JP3541449B2 - コイル端末固定方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、モータの電機子コイルまたは界磁コイル等のボビンに巻回したコイルの端末の固定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータの鉄心にコイルを装着する場合、例えば図6に示すように、断面がほぼ四角形の中空状の底部11とその両端にフランジ部12、13とを備え、断面がコ字状に形成されたボビン1を設け、ボビン1の底部11とフランジ部12、13の間の空間にコイル2を巻回している。ボビン1は、鉄心3のティース31に装着し、ボビン1に巻回したコイル2の両方のコイル端末部は、ボビン1のフランジ部12の端面14に突出させた接続ピン15に半田によって固定している。接続ピン15は、ボビン1の端面14に取りつけたプリント基板4のスルーホール41に挿入して半田付けし、コイル2とプリント基板4の配線とを接続するものが開示されている(例えば、特開昭63−299741号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来技術では、ボビンに設けた接続ピンを、プリント配線基板のスルーホールに挿入する必要があり、全部の接続ピンを同時にするスルーホールに挿入するには、接続ピンとスルーホールの位置決め精度を高く維持する必要があり、ボビンおよびプリント配線基板の製造上や接続作業上で多くの手間がかかるという問題があった。また、極数の多いモータの場合、接続ピンの数が極数の2倍必要であるので部品点数が増えるという問題があった。
本発明は、部品点数を少なくするとともに、工数を低減できるモータのコイル端末固定方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明は、ボビンに巻回したコイルのコイル端末部を前記ボビンのフランジ部に固定したプリント基板の導体部に接続するコイル端末固定方法において、前記ボビンのフランジ部の端部に、前記コイルを固定する固定溝と、前記固定溝の先端を横切るように形成され、コイル端末部が前記フランジ部に接触して冷却されるのを防ぐ逃げ溝とを設け、前記プリント基板に、前記プリント基板の周辺に開口する切欠き溝と前記切欠き溝の周囲を覆う導体部とを設け、前記コイルのコイル端末部の根本を前記固定溝に固定して、前記コイル端末部を前記逃げ溝の上を跨ぐように配置し、前記プリント基板を前記フランジ部の端面に取り付けて前記コイル端末部を前記切欠き溝に挿入・固定し、前記切欠き溝の周辺の導体部と前記コイル端末部とを半田付けするものである。
また、前記コイルのコイル端末部の根本を前記固定溝に固定して前記コイル端末部を前記逃げ溝の上を跨ぐように配置したあと、前記コイル端末部を半田槽に浸漬して、予備半田を行うものである。
【0005】
【作用】
上記手段により、プリント基板に設けてコイル端末部を固定するための切欠き溝は外側が開口しているので、コイル端末部を挿入・取り付けが容易である。
また、ボビンの端面には逃げ溝を設けて、コイル端末部がボビンの端面と接触する面積を少なくしてあるので、ボビンによってコイル端末部が冷却されることがなく、半田の流動性を損なうことなく完全な半田付けができる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明を図に示す実施例について説明する。
図1は本発明の実施例を示す要部正面図、図2はその側断面図、図3はその要部拡大図である。
図において、1は絶縁材からなるボビン、11は断面がほぼ四角形の中空状の底部、12は外側のフランジ部、13は内側のフランジ部である。2はボビン1に巻回したコイル、21は巻き始めのコイル端末部で、ボビンの1のフランジ部13に設けた位置決め溝16に挿入され、位置決めされる。22は巻き終りのコイル端末部で、フランジ部12の端面14上に固定される。3は鉄心、31はティース部でボビン1を装着するようにしてある。4はプリント基板で、ボビン1の端面14に取りつけるようにしてある。
17はボビン1のフランジ部11の端面14に設けてコイル2を固定する固定溝である。固定溝17は、図3に示すように、コイル端末部22が引き出される方向、すなわち鉄心3に対してほぼ接線方向に伸び、コイル2が圧入できる程度の幅を持ち、先端がコイル2の径より僅かに大きい円形の端部を備えている。18は固定溝17の先端をほぼ直角に横切るように端面14に設けた逃げ溝で、端面14上に配置したコイル端末部22が逃げ溝18を跨ぐようにしてある。
42はプリント基板4の周辺に開口する複数個の切欠き溝で、コイル2の端末部22が配置される位置にほぼ一致させ、かつコイル端末部22が引き出される方向に長くなるように設けてあり、切欠き溝42の周囲を覆うように導体部43を設けてある。
【0007】
ここで、コイル端末部をプリント基板に固定する作業について説明する。
まず、図4に示すように、コイル2をボビン1に巻回し、コイル端末部21を位置決め溝16に挿入して位置決めする。また、コイル端末部22を外側のフランジ部12上に配置して、コイル端末部22の根本を固定溝17に圧入・固定し、コイル端末部22を逃げ溝18を跨ぐように配置する。この状態でコイル端末部21、22を下にして420℃の半田槽5に浸漬する。
この作業により、コイル端末部21、22の被覆が除去されると共に、コイル端末部21、22の中に半田が侵入し、予備半田の付着が完了する。
このとき、コイル端末部22が温度の低いボビン1の端面14に接触していると、コイル端末が冷却されて半田の流動性が悪くなり、コイル端末部22への半田の付着が十分に行われない恐れがある。しかし、本発明の場合、コイル端末部22の一部は端面14に接触するが、大部分は逃げ溝18を跨いでいるので、端面14に接触する面積は少なく、したがって、ボビンによってコイル端末部22が冷却されることがないので、半田の流動性は良好となり、予備半田の付着は十分に行われる。
なお、コイル端末部21はボビン1の位置決め溝16から真っ直ぐに突出しているので、ボビン1の接触による流動性の問題はない。
次に、プリント基板4を端面14の上に載せ、コイル端末部21、22を切欠き溝42の中に挿入し、半田51により導体部43とコイル端末部22とを接続する。このとき、切欠き溝42は外側が開口しているので、コイル端末部21、22を挿入・取り付けが容易であり、コイル端末部22と端面14とは、図5に示すように、逃げ溝18があるため接触することがなく、半田51の流動性を損なうことなく完全な半田付けができる。また、半田51が逃げ溝18内に入り込むので、コイル端末22の半田付けがより良好に行なわれる。
なお、上記実施例ではプリント基板に切欠き溝を設けてコイル端末部を挿入して接続した例について説明したが、切欠き溝の代わりにコイル端末部22が引き出される方向に長い長穴を設けて、コイル端末部を挿入し易くしたものでもよい。
【0008】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果がある。
(1) プリント基板に切欠き溝を設けてコイル端末部を挿入し易くしているので、部品点数が少なくなるとともに、組み立て工数を低減することができる。
(2) ボビンの端面に逃げ溝を設けてコイル端末部とボビンとの接触面積を少なくし、ボビンとの接触によるコイル端末の冷却を防いでいるので、半田の流動性を良好にし完全な半田付けをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す要部正面図である。
【図2】本発明の実施例を示す要部側断面図である。
【図3】本発明の実施例のボビンの正面図である。
【図4】本発明の実施例の予備半田作業中の状態を示す要部側断面図である。
【図5】本発明の実施例を示す要部拡大側断面図である。
【図6】従来例を示す要部側断面図である。
【符号の説明】
1 ボビン、11 底部、12、13 フランジ部、14 端面、16 切欠き溝、17 固定溝、18 逃げ溝、2 コイル、21、22 コイル端末部、3 鉄心、31 ティース部、4 プリント基板、42 切欠き溝、43 導体部、5 半田槽、51 半田
Claims (4)
- ボビンに巻回したコイルのコイル端末部を前記ボビンのフランジ部に固定したプリント基板の導体部に接続するコイル端末固定方法において、
前記ボビンのフランジ部の端部に、前記コイルを固定する固定溝と、前記固定溝の先端を横切るように形成され、コイル端末部が前記フランジ部に接触して冷却されるのを防ぐ逃げ溝とを設け、
前記プリント基板に、前記プリント基板の周辺に開口する切欠き溝と前記切欠き溝の周囲を覆う導体部とを設け、
前記コイルのコイル端末部の根本を前記固定溝に固定して、前記コイル端末部を前記逃げ溝の上を跨ぐように配置し、
前記プリント基板を前記フランジ部の端面に取り付けて前記コイル端末部を前記切欠き溝に挿入・固定し、前記切欠き溝の周辺の導体部と前記コイル端末部とを半田付けすることを特徴とするコイル端末固定方法。 - 前記コイルのコイル端末部の根本を前記固定溝に固定して前記コイル端末部を前記逃げ溝の上を跨ぐように配置したあと、前記コイル端末部を半田槽に浸漬して予備半田を行う請求項1記載のコイル端末固定方法。
- 前記固定溝を前記コイル端末部を引き出す方向に長く形成し、前記プリント基板に設ける前記切欠き溝を前記固定溝と同じ方向に長く形成する請求項1または2記載のコイル端末固定方法。
- 前記コイル端末部を前記固定溝に圧入によって固定する請求項1から3までのいずれか1項に記載のコイル端末固定方法。
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JP20287794A JP3541449B2 (ja) | 1994-08-03 | 1994-08-03 | コイル端末固定方法 |
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1994
- 1994-08-03 JP JP20287794A patent/JP3541449B2/ja not_active Expired - Fee Related
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