JP3539544B2 - 表面改質方法および表面改質粒子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子表面の性質を改質すべく、粒子表面に表面改質剤を付着させる表面改質方法、および、粒子表面に表面改質剤が付着してなる表面改質粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種粒子表面の性質を改質すべく、該粒子を表面改質剤で処理することによって粒子表面に表面改質剤の膜を形成する表面改質方法、すなわち、粒子表面を表面改質剤にて被覆する表面改質方法が種々実施されている。上記表面改質方法としては、乾式法、混練法、媒体を用いた撹拌法(液相中にて表面改質を行う方法)、気相中にて表面改質を行う方法、スプレードライ法などが知られている。
【0003】
たとえば、「微粒子ハンドブック」(神保元二等編集;株式会社朝倉書店発行;1991年9月1日初版第一刷)383頁〜394頁には、混練粉砕法、スプレードライ法などを用いた表面改質方法が記載されている。
【0004】
また、例えば、「微粒子工学−分散の基礎と応用−」(社団法人日本粉体工業技術協会編集;株式会社朝倉書店発行;1994年6月25日初版第一刷)123頁〜136頁には、高速回転式衝撃粉砕機や摩砕式ミル、ボールミル、ロールミル、媒体撹拌型粉砕機、ジェットミルなどの乾式粉砕機を用いて、粉体状の粒子表面に粉体状の異種成分(表面改質剤)を結合させることにより、該粒子表面の性質が改質された被覆型複合粒子を製造する方法が記載されている。
【0005】
また、上記表面改質方法のうち、気相中にて表面改質を行う方法としては、表面改質剤の蒸気を粒子表面上で凝縮させて被覆する方法がある。このような方法としては、たとえば、特開昭52−9182号公報に開示されている集塵装置に用いられている粉塵粒子の補集方法や、特開昭62−225926号公報に開示されている粒子計測方法などが挙げられ、さらに、特開平7−83820号公報にも同様の方法が開示されている。上記各方法では、大きさがほぼ均一となった球状の表面改質粒子を得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の表面改質方法では、粒子を表面改質剤で処理する際に、撹拌翼などの撹拌装置を用いて粒子を撹拌するので、該粒子が摩擦などによって帯電してしまう。このため、得られる表面改質粒子の取り扱いが困難となる。その上、上記従来の表面改質方法では、表面改質処理に非常に長時間を要する。さらに、表面改質処理を行う際の操作が煩雑であり、かつ、高価な装置を用いなければならないという問題点を有している。
【0007】
また、上記気相中にて表面改質を行う方法では、粒子径を単に増大させることを主たる目的としており、このため、常温で液体である水やアルコールを表面改質剤として用いている。しかも、該表面改質方法では、常温・常圧で固体である表面改質剤を粒子表面に凝縮させることについては、特に考慮がなされておらず、表面改質剤を必ず気化しなければならない。そのため、表面改質剤としては、樹脂(重合体)などといった気化しない材質を用いることができず、用いる材質が限定されるという問題点を招来している。
【0008】
このように、上記従来の表面改質方法では、常温・常圧で固体である表面改質剤を用いて、粒子を帯電させることなく、しかも、簡便な装置および操作で短時間で該粒子表面を処理することができない。それゆえ、常温・常圧で固体である表面改質剤を用いて粒子を簡単に処理することができる表面改質方法が嘱望されている。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、粒子を帯電させることなく、しかも、簡便な装置および操作で短時間の処理で該粒子表面に重合体からなる表面改質剤の膜を形成することができる表面改質方法、および、粒子表面に重合体からなる表面改質剤を膜状に形成してなる表面改質粒子を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の表面改質方法は、上記の課題を解決するために、第一のモノマー成分を有する粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させて、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させて、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含むことを特徴としている。
【0011】
上記方法によれば、第二のモノマーの過飽和蒸気は、粒子と接触すると、該粒子を核として凝集し、粒子表面に付着する。ここで、上記粒子はあらかじめ第一のモノマー成分を有しているため、表面を改質すべき該粒子の表面上には、第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とが存在していることになる。これら第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とが互いに接触すると粒子表面上において重合反応させることが可能なため、上記粒子表面上には、第一および第二のモノマー成分の重合体膜を形成し、表面の改質を行うことができる。
【0012】
すなわち、上記方法では、撹拌翼などの撹拌装置を用いて粒子を撹拌する従来の方法とは異なり、粒子表面に表面改質剤を付着させる際に、該粒子が摩擦などによって帯電するおそれを回避できる。
【0013】
しかも、表面改質剤である重合体膜の形成は、粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させることにより行うことができる。換言すれば、粒子表面上に表面改質剤(重合体)の膜の形成を気相中で行うことができる。そのため、従来の方法と比較して、粒子表面の改質をより簡便な操作でかつ短時間に行うことができる。
【0014】
また、モノマー成分を適宜選択することによって、得られる表面改質粒子の使用目的に応じた表面改質剤(重合体)の膜を形成することもできる。さらに、表面を改質すべき上記粒子の表面上にて重合反応可能なモノマーであれば、さまざまな種類のモノマーを選択することもできるので、表面改質剤としてさまざまな種類の重合体を形成することが可能である。
【0015】
上記の表面改質方法は、さらに、上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方にイソシアネート基またはイソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーを用いるとともに、他方に第1級のアミノ基または/および第2級のアミノ基を2つ以上有するモノマーを用いることが好ましい。
【0016】
また、上記表面改質方法は、さらに、上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方にヒドロキシル基または/およびメルカプト基を2つ以上有するモノマーを用いるとともに、他方にハロゲン化されたアシル基を2つ以上有するモノマーを用いることが好ましい。
【0017】
上記表面改質方法は、上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方が、官能基にイソシアネート基を2つ以上有するモノマーであり、他方が、官能基にヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーであってもよい。
【0018】
上記表面改質方法は、上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方が、官能基にイソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーであり、他方が、官能基にヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーであってもよい。
【0019】
上記の各方法によれば、第一のモノマー成分の官能基と第二のモノマー成分の官能基との反応性が向上するため、他のモノマー同士の場合よりも重合反応を迅速化することができるとともに、粒子表面上に、より簡単に、かつ安定に重合体膜を形成することができる。
【0020】
上記表面改質方法は、さらに、粒子に第一のモノマー成分を含有させる方法として、該粒子を第一のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させる方法を用いることが望ましい。
【0021】
上記方法によれば、第一のモノマー成分および第二のモノマー成分のどちらも過飽和蒸気とし、それぞれの成分を粒子に接触させて凝縮させることになる。そのため、従来の方法と比較して、粒子表面上に重合体膜を形成する表面改質を、より簡便な操作でかつ短時間に行うことができるとともに、性質を改質すべき粒子の表面の状態にかかわらず好適に表面改質剤となる重合体膜を形成することができる。
【0022】
上記表面改質方法は、さらに、上記粒子が常温・常圧で液体であり、該粒子表面に重合体膜を形成することが好ましい。
【0023】
上記の方法によれば、粒子表面上で第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合反応させて、該粒子表面を被覆する重合体膜を形成することにより表面改質を行う。
【0024】
そのため、該重合体膜がいわゆるカプセルとしての機能を備えることになるため、粒子が常温・常圧で液体であっても、該粒子を封入することができる。すなわち、常温・常圧で液体である粒子を含む固体状の表面改質粒子を得ることができる。
【0025】
上記の表面改質方法は、さらに、上記第一または第二のモノマー成分のうち、少なくとも第二のモノマー成分が常温・常圧で液体であることが好ましい。
【0026】
上記方法によれば、少なくとも第二のモノマー成分が常温・常圧で液体であることによって、第二のモノマー成分を過飽和蒸気とすることを簡便化できると共に、表面改質を行う際に第二のモノマー成分の導入を容易化できる。
【0027】
一方、第一のモノマー成分も常温・常圧で液体であれば、第一のモノマー成分を粒子に含有させ易くすることができるとともに、前述のように、第一のモノマー成分を過飽和蒸気とする場合に、蒸気化をし易くすることができる。
【0028】
上記の表面改質方法は、さらに、粒子表面に重合体膜を形成する上記工程を複数回繰り返すことが望ましい。上記の方法によれば、重合体膜を形成する工程を繰り返すことにより、重合体膜の膜厚をより厚くすることができる。また、上記工程の繰り返し回数を適宜選択することにより、重合体膜の膜厚を調節し、所望の膜厚の重合体膜を形成することができる。
【0029】
上記の表面改質方法は、さらに、粒子表面に重合体膜を形成する上記複数回の工程のうち、少なくとも2回の工程に、互いに異なる種類のモノマーを用いてもよい。上記の方法によれば、粒子表面に、互いに組成の異なる重合体膜を順次積層することができる。すなわち、粒子表面の性質を複数の表面改質剤(重合体膜)にて改質することができるので、高機能を有する表面改質粒子をより簡単に得ることができる。
【0030】
上記の表面改質方法は、さらに、上記粒子が第一のモノマー成分のみからなっていてもよい。上記の方法によれば、改めて表面を改質する粒子を用いなくても第一のモノマー成分と第二のモノマー成分との重合体のみからなる表面改質粒子を得ることができる。また、得られる表面改質粒子はより均質な球状となるため、上記重合体からなる球状樹脂粒子をより簡単に得ることができる。
【0031】
上記の表面改質方法は、さらに、上記粒子が複数の成分から調製したものであってもよい。上記の方法によれば、粒子が固体・液体に関わらず複数の成分からなっているため、この成分を適宜選択することにより、得られる表面改質粒子の使用目的に応じた複数の機能を、該表面改質粒子に対して簡単に付与することができる。
【0032】
上記の表面改質方法は、さらに、粒子を第一のモノマー成分または第二のモノマー成分の過飽和蒸気と不活性ガスとの存在下で接触させることが望ましい。上記の方法によれば、たとえば、不活性ガスを粒子のキャリアとして用いることにより、該粒子の表面に重合体膜を形成する際における、キャリアを要因とする粒子やモノマーの重合反応に対する好ましくない反応や作用などを排除することができる。そのため、粒子表面の性質を表面改質剤(重合体膜)によって、より一層確実に改質することができる。
【0033】
本発明の表面改質粒子は、前記の課題を解決するために、上記に記載の各表面改質方法の何れかにより得られたものであることを特徴としている。
【0034】
上記の構成によれば、第一および第二のモノマー成分を重合してなる重合体からなる表面改質剤の膜を粒子表面に形成した表面改質粒子を簡単に提供することができる。また、例えば、粒子が常温・常圧で液体であっても、表面改質粒子が固体状であるので、簡便かつ容易に取り扱うことができる。つまり、液体状の粒子を固体として取り扱うことができる表面改質粒子を提供することができる。また、所望の厚さの表面改質剤(重合体)の膜が形成された表面改質粒子、並びに、高機能を有する表面改質粒子を提供することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる表面改質方法は、第一のモノマー成分を有する粒子を第二のモノマー成分の過飽和雰囲気に曝し、該粒子に第二のモノマー成分を凝縮させて粒子表面上で重合反応させることにより重合体膜を形成することによって表面改質を行う方法である。また、本発明にかかる表面改質粒子は、上記の方法によって得られる構成である。
【0036】
本発明にかかる粒子としては、特に限定されるものではなく、無機化合物からなる粒子であってもよく、有機化合物からなる粒子であってもよい。上記粒子の形態としては、具体的には、たとえば、エアロゾル粒子、ミスト粒子、ヒュームなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。なお、本実施の形態では、説明の便宜上、表面改質がなされる上記粒子を被改質粒子と称し、この被改質粒子の表面が改質されることによって得られる本発明にかかる表面改質粒子と明確に区別する。
【0037】
無機化合物からなる被改質粒子としては、具体的には、たとえば、水からなる粒子(水滴);
酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、カオリン、硫化亜鉛、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、オーカー(黄土)、黄鉛、紺青、群青、金、銀、銅、アルミニウム、ステンレスなどの合金、マグネタイトブラックなどの、金属または金属化合物からなる粒子;
カーボンブラック、ガラスビーズ、セラミックスなどの無機化合物からなる粒子;などが挙げられる。なお、カーボンブラックは、コンタクト法やファーネス法、サーマル法などの方法によって製造される。
【0038】
有機化合物からなる被改質粒子としては、たとえば、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽和複素環式化合物、不飽和複素環式化合物などの有機化合物からなる粒子;
アゾレーキ顔料,不溶性アゾ染料,縮合アゾ染料,キレートアゾ染料などのアゾ染料、フタロシアニン顔料,ペリレン顔料,ペリノン顔料,アントラキノン顔料,キナクリドン顔料,ジオキサジン顔料,チオインジゴ顔料,イソインドリノン顔料,キノフタロン顔料などの多環式顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、酸性染料型レーキ,塩基性染料型レーキなどの染料レーキ、などの顔料や染料からなる粒子;
酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応性染料、分散性染料、油性染料、食品用色素(着色料)、蛍光増白染料などの染料からなる粒子;
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸メチル樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸メチル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの合成樹脂からなる粒子;
アスピリン、インドメタシン、イソプロテレノールなどの医薬品からなる粒子;各種ラテックス、コーンスターチなどのデンプン、α−ラクトースなどの糖類、グリセリン、各種鉱油、カルナバワックスなどのパラフィン(ワックス)類、などからなる粒子;などが挙げられる。
【0039】
上記の飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物は、アミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ハロゲン基、ハロゲン化アシル基、イソシアネート基、ニトロ基、スルホン酸基などの官能基;エステルなどの結合;を有していてもよく、また、カルボキシル基を複数有する場合には、酸無水物となっていてもよい。さらに、飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物は、多環式化合物であってもよい。
【0040】
飽和脂肪族炭化水素としては、具体的には、たとえば、n−エイコサン、1−エイコサノール、アセトアミド、アセチルアセトアミド、アセトキシ酢酸、N−アセチルエチレンジアミン、1,4−シクロオクタンジオール、1,10−デカンジカルボン酸、1,2−デカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、デカン酸、ブタン二酸、グリオキシル酸1水和物、テトラハイドロジシクロペンタジエン、ステアリン酸、トリコサン酸メチル、1,3−ジクロロアセトン、ミリスチン酸イソプロピル、[(1S)-endo]-(-)-ボルネオール、ビス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチルなどが挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素としては、具体的には、たとえば、2−ノルボルネンなどのオレフィン類が挙げられる。
【0041】
飽和芳香族炭化水素としては、具体的には、たとえば、2−アセトナフトン、4−アセチルベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、2−アミノ−2’,5−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロベンゾフェノン、デカノフェノン、ナフタレン、2,4−ジブロモアニリン、1,4−ナフトキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、1−ナフトール、安息香酸、フルオレンなどが挙げられる。不飽和芳香族炭化水素としては、具体的には、たとえば、アセナフチレンなどが挙げられる。
【0042】
飽和複素環式化合物としては、具体的には、たとえば、2−アセチル−5−ブロモチオフェン、3−アセチル−2,4−ジメチルピロール、3−アミノ−2−クロロピリジン、3−ヒドロキシ−2−ニトロピリジン、フルフリルスルフィド、2−焦性粘液酸、1,2,4−トリアゾール、2−チオフェン酢酸、1−フェニルピロールなどの、芳香族性を有する複素環式化合物;3−アセチルクマリン、2−アミノベンゾチアゾール、ジベンゾフラン、1,7−フェナントロリン、7,8−ベンゾキノリン、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン−2−イル・メチルケトン、2−クロロキノリン、キノキサリン、フェノチアジンなどの、多環式化合物;などが挙げられる。
【0043】
要するに、たとえば、エアロゾル粒子やミスト粒子などの形態にすることができる有機化合物であれば、その構造に関わらず、本発明にかかる有機化合物からなる被改質粒子として用いることができる。なお、上記有機化合物において、「飽和」とは、芳香環および複素環以外の炭素−炭素不飽和結合が存在しないことを示し、「不飽和」とは、芳香環および複素環以外の炭素−炭素不飽和結合が存在することを示す。
【0044】
上記の化合物は、一種類のみを被改質粒子として用いてもよく、また、二種類以上を被改質粒子として併用してもよい。本発明にかかる表面改質方法においては、被改質粒子は、常温・常圧で固体であってもよく、液体であってもよい。つまり、本発明にかかる表面改質方法においては、常温・常圧で液体である化合物を被改質粒子として用いることができる。それゆえ、固体・液体に関わらず、被改質粒子の表面の性質を改質することができる。なお、本発明において「常温・常圧」とは、293K・1気圧を示すこととする。
【0045】
上記被改質粒子が常温・常圧で液体である場合であっても、該被改質粒子が固体である場合と同様に、粒子表面上で第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合反応させて、該粒子表面を被覆する重合体膜を形成することにより表面改質を行うことができる。そのため、該重合体膜がいわゆるカプセルとしての機能を備えることになるため、常温・常圧で液体の被改質粒子を封入した固体状の表面改質粒子を得ることができる。
【0046】
本発明にかかる表面改質粒子においては、後述する第一のモノマー成分のみを被改質粒子として用いることができる。また、上述したように、被改質粒子として二種類以上の化合物を併用してもよいため、表面改質粒子の用途に応じて、上記第一のモノマー成分に対して上記の化合物を適宜添加してもよい。このように、被改質粒子を複数の成分で構成することにより、すなわち、たとえば、二種類以上の化合物の混合物を被改質粒子として用いるなど、被改質粒子として二種類以上の化合物を併用することにより、複数の機能を有する化合物を含む表面改質粒子を簡単に得ることができる。
【0047】
また、二種類以上の化合物を併用する場合においては、少なくとも一種類の化合物として水を用いることにより、水を含む表面改質粒子を得ることができる。さらに、二種類以上の化合物を併用する場合においては、少なくとも一種類の化合物として顔料または染料を用いることにより、所望の色に着色された表面改質粒子を得ることができる。
【0048】
なお、被改質粒子の一次粒子径や幾何平均粒子径は、特に限定されるものではない。また、二種類以上の化合物の混合物を被改質粒子として用いる場合においては、該化合物は、固体同士の組み合わせであってもよく、液体同士の組み合わせであってもよく、固体と液体との組み合わせであってもよい。
【0049】
上記化合物(または複数の化合物の混合物)の被改質粒子を形成する方法としては、具体的には、たとえば、▲1▼粉砕した後、分級する方法、▲2▼溶剤(後述する)に溶解させた後、該溶液をエアロゾル粒子またはミスト粒子にする方法、▲3▼溶剤に分散させた後、該分散液をエアロゾル粒子またはミスト粒子とする方法、▲4▼気化させた後、該ガス(蒸気)を凝集させてヒュームとする方法、などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0050】
本発明にかかる表面改質粒子では、後述する第一のモノマー成分のみからなる被改質粒子を用いることが可能であるが、この場合、上記第一のモノマー成分が常温・常圧である場合、第一のモノマー成分のみからなる被改質粒子を形成する方法としては上記▲4▼の方法が好適に用いられる。しかしながら、第一のモノマー成分を含む二種類以上の化合物を用いて被改質粒子を形成する場合には、第一のモノマー成分以外の化合物の種類に応じて、上記▲1▼〜▲4▼の方法を含む被改質粒子の形成方法を適宜選択して用いることができる。
【0051】
上記▲2▼・▲3▼の方法における溶剤としては、具体的には、たとえば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール類;グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタムなどの含窒素複素環式化合物;ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジエチルエーテルなどのエーテル類;ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物;などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これら溶剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。なお、これら溶剤は、被改質粒子を構成する化合物である。つまり、本発明にかかる表面改質粒子の製造においては、これら溶剤を含む混合物を被改質粒子として取り扱う。
【0052】
本発明にかかる表面改質粒子は、第一のモノマー成分を有する被改質粒子の表面上に第二のモノマー成分を凝縮させて樹脂製の表面改質剤の膜を形成してなるものである。すなわち、本発明にかかる表面改質方法は、2種類のモノマー成分を用いて、該各モノマー成分を被改質粒子の表面で重合させることによって表面改質剤の重合体膜を形成するものである。
【0053】
上記表面改質方法では、被改質粒子が摩擦などによって帯電するおそれがない上に、被改質粒子の表面改質を気相中で行うことができる。そのため、従来の方法と比較して、粒子表面の改質をより簡便な操作でかつ短時間に行うことができる。
【0054】
また、用いる各モノマー成分を適宜選択することによって、得られる表面改質粒子の使用目的に応じた表面改質剤(重合体)の膜を形成することもできる。さらに、上記被改質粒子の表面上にて重合反応可能なモノマーであれば、さまざまな種類のモノマーを選択することもできるので、表面改質剤としてさまざまな種類の重合体を形成することが可能である。
【0055】
特に、上記被改質粒子としては、上述したように、第一のモノマー成分のみからなるものを用いることができる。この場合、改めて被改質粒子として他の化合物を用いなくても第一のモノマー成分と第二のモノマー成分との重合体のみからなる表面改質粒子を得ることができる。また、得られる表面改質粒子はより均質な球状となるため、上記重合体からなる球状樹脂粒子をより簡単に得ることができる。
【0056】
ここで、上記第一のモノマー成分とは、被改質粒子に含有されているモノマー成分のことを示す。また、第二のモノマー成分とは、上記第一のモノマー成分を含有させた被改質粒子の表面上に凝縮させるモノマー成分のことを示す。この第一のモノマー成分および第二のモノマー成分となる化合物としては、被改質粒子の表面上において、重合可能な化合物であれば特に限定されるものではないが、たとえば、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物の化合物を好適に用いることができる。
【0057】
上記飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物は、アミド基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン基、ニトロ基、スルホン酸基などの官能基;エステルなどの結合;を有していてもよい。
【0058】
飽和脂肪族炭化水素としては、具体的には、たとえば、メタン、エタン、プロパン、2−プロパノール、ブタン、2−ブタノン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、2−ヘキサノン、シクロペンタノール、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ジプロピルアミン、酪酸、ペンタン酸、ピペラジン、マレノニトリルなどが挙げられる。不飽和脂肪族炭化水素としては、具体的には、たとえば、1,3−シクロペンタジエン、シクロヘキセン、1−ヘプテンなどが挙げられる。
【0059】
飽和芳香族炭化水素としては、具体的には、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼン、3,3’−ジメチルビフェニル、ナフタレン、ニトロトルエン、オクタフルオロビフェニル、フェノール、ブロモベンゼン、トリフェニルメタン、ベンゾフェノン、アントラキノン、ジフェニルアミンサルフェート、アニソール、安息香酸、安息香酸エチル、ジフェニルメタン、フルオレン、ベンゾキノン、ベンズアミド、チオベンズアミド、クメン、フェナントレン、6−フェニルフェナントレン、スチルベン、ベンジジン、デュレン、フルオレン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ジフェニルスルホン、ベンゾイレン尿素などが挙げられる。
【0060】
飽和複素環式化合物としては、具体的には、たとえば、1,2,4−トリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、フラン、アクリジン、プリン、2,4−ジヒドロキシピリミジンサルフェート、2,6−ジメルカプトピリミジン、6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、5−ヒドロキシピラゾール、ピリジン、6,7−ジイソプロピルプテリジンフォスフェート、チオフェン、チオウラシル、1,3−ジメチルウラシル水和物などが挙げられる。
【0061】
上記の化合物の中でも特に好ましくは、上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方がイソシアネート基またはイソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーであり、他方がヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーである組み合わせ(以下、組み合わせAとする)であるか、または、上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方がヒドロキシル基または/およびメルカプト基を2つ以上有するモノマーであり、他方がハロゲン化されたアシル基を2つ以上有するモノマーである組み合わせ(以下、組み合わせBとする)である。
【0062】
上記組み合わせAにおいて、さらに好ましくは、他方がヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基をそれぞれ少なくとも1つ有するモノマーの場合である。
【0063】
なお、第1級のアミノ基または/および第2級のアミノ基を2つ以上有するモノマーとは、(1)アミノ基(化学式−NH2 )を2つ以上有するモノマー、(2)第2級のアミノ基(化学式−NRH,Rはアルキル基などの置換基を示す)を2つ以上有するモノマー、および(3)第1級のアミノ基を少なくとも1つ有するとともに第2級のアミノ基を少なくとも1つ有する、つまり、第1級のアミノ基と第2級のアミノ基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有するモノマーの、計3種類のモノマーのことを示している。
【0064】
同様に、ヒドロキシル基または/およびメルカプト基を2つ以上有するモノマーとは、(1)ヒドロキシル基を2つ以上有するモノマー、(2)メルカプト基を2つ以上有するモノマー、および(3)ヒドロキシル基を少なくとも1つ有するとともにメルカプト基を少なくとも1つ有する、つまり、ヒドロキシル基とメルカプト基とをそれぞれ少なくとも1つ以上有するモノマーの、計3種類のモノマーのことを示している。
【0065】
上記イソシアネート基を2つ以上有する化合物(以下、化合物A11とする)としては、具体的には、たとえば、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,4−ジイソシアネートブタン、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’−ジクロロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0066】
上記イソチオシアネート基を2つ以上有する化合物(以下、化合物A12とする)としては、具体的には、たとえば、1,4−フェニレンジイソチオシアネート、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、シリコンテトライソチオシアネートなどが挙げられる。
【0067】
上記第1級のアミノ基または/および第2級のアミノ基を2つ以上有する化合物(以下、化合物A2 とする)としては、具体的には、たとえば、1,3−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、ジメチルピペラジン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、尿素、チオ尿素、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,3’−ジアミノベンジジン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンなどが挙げられる。
【0068】
なお、第1級のアミノ基とは、上述したが、化学式−NH2 で表される1価の基を示し、通常、単にアミノ基と呼ばれている官能基である。一方、第2級のアミノ基とは、アミノ基(化学式−NH2 )の2つの窒素−水素結合のうち、1つの窒素−水素結合における水素がアルキル基などの置換基に置換された官能基を示す。すなわち、第2級のアミノ基を有している化合物は、第2級アミンであるとも言える。
【0069】
上記ヒドロキシル基を2つ以上有する化合物(以下、化合物B11とする)としては、具体的には、たとえば、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ハイドロキノン、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、2,5−ジヒドロキシトルエン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,4−ブタンジオールなどが挙げられる。
【0070】
上記メルカプト基を2つ以上有する化合物(以下、化合物B12とする)としては、1,4−ベンゼンジチオール、1,4−ブタンジチオール、エタンジチオール、1,10−デカンジチオール、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、1,5−ジメルカプトナフタレン、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール、2,3−ジメルカプトコハク酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼンなどが挙げられる。
【0071】
また、ヒドロキシル基とメルカプト基とを共に有する化合物(以下、化合物B13とする)としては、これら官能基を合わせて2つ以上含んでいる化合物であればよい。つまり、ヒドロキシル基を少なくとも1つ有し、メルカプト基を少なくとも1つ有する化合物であればよい。このような化合物としては、具体的には、たとえば、1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール、2−メルカプトエタノール、4−メルカプトエタノールなどが挙げられる。
【0072】
上記ハロゲン化されたアシル基を2つ以上有する化合物(以下、化合物B2 とする)としては、塩化アジポイル、塩化セバコイル、塩化テレフタロイル、塩化イソフタロイルなどが挙げられる。
【0073】
また、上記化合物A11、A12、A2 、B11、B12、B13およびB2 は、それぞれ、上述した飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物の何れかの化合物に対して、上述したイソシアネート基、イソチオシアネート基、第1級のアミノ基または/および第2級のアミノ基、メルカプト基、ヒドロキシル基、またはハロゲン化アシル基の各官能基をそれぞれ2つ以上導入した構造を有する化合物、およびメルカプト基とヒドロキシル基との各官能基を同時に少なくとも1つ有する化合物であってもよい。
【0074】
ここで、上述した飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物がその構造に上記各官能基を含有している場合は、該官能基を含めて構造中に2つ以上の官能基が含有されているような構造であればよい。
【0075】
たとえば、化合物B11について考えると、該化合物B11としては、1,2−プロパンジオール、およびグリセロールを挙げることができる。これら各化合物は、構造上、炭素数3の飽和脂肪族炭化水素である2−プロパノールを基本構造としており、この2−プロパノールの3つの炭素の何れか(または全て)にさらにヒドロキシル基が導入されていると考えることができる。換言すれば、飽和脂肪族炭化水素である2−プロパノールに対して、位置番号1の炭素に1つのヒドロキシル基が新たに導入されたものが1,2−プロパンジオールであり、位置番号1および3の炭素にそれぞれ1つずつ、計2つのヒドロキシル基が新たに導入されたものがグリセロールであると見なすことができる。
【0076】
ただし、上記官能基を導入するという表現は、付加反応や転移反応などにより、実際に上述した飽和脂肪族炭化水素などの化合物の構造に化学反応的に官能基を導入することではない。つまり、上述した化合物に官能基を導入するという表現は、上記化合物A11、A12、A2 、B11、B12、B13およびB2 の構造をより詳細に説明するための便宜上の表現である。
【0077】
なお、上記化合物A11、A12、A2 、B11、B12、B13およびB2 として用いられる化合物を製造するに当たり、上記飽和脂肪族炭化水素などの化合物に上記官能基を導入することが反応上可能であり、かつ、該官能基の導入による化合物の製造において製造コストの低減や高品質の化合物を得ることができるなどといった工業上有利な点がある場合は、上述した化合物に官能基を導入するという製造方法が好適に用いられることは言うまでもない。
【0078】
上記組み合わせAにおける化合物A11またはA12と化合物A2 とは、どちらが第一のモノマー成分となっても構わない。すなわち、上記組み合わせAとしては、化合物A11およびA2 の第一の組み合わせと、化合物A12およびA2 の第二の組み合わせとがあり、これら組み合わせの内、第一の組み合わせでは、化合物A11およびA2 のどちらが第一のモノマー成分であってもよく、第二の組み合わせでは、化合物A12およびA2 のどちらが第一のモノマー成分であってもよい。
【0079】
同様に、組み合わせBにおける化合物B11、B12またはB13と化合物B2 は、どちらが第二のモノマー成分となっても構わない。すなわち、上記組み合わせBとしては、化合物B11およびB2 の第一の組み合わせと、化合物B12およびB2 の第二の組み合わせと、さらに化合物B13およびB2 の第三の組み合わせがあり、これら組み合わせのうち、第一の組み合わせでは、化合物B11およびB2 のどちらが第一のモノマー成分であってもよく、第二の組み合わせでは、化合物B12およびB2 のどちらが第一のモノマー成分であってもよく、さらに、第三の組み合わせでは、化合物B13およびB2 のどちらが第一のモノマー成分であってもよい。
【0080】
上記第一および第二のモノマー成分の組み合わせとして、上記の各組み合わせA・Bの化合物がそれぞれ用いられることによって、本発明にかかる表面改質粒子を得ることができる。
【0081】
なお、上記化合物A11、A12、A2 、B11、B12、B13およびB2 として挙げている化合物は、一種類のみをモノマー成分として用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよい。すなわち、第一および第二のモノマー成分を重合することによって得られる表面改質剤の膜は、三種類以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。ただし、上記三種類以上のモノマーは、第一および第二のモノマー成分に分類されるとともに、前記の2つの組み合わせAまたはBに該当するものでなければならない。
【0082】
本発明にかかる表面改質方法では、第一および第二のモノマー成分が、上記組み合わせAまたはBの化合物を用いている。そのため、第一のモノマー成分の官能基と第二のモノマー成分の官能基との反応性が向上するため、他のモノマー同士の場合よりも重合反応を迅速化することができるとともに、被改質粒子の表面上に、より簡単に重合体膜を形成することができる。
【0083】
上記第一および第二のモノマー成分は常温・常圧で液体であることが好ましい。これにより、モノマー成分を過飽和蒸気とし易くすることができるとともに、表面改質を行う表面改質装置内にモノマー成分を導入し易くすることができる。特に、第二のモノマーの場合は、必ず過飽和蒸気とするために、常温・常圧で液体であることが好ましい。また、第一のモノマー成分も常温・常圧で液体であれば、第一のモノマー成分を被改質粒子に含有させ易くすることができるという利点がある。
【0084】
上記第一および第二のモノマー成分においては、互いのモノマー成分が接触することによって重合反応が進行するが、重合反応が進行しにくい場合には、適宜触媒を用いて構わない。このように触媒を用いることで、重合反応を速やかに進行させることが可能となる。このときの触媒としては、常温・常圧で固体のものでも液体のものでも適宜選択して使用することができる。
【0085】
上記触媒を、第一および第二のモノマー成分の重合反応系に添加する手法としては、特に限定されるものではないが、あらかじめ被改質粒子に含有させておく手法を用いることができる。この手法としては、上述した、第一のモノマー成分を被改質粒子に含有させる各方法を用いることができる。
【0086】
上記第一および第二のモノマー成分の重合反応では、上記のように触媒を用いることが好ましい。このとき用いられる触媒としては、重合反応を阻害せず、かつ、反応速度を増大させる正触媒であれば特に限定されるものではないが、たとえば、有機系の触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類;ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,3,5,6−テトラメチルピリジン、ピラジンなどの窒素含有複素環式化合物;などを挙げることができる。また、無機系の触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸カリウム、tert−ブトキシカリウムなどのアルカリ金属塩;などを挙げることができる。
【0087】
本発明にかかる表面改質方法では、上記被改質粒子に第一のモノマー成分を含有させるが、この第一のモノマー成分の被改質粒子への添加方法としては、たとえば、被改質粒子の表面上に第一のモノマー成分を凝縮させておき、さらに、第一のモノマー成分が凝縮した被改質粒子の表面上に第二のモノマー成分を凝縮させる凝縮法、および、固体または液体からなる被改質粒子となる1種類以上の化合物に対して、第一のモノマー成分を混合して混合物とし、この混合物を粒子状に形成して被改質粒子とする混合法などが挙げられる。しかしながら、第一のモノマー成分の添加方法としては、上記2つの方法に限定されるものではなく、被改質粒子に重合可能な状態であるように第一のモノマー成分が含まれる方法であればよい。
【0088】
上記各添加方法のうち、凝縮法では、被改質粒子上に第一のモノマー成分を凝縮させるため、被改質粒子の表面の状態にかかわらず好適に表面改質剤となる重合体膜を形成することができる。しかしながら、第二のモノマー成分も被改質粒子の表面上に凝縮させる必要があるため、モノマー成分を凝縮させるための表面改質装置が2つ必要となる。一方、混合法では、第二のモノマー成分のみを凝縮させるため上記表面改質装置は1つでよいが、被改質粒子となる化合物によっては第一のモノマー成分を混合できない場合がある。そのため、第一のモノマー成分を被改質粒子に添加する方法は、被改質粒子として用いられる化合物の種類や得られる表面改質粒子の使用用途などによって適宜選択すればよい。
【0089】
上記被改質粒子を第二または/および第一のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させて、被改質粒子の表面に該モノマー成分を付着させる方法は特に限定されるものではないが、被改質粒子をモノマー成分の過飽和蒸気に曝すことによって被改質粒子の表面に該モノマー成分を凝縮させる方法が好適である。具体的には、たとえば、モノマー成分の飽和蒸気を満たした表面改質装置内に被改質粒子を導入した後、▲1▼該飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、被改質粒子の表面に該モノマー成分を凝縮させる方法、▲2▼該飽和蒸気を過冷却状態にして過飽和蒸気を形成し、被改質粒子の表面に該モノマー成分を凝縮させる方法、或いは、▲3▼モノマー成分の飽和蒸気を満たした表面改質装置内に、冷却した(飽和蒸気よりも低温の)被改質粒子を導入することにより、モノマー成分と被改質粒子との温度差を利用して被改質粒子の表面に該モノマー成分を凝縮させる方法、などが挙げられるが、被改質粒子同士の凝集や、被改質粒子の変質などを生じない条件下であればよく、特に限定されるものではない。これにより、該被改質粒子の表面に凝縮したモノマー成分の膜が形成される。
【0090】
なお、このモノマー成分の膜が第一のモノマー成分の膜である場合、この第一のモノマー成分が被改質粒子の表面に付着している状態としては、第一のモノマー成分が後に凝縮する第二のモノマー成分と重合反応できる状態である限り限定されるものではない。しかしながら、第一のモノマー成分は粒子表面に単に付着している状態が好ましい。第一のモノマー成分が反応などによって結合している場合には、第二のモノマー成分との重合反応を阻害するおそれがあるので好ましくない。
【0091】
そして、上記モノマー成分として、前述した組み合わせA・Bの選択、および組み合わせAまたはB内においての具体的な化合物の選択により、得られる表面改質粒子に対して、種々の機能を付与することができる。なお、被改質粒子の表面に常温・常圧で固体である表面改質剤の重合体膜を形成するので、つまり、該粒子表面を被覆するように表面改質剤の重合体膜を付着させるので、被改質粒子が常温・常圧で液体であっても、該重合体膜がいわゆるカプセルとしての機能を備えて液体状の粒子を封入することができる。すなわち、常温・常圧で液体である粒子の表面を改質することができる。
【0092】
モノマー成分の過飽和蒸気を満たした表面改質装置内に粒子を導入する方法は特に限定されるものではないが、不活性ガスをキャリアとして用い、該不活性ガスと共に被改質粒子を吹き込む方法が簡便である。つまり、本発明にかかる表面改質方法においては、被改質粒子をモノマー成分の過飽和蒸気と不活性ガスとの存在下で接触させることができる。
【0093】
該不活性ガスとしては、具体的には、たとえば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、特に限定されるものではなく、本発明にかかる表面改質方法において用いる被改質粒子およびモノマー成分に対して不活性なガスであればよい。不活性ガスを被改質粒子のキャリアとして用いることにより、被改質粒子の表面を改質する際における、キャリアを要因とする被改質粒子やモノマー成分に対する好ましくない反応(たとえば、被改質粒子の表面の酸化やモノマー成分の変質など)や作用などを排除することができるので、被改質粒子の表面の性質をより一層良好に改質することが可能となる。
【0094】
被改質粒子の表面に付着した表面改質剤の重合体膜は、表面改質処理の時間の経過と共に徐々に厚くなる。したがって、被改質粒子の密度や過飽和蒸気の濃度、処理時間、処理温度などの処理条件を適宜選択することにより、上記重合体膜の厚さを調節することができる。
【0095】
また、被改質粒子をモノマー成分の過飽和蒸気と接触させる工程を複数回繰り返すことにより、該被改質粒子の表面に、所望の厚さの表面改質剤の膜を形成することができると共に、所望の粒子径の表面改質粒子を得ることができる。すなわち、モノマー成分の過飽和蒸気の濃度が比較的低い場合には、1回の工程で以て所望の厚さの重合体膜を形成することができないおそれがあるが、上記工程を複数回繰り返すことにより膜厚を厚くすることができる。一方、表面改質剤の過飽和蒸気の濃度が比較的高い場合には、該被改質粒子の表面に、1回の工程で以て所望の厚さの表面改質剤の膜を形成することができる。
【0096】
また、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接触させる上記複数回の工程のうち、少なくとも2回の工程に、互いに組成の異なる表面改質剤を用いることにより、該粒子表面に、互いに組成の異なる表面改質剤の膜を順次積層させることができる。すなわち、粒子表面の性質を複数の表面改質剤によって改質することができるので、高機能を有する表面改質粒子を簡単に得ることができる。
【0097】
以上のように、本発明にかかる表面改質方法は、第一のモノマー成分を有する被改質粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させることにより、該被改質粒子の表面に該第二のモノマー成分を付着させ、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させて、該被改質粒子の表面に重合体膜を形成する工程を含む方法である。
【0098】
上記方法によれば、第二のモノマーの過飽和蒸気は、被改質粒子と接触すると、該被改質粒子を核として凝集し、その表面に付着する。ここで、上記被改質粒子は、予め第一のモノマー成分を有しているため、該被改質粒子の表面上には、第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とが存在することになる。上記各モノマー成分は被改質粒子の表面上において重合反応する。このため、被改質粒子の表面上に、第一および第二のモノマー成分の重合体膜が形成され、被改質粒子の表面が改質される。
【0099】
すなわち、上記方法では、撹拌翼などの撹拌装置を用いて被改質粒子を撹拌する従来の方法とは異なり、被改質粒子の表面に表面改質剤を付着させる際に、該被改質粒子が摩擦などによって帯電するおそれがない。しかも、表面改質剤である重合体膜の形成は、被改質粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させることにより行うことができる。そのため、従来の方法と比較して、被改質粒子の表面の改質をより簡便な操作でかつ短時間に行うことができる。
【0100】
また、モノマー成分を適宜選択することによって、得られる表面改質粒子の使用目的に応じた表面改質剤(重合体)の膜を形成することもできる。さらに、被改質粒子の表面上にて重合反応可能なモノマーであれば、さまざまな種類のモノマーを選択することもできるので、表面改質剤としてさまざまな種類の重合体を形成することが可能である。
【0101】
上記表面改質方法においては、第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方がイソシアネート基またはイソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーであり、他方がヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーの組み合わせであることが好ましく、さらに好ましくは、他方がヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基を同時に少なくとも一つ有するモノマーを用いた組み合わせである。
【0102】
または、上記表面改質方法においては、一方がヒドロキシル基または/およびメルカプト基を2つ以上有するモノマーであり、他方がハロゲン化されたアシル基を2つ以上有するモノマーの組み合わせであることが好ましい。
【0103】
第一および第二のモノマー成分の組み合わせが上記何れかの組み合わせであれば、第一のモノマー成分の官能基と第二のモノマー成分の官能基との反応性が向上する。そのため、他のモノマー同士の場合よりも重合反応を迅速化することができるとともに、被改質粒子の表面上に、より簡単に重合体膜を形成することができる。特に、上記各モノマー成分が液体であれば、蒸気化したり、被改質粒子に含有させ易くしたりすることができるため好ましい。
【0104】
さらに、上記被改質粒子が常温・常圧で液体であってもよく、第一のモノマー成分のみからなっていてもよい。さらに、被改質粒子は複数の成分からなっていてもよい。本発明にかかる表面改質方法では、被改質粒子としてさまざまな物質を用いることが可能であるため、使用目的に応じた機能を備える表面改質粒子を簡単に得ることができる。
【0105】
加えて、本発明にかかる表面改質方法は、重合体膜を形成する工程を複数回繰り返すことが可能である。それゆえ、重合体膜を形成する工程の繰り返し回数を適宜選択することにより、重合体膜の膜厚を調節し、所望の膜厚の重合体膜を形成することができる。また、工程毎に異なる種類のモノマーを用いれば、被改質粒子の表面の性質を複数の表面改質剤(重合体膜)にて改質することができるので、高機能を有する表面改質粒子をより簡単に得ることができる。
【0106】
また、以上のように、本発明にかかる表面改質粒子は、上記の方法によって得られる構成である。これにより、第一および第二のモノマー成分を重合してなる重合体からなる表面改質剤の膜を被改質粒子の表面に形成した表面改質粒子を簡単に提供することができる。また、たとえば、被改質粒子が常温・常圧で液体であっても、表面改質粒子が固体状であるので、簡便かつ容易に取り扱うことができる。つまり、液体状の被改質粒子を固体として取り扱うことができる表面改質粒子を提供することができる。また、所望の厚さの表面改質剤(重合体)の膜が形成された表面改質粒子、並びに、高機能を有する表面改質粒子を提供することができる。
【0107】
本発明にかかる表面改質粒子は、医薬品、化粧品、塗料、印刷インキ、トナー(現像剤)、セラミックス、電子材料などの各種用途に好適に用いられる。
【0108】
上記構成の被改質粒子並びに表面改質剤を用いた表面改質方法に好適に供される表面改質装置の一例について、図1ないし図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0109】
図1に示すように、表面改質装置1は、基台9上に立設された改質塔2を備えている。該改質塔2は、上下方向に延びる細長い円柱形状をなし、セラミックスや不織布などの多孔質材料からなる内壁部2aと、ステンレスなどからなる外壁部2bとで構成されており、内部となる内壁部2aにて囲まれた空間を、密閉可能な表面改質処理空間として有している。
【0110】
上記内壁部2aにはモノマー成分があらかじめ付着または含浸されておいてもよく、これにより、内壁部2aは、改質塔2内部の温度並びに圧力が調節されることによって、モノマー成分の過飽和蒸気を発生するようになっている。なお、改質塔2の形状は、特に限定されるものではないが、本表面改質装置を用いて表面改質処理を効率的に行うには、横長形状よりも上記縦長形状であることがより好ましい。
【0111】
改質塔2には、改質塔2内部に被改質粒子を供給する粒子供給管4、改質塔2内部から表面改質粒子を取り出す粒子取出管5、および、改質塔2内部を加圧または減圧することによって所定の圧力に調節する圧力調節管6が接続されている。粒子供給管4は、バルブ11を介して図示しない粒子供給装置に接続されている。
【0112】
粒子供給管4は、被改質粒子と共に、必要に応じて不活性ガスを改質塔2内部に供給するようになっている。粒子取出管5は、バルブ13を介して図示しない粒子回収装置に接続されている。圧力調節管6には、改質塔2内部の圧力を測定する圧力計16が取り付けられている。圧力調節管6は、バルブ15を介して図示しない加圧・減圧装置に接続されている。
【0113】
改質塔2の外周部には、改質塔2内部を加熱するために、リボンヒータなどからなる加熱装置7が螺旋状に巻回されて取り付けられている。また、改質塔2の上方部には、改質塔2内部の温度を測定する温度計8が取り付けられている。改質塔2の下方部には、改質塔2内部の表面改質粒子の粒子径を光学的に測定する従来周知の光学測定装置3が設けられている。したがって、表面改質装置1は、主に、上記の改質塔2、光学測定装置3、図示しない粒子供給装置、粒子回収装置、加圧・減圧装置などで構成されている。
【0114】
上記の光学測定装置3は、筐体3hの内部に、光源3a、レンズ3b・3c、遮光板3d、ガラスなどからなる改質塔2との仕切り板である透光板3e・3f、光検出部3gなどが配設されることによって構成されている。
【0115】
光学測定装置3は、光源3aから出射された光を、レンズ3b・3c、遮光板3dの開口部、透光板3e、改質塔2内部、および透光板3fを経て光検出部3gに入射させるようになっている。光源3aから出射された光は、改質塔2内部の表面改質粒子によって散乱および減光することにより、その光量が変化する。これにより、光学測定装置3は、入射された光量に応じて光検出部3gから出力される信号に基づいて、表面改質粒子の粒子径を測定するようになっている。
【0116】
光学測定装置3を用いて表面改質粒子の粒子径を測定することにより、被改質粒子の表面に形成される重合体からなる重合体の膜の厚さを制御することができる。
【0117】
なお、上記の光学測定装置3は、光透析・散乱法を採用して粒子径を測定する構成となっているが、測定法は特に限定されるものではなく、たとえば、X線透過法、沈降法、レーザ回折・散乱法、動的散乱を利用した光子相関法などを採用することもできる。また、光学的に測定する方法以外に、光学顕微鏡や電子顕微鏡を使用する画像処理解析法などを採用することもできる。
【0118】
上記構成の表面改質装置1を用いて被改質粒子の表面改質を行うには、まず、改質塔2を密閉して表面改質処理空間を形成し、圧力調節管6を用いて改質塔2内部を所定の圧力に調節した後、加熱装置7を用いて内壁部2aにあらかじめ付着または含浸された第二のモノマー成分の飽和蒸気を発生させる。
【0119】
次に、改質塔2内部に粒子供給管4を介して被改質粒子を、必要に応じて不活性ガスをキャリアとして用いて供給(導入)する。続いて、圧力調節管6を用いて改質塔2内部を減圧状態とすることにより、第二のモノマー成分の飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成する。この結果、被改質粒子の表面に該第二のモノマー成分を凝縮させて、被改質粒子に含有されている第一のモノマー成分と重合させる。
【0120】
そして、光学測定装置3を用いて表面改質粒子の粒子径を測定することによって被改質粒子の表面に形成される重合体の膜の厚さを制御し、所望の厚さの該膜が形成された時点で、粒子取出管5を介して改質塔2内部から表面改質粒子を取り出す。これにより、所望の厚さの重合体の膜が形成された表面改質粒子、すなわち、本発明にかかる表面改質粒子を簡単に製造することが可能となる。
【0121】
上記の表面改質装置1を用いて被改質粒子の表面改質を行う際には、装置内を、たとえばキャリアとして用いる不活性ガスなどの清浄ガスであらかじめ置換しておくことが望ましい。
【0122】
また、第一のモノマー成分も過飽和蒸気として被改質粒子の表面上に凝集させる場合は、上記構成の表面改質装置1を2つ使用すればよい。具体的には、図2に示すように、2つの表面改質装置1a・1bを連結すればよい。すなわち、第一の表面改質装置1aの粒子取出管5と、第二の表面改質装置1bの粒子供給管4とを連結して、第一の表面改質装置1aから取り出された第一のモノマー成分が凝縮した被改質粒子を、第二の表面改質装置1bに供給して第二のモノマー成分を凝縮させて重合し、表面改質粒子を製造すればよい。これにより、表面改質粒子をより簡単に製造することができる。
【0123】
上記の第一および第二の表面改質装置1a・1bを用いて被改質粒子の表面改質を行う際には、両装置内を、たとえばキャリアとして用いる不活性ガスなどの清浄ガスであらかじめ置換しておくことが望ましい。
【0124】
次に、上記構成の被改質粒子並びに第一・第二のモノマー成分を用いた表面改質方法に好適に供される表面改質装置の他の例について、図3ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の表面改質装置1が備える構成と同一の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0125】
図3に示すように、表面改質装置21は、蒸気発生部22aおよび混合部22bからなる改質塔22、光学測定装置3・3を備えており、表面改質粒子を連続的に製造することができるようになっている。該蒸気発生部22aは、水平方向に延びる細長い円柱形状または角柱形状をなし、内壁部2aと外壁部2bとで構成されており、内部がモノマー成分蒸気発生空間となっている。蒸気発生部22aの外周部には、加熱装置7が螺旋状に巻回されて取り付けられている。また、蒸気発生部22aの上方部には、温度計8が取り付けられている。
【0126】
なお、蒸気発生部22aの形状は、特に限定されるものではないが、本表面改質装置を用いて表面改質処理を効率的に行うには、縦長形状よりも上記横長形状であることがより好ましい。
【0127】
蒸気発生部22aの長手方向に延びる上記のモノマー成分蒸気発生空間は、蒸気発生部22aの軸方向に対して上下方向に傾斜したたとえば円柱穴形に形成されている。また、蒸気発生部22a内部における下方側端部には、例えば、蒸気発生部22a内壁に凝縮した液体状のモノマー成分20を貯留するための貯留部2cが形成されている。そして、蒸気発生部22a内部が、水平方向に対し傾斜しているので、内壁部2aにあらかじめ付着または含浸されているモノマー成分20は、過飽和蒸気を発生すると共に、凝縮するとその一部が貯留部2cに流れ込む。
【0128】
さらに、蒸気発生部22a内部における下方側端部には、必要に応じて不活性ガスなどの清浄ガスを改質塔22内部に供給する清浄ガス供給管2dが接続されている。清浄ガス供給管2dは、バルブ2eを介して図示しない清浄ガス供給装置に接続されている。なお、内壁部2aにモノマー成分をあらかじめ付着または含浸させる代わりに、貯留部2cにモノマー成分を、予め貯留しておくこともできる。
【0129】
蒸気発生部22a内部における上方側端部には、上下方向に延びる細長い円柱形状をなす混合部22bが接続されている。混合部22bは、ステンレスなどからなる混合管29と、該混合管29の外周部に設けられた冷却管30とで構成されており、内部が表面改質処理空間となっている。表面改質処理空間は、モノマー成分蒸気発生空間と連通している。混合部22bの上方部には、温度計8が取り付けられている。
【0130】
そして、蒸気発生部22aと混合部22bとの接続部近傍には、粒子供給管4がその開口部を上にした状態で混合管29に接続されている。一方、混合部22bの上方側端部は、改質塔22内部の表面改質粒子の粒子径を光学的に測定する光学測定装置3、および粒子取出管5を介して図示しない粒子回収装置に接続されている。
【0131】
粒子供給管4は、改質塔22に供給される被改質粒子の粒子径を光学的に測定する光学測定装置3、およびバルブ2fを介して図示しない粒子供給装置に接続されている。粒子供給管4には、温度計8と、被改質粒子の温度を調節するためのリボンヒータなどからなる加熱装置7が螺旋状に巻回されて取り付けられている。なお、表面改質装置21が備えるその他の構成は、前記の表面改質装置1が備える構成と同一である。
【0132】
上記構成の表面改質装置21を用いて被改質粒子の表面改質を行うには、まず、改質塔22内に第二のモノマー成分の蒸気を発生させる空間を形成した後、加熱装置7を用いて内壁部2aにあらかじめ付着または含浸された第二のモノマー成分の飽和蒸気を発生させる。蒸気発生部22aで発生した該飽和蒸気は、第二のモノマー成分蒸気発生空間と連通している表面改質処理空間である混合管29内部に、清浄ガス供給管2dから供給される清浄ガス(キャリア)によって導入される。
【0133】
次に、混合部22bにおける該混合管29内部に粒子供給管4を介して被改質粒子を、必要に応じて不活性ガスと共に供給(導入)する。次いで、冷却管30を用いて混合管29を冷却することにより、第二のモノマー成分の飽和蒸気を過冷却状態にして過飽和蒸気を形成し、被改質粒子の表面に該モノマー成分を凝縮させ、被改質粒子に含有されている第一のモノマー成分と重合させる。
【0134】
そして、光学測定装置3を用いて表面改質粒子の粒子径を測定することによって被改質粒子の表面に形成される重合体の膜の厚さを制御し、所望の厚さの該膜が形成された時点で、粒子取出管5を介して混合管29から表面改質粒子を取り出す。粒子径、すなわち、重合体の膜の厚さは、蒸気発生部22aの加熱温度、清浄ガス(キャリア)の流速、被改質粒子の温度、および、混合部22bの温度などを適宜設定することによって、容易に制御することができる。
【0135】
また、混合部22bにおいて、被改質粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気に曝す時間は、清浄ガス(キャリア)の流速、および、混合管29の長さなどを適宜設定することによって、容易に調節することができる。
【0136】
これにより、所望の厚さの重合体の膜が形成された表面改質粒子、すなわち、本発明にかかる表面改質粒子を簡単にかつ連続的に製造することができる。上記の表面改質装置21を用いて被改質粒子の表面改質を行う際には、装置内を、たとえばキャリアとして用いる不活性ガスなどの清浄ガスであらかじめ置換しておくことが望ましい。
【0137】
なお、上記構成の表面改質装置21を用いて被改質粒子の表面改質を行うに当たっては、混合管29内部に被改質粒子を供給した後、冷却管30を用いて混合管29を冷却する代わりに、被改質粒子を必要に応じて不活性ガスと共に冷却して(飽和蒸気よりも低温にして)混合管29内部に導入することにより、モノマー成分と被改質粒子との温度差を利用して被改質粒子の表面に該モノマー成分を凝縮させることもできる。
【0138】
また、第一のモノマー成分も過飽和蒸気として被改質粒子の表面上に凝集させる場合は、上記構成の表面改質装置21を2つ使用すればよい。具体的には、図4に示すように、2つの表面改質装置21a・21bを連結すればよい。すなわち、第一の表面改質装置21aの粒子取出管5(図4には図示せず)と、第二の表面改質装置21bの粒子供給管4とを連結して、第一の表面改質装置21aから取り出された第一のモノマー成分が凝縮した被改質粒子を、第二の表面改質装置21bに供給して表面改質粒子を製造すればよい。これにより、表面改質粒子を連続的に製造することができる。
【0139】
なお、2つの第一および第二の表面改質装置21a・21bを連結して使用する場合には、両装置21a・21bの連結部位における光学測定装置3・3のうちの1つを省略することができる。上記の第一および第二の表面改質装置21a・21bを用いて被改質粒子の表面改質を行う際には、両装置内を、たとえばキャリアとして用いる不活性ガスなどの清浄ガスであらかじめ置換しておくことが望ましい。
【0140】
さらに、図2または図4に示すような表面改質装置1または21を2つ連結させたものを1つのユニットとし、さらに、このユニットを、複数、互いに連結してもよい。
【0141】
このとき、各ユニットにおいては、それぞれ異なるモノマー成分を用いてもよいし、同一のモノマー成分を用いてもよい。異なるモノマー成分を用いる場合では、被改質粒子の表面上に複数の重合体の膜を形成することができる。一方、同一のモノマー成分を用いる場合では、重合体の膜厚をより厚くすることが可能である。
【0142】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0143】
〔実施例1〕
第一のモノマー成分として、1,6−ジイソシアネートヘキサンを図2に示す第一の表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7により473Kまで加熱して1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を生成した。被改質粒子としては、1次粒子径が0.5μmの酸化チタン粒子を用い、この被改質粒子を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。
【0144】
次に、改質塔2内において、1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,6−ジイソシアネートヘキサンを凝縮させた。
【0145】
一方、第二のモノマー成分として、1,6−ジアミノヘキサンを図2に示す第二の表面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で423Kまで加熱して1,6−ジアミノヘキサン蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記1,6−ジイソシアネートヘキサンを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,6−ジアミノヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。
【0146】
次に、改質塔2内において、1,6−ジアミノヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上で1,6−ジイソシアネートヘキサンと1,6−ジアミノヘキサンとの間に重合反応が生じ、1,6−ジイソシアネートヘキサン−1,6−ジアミノヘキサン共重合体の膜が形成された。
【0147】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(1)を得た。この表面改質粒子(1)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0148】
〔実施例2〕
まず、第一のモノマー成分として1,3−フェニレンジイソシアネートとカーボンブラックとを混合して幾何平均粒子径1μmの被改質粒子を形成した。次に、第二のモノマー成分として、1,6−ジアミノヘキサンを図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で423Kまで加熱して1,6−ジアミノヘキサン蒸気を生成した。
【0149】
そして、上記被改質粒子を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,6−ジアミノヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、1,6−ジアミノヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,6−ジアミノヘキサンを凝縮させた。
【0150】
凝縮した1,6−ジアミノヘキサンと被改質粒子に含有されている1,3−フェニレンジイソシアネートとの間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面上に1,3−フェニレンジイソシアネート−1,6−ジアミノヘキサン共重合体の膜が形成された。この共重合体の膜の形成により、本発明にかかる表面改質粒子(2)を得た。この表面改質粒子(2)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が2μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0151】
〔実施例3〕
まず、第一のモノマー成分としてピペラジンとフタロシアニン顔料であるC.I.Pigment Blue 199(商品名、日本チバガイギー株式会社製)とを混合して幾何平均粒子径1μmの被改質粒子を形成した。次に、第二のモノマー成分として、1,4−ジイソシアネートブタンを図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で413Kまで加熱して1,4−ジイソシアネートブタン蒸気を生成した。
【0152】
そして、上記被改質粒子を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,4−ジイソシアネートブタン蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、1,4−ジイソシアネートブタン蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,4−ジイソシアネートブタンを凝縮させた。
【0153】
凝縮した1,4−ジイソシアネートブタンと被改質粒子に含有されているピペラジンとの間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面上にピペラジン−1,4−ジイソシアネートブタン共重合体の膜が形成された。この共重合体の膜の形成により、本発明にかかる表面改質粒子(3)を得た。すなわち、上記実施例2と同様の方法で表面改質粒子(3)を得た。この表面改質粒子(3)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が2μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0154】
〔実施例4〕
まず、第一のモノマー成分として、そのまま被改質粒子に用いることができる幾何平均粒子径1μmの粒子である1,4−フェニレンジイソシアネートを用いた。次に、第二のモノマー成分として、1,3−ジアミノプロパンを図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で373Kまで加熱して1,3−ジアミノプロパン蒸気を生成した。
【0155】
そして、上記被改質粒子をアルゴンガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,3−ジアミノプロパン蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、1,3−ジアミノプロパン蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を2分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,3−ジアミノプロパンを凝縮させた。
【0156】
上記被改質粒子の表面上では、凝縮した1,3−ジアミノプロパンと被改質粒子である1,4−フェニレンジイソシアネートとの間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面上に1,4−フェニレンジイソシアネート−1,3−ジアミノプロパン共重合体の膜が形成された。
【0157】
この共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(4)を得た。すなわち、上記実施例2と同様の方法で表面改質粒子(4)を得た。この表面改質粒子(4)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が2μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0158】
〔実施例5〕
第一のモノマー成分として、1,6−ジイソシアネートヘキサンを図2に示す第一の表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で423Kまで加熱して1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を改質塔2内に生成した。
【0159】
被改質粒子として、上記実施例1で得られた表面改質粒子(1)(1次粒子径が3μm)を用い、この表面改質粒子(1)を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。
【0160】
次に、改質塔2内において、1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(1)を2分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子(1)の表面上にさらに1,6−ジイソシアネートヘキサンを凝縮させた。
【0161】
一方、第二のモノマー成分として、1,6−ジアミノヘキサンを図2に示す第二の表面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で473Kまで加熱して1,6−ジアミノヘキサン蒸気を生成した。
【0162】
被改質粒子としては、上記1,6−ジイソシアネートヘキサンを表面上に凝縮させた表面改質粒子(1)を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,6−ジアミノヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。
【0163】
次に、改質塔2内において、1,6−ジアミノヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(1)を2分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子(1)の表面上で、さらに、1,6−ジイソシアネートヘキサンと1,6−ジアミノヘキサンとの間に重合反応が生じ、1,6−ジイソシアネートヘキサン−1,6−ジアミノヘキサン共重合体の膜が形成された。
【0164】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(5)を得た。すなわち、上記実施例1と同様の方法で表面改質粒子(5)を得た。この表面改質粒子(5)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が5μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0165】
〔実施例6〕
第一のモノマー成分として、イソホロンジイソシアネートを図2に示す第一の表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で443Kまで加熱してイソホロンジイソシアネート蒸気を生成した。
【0166】
被改質粒子としては、上記実施例2で得られた表面改質粒子(2)(1次粒子径が2μm)を用い、この表面改質粒子(2)を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内のイソホロンジイソシアネート蒸気雰囲気中に導入した。
【0167】
次に、改質塔2内において、イソホロンジイソシアネート蒸気を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(2)を2分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子(2)の表面上にさらにイソホロンジイソシアネートを凝縮させた。
【0168】
一方、第二のモノマー成分として、ピペラジンを図2に示す第二の表面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で403Kまで加熱してピペラジン蒸気を生成した。
【0169】
粒子としては、上記イソホロンジイソシアネートを表面上に凝縮させた粒子を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内のピペラジン蒸気雰囲気中に導入した。
【0170】
次に、改質塔2内において、ピペラジン蒸気を断熱膨張させ、導入した粒子を2分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子(2)の表面上で、さらに、イソホロンジイソシアネートとピペラジンとの間に重合反応が生じ、イソホロンジイソシアネート−ピペラジン共重合体の膜が形成された。
【0171】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(6)を得た。すなわち、上記実施例1と同様の方法で表面改質粒子(6)を得た。この表面改質粒子(6)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が3.5μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0172】
〔実施例7〕
第二のモノマー成分として、1,4−ジイソシアネートブタンを図3に示す表面改質装置21の改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下393Kまで加熱して1,4−ジイソシアネートブタン蒸気を生成した。
【0173】
被改質粒子としては、アゾ染料であるC.I.Acid Red 8(商品名、東京化成工業株式会社製)と、該染料を溶解させる水、エチレングリコールおよび第一のモノマー成分である1,3−ジアミノプロパンの混合溶媒との混合物を用いた。なお、この被改質粒子の1次粒子径は3μmであった。
【0174】
この被改質粒子をヘリウムガスとともに冷却して粒子供給管4から改質塔22内の1,4−ジイソシアネートブタン蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔22内の混合管29において、1,4−ジイソシアネートブタン蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に1分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,3−ジアミノプロパンと1,4−ジイソシアネートブタンのとの間に重合反応が生じ、1,3−ジアミノプロパン−1,4−ジイソシアネートブタン共重合体の膜が形成された。
【0175】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(7)を得た。この表面改質粒子(7)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0176】
〔実施例8〕
第一のモノマー成分として、1,6−ジイソシアネートヘキサンを図4に示す第一の表面改質装置21aの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下453Kまで加熱して1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を生成した。
【0177】
被改質粒子としては、カーボンブラックとポリスチレン樹脂との混合物を用いた。なお、この被改質粒子の1次粒子径は1μmであった。この被改質粒子をアルゴンガスとともに冷却して粒子供給管4から1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。
【0178】
次に、改質塔22内の混合管29において、1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に1分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,6−ジイソシアネートヘキサンを凝縮させた。
【0179】
一方、第二のモノマー成分として、1,10−ジアミノデカンを図4に示す第二の表面改質装置21bの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下473Kまで加熱して1,10−ジアミノデカン蒸気を生成した。
【0180】
被改質粒子としては、上記1,6−ジイソシアネートヘキサンを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのままアルゴンガスとともに冷却して粒子供給管4から1,10−ジアミノデカン蒸気雰囲気中に導入した。
【0181】
次に、改質塔22内の混合管29において、1,10−ジアミノデカン蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に1分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上で1,6−ジイソシアネートヘキサンと1,10−ジアミノデカンとの間に重合反応が生じ、1,6−ジイソシアネートヘキサン−1,10−ジアミノデカン共重合体の膜が形成された。
【0182】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(8)を得た。この表面改質粒子(8)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0183】
〔実施例9〕
第一のモノマー成分として、1,12−ジアミノドデカンを図4に示す第一の表面改質装置21aの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下493Kまで加熱して1,12−ジアミノドデカン蒸気を生成した。被改質粒子としては、アゾ染料であるC.I.Acid Blue 92(商品名、東京化成工業株式会社製)と、該染料を溶解させる水との混合物を用いた。なお、この被改質粒子の1次粒子径は1.5μmであった。
【0184】
この被改質粒子をヘリウムガスとともに冷却して粒子供給管4から1,12−ジアミノドデカン蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔22内の混合管29において、1,12−ジアミノドデカン蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に2分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,12−ジアミノドデカンを凝縮させた。
【0185】
一方、第二のモノマー成分として、トルエン−2,6−ジイソシアネートを図4に示す第二の表面改質装置21bの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下433Kまで加熱してトルエン−2,6−ジイソシアネート蒸気を生成した。
【0186】
被改質粒子としては、上記1,12−ジアミノドデカンを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのままアルゴンガスとともに冷却して粒子供給管4からトルエン−2,6−ジイソシアネート蒸気雰囲気中に導入した。
【0187】
次に、改質塔22内の混合管29において、トルエン−2,6−ジイソシアネート蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に2分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上で1,12−ジアミノドデカンとトルエン−2,6−ジイソシアネートの間に重合反応が生じ、1,12−ジアミノドデカン−トルエン−2,6−ジイソシアネート共重合体の膜が形成された。
【0188】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(9)を得た。すなわち、上記実施例8と同様の方法で表面改質粒子(9)を得た。この表面改質粒子(9)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0189】
〔実施例10〕
まず、第一のモノマー成分として、そのまま被改質粒子に用いることができる幾何平均粒子径2μmの粒子である1,4−フェニレンジイソチオシアネートを用いた。次に、第二のモノマー成分として、1,6−ジアミノヘキサンを図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で443Kまで加熱して1,6−ジアミノヘキサン蒸気を生成した。
【0190】
そして、上記被改質粒子をヘリウムガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,6−ジアミノヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、1,6−ジアミノヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を2分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,6−ジアミノヘキサンを凝縮させた。
【0191】
凝縮した1,6−ジアミノヘキサンと被改質粒子である1,4−フェニレンジイソチオシアネートとの間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面上に1,4−フェニレンジイソチオシアネート−1,6−ジアミノヘキサン共重合体の膜が形成された。
【0192】
この共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(10)を得た。すなわち、上記実施例2と同様の方法で表面改質粒子(10)を得た。この表面改質粒子(10)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0193】
〔実施例11〕
第一のモノマー成分として、エチレングリコールを用い、このエチレングリコールと触媒としてのトリエチルアミンとを体積比で100対1の比率で混合して混合物とした。この混合物を図2に示す第一の表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で443Kまで加熱してエチレングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気を生成した。
【0194】
被改質粒子としては、1次粒子径が0.3μmの酸化チタン粒子を用い、この被改質粒子を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内のエチレングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気雰囲気中に導入した。
【0195】
次に、改質塔2内において、エチレングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上にエチレングリコールおよびトリエチルアミンを凝縮させた。
【0196】
一方、第二のモノマー成分として、塩化アジポイルを図2に示す第二の表面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で423Kまで加熱して塩化アジポイル蒸気を生成した。
【0197】
被改質粒子としては、上記エチレングリコールおよびトリエチルアミンを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の塩化アジポイル蒸気雰囲気中に導入した。
【0198】
次に、改質塔2内において、塩化アジポイル蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上で、該被改質粒子上のトリエチルアミンを触媒として、エチレングリコールと塩化アジポイルとの間に重合反応が生じ、エチレングリコール−塩化アジポイル共重合体の膜が形成された。
【0199】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(11)を得た。この表面改質粒子(11)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0200】
〔実施例12〕
まず、第一のモノマー成分として1,4−ハイドロキノンを用い、該1,4−ハイドロキノンとカーボンブラックと触媒としてのトリエチルアミンとを混合して幾何平均粒子径2μmの被改質粒子を形成した。
【0201】
次に、第二のモノマー成分として、塩化アジポイルを図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で423Kまで加熱して塩化アジポイル蒸気を生成した。
【0202】
そして、上記被改質粒子を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の塩化アジポイル蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、塩化アジポイル蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に塩化アジポイルを凝縮させた。
【0203】
凝縮した塩化アジポイルと被改質粒子に含有されている1,4−ハイドロキノンとの間に、該被改質粒子中に含有されているトリエチルアミンを触媒として重合反応が生じ、被改質粒子の表面上に1,4−ハイドロキノン−塩化アジポイル共重合体の膜が形成された。
【0204】
この共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(12)を得た。この表面改質粒子(12)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0205】
〔実施例13〕
まず、第一のモノマー成分として1,6−ヘキサンジオールを用い、該1,6−ヘキサンジオールとフタロシアニン顔料であるC.I.Pigment Blue 199(商品名、日本チバガイギー株式会社製)と触媒としてのトリエチルアミンとを混合して幾何平均粒子径2μmの被改質粒子を形成した。
【0206】
次に、第二のモノマー成分として、塩化アジポイルを図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で423Kまで加熱して塩化アジポイル蒸気を生成した。
【0207】
そして、上記被改質粒子を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の塩化アジポイル蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、塩化アジポイル蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に塩化アジポイルを凝縮させた。
【0208】
凝縮した塩化アジポイルと被改質粒子に含有されている1,6−ヘキサンジオールとの間に、該被改質粒子中に含有されているトリエチルアミンを触媒として重合反応が生じ、被改質粒子の表面上に1,6−ヘキサンジオール−塩化アジポイル共重合体の膜が形成された。
【0209】
この共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(13)を得た。すなわち、上記実施例12と同様の方法で表面改質粒子(13)を得た。この表面改質粒子(13)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0210】
〔実施例14〕
まず、第一のモノマー成分として、そのまま被改質粒子に用いることができる幾何平均粒子径2μmの粒子であるビスフェノールAを用いた。次に、第二のモノマー成分として、塩化テレフタロイルを図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で473Kまで加熱して塩化テレフタロイル蒸気を生成した。
【0211】
そして、上記被改質粒子をアルゴンガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の塩化テレフタロイル蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、塩化テレフタロイル蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を2分間該蒸気中に曝した。これにより、被改質粒子の表面上に塩化テレフタロイルを凝縮させた。
【0212】
凝縮した塩化テレフタロイルと被改質粒子に含有されているビスフェノールAとの間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面上にビスフェノールA−塩化テレフタロイル共重合体の膜が形成された。
【0213】
この共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(14)を得た。すなわち、上記実施例12と同様の方法で表面改質粒子(14)を得た。この表面改質粒子(14)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0214】
〔実施例15〕
第一のモノマー成分として、エチレングリコールを用い、このエチレングリコールと触媒としてのトリエチルアミンとを体積比で100対1の比率で混合して混合物とした。この混合物を図2に示す第一の表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で443Kまで加熱してエチレングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気を生成した。
【0215】
被改質粒子としては、上記実施例11で得られた表面改質粒子(11)(1次粒子径が4μm)を用い、この表面改質粒子(11)を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内のエチレングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気雰囲気中に導入した。
【0216】
次に、改質塔2内において、エチレングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(11)を2分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子(11)の表面上にエチレングリコールおよびトリエチルアミンを凝縮させた。
【0217】
一方、第二のモノマー成分として、塩化セバコイルを図2に示す第二の表面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で423Kまで加熱して塩化セバコイル蒸気を生成した。
【0218】
被改質粒子としては、上記エチレングリコールを表面上に凝縮させた表面改質粒子(11)を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の塩化セバコイル蒸気雰囲気中に導入した。
【0219】
次に、改質塔2内において、塩化セバコイル蒸気を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(11)を10分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子(11)の表面上で、エチレングリコールと塩化セバコイルとの間に重合反応が生じ、エチレングリコール−塩化セバコイル共重合体の膜が形成された。
【0220】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(15)を得た。すなわち、上記実施例11と同様の方法で表面改質粒子(15)を得た。この表面改質粒子(15)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が7μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0221】
〔実施例16〕
第一のモノマー成分として、トリエチレングリコールを用い、このトリエチレングリコールと触媒としてのトリエタノールアミンとを体積比で20対1の比率で混合して混合物とした。この混合物を図2に示す第一の表面改質装置1aの改質塔2に供給し、加熱装置7で常圧下513Kまで加熱してトリエチレングリコールおよびトリエタノールアミン混合蒸気を生成した。
【0222】
粒子としては、上記実施例12で得られた表面改質粒子(12)(1次粒子径が4μm)を用い、この表面改質粒子(12)を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内のトリエチレングリコールおよびトリエタノールアミン混合蒸気雰囲気中に導入した。
【0223】
次に、改質塔2内において、エチレングリコールおよびトリエタノールアミン混合蒸気を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(12)を2分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子(12)の表面上にトリエチレングリコールおよびトリエタノールアミンを凝縮させた。
【0224】
一方、第二のモノマー成分として、塩化イソフタロイルを図2に示す第二の表面改質装置1bの改質塔2に供給し、加熱装置7で常圧下473Kまで加熱して塩化イソフタロイル蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記トリエチレングリコールおよびトリエタノールアミンを表面上に凝縮させた表面改質粒子(12)を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の塩化イソフタロイル蒸気雰囲気中に導入した。
【0225】
次に、改質塔2内において、塩化イソフタロイル蒸気を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(12)を10分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子(12)の表面上で、該表面改質粒子(12)上のトリエタノールアミンを触媒として、トリエチレングリコールと塩化イソフタロイルとの間に重合反応が生じ、トリエチレングリコール−塩化イソフタロイル共重合体の膜が形成された。
【0226】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(16)を得た。すなわち、上記実施例11と同様の方法で表面改質粒子(16)を得た。この表面改質粒子(16)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が6μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0227】
〔実施例17〕
第二のモノマー成分として、塩化セバコイルを図3に示す表面改質装置21の改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下443Kまで加熱して塩化セバコイル蒸気を生成した。被改質粒子としては、アゾ染料であるC.I.Acid Red 8(商品名、東京化成工業株式会社製)と、該染料を溶解させる水、第一のモノマー成分であるエチレングリコールおよび触媒としてのトリエチルアミンの混合物を用いた。なお、この被改質粒子の1次粒子径は4μmであった。
【0228】
この被改質粒子をヘリウムガスとともに冷却して粒子供給管4から改質塔22内の塩化セバコイル蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔22内の混合管29において、塩化セバコイル蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に2分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上のエチレングリコールと塩化セバコイルとの間に、該被改質粒子中に含有されているトリエチルアミンを触媒として重合反応が生じ、エチレングリコール−塩化セバコイル共重合体の膜が形成された。
【0229】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(17)を得た。この表面改質粒子(17)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が7μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0230】
〔実施例18〕
第一のモノマー成分として、エチレングリコールを用い、このエチレングリコールと触媒としてのトリエチルアミンとを体積比で50対1の比率で混合して混合物とした。この混合物を図4に示す第一の表面改質装置21aの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下423Kまで加熱してエチレングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気を生成した。
【0231】
被改質粒子としては、カーボンブラックとポリスチレン樹脂との混合物を用いた。なお、この被改質粒子の1次粒子径は1μmであった。この被改質粒子をアルゴンガスとともに冷却して粒子供給管4からエチレングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気雰囲気中に導入した。
【0232】
次に、改質塔22内の混合管29において、エチレングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に2分間曝したことによって、被改質粒子の表面上にエチレングリコールおよびトリエチルアミンを凝縮させた。
【0233】
一方、第二のモノマー成分として、塩化アジポイルを図4に示す第二の表面改質装置21bの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下393Kまで加熱して塩化アジポイル蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記エチレングリコールおよびトリエチルアミンを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのままアルゴンガスとともに冷却して、粒子供給管4から塩化アジポイル蒸気雰囲気中に導入した。
【0234】
次に、改質塔22内の混合管29において、塩化アジポイル蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に3分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上で、該被改質粒子上のトリエチルアミンを触媒として、エチレングリコールと塩化アジポイルとの間に重合反応が生じ、エチレングリコール−塩化アジポイル共重合体の膜が形成された。
【0235】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(18)を得た。この表面改質粒子(18)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0236】
〔実施例19〕
第一のモノマー成分として、グリセロールを図4に示す第一の表面改質装置21aの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下523Kまで加熱してグリセロール蒸気を生成した。被改質粒子としては、アゾ染料であるC.I.Acid Blue 92(商品名、東京化成工業株式会社製)と、該染料を溶解させる水、および触媒としての水酸化ナトリウムとの混合物を用いた。なお、この被改質粒子の1次粒子径は1μmであった。
【0237】
この被改質粒子をアルゴンガスとともに冷却して粒子供給管4からグリセロール蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔22内の混合管29において、グリセロール蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に2分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上にグリセロールを凝縮させた。
【0238】
一方、第二のモノマー成分として、塩化イソフタロイルを図4に示す第二の表面改質装置21bの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下423Kまで加熱して塩化イソフタロイル蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記グリセロールを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのままアルゴンガスとともに冷却して粒子供給管4から塩化イソフタロイル蒸気雰囲気中に導入した。
【0239】
次に、改質塔22内の混合管29において、塩化イソフタロイル蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に3分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上のグリセロールと塩化イソフタロイルとの間に、該被改質粒子中に含有されている水酸化ナトリウムを触媒として、重合反応が生じ、グリセロール−塩化イソフタロイル共重合体の膜が形成された。
【0240】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(19)を得た。すなわち、上記実施例18と同様の方法で表面改質粒子(19)を得た。この表面改質粒子(19)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0241】
〔実施例20〕
まず、第一のモノマー成分として、そのまま被改質粒子に用いることができる幾何平均粒子径1μmの粒子である1,4−ブタンジチオールに触媒としてのトリエチルアミンを重量比で1対1となるように混合した混合粒子を用いた。次に、第二のモノマー成分として、塩化テレフタロイルを図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で483Kまで加熱して塩化テレフタロイル蒸気を生成した。
【0242】
そして、上記被改質粒子をヘリウムガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の塩化テレフタロイル蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、塩化テレフタロイル蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これにより、被改質粒子の表面上に塩化テレフタロイルを凝縮させた。
【0243】
凝縮した塩化テレフタロイルと被改質粒子に含有されている1,4−ブタンジチオールとの間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面上に1,4−ブタンジチオール−塩化テレフタロイル共重合体の膜が形成された。
【0244】
この共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(20)を得た。すなわち、上記実施例12と同様の方法で表面改質粒子(20)を得た。この表面改質粒子(20)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が2μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0245】
〔実施例21〕
第一のモノマー成分として、2−メルカプトエタノールを用い、この2−メルカプトエタノールと触媒としてのトリエチルアミンとを体積比で50対1の比率で混合して混合物とした。この混合物を図4に示す第一の表面改質装置21aの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下373Kまで加熱して2−メルカプトエタノールおよびトリエチルアミン混合蒸気を生成した。
【0246】
被改質粒子としては、幾何平均粒子径1μmの粒子であるカーボンブラックを用いた。この被改質粒子をアルゴンガスとともに冷却して粒子供給管4から2−メルカプトエタノールおよびトリエチルアミン混合蒸気雰囲気中に導入した。
【0247】
次に、改質塔22内の混合管29において、2−メルカプトエタノールおよびトリエチルアミン混合蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に2分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上に2−メルカプトエタノールおよびトリエチルアミンを凝縮させた。
【0248】
一方、第二のモノマー成分として、塩化テレフタロイルを図4に示す第二の表面改質装置21bの改質塔22に供給し、加熱装置7で常圧下483Kまで加熱して塩化テレフタロイル蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記2−メルカプトエタノールおよびトリエチルアミンを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのままアルゴンガスとともに冷却して粒子供給管4から塩化テレフタロイル蒸気雰囲気中に導入した。
【0249】
次に、改質塔22内の混合管29において、塩化テレフタロイル蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に2分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上の2−メルカプトエタノールと塩化テレフタロイルとの間に、該被改質粒子中に含有されているトリエチルアミンを触媒として、重合反応が生じ、2−メルカプトエタノール−塩化テレフタロイル共重合体の膜が形成された。
【0250】
上記共重合体の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(21)を得た。すなわち、上記実施例18と同様の方法で表面改質粒子(21)を得た。この表面改質粒子(21)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0251】
〔実施例22〕
第一のモノマー成分として、1,6−ジイソシアネートヘキサンを図2に示す第一の表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で483Kまで加熱して1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を生成した。被改質粒子としては、1次粒子径が0.5μmの酸化チタン粒子を用い、この被改質粒子を窒素ガスとともに粒子導入口4から改質塔2内の1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。
【0252】
次に、改質塔2内において、1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,6−ジイソシアネートヘキサンを凝縮させた。
【0253】
一方、第二のモノマー成分として、1,6−ヘキサンジオールを図2に示す第二の表面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で463Kまで加熱して1,6−ヘキサンジオール蒸気を生成した。
【0254】
被改質粒子としては、上記1,6−ジイソシアネートヘキサンを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのまま窒素ガスとともに粒子導入口4から改質塔2内の1,6−ヘキサンジオール蒸気雰囲気中に導入した。
【0255】
次に、改質塔2内において、1,6−ヘキサンジオール蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を20分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上で1,6−ジイソシアネートヘキサンと1,6−ヘキサンジオールとの間に重合反応が生じ、この重合反応により樹脂膜が形成された。
【0256】
上記樹脂の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(22)を得た。この表面改質粒子(22)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が、2.5μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0257】
〔実施例23〕
図1に示す装置を用いて、第二のモノマー成分として1,3−フェニレンジイソシアネートを加圧下533Kまで加熱して蒸気とした。第一のモノマー成分としての1,4−ベンゼンジチオールと、触媒としてのトリエチルアミンとを混合して幾何平均粒子径1μmの混合物粒子とし、その混合物粒子を被改質粒子として形成した。
【0258】
次に、上記混合物粒子を、アルゴンガスと共に、図1に示す表面改質装置1の改質塔2内の1,3−フェニレンジイソシアネート蒸気雰囲気中に導入した。続いて、上記の蒸気を断熱膨張させ、混合物粒子を15分間該蒸気中に曝して、混合物粒子の表面上に1,3−フェニレンジイソシアネートを凝縮させた。これにより、1,3−フェニレンジイソシアネートと、1,4−ベンゼンジチオールとの反応がおこり、その反応による樹脂の膜が形成された。
【0259】
この樹脂の膜の形成によって、本発明にかかる表面改質粒子(23)を得た。この表面改質粒子(23)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が2μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0260】
〔実施例24〕
図2に示す装置を用いて実施例22と同様の操作で表面改質粒子(24)の調製を行った。まず、第二のモノマー成分としてジエチレングリコールを、第一の表面改質装置1aの改質塔2にて、加圧下443Kまで加熱して蒸気とした。
【0261】
一方、第一のモノマー成分としての1,4−フェニレンジイソシアネートと、フタロシアニン顔料であるC.I.Pigment Blue 199(商品名、日本チバガイギー株式会社製)とを混合して幾何平均粒子径1μmの混合物粒子を被改質粒子として形成した。また、触媒としてのトリエチルアミンを、第二の表面改質装置1bの改質塔2にて、加圧下353Kまで加熱して蒸気とした。
【0262】
次に、上記混合物粒子を窒素ガスとともに第一の表面改質装置1aの粒子供給管4から改質塔2内のジエチレングリコール蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、上記の蒸気を断熱膨張させ、導入した混合物粒子の表面にジエチレングリコールを凝縮させた。
【0263】
続いて、ジエチレングリコールを表面に有する混合物粒子を、第二の表面改質装置1bの改質塔2内のトリエチルアミン蒸気内に導入した後、上記蒸気を断熱膨張させ、上記混合物粒子を20分間、触媒蒸気中に曝した。これにより、C.I.Pigment Blue 199 の粒子の表面において、1,4−フェニレンジイソシアネートとジエチレングリコールとの反応が起こり、その反応により樹脂の膜が生成した。
【0264】
この樹脂の膜の形成により、本発明にかかる表面改質粒子(24)を得た。この表面改質粒子(24)の粒子径は、1次粒子径が2μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0265】
〔実施例25〕
図1に示す装置を用いて実施例23と同様の操作で、表面改質粒子(25)を調製した。まず、第二のモノマー成分として、イソホロンジイソシアネートを加圧下、483Kまで加熱してイソホロンジイソシアネート蒸気を生成した。
【0266】
被改質粒子としては、幾何平均粒子径が1.5μmの4−メルカプトフェノール(第一のモノマー成分)とトリエチレンジアミンのエタノール溶液を粒子として用い、アルゴンガスと共にイソホロンジイソシアネート蒸気雰囲気中に導入した。
【0267】
次に、上記蒸気を断熱膨張させ、導入した粒子を15分間該蒸気中に曝して、4−メルカプトフェノールとトリエチレンジアミンのエタノール溶液粒子の表面上にイソホロンジイソシアネートを凝縮させた。
【0268】
これにより、4−メルカプトフェノールと、イソホロンジイソシアネートとの間で、反応が起こり、その反応による樹脂膜を有する表面改質粒子(25)が得られた。この表面改質粒子(25)は、その1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0269】
〔実施例26〕
図2に示す装置を用いて実施例22と同様の操作で表面改質粒子(26)の調製を行った。まず、第一のモノマー成分として、1,6−ジイソシアネートヘキサンを加圧下483Kまで加熱して1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を生成した。次に、被改質粒子として、実施例22に記載の表面改質粒子(22)を用い、この被改質粒子を窒素ガスとともに1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。
【0270】
次に、1,6−ジイソシアネートヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を2分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,6−ジイソシアネートヘキサンを凝縮させた。
【0271】
一方、第二のモノマー成分として、1,6−ヘキサンジオールを加圧下463Kまで加熱して1,6−ヘキサンジオール蒸気を生成した。続いて、1,6−ジイソシアネートヘキサンを表面上に凝縮させた被改質粒子を1,6−ヘキサンジオール蒸気雰囲気中に導入した。次に、1,6−ヘキサンジオール蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を20分間該蒸気中に曝した。
【0272】
これによって、樹脂膜を有する被改質粒子の表面上で1,6−ジイソシアネートヘキサンと1,6−ヘキサンジオールとの間に重合反応が生じ、この重合反応による樹脂による膜が、さらに形成された。
【0273】
上記樹脂の膜の形成により、本発明にかかる表面改質粒子(26)を得た。この改質粒子(26)は、その1次粒子径が、4μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0274】
〔実施例27〕
図2に示す装置を用いて実施例22と同様の操作で表面改質粒子(27)の調製を行った。まず、第一のモノマー成分として、1,3−フェニレンジイソシアネートを加圧下533Kまで加熱して蒸気とした。
【0275】
次に、実施例24にて得られた表面改質粒子(24)を、被改質粒子として窒素ガスと共に1,3−フェニレンジイソシアネート蒸気雰囲気中に導入した。続いて、上記の蒸気を断熱膨張させ、被改質粒子を3分間該蒸気中に曝して、被改質粒子の表面上に1,3−フェニレンジイソシアネートを凝縮させた。
【0276】
その後、上記1,3−フェニレンジイソシアネートを表面に有する被改質粒子を、第二のモノマー成分としての1,4−ベンゼンジチオールを加圧下463Kまで加熱して蒸気とした雰囲気中に導入した。次に、上記蒸気を断熱膨張させ、上記被改質粒子を30分間上記蒸気中に曝した。
【0277】
これにより、樹脂の膜を有する上記被改質粒子の表面において、1,3−フェニレンジイソシアネートと1,4−ベンゼンジチオールとの反応が起こり、その反応による、上記樹脂の膜と異なる樹脂の膜が形成された。この樹脂の膜の形成により、本発明にかかる表面改質粒子(27)を得た。この表面改質粒子(27)は、その1次粒子径が3.5μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0278】
〔実施例28〕
図3に示す装置を用いて、第一のモノマー成分として、1,3−フェニレンジイソシアネートを、図3に示す表面改質装置21の貯留部2cに入れ、加熱装置7で常圧下533Kまで加熱して1,3−フェニレンジイソシアネート蒸気を生成した。
【0279】
被改質粒子としては、C.I.Acid Red 8(商品名、東京化成工業株式会社製)の染料と、触媒としてのトリエチレンジアミンと、第二のモノマー成分としてのジ(2−メルカプトエチル)エーテルとそれを溶解させる水の混合物を用い、ヘリウムガスと共に冷却して、上記蒸気中に導入した。
【0280】
次に、上記蒸気を混合部22bにて冷却させて、被改質粒子を上記蒸気の過飽和雰囲気中に曝して、上記被改質粒子の表面に1,3−フェニレンジイソシアネートを凝縮させた。
【0281】
これにより、上記表面上にて、1,3−フェニレンジイソシアネートと、ジ(2−メルカプトエチル)エーテルの反応が起こり、その反応によって樹脂の膜が上記表面上を覆うように形成されて、表面改質粒子(28)が得られた。この表面改質粒子(28)は、その1次粒子径が3μmのほぼ大きさのそろった粒子であった。
【0282】
〔実施例29〕
図4に示す装置を用いて、第一のモノマー成分として、1,4−ジイソシアネートブタンを第一の表面改質装置21aの貯留部2cに入れ、加熱装置7で463Kまで加熱して、第一の表面改質装置21aのモノマー成分蒸気発生空間および混合部22b内に1,4−ジイソシアネートブタンの蒸気を充満させた。
【0283】
次に、被改質粒子として、カーボンブラックとポリスチレン樹脂とからなる混合物粒子(幾何平均粒子径1μm)をアルゴンガスと共に第一の表面改質装置21aの粒子供給管4から、上記混合部22b内の1,4−ジイソシアネートブタンの蒸気中に導入した。続いて、上記蒸気を混合部22bにて冷却して過飽和状態とし、1,4−ジイソシアネートブタンを被改質粒子の表面に凝縮させた。
【0284】
その後、第二のモノマー成分としてエチレングリコールと触媒としてトリエチルアミンとを95対5(容量比)の割合で、第二の表面改質装置21bの貯留部2cに入れ、加熱装置7で403Kまで加熱して蒸気とし、その蒸気中に、1,4−ジイソシアネートブタンを凝縮させた被改質粒子をアルゴンガスと共に冷却して、第二の表面改質装置21bの粒子供給管4から導入した。
【0285】
続いて、上記蒸気を第二の表面改質装置21bの混合部22bで冷却して過飽和状態としたことにより、1,4−ジイソシアネートブタンを凝縮させた被改質粒子の表面上に、さらに、エチレングリコールとトリエチルアミンとを凝縮させた。
【0286】
これにより、上記被改質粒子の表面において、1,4−ジイソシアネートブタンとエチレングリコールとの反応が起こり、その反応によって樹脂の膜が形成され、上記樹脂の膜で被覆された表面改質粒子(29)が得られた。この表面改質粒子(29)は、その1次粒子径が4μmのほぼ大きさのそろった粒子であった。
【0287】
〔実施例30〕
図4に示す装置を用いて、実施例29と同様の操作により表面改質粒子(30)を調製した。まず、第一の表面改質装置21aにおいて、第二のモノマー成分としてのイソホロンジイソシアネートを493Kまで加熱して蒸気とした。
【0288】
被改質粒子として、C.I.Acid Blue 92 の染料と、水酸化ナトリウムと第一のモノマー成分としてのビスフェノールAとそれを溶解させた水との混合物からなる液状粒子を用いた。その液状粒子を、ヘリウムガスと共に冷却して上記蒸気中に導入した。次に、上記蒸気を冷却して過飽和状態とし、上記蒸気からイソホロンジイソシアネートを液状粒子の表面上に凝縮させた。
【0289】
続いて、第二の表面改質装置21bにおいて、第二のモノマー成分としての1,4−ジイソシアネートブタンを463Kまで加熱して蒸気とし、イソホロンジイソシアネートを凝縮させた液状粒子を、アルゴンガスと共に上記蒸気中に導入した。
【0290】
次に、上記蒸気を冷却して過飽和状態にし、上記液状粒子を過飽和状態の蒸気中に曝することにより、上記液状粒子の表面上に、さらに1,4−ジイソシアネートブタンを凝縮させた。
【0291】
これにより、上記表面上において、1,4−ジイソシアネートブタンと、イソホロンジイソシアネートと、ビスフェノールAとの反応が起こり、その反応による樹脂の膜が上記液状粒子の表面を覆うように形成された表面改質粒子(30)が得られた。この表面改質粒子(30)は、その1次粒子径が、3.5μmのほぼ大きさのそろった粒子であった。
【0292】
〔実施例31〕
図2に示す装置を用いて実施例22と同様の操作で表面改質粒子(31)の調製を行った。まず、第一の表面改質装置1aにおいて、第二のモノマー成分としての2−メルカプトエタノールを加圧下403Kまで加熱して蒸気とした。第二の表面改質装置1bにおいて、触媒としてのトリエチルアミンを加圧下353Kまで加熱して蒸気とした。
【0293】
一方、第一のモノマー成分としての1,4−フェニレンジイソチオシアネートのみからなる固体粒子を、被改質粒子として幾何平均粒子径1.5μmに調製した。次に、上記被改質粒子を窒素ガスと共に上記の2−メルカプトエタノール蒸気中に導入した。
【0294】
続いて、上記蒸気を断熱膨張させ、上記被改質粒子の表面上に2−メルカプトエタノールを凝縮させた。その後、2−メルカプトエタノールが凝縮した上記被改質粒子を、前記のトリエチルアミン蒸気中に導入した。その次に、上記蒸気を断熱膨張させ、上記被改質粒子を20分間該蒸気中に曝した。
【0295】
これにより、1,4−フェニレンジイソチオシアネートと2−メルカプトエタノールとの反応が起こり、その反応により樹脂膜が生成し、この樹脂膜で被覆された表面改質粒子(31)が得られた。この表面改質粒子(31)は、その1次粒子径が、3μmのほぼ大きさのそろった粒子であった。
【0296】
〔実施例32〕
図2に示す装置を用いて実施例22と同様の操作で表面改質粒子(32)の調製を行った。まず、第一の表面改質装置1aにおいて、第二のモノマー成分としての1,4−ベンゼンジチオールを加圧下533Kまで加熱して蒸気とした。
【0297】
第二の表面改質装置1bにおいて、触媒としてのトリエチルアミンを加圧下353Kまで加熱して蒸気とした。一方、第一のモノマー成分としてのシリコンテトライソチオシアネートのみからなる固体粒子を被改質粒子として幾何平均粒子径1μmに調製した。
【0298】
次に、上記被改質粒子を窒素ガスと共に上記の1,4−ベンゼンジチオール蒸気中に導入した。続いて、上記蒸気を断熱膨張させ、上記被改質粒子の表面上に1,4−ベンゼンジチオールを凝縮させた。その後、1,4−ベンゼンジチオールが凝縮した上記被改質粒子を、前記のトリエチルアミン蒸気中に導入した。その次に、上記蒸気を断熱膨張させて、上記被改質粒子を20分間該蒸気中に曝した。
【0299】
これにより、シリコンテトライソチオシアネートと1,4−ベンゼンジチオールとの反応が起こり、その反応による樹脂の膜が生成し、この樹脂の膜で被覆された表面改質粒子(32)が得られた。この表面改質粒子(32)は、その1次粒子径が、2μmのほぼ大きさのそろった粒子であった。
【0300】
このように、本発明にかかる表面改質方法は、第一のモノマー成分を有する被改質粒子を第二のモノマー成分の過飽和雰囲気に暴露し、該被改質粒子に第二のモノマー成分を凝縮させて被改質粒子の表面上で重合反応させることにより重合体膜を生成させることによって、被改質粒子の表面改質を好適に行うことができた。また、上記方法によって得られた本発明にかかる表面改質粒子は、粒子の大きさが揃った、ほぼ均質な球状で表面が平滑な粒子となっていた。
【0301】
【発明の効果】
本発明の表面改質方法は、以上のように、第一のモノマー成分を有する粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させることにより、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させ、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させて、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含む方法である。
【0302】
それゆえ、上記方法では、上記粒子表面上には、第一および第二のモノマー成分の重合体膜が形成されることにより表面の改質がなされる。そのため、上記方法では、従来の方法とは異なり、粒子表面に表面改質剤を付着させる際に、該粒子が摩擦などによって帯電するおそれがない。
【0303】
しかも、上記方法では、粒子表面上に表面改質剤(重合体)の膜の形成を気相中で行うことができるため、従来の方法と比較して、粒子表面の改質をより簡便な操作でかつ短時間に行うことができるという効果を奏する。
【0304】
また、上記方法では、モノマー成分を適宜選択することによって、得られる表面改質粒子の使用目的に応じてさまざまな種類の表面改質剤(重合体)の膜を形成することもできるという効果も奏する。
【0305】
本発明の表面改質粒子は、上記の方法によって得られる構成である。それゆえ、上記構成では、第一および第二のモノマー成分を、その一方を凝縮させて重合してなる重合体からなる表面改質剤の膜を粒子の表面に有するので、表面を平滑化できて、流動性に優れ、また、上述のように種々の機能を簡便に備えるものとなるという効果を奏する。
【0306】
その上、上記構成では、粒子が常温・常圧で液体であっても、表面改質剤の膜によって固体状であるので、簡便かつ容易に取り扱うことができる。つまり、液体状の粒子を固体として取り扱うことができて、取扱いを簡素化できるという効果を奏する。
【0307】
この結果、上記構成は、医薬品、化粧品、塗料、印刷インキ、トナー(現像剤)、セラミックス、電子材料などの各種用途に好適に用いられるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる表面改質方法に好適に供される表面改質装置の概略の構成を示す断面図である。
【図2】図1の表面改質装置が2つ連結された状態を示す概略の断面図である。
【図3】本発明にかかる表面改質方法に好適に供される他の表面改質装置の概略の構成を示す断面図である。
【図4】図3の表面改質装置が2つ連結された状態を示す概略の断面図である。
【符号の説明】
1 表面改質装置
1a 表面改質装置
1b 表面改質装置
2 改質塔
2a 内壁部
2b 外壁部
3 光学測定装置
4 粒子供給管
5 粒子取出管
6 圧力調節管
7 加熱装置
21 表面改質装置
21a 表面改質装置
21b 表面改質装置
22 改質塔
22a 蒸気発生部
22b 混合部
29 混合管
30 冷却管
Claims (21)
- 第一のモノマー成分を有する粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させて、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含み、
上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方にイソシアネート基またはイソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーを用いるとともに、他方に第1級のアミノ基または/および第2級のアミノ基を2つ以上有するモノマーを用いることを特徴とする表面改質方法。 - 第一のモノマー成分を有する粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させて、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含み、
上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方にヒドロキシル基または/およびメルカプト基を2つ以上有するモノマーを用いるとともに、他方にハロゲン化されたアシル基を2つ以上有するモノマーを用いることを特徴とする表面改質方法。 - 第一のモノマー成分を有する粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させて、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含み、
上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方が、官能基にイソシアネート基を2つ以上有するモノマーであり、他方が、官能基にヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーであることを特徴とする表面改質方法。 - 第一のモノマー成分を有する粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させて、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含み、
上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方が、官能基にイソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーであり、他方が、官能基にヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーであることを特徴とする表面改質方法。 - 粒子は、第一のモノマー成分のみからなるものである請求項1ないし4の何れか1項に記載の表面改質方法。
- 第一のモノマー成分を有する粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させて、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含み、
上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方にイソシアネート基またはイソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーを用いるとともに、他方に第1級のアミノ基または/および第2級のアミノ基を2つ以上有するモノマーを用い、
第一のモノマー成分を有する粒子は、該粒子を第一のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させて得られるものであることを特徴とする表面改質方法。 - 第一のモノマー成分を有する粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ、粒子 表面に該第二のモノマー成分を付着させて、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含み、
上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方にヒドロキシル基または/およびメルカプト基を2つ以上有するモノマーを用いるとともに、他方にハロゲン化されたアシル基を2つ以上有するモノマーを用い、
第一のモノマー成分を有する粒子は、該粒子を第一のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させて得られるものであることを特徴とする表面改質方法。 - 第一のモノマー成分を有する粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させて、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含み、
上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方が、官能基にイソシアネート基を2つ以上有するモノマーであり、他方が、官能基にヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーを用い、
第一のモノマー成分を有する粒子は、該粒子を第一のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させて得られるものであることを特徴とする表面改質方法。 - 第一のモノマー成分を有する粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させて、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ、粒子表面に重合体膜を形成する工程を含み、
上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方が、官能基にイソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーであり、他方が、官能基にヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーを用い、
第一のモノマー成分を有する粒子は、該粒子を第一のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させて得られるものであることを特徴とする表面改質方法。 - 上記イソシアネート基またはイソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーは、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,4−ジイソシアネートブタン、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、またはシリコンテトライソチオシアネートであり、
上記第1級のアミノ基または/および第2級のアミノ基を2つ以上有するモノマーは、1,3−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、1,10−ジアミノデカン、または1,12−ジアミノドデカンであることを特徴とする請求項1または6記載の表面改質方法。 - 上記ヒドロキシル基または/およびメルカプト基を2つ以上有するモノマーは、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ハイドロキノン、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、1,4−ベンゼンジチオール、1,4−ブタンジチオール、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、2−メルカプトエタノール、または4−メルカプトエタノールであり、
上記ハロゲン化されたアシル基を2つ以上有するモノマーは、塩化アジポイル、塩化セバコイル、塩化テレフタロイル、または塩化イソフタロイルであることを特徴とする、請求項2又は7記載の表面改質方法。 - 上記イソシアネート基を2つ以上有するモノマーは、1,6−ジイソシアネートヘキサ ン、1,4−ジイソシアネートブタン、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、またはイソホロンジイソシアネートであり、
上記ヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーは、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ハイドロキノン、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、1,4−ベンゼンジチオール、1,4−ブタンジチオール、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、2−メルカプトエタノール、または4−メルカプトエタノール、1,3−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、1,10−ジアミノデカン、または1,12−ジアミノドデカンであることを特徴とする請求項3または8記載の表面改質方法。 - 上記イソチオシアネート基を2つ以上有するモノマーは、シリコンテトライソチオシアネートであり、
上記ヒドロキシル基を2つ以上、メルカプト基を2つ以上、第1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ以上、または、ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基および第2級のアミノ基からなる群から選択された少なくとも2つ有するモノマーは、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ハイドロキノン、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、1,4−ベンゼンジチオール、1,4−ブタンジチオール、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、2−メルカプトエタノール、または4−メルカプトエタノール、1,3−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、1,10−ジアミノデカン、または1,12−ジアミノドデカンであることを特徴とする請求項4または9記載の表面改質方法。 - 上記粒子は、エアロゾル粒子、ミスト粒子またはヒュームの形態であることを特徴とする請求項1ないし13の何れか1項に記載の表面改質方法。
- 上記粒子が常温・常圧で液体であり、該粒子表面に重合体膜を形成することを特徴とする請求項1ないし14の何れか1項に記載の表面改質方法。
- 上記第一または第二のモノマー成分のうち、少なくとも第二のモノマー成分が常温で液体であることを特徴とする請求項1ないし15の何れか1項に記載の表面改質方法。
- 粒子表面に重合体膜を形成する上記工程を複数回繰り返すことを特徴とする請求項1ないし16の何れか1項に記載の表面改質方法。
- 粒子表面に重合体膜を形成する上記複数回の工程のうち、少なくとも2回の工程に、互いに異なる種類のモノマーを用いることを特徴とする請求項17記載の表面改質方法。
- 上記粒子が複数の成分からなることを特徴とする請求項1ないし18の何れか1項に記載の表面改質方法。
- 粒子を第一のモノマー成分または第二のモノマー成分の過飽和蒸気と不活性ガスとの存在下で接触させることを特徴とする請求項1ないし19の何れか1項に記載の表面改質方法。
- 請求項1ないし20の何れか1項に記載の方法によって得られたものであることを特徴とする表面改質粒子。
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