JP2000317843A - 多孔質鉄系メタルボンドダイヤモンド砥石 - Google Patents

多孔質鉄系メタルボンドダイヤモンド砥石

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JP2000317843A
JP2000317843A JP2000129964A JP2000129964A JP2000317843A JP 2000317843 A JP2000317843 A JP 2000317843A JP 2000129964 A JP2000129964 A JP 2000129964A JP 2000129964 A JP2000129964 A JP 2000129964A JP 2000317843 A JP2000317843 A JP 2000317843A
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Kozo Ishizaki
幸三 石▲崎▼
Arata Yamamoto
新 山本
Atsushi Takada
篤 高田
Yoshihito Kondou
祥人 近藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 目的の強度、気孔率をもった、目づまりする
ことなく、長時間の連続研削が可能であり、ドレッシン
グ性に優れている多孔質鉄系メタルボンドダイヤモンド
砥石を提供すること。 【解決手段】 ダイヤモンドおよび結合剤として鉄系金
属粉末からなり、結合剤部分が多数の気孔を含んでお
り、かつ、砥粒が結合剤である鉄系金属に化学的および
物理的結合して保持されている多孔質鉄系メタルボンド
ダイヤモンド砥石。鉄系金属は、鉄粉、炭素被覆鉄粉、
窒化鉄粉、炭素および鉄の混合物などである。砥石全体
の気孔率は5〜60%に、鉄系金属粉の平均粒度を0.
01μm〜500μmの範囲に調節することにより制御
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種材料の研磨または
研削するためのメタルボンド砥石に属する多孔質鉄系メ
タルボンドダイヤモンド砥石に関する。さらに詳しく
は、本発明は砥石の気孔率を向上し、砥粒の自生発刃作
用を促進させ、またボンドの摩耗特性を生かし、切れ味
の優れた多孔質鉄系メタルボンドダイヤモンド砥石に関
する。
【0002】
【従来の技術】研削砥石は各種工作物の研削加工に用い
られる砥石である。研削砥石は砥粒、結合剤および気孔
からなっている。そして砥粒は切れ刃、結合剤はその支
持体、気孔は多数の連続した気孔からなっており、切屑
の排出を助けるチップポケットの働きをするものであ
る。最近、セラミックス、超硬合金、高速度鋼などの研
削が困難な難削材を使用する度合が多くなり、これを研
削する必要がますます重要となり、これに伴ってダイヤ
モンド砥粒や立方晶系窒化ホウ素砥粒等の超砥粒を使用
した研削ホイールがますます使用されるようになった。
【0003】かかる超砥粒使用の研削ホイールは、一般
の場合と同様結合剤の種類に応じてビトリファイドボン
ド系、レジノイドボンド系、メタルボンド系、シリケー
トボンド系、ラバーボンド系等のものがあるが、それぞ
れ一長一短があり、強度や保持力、寿命等から、脆性材
料(例えばセラミックス等)の研削には金属およびその
合金を結合剤として用いたメタルボンド系のものが主と
して用いられている。
【0004】これらの砥石の中でメタルボンド砥石は、
金属粉末に砥粒を均一に分散して台金と共に型込めしプ
レス成形および焼結(またはホットプレス)を経て成形
される。メタルボンド砥石の金属結合剤としては、例え
ばCu−Sn系、Cu−Sn−Co系、Cu−Sn−F
e−Co系、Cu−Sn−Ni系、もしくはCu−Sn
−Fe−Ni系、またはこれらに燐を添加したもの等が
用いられている。
【0005】これらの従来のメタルボンド砥石は、レジ
ノイドボンド砥石やビトリファイドボンド砥石に比べ
て、結合強度が格段に高く、超砥粒を用いて強力な研削
を行う場合に必要な優れた砥粒保持力を有している利点
があるが、結合剤自身の強度が強く、研削過程で結合材
が摩滅することはなく、砥粒が摩滅しても脱落できない
ためにドレッシング間隔を短くせざるを得ず高能率研削
は不可能である。
【0006】したがって、従来のメタルボンド砥石にお
いては、切り屑の排出が悪くて目づまりし易いために、
研削抵抗が大きく、いわゆる切れ味が悪くて発熱が大き
くなり、仕上げ面が不良となり易く、また切り込みを増
やしたり、砥石と工作物との接触面積を大きくして高能
率研削を行うことは極めて難しい等の欠点がある。その
うえ、これらのボンドは研削時に軟化して塑性流動を起
こし砥石表面に目づまりを生ずる欠点もある。
【0007】これらの欠点を改善するため、連続多孔質
メタルボンド砥石が提案されているが(特開昭59−1
82064号公報)、粉末焼結法を利用するものではな
い。溶剤可溶無機化合物を所定の形状に焼結して成形し
たのち、得られた焼結体の空隙部に砥粒を充てんして予
熱し、ついでこの砥粒充填てん焼結体の空隙部にさらに
溶融した金属または合金を圧入し、凝固させたのち、溶
剤で前記無機化合物を溶出させて製造するという、気孔
付与剤をフィラーとして添加し砥粒層に気孔を介在させ
る方法が記載されている。
【0008】また、砥粒に何層もの金属コーティングを
施し、ホットプレスによってビトリファイドボンドのよ
うな構造に焼結させ気孔をもたせたもの(特公昭54−
31727号公報)等、切れ味の低下を防ぐ手段が提案
されている。
【0009】さらに、目づまりを克服するための鋳鉄を
用いた砥石(特開平3−264263号公報)が提案さ
れている。その鋳鉄ボンドの砥石は、高強度で剛性が高
く、高切り込み重研削が可能であり、塑性流動を起こさ
ない脆性破壊的な摩耗であり、目づまりは生じにくい等
の様々な利点をもっているが、強度が大きすぎるために
銅系のボンドに比べてドレッシング性が悪く、またその
剛性の高さが既存の研削盤、方式では実用が難しいのが
現状である。
【0010】砥粒層の内部に多数の気孔を形成させるこ
とは、その気孔に研削液を含浸させて砥石の冷却性を高
めたり、この気孔で研削抵抗を小さくさせ良好な切れ味
を有することができ、言いかえると、発熱が少なく、高
品質の仕上げ面を得られることが予想できる。しかし、
従来の銅系のメタルボンド砥石においては、気孔を有す
ることは、当然強度の低下、ひいては砥粒保持力の低下
を招き、十分な研削性能を得るには至っていない。
【0011】また無気孔型鋳鉄ボンド砥石においては、
鋳鉄粉の焼結性の悪さから鋳鉄粉に鉄粉を加え、なおか
つ8,000kgf/cm2から10,000kgf/
cm2の荷重で成形している。鉄粉を加えることで鋳鉄
本来の脆性破壊挙動を消失させ、銅系ボンドと同様な塑
性変形を起こす原因にもなり、鋳鉄の特徴が引き出され
るには至っていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多孔質鋳鉄
ボンドダイヤモンド砥石などの多孔質鉄系メタルボンド
ダイヤモンド砥石の提供を目的とする。さらに詳しくは
本発明は砥石全体の気孔率を調節し、かつ、砥粒である
ダイヤモンドの炭素分が鉄系金属に反応している状態に
することにより、いわゆる鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石
の性能を改善することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたもので、以下その構成を具体的に
説明する。
【0014】一般に、砥石において、気孔は、結合剤の
結合強度を制御し研削過程で結合剤が抵抗なく適度に摩
滅していくため、目詰りを抑制し砥石の切れ味を向上す
る効果がある。また、研削時に発生する多量の研削熱を
放散させる作用もあり、研削焼けの防止が問題となる場
合は高気孔率の砥石が求められ、中には通常の気孔のほ
かに意図的に大孔径の気孔をつくったものもしばしば用
いられる。
【0015】そこで、本発明は砥粒を取り囲む鉄系メタ
ルボンドに上記の気孔を無数に介在させ、かつ、砥粒を
鉄系金属に化学的および物理的結合して保持させたこと
を特徴とする多孔質鉄系メタルボンドダイヤモンド砥石
を提供する。
【0016】メタルボンドの特徴は結合強度が格段に高
いため砥粒保持力が格段に高いことであり、その特徴と
する砥粒保持力の低下をもたらす気孔をメタルボンドに
積極的に含有させることはこれまで行われていない。本
発明は、気孔により、研削過程でメタルボンドが抵抗な
く適度に摩滅するように、メタルボンドの結合強度を制
御する。気孔率を下げすぎると、砥粒を保持する保持力
が強くなりすぎるため、切削部が摩耗した砥粒がバイン
ダーメタルが脱落せずに残り、この結果、砥石の切削能
力が低下し、また、気孔率を上げすぎると、砥粒を保持
する保持力が弱くなりすぎるため、バインダーメタルか
ら脱落する砥粒が多くなり、この結果、砥石の摩耗が増
大し、砥石の寿命が短くなる。
【0017】また、本発明は、砥粒を鉄系金属に化学的
および物理的結合させて、砥粒が摩滅するまでは脱落し
ないように、砥粒保持力を制御する。上記化学的結合
は、砥粒であるダイヤモンドの炭素分が鉄系金属と反応
しているものである。
【0018】砥石として使用されているものの最大の気
孔率は特殊な場合を除いて、ビトリファイドボンド砥石
が最も大きく、最大で50%程度である。実際に使用し
ている範囲は35%〜45%ぐらいが多く、50%の気
孔率までいくと砥石の強度はかなり低下し、砥石が破壊
する恐れも生じてくる。
【0019】しかし、強力な研削が可能な超砥粒の性能
を十分に発揮させ、しかも高価な砥粒を有効に利用する
ためには、基本的には砥粒率は低めにし、結合剤は砥粒
保持力の強いメタルボンドとし、それを必要最小限に用
い、そして気孔率は大きくすることが望ましいと考え
る。
【0020】鋳鉄ボンドの砥石における鋳鉄の特徴は、
強度だけではなくその脆性的な破壊にある。銅系のメタ
ルボンドでは塑性変形によってボンド成分が砥石表面を
覆ってしまい目づまりを起こし切れ味を低下させるが、
鋳鉄ボンドは脆性的な破壊によって目づまりを防止する
ことができる。こうした目づまりが生じにくいという利
点をいかすためには、強度が大きすぎるという欠点を強
度調整によって克服することが必要である。
【0021】上述のとおり本発明は、メタルボンド砥石
において、メタルボンドに多数の気孔を含ませることに
よりメタルボンドの強度を調整するものせある。すなわ
ち本発明は、砥粒としてダイヤモンドおよび結合剤とし
て鉄系金属粉末からなり、結合剤部分が粉末焼結によっ
て形成された多数の気孔を含んでおり、かつ、砥粒が結
合剤である鉄系金属に化学的および物理的結合して保持
されていることを特徴とする多孔質鉄系メタルボンドダ
イヤモンド砥石を提供する。
【0022】本発明の多孔質鉄系メタルボンドダイヤモ
ンド砥石では、砥石全体の気孔率は5〜60%、好まし
くは5〜45%に調節する。本発明においては、砥石全
体の気孔率は結合剤の気孔率に相当する。その気孔率
は、鉄系金属の粒径、砥石の成形条件および砥石の焼成
条件によって調節する。これは、メタルボンドの機械的
強度および砥粒保持力を制御するためである。
【0023】通常の鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石の場
合、ボンド自身の気孔率はほとんどなく、砥粒を介在し
てその隙間を得るか、または気孔付与剤を添加するかで
あるのに対して、本発明は鉄系メタルボンド自身が多数
の気孔を含んでいることを特徴としている。
【0024】そして、本発明の砥石全体の気孔率は、5
%より少ないとボンド強度がかなり高くなり鉄系金属の
摩耗特性を十分に発揮できないので、下限は5%とす
る。また気孔率が高すぎると砥石の強度が低下し破壊す
るおそれのあるので60%以下、好ましくは45%以下
とする。
【0025】本発明の砥粒は、結合剤である鉄系金属と
の化学的物理的な結合によって保持されている。すなわ
ち、砥粒であるダイヤモンドの表面の炭素分が鉄系金属
に固溶している。メタルボンドの機械的強度すなわち気
孔率、および砥粒保持力の制御が鉄系金属粉末の粒度お
よび炭素量を調節することにより行われる。鉄系金属
が、鉄粉、炭素被覆鉄粉、窒化鉄粉、炭素および鉄の混
合物からなる群から選ばれる一種または二種以上からな
る。
【0026】一般に、鉄には炭素を全く含まない(純
鉄)から、少量の炭素を含んでいる炭素鋼、または1.
7%以上の炭素を含んだ鋳鉄まで多種多様の材質が存在
する。本発明では、ダイヤモンドの炭素成分と反応させ
て接合強度を向上させるわけであるから、鉄系金属粉末
は鋳鉄で代表されるがそれのみに限られない。
【0027】炭素を全く含まない(純鉄)から、少量の
炭素を含んでいる炭素鋼、または1.7%以上の炭素を
含んだ鋳鉄まで多種多様の材質が使用できる。鉄と炭素
の混合粉も、本発明の砥石焼成において、鉄とダイヤモ
ンドとの反応または鉄と炭素との反応を一緒に行うこと
が可能で、炭素と鉄の反応量によって、鋳鉄のように脆
性破壊挙動を示す鉄ボンドになりうる。
【0028】鉄系金属の炭素濃度とダイヤモンドの濃度
勾配について、鉄は大体6〜7%の炭素を含有すること
ができる。つまり、例えば、炭素量が3%の場合には、
さらに3〜4%の炭素と反応することが可能である。ダ
イヤモンドと鉄粉末を混合して、焼結させた場合に焼結
温度に達した時に、鉄粉の表面が部分溶融しはじめ焼結
が始まる。この時、鉄の炭素量が許容範囲に満たない場
合は、近接する炭素と反応(拡散接合)することができ
る。
【0029】焼結温度に達しない時、ダイヤモンドと鉄
粉末の炭素濃度勾配は無限大である。焼結の際に拡散に
よる物質の移動によってダイヤモンドと鉄に濃度勾配が
生じる。鉄の炭素含有量が少ない時に特に、濃度勾配が
大きくより多くの炭素が鉄と反応することがでる。反応
が進みすぎると砥粒が劣化するので、表面で反応するよ
うな焼結条件を選ぶことが必要である。
【0030】以下、本発明の砥石について、多孔質鋳鉄
ボンドダイヤモンド砥石を例に挙げて説明する。
【0031】本発明においては、多孔質鋳鉄ボンドダイ
ヤモンド砥石について、銅系のメタルボンド砥石と同等
の強度および砥粒保持力とするために、鋳鉄粉の炭素量
および粒径を調節する。鋳鉄粉の炭素量および粒径によ
って、鋳鉄ボンド自身の強度を制御することができる。
また、鋳鉄粉とダイヤモンドとの接合は、図1に示すよ
うに、ダイヤモンドと鋳鉄粉を反応させて結合させる。
この接合強度についても、鋳鉄粉の炭素量および粒径に
よって制御することができる。
【0032】次に、本発明の多孔質鉄系ボンドダイヤモ
ンド砥石の製造方法について説明する。
【0033】砥粒としてダイヤモンドおよび結合剤とし
て鉄系金属粉末を使用して多孔質鉄系メタルボンドダイ
ヤモンド砥石を製造するに際し、結合剤部分の機械的特
性および砥粒の保持力を制御することを特徴とする。砥
粒および結合剤を混合し所定の寸法形状に成形した後、
900〜1150℃で加熱焼結することを特徴とする。
ダイヤモンド砥粒は、真空中でも不溶性雰囲気中でも1
100〜1200℃ぐらいで炭化するため、上記加熱温
度が採用される。
【0034】結合剤部分の機械的特性の制御は気孔率の
制御により行われる。結合剤部分の機械的特性および砥
粒の保持力の制御は、鉄系金属粉の平均粒度を0.01
μm〜500μmの範囲で調節することによりなされ
る。結合剤部分の機械的特性および砥粒の保持力の制御
は、鉄系ボンドの炭素量とダイヤモンドの濃度勾配によ
って調節することによりなされる。
【0035】以下に、本発明の砥石の製造方法につい
て、多孔質鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石の製造方法を例
に挙げて説明する。
【0036】多孔質鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石は、砥
粒としてダイヤモンドおよび結合剤として鋳鉄粉を混合
し所定の寸法形状に成形した後、900〜1150℃で
加熱焼結することにより製造される。
【0037】上記焼結工程によって砥石形状に成形され
た成形体を焼結する。この焼結は常圧において行うもの
とし、焼結温度は少なくとも900℃以上の温度とす
る。焼結温度は砥粒としてダイヤモンドを用いた場合の
熱劣化、および焼結温度が高くなると焼結が進行し、目
的とする砥石全体の気孔率5〜60%が得られなくなる
こと等を考慮して決める。好ましい焼結温度は900〜
1150℃の範囲といえる。なお、焼結温度は鉄系金属
の種類、その粉末の粒度などによって変化する。このよ
うに結合剤部分の機械的特性の制御は気孔率の制御によ
り行われる。
【0038】結合剤部分の機械的特性および砥粒の保持
力の制御は、鋳鉄粉の平均粒度を0.01μm〜500
μmの範囲で調節することによりおよび/または炭素量
を1%〜4.2%の範囲で調節することにより、なされ
る。
【0039】気孔率を下げすぎると、砥粒を保持する保
持力が強くなりすぎるため、切削部が摩耗した砥粒がバ
インダーメタルが脱落せずに残り、この結果、砥石の切
削能力が低下し、また、気孔率を上げすぎると、砥粒を
保持する保持力が弱くなりすぎるため、バインダーメタ
ルから脱落する砥粒が多くなり、この結果、砥石の摩耗
が増大し、砥石の寿命が短くなる。
【0040】鋳鉄粉の平均粒度および炭素量を上記の範
囲で調節することで、砥粒としてダイヤモンドと鋳鉄を
固相拡散させ、砥粒の保持力を向上させることが可能と
なる。鋳鉄は、砥粒を保持する役目を担うため、砥粒と
の接触面積を増すようにその粒径の小さいものが存在す
るこたが望ましい。
【0041】本発明の多孔質鋳鉄ボンドダイヤモンド砥
石は、通常の砥石の作製法と同様に、鋳鉄粉とダイヤモ
ンド砥粒を均一に混合し、従来通りプレス装置に台金と
ともに型込めして圧粉成形して製造する。このようにし
て焼成したものを、砥石径100mmの6A2タイプの
カップ型砥石に接着し、定圧研削試験によって評価す
る。通常の無気孔型鋳鉄ボンド砥石、ビトリファイド砥
石およびレジノイド砥石と比較して、本発明の多孔質鋳
鉄ボンド砥石の優位性を確認する。
【0042】砥石の作製に当たっては市販の鋳鉄粉を用
いた。その鋳鉄粉の平均粒径は100μm以上であり、
しかも粒度分布が広範囲であるため、鋳鉄の融点まで温
度を上げても焼結しにくい。そのため鋳鉄粉の炭素量な
らびに粒径を制御することにより、鋳鉄粉の焼結性、機
械的強度ならびに気孔率を調整する。
【0043】炭素量の影響を調べるため、炭素含有量が
3.0%,3.5%,4.0%である3種類の市販の鋳
鉄粉を38μm以下のふるいによって整粒したものを用
いた。粒径の影響を調べるため、炭素量3.5%の鋳鉄
粉をふるいによって20μm以下、20μmから32μ
m、32μmから38μm、38μmから45μmにそ
れぞれ整粒した。
【0044】各鋳鉄粉とメッシュサイズ100/120
のダイヤモンド砥粒を集中度125になるように混合
し、1120℃の温度でアルゴン雰囲気中において焼成
した。
【0045】また上記で作製した砥石についで、被削材
にアルミナセラミックスを用い、1100m/minの
砥石周速で定圧研削試験を行った。表1(試作した砥石
の物性と研削性能)は焼成後の多孔質鋳鉄ボンドダイヤ
モンド砥石の物性値と研削結果を示している。
【0046】
【表1】 ──────────────────────────────────── 炭素量の影響 粒径の影響 ──────────────────────────────────── 粒径μm <38 <38 <38 <20 20〜32 32〜38 38〜45 炭素量% 3.0 3.5 4.0 3.5 3.5 3.5 3.5 気孔率% 33 30 29 26 29 32 34 曲げ強度,MPa 31 48 40 88 53 38 27 ヤング率,GPa 29 36 34 59 36 28 25 研削エネルギー,GJ/m3 25 25 25 15 18 22 31 研削比 100 80 40 100 50 50 5 ────────────────────────────────────
【0047】表1から明らかなとおり、鋳鉄粉の粒径が
小さくなるにつれて曲げ強さ、ヤング率は上昇し強度が
増加している。鋳鉄粉の炭素量が3.5%の時に曲げ強
度、ヤング率が最高の値を示した。また研削性能は鋳鉄
粉粒径が小さくなるにつれて研削エネルギー(被削材を
除去するのに必要なエネルギー)は減少し、約半分のエ
ネルギーで被削材を除去することができた。研削比も研
削エネルギーと同様な結果を示した。
【0048】図2に炭素量3.5%、鋳鉄粒径が20μ
mの時の顕微鏡写真を示すが、ダイヤモンドと鋳鉄ボン
ドの接合が化学反応によって行われていることが確認で
きる。ダイヤモンド表面の炭素分が鋳鉄と反応し、接合
強度を高めている。その傾向は、粒径が小さくなるにつ
れて多くなりまた接触点も増加するために曲げ強度、ヤ
ング率が増加し、研削する際にはダイヤモンド砥粒の保
持力が高くなるために砥粒の脱落がなく被削材を除去す
るために研削エネルギーが低くなり、研削比が増加した
と思われる。このように多孔質鋳鉄ダイヤモンド砥石の
物性または研削性能は、鋳鉄粉の粒径と炭素量で制御す
ることができる。
【0049】
【実施例】本願発明の詳細を実施例で説明する。本願発
明はこれら実施例によって何ら限定されるものではな
い。
【0050】実施例1 120メッシュのダイヤモンド砥粒と炭素量3.5%,
平均粒径20μm以下の鋳鉄粉を使用して、1120℃
の温度でアルゴンガス雰囲気中で焼成し、多孔質鋳鉄ボ
ンドダイヤモンド砥石を得た。この多孔質鋳鉄ボンドダ
イヤモンド砥石を、市販のビトリファイド砥石、市販の
レジノイド砥石および市販の無気孔鋳鉄ボンド砥石と比
較した。それぞれの砥石の形状は直径100mmの6A
2のカップ型砥石であり、集中度は125に統一した。
研削試験は、アルミナを被削材として、砥石周速110
0m/minで定圧研削試験を行った。
【0051】その結果を図3(研削圧力と除去速度の関
係を表した説明図)に示す。
【0052】いずれの砥石も研削圧力が増加するにつれ
て除去速度は増加しているが、多孔質鋳鉄ボンドは、切
れ味が優れていると言われている市販のビトリファイド
砥石に比べて、約2倍の研削能力を示した。また、研削
比は、他のボンドに比べて2倍の性能を示した。
【0053】実施例2 窒化ケイ素の研削試験を、実施例1で作製した砥石を使
用して、実施例1と同様な条件のもとで行った。
【0054】その結果を図4(研削時間と研削除去量の
関係を表した説明図)に示す。
【0055】市販のビトリファイドボンド砥石および市
販のレジノイドボンド砥石は、研削開始後30秒間まで
は、時間に比例して研削除去量が増加したが、その後は
砥石が目づまりし研削除去量が増加しなかった。本発明
の多孔質鋳鉄ボンド砥石は、研削開始直後から試験終了
まで、時間に比例して研削除去量が増加した。多孔質鋳
鉄ボンドは、ボンドの破砕性に優れているために、ダイ
ヤモンドの切れ刃が持続し、研削力が持続したと考えら
れる。
【0056】
【発明の効果】目的の強度、気孔率をもった多孔質鉄系
メタルボンドダイヤモンド砥石を提供することができ
る。目づまりすることなく、長時間の連続研削が可能で
ある多孔質鉄系メタルボンドダイヤモンド砥石を提供す
ることができる。ビトリファイドボンド砥石より切れ味
がよく、レジノイドボンド砥石より砥石摩耗が少ない砥
石を提供することができる。汎用の研削盤で充分に使用
でき、かつドレッシング性に優れているために、ビトリ
ファイドボンド、レジノイドボンドと同様に研削盤上で
のドレッシングが可能であり、また研削比も高いために
研削コストを大幅に改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多孔質鋳鉄ボンドダイヤモンド砥石に
おけるダイヤモンド砥粒と鋳鉄粉が反応して接合されて
いる状態を示した説明図である。
【図2】鋳鉄粉の炭素量3.5%および粒径20μmの
時のダイヤモンド砥粒と鋳鉄ボンドの接合の状態を示し
た顕微鏡写真である。
【図3】本発明の実施例の砥石における研削圧力と除去
速度の関係を示した説明図である。
【図4】本発明の実施例の砥石における研削時間と研削
除去量の関係を示した説明図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥粒としてダイヤモンドおよび結合剤と
    して鉄系金属粉末からなり、結合剤部分が粉末焼結によ
    って形成された多数の気孔を含んでおり、かつ、砥粒が
    結合剤である鉄系金属に化学的および物理的結合して保
    持され、化学的結合における結合剤部分の炭素量とダイ
    ヤモンドの濃度勾配によって機械的特性および砥粒の保
    持力が制御されていることを特徴とする多孔質鉄系メタ
    ルボンドダイヤモンド砥石。
  2. 【請求項2】 砥石全体の気孔率が5〜60%である請
    求項1の多孔質鉄系メタルボンドダイヤモンド砥石。
  3. 【請求項3】 砥石全体の気孔率が5〜45%である請
    求項1の多孔質鉄系メタルボンドダイヤモンド砥石。
  4. 【請求項4】 鉄系金属が、鉄粉、炭素被覆鉄粉、窒化
    鉄粉、炭素および鉄の混合物からなる群から選ばれる一
    種または二種以上からなる請求項1、2または3の多孔
    質鉄系メタルボンドダイヤモンド砥石。
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