、切
れ味が優れていると言われている市販のビトリファイド
砥石に比べて、約2倍の研削能力を示した。また、研削
比は、他のボンドに比べて2倍の性能を示した。
用して、実施例1と同様な条件のもとで行った。
関係を表した説明図)に示す。
販のレジノイドボンド砥石は、研削開始後30秒間まで
は、時間に比例して研削除去量が増加したが、その後は
砥石が目づまりし研削除去量が増加しなかった。本発明
の多孔質鋳鉄ボンド砥石は、研削開始直後から試験終了
まで、時間に比例して研削除去量が増加した。多孔質鋳
鉄ボンドは、ボンドの破砕性に優れているために、ダイ
ヤモンドの切れ刃が持続し、研削力が持続したと考えら
れる。
ルボンド砥石を提供することができる。目づまりするこ
となく、長時間の連続研削が可能である多孔質メタルボ
ンド砥石を提供することができる。ビトリファイドボン
ド砥石より切れ味がよく、レジノイドボンド砥石より砥
石摩耗が少ない砥石を提供することができる。汎用の研
削盤で充分に使用でき、かつドレッシング性に優れてい
るために、ビトリファイドボンド、レジノイドボンドと
同様に機上でのドレッシングが可能であり、また研削比
も高いために研削コストを大幅に改善できる。
おけるダイヤモンド砥粒と鋳鉄粉が反応して接合されて
いる状態を示した説明図である。
時のダイヤモンド砥粒と鋳鉄ボンドの接合の状態を示し
た顕微鏡写真である。
速度の関係を示した説明図である。
除去量の関係を示した説明図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 砥粒として超砥粒および結合剤として金
属粉末からなり、かつ、超砥粒が、気孔率、ならびに、
超砥粒と結合剤および結合剤相互の侵入型固溶反応を制
御して粉末焼結により形成された多孔構造相である結合
剤部分によって保持されていることを特徴とする多孔質
メタルボンド砥石。 - 【請求項2】 砥石全体の気孔率が5〜60%である請
求項1記載の多孔質メタルボンド砥石。 - 【請求項3】 砥粒として超砥粒および結合剤として金
属粉末を混合し所定の寸法形状に成形した後、加熱焼結
して多孔質メタルボンド砥石を製造するに際し、気孔
率、ならびに、侵入型固溶元素の濃度勾配に基づく侵入
型固溶反応によって結合剤部分の機械的特性および/ま
たは砥粒の保持力を制御することを特徴とする多孔質メ
タルボンド砥石の製造方法。 - 【請求項4】 金属粉末の粒径、砥石の成形条件、およ
び/または砥石の焼成条件によって調節する請求項3記
載の多孔質メタルボンド砥石の製造方法。 - 【請求項5】 焼成温度が0.8TmないしTm(ただ
し、Tmは結合剤の融点または液相生成温度Kであ
る。)である請求項4記載の多孔質メタルボンド砥石の
製造方法。 - 【請求項6】 金属粉末の粒径は、平均粒度を0.01
μm〜500μmの範囲で調節する請求項4または請求
項5記載の多孔質メタルボンド砥石の製造方法。
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