JP4421072B2 - シャッター装置およびその施工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空間を仕切るシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの周辺に配置された周辺部材とを装置構成部材として備え、このうちシャッターカーテンの少なくとも一部が可撓性部材により構成されたシャッター装置およびその施工方法に係り、例えば、防火や防煙等を行うための防災用シャッター装置等に利用でき、特に、断面幅の大きな空間を仕切る大開口用シャッター装置等として好適に利用できる。
【0002】
【背景技術】
一般に、建物の出入口や通路の途中等には、シャッターカーテンを上下動させて空間を仕切るための各種の目的のシャッター装置が設けられており、防火や防煙等を行うための防災用シャッター装置もそのうちの一種である。
【0003】
従来より、このような防災用シャッター装置としては、金属製(鉄製)のシャッターカーテンを備えたものが用いられていた。そして、金属製のシャッターカーテンを備えた防災用シャッター装置は、建築基準法施行令第112条第14項第4号に基づく建設省告示(昭和48年告示2564号)が存在することから、横幅が5m以下のものが標準仕様とされていた。従って、防災用シャッター装置を設置すべき建物内の開口(シャッターカーテンにより仕切られるべき空間の断面幅)が大きい、いわゆる大開口の場合には、通常、開口の中間位置にガイドレールを設けた中柱を立てることにより、横幅5m以下の標準仕様の防災用シャッター装置を連設して対応していた。
【0004】
一方、近年、各種材料の開発が進み、耐火性、遮熱性、遮煙性、防水性等に優れた布製のスクリーンが開発され、このような布製のスクリーンにより形成されたシャッターカーテンを備えた防災用シャッター装置が、建築基準法第38条の建設大臣の認可を受けて用いられるようになってきた。そして、このような布製のスクリーンにより形成されたシャッターカーテンは、金属製のシャッターカーテンに比べ、軽量であるうえ、可撓性を有するので比較的自由に変形させることが可能であることから、運搬時や施工時の取扱いが容易であるという利点がある。従って、このような布製のスクリーンにより形成されたシャッターカーテンは、その取扱いの容易性から大型化への対応も図ることが可能であり、大開口用シャッターカーテンとして用いることに適しているといえる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した布製のスクリーンにより形成されたシャッターカーテンを備えた防災用シャッター装置であっても、可撓性を有する布製のスクリーンのみを装置構成部材として備えているわけではなく、装置構成部材には剛性部材も含まれている。
【0006】
すなわち、装置構成部材には、シャッターカーテンだけではなく、例えば、シャッターカーテンを巻き取る巻取軸あるいは天井に設けられたまぐさ等、シャッターカーテンの周辺に配置された周辺部材もある。そして、これらの周辺部材の多くが剛性部材により構成されている。また、シャッターカーテンにしても、可撓性を有する布製のスクリーンだけで構成されているとは限らず、例えば、座板や重錘あるいはスクリーン連結用若しくは補強用の中桟等のような剛性部材を含んでいる場合もある。
【0007】
従って、シャッター装置全体として考えれば、装置構成部材に剛性部材が含まれているので、たとえ布製のスクリーンにより形成されたシャッターカーテンを備えていても、それだけでは運搬時や施工時の取扱いが容易であるとはいえない場合も生じてくる。
【0008】
そして、このようなことは、布製のスクリーンにより形成されたシャッターカーテンを備えた防災用シャッター装置の場合に限らず、シャッターカーテンの少なくとも一部が可撓性部材により構成されたシャッター装置であれば、同様にいえることであり、また、シャッター装置を設置すべき建物内の開口が大きい程、顕著になってくることである。
【0009】
本発明の目的は、運搬時や施工時の取扱いを容易に行うことができるシャッター装置およびその施工方法を提供するところにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、空間を仕切るシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの周辺に配置された周辺部材とを装置構成部材として備え、このうちシャッターカーテンの少なくとも一部が可撓性部材により構成されたシャッター装置において、装置構成部材のうち可撓性部材以外の剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするものが、全て分割された部材を集合させて一体化することにより形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
ここで、「シャッターカーテンの少なくとも一部が可撓性部材により構成された」とは、シャッターカーテンの全ての部分が可撓性部材により構成されている場合と、シャッターカーテンの一部が可撓性部材により構成されて残りの部分が剛性部材により構成されている場合とを含む意味である。
【0012】
そして、可撓性部材とは、布、ゴム、塩化ビニール等の合成樹脂、紙等を原材料として形成されたシート状部材、ネット状部材、多孔を有するスポンジ状部材等のことを意味し、部材を形成する原材料そのものが比較的軟質のものである場合が該当する。従って、例えば、複数の金属片等の剛性部材を屈曲自在に連結してキャタピラ(登録商標)のようにしたとしても、それは本発明における可撓性部材には含まれないので、複数の金属製スラットを連設して形成された通常のシャッターカーテンは、巻取軸に巻き取ることが可能であるとしても、それは本発明における可撓性部材には含まれない。
【0013】
また、「剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするもの」には、周辺部材を構成する剛性部材と、シャッターカーテンの一部が可撓性部材により構成された場合における残りの部分を構成する剛性部材とが含まれる。そして、前者の周辺部材を構成する剛性部材としては、例えば、巻取式のシャッター装置の場合におけるシャッターカーテンを巻き取って収納する巻取軸(本願出願人により既に提案されているシャッター装置の軸部材の接続構造(特願2000-113420号)参照)、シャッターカーテンの収納部を覆うケース、天井に設けられるまぐさ等が挙げられ、後者のシャッターカーテンの一部が可撓性部材により構成された場合における残りの部分を構成する剛性部材としては、例えば、シャッターカーテンの閉鎖方向先端部に設けられるカーテン先端部材(例えば座板や重錘等)、シャッターカーテンを連結若しくは補強する中桟、巻取式のシャッター装置の場合におけるシャッターカーテンの巻取軸への取付側の端部に設けられた吊り元部材として機能するスラット(本願出願人により既に提案されている開閉装置の開閉体取付方法(特願平10-345854号)参照)等が挙げられる。これらの各剛性部材は、シャッター装置が必ず備えているものとは限らないが、備えている場合には、これらの各剛性部材が分割の対象となるという意味である。もっとも、装置構成部材のうち例えば開閉機等のようなそれ程長尺ではない剛性部材がカーテン幅方向を長手方向としていたとしても、そのような剛性部材までをも分割の対象とする趣旨ではなく、本発明における「剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするもの」とは、シャッターカーテンのカーテン幅方向の全長と同等か、あるいはそれに近い寸法(シャッターカーテンのカーテン幅方向の全長の60%以上の寸法)を有する剛性部材のみを指すものである。
【0014】
なお、「剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向を長手方向とするもの」、例えば、シャッターカーテンの端部を挿入してシャッターカーテンの移動を案内するガイドレール等については、分割された部材を集合させて一体化することにより形成されているか否かは、問わないものとする。但し、「剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向を長手方向とするもの」についても、寸法が長尺化した場合には、「剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするもの」と同様に、分割された部材を集合させて一体化することにより形成されていることが好ましい。この際、「剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向を長手方向とするもの」の分割形態や搬入の際の取扱方法等については、以下に述べる事項を含め、「剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするもの」と全く同様に考えることができる。
【0015】
また、「シャッターカーテンの移動方向」とは、シャッターカーテンが開閉動作を行う際の開閉方向(閉動作のみを行う場合には、閉鎖方向)のことをいい、上下方向、左右方向、斜め方向、水平方向、あるいはこれらを複合した方向等、任意である。但し、防災用シャッター装置とする場合には、自重降下可能な方向としておくことが好ましい。
【0016】
そして、「シャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向」とは、シャッターカーテンに沿う面内においてシャッターカーテンの移動方向に直交する方向のことをいい、シャッターカーテンの厚さ方向(肉厚方向)を意味するものではない。
【0017】
さらに、「分割された部材を集合させて一体化する」とは、完全に分離されて別々に取り扱うことが可能とされた状態の部材を、例えばボルト・ナット、リベット、ビス、釘等の締結具を用いて結合したり、あるいは溶接や接着や溶着により結合する場合(例えば、後述する図2、図3、図6、図8の場合等)のみならず、完全に分離されて別々に取り扱うことが可能とされた状態の部材を、溶接やボルト締め等により直接に結合することなく連続配置するだけとした場合、あるいは、完全に分離されて別々に取り扱うことが可能とされた状態の部材を、溶接やボルト締め等を行わずに凹凸嵌合等により結合する場合を含み、さらには、分割された部材を蝶番等で屈曲可能に連結する場合(例えば、後述する図9の場合等)、あるいは、分割された部材を入れ子収納式等にして伸縮可能な状態にした場合(例えば、後述する図10の場合等)をも含む趣旨である。
【0018】
このような本発明においては、剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするものを、全て分割された部材を集合させて一体化することにより形成するので、運搬時や施工時において、各装置構成部材を小寸法化した状態で取り扱うことが可能となるうえ、分割による軽量化も図ることが可能となる。このため、シャッターカーテンの少なくとも一部を構成する可撓性部材と同様に、運搬時や施工時の取扱いを容易に行うことができるようになり、シャッター装置全体として考えた場合であっても、取扱いの容易性が向上することとなり、これらにより前記目的が達成される。
【0019】
また、前述したように、「剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするもの」としては、巻取軸、ケース、まぐさ、カーテン先端部材(例えば座板や重錘等)、中桟、吊り元部材として機能するスラット等、各種のものが挙げられるが、特に、代表的なものとして、次のような剛性部材を備えたシャッター装置が挙げられる。すなわち、前述した本発明のシャッター装置において、剛性部材のうち周辺部材を構成するものには、シャッターカーテンを巻き取って収納する巻取軸が含まれ、剛性部材のうちシャッターカーテンを構成するものには、シャッターカーテンの閉鎖方向先端部に設けられるカーテン先端部材が含まれることを特徴とするものが挙げられる。
【0020】
さらに、以上において、本発明のシャッター装置におけるシャッターカーテンの幅方向の内法寸法は任意であるが、特に、シャッターカーテンが、カーテン幅方向につき標準的な内法寸法よりも大きな内法寸法を有し、かつ、断面幅の大きな空間を仕切る大開口用シャッターカーテンである場合に、本発明を好適に適用することができる。
【0021】
ここで、「内法寸法」とは、シャッターカーテンのカーテン幅方向の全幅のうち、案内手段(例えば、ガイドレール、あるいは壁や柱に直接形成された溝部等)に呑み込まれる部分を除いた部分の幅寸法、すなわち外部に露出する部分(シャッターカーテンにより仕切られる空間から見える部分)の幅寸法をいう。
【0022】
また、大開口用シャッターカーテンとは、次に挙げられた各条件のうち少なくとも一つを満たすものをいい、本願出願人により既に多くの提案がなされているものである(特願平11-313107号等参照)。
【0023】
第一の条件としては、「建築基準法施行令第112条第14項第4号に基づく建設省告示(昭和48年告示2564号)」に基づく幅を超えているもの、すなわち内法幅が5mを超えているもの(いわゆる鉄製の防火防煙シャッターの標準仕様よりも大きいもの)であることが挙げられる。
【0024】
第二の条件としては、「建築基準法施行令第112条第14項第4号に基づく建設省告示(昭和48年告示2564号)」に基づく幅を超えているもの、すなわち内法幅が8mを超えているもの(乙種防火戸に近接する位置に併設した鉄製シャッターよりも大きいもの)であることが挙げられる。
【0025】
第三の条件としては、道路法第47条第1項に基づく政令(車両制限令第3条第1項第4号、平成5年最終改正の政令375)で定める車両(貨物が積載されている場合にあってはその状態におけるもの)の長さの最高限度を超えるもの、すなわちカーテン幅方向の全幅寸法が12mを超えるものであることが挙げられる。
【0026】
第四の条件としては、道路法第47条第1項に基づく政令(車両制限令第3条第3項、平成5年最終改正の政令375)で定める高速自動車国道を通行するセミトレーラ連結車又はフルトレーラ連結車で、その積載する貨物が被けん引車の車体の前方又は後方にはみ出していないものの長さの最高限度を超えるもの、すなわちカーテン幅方向の全幅寸法が16.5m(セミトレーラ連結車に積載する場合)又は18m(フルトレーラ連結車に積載する場合)を超えるものであることが挙げられる。
【0027】
第五の条件としては、本発明のシャッター装置が、シャッターカーテンを巻取軸に巻き取って収納する巻取収納式のシャッター装置である場合において、巻取軸の軸方向の中間位置の少なくとも一箇所に、巻取軸および巻取軸に巻き取られた状態のシャッターカーテンを支持して巻取軸の撓みを抑える補助ローラ等の支持手段が設けられているものであることが挙げられる。
【0028】
このように本発明を大開口用シャッターカーテンを備えたシャッター装置に好適に適用できるのは、シャッター装置が大型化する程、各装置構成部材が長尺化するとともに重量が大きくなるので、本発明により各装置構成部材を分割して取り扱う必要性が高いからである。
【0029】
また、本発明は、空間を仕切るシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの周辺に配置された周辺部材とを装置構成部材として備え、このうちシャッターカーテンの少なくとも一部が可撓性部材により構成されたシャッター装置の施工方法において、装置構成部材のうち可撓性部材以外の剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするものを、全て分割して最終長よりも小寸法化した状態で建築現場に搬入するとともに、可撓性部材を折り畳み若しくは分割した状態で建築現場に搬入し、その後、建築現場で、小寸法化した状態の剛性部材を最終長に仕上げるとともに、折り畳み若しくは分割した状態の可撓性部材を展開若しくは接続することを特徴とするものである。
【0030】
ここで、「小寸法化した状態」とは、完全に分離して別々に取り扱うことが可能とされた状態(例えば、後述する図3、図6の場合等)のみならず、分割された部材が蝶番等で屈曲可能に連結されている場合においてこれを折り曲げた状態(例えば、後述する図9の場合等)、あるいは、分割された部材を入れ子収納式等にして伸縮可能とした場合においてこれを縮めた状態(例えば、後述する図10の場合等)をも含む趣旨である。
【0031】
また、「最終長に仕上げる」とは、完全に分離されて別々に取り扱うことが可能とされた状態の部材を、例えばボルト・ナット、リベット、ビス、釘等の締結具を用いて結合したり、あるいは溶接や接着や溶着により結合する場合(例えば、後述する図3、図6の場合等)のみならず、完全に分離されて別々に取り扱うことが可能とされた状態の部材を、溶接やボルト締め等により直接に結合するのではなく単に集合させて連続配置するだけの場合、あるいは、完全に分離されて別々に取り扱うことが可能とされた状態の部材を、溶接やボルト締め等を行わずに凹凸嵌合等により結合する場合を含み、さらには、分割された部材が蝶番等で屈曲可能に連結されている場合においてこれを直線状または曲線状に拡げる場合(例えば、後述する図9の場合等)、あるいは、分割された部材を入れ子収納式等にして伸縮可能とした場合においてこれを伸ばした状態とする場合(例えば、後述する図10の場合等)をも含む趣旨である。
【0032】
さらに、「可撓性部材を折り畳み若しくは分割した状態」には、折り畳んだ状態の部材をさらに巻き取った状態とした場合、分割した状態の部材をそれぞれ巻き取った状態とした場合、分割した状態の部材をそれぞれ折り畳んだ状態とした場合、分割した状態の部材をそれぞれ折り畳んだ状態としてさらにそれらを巻き取った状態とした場合も含まれるものとする。
【0033】
このような本発明においては、シャッター装置の各装置構成部材を建築現場に搬入する際に、剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするものについては、全て分割して最終長よりも小寸法化した状態とし、可撓性部材については、折り畳み若しくは分割した状態とするので、運搬時や施工時におけるこれらの各装置構成部材の取扱いが容易になり、これにより前記目的が達成される。
【0034】
さらに、前述した本発明のシャッター装置の施工方法において、建築現場への搬入の際には、小寸法化した状態の剛性部材、および折り畳み若しくは分割した状態の可撓性部材を、いずれも12m以下の寸法に収めることが望ましい。
【0035】
このように剛性部材および可撓性部材を、いずれも12m以下の寸法に収めて取り扱うことができるようにすれば、運搬時や施工時におけるこれらの各装置構成部材の取扱いがより一層容易になる。
【0036】
なお、より好ましくは8m以下の寸法、さらにより一層好ましくは6m以下の寸法に収めるようにするのがよい。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態のシャッター装置10の全体構成が示されている。また、図2〜図8には、シャッター装置10の要部の詳細構成が示されている。
【0038】
図1において、シャッター装置10は、火災発生時等の非常時に、建物等の内部の空間を仕切って防火や防煙等を行う防災機能を有する防災用シャッター装置であり、例えば、通路空間の途中に設けられたり、あるいは通路空間とホール空間との境界位置に設けられたりして防災区画を形成する役割を果たすものである。また、シャッター装置10は、左右方向の断面幅の大きな空間を仕切ることができるものであり、建物内の大きな開口に設置される大開口用シャッター装置である。
【0039】
図1において、シャッター装置10は、上下動して空間を仕切るシャッターカーテン20と、このシャッターカーテン20を巻き取る巻取軸30と、シャッターカーテン20の図1中における左右両側端縁部分が挿入されてシャッターカーテン20の上下動を案内する左右の案内手段であるガイドレール40,41と、シャッターカーテン20の上下動および停止を行うためのモータおよびブレーキ等からなる開閉機50とを備えている。
【0040】
シャッターカーテン20は、通常時には、開閉機50のブレーキが作動することにより、巻取軸30に巻き取られた収納状態で保持され、この状態では、シャッターカーテン20の下端部(閉鎖方向先端部)に設けられたカーテン先端部材である座板60が、天井1に形成されたシャッターカーテン20を通すためのスリット部分に設けられた、まぐさ70の位置まで上昇して収まるようになっている。
【0041】
一方、火災発生時等の非常時には、火災発生等に伴って発生する炎、煙、熱、臭い等が図示されないセンサで検出されると、このセンサからの信号により開閉機50のブレーキが解除されるようになっている。この結果、座板60を含むシャッターカーテン20の自重により、シャッターカーテン20は巻取軸30から繰り出されて下降し、座板60が床2に達することにより全閉状態となるようになっている。なお、このようなセンサを使用した自動閉鎖式ではなく、レバー操作等により人為的に開閉機50のブレーキを解除できる構成としてもよく、あるいはセンサによる自動閉鎖とレバー操作等による人為操作とを併用できる構成としてもよい。
【0042】
また、図示されないスイッチ等を操作すると、開閉機50のモータが駆動され、これにより巻取軸30が回転してシャッターカーテン20が巻取軸30に巻き取られて上昇し、座板60が天井1のまぐさ70の位置に達すると、開閉機50のモータが停止するとともに、ブレーキが作動するようになっている。なお、このようなモータ駆動による巻き取りではなく、チェーン引き操作やレバー操作等により手動で巻き取れる構成としてもよい。
【0043】
シャッターカーテン20は、複数枚(ここでは四枚とする。)の可撓性部材であるシート状部材21〜24を、上下方向の中間位置に設けられた金属製の中桟80により連結して形成されている。すなわち、シャッターカーテン20は、中桟80の上側部分を構成する横長の長方形形状のシート状部材21と、中桟80の下側部分の最も左側部分を構成する縦長の長方形形状のシート状部材22と、中桟80の下側部分の中央部分を構成する横長の長方形形状のシート状部材23と、中桟80の下側部分の最も右側部分を構成する縦長の長方形形状のシート状部材24とを備えて構成されている。
【0044】
これらのシート状部材21〜24としては、例えば、シリカクロスまたはガラスクロス、あるいはこれらに耐火被覆材としての耐火塗料や防水被覆材を吹き付け若しくは塗布しまたは含浸させて形成された布製のスクリーン等を好適に用いることができる。このような布製のスクリーンは、耐火性、遮熱性、遮煙性、防水性、耐風圧性等に優れたものであり、防災用シャッター装置としての機能を十分に果たすことができるものである。
【0045】
また、中桟80の下側部分には、複数(ここでは、二つとする。)の非常用の扉機構90,91が設けられている。これらの扉機構90,91は、それぞれカーテン表裏の空間を連通するように形成された縦長の長方形形状の開口である出入口92,93と、これらの出入口92,93を覆うカバーシート94,95とを備えて構成されている。カバーシート94,95は、シート状部材21〜24と同じ材質のシート状部材で形成され、十分な防災機能を有するものである。なお、カバーシート94,95は、出入口92,93を表裏両側から覆うように設けておくことが好ましい。
【0046】
これらの非常用の扉機構90,91は、火災発生時等の緊急時において建物等の内部にいる人々の避難経路を確保するために、すなわち火災発生等に伴いシャッターカーテン20が降ろされた後にその防災区画内に取り残された人々の逃げ道を確保するために、あるいは救助者や消防隊員等の通り道を確保するために設けられているものである。
【0047】
図2には、巻取軸30の接続部の拡大断面図が示され、図3には、その分解斜視図が示され、図4には、図2のA−A線断面図が示されている。図1に示すように、シャッター装置10を構成する軸部材である巻取軸30は、長手方向(軸方向)につき複数(ここでは、三つとする。)に分割された分割式の軸部材であり、最も左側の軸部材31と、中央の軸部材32と、最も右側の軸部材33とを順次連結して形成されている。また、各軸部材31〜33は、板状部材を円筒状に湾曲させてこの板状部材の平行二辺を突き合わせて溶接により接合して形成されている。なお、軸部材31と軸部材32との接続構造は、軸部材32と軸部材33との接続構造と全く同様であるので、以下では前者の接続構造のみを説明するものとする。
【0048】
図2〜図4において、互いに接続される一方の軸部材31の端部31Aには、中空部31Bが形成され、他方の軸部材32の端部32Aには、中空部32Bが形成され、これらの中空部31B,32Bは、連通されている。そして、これらの連通された中空部31B,32Bに跨って接続用の中間部材34が挿入配置されている。
【0049】
中間部材34は、中空部31B,32Bに跨って挿入配置される中空丸棒状の中間軸35と、この中間軸35に直交する状態で取り付けられて中空部31B内に配置される複数枚(ここでは、二枚とする。)の円盤状部材である中子36A,36Bと、中間軸35に直交する状態で取り付けられて中空部32B内に配置される複数枚(ここでは、二枚とする。)の円盤状部材である中子36C,36Dとを備えて構成されている。
【0050】
四枚の中子36A〜36Dは、すべて同じ外径寸法D2を有し、中空部31B,32Bの内径寸法と略同じである。ここで、略同じというのは、全く同じか、あるいは各中子36A〜36Dの外径寸法D2のほうが若干小さめの状態、例えば、1mm程度の隙間があく状態となることを意味する。また、各中子36A〜36Dの中間軸35への取り付けは、溶接等により行う。なお、各中子36A〜36Dの内径寸法と中間軸35の軸径寸法D1とは、隙間なく一致していることが好ましい。
【0051】
四枚の中子36A〜36Dの配置間隔の具体的数値例を挙げると、例えば、中間軸35の長さをL=1000mm等とすると、中間軸35の左端から中子36Aまでの間隔がL=10mm程度、中子36Aと中子36Bとの間の間隔がL=480mm程度、中子36Bと中子36Cとの間の間隔がL=20mm程度、中子36Cと中子36Dとの間の間隔がL=480mm程度、中間軸35の右端から中子36Dまでの間隔がL=10mm程度などとすることができる。また、中間軸35の軸径(直径)は例えばD1=30mm程度などとすることができ、各中子36A〜36Dの板厚は例えばT=4.5mm程度で、その外径(直径)は例えばD2=106.5mm程度などとすることができる。
【0052】
各中子36A〜36Dの外周面には、それぞれ凹部37が形成され、これらの凹部37には、軸部材31,32のそれぞれの溶接部に形成された溶着ビード38が収納配置されている(図4参照)。
【0053】
軸部材31の端部31Aおよび軸部材32の端部32Aには、それぞれ周方向の複数箇所(ここでは、四箇所とする。)に貫通孔39が設けられている。中子36A,36Bと軸部材31の端部31Aとの結合、および中子36C,36Dと軸部材32の端部32Aとの結合は、これらの貫通孔39を利用して溶接により行われる。また、軸部材31の端部31Aの端面31Cと、これに対向する軸部材32の端部32Aの端面32Cとは、全周に渡り溶接しておくことが好ましい。この際、溶着ビードが軸部材31,32の外周面よりも外側に突出しないように溶接部の外周面を仕上げておくことが好ましい。
【0054】
なお、図2〜図4の軸部材31と軸部材32との接続構造においては、軸部材31を本発明における一方の軸部材とし、軸部材32を本発明における他方の軸部材とすると、中空部31Bが本発明における第一中空部に該当し、中空部32Bが本発明における第二中空部に該当し、二枚の中子36A,36Bが本発明における第一中子に該当し、二枚の中子36C,36Dが本発明における第二中子に該当する。
【0055】
また、巻取軸30の分割位置、すなわち中間部材34の配置位置は、巻取軸30に作用する曲げモーメントが最大値をとる位置(ここでは、巻取軸30の中央位置となる。)を避けた位置とされている。
【0056】
さらに、巻取軸30の左右の端部には、中間部材34の略半分に相当する構成を有する端部材34Aが設けられ、これらの端部材34Aは軸受で支持されている。これらの端部材34Aの軸部材31,33への結合方法は、中間部材34の結合方法と同様である。
【0057】
図5には、座板60の拡大断面図が示され、図6には、上方から見た場合における座板60の分解平面図が示されている。図5は、図1のB−B線断面図であるが、他の箇所の断面構造も同様である。
【0058】
図5において、シート状部材22の下端部は折り返して袋状に形成され、この袋状部分の内部には、金属製の平板状の座板第一部材61が挿入されている。座板60は、この座板第一部材61と、シート状部材22を挟んで座板第一部材61の図5中左側に配置されて床面2に当接される金属製の座板第二部材62と、シート状部材22を挟んで座板第一部材61の図5中右側に配置された金属製の座板第三部材63とを備えて構成されている。これらの座板第一、第二、第三部材61,62,63は、これらを貫通するボルト64およびナット65により互いに連結されて一体化されている。
【0059】
また、図6に示すように、座板第一部材61は、長手方向につき複数(ここでは、三つとする。)の部材61A,61B,61Cに分割され、座板第二部材62は、長手方向につき複数(ここでは、二つとする。)の部材62A,62Bに分割され、座板第三部材63は、長手方向につき複数(ここでは、二つとする。)の部材63A,63Bに分割されている。そして、これらの座板第一、第二、第三部材61,62,63の分割位置は、互い違いになっている。
【0060】
なお、座板第一部材61を構成する各部材61A,61B,61C同士、座板第二部材62を構成する各部材62A,62B同士、座板第三部材63を構成する各部材63A,63B同士は、溶接やボルト締め等により直接に結合してもよく、あるいは直接に結合しなくてもよい。但し、気密性を向上させるという観点からは、座板第二部材62を構成する各部材62A,62B同士、座板第三部材63を構成する各部材63A,63B同士は、溶接やボルト締め等により直接に結合しておくことが好ましい。
【0061】
図7には、中桟80の拡大断面図が示され、図8には、中桟80の長手方向についての分割状態の説明図が示されている。図7は、図1のC−C線断面図であるが、他の箇所の断面構造も同様である。
【0062】
図7において、中桟80は、図中右側に開口部がくるように配置されるコの字状断面を有する中桟第一部材81と、図中上側に開口部がくるように配置されるコの字状断面を有する中桟第二部材82と、図中右側に開口部がくるように配置されるコの字状断面を有する中桟第三部材83と、L字状断面を有する中桟第四部材84とを備えて構成されている。これらの各部材81,82,83,84は、全て金属製である。
【0063】
中桟第二部材82は、中桟第一部材81の内側に挿入配置され、これらはねじ85Aにより固定されている。これらの中桟第一部材81と中桟第二部材82とによって囲まれた空間86内には、シート状部材21の袋状に形成された下端部に包まれた係止棒87が挿入配置されて空間86から抜けないようになっている。一方、中桟第三部材83および中桟第四部材84は、中桟第一部材81の内側であって中桟第二部材82の下側位置に挿入配置され、中桟第三部材83と中桟第四部材84とは、ねじ85Bにより固定され、また、中桟第一部材81と中桟第三部材83とは、ねじ85Cにより固定されている。これらの中桟第三部材83と中桟第四部材84とによって囲まれた空間88内には、シート状部材23の袋状に形成された上端部に包まれた係止棒89が挿入配置されて空間88から抜けないようになっている。
【0064】
また、図8に示すように、中桟第一部材81は、長手方向につき複数(ここでは、二つとする。)の部材81A,81Bに分割され、中桟第二部材82は、長手方向につき複数(ここでは、三つとする。)の部材82A,82B,82Cに分割され、中桟第四部材84は、長手方向につき複数(ここでは、三つとする。)の部材84A,84B,84Cに分割され、中桟第三部材83も中桟第四部材84と同じ位置で長手方向につき複数(ここでは、三つとする。)の部材83A,83B,83Cに分割されている。そして、これらの中桟第一部材81の分割位置と、中桟第二、第三、第四部材82,83,84の分割位置とは、異なるものとなっている。
【0065】
なお、中桟第一部材81を構成する各部材81A,81B同士、中桟第二部材82を構成する各部材82A,82B,82C同士、中桟第三部材83を構成する各部材83A,83B,83C同士、中桟第四部材84を構成する各部材84A,84B,84C同士は、溶接やボルト締め等により直接に結合してもよく、あるいは直接に結合しなくてもよい。但し、気密性を向上させるという観点からは、これらの各部材同士は、溶接やボルト締め等により直接に結合しておくことが好ましい。
【0066】
図1において、巻取軸30は、その周囲をケース100で覆われている。このケース100は、長手方向(巻取軸30の軸方向)につき複数(ここでは、三つとする。)の部材100A,100B,100Cに分割されている。また、まぐさ70も、長手方向につき複数(ここでは、三つとする。)の部材70A,70B,70Cに分割されている。
【0067】
なお、ケース100を構成する各部材100A,100B,100C同士、まぐさ70を構成する各部材70A,70B,70C同士は、溶接やボルト締め等により直接に結合してもよく、あるいは直接に結合せずに連続配置するだけとしてもよい。
【0068】
また、シャッターカーテン20には、中桟80の下側位置に、カバーシート94,95と同じ材質のシート状部材により形成された巻径調整用部材110が左右方向に適宜な間隔をおいて設けられている。この巻径調整用部材110は、シャッターカーテン20を巻取軸30に巻き取った際に、その巻径が扉機構90,91の存在による影響で軸方向について均一にならないことを防止若しくは緩和するためのものである。
【0069】
なお、巻取軸30、ガイドレール40,41、開閉機50、まぐさ70、ケース100は、いずれもシャッターカーテン20の周辺に配置された周辺部材に該当するものである。また、座板60および中桟80は、シャッターカーテン20の構成部材として捉えるものとする。
【0070】
このような本実施形態においては、以下のようにしてシャッター装置10の運搬作業や設置作業が行われる。
【0071】
先ず、工場で製造されたシャッター装置10の構成部材のうち剛性部材については、分割した状態で建築現場に搬入する。すなわち、巻取軸30は、三つの軸部材31〜33に分割し、座板60を構成する座板第一、第二、第三部材61,62,63は、三つの部材61A,61B,61C、二つの部材62A,62B、二つの部材63A,63Bにそれぞれ分割し、中桟80を構成する中桟第一、第二、第三、第四部材81,82,83,84は、二つの部材81A,81B、三つの部材82A,82B,82C、三つの部材83A,83B,83C、三つの部材84A,84B,84Cにそれぞれ分割し、ケース100は、三つの部材100A,100B,100Cに分割し、まぐさ70は、三つの部材70A,70B,70Cに分割した状態で建築現場に搬入する。なお、ガイドレール40,41についても、長手方向(上下方向)の寸法が大きい場合には、複数の部材に分割して搬入するようにしてもよい。
【0072】
一方、シャッター装置10の構成部材のうち可撓性部材であるシャッターカーテン20を構成するシート状部材21〜24は、それぞれ折り畳んだ状態で建築現場に搬入する。
【0073】
なお、分割した状態の剛性部材、および折り畳んだ状態の可撓性部材は、運搬時や設置時の取扱いの容易性を考慮すると、いずれも12m以下の寸法に収まっていることが好ましく、より好ましくは8m以下の寸法、さらにより一層好ましくは6m以下の寸法としておくのがよい。
【0074】
次に、建築現場において、分割された状態の巻取軸30、座板60、中桟80、ケース100、まぐさ70を溶接やボルト締め等により結合して一体化するとともに、折り畳んだ状態のシャッターカーテン20を展開し、これらの構成部材を組み立ててシャッター装置10の据付作業を完了する。
【0075】
この際、分割された状態の巻取軸30の一体化には、中間部材34を用いての接続を行う。ここで、中間部材34は、互いに接続される一方の軸部材の端部または他方の軸部材の端部のいずれかの側に建築現場あるいは工場で予め結合しておき、その後、建築現場で、もう片方の側に結合するようにしてもよく、あるいは、建築現場で、互いに接続される一方および他方の軸部材の端部に形成された第一中空部および第二中空部に跨るように中間部材34を挿入配置した後、中間部材34と各軸部材の端部とを結合するようにしてもよい。
【0076】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、シャッター装置10の構成部材のうち剛性部材であってカーテン幅方向(図1中の左右方向)を長手方向とするもの、つまり巻取軸30、座板60、中桟80、ケース100、まぐさ70を、全て複数の部材に分割した状態で建築現場に搬入するとともに、シャッター装置10の構成部材のうちシャッターカーテン20を構成する可撓性部材であるシート状部材21〜24を折り畳んだ状態で建築現場に搬入した後、建築現場において、分割された状態の巻取軸30、座板60、中桟80、ケース100、まぐさ70を溶接やボルト締め等により結合して一体化するとともに、折り畳んだ状態の各シート状部材21〜24を展開し、これらの構成部材を組み立ててシャッター装置10を完成させるので、運搬作業や設置作業を容易に行うことができる。そして、このような運搬作業や設置作業の容易化という効果は、シャッター装置10を設置すべき開口が大きい程、顕著なものとなるので、シャッター装置10は、特に大開口用のシャッター装置として好適に適用できる。
【0077】
そして、接続用の中間部材34を用いて軸部材31の端部31Aと軸部材32の端部32Aとの接続、および軸部材32の端部32Aと軸部材33の端部33Aとの接続を行うので、このような中間部材34を用いずに各軸部材の端部同士の直接接続のみを行う場合に比べ、接続作業を容易に行うことができる。
【0078】
また、中間部材34は、一方の軸部材31の端部31Aおよび他方の軸部材32の端部32Aの双方に結合されるので、これにより軸部材31,32同士の接続を行うことができる。このため、一方の軸部材31の回転は、中間部材34に伝達され、さらに中間部材34から他方の軸部材32に伝達され、これにより回転伝達という巻取軸30の機能を発揮させることができる。なお、一方の軸部材31の端部31Aの端面31Cと他方の軸部材32の端部32Aの端面32Cとを突き合わせて全周溶接しておけば、強度的に向上するとともに、より一層確実に回転伝達を行うことができる。軸部材32,33の接続も同様である。
【0079】
さらに、中間部材34を用いて接続するので、各軸部材31〜33の端部自体の構造を接続のために特に複雑化するような必要もなく、中空円筒状の各軸部材31〜33をそのまま利用できることから、軸部材31〜33自体の構造の簡易化を図ることもできる。
【0080】
そして、中間部材34は、巻取軸30の左右の端部に設けられた端部材34Aと同様な構成を備えているので、容易に製造できるうえ、中間部材34を用いた軸部材31〜33同士の接続作業と、端部材34Aを用いた巻取軸30の左右の端部の仕上げ作業とに共通作業が生じることから、設置作業の容易化を図ることができる。
【0081】
また、中間部材34は、中空部31B,32Bに跨って挿入配置されるので、互いに接続される一方および他方の軸部材31,32の外径寸法の範囲内に収まる状態で接続を行うことができる。軸部材32,33の接続も同様である。従って、接続後には、分割されていない一本の巻取軸30と同様な外形を保つことができる。このため、シャッターカーテン20を円滑かつ綺麗に巻き取ることができる。
【0082】
さらに、中間部材34は、中間軸35と中子36A〜36Dとを備えて構成されているので、簡易な構造で軸部材31〜33同士の接続を実現することができる。
【0083】
また、各中子36A〜36Dを円盤状部材により形成し、かつ、各中子36A〜36Dの外径寸法と各中空部31B,32Bの内径寸法とを略同じにしたので、中子36A〜36Dと軸部材31,32の端部31A,32Aとの結合を、より一層確実なものとすることができるうえ、これらの結合作業を容易に行うことができる。軸部材32,33の接続も同様である。
【0084】
そして、各中子36A〜36Dの外周面に凹部37を形成したので、各中空部31B,32B内に溶着ビード38(図4参照)が突出していても、この溶着ビード38を凹部37に収納配置することができるため、中子36A〜36Dと軸部材31,32の端部31A,32Aとの結合を、支障なく容易に行うことができる。軸部材32,33の接続も同様である。
【0085】
また、巻取軸30の分割位置、すなわち中間部材34の配置位置は、巻取軸30に作用する曲げモーメントが最大値をとる位置を避けた位置とされているので、巻取軸30の接続部分に最も大きな曲げモーメントが作用することはなくなることから、接続強度を必要以上に確保しなければならないという事態を回避することができるとともに、巻取軸30を全体として見た場合における強度の低下も防ぐことができる。
【0086】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0087】
すなわち、前記実施形態では、シャッターカーテン20は、上下方向中間位置で中桟80により連結されていたが、本発明は、このような中桟80により連結されたシャッターカーテン20を備えたシャッター装置10への適用に限定されるものではなく、中桟80を用いないシャッターカーテンを備えたシャッター装置に適用してもよい。そして、前記実施形態では、中桟80により連結される各シート状部材21〜24は、それぞれ折り畳んだ状態で建築現場に搬入され、建築現場で展開されて組み立てられるようになっていたが、本発明におけるシャッターカーテンの少なくとも一部を構成する可撓性部材の施工時の取扱方法は、これに限定されるものではなく、要するに、折り畳み若しくは分割した状態で建築現場に搬入され、建築現場で展開若しくは接続されればよい。
【0088】
例えば、純粋な一枚もののシャッターカーテン(シャッター装置が設置される建物内の開口面積と略同じ面積を有する連続部材により形成されたシャッターカーテン)とし、これを折り畳んで建築現場に搬入した後、建築現場で展開するようにしてもよく、あるいは、複数の部材を工場で予め縫着や接着や溶着で一体化して形成されたシャッターカーテンとし、これを折り畳んで建築現場に搬入した後、建築現場で展開するようにしてもよい。さらには、シャッターカーテンを複数の区画に分割した状態とし、これらの分割された各区画部分をそれぞれ折り畳み若しくは巻き取った状態またはそのままの状態で建築現場に搬入した後、建築現場でこれらの各区画部分を接続する(つまり、ファスナやマジックテープ(登録商標)や釦等で接合するか、あるいは単に建物内の開口が略塞がるように並べて配置するか、または各区画部分の端縁部同士を重ね合わせるようにして配置する)ようにしてもよい。
【0089】
また、前記実施形態では、シャッターカーテン20には、扉機構90,91や巻径調整用部材110が設けられていたが、本発明は、これらの扉機構90,91や巻径調整用部材110が設けられていないシャッターカーテンを備えたシャッター装置に適用してもよい。
【0090】
さらに、前記実施形態では、シャッター装置10は、防火や防煙等を目的とする防災用のシャッター装置とされていたが、本発明のシャッター装置の設置目的は防災用に限定されるものではなく任意であり、例えば、日射遮蔽目的のシャッター装置、防犯目的のシャッター装置等であってもよい。
【0091】
そして、前記実施形態では、巻取軸30は、左右の軸受のみにより支持される構成とされていたが、巻取軸の軸方向の中間位置に、巻取軸および巻取軸に巻き取られた状態のシャッターカーテンを下方から支持する補助ローラを適宜設けるようにしてもよい。この際には、補助ローラからの反力を考慮して巻取軸に作用する曲げモーメントが最大となる位置を決定し、その位置を避けて中間部材34を配置するようにすればよい。
【0092】
また、前記実施形態では、シャッター装置10の構成部材のうち剛性部材であってカーテン幅方向(図1中の左右方向)を長手方向とするもの、つまり巻取軸30(図2、図3参照)、座板60(図6参照)、中桟80(図8参照)、ケース100(図1参照)、まぐさ70(図1参照)は、全て完全に分離されて別々に取り扱うことが可能とされた状態の部材を、溶接やボルト締め等により直接に結合するか、あるいは直接に結合せずに単に集合させて連続配置することにより一体化形成されていたが、本発明における「剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするもの」は、必ずしもこのような形態により一体化形成されている必要はない。
【0093】
例えば、図9に示す剛性部材200のように、分割された部材201,202を蝶番203により連結した構造としてもよい。この場合には、シャッター装置の据付作業が完了した時点では、図9中の実線に示すように、蝶番203が拡げられて各部材201,202が一直線上に配置されるようにすればよく、剛性部材200を工場から建築現場に搬入する際には、図9中の二点鎖線に示すように、蝶番203を折り曲げて閉じた状態とすればよい。
【0094】
また、図10に示す剛性部材300のように、分割された部材301,302を入れ子収納式にして伸縮可能な構造としてもよい。この場合には、シャッター装置の据付作業が完了した時点では、図10中の二点鎖線に示すように、伸ばした状態とすればよく、剛性部材300を工場から建築現場に搬入する際には、図10中の実線に示すように、縮めた状態とすればよい。
【0095】
さらに、上下方向に延びる前記実施形態のガイドレール40,41のように、剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向を長手方向とするものについても、長手方向(上下方向)の寸法が大きい場合には、複数の部材に分割して工場から建築現場に搬入するようにしてもよく、この際、図9の剛性部材200や図10の剛性部材300と同様な構造とし、これらの剛性部材200,300と同様な取扱いをするようにしてもよい。
【0096】
そして、本発明における剛性部材の分割数および分割位置は、前記実施形態の巻取軸30、座板60、中桟80、ケース100、まぐさ70の各分割数および各分割位置に限定されるものではなく任意であり、要するに、運搬時や施工時における取扱いが容易になるように分割されていればよい。従って、例えば、前記実施形態では、巻取軸30は、三つの軸部材31〜33に分割され、かつ、中央の軸部材32が最も長くなっていたが、これを等分割するようにしてもよく、また、三分割以外の分割数としてもよい。
【0097】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、剛性部材であってシャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするものを、全て分割式の構造としたので、運搬時や施工時の取扱いを容易に行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のシャッター装置の全体構成図。
【図2】前記実施形態の巻取軸の接続部の拡大断面図。
【図3】前記実施形態の巻取軸の接続部の分解斜視図。
【図4】図2のA−A線断面図。
【図5】前記実施形態の座板の拡大断面図(図1のB−B線断面図)。
【図6】上方から見た場合における前記実施形態の座板の分解平面図。
【図7】前記実施形態の中桟の拡大断面図(図1のC−C線断面図)。
【図8】前記実施形態の中桟の長手方向についての分割状態の説明図。
【図9】本発明の第一の変形の形態を示す概略構成図。
【図10】本発明の第二の変形の形態を示す概略構成図。
【符号の説明】
10 シャッター装置
20 シャッターカーテン
21〜24 シャッターカーテンを構成する可撓性部材であるシート状部材
30 カーテン幅方向を長手方向とする剛性部材である巻取軸
60 カーテン幅方向を長手方向とする剛性部材である座板(カーテン先端部材)
70 カーテン幅方向を長手方向とする剛性部材であるまぐさ
80 カーテン幅方向を長手方向とする剛性部材である中桟
100 カーテン幅方向を長手方向とする剛性部材であるケース
200,300 剛性部材

Claims (4)

  1. 空間を仕切るシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの周辺に配置された周辺部材とを装置構成部材として備え、このうち前記シャッターカーテンの少なくとも一部が可撓性部材により構成されたシャッター装置において、
    前記装置構成部材のうち前記可撓性部材以外の剛性部材であって前記シャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするものは、全て分割された部材を集合させて一体化することにより形成されており、
    前記シャッターカーテンは大開口用シャッターカーテンであり、
    前記剛性部材のうち前記周辺部材を構成するものには、前記シャッターカーテンを巻き取って収納する巻取軸が含まれ、前記剛性部材のうち前記シャッターカーテンを構成するものには、前記シャッターカーテンの閉鎖方向先端部に設けられる座板が含まれ、
    前記巻取軸は、前記カーテン幅方向となっている軸方向に分割された複数個の軸部材の接続により形成されているとともに、互いに隣接する2個の前記軸部材の接続位置となっている前記巻取軸の分割位置は、この巻取軸に作用する曲げモーメントの最大値をとる位置を避けた位置となっており、
    前記座板は、前記シャッターカーテンの厚さ方向に並べられた複数個の座板部材で構成され、これらの座板部材のそれぞれは、前記カーテン幅方向となっている長手方向に分割された分割部材で形成されているとともに、前記複数個の座板部材についての分割位置は、互い違いとなっていることを特徴とするシャッター装置。
  2. 請求項1に記載のシャッター装置において、前記巻取軸を形成していて、互いに隣接している2個の前記軸部材のうち、一方の軸部材の端部には中空部が形成されているとともに、他方の軸部材の端部にも中空部が形成されており、これらの中空部に跨って接続用の中間部材が配置され、この中間部材は、前記2個の中空部に跨って挿入された中間軸と、この中間軸に前記2個の中空部ごとに複数枚取り付けられ、それぞれが前記軸部材に結合されている円盤状部材とを備えて構成されていることを特徴とするシャッター装置。
  3. 空間を仕切るシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの周辺に配置された周辺部材とを装置構成部材として備え、このうち前記シャッターカーテンの少なくとも一部が可撓性部材により構成されたシャッター装置の施工方法において、
    前記装置構成部材のうち前記可撓性部材以外の剛性部材であって前記シャッターカーテンの移動方向と直交するカーテン幅方向を長手方向とするものを、全て分割して最終長よりも小寸法化した状態で建築現場に搬入するとともに、前記可撓性部材を折り畳み若しくは分割した状態で建築現場に搬入し、
    その後、建築現場で、小寸法化した状態の前記剛性部材を最終長に仕上げるとともに、折り畳み若しくは分割した状態の前記可撓性部材を展開若しくは接続する施工方法であって、
    前記シャッターカーテンは大開口用シャッターカーテンであり、
    前記剛性部材のうち前記周辺部材を構成するものには、前記シャッターカーテンを巻き取って収納する巻取軸が含まれ、前記剛性部材のうち前記シャッターカーテンを構成するものには、前記シャッターカーテンの閉鎖方向先端部に設けられる座板が含まれ、
    前記巻取軸を、前記カーテン幅方向となっている軸方向に分割された複数個の軸部材の接続により形成するとともに、互いに隣接する2個の前記軸部材の接続位置となっている前記巻取軸の分割位置を、この巻取軸に作用する曲げモーメントの最大値をとる位置を避けた位置とし、
    前記座板を、前記シャッターカーテンの厚さ方向に並べられた複数個の座板部材で構成し、これらの座板部材のそれぞれを、前記カーテン幅方向となっている長手方向に分割された分割部材で形成するとともに、前記複数個の座板部材についての分割位置を、互い違いとすることを特徴とするシャッター装置の施工方法。
  4. 請求項3に記載のシャッター装置の施工方法において、前記建築現場への搬入の際には、小寸法化した状態の前記剛性部材、および折り畳み若しくは分割した状態の前記可撓性部材を、いずれも12m以下の寸法に収めることを特徴とするシャッター装置の施工方法。
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