JP3541755B2 - 扉機構付きシャッター装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【背景技術】
一般に、建物の出入口や通路の途中等には、シャッターカーテンを上下動させて空間を仕切るための各種の目的のシャッター装置が設けられており、防火や防煙等を行うための防災用シャッター装置もそのうちの一種である。
【0002】
従来より、このような防災用シャッター装置としては、金属製(鉄製)のシャッターカーテンを備えたものが用いられていた。そして、金属製のシャッターカーテンを備えた防災用シャッター装置は、建築基準法施行令第112条第14項第4号に基づく建設省告示(昭和48年告示2564号)が存在することから、横幅が5m以下のものが標準仕様とされていた。従って、防災用シャッター装置を設置すべき建物内の開口(シャッターカーテンにより仕切られるべき空間の断面幅)が大きい、いわゆる大開口の場合には、通常、開口の中間位置にガイドレールを設けた中柱を立てることにより、横幅5m以下の標準仕様の防災用シャッター装置を連設して対応していた。
【0003】
また、防災用シャッター装置には、火災発生時等の緊急時において建物内にいる人々の避難経路を確保するために、すなわち火災発生等に伴いシャッターカーテンが降ろされた後にその防災区画内に取り残された人々の逃げ道を確保するために、非常用の出入口を設けておくことが必要となる。
【0004】
従来より、金属製のシャッターカーテンを備えた防災用シャッター装置では、このような非常用の出入口をシャッターカーテン自体に設けることは、構造上比較的困難であるため、シャッター装置とは別途に、その脇に非常用の出入口専用の袖扉を設けることが多かった。
【0005】
一方、近年、各種材料の開発が進み、耐火性、遮熱性、遮煙性、防水性等に優れた布製のスクリーンが開発され、このような布製のスクリーンにより形成されたシャッターカーテンを備えた防災用シャッター装置が、建築基準法第38条の建設大臣の認可を受けて用いられるようになってきた。
【0006】
このような布製のスクリーンは、縫製が可能であり、また、密閉性も確保し易いことから、シャッターカーテン自体に容易に非常用の出入口を設けることができるので、近年では、布製のスクリーンにより形成されたシャッターカーテン自体に非常用の出入口を設けた防災用シャッター装置が用いられるようになってきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シャッターカーテン自体に非常用の出入口を設けるにあたっては、布製のスクリーンにより形成されたシャッターカーテンの場合に限らず、金属製のシャッターカーテンの場合をも含め、次のような種々の考慮すべき問題点がある。
【0008】
すなわち、先ず、シャッターカーテン自体に非常用の出入口を設けることから、非常用の出入口を設けないシャッターカーテンに比べ、構造的に複雑なものとなるので、このことが原因で、空間を仕切って開口を閉鎖するというシャッターカーテンの本来の機能が妨げられないようにする必要がある。従って、シャッターカーテン自体に非常用の出入口を設けるにあたっては、なるべく構成の複雑化を避け、シャッタカーテンが円滑に閉鎖状態となり、その本来の機能を発揮できるようにする必要がある。
【0009】
次に、防災用シャッター装置では、シャッターカーテンに遮煙性能が要求され、また、耐風圧性も要求される。従って、気密性を確保し易い構成とし、また、一定の強度を確保する必要がある。
【0010】
さらに、シャッターカーテン自体に非常用の出入口を設けることから、非常用の出入口を設けないシャッターカーテンを製造する場合に比べ、製造上の手間がかかるので、非常用の出入口の配置については、なるべく製造の容易化を図ることができる配置とすることが望まれる。
【0011】
そして、製造後には、建築現場までの運搬作業や建築現場での施工作業が行われるため、これらの運搬時や施工時における取扱いの容易化を図る必要も生じる。
【0012】
以上のような非常用の出入口の配置に関する問題点は、シャッター装置を設置すべき開口が大きくなる程、すなわちシャッターカーテンが幅広になる程、顕著な問題となるので、特に、次に述べる大開口への対応問題との関係が深い。また、防災用シャッター装置に限らず、他の目的を有するシャッター装置の場合であっても、シャッターカーテン自体に出入口等を設ける場合には同様に生じる問題である。
【0013】
また、建物内には、大小様々な空間があり、これに伴って防災用シャッター装置を設置すべき開口の幅も大小様々なものとなる。従って、防災用シャッター装置の設置にあたっては、大開口に対応することも必要となってくるが、その際には、次のような問題がある。
【0014】
すなわち、前述した金属製のシャッターカーテンを備えた防災用シャッター装置であって横幅5m以下の標準仕様のものを複数用意し、これらを連設して大開口に対応するのでは、ガイドレールを設けた中柱を開口の中間位置に立てなければならないため、大きな空間を形成する障害となる等、建築設計上の制約が多くなり、また、外観上も好ましくないという問題が生じる。
【0015】
これに対し、建築基準法第38条により建設大臣が認める場合には、横幅が5mを超える金属製のシャッターカーテンを備えた防災用シャッター装置であっても使用することができるので、このような幅広の防災用シャッター装置を一つ設置することにより大開口に対応することも考えられる。
【0016】
しかし、金属製のシャッターカーテンの場合には、横幅を大きくすると重量が大きくなり、運搬時や施工時、あるいは製造時における取扱いが困難になり、特に標準仕様を超えるような横幅を有するシャッターカーテンでは、それが顕著である。
【0017】
以上のような大開口への対応問題は、防災用シャッター装置に限らず、他の目的を有するシャッター装置の場合であっても、断面幅の大きな空間を仕切らなければならない場合には同様に生じる問題である。
【0018】
本発明の主目的は、シャッターカーテンの構成の簡易化、必要機能の確保の容易化、および製造の容易化を図ることができる扉機構付きシャッター装置を提供するところにある。
【0019】
また、本発明の付加的な目的は、運搬時や施工時における取扱いの容易化、大開口への対応のうち、いずれか一つまたは複数を適宜図ることができる扉機構付きシャッター装置を提供するところにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、空間を仕切るカーテン本体と、このカーテン本体により仕切られたカーテン表裏の空間を連通する連通部と、この連通部を覆いかつ連通部とともに扉機構を構成する覆い部とを有するシャッターカーテンを備えた扉機構付きシャッター装置において、シャッターカーテンは、複数の区画に分割された状態の各カーテン区画部を集合させることにより構成され、少なくともシャッターカーテンにより空間が仕切られたカーテン閉鎖状態では、各カーテン区画部同士は、接続部で接続された状態とされ、扉機構のうち少なくとも連通部は、カーテン閉鎖状態とされたシャッターカーテンの接続部を避けた位置に配置されていることを特徴とするものである。
【0021】
ここで、連通部には、構造的にみると、正方形、長方形、三角形、台形、Mブロック断面形、逆ホームベース形、円形、楕円形、半円形等の各種の形状を有する開口状のもの、あるいはスリット状のものが含まれる。また、用途的にみると、火災発生時等の緊急時の避難の際に用いられる非常用の出入口が主なものとして挙げられるが、この他に、通常時において人の出入や物体の通過に用いられる出入口、犬や猫等のペット専用の出入口、あるいは人の出入や物体の通過を前提としない単なる覗き窓(シャッターカーテンの向こう側の状況を確認するためのもの、例えば、防災用シャッター装置の場合であれば、煙の発生状況や火災の進展状況等をシャッターカーテン越しに確認するためのもの)等も含まれる。なお、本願において出入口というときは、双方向からの出入や通過が可能な場合だけでなく、一方向のみの出入や通過しか行えない場合も含まれる。
【0022】
また、覆い部は、カーテン本体と別部材で形成されていてもよく(例えば、後述の図1の場合等)、あるいはカーテン本体と同一部材により一体的に形成されていてもよい(例えば、後述の図12の場合等)。そして、前者のように別部材で形成する場合には、覆い部のカーテン本体への取り付け方法は、例えば、縫着、接着、リベット、ボルト・ナット、ビス等の止着具による止着、溶着、ファスナやボタンやマジックテープを使用した結合等、任意であり、さらには、着脱可能な取り付けとしてもよく、あるいは上下左右等にスライド可能な引き戸タイプの取り付けとしてもよく、要するに、覆い部やカーテン本体の材質、あるいは気密性を確保する必要があるか否か等のシャッター装置の設置目的などに応じた取り付け方法とすればよい。なお、前者のように別部材で形成する場合および後者のように一体的に形成する場合のいずれの場合にも、鍵を付けて覆い部が開かないようにすることができる構成としてもよい。また、覆い部の表面に、連通部の存在(例えば、防災用シャッター装置の場合であれば、非常用の出入口の存在)を表示するマークや文字等を付してもよい。
【0023】
さらに、扉機構は、カーテン表裏の一方の側のみに着目した場合、一つの連通部と一つの覆い部とにより構成されるのが最も基本的な構造であるが(例えば、後述の図1の場合等)、これに限定されるものではなく、複数の連通部と一つの覆い部とにより一つの扉機構が構成されるようにしてもよく(例えば、後述の図8の場合等)、一つの連通部と複数の覆い部とにより一つの扉機構が構成されるようにしてもよく(例えば、後述の図9、図10の場合等)、複数の連通部と複数の覆い部とにより一つの扉機構が構成されるようにしてもよい(例えば、後述の図11の場合等)。なお、上記の各パターンのうち、一つの扉機構が複数の覆い部により構成される場合には、複数の覆い部を合わせてそれら全体で連通部の全体若しくは略全体(但し、防災用シャッター装置の場合には、全体が完全に覆われるようになっていることが好ましい。)が覆われるようになっていればよく、必ずしも一つ一つの覆い部が連通部の全体若しくは略全体を覆うようになっている必要はない。従って、一つの覆い部に着目した場合には、連通部の少なくとも一部を覆っていればよい(後述の図9、図10、図11参照)。
【0024】
そして、一つの扉機構を構成するにあたって、覆い部は、シャッターカーテンの表裏の一方の側のみに設けてもよく、両側に設けてもよく(例えば、後述の図2の場合等)、さらには、連通部の中に入り込むように設けてもよい(例えば、後述の図9、図10の場合等)。
【0025】
さらに、覆い部とカーテン本体との重ね代部分は、設けられていてもよく、あるいは設けられていなくてもよいが、防災用シャッター装置の場合には、気密性を確保し易いという観点から、重ね代部分を設けておくことが望ましい。
【0026】
また、「少なくともシャッターカーテンにより空間が仕切られたカーテン閉鎖状態では」とは、カーテン閉鎖状態(シャッターカーテンで開口が塞がれた状態)において、各カーテン区画部同士が接続部で接続された状態とされていればよく、その他の状態、例えば、シャッターカーテンが収納部に収納されたカーテン収納状態、あるいは閉鎖途中の状態、さらには、シャッターカーテンのシャッター装置への取付時の状態、工場から建築現場までの運搬時の状態などについては、各カーテン区画部同士が接続部で接続された状態であるか否かは問わない趣旨である。
【0027】
さらに、「接続部で接続された状態」とは、各カーテン区画部同士(通常は、これらの端縁部同士)をファスナ、マジックテープ、鉄筋棒等により再分離可能に連結した状態、あるいは縫着、接着、溶着等により結合した状態のほか、各カーテン区画部同士(通常は、これらの端縁部同士)を単に重ね合わせただけの状態も含まれる。
【0028】
そして、扉機構が複数配置されている場合には、全ての扉機構についての連通部が、接続部を避けた位置に配置されている必要はなく、少なくとも一つの扉機構についての連通部が、接続部を避けた位置に配置されていればよい。しかし、大多数(より好ましくは全て)の扉機構についての連通部が、接続部を避けた位置に配置されていることが好ましい。
【0029】
このような本発明においては、カーテン閉鎖状態において各カーテン区画部同士が接続部で接続された状態となる構成を有するシャッターカーテンに、扉機構を設けるにあたって、扉機構の構成要素のうち少なくとも連通部を、接続部を避けた位置に配置するようにしたので、シャッターカーテンの構成が簡易化される。このため、構成の複雑化に起因してシャッターカーテンの動きが妨げられるような不都合は未然に回避され、シャッタカーテンが円滑に閉鎖状態となり、その本来の機能を発揮できるようになる。また、接続部を避けた位置に配置するので、遮煙性能やカーテン強度等の必要機能の確保が容易になるうえ、製造の容易化が図られる。
【0030】
さらに、シャッターカーテンを、複数の区画に分割された状態の各カーテン区画部を集合させることにより構成したので、大開口への対応も容易に図ることが可能となり、これらにより前記目的が達成される。
【0031】
また、前述した扉機構付きシャッター装置において、扉機構のうち覆い部も、カーテン閉鎖状態とされたシャッターカーテンの接続部を避けた位置に配置されていることが好ましい。
【0032】
ここで、扉機構が複数配置されている場合には、全ての扉機構についての覆い部が、接続部を避けた位置に配置されている必要はなく、少なくとも一つの扉機構についての覆い部が、接続部を避けた位置に配置されていればよい。しかし、大多数(より好ましくは全て)の扉機構についての覆い部が、接続部を避けた位置に配置されていることが好ましい。
【0033】
このように扉機構の構成要素について、連通部のみならず、覆い部をも、接続部を避けた位置に配置した場合には、シャッターカーテンの構成がより一層簡易化され、また、必要機能の確保の容易化や製造の容易化がより一層図られる。
【0034】
さらに、前述した扉機構付きシャッター装置において、シャッターカーテンが収納部に収納されたカーテン収納状態では、各カーテン区画部同士は、接続部で接続されていない状態にあるようにしてもよく(例えば、後述する図1、図6、図7等の場合)、あるいは、シャッターカーテンが収納部に収納されたカーテン収納状態でも、各カーテン区画部同士は、接続部で接続された状態にあるようにしてもよい(例えば、後述する図5等の場合)。
【0035】
以上において、本発明の扉機構付きシャッター装置の設置目的は任意であり、例えば、防火や防煙等を目的とする防災用シャッター装置が主なものとして挙げられるが、これに限定されるものではなく、暗室、クリーンルーム、保冷庫、保温室等の特殊空間を形成するためのシャッター装置、日射遮蔽目的のシャッター装置、防犯目的のシャッター装置等であってもよく、要するに、シャッターカーテンに扉機構を設けることが有用なシャッター装置であればよい。
【0036】
さらに、本発明の扉機構付きシャッター装置の設置場所は任意であり、例えば、通常の一般家屋、ビル、車庫、工場、倉庫、保冷庫等の各種出入口用シャッター装置、窓用シャッター装置、建物内の通路途中や通路とホールとの境界位置に設けられるシャッター装置等のように、各種建築物に設けられるシャッター装置としてもよく、あるいは、例えば、地下街、駅の構内、トンネル内、船舶内等の各種構造物に設けられるシャッター装置としてもよい。
【0037】
また、本発明の扉機構付きシャッター装置の構造は、シャッターカーテンに扉機構を設けることができるものであれば任意である。従って、本発明は、次のような各種タイプのシャッター装置に適用することができる。例えば、シャッターカーテンがシート状部材を用いて形成され、このシャッターカーテンが巻取軸に巻き取られ、または折り畳まれて収納部に収納されるタイプのシャッター装置でもよく、シャッターカーテンが多数のスラットを連設することにより形成され、このシャッターカーテンが収納部の巻取軸に巻き取られて収納されるタイプのシャッター装置でもよい。また、シャッターカーテンが複数のパネルを連設することにより形成され、このシャッターカーテンの個々のパネルが分離されかつ重ねられて収納部に収納され、または個々のパネルが連結状態のまま折り畳まれて収納され、更には巻き取られて収納されるタイプのシャッター装置でもよい。さらに、シャッターカーテンがリンク部材で互いに連結された複数のパイプ部材で形成されているシャッター装置でもよく、あるいは送り込み収納のオーバーヘッドタイプのシャッター装置でもよい。また、例えば、一部がスラットで形成され、残りの部分がシート状部材で形成されたシャッターカーテン等のように、各種のシャッターカーテンを複合して形成されたシャッターカーテンを備えたタイプのシャッター装置でもよい。なお、以上に述べた各種のシャッターカーテンの構成部品や構成部材の材質は任意であり、シート状部材であれば、例えば、布製のスクリーン、あるいは塩化ビニールやウレタン等の軟性樹脂シート、さらにはゴムまたはゴム状物質により形成されたシート等を用いることができ、スラット、パネル、リンク部材、パイプ部材等であれば、例えば、金属、合成樹脂、セラミックス、木材等を用いることができる。
【0038】
また、シャッターカーテンの移動方向、すなわちシャッターカーテンが開閉動作を行う際の開閉方向(閉動作のみを行う場合には、閉鎖方向)は、上下方向、左右方向、斜め方向、水平方向等、任意である。但し、防災用シャッター装置とする場合には、自重降下可能な方向としておくことが好ましい。
【0039】
さらに、前述したように、シャッターカーテンの構成部品や構成部材の材質は任意であるが、特に次のようにすることが好ましい。すなわち、前述した発明において、覆い部と、カーテン本体のうち少なくとも覆い部と重なる重ね代部分とを、いずれもシート状部材により形成することが好ましい。
【0040】
ここで、シート状部材は、布製のスクリーン、ビニールシート、ウレタンシート、ゴムシート等、可撓性のものであればいずれの種類のものでもよいが、防火や防煙等の防災目的に使用する場合には、例えば、シリカクロスまたはガラスクロス、あるいはこれらに耐火被覆材としての耐火塗料や防水被覆材を吹き付け若しくは塗布しまたは含浸させたもの等を好適に用いることができる。さらに、シート状部材は、ワイヤーメッシュ等の補強用の金属あるいは樹脂線材等と組み合わされたものであってもよく、このような補強を行えば、防災目的に使用する場合のみならず通常使用の場合でもシートが損傷しにくくなり、シートの耐久性を向上させることができるので有効である。
【0041】
このようにシート状部材を含んで形成されたシャッターカーテンに本発明を好適に適用できるのは、布製のスクリーン等のシート状部材は、金属製のシャッターカーテンに比べ、軽量であるうえ、折り畳みも可能であることから、運搬時や施工時、あるいは製造時における取扱いが容易になるからである。このため、シート状部材を含んで形成されたシャッターカーテンは、幅広のシャッターカーテンとすることに適しており、カーテンの横幅が大きくなる程、その利点も大きくなる。また、シート状部材であるから、縫製等が可能となり、金属製のシャッターカーテンに比べ、構造上、扉機構を設けることに適しているうえ、気密性の確保も金属製のシャッターカーテンに比べて容易である。従って、シート状部材を含んで形成されたシャッターカーテンは、大開口に対応した防災用シャッター装置を構成するのに最適である。
【0042】
また、前述したように、本発明の扉機構付きシャッター装置の設置目的は任意であるが、特に次のようにすることが好ましい。すなわち、前述した発明において、シャッターカーテンが防災機能を有し、連通部が非常用の出入口であることが好ましい。
【0043】
ここで、防災機能とは、防火性能、耐火性能、防煙性能、遮煙性能、遮熱性能、防水性能、耐風圧性能等の各種の性能のうち、少なくとも一種類の性能を発揮できることをいう。
【0044】
このように本発明を防災用シャッター装置に好適に適用できるのは、防災用シャッター装置には、本来、避難者の避難経路を確保するための非常用の出入口を設けることが要求されるので、扉機構の配置に関する本発明の効果が十分に発揮されるからである。
【0045】
さらに、以上において、本発明の扉機構付きシャッター装置におけるシャッターカーテンの幅方向の内法寸法は任意であるが、特に次のようにすることが好ましい。すなわち、前述した発明において、シャッターカーテンは、カーテン幅方向につき標準的な内法寸法よりも大きな内法寸法を有し、かつ、断面幅の大きな空間を仕切る大開口用シャッターカーテンであることが好ましい。
【0046】
ここで、内法寸法とは、シャッターカーテンのカーテン幅方向の全幅のうち、案内手段(例えば、ガイドレール、あるいは壁や柱に直接形成された溝部等)に呑み込まれる部分を除いた部分の幅寸法、すなわち外部に露出する部分(シャッターカーテンにより仕切られる空間から見える部分)の幅寸法をいう。なお、カーテン幅方向とは、シャッターカーテンに沿う面内においてシャッターカーテンの移動方向に直交する方向のことをいい、シャッターカーテンの厚さ方向(肉厚方向)を意味するものではない。
【0047】
また、大開口用シャッターカーテンとは、次に挙げられた各条件のうち少なくとも一つを満たすものをいう。
【0048】
第一の条件としては、「建築基準法施行令第112条第14項第4号に基づく建設省告示(昭和48年告示2564号)」に基づく幅を超えているもの、すなわち内法幅が5mを超えているもの(いわゆる鉄製の防火防煙シャッターの標準仕様よりも大きいもの)であることが挙げられる。
【0049】
第二の条件としては、「建築基準法施行令第112条第14項第4号に基づく建設省告示(昭和48年告示2564号)」に基づく幅を超えているもの、すなわち内法幅が8mを超えているもの(乙種防火戸に近接する位置に併設した鉄製シャッターよりも大きいもの)であることが挙げられる。
【0050】
第三の条件としては、道路法第47条第1項に基づく政令(車両制限令第3条第1項第4号、平成5年最終改正の政令375)で定める車両(貨物が積載されている場合にあってはその状態におけるもの)の長さの最高限度を超えるもの、すなわちカーテン幅方向の全幅寸法が12mを超えるものであることが挙げられる。
【0051】
第四の条件としては、道路法第47条第1項に基づく政令(車両制限令第3条第3項、平成5年最終改正の政令375)で定める高速自動車国道を通行するセミトレーラ連結車又はフルトレーラ連結車で、その積載する貨物が被けん引車の車体の前方又は後方にはみ出していないものの長さの最高限度を超えるもの、すなわちカーテン幅方向の全幅寸法が16.5m(セミトレーラ連結車に積載する場合)又は18m(フルトレーラ連結車に積載する場合)を超えるものであることが挙げられる。
【0052】
第五の条件としては、カーテン幅方向の内法全幅寸法が、扉機構の幅寸法の約3倍以上のもの、好ましくは約6倍以上のものであることが挙げられる。ここで、約3倍という基準値は、扉機構をシャッターカーテンの内法両端に一つずつ設け、これらの間にこれらと同程度の寸法幅を有する扉機構非設置部分を確保したときに得られる数値であり、このような数値以上になる場合は、大開口用シャッターカーテンとみなすことができることに基づくものである。また、約6倍という基準値は、シャッターカーテンの内法両端から扉機構の幅寸法相当分の間隔を置いて扉機構を一つずつ設け、これらの間にこれらと同程度の寸法幅(扉機構の二つ分の幅寸法)を有する扉機構非設置部分を確保したときに得られる数値であり、このような数値以上になる場合は、大開口用シャッターカーテンとみなすことができることに基づくものである。
【0053】
第六の条件としては、本発明の扉機構付きシャッター装置が、シャッターカーテンを巻取軸に巻き取って収納する巻取収納式のシャッター装置である場合において、巻取軸が軸方向について二以上に分割されているものであることが挙げられる。なお、分割した状態で製造し、分割した状態のままで建築現場まで運搬した後、建築現場において接続して一本の軸にしたもの、分割した状態で製造し、工場において接続して一本の軸にした後、一本の軸とした状態で建築現場まで運搬したもの、一本の軸として一体的に製造し、これを工場において切断して分割した状態としてから建築現場まで運搬した後、再び建築現場において接続して一本の軸にしたもの、分割した状態で製造し、分割した状態のままで建築現場まで運搬した後、建築現場において分割した状態のままで連設して使用するもの(この場合、各軸の軸芯位置は一致させてもよく、平行にずらしてもよい。なお、この場合には、シャッターカーテンも分割タイプとし、シャッターカーテン閉動作時に分割状態のシャッターカーテンがファスナ等で連結され若しくは単に重ね合わされて接続される構成等を採ればよい。)等は、いずれのものも含まれる。
【0054】
第七の条件としては、本発明の扉機構付きシャッター装置が、シャッターカーテンを巻取軸に巻き取って収納する巻取収納式のシャッター装置である場合において、巻取軸の軸方向の中間位置の少なくとも一箇所に、巻取軸および巻取軸に巻き取られた状態のシャッターカーテンを支持して巻取軸の撓みを抑える補助ローラ等の支持手段が設けられているものであることが挙げられる。
【0055】
このように本発明を大開口用シャッターカーテンに好適に適用できるのは、シャッターカーテンの幅寸法が大きくなる程、構成の簡易化を図ってシャッターカーテンの必要機能を確保していく必要性が高いからであり、また、シャッターカーテンの幅寸法が大きくなる程、重量が大きくなり、運搬時や施工時、あるいは製造時における取扱いが困難となるので、本発明により取扱いの容易化を図っていく必要性が高いからである。
【0056】
また、以上に述べた扉機構付きシャッター装置のうち、本発明に最適な構成例の一つとして、次のような構成のものを挙げることができる。すなわち、前述した発明において、覆い部と、カーテン本体のうち少なくとも覆い部と重なる重ね代部分とが、いずれもシート状部材により形成され、シャッターカーテンが、カーテン幅方向につき12mを超える内法寸法を有し、かつ、断面幅の大きな空間を仕切る大開口用シャッターカーテンであるものを挙げることができる。
【0057】
さらに、以上において、本発明の扉機構付きシャッター装置における連通部の構造は、前述したように開口状でも、スリット状でもよいが、特に次のようにすることが好ましい。すなわち、前述した発明において、連通部は、二次元的広がりを持つ開口状に形成され、かつ、シャッターカーテンの閉鎖方向先端部の近傍にこの閉鎖方向先端部に沿って配置される一定幅の辺を有することが好ましい。
【0058】
ここで、シャッターカーテンの閉鎖方向先端部とは、例えば座板や重錘等が設けられた部分のことをいう。また、「二次元的広がりを持つ開口状」とは、スリット状のものを排除する趣旨であり、「一定幅の辺を有する」とは、閉鎖方向先端部に沿う辺を有しない逆三角形や円形等の形状を排除する趣旨である。従って、正方形、長方形、三角形(底辺を閉鎖方向先端部に沿わせたもの)、台形、Mブロック断面形、逆ホームベース形、半円形(円形の上側半分)等の形状が含まれる。
【0059】
このような構成とした場合には、連通部が開口状となっているので、スリット状の場合に比べ、連通部を容易に通過できるようになる。このため、例えば、防災用シャッター装置の場合には、避難が円滑に行われるようになる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0061】
[第一実施形態] 図1には、本発明の第一実施形態の扉機構付きシャッター装置である防災用シャッター装置10の立面図が示され、図2には、防災用シャッター装置10の縦断面図(図1のA−A線断面図)が示されている。また、図3には、防災用シャッター装置10の要部の斜視図が示され、図4には、防災用シャッター装置10の一部の拡大斜視図が示されている。
【0062】
防災用シャッター装置10は、火災発生時等の非常時に、建物等の内部の空間を仕切って防火や防煙等を行う防災機能を有するシャッター装置であり、例えば、通路空間の途中に設けられたり、あるいは通路空間とホール空間との境界位置に設けられたりして防災区画を形成する役割を果たすものである。また、防災用シャッター装置10は、左右方向の断面幅の大きな空間を仕切ることができるものであり、建物内の大きな開口に設置される大開口用シャッター装置である。
【0063】
図1において、防災用シャッター装置10は、上下動して空間を仕切るシャッターカーテン20と、このシャッターカーテン20を巻き取る巻取軸60,61と、シャッターカーテン20の図1中における左右両側端縁部分が挿入されてシャッターカーテン20の上下動を案内する左右の案内手段であるガイドレール70,71と、シャッターカーテン20の上下動および停止を行うためのモータおよびブレーキ等からなる開閉機80,81とを備えている。なお、各巻取軸60,61の中間位置に、各巻取軸60,61および各巻取軸60,61に巻き取られた状態のシャッターカーテン20を下方から支持する補助ローラを適宜設けるようにしてもよい。
【0064】
シャッターカーテン20は、通常時には、開閉機80,81のブレーキが作動することにより、巻取軸60,61に巻き取られた収納状態で保持され、この状態では、シャッターカーテン20の下端部に設けられた座板22が、天井1に形成されたシャッターカーテン20を通すためのスリット部分に設けられた、まぐさの位置まで上昇して収まるようになっている。
【0065】
一方、火災発生時等の非常時には、火災発生等に伴って発生する炎、煙、熱、臭い等が図示されないセンサで検出されると、このセンサからの信号により開閉機80,81のブレーキが解除されるようになっている。この結果、座板22を含むシャッターカーテン20の自重により、シャッターカーテン20は巻取軸60,61から繰り出されて下降し、座板22が床2に達することにより全閉状態となるようになっている。なお、このようなセンサを使用した自動閉鎖式ではなく、レバー操作等により人為的に開閉機80,81のブレーキを解除できる構成としてもよく、あるいはセンサによる自動閉鎖とレバー操作等による人為操作とを併用できる構成としてもよい。
【0066】
また、図示されないスイッチ等を操作すると、開閉機80,81のモータが駆動され、これにより巻取軸60,61が同期回転してシャッターカーテン20が巻取軸60,61に巻き取られて上昇し、座板22が天井1のまぐさの位置に達すると、開閉機80,81のモータが停止するとともに、ブレーキが作動するようになっている。なお、このようなモータ駆動による巻き取りではなく、チェーン引き操作やレバー操作等により手動で巻き取れる構成としてもよい。
【0067】
図1および図3において、シャッターカーテン20は、左側の巻取軸60に巻き取られるカーテン区画部20Aと、右側の巻取軸61に巻き取られるカーテン区画部20Bとにより構成されている。従って、これらのカーテン区画部20A,20Bは、カーテン収納状態では、各巻取軸60,61に別々に巻き取られて分割された状態となっている。一方、これらのカーテン区画部20A,20Bの端縁部同士は、カーテン閉鎖状態では、重ね合わせて配置されるようになっており、その重合部(寸法幅Qの部分)は、これらの複数枚(二枚)のカーテン区画部20A,20B同士を接続する接続部23となっている。なお、接続部23には、マジックテープ等を設けて密着性を高めるようにしてもよい。
【0068】
また、二本の巻取軸60,61は、軸線の位置をずらして互いに平行に配置され、左側の巻取軸60は、左側の開閉機80により駆動・制動され、右側の巻取軸61は、右側の開閉機81により駆動・制動されるようになっている。なお、二本の巻取軸60,61は、ベルト・プーリやチェーン・スプロケットや歯車列等の回転伝達手段を用いて連動させ、一個の開閉機により駆動・制動するようにしてもよく、あるいは一本の巻取軸として一個の開閉機により駆動・制動するようにしてもよい。
【0069】
図1〜図3において、シャッターカーテン20を構成する各カーテン区画部20A,20Bは、その主要な部分が空間を仕切るためのカーテン本体21A,21Bにより構成されている。これらのカーテン本体21A,21Bは、四角形のシート状部材により形成されている。シート状部材としては、例えば、シリカクロスまたはガラスクロス、あるいはこれらに耐火被覆材としての耐火塗料や防水被覆材を吹き付け若しくは塗布しまたは含浸させて形成された布製のスクリーン等を好適に用いることができる。このような布製のスクリーンは、耐火性、遮熱性、遮煙性、防水性、耐風圧性等に優れたものであり、防災用シャッター装置としての機能を十分に果たすことができるものである。
【0070】
カーテン本体21A,21Bの下部には、カーテン本体21A,21Bにより仕切られたカーテン表裏の空間3,4を連通する連通部である非常用の出入口30,31が設けられている。これらの非常用の出入口30,31は、カーテン本体21A,21Bの表裏を貫通して形成された縦長の長方形形状を有する開口状のものである。非常用の出入口30,31は、火災発生時等の緊急時において建物等の内部にいる人々の避難経路を確保するために、すなわち火災発生等に伴いシャッターカーテン20が降ろされた後にその防災区画内に取り残された人々の逃げ道を確保するために、あるいは救助者や消防隊員等の通り道を確保するために設けられているものである。
【0071】
シャッターカーテン20は、非常用の出入口30,31を表裏両側から覆う覆い部であるカバーシート40A,40B,41A,41Bを備えている。これらの各二枚で合計四枚のカバーシート40A,40B,41A,41Bは、縦長の長方形形状を有し、その上辺部は、非常用の出入口30,31の上側でカーテン本体21A,21Bに縫着されて取り付けられている。この縫着部44は、耐火性を有する金属線材、例えばステンレス製線材等を縫い糸としたものである。カバーシート40A,40B,41A,41Bは、すべてカーテン本体21A,21Bと同じ材質のシート状部材で形成され、十分な防災機能を有するものである。
【0072】
また、各カバーシート40A,40B,41A,41Bには、水平方向に延びるように配置された図示されない補強用の金属線材あるいは金属棒状部材が、下端縁寄りの位置に一本または上下方向に適宜な間隔をおいて複数本設けられ、これにより各カバーシート40A,40B,41A,41Bの撓みが抑えられるとともに、各カバーシート40A,40B,41A,41Bに形状維持機能を持たせることができ、各カバーシート40A,40B,41A,41Bが捲られ若しくは押されて出入りが行われた後に各カバーシート40A,40B,41A,41Bが元の状態に戻って各出入口30,31が確実に密閉され、所定の防火性能や遮煙性能を発揮できるようになっている。
【0073】
シャッターカーテン20の下端部には、前述したように金属製の座板22が設けられている。この座板22は、左側のカーテン区画部20Aの幅方向(左右方向)の略全幅に渡って設けられた第一座板22Aと、右側のカーテン区画部20Bの幅方向の略全幅に渡って設けられた第二座板22Bとにより構成されている。これらの第一座板22Aおよび第二座板22Bは、各非常用の出入口30,31の下側位置にも配置されている。座板22の高さ寸法Zは、例えば150mm以下であることが好ましい(建築基準法施行令第112条第14項第2号参照)。
【0074】
図4に示すように、第一座板22Aを構成する平板状のフラットバー22Cは、左側のカーテン区画部20Aの全幅に渡って設けられ、同様に、第二座板22Bを構成する平板状のフラットバー22Dも、右側のカーテン区画部20Bの全幅に渡って設けられている。しかし、第一座板22Aを構成する図中手前側のL字断面形状の床面当接部22Eは、接続部23の寸法幅Qの分だけ短くなっており、同様に、第二座板22Bを構成する図中奥側のL字断面形状の床面当接部22Fも、接続部23の寸法幅Qの分だけ短くなっている。従って、これにより接続部23の気密性が確保されるようになっている。なお、座板は、このような分割タイプのものではなく、シャッターカーテン20の幅方向の略全幅に渡って一体的に形成された一本の座板としてもよい。
【0075】
そして、一つの連通部である非常用の出入口30と、二枚の覆い部であるカバーシート40A,40Bとにより、一つの扉機構50が構成されている。また、同様に、非常用の出入口31と、二枚のカバーシート41A,41Bとにより、扉機構51が構成されている。従って、シャッターカーテン20には、カーテン幅方向(左右方向)につき複数(二つ)の扉機構50,51が配置されている。各扉機構50,51は、図2中の二点鎖線に示すように、各カバーシート40A,40B,41A,41Bを捲り若しくは押すことにより、避難者が各非常用の出入口30,31を通って、シャッターカーテン20の表裏の空間3,4のいずれの側からでも他方の側へ移動できるようになっている。また、各カバーシート40A,40B,41A,41Bの下端縁の全部(全幅)が座板22から離れるようになっているので、容易に出入りすることができる。なお、下端縁の全部ではなく一部が座板22から離れるようになっていてもよく、要するに、覆い部の下端縁の少なくとも一部(好ましくは全部)が閉鎖方向先端部(ここでは、座板22)から離れるようになっていれば、出入りが容易になる。
【0076】
また、左側の扉機構50の全体、すなわち扉機構50の構成要素である非常用の出入口30およびカバーシート40A,40Bは、すべて左側のカーテン区画部20Aのうち接続部23を避けた位置に配置されている。同様に、右側の扉機構51の全体、すなわち扉機構51の構成要素である非常用の出入口31およびカバーシート41A,41Bは、すべて右側のカーテン区画部20Bのうち接続部23を避けた位置に配置されている。
【0077】
また、各扉機構50,51の大きさおよび形状は、全て略同じである。従って、各非常用の出入口30,31の幅寸法X1,X2および高さ寸法Y1,Y2は、全て略同じであり、かつ、各カバーシート40A,40B,41A,41Bの幅寸法および高さ寸法も、全て略同じである。なお、本第一実施形態では、各カバーシート40A,40B,41A,41Bの幅寸法は、各扉機構50,51の幅寸法α1,α2でもあり、α1≒α2の関係がある。これらの各寸法の具体的数値例としては、各非常用の出入口30,31の幅寸法X1,X2は、例えば750mm以上であることが好ましく、高さ寸法Y1,Y2は、例えば1800mm以上であることが好ましい(建築基準法施行令第112条第14項第2号参照)。そして、各幅寸法X1,X2を、例えば750mm等としたときには、各カバーシート40A,40B,41A,41Bの幅寸法(各扉機構50,51の幅寸法)α1,α2は、例えば約1100mm等とすることができ、このような寸法にした場合には、例えば約175mm等の幅寸法Nを有する重ね代55を各出入口30,31の両側に確保することができる。
【0078】
また、シャッターカーテン20は、一つの扉機構50の幅寸法α1の例えば約6倍あるいは約8倍の内法全幅寸法Wを有する大開口用シャッターカーテンである。例えば、扉機構50の幅寸法をα1≒1100mmとしたときには、内法全幅寸法Wは約7mあるいは約9mになり、α1≒1600mmとしたときには、内法全幅寸法Wは約10mあるいは約13mになる。なお、内法全幅寸法Wとは、両側のガイドレール70,71の内側同士の間隔をいい、シャッターカーテン20のカーテン幅方向の全幅のうち、案内手段であるガイドレール70,71に呑み込まれる部分を除いた部分の幅、すなわち外部に露出する部分(シャッターカーテン20により仕切られる空間3,4から見える部分)の幅をいう。
【0079】
なお、図1中の二点鎖線のように、カーテン幅方向の適宜な箇所に、各カーテン区画部20A,20Bを巻取軸60,61に巻き取って収納した際の巻径を調整するための巻径調整用部材90を設けるようにしてもよい。このような巻径調整用部材90は、カバーシート40A,40B,41A,41Bと同じ材質、同じ厚さのもので形成することが好ましい。
【0080】
このような第一実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、扉機構50,51を、接続部23を避けた位置に配置するので、シャッターカーテン20の構成を簡易化できる。このため、構成の複雑化に起因してシャッターカーテン20の動きが妨げられるような不都合を未然に回避でき、シャッタカーテン20が円滑に閉鎖状態となるようにすることができ、シャッタカーテン20にその本来の機能を発揮させることができる。
【0081】
また、扉機構50,51を、接続部23を避けた位置に配置するので、遮煙性能やカーテン強度等の必要機能を容易に確保することができるうえ、製造の容易化を図ることができる。
【0082】
さらに、扉機構50,51の構成要素のうち、非常用の出入口30,31のみならず、カバーシート40A,40B,41A,41Bについても、接続部23を避けた位置に配置するので、シャッターカーテン20の構成を、より一層簡易化することができ、必要機能の確保の容易化や製造の容易化を、より一層図ることができる。
【0083】
また、シート状部材により形成されたカーテン本体21A,21Bおよびカバーシート40A,40B,41A,41Bにより、シャッターカーテン20を構成したので、シャッターカーテン20を軽量にできるうえ、折り畳みも可能であることから、運搬時や施工時、あるいは製造時における取扱いの容易化を図ることができる。
【0084】
そして、シート状部材により形成されたカーテン本体21A,21Bおよびカバーシート40A,40B,41A,41Bにより、シャッターカーテン20を構成したので、シャッターカーテン20の横幅が大きくなる程、その利点も大きくなるため、特に大開口に設けられる防災用シャッター装置に好適な防災用シャッター装置10を実現できる。
【0085】
また、カバーシート40A,40B,41A,41Bは、シート状部材であるから、縫製が可能であるため、カーテン本体21A,21Bに容易に取り付けることができる。
【0086】
さらに、重ね代55は、シート状部材により形成されたカーテン本体21A,21Bとカバーシート40A,40B,41A,41Bとの重ね合わせになるので、気密性を容易に確保することができる。
【0087】
[第二実施形態] 図5には、本発明の第二実施形態の扉機構付きシャッター装置である防災用シャッター装置200の要部の斜視図が示されている。
【0088】
防災用シャッター装置200は、前記第一実施形態の防災用シャッター装置10と同様に、火災発生時等の非常時に、建物等の内部の空間を仕切って防火や防煙等を行う防災機能を有するシャッター装置であり、また、左右方向の断面幅の大きな空間を仕切ることができるものであり、建物内の大きな開口に設置される大開口用シャッター装置である。
【0089】
本第二実施形態の防災用シャッター装置200は、前記第一実施形態の防災用シャッター装置10と略同様な構成を備え、シャッターカーテン並びに巻取軸および開閉機の構成が異なるのみであるので、同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略し、以下には異なる部分のみを説明する。
【0090】
防災用シャッター装置200は、複数(九つ)のカーテン区画部220A〜220Iを集合させて構成されたシャッターカーテン220を備えている。各カーテン区画部220A〜220Iの端縁部同士は、縫着により結合され、これにより横長の長方形形状のカーテン本体221が形成されている。そして、この縫着部は、各カーテン区画部220A〜220I同士を接続する接続部223となっている。従って、シャッターカーテン220を構成する各カーテン区画部220A〜220Iは、カーテン閉鎖状態においても、また、カーテン収納状態においても、接続部223で接続された状態となっている。
【0091】
最下列の三つのカーテン区画部220A〜220Cには、扉機構250〜252が設けられている。これらの扉機構250〜252は、すべて接続部223を避けた位置に配置されている。また、シャッターカーテン220の下端部には、金属製の座板222が設けられている。このシャッターカーテン220は、前記第一実施形態のシャッターカーテン20と同様に、内法全幅寸法Wが標準的な内法寸法よりも大きい大開口用シャッターカーテンである。
【0092】
各扉機構250〜252は、連通部である非常用の出入口230〜232と、各非常用の出入口230〜232について表裏二枚ずつ設けられた覆い部であるカバーシート240A〜242A,240B〜242Bとにより、それぞれ構成されている。そして、各非常用の出入口230〜232および各カバーシート240A〜242A,240B〜242Bのいずれも、接続部223を避けた位置に配置されている。なお、カーテン本体221およびカバーシート240A〜242A,240B〜242Bの材質は、前記第一実施形態の場合と同様である。
【0093】
また、前記第一実施形態では、二本の巻取軸60,61が設けられていたが、本第二実施形態では、図示されない一つの開閉機で駆動・制動される一本の巻取軸260が設けられ、この一本の巻取軸260に、接続部223で接続された状態の各カーテン区画部220A〜220Iが巻き取られるようになっている。
【0094】
このような第二実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、前記第一実施形態の場合と同様に、扉機構250〜252を、接続部223を避けた位置に配置するので、シャッターカーテン220の構成を簡易化できる。このため、構成の複雑化に伴う動作上の不都合の回避、遮煙性能やカーテン強度等の必要機能の確保の容易化、製造の容易化を図ることができる。
【0095】
また、前記第一実施形態の場合と同様に、非常用の出入口230〜232のみならず、カバーシート240A〜242A,240B〜242Bについても、接続部223を避けた位置に配置するので、シャッターカーテン220の構成の簡易化、必要機能の確保の容易化、製造の容易化を、より一層図ることができる。但し、カバーシート240A〜242A,240B〜242Bのカーテン本体221への取り付けは、接続部223で行うようにしてもよい。
【0096】
さらに、前記第一実施形態の場合と同様に、シート状部材により形成されたカーテン本体221およびカバーシート240A〜242A,240B〜242Bにより、シャッターカーテン220を構成したので、大開口への対応、縫製等によるカバーシート240A〜242A,240B〜242Bのカーテン本体221への取り付けの容易化、シート状部材同士の重ね合わせによる気密性の確保の容易化を図ることができる。
【0097】
[第三実施形態] 図6には、本発明の第三実施形態の扉機構付きシャッター装置である防災用シャッター装置300の立面図が示されている。
【0098】
防災用シャッター装置300は、前記第一実施形態の防災用シャッター装置10と同様に、火災発生時等の非常時に、建物等の内部の空間を仕切って防火や防煙等を行う防災機能を有するシャッター装置であり、また、左右方向の断面幅の大きな空間を仕切ることができるものであり、建物内の大きな開口に設置される大開口用シャッター装置である。
【0099】
本第三実施形態の防災用シャッター装置300は、前記第一実施形態の防災用シャッター装置10と略同様な構成を備え、シャッターカーテン並びに巻取軸および開閉機の構成が異なるのみであるので、同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略し、以下には異なる部分のみを説明する。
【0100】
防災用シャッター装置300は、複数(二つ)のカーテン区画部320A,320Bを集合させて構成されたシャッターカーテン320を備えている。各カーテン区画部320A,320Bは、カーテン収納状態では、巻取軸360の左右に別々に巻き取られて分割された状態となっている。一方、各カーテン区画部320A,320Bの端縁部同士は、カーテン閉鎖状態では、ファスナ爪324およびこれを噛み合わせるためのファスナ金具325(中間ブラケット326等に固定)により結合され、このファスナ爪324の噛み合わせによる結合部は、各カーテン区画部320A,320B同士を接続する接続部323となっている。
【0101】
各カーテン区画部320A,320Bには、扉機構350,351が設けられている。これらの扉機構350,351は、接続部323を避けた位置に配置されている。また、シャッターカーテン320の下端部には、金属製の座板322が設けられている。なお、座板は、前記第一実施形態のような分割タイプのものとしてもよい。
【0102】
シャッターカーテン320は、前記第一実施形態のシャッターカーテン20と同様に、内法全幅寸法Wが標準的な内法寸法よりも大きい大開口用シャッターカーテンである。
【0103】
各扉機構350,351は、連通部である非常用の出入口330,331と、各非常用の出入口330,331について表裏二枚ずつ設けられた覆い部であるカバーシート340A,340B,341A,341Bとにより、それぞれ構成されている。そして、各非常用の出入口330,331および各カバーシート340A,340B,341A,341Bのいずれも、接続部323を避けた位置に配置されている。なお、カーテン本体321A,321Bおよびカバーシート340A,340B,341A,341Bの材質は、前記第一実施形態の場合と同様である。
【0104】
また、前記第一実施形態では、二本の巻取軸60,61が設けられていたが、本第三実施形態では、一つの開閉機380で駆動・制動される一本の巻取軸360が設けられ、この一本の巻取軸360に、接続部323で接続されていない状態(分割された状態)の各カーテン区画部320A,320Bが別々に巻き取られるようになっている。なお、巻取軸は、このような中央で連結されて一本の巻取軸360とされたものではなく、前記第一実施形態のような分割タイプのものとしてもよい。
【0105】
このような第三実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、前記第一実施形態の場合と同様に、扉機構350,351を、接続部323を避けた位置に配置するので、シャッターカーテン320の構成を簡易化できる。このため、構成の複雑化に伴う動作上の不都合の回避、遮煙性能やカーテン強度等の必要機能の確保の容易化、製造の容易化を図ることができる。
【0106】
また、前記第一実施形態の場合と同様に、非常用の出入口330,331のみならず、カバーシート340A,340B,341A,341Bについても、接続部323を避けた位置に配置するので、シャッターカーテン320の構成の簡易化、必要機能の確保の容易化、製造の容易化を、より一層図ることができる。
【0107】
さらに、前記第一実施形態の場合と同様に、シート状部材により形成されたカーテン本体321A,321Bおよびカバーシート340A,340B,341A,341Bにより、シャッターカーテン320を構成したので、大開口への対応、縫製等によるカバーシート340A,340B,341A,341Bのカーテン本体321A,321Bへの取り付けの容易化、シート状部材同士の重ね合わせによる気密性の確保の容易化を図ることができる。
【0108】
[第四実施形態] 図7には、本発明の第四実施形態の扉機構付きシャッター装置である防災用シャッター装置400の要部の斜視図が示されている。
【0109】
防災用シャッター装置400は、前記第一実施形態の防災用シャッター装置10と同様に、火災発生時等の非常時に、建物等の内部の空間を仕切って防火や防煙等を行う防災機能を有するシャッター装置であり、また、左右方向の断面幅の大きな空間を仕切ることができるものであり、建物内の大きな開口に設置される大開口用シャッター装置である。
【0110】
本第四実施形態の防災用シャッター装置400は、前記第一実施形態の防災用シャッター装置10と略同様な構成を備え、シャッターカーテン並びに巻取軸および開閉機の構成が異なるのみであるので、同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略し、以下には異なる部分のみを説明する。
【0111】
防災用シャッター装置400は、複数(四つ)のカーテン区画部420A〜420Dを集合させて構成されたシャッターカーテン420を備えている。カーテン区画部420A,420Bは、幅方向の寸法の大きなものであり、一方、これらのカーテン区画部420A,420Bの間に形成される隙間部分を埋めるように配置されるカーテン区画部420C,420Dは、幅方向の寸法の小さなものである。
【0112】
各カーテン区画部420A〜420Dは、カーテン収納状態では、各巻取軸480〜483に別々に巻き取られて分割された状態となっている。一方、各カーテン区画部420A〜420Dの端縁部同士は、カーテン閉鎖状態では、重ね合わされた状態とされ、この重合部(寸法幅QA,QBの部分)は、各カーテン区画部420A〜420D同士を接続する接続部423となっている。また、接続部423にマジックテープ等を設けて気密性を向上させるようにしてもよい。なお、カーテン区画部420Dおよびこれを巻き取る巻取軸483は、繰り出された状態のカーテン区画部420A,420Bを挟んで、カーテン区画部420Cおよびこれを巻き取る巻取軸482と対称に配置されている。
【0113】
幅方向の寸法の大きな各カーテン区画部420A,420Bには、扉機構450,451が設けられている。これらの扉機構450,451は、接続部423を避けた位置に配置されている。また、シャッターカーテン420の下端部には、金属製の座板422が設けられている。なお、座板は、前記第一実施形態のような分割タイプのものとしてもよい。また、四つのカーテン区画部420A〜420Dの全ての下端部が座板422で連結されている必要はなく、例えば、幅方向の寸法の小さな各カーテン区画部420C,420Dの下端部は、座板422から切り離すようにしてもよい。
【0114】
シャッターカーテン420は、前記第一実施形態のシャッターカーテン20と同様に、内法全幅寸法Wが標準的な内法寸法よりも大きい大開口用シャッターカーテンである。
【0115】
各扉機構450,451は、連通部である非常用の出入口430,431と、各非常用の出入口430,431について表裏二枚ずつ設けられた覆い部であるカバーシート440A,440B,441A,441Bとにより、それぞれ構成されている。そして、各非常用の出入口430,431および各カバーシート440A,440B,441A,441Bのいずれも、接続部423を避けた位置に配置されている。なお、カーテン本体421A〜421Dおよびカバーシート440A,440B,441A,441Bの材質は、前記第一実施形態の場合と同様である。
【0116】
また、四つの巻取軸480〜483は、それぞれ個別の開閉機の駆動・制動により同期回転させるようにしてもよく、あるいはベルト・プーリやチェーン・スプロケットや歯車列等の回転伝達手段を用いて連動させ、一個ないしは二個の開閉機により駆動・制動するようにしてもよく、さらには、巻取軸480,481を連結して一本の巻取軸としてもよい。
【0117】
このような第四実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、前記第一実施形態の場合と同様に、扉機構450,451を、接続部423を避けた位置に配置するので、シャッターカーテン420の構成を簡易化できる。このため、構成の複雑化に伴う動作上の不都合の回避、遮煙性能やカーテン強度等の必要機能の確保の容易化、製造の容易化を図ることができる。
【0118】
また、前記第一実施形態の場合と同様に、非常用の出入口430,431のみならず、カバーシート440A,440B,441A,441Bについても、接続部423を避けた位置に配置するので、シャッターカーテン420の構成の簡易化、必要機能の確保の容易化、製造の容易化を、より一層図ることができる。
【0119】
さらに、前記第一実施形態の場合と同様に、シート状部材により形成されたカーテン本体421A〜421Dおよびカバーシート440A,440B,441A,441Bにより、シャッターカーテン420を構成したので、大開口への対応、縫製等によるカバーシート440A,440B,441A,441Bのカーテン本体421A,421Bへの取り付けの容易化、シート状部材同士の重ね合わせによる気密性の確保の容易化を図ることができる。
【0120】
[変形の形態] なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0121】
すなわち、前記各実施形態では、一つの扉機構50等は、表裏二枚の覆い部であるカバーシート40A,40B等を備えて構成されていたが(図2参照)、表裏の一方の側のみに覆い部を設けるようにしてもよい。但し、遮煙性能を高めるという観点からは、表裏の両側に設けておくことが好ましい。
【0122】
また、前記各実施形態では、カーテン表裏の一方の側のみに着目した場合、一枚の覆い部であるカバーシート40A等により、一つの連通部である非常用の出入口30等が覆われるようになっていたが、図8に示す扉機構800のように、一つの覆い部801により、二つの連通部802,803が覆われるようにしてもよい。この場合には、覆い部801の幅寸法が、扉機構800の幅寸法α800となる。
【0123】
さらに、図9および図10に示すような扉機構810としてもよい。図9は、扉機構810をカーテン裏側から見た状態の斜視図であり、図10は、扉機構810の水平断面図である。扉機構810は、カーテン本体811を形成するシート状部材に、90度回転したコの字状のスリットを切り込んで設けることにより形成された長方形形状の連通部(非常用の出入口)812を備えている(後述する中間シート813を捲れば長方形形状の開口になるということである)。従って、連通部812の中には、カーテン本体811と一体的に形成された覆い部である中間シート813が入り込んで連通部812の略全面を塞いでいる。また、カーテン裏側には、二枚の覆い部であるカバーシート814,815が設けられ、カーテン表側には、一枚の覆い部であるカバーシート816が設けられている。このため、連通部812は、中間シート813およびカバーシート814,815,816の合計四つの覆い部により、その全面を塞がれている。この場合には、二枚の覆い部であるカバーシート814,815の幅寸法の合計が、扉機構810の幅寸法α810となり、スリットの平行部分同士の間隔が、連通部812の幅寸法X810となる。
【0124】
そして、図11に示す扉機構820のように、カーテン表裏の一方の側のみに着目した場合、複数の連通部821,822,823と、複数の覆い部824,825とにより、一つの扉機構820が構成されるようにしてもよい。この場合には、二つの覆い部824,825の幅寸法の合計が、扉機構820の幅寸法α820となる。
【0125】
また、前記各実施形態では、覆い部であるカバーシート40A等は、カーテン本体21等と別部材で形成されていたが、図12に示す扉機構830のように、カーテン本体831と同一部材により一体的に形成された覆い部832としてもよい。扉機構830は、複数枚(三枚)のシート状部材833A,833B,833Cをカーテン幅方向に並べて縫着部834により連結して形成されたシャッターカーテン833を備えている。そして、両側のシート状部材833A,833Cと、中央のシート状部材833Bの上側部分(図中の二点鎖線の上側部分)とにより、カーテン本体831が構成され、中央のシート状部材833Bの下側部分(図中の二点鎖線の下側部分)により、覆い部832が構成されている。また、縫着部834の形成箇所よりも下側の位置(図中の二点鎖線の下側位置)に、連通部(非常用の出入口)835が形成されている。
【0126】
さらに、本発明の扉機構付きシャッター装置のシャッターカーテンは、図13に示すシャッターカーテン840のように、複数枚(三枚)のシート状部材841,842,843を、シート連結用かつ補強用の中桟844により連結して形成されたカーテン本体845を備えたものとしてもよい。この場合には、扉機構846を構成するにあたっては、シート状部材841,843の間に形成された連通部(非常用の出入口)847を、中桟844に取り付けられた覆い部であるカバーシート848により覆うようにすればよい。
【0127】
そして、前記第一実施形態では、図1中の二点鎖線で示すように、巻径調整用部材90を適宜設けてもよいとされていたが、本発明の扉機構付きシャッター装置では、前記第一実施形態の場合に限らず、シャッターカーテンの幅方向の適宜な箇所に、シャッターカーテンを巻取軸に巻き取って収納した際の巻径を調整するための巻径調整用部材を設けるようにしてもよい。このような巻径調整用部材は、覆い部と同じ材質、同じ厚さのもので形成することが好ましい。
【0128】
また、前記各実施形態では、防災用シャッター装置10等は、シャッターカーテン20等を巻取軸60,61等に巻き取って収納する巻取式のシャッター装置とされていたが、本発明の扉機構付きシャッター装置は、他のタイプのシャッター装置に適用してもよい。例えば、図14に示すように、オーバースライディング式のシャッター装置850に適用し、連通部(非常用の出入口)851と、これを覆う表裏二枚の覆い部であるカバーシート852,853とにより構成された扉機構854を備えたシャッターカーテン855を、ガイドレール856に沿ってスライドさせて上下動させるようにしてもよい。
【0129】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、カーテン閉鎖状態において各カーテン区画部同士が接続部で接続された状態となる構成を有するシャッターカーテンに、扉機構を設けるにあたって、扉機構の構成要素のうち少なくとも連通部を、接続部を避けた位置に配置するようにしたので、シャッターカーテンの構成の簡易化、必要機能の確保の容易化、および製造の容易化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態の扉機構付きシャッター装置である防災用シャッター装置の立面図。
【図2】前記第一実施形態の防災用シャッター装置の縦断面図(図1のA−A線断面図)。
【図3】前記第一実施形態の防災用シャッター装置の要部の斜視図。
【図4】前記第一実施形態の防災用シャッター装置の一部の拡大斜視図。
【図5】本発明の第二実施形態の扉機構付きシャッター装置である防災用シャッター装置の要部の斜視図。
【図6】本発明の第三実施形態の扉機構付きシャッター装置である防災用シャッター装置の立面図。
【図7】本発明の第四実施形態の扉機構付きシャッター装置である防災用シャッター装置の要部の斜視図。
【図8】本発明の第一の変形の形態を示す概略構成図。
【図9】本発明の第二の変形の形態を示す斜視図。
【図10】前記第二の変形の形態の水平断面図。
【図11】本発明の第三の変形の形態を示す概略構成図。
【図12】本発明の第四の変形の形態を示す概略構成図。
【図13】本発明の第五の変形の形態を示す概略構成図。
【図14】本発明の第六の変形の形態を示す概略構成図。
【符号の説明】
3,4 カーテン表裏の空間
10,200,300,400 扉機構付きシャッター装置である防災用シャッター装置
20,220,320,420,833,840,855 シャッターカーテン
20A,20B,220A〜220I,320A,320B,420A〜420D カーテン区画部
21A,21B,221,321A,321B,421A〜421D,811,831,845 カーテン本体
23,223,323,423 接続部
30,31,230〜232,330,331,430,431 連通部である非常用の出入口
40A,40B,41A,41B,240A,240B,241A,241B,242A,242B,340A,340B,341A,341B,440A,440B,441A,441B,814,815,816,848,852,853 覆い部であるカバーシート
50,51,250〜252,350,351,450,451,800,810,820,830,846,854 扉機構
55 重ね代
801,824,825,832 覆い部
802,803,812,821〜823,835,847,851 連通部
813 覆い部である中間シート
W カーテン幅方向の内法全幅寸法
Claims (13)
- 空間を仕切るカーテン本体と、このカーテン本体により仕切られたカーテン表裏の空間を連通する連通部と、この連通部を覆いかつ前記連通部とともに扉機構を構成する覆い部とを有するシャッターカーテンを備えた扉機構付きシャッター装置において、
前記シャッターカーテンは、複数の区画に分割された状態の各カーテン区画部を集合させることにより構成され、少なくとも前記シャッターカーテンにより前記空間が仕切られたカーテン閉鎖状態では、前記各カーテン区画部同士は、接続部で接続された状態とされ、
前記扉機構のうち少なくとも前記連通部は、前記カーテン閉鎖状態とされた前記シャッターカーテンの前記接続部を避けた位置に配置され、
前記シャッターカーテンのカーテン幅方向の内法全幅寸法が前記扉機構の幅寸法の約6倍以上となっており、
前記連通部は二次元的広がりを持つ開口状に形成され、
前記扉機構は前記カーテン幅方向に複数配置され、
前記シャッターカーテンの下端部に設けられている座板は、前記各カーテン区画部に跨って前記シャッターカーテンの幅方向の略全幅に渡る一体的に形成されたものとなっており、
前記覆い部の下端縁の少なくとも一部が前記座板から離れるようになっていることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。 - 請求項1に記載の扉機構付きシャッター装置において、前記シャッターカーテンの前記接続部は、前記各カーテン区画部を単に重ね合わせただけの状態となっていることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1に記載の扉機構付きシャッター装置において、前記シャッターカーテンの前記接続部は、前記各カーテン区画部同士を再分離可能に連結した状態になっていることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1に記載の扉機構付きシャッター装置において、前記シャッターカーテンの前記接続部は、前記各カーテン区画部同士を結合した状態になっていることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の扉機構付きシャッター装置において、前記各カーテン区画部は1本の巻取軸で巻き取られることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の扉機構付きシャッター装置において、前記扉機構のうち前記覆い部も、前記カーテン閉鎖状態とされた前記シャッターカーテンの前記接続部を避けた位置に配置されていることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の扉機構付きシャッター装置において、前記シャッターカーテンが収納部に収納されたカーテン収納状態では、前記各カーテン区画部同士は、前記接続部で接続されていない状態にあることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1,2,4〜6のいずれかに記載の扉機構付きシャッター装置において、前記シャッターカーテンが収納部に収納されたカーテン収納状態でも、前記各カーテン区画部同士は、前記接続部で接続された状態にあることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の扉機構付きシャッター装置において、前記覆い部と、前記カーテン本体のうち少なくとも前記覆い部と重なる重ね代部分とは、いずれもシート状部材により形成されていることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の扉機構付きシャッター装置において、前記シャッターカーテンは、防災機能を有し、前記連通部は、非常用の出入口であることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の扉機構付きシャッター装置において、前記シャッターカーテンは、カーテン幅方向につき標準的な内法寸法よりも大きな内法寸法を有し、かつ、断面幅の大きな空間を仕切る大開口用シャッターカーテンであることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
- 請求項1〜8,10のいずれかに記載の扉機構付きシャッター装置において、前記覆い部と、前記カーテン本体のうち少なくとも前記覆い部と重なる重ね代部分とは、いずれもシート状部材により形成され、
前記シャッターカーテンは、カーテン幅方向につき12mを超える内法寸法を有し、かつ、断面幅の大きな空間を仕切る大開口用シャッターカーテンであることを特徴とする扉機構付きシャッター装置。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の扉機構付きシャッター装置において、二次元的広がりを持つ開口状に形成されている前記連通部は、前記シャッターカーテンの閉鎖方向先端部の近傍にこの閉鎖方向先端部に沿って配置される一定幅の辺を有することを特徴とする扉機構付きシャッター装置。
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