JP3281605B2 - ビトリファイドボンド砥石及びその製造方法 - Google Patents

ビトリファイドボンド砥石及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はビトリファイドボン
ド砥石に関し、特に、ホーニング加工やベアリングのレ
ース面の超仕上げ加工など、ドレッシングを行わずに研
削加工を行う場合に好適に用いられるビトリファイドボ
ンド砥石、また特に、ビトリファイドボンド中に充填材
を含有せしめた砥石、その中でも砥粒としてCBN、ダ
イヤモンドなどの超砥粒を用いたビトリファイドボンド
超砥粒砥石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、超砥粒ホーニング加工用砥石は高
価な超砥粒を用いることから高い砥粒保持力が要求され
るため、結合材として実用的にはメタルボンドが主に用
いられている。
【0003】超仕上げ砥石では切りくずの排出性、切れ
刃の自生発刃が重要であることから、有気孔のビトリフ
ァイドボンド砥石が使用されている。
【0004】一方、以下に挙げるような構造のビトリフ
ァイドボンド砥石も提案されている。
【0005】カップ形状砥石として、特開平9−103
965号公報には、平均砥粒が60μm以下である超砥
粒と、加熱下にこの超砥粒と融合して融合相を形成し得
る結合材とからなり、この結合材が連続気孔を有する多
孔質体であり、この結合材と超砥粒との界面にそれらの
融合相が形成され、この融合相の厚みが1.5μmであ
る多孔質超砥粒ビトリファイドボンド砥石が提案されて
いる。
【0006】また別に、軸付砥石として、特公平7−5
7473号公報には、500〜1000℃の融点を持つ
セラミックス結合材100容量部に対し、金属粒子5〜
30容量部を混ぜた結合材により超砥粒が結合され、砥
石の見掛け密度が70%以上である超砥粒ビトリファイ
ドボンド砥石が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、メタルボンド
を用いた超砥粒ホーニング砥石には次のような問題点が
ある。
【0008】(1)第1の問題点は、メタルボンドから
なる結合相は無気孔のためにボンドの後退性が悪く、切
れ味の持続性や切りくずの排出性が劣るということであ
る。 (2)第2の問題点は、砥粒とメタルボンドが化学的に
結合していないため、砥粒の突き出しが大きくなると砥
粒が脱落するということである。
【0009】また、従来、ビトリファイドボンドを用い
て有気孔かつ砥粒とボンドが化学的に結合された砥石を
製造することは可能ではあったが、研削時、砥石に印加
する荷重と砥石摩耗との関係がクリティカルであり、す
なわち、僅かに荷重が過大であっても、自生発刃が生じ
難く、被削材の目標除去量が取れないことから、自生発
刃が必要なホーニング加工用砥石として、実用的なもの
は提供されていない。また、超仕上げ加工用には使用さ
れているものの、一般砥石との性能差が小さいため、更
なる高性能な超砥粒砥石が求められている。
【0010】また、カップ形状砥石として、特開平9−
103965号公報に提案されたような有気孔(多孔
質)のビトリファイドボンド砥石には次のような問題点
がある。(1)第1の問題点は、結合相の構造が有気孔
であることによって砥粒保持力が低いため、一定の取代
(被削材の除去量)を確保しつつ砥石摩耗量を低減する
ことには限界があるということである。(2)第2の問
題点は、砥粒を取り囲む融合相を形成するためのプロセ
スが複雑であるということである。
【0011】また別に、軸受砥石として、特公平7−5
7473号公報に提案されたようなビトリファイドボン
ド砥石にも次のような問題点がある。(1)第1の問題
点は、比較的粗い砥石(#325より粗)のドレス面で
研削する場合にはよいが、この砥石を仮に自生発刃の必
要なホーニング加工・超仕上げ加工に適用する場合を想
定すると、ホーニング加工・超仕上げ加工においては、
ボンド自体の後退性が適度にあることが不可欠であり、
該砥石では金属の量が少ないため、ボンドマトリックス
の硬さが硬すぎ、自生発刃が生じにくく、該砥石はホー
ニング加工・超仕上げ用として不適当であるということ
である。(2)第2の問題点は、ボンドマトリックスに
添加する金属粒子の熱膨張係数が考慮されておらず、ボ
ンドの後退性を適度に調節することについて論じられて
いないということである。(3)第3の問題点は、金属
粒子が酸化されることが考慮されていないため、金属粒
子が酸化されると、緻密なボンドマトリックスが得られ
ず、十分な砥粒保持力が発現されないということであ
る。
【0012】以上のように、現状、ノードレスで行われ
るホーニング加工用砥石として、実用に耐える超砥粒ビ
トリファイドボンド砥石は提供されていないものであ
る。また、超仕上げ用砥石についても、一般砥石を置き
換えるのに十分な高性能(高寿命)超砥粒砥石が求めら
れている。
【0013】本発明の目的は、研削加工条件の制限が緩
和された中で、切れ味が良好で且つ、砥石摩耗量が少な
く、加工精度が向上するビトリファイドボンド砥石及び
その製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によるビトリファ
イドボンド砥石は、第1の視点において、砥粒と、前記
砥粒を保持するビトリファイドボンド相と、700℃で
の酸化物の標準生成自由エネルギーΔG゜が−600k
J・mol-12以上であって焼成時に実質的に酸化さ
れず、平均粒径が10μm以下であり、かつ、前記ビト
リファイドボンド相100容量部に対して35〜100
容量部が該ビトリファイドボンド相中に微細に分散して
存在する1種又は2種以上の金属粒子と、砥石中体積率
5%以下の気孔と、を含む。
【0015】本発明によるビトリファイドボンド砥石の
製造方法は、上記特性を有する1種又は2種以上の金属
粒子を用いて、600℃以上での保持時間10min以
下となるように焼成を行う。
【0016】本発明によるビトリファイドボンド砥石は
以下のような利点を有する。(1)焼成時に酸化されに
くい金属粒子を選択することにより、焼成時における金
属粒子の変質が防止されているため、添加するこの金属
粒子の粒径を小さくすることができる。(2)添加する
金属粒子の粒径が微細であることにより、ボンドマトリ
ックスが緻密・均一となる。(3)ボンドマトリックス
が緻密・均一であるため、十分な砥粒保持力が得られ
る。(4)十分な砥粒保持力が得られるため、ビトリフ
ァイドボンド(ガラス)に対する金属粒子の添加量を増
加することができる。(5)金属粒子の存在比が高いこ
とにより、ボンドマトリックスの硬さが柔らかくなる。
また、金属粒子の存在比の調整により、ボンドマトリッ
クスの硬さをコントロールすることができる。(6)斯
くして、砥粒保持力・切れ味の両立が達成される。
【0017】次に、本発明によるビトリファイドボンド
砥石を用いた研削加工時の現象を説明する。すなわち、
本発明によるビトリファイドボンド砥石と被削材が摺接
されると、被削材の被削面上の凹凸によりビトリファイ
ドボンドからなる結合相も削られ後退していき、新たな
砥粒ないし砥粒の新たな切れ刃部分が出現する。これと
共に、結合相中に分散されている金属粒子も砥石表面か
ら徐々に放出される。放出された金属粒子は、遊離砥粒
として機能して、被削材を研磨する。このような金属粒
子の研削補助効果により被削材の仕上げ面の面粗度が向
上される。また、金属粒子の放出により砥石面にチップ
ポケットが形成され、斯くして砥石面と被削材との接触
面積が減少することにより、研削抵抗がさらに低下す
る。従って、本発明によるビトリファイドボンド砥石は
研削能力及び研削精度の両方が優れている。
【0018】また、本発明によるビトリファイドボンド
砥石においては、ビトリファイドボンドからなる結合相
中に金属粒子が微細に分散しているため、研削中に結合
相は適度に後退し、良好な切れ味が持続される。さら
に、ビトリファイドボンドは砥粒と化学的に結合してい
るため、砥粒保持力が高く、砥石摩耗量が少ない。
【0019】本発明によるビトリファイドボンド砥石
は、砥石の緻密性、研削能率が高く、加工精度も高くさ
れるため、切込量や切込速度などの研削条件に対する制
限が緩和され、既存の研削加工装置を用いることができ
る。
【0020】また、本発明によるビトリファイドボンド
砥石においては、添加する金属粒子の熱膨張係数αを選
択することによって、ビトリファイドボンドからなる結
合相の後退度を制御することができる。金属粒子の熱膨
張係数αがビトリファイドボンドのそれに比べて大きす
ぎる場合は、焼成時ないし研削加工時に結合相のマトリ
ックスと金属粒子の界面にクラックが発生し、結合相が
すぐに後退するため、砥石摩耗が大きくなる。金属粒子
の熱膨張係数αをビトリファイドボンドのそれと整合さ
せることにより、上述の金属粒子の添加効果が一層発揮
される。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施の形
態を説明する。
【0022】まず、本発明によるビトリファイドボンド
砥石の好ましい原料について説明する。
【0023】砥粒の平均粒径は使用目的によっても異な
るが、製造上の理由から1〜600μm程度が好まし
い。1μm未満ではビトリファイドボンド及び金属粒子
との混合時に分散性が悪くなり、均一性が低下する。ま
た、600μmより大きいと加圧焼成時に砥石内の気孔
率の制御が困難となる。
【0024】ビトリファイドボンドの熱膨張係数は、一
般的に4〜8×10-6-1の範囲である。よって、金属
粒子としては、熱膨張係数αが0〜100℃で10〜2
0×10-6-1、好ましくは10〜18×10-6-1
より好ましくは10〜17×10-6-1の範囲にあり、
融点Tmが1000℃以上であり、700℃での酸化物
の標準生成自由エネルギーΔG゜が−600kJ・mo
-12以上、好ましくは−500kJ・mol-12
上、より好ましくは−400kJ・mol-12以上の
ものが望ましい。なお、本発明が規定する特性を具備す
るものであれば、金属粒子として合金粒子を用いてもよ
く、二種以上の金属粒子を混合してもよい。
【0025】ビトリファイドボンド砥石、特にノードレ
スで加工が行われる砥石として、好ましくは、金属粒子
の700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔG゜
を−600kJ・mol-12以上、その熱膨張係数α
を0〜100℃で10〜20×10-6-1とする。
【0026】金属粒子を酸化するのに要するエネルギ
ー、すなわち、酸化物の標準生成自由エネルギーΔG゜
によって、砥石焼成時に金属粒子が変質するか否かが決
まり、変質した場合は、金属粒子の添加効果を十分に得
ることができない。
【0027】好ましい金属粒子は、例えばCo、Cu、
Ni等の微細な金属粒子である。熱膨張係数α、融点T
m、酸化物の標準生成自由化エネルギーΔG゜の組合せ
から、Coが最も好ましいが、他の金属を選択してもよ
い。
【0028】金属粒子の平均粒径は10μm以下が望ま
しい。金属粒子の平均粒径はより好ましくは8μm以
下、さらに好ましくは5μm以下である。金属粒子の平
均粒径が10μmより大きいと、ボンドマトリックスの
緻密性が得られないため、十分な砥粒の保持力が得られ
ない。
【0029】本発明の好ましい実施形態においては、砥
石中、二硫化モリブデン、六方晶窒化ホウ素、及び黒鉛
から選択される1種又は2種以上の潤滑剤を、体積率で
0.05〜5vol%含む。これらの潤滑剤も金属粒子
について規定した粒径が好ましい。なお、焼成を比較的
低温から短時間で行うことにより、上記潤滑剤の変質が
防止される。
【0030】砥粒としては、特にダイヤモンド、CBN
などの超砥粒を好適に用いる。また、アルミナ、炭化ケ
イ素、カーバイド、BNなどの一般砥粒を用いることも
できる。さらに、ゾルゲル焼結法によって得られた、砥
粒(例えばアルミナ砥粒)を用いてもよい。
【0031】ビトリファイドボンドとして、粘土、長
石、フラックスを混合したものを用いることができる。
詳細には、ビトリファイドボンドを、ガラスフリット、
天然ないし生原料、例えば、ホウ珪酸ソーダガラス、結
晶化ガラス、石英ガラスから得ることができる。ビトリ
ファイドボンドの種類を例示すると、ホウケイ酸系ガラ
ス、鉛ホウケイ酸系ガラス(これらは特に超砥粒の場合
に適する)、リン酸塩系ガラス、ケイ酸塩系ガラス、そ
の他の酸化物系ガラス、ハライド系ガラス、カルコゲナ
イド系ガラス、PMMAなどの有機ガラス、メタロイド
系合金ガラスなどである。さらに、各種の網目形成体、
中間体、網目修飾体を添加してもよい。
【0032】次に、本発明による好ましいビトリファイ
ドボンド砥石の製造方法を説明する。
【0033】上述したような砥粒、ビトリファイドボン
ド及び金属粒子の混合物をプレス型内に充填し、加圧焼
成する。加圧力は気孔が消滅するように予備実験により
適宜設定するべきである。具体的には、ビトリファイド
ボンドの組成によっても異なるが、加圧力を5〜50M
Pa、焼成条件は550〜900℃、600℃以上保持
時間は20min以下、さらには10min以下が好ま
しい。焼成は大気雰囲気、不活性雰囲気のいずれにおい
ても可能である。
【0034】加圧焼成には、例えば放電プラズマ焼結装
置(例えば特公昭45−22206号公報に開示)を使
用することが好ましい。この焼結方法によれば焼成時間
を非常に短縮できるため、添加した金属粒子の酸化や反
応を回避することができる。その焼成時間としては、6
00℃から焼成温度、焼成温度保持時間、焼成温度から
600℃までの降温時間の合計を10min以下とする
ことが好ましい。なお、ホットプレス、その他の焼成方
法を用いることも可能である。
【0035】特に、放電プラズマ焼結法を用いることに
より、従来の成形後焼成というプロセスでは作製不可能
であった組成のビトリファイドボンド砥石が製造でき
る。
【0036】焼成時のプレス型を製品形状とすること
で、ニアネット焼成で砥石を製造することができる。こ
の方法を使用することにより、コスト増大の要因となっ
ている仕上げ加工プロセスを省略することができる。
【0037】本発明によるビトリファイドボンド砥石
は、その好ましい実施の形態において、砥石中、ビトリ
ファイドボンド相100容量部に対して、金属粒子を3
5〜100容量部、より好ましくは40〜90容量部、
さらに好ましくは50〜80容量部とする。ビトリファ
イドボンド相100容量部に対して金属粒子が35容量
部未満存在する場合には、研削補助効果やチップポケッ
ト生成源としての効果が低い傾向がある。一方、ビトリ
ファイドボンド相100容量部に対して、金属粒子が1
00容量部より多く存在する場合には、砥粒の保持力が
低下し、砥石摩耗量が大きくなる傾向がある。
【0038】本発明の好ましい実施の形態によれば、ビ
トリファイドボンドから主として構成される結合相を実
質的に無気孔とする。これによって、砥粒の保持力が向
上され、砥石摩耗量が減少され、砥石の強度も向上され
る。
【0039】本発明によるビトリファイドボンド砥石
は、仕上げ加工、超仕上げ加工用に好適である。又、ホ
ーニング加工用(研削用)としても好適に用いられる。
図1は、棒状のホーニング加工用砥石の斜視図である。
図1を参照して、このホーニング加工用砥石は、台金2
の外周面に、複数の本発明によるビトリファイドボンド
砥石1(セグメント砥石)が接合されたものである。本
発明によるビトリファイドボンド砥石は、ワークを研削
することによる自生発刃が良好であるため、ホーニング
加工用砥石など、ノードレスで使用される砥石として好
適に用いられる。なお、本発明は、図1に示したような
形態に限られず、種々の形態で実施可能であり、例え
ば、任意の形状の砥石に本発明を適用することができ
る。
【0040】
【実施例】次に、本発明の一実施例に係るビトリファイ
ドボンド砥石及びその製造方法を説明する。なお、本発
明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】[実施例1:Co粉末(充填材)含有、焼
成方法は放電プラズマ焼結]CBN砥粒(#600)
と、平均粒径1.3μmのCo粉末と、重量%でSiO
2:40〜55%、Al23:10〜20%、B23
15〜25%、Na2O:1〜4%、MgO:2〜8
%、Li2O:2〜8%、CaO:1〜5%を含有する
23・Al23・SiO2系のビトリファイドボンド
と、を焼成体において下記の表1に示す割合となるよう
に混合し、直径:φ30mm×厚さ:4mmの寸法にな
るように、大気雰囲気中、温度700℃に2.0min
保持、加圧力30MPaの条件で放電プラズマ焼成を行
い砥石構造の円板を作製した。その円板から幅:3.0
mm×厚さ:3.0mm×長さ:20.0mmの棒状試
験片を切り出し、実施例1に係るビトリファイドボンド
砥石片を作製した。なお、この砥石において、Co粒子
は、ビトリファイドボンド100容量部に対して、6
7.3容量部存在する。
【0042】また、上記実施例1に係る砥石片の破断面
を顕微鏡観察した。図2は、この砥石片の破断面を撮影
したセラミック組織の顕微鏡写真である。図2を参照し
て、ビトリファイドボンド相によりCBN砥粒が保持さ
れており、またビトリファイドボンド相中には細かい金
属粒子が微細に分散している様子が分かる。また、図2
を参照すると、この組織中に気孔は実質的に存在せず、
ボンドマトリックスが緻密であることが分かる。
【0043】[比較例1(比較例):Co粉末(充填
材)なし、焼成方法はホットプレス]一方、比較例1と
して、Co粉末を含有しない有気孔の砥石片を作製し
た。すなわち、前記cBN砥粒とビトリファイドボンド
を下記の表1の割合で秤量し、混合し、成形し、700
℃、保持1.0h、加圧力30MPaの条件でホットプ
レス焼成し、前記実施例と同様の寸法の比較例1に係る
ビトリファイドボンド砥石片を成形した。
【0044】[比較例2:Co粉末(充填材)含有、焼
成方法はホットプレス]比較例2として、Co粉末(充
填材)含有する緻密な砥石片を作製した。すなわち、前
記実施例1と同様の原料を用いて混合、成形を行い、前
記比較例1と同様にホットプレスにより、比較例2に係
るビトリファイドボンド砥石片を作製した。
【0045】このようにして得られた実施例1、比較例
1、2の各ビトリファイドボンド砥石片を3点曲げ試験
して、それらの強度を評価した。下記の表2に強度の評
価結果を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表2に示したように、実施例1の砥石片
は、Co粉末を含まない比較例1の砥石片と比較して、
強度が大幅に向上している。さらに、実施例1の砥石片
は、Co粉末を含みホットプレスにより長時間焼成した
比較例2の砥石片に比べても、約2倍強度が高い。よっ
て、実施例1の砥石片は、緻密であって、さらには強度
も高いことから、砥粒保持力が格段に高いものであると
考えられる。
【0049】また、Co粉末を含みホットプレスにより
長時間焼成を行った比較例2の砥石片においては、添加
したCo粉末が酸化されるため、実施例1の砥石片と比
較すると強度が劣るものと考えられる。なお、加圧焼成
法としてホットプレスを用いた場合、長時間の焼成が必
要な理由は、成形体や金型を昇温ないし降温させる時間
がかかるためである。また、所定の効果を得るために
は、十分に緻密な焼成体を得る必要があるためである。
【0050】次に、実施例1、比較例1、2の砥石片を
それぞれ用いて、図1に示したようなホーニング加工用
砥石をそれぞれ作製し、ホーニング研削試験をそれぞれ
行った。表3に研削試験条件、表4に切込条件を示す。
また、図3〜6は、実施例1、比較例1、2のホーニン
グ加工用砥石を用いた研削試験結果を対比して説明する
ためのグラフであり、図3は被削材の面粗度、図4は実
際の取代、図5は消費電力、図6は砥石摩耗量の測定結
果をそれぞれ対比して示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】実施例1の砥石を用いたホーニング加工に
よれば、約50μmの取代が得られ(図4参照)、目標
取代40μmを超えた。被削材の面粗度が約3μm以下
という高精度の加工が行われた(図3参照)。さらに、
砥石摩耗量も0.5mm3を大幅に下回った(図6参
照)。なお、消費電力は、従来のホーニング加工におけ
る消費電力と同程度であった(図5参照)。
【0054】一方、Co粉末を含まずホットプレスによ
り長時間焼成した比較例1の砥石を用いたホーニング加
工によれば、取代が少なく(図4参照)、砥石摩耗量が
きわめて多く(図6参照)、研削能率が劣っていた。面
粗度についても、上記実施例1の砥石を用いた場合より
劣っていた(図3参照)。
【0055】また、Co粉末を含みホットプレスにより
長時間焼成した比較例2の砥石を用いたホーニング加工
によれば、取代が少ない上に(図4参照)、面粗度が大
きく(図3参照)、研削精度が劣っていた。
【0056】
【発明の効果】本発明のビトリファイドボンド砥石によ
れば、焼成時に酸化されにくい金属粒子を選択すること
により、ビトリファイドボンド結合相の構造を緻密・均
一とすることができ且つ、ボンドマトリックスの硬さを
柔らかくできるため、研削加工時、十分な砥粒の保持力
が発揮されると共に、結合相が適度に後退して自生発刃
が起こる。よって、本発明のビトリファイドボンド砥石
は、砥石摩耗量が少なく、切れ味も良好である。これら
の効果により、研削加工条件に対する制限が緩和され、
被研削材や研削加工装置の態様に応じた最適の加工条件
が設定できるようになる。ビトリファイドボンドからな
る緻密な結合相を形成しても、これらの効果は維持され
る。
【0057】また、本発明によるビトリファイドボンド
砥石においては、所定範囲の熱膨張係数を有する金属粒
子を用いることによって、焼成時ないし研削加工時に、
ビトリファイドボンドからなるマトリックスと金属粒子
の界面にクラックが発生せず、砥石の強度低下が防止さ
れると共に、砥石の摩耗が減少される。さらに、添加す
る金属粒子の熱膨張係数を選択することにより、被研削
材や研削加工装置の態様に応じて、結合相の後退度を制
御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】棒状のホーニング加工用砥石の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係るビトリファイドボンド
砥石片の破断面の電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1、比較例1、2の砥石をそれぞれ用い
たホーニング研削試験の結果を対比して説明するための
グラフであり、被削材の面粗度を対比して示す。
【図4】実施例1、比較例1、2の砥石をそれぞれ用い
たホーニング研削試験の結果を対比して説明するための
グラフであり、被削材の取代を対比して示す。
【図5】実施例1、比較例1、2の砥石をそれぞれ用い
たホーニング研削試験の結果を対比して説明するための
グラフであり、消費電力を対比して示す。
【図6】実施例1、比較例1、2の砥石をそれぞれ用い
たホーニング研削試験の結果を対比して説明するための
グラフであり、砥石摩耗量を対比して示す。
【符号の説明】
1 ビトリファイドボンド砥石(セグメント砥石) 2 台金
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 健二 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1番 36号 株式会社ノリタケカンパニーリミ テド内 (56)参考文献 特開 昭63−318267(JP,A) 特開 平6−79632(JP,A) 特開 平10−193268(JP,A) 特開 平2−180561(JP,A) 特開 平1−216774(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B24D 3/02 B24D 3/02 310 B24D 3/18 B24D 3/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】砥粒と、 前記砥粒を保持するビトリファイドボンド相と、 700℃での酸化物の標準生成自由エネルギーΔG゜が
    −600kJ・mol-12以上であって焼成時に実質
    的に酸化されず、平均粒径が10μm以下であり、か
    つ、前記ビトリファイドボンド相100容量部に対して
    35〜100容量部が該ビトリファイドボンド相中に微
    細に分散して存在する1種又は2種以上の金属粒子と、 砥石中体積率5%以下の気孔と、 を含むことを特徴とするビトリファイドボンド砥石。
  2. 【請求項2】前記金属粒子の熱膨張係数が0〜100℃
    で10〜20×10-6-1の範囲にあることを特徴とす
    る請求項1記載のビトリファイドボンド砥石。
  3. 【請求項3】二硫化モリブデン、六方晶窒化ホウ素、及
    び黒鉛から選択される1種又は2種以上の潤滑剤を、砥
    石中体積率0.05〜5%含むことを特徴とする請求項
    1又は2記載のビトリファイドボンド砥石。
  4. 【請求項4】砥粒と、ビトリファイドボンド相源となる
    粉末と、700℃での酸化物の標準生成自由エネルギー
    ΔG゜が−600kJ・mol-1以上であって砥石
    の焼成時に実質的に酸化されない1種又は2種以上の金
    属粒子と、を焼成体においてビトリファイドボンド相1
    00容量部に対して金属粒子35〜100容量部が該ビ
    トリファイドボンド相中に微細に分散して存在するよう
    混合し、600℃以上での保持時間10min以下とな
    るように焼成し、得られた焼成体を砥石とすることを特
    徴とするビトリファイドボンド砥石の製造方法。
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