JP3539547B2 - 液晶ディスプレイのシールド用フレーム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、液晶ディスプレイのシールド用フレーム並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイは、その外周と後部をシールド用フレーム1で覆ってあるが、このシールド用フレーム1は、通常3層構造になっており、図10に示したように、最前部の枠状のフロントパネル1aと、中間部の同じく枠状のセンターパネル1bと、後部のリヤーパネル1cから構成されている。そして、センターパネル1bはフロントパネル1a内に嵌入される構造となっている。或は小型の液晶ディスプレイはセンターパネルを省略したものもある。尚、指示記号2で示したものは液晶ディスプレイである。
【0003】
この枠状のフロントパネル1aとセンターパネル1bは、各辺の断面がL字形状となるように折り曲げてあるが、その製造工程は、ロール状に巻いた帯状の板材をプレス機で打ち抜いて、まず図11に示したような枠状の展開した状態のものを作り、これより各辺の縁部を折り曲げて図12に示したような各辺の断面がL字形状となる枠状のフロントパネル1aやセンターパネル1bを形成させていた。尚、図示したものはセンターパネルであり、細かい具体的な形状は異なるが、基本的な製造工程はフロントパネルのものも同じであるので図示を省略する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のフロントパネルとセンターパネルは、その製造工程においてロール状に巻いた帯状の板材よりパネル全体の枠状を呈した展開状態の大きさのものをプレス機で打ち抜いていたために、図11に斜線で示した液晶ディスプレイの縁部に当てがったり嵌めこんだりするために刳り抜く中央部分aは、この打ち抜き作業で傷ついてしまい、他に転用がきかないために、この部分は捨てるしかなく、材料が無駄になるという欠点があった。とくに、センターパネルやフロントパネル等の材料はステンレス鋼やアルミニウム材で構成され、価格が鉄板などに較べて高価なことから、製作コストが高くなるという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、とくに材料を節約し従来より大幅にコストダウンを図ることのできる、液晶ディスプレイのシールド用フレーム並びにその製造方法を提供せんとするにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するためにこの発明は、液晶ディスプレイのシールド用フレームであって、このシールド用フレームを構成する枠状のパネルの全部または一部を複数の構成部材に分割したもので構成し、これらの各構成部材の互いに連結させる各端部に嵌合係止部を設け、これらの各嵌合係止部を交互に設けたそれぞれにくびれ部を有する単数または複数の互いに上下方向から嵌合される凸部と凹部で構成し、このうち凸部の面部にはさらにボス部を設けると共に、前記各嵌合係止部の凸部と凹部を上下方向から互いに嵌合連結させ、該嵌合係止部を上下方向からかしめることにより前記ボス部を押しつぶし、もって各連結部分を一体化することによって、枠状のパネルと成したことを特徴とする。
【0007】
この発明はまた、液晶ディスプレイの平面多角形状を呈したシールド用フレームであって、このシールド用フレームを構成する枠状のパネルの全部または一部を各コーナーの複数個所で分割したもので構成し、これらの各構成部材の互いに連結させる各端部に嵌合係止部を設け、これらの各嵌合係止部を交互に設けたそれぞれにくびれ部を有する単数または複数の互いに上下方向から嵌合される凸部と凹部で構成し、このうち凸部の面部にはさらにボス部を設けると共に、前記各嵌合係止部の凸部と凹部を上下方向から互いに嵌合連結させ、前記各嵌合係止部を上下方向からかしめることにより前記ボス部を押しつぶし、もって各連結部分を一体化することによって、枠状のパネルと成したことを特徴とする。
【0008】
この発明はまた、シールド用フレームを構成する枠状のパネルの全部或は一部を複数の構成部材に分割して設け、これらの各構成部材の互いに連結させる各端部にくびれ部を有し面部にさらにボス部を有する凸部とこの凸部に隣接して設けた同じくくびれ部を有する凹部とから成る嵌合係止部を形成させ、次いでこの各嵌合係止部の凸部と凹部を互いに上下方向から嵌合係止させ、次いでこの嵌合係止部分を上下方向よりかしめ、前記ボス部を押しつぶして凸部を水平方向へ膨張させることにより、各構成部材の一体化を図ることを特徴とする。
【0009】
この発明はまた、各構成部材の各辺の縁部を嵌合係止部の連結部分を含めて折り曲げることにより、互いの一体化を強化したり、さらに、枠状のパネルを構成する複数の構成部材をプレス機を用いて打ち抜き、この打ち抜き工程と同時或は別工程で各構成部材を互いに連結させる連結端部にくびれ部を有し面部にさらにボス部を有する凸部とこの凸部に隣接して設けた凹部とを有する嵌合係止部を形成させ、次いでこの各嵌合係止部同志を互いに上下方向から嵌合係止させ、次いで各嵌合係止部を上下方向からかしめ、前記ボス部を押しつぶして前記凸部を水平方向へ膨出させることにより各構成部材の一体化を図った上で、この嵌合係止部分を直角方向へ折り曲げることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図面はこの発明を液晶ディスプレイのシールド用フレームのセンターパネルに適用した場合の一実施の形態を示す。図1に示したように、後述する四角形状の枠状を呈するセンターパネル10を構成する各構成部材10a,10bは、これを枠状に組み合わせた際に、コーナー部を形成する対角位置で略L字形状に2分割したもので構成されており、互いに連結個所となる各端部には、とくに図2乃至図4に示したように、平面形状をピアス形状としたピアス形凸部11a,12aとピアス形凹部11b,12bから成る嵌合係止部11,12が設けられている。尚、各辺部の外側へ突出し、或は点線で区切られている部分は、断面をL字形状に折り曲げる際の曲げ代10cである。ピアス形凸部11a,12aとピアス形凹部11b,12bには、それぞれくびれ部11c,12cが設けられ、互いを嵌合させた時に、係合して水平方向へ分離しないように工夫されると共に、ピアス凸部11a,12aには、ボス部11d,12dがプレス加工による半抜きによって形成されている。そして、各嵌合係止部11,12は、各くびれ部11c,12cを設ける始端部の位置を同じ側に揃えることによって互いに共通させている。
【0011】
各構成部材10a,10bは、両者を平面方向に連結結合させて枠状のセンターパネルとすべく、その嵌合部11,12を上下方向より重ね合わせてピアス形凸部11a,12aとピアス形凹部11b,12bを機械的に嵌係合させる。このようにすると、枠状のセンターパネルの展開状態のものできあがり、互いの構成部材10a,10bが水平方向へ分離してしまうことがない。
【0012】
こうしておいて、プレス機を用いて各嵌合係止部11,12を上下方向からかしめると、各ボス部11d,12dが塑性変形して拡張し、ピアス形凸部11a,12aとピアス形凹部11b,12bとの間の嵌係合状態を密なものとして、一体化を図ることができるものである。
【0013】
次いで、プレス機を用いて各辺の曲げ代10cを折り曲げると、図5乃至図8に示したような、各辺が断面L字形状とな四角形形枠状のセンターパネル10が形成されるものである。
【0014】
この際に、とくに図7と図8に示したように、各嵌合係止部11,12の部分を折り曲げると、各嵌合係止部の係合状態は水平方向及び上下方向共に容易に分離しない状態となり、各構成部材の一体化はより一層強固なものとなる。
【0015】
図9は、センターパネルを構成する構成部材10a或は10bを、プレス機を用いて打ち抜いて行く場合の実施例を示し、図面に示したように、ロール状に巻いてある帯状のステンレス鋼やアルミニウム材13を用いて、V字状或は逆V字状に各構成部材を連続して打ち抜いて行くことにより、従来技術のもののように、くり抜く中央部分aの材料の無駄がなくなることから、材料費を大幅に節約できるものである。尚、構成部材は簡略化した形で示してある。実施の形態のもので材料の節約率は約68%に及ぶことが明らかになっている。
【0016】
次に、嵌合係止部の形状は、上述した実施の形態のものは、丸形のピアス形凸部と丸形のピアス形凹部であるが、この形状のものに限定されず、これをくびれ部やボス部を設けた角形、楔形、及びジグゾーパズル形等にすることができる。
【0017】
各構成部材11,12の連結は、上記した機械的な手段以外に、例えば金属製の粘着テープを用いることによって、互いに分離しないように連結させることもできる。この場合には、各構成部材の結合端部には、必ずしも嵌合係止部を設ける必要がない場合がある。この明細書においてはこの粘着テープを用いる場合も含めて機械的な結合と称する。
【0018】
さらに、各構成部材は、これを各コーナーで分割して4個の帯状のものとし、これらを上述したように結合させて縁部を折り曲げてセンターパネルとしても良い。或は構成部材はこれをプレス機打ち抜く際に平面略コの字形状とすることもできよう。その場合には、帯状の材料に対してプレス機で打ち抜く送り方向に対して直行する方向に送って、打ち抜いて行っても良いが、構成部材の展開した幅に合わせた細い帯状の材料を用意して、これを自動的或は手動で送って4辺を構成する構成部材を作り、これらを平面四角形状となるように上述した各手段によって連結結合させても良い。
【0019】
以上の実施の形態のものは、センターパネルに実施した場合について説明したが、フロントパネルにもそのまま適用できる。必要に応じてこの発明をセンターパネルのみに実施したり、センターパネルとフロントパネルの両方に実施しても良い。両者に実施した場合において、2ケ所で分割した場合には、互いの分割個所が重なり合わないように嵌合位置を90°ずつずらすと強度が増大する。
【0020】
【発明の効果】
この発明は以上のように構成したので、次のような効果を奏し得る。
【0021】
請求項1と2のように構成すると、シールドフレーム用のフロントパネルとセンターパネルの構成部材を、帯状の板材から連続して材料の無駄をなくして打ち抜くことができるので、従来技術のシールドフレーム用のフロントパネルやセンターパネルのように、各構成部材に分割することなく、一枚板として打ち抜くものに比較して、材料費を大幅に節約でき、このことから製作コストが大幅に下げることができる上に、各構成部材の互いに連結させる各始端部に凸部と凹部とから成る嵌合係止部を設け、さらに凸部の面部にボス部を設けることにより、かしめ時にボス部が押しつぶされることにより該凸部を水平方向へ膨張させて該凸部と凹部との嵌係合を強固なものとしより一層の一体化を図ることができるという効果を奏し得る。
【0022】
請求項3のように構成すると、請求項1又は2と同じ効果を奏した上で、帯状の材料に対し構成部材を略V字形状に打ち抜いて行くことが可能となり、大幅に材料を節約できる上に、分割した構成部材の接合部分が2ケ所となることから、接合が容易となり、最初より枠状に打ち抜く従来のものと比較して強度的にも劣ることがないという効果を奏し得る。
【0023】
請求項4のように構成すると、請求項1又は2と同じ効果を奏した上で、請求項3の場合よりも細い帯状の板材より構成部材を打ち抜くことができ、材料費を下げ、より小型のプレス機で構成部材を打ち抜くことができることにより、安価かつ容易に構成部材を製作することができる。
【0024】
請求項5のように構成すると、請求項1又は2と同じ効果を奏した上で、各構成部材を一つの枠体として一体化でき、パネルの水平方向の分離を防止できるという効果を奏し得る。
【0025】
請求項6のように構成すると、請求項1又は2と同じ効果を奏した上で、前後方向の分離が困難となり、パネルの一体化がより図れるという効果を奏し得る。
【0026】
請求項7のように構成すると、請求項1又は2と同じ効果を奏した上で、接合後のパネルの水平方向の分離は勿論のこと、前後方向の分離も困難となり、各構成部材を組み合わせたパネルの一体化をより一層高めることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るシールド用フレームを構成するセンターパネルの構成部材の展開状態での分解平面図である。
【図2】図1に示した構成部材のA視の部分の拡大図である。
【図3】図2に示した構成部材の側面図である。
【図4】図1に示した構成部材のB視の部分の拡大図である。
【図5】図1に示した各構成部材の接合部である嵌合係止部同志を嵌合係止させ、さらに各辺の曲げ代を折り曲げて見たセンターパネルの平面図である。
【図6】図5のセンターパネルの側面図である。
【図7】図5のC視の部分の嵌合係止部同志の接合部分を折り曲げた状態を示す一部拡大説明図である。
【図8】図5のD視の部分の嵌合係止部同志の接合部分を折り曲げた状態を示す一部拡大説明図である。
【図9】パネルの各構成部材を帯状の板材より打ち抜いて行く場合の型取りを示す説明図である。
【図10】液晶ディスプレイのシールド用フレームの構成を説明する分解斜視図である。
【図11】従来のシールド用フレームのセンターパネルの折り曲げ加工前の状態を示す平面図である。
【図12】従来のシールド用フレームのセンターパネルの折り曲げ加工後の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
10 センターパネル
10a 構成部材
10b 構成部材
11 嵌合係止部
11a ピアス形凸部
11b ピアス形凹部
11c くびれ部
11d ボス部
12a ピアス形凸部
12b ピアス形凹部
12c くびれ部
12d ボス部
12 嵌合係止部
13 材料

Claims (7)

  1. 液晶ディスプレイのシールド用フレームであって、このシールド用フレームを構成する枠状のパネルの全部または一部を複数の構成部材に分割したもので構成し、これらの各構成部材の互いに連結させる各端部に嵌合係止部を設け、これらの各嵌合係止部を交互に設けたそれぞれにくびれ部を有する単数または複数の互いに上下方向から嵌合される凸部と凹部で構成し、このうち凸部の面部にはさらにボス部を設けると共に、前記各嵌合係止部の凸部と凹部を上下方向から互いに嵌合連結させ、該嵌合係止部を上下方向からかしめることにより前記ボス部を押しつぶし、もって各連結部分を一体化することによって枠状のパネルと成したことを特徴とする、液晶ディスプレイのシールド用フレーム。
  2. 液晶ディスプレイの平面多角形状を呈したシールド用フレームであって、このシールド用フレームを構成する枠状のパネルの全部または一部を各コーナーの複数個所で分割したもので構成し、これらの各構成部材の互いに連結させる各端部に嵌合係止部を設け、これらの各嵌合係止部を交互に設けたそれぞれにくびれ部を有する単数または複数の互いに上下方向から嵌合される凸部と凹部で構成し、このうち凸部の面部にはさらにボス部を設けると共に、前記各嵌合係止部の凸部と凹部を上下方向から互いに嵌合連結させ、前記各嵌合係止部を上下方向からかしめることにより前記ボス部を押しつぶし、もって各連結部分を一体化することによって枠状のパネルと成したことを特徴とする、液晶ディスプレイのシールド用フレーム。
  3. 枠状のパネルを構成する構成部材を、コーナー部分で分割した2枚の略L字形状のものとしたことを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の液晶ディスプレイのシールド用フレーム。
  4. 枠状のパネルを構成する構成部材を、各辺を構成する4枚のもので構成したことを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の液晶ディスプレイのシールド用フレーム。
  5. シールド用フレームを構成する枠状のパネルの全部或は一部を複数の構成部材に分割して設け、これらの各構成部材の互いに連結させる各端部にくびれ部を有し面部にさらにボス部を有する凸部とこの凸部に隣接して設けた同じくくびれ部を有する凹部とから成る嵌合係止部を形成させ、次いでこの各嵌合係止部の凸部と凹部を互いに上下方向から嵌合係止させ、次いでこの嵌合係止部分を上下方向よりかしめ、前記ボス部を押しつぶして凸部を水平方向へ膨張させることにより、各構成部材の一体化を図ることを特徴とする、請求項1又は4のいずれかに記載の液晶ディスプレイのシールド用フレームの製造方法。
  6. 各構成部材の各辺の縁部を嵌合係止部の連結部分を含めて折り曲げることにより、互いの一体化を強化することを特徴とする、請求項5に記載の液晶ディスプレイのシールド用フレームの製造方法。
  7. 枠状のパネルを構成する複数の構成部材をプレス機を用いて打ち抜き、この打ち抜き工程と同時或は別工程で各構成部材を互いに連結させる連結端部にくびれ部を有し面部にさらにボス部を有する凸部とこの凸部に隣接して設けた凹部とを有する嵌合係止部を形成させ、次いでこの各嵌合係止部同志を互いに上下方向から嵌合係止させ、次いで各嵌合係止部を上下方向からかしめ、前記ボス部を押しつぶして前記凸部を水平方向へ膨出させることにより各構成部材の一体化を図った上で、この嵌合係止部分を直角方向へ折り曲げることを特徴とする、請求項1又は6のいずれかに記載の液晶ディスプレイのシールド用フレームの製造方法。
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