JPH11169705A - 表面改質方法および表面改質粒子 - Google Patents

表面改質方法および表面改質粒子

Info

Publication number
JPH11169705A
JPH11169705A JP34545697A JP34545697A JPH11169705A JP H11169705 A JPH11169705 A JP H11169705A JP 34545697 A JP34545697 A JP 34545697A JP 34545697 A JP34545697 A JP 34545697A JP H11169705 A JPH11169705 A JP H11169705A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
modified
modifier
particle
surface modifier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34545697A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyobumi Morimoto
清文 森本
Takahiro Horiuchi
貴洋 堀内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP34545697A priority Critical patent/JPH11169705A/ja
Publication of JPH11169705A publication Critical patent/JPH11169705A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Glanulating (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温・常圧で固体である表面改質剤を用い
て、粒子を帯電させることなく、しかも、簡便な装置お
よび操作で短時間で処理することができる表面改質方
法、および粒子表面に該表面改質剤が付着してなる表面
改質粒子を提供する。 【解決手段】 表面の性質を改質すべき粒子を、表面改
質剤の過飽和蒸気と接触させて、粒子表面に該表面改質
剤を付着させる。具体的には、表面改質装置1の改質塔
2を密閉して表面改質処理空間を形成し、内部を所定の
圧力に調節した後、表面改質剤の飽和蒸気を発生させ
る。次に、改質塔2内部に粒子を必要に応じて不活性ガ
スと共に供給する。次いで、改質塔2内部を減圧状態と
することにより、表面改質剤の飽和蒸気を断熱膨張させ
て過飽和蒸気を形成し、粒子表面に該表面改質剤を凝縮
させる。上記の方法によれば、常温・常圧で液体である
粒子を含む固体状の表面改質粒子を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子表面の性質を
改質すべく、粒子表面に表面改質剤を付着させる表面改
質方法、および、粒子表面に表面改質剤が付着してなる
表面改質粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種粒子表面の性質を改質す
べく、該粒子を表面改質剤で処理することによって粒子
表面に表面改質剤の膜を形成する表面改質方法、即ち、
粒子表面を表面改質剤にて被覆する表面改質方法が種々
実施されている。上記表面改質方法としては、乾式法、
混練法、媒体を用いた撹拌法(液相中にて表面改質を行
う方法)、スプレードライ法等が知られている。
【0003】例えば、「粉体工学便覧」(粉体工学会編
集;日刊工業新聞社発行)や、「微粒子ハンドブック」
(神保元二等編集;株式会社朝倉書店発行;1991年9月
1日初版第1刷)383頁〜394頁には、混練粉砕
法、スプレードライ法等を用いた表面改質方法が記載さ
れている。また、例えば、「微粒子工学−分散の基礎と
応用−」(社団法人日本粉体工業技術協会編集;株式会
社朝倉書店発行;1994年6月25日初版第1刷)123頁
〜136頁には、高速回転式衝撃粉砕機や摩砕式ミル、
ボールミル、ロールミル、媒体撹拌型粉砕機、ジェット
ミル等の乾式粉砕機を用いて、粉体状の粒子表面に粉体
状の異種成分(表面改質剤)を結合させることにより、
該粒子表面の性質が改質された被覆型複合粒子を製造す
る方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の表面改質方法では、粒子を表面改質剤で処理する際
に、撹拌翼等の撹拌装置を用いて粒子を撹拌するので、
該粒子が摩擦等によって帯電してしまう。このため、得
られる表面改質粒子の取り扱いが困難となる。また、上
記従来の表面改質方法では、表面改質処理に非常に長時
間を要する。さらに、表面改質処理を行う際の操作が煩
雑であり、かつ、高価な装置を用いなければならないと
いう問題点を有している。
【0005】尚、特開平7−83820号公報には、例
えば粒子計測装置や集塵装置等の装置を用いて、粒子表
面に表面改質剤を凝縮させる表面改質方法が開示されて
いる。ところが、上記の表面改質方法は、粒子径を単に
増大させることを主たる目的としており、このため、常
温で液体である水やアルコールを表面改質剤として用い
ている。また、該表面改質方法では、常温・常圧で固体
である表面改質剤を粒子表面に凝縮させることについて
は、特に考慮がなされていない。
【0006】このように、上記従来の表面改質方法で
は、常温・常圧で固体である表面改質剤を用いて、粒子
を帯電させることなく、しかも、簡便な装置および操作
で短時間で処理することができない。それゆえ、常温・
常圧で固体である表面改質剤を用いて粒子を簡単に処理
することができる表面改質方法が嘱望されている。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、常温・常圧で固体である表
面改質剤を用いて、粒子を帯電させることなく、しか
も、簡便な装置および操作で短時間で処理することがで
きる表面改質方法、および、粒子表面に常温・常圧で固
体である表面改質剤が付着してなる表面改質粒子を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の表
面改質方法は、上記の課題を解決するために、表面の性
質を改質すべき粒子を、常温・常圧で固体である表面改
質剤の過飽和蒸気と接触させて、粒子表面に該表面改質
剤を付着させることを特徴としている。
【0009】請求項1記載の方法によれば、表面改質剤
の過飽和蒸気は、粒子と接触すると該粒子を核として凝
集し、粒子表面に付着して粒子表面の性質を改質する。
このため、撹拌翼等の撹拌装置を用いて粒子を撹拌する
従来の方法とは異なり、粒子表面に表面改質剤を付着さ
せる際に、該粒子が摩擦等によって帯電するおそれが無
い。そして、該表面改質剤は常温・常圧で固体である。
従って、該表面改質剤を用いて、粒子を帯電させること
なく、しかも、表面改質剤の過飽和蒸気を発生させるこ
とのできる装置を用いるので、簡便な装置および操作で
短時間で処理することができる。即ち、粒子表面に固体
状の表面改質剤が付着した表面改質粒子を、帯電させる
ことなく、しかも、簡便な装置および操作で短時間で製
造することができる。
【0010】請求項2記載の発明の表面改質方法は、上
記の課題を解決するために、請求項1記載の表面改質方
法において、上記粒子が常温・常圧で液体であり、該粒
子表面に表面改質剤の膜を形成することを特徴としてい
る。
【0011】請求項2記載の方法によれば、粒子表面に
常温・常圧で固体である表面改質剤の膜を形成するの
で、つまり、該粒子表面を被覆するように表面改質剤を
付着させるので、粒子が常温・常圧で液体であっても、
該膜がいわゆるカプセルとしての機能を備えて液体状の
粒子を封入することができる。即ち、常温・常圧で液体
である粒子を含む固体状の表面改質粒子を得ることがで
きるので、該粒子の表面を改質することができる。
【0012】請求項3記載の発明の表面改質方法は、上
記の課題を解決するために、請求項1または2記載の表
面改質方法において、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と
接触させる工程を複数回繰り返すことを特徴としてい
る。
【0013】請求項3記載の方法によれば、表面改質剤
の膜厚を厚くすることができるので、粒子表面に、所望
の厚さの表面改質剤の膜を形成することができる。
【0014】請求項4記載の発明の表面改質方法は、上
記の課題を解決するために、請求項3記載の表面改質方
法において、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接触させ
る上記複数回の工程のうち、少なくとも2回の工程に、
互いに組成の異なる表面改質剤を用いることを特徴とし
ている。
【0015】請求項4記載の方法によれば、粒子表面
に、互いに組成の異なる表面改質剤の膜を順次積層させ
ることができる。即ち、粒子表面の性質を複数の表面改
質剤によって改質することができるので、高機能を有す
る表面改質粒子を簡単に得ることができる。
【0016】請求項5記載の発明の表面改質方法は、上
記の課題を解決するために、請求項1、2、3または4
記載の表面改質方法において、上記粒子が複数の成分か
らなることを特徴としている。
【0017】請求項5記載の方法によれば、複数の機能
を有する粒子を含む表面改質粒子を簡単に得ることがで
きる。
【0018】請求項6記載の発明の表面改質方法は、上
記の課題を解決するために、請求項1、2、3、4また
は5記載の表面改質方法において、粒子を表面改質剤の
過飽和蒸気と不活性ガスの存在下で接触させることを特
徴としている。
【0019】請求項6記載の方法によれば、例えば、不
活性ガスを粒子のキャリアとして用いることにより、粒
子を表面改質剤で処理する際における、キャリアを要因
とする粒子や表面改質剤に対する好ましくない反応や作
用等を排除することができるので、粒子表面の性質を表
面改質剤によってより一層充分に改質することができ
る。
【0020】また、請求項7記載の発明の表面改質粒子
は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし6の
何れか1項に記載の方法によって得られることを特徴と
している。
【0021】請求項7記載の構成によれば、粒子表面に
常温・常圧で固体である表面改質剤が付着してなる表面
改質粒子を簡単に提供することができる。そして、例え
ば粒子が常温・常圧で液体であっても、表面改質粒子が
固体状であるので、簡便かつ容易に取り扱うことができ
る。つまり、液体状の粒子を固体として取り扱うことが
できる表面改質粒子を提供することができる。また、所
望の厚さの表面改質剤の膜が形成された表面改質粒子、
並びに、高機能を有する表面改質粒子を提供することが
できる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明にかかる表面改質方法は、
表面の性質を改質すべき粒子を、常温・常圧で固体であ
る表面改質剤の過飽和蒸気と接触させて、粒子表面に該
表面改質剤を付着させる方法である。また、本発明にか
かる表面改質粒子は、上記の方法によって得られる構成
である。尚、本発明において「常温・常圧」とは、20
℃・1気圧を示すこととする。
【0023】本発明にかかる粒子は、特に限定されるも
のではなく、無機化合物からなる粒子であってもよく、
有機化合物からなる粒子であってもよい。上記粒子の形
態としては、具体的には、例えば、エアロゾル粒子、ミ
スト粒子、ヒューム等が挙げられるが、特に限定される
ものではない。
【0024】無機化合物からなる粒子としては、具体的
には、例えば、水からなる粒子(水滴);酸化チタン、
酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリカ、アルミ
ナ、カオリン、硫化亜鉛、硫酸バリウム、水酸化アルミ
ニウム、炭酸カルシウム、オーカー(黄土)、黄鉛、紺
青、群青、金、銀、銅、アルミニウム、ステンレス等の
合金、マグネタイトブラック等の、金属または金属化合
物からなる粒子;カーボンブラック、ガラスビーズ、セ
ラミックス等の無機化合物からなる粒子;等が挙げられ
る。尚、カーボンブラックは、コンタクト法やファーネ
ス法、サーマル法等の方法によって製造される。
【0025】有機化合物からなる粒子としては、例え
ば、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和
芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽和複素環式
化合物、不飽和複素環式化合物等の有機化合物からなる
粒子;アゾレーキ顔料,不溶性アゾ顔料,縮合アゾ顔
料,キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔
料,ペリレン顔料,ペリノン顔料,アントラキノン顔
料,キナクリドン顔料,ジオキサジン顔料,チオインジ
ゴ顔料,イソインドリノン顔料,キノフタロン顔料等の
多環式顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラ
ック、酸性染料型レーキ,塩基性染料型レーキ等の染料
レーキ、等の顔料からなる粒子;酸性染料、塩基性染
料、直接染料、反応性染料、分散性染料、油性染料、食
品用色素(着色料)、蛍光増白染料等の染料からなる粒
子;ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニ
ル樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチ
レン−アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸メチル樹
脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、ポリメタクリル
酸メチル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコー
ン樹脂等の合成樹脂からなる粒子;アスピリン、インド
メタシン、イソプロテレノール等の医薬品からなる粒
子;各種ラテックス、コーンスターチ等のデンプン、α
−ラクトース等の糖類、グリセリン、各種鉱油、カルナ
バワックス等のパラフィン(ワックス)類、等からなる
粒子;等が挙げられる。
【0026】上記の飽和脂肪族炭化水素、並びに不飽和
脂肪族炭化水素は、アミノ基、アミド基、水酸基、カル
ボニル基、カルボキシル基、ハロゲン基、イソシアネー
ト基等の官能基;エステル等の結合;を有していてもよ
い。上記の飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水
素、飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物
は、アミノ基、アミド基、水酸基、カルボニル基、カル
ボキシル基、アルデヒド基、ハロゲン基、ハロゲン化ア
シル基、イソシアネート基、ニトロ基、スルホン酸基等
の官能基;エステル等の結合;を有していてもよく、ま
た、カルボキシル基を複数有する場合には、酸無水物と
なっていてもよい。さらに、飽和複素環式化合物、並び
に不飽和複素環式化合物は、多環式化合物であってもよ
い。
【0027】飽和脂肪族炭化水素としては、具体的に
は、例えば、n−エイコサン、1−エイコサノール、ア
セトアミド、アセチルアセトアミド、アセトキシ酢酸、
N−アセチルエチレンジアミン、1,4−シクロオクタ
ンジオール、1,10−デカンジカルボン酸、1,2−
デカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、デカ
ン酸、ブタン二酸、グリオキシル酸1水和物、テトラハ
イドロジシクロペンタジエン、ステアリン酸、トリコサ
ン酸メチル、1,3−ジクロロアセトン、ミリスチン酸
イソプロピル、[(1S)-endo]-(-)-ボルネオール、ビス
(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチル等が挙げられ
る。不飽和脂肪族炭化水素としては、具体的には、例え
ば、2−ノルボルネン等のオレフィン類が挙げられる。
【0028】飽和芳香族炭化水素としては、具体的に
は、例えば、2−アセトナフトン、4−アセチルベンゾ
ニトリル、2−アミノビフェニル、2−アミノ−2’,
5−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロベンゾフェ
ノン、デカノフェノン、ナフタレン、2,4−ジブロモ
アニリン、1,4−ナフトキノン、1,4−ジアミノア
ントラキノン、1−ナフトール、安息香酸、フルオレン
等が挙げられる。不飽和芳香族炭化水素としては、具体
的には、例えば、アセナフチレン等が挙げられる。
【0029】飽和複素環式化合物としては、具体的に
は、例えば、2−アセチル−5−ブロモチオフェン、3
−アセチル−2,4−ジメチルピロール、3−アミノ−
2−クロロピリジン、3−ヒドロキシ−2−ニトロピリ
ジン、フルフリルスルフィド、2−焦性粘液酸、1,
2,4−トリアゾール、2−チオフェン酢酸、1−フェ
ニルピロール等の、芳香族性を有する複素環式化合物;
3−アセチルクマリン、2−アミノベンゾチアゾール、
ジベンゾフラン、1,7−フェナントロリン、7,8−
ベンゾキノリン、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン−
2−イル・メチルケトン、2−クロロキノリン、キノキ
サリン、フェノチアジン等の、多環式化合物;等が挙げ
られる。
【0030】要するに、例えば、エアロゾル粒子やミス
ト粒子等の形態にすることができる有機化合物であれ
ば、その構造に関わらず、本発明にかかる有機粒子とし
て用いることができる。尚、上記有機化合物において、
「飽和」とは、芳香環および複素環以外の炭素−炭素不
飽和結合が存在しないことを示し、「不飽和」とは、芳
香環および複素環以外の炭素−炭素不飽和結合が存在す
ることを示す。
【0031】上記の化合物は、一種類のみを粒子として
用いてもよく、また、二種類以上を粒子として併用して
もよい。本発明にかかる表面改質方法においては、粒子
は、常温・常圧で固体であってもよく、液体であっても
よい。つまり、本発明にかかる表面改質方法において
は、常温・常圧で液体である化合物を粒子として用いる
ことができる。それゆえ、固体・液体に関わらず、粒子
表面の性質を改質することができる。そして、粒子を複
数の成分で構成することにより、即ち、例えば、二種類
以上の化合物の混合物を粒子として用いる等、粒子とし
て二種類以上の化合物を併用することにより、複数の機
能を有する粒子を含む表面改質粒子を簡単に得ることが
できる。また、二種類以上の化合物を併用する場合にお
いては、少なくとも一種類の化合物として水を用いるこ
とにより、水を含む表面改質粒子を得ることができる。
さらに、二種類以上の化合物を併用する場合において
は、少なくとも一種類の化合物として顔料または染料を
用いることにより、所望の色に着色された粒子を含む表
面改質粒子を得ることができる。尚、粒子の一次粒子径
や幾何平均粒子径は、特に限定されるものではない。ま
た、二種類以上の化合物の混合物を粒子として用いる場
合においては、該化合物は、固体同士の組み合わせであ
ってもよく、液体同士の組み合わせであってもよく、固
体と液体との組み合わせであってもよい。
【0032】上記化合物(または複数の化合物の混合
物)の粒子を形成する方法としては、具体的には、例え
ば、粉砕した後、分級する方法、溶剤(後述する)
に溶解させた後、該溶液をエアロゾル粒子またはミスト
粒子にする方法、溶剤に分散させた後、該分散液をエ
アロゾル粒子またはミスト粒子とする方法、気化させ
た後、該ガス(蒸気)を凝集させてヒュームとする方
法、等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0033】上記の溶剤としては、具体的には、例え
ば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピ
ルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール類;グ
リセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等
の多価アルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン等のケトン類;N−メチル−2−ピロリド
ン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒
素複素環式化合物;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪
族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド等のアミド類;ジエチルエーテル等のエーテル類;ジ
エチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチ
ルスルホキシド等の含硫黄化合物;等が挙げられるが、
特に限定されるものではない。これら溶剤は、一種類の
みを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよ
い。尚、これら溶剤は、粒子を構成する化合物である。
つまり、本発明にかかる表面改質方法においては、これ
ら溶剤を含む混合物を粒子として取り扱う。
【0034】本発明にかかる表面改質剤は、常温・常圧
で固体であり、かつ、過飽和状態の蒸気(ガス)を形成
することができる化合物、より好ましくは融点が30℃
以上の化合物、さらに好ましくは融点が40℃以上の化
合物であればよく、特に限定されるものではない。
【0035】上記の表面改質剤としては、粒子として例
示した前記無機化合物並びに有機化合物のうち、常温・
常圧で固体であり、かつ、過飽和蒸気を形成することが
できる化合物が好適であり、具体的には、例えば、飽和
脂肪族炭化水素、オレフィン類等の不飽和脂肪族炭化水
素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽和
複素環式化合物、不飽和複素環式化合物等の有機化合
物;アゾレーキ顔料,不溶性アゾ顔料,縮合アゾ顔料,
キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料,
ペリレン顔料,ペリノン顔料,アントラキノン顔料,キ
ナクリドン顔料,ジオキサジン顔料等の多環式顔料;酸
性染料、塩基性染料、直接染料、反応性染料、分散性染
料、油性染料、食品用色素(着色料)、蛍光増白染料等
の染料;アスピリン、インドメタシン、イソプロテレノ
ール等の医薬品;カルナバワックス等のパラフィン(ワ
ックス)類;等が挙げられる。
【0036】要するに、常温・常圧で固体であり、か
つ、分解や変質、反応等を生じることなく過飽和蒸気を
形成することができる化合物であれば、その構造に関わ
らず、本発明にかかる表面改質剤として用いることがで
きる。表面改質剤蒸気を過飽和状態にすることにより、
短時間で効率的に粒子表面に表面改質剤を付着させるこ
と、即ち、粒子表面に表面改質剤の膜を形成することが
できる。
【0037】上記の化合物は、一種類のみを表面改質剤
として用いてもよく、また、二種類以上を表面改質剤と
して併用してもよい。上記表面改質剤の過飽和蒸気を形
成する方法としては、具体的には、例えば、密閉可能な
表面改質装置に表面改質剤を仕込み、常圧下、減圧下ま
たは加圧下で加熱して飽和蒸気を形成した後、該飽和
蒸気を断熱膨張させる方法、該飽和蒸気を過冷却状態
とする方法、等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。これら形成方法のうち、飽和蒸気を断熱膨張
させる方法が簡便であるのでより好ましい。
【0038】そして、性質を改質すべき粒子表面が親水
性である場合には、親水性を有する化合物を表面改質剤
として用いることがより好ましい。親水性を有する化合
物としては、アルコール類がより好ましい。また、該ア
ルコール類のうち、脂肪族アルコール類がより好まし
い。さらに、該脂肪族アルコール類のうち、いわゆる長
鎖アルキル基を有するアルコール類がより好ましい。親
水性を有する化合物を表面改質剤として用いることによ
り、親水性を有する粒子表面に対する該表面改質剤の接
触角を小さくすることができる。従って、粒子表面に該
表面改質剤が凝縮(付着)し易くなる。
【0039】一方、性質を改質すべき粒子表面が疎水性
である場合には、疎水性を有する化合物を表面改質剤と
して用いることがより好ましい。疎水性を有する化合物
としては、パラフィン類およびオレフィン類がより好ま
しい。また、該パラフィン類のうち、炭素数20以上の
パラフィン類がより好ましく、該オレフィン類のうち、
炭素数20以上のオレフィン類がより好ましい。疎水性
を有する化合物を表面改質剤として用いることにより、
疎水性を有する粒子表面に対する該表面改質剤の接触角
を小さくすることができる。従って、粒子表面に該表面
改質剤が凝縮(付着)し易くなる。さらに、炭素数20
以上のパラフィン類並びに炭素数20以上のオレフィン
類は、融点が比較的高いので、得られる表面改質粒子の
取り扱いがより一層容易となる。
【0040】粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接触させ
て、粒子表面に該表面改質剤を付着させる方法は、特に
限定されるものではないが、粒子を表面改質剤の過飽和
蒸気に曝すことによって粒子表面に該表面改質剤を凝縮
させる方法が好適である。具体的には、例えば、表面改
質剤の飽和蒸気を満たした表面改質装置内に粒子を導入
した後、該飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形
成し、粒子表面に該表面改質剤を凝縮させる方法、該
飽和蒸気を過冷却状態にして過飽和蒸気を形成し、粒子
表面に該表面改質剤を凝縮させる方法、或いは、表面
改質剤の飽和蒸気を満たした表面改質装置内に、冷却し
た(飽和蒸気よりも低温の)粒子を導入することによ
り、表面改質剤と粒子との温度差を利用して粒子表面に
該表面改質剤を凝縮させる方法、等が挙げられるが、粒
子同士の凝集や、粒子の変質等を生じない条件下であれ
ばよく、特に限定されるものではない。これにより、該
粒子表面に凝縮した表面改質剤の膜が形成される。尚、
表面改質剤の膜は、粒子表面に単に付着していてもよ
く、或いは、反応等によって結合していてもよい。
【0041】そして、表面改質剤を適宜選択することに
より、つまり、粒子と表面改質剤との組み合わせを適宜
選択することにより、得られる表面改質粒子に対して、
種々の機能を付与することができる。尚、粒子表面に常
温・常圧で固体である表面改質剤の膜を形成するので、
つまり、該粒子表面を被覆するように表面改質剤を付着
させるので、粒子が常温・常圧で液体であっても、該膜
がいわゆるカプセルとしての機能を備えて液体状の粒子
を封入することができる。即ち、常温・常圧で液体であ
る粒子の表面を改質することができる。
【0042】表面改質剤の飽和蒸気を満たした表面改質
装置内に粒子を導入する方法は、特に限定されるもので
はないが、不活性ガスをキャリアとして用い、該不活性
ガスと共に粒子を吹き込む方法が簡便である。つまり、
本発明にかかる表面改質方法においては、粒子を表面改
質剤の過飽和蒸気と不活性ガスの存在下で接触させるこ
とができる。該不活性ガスとしては、具体的には、例え
ば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げら
れるが、特に限定されるものではなく、本発明にかかる
表面改質方法において用いる粒子および表面改質剤に対
して不活性なガスであればよい。不活性ガスを粒子のキ
ャリアとして用いることにより、粒子を表面改質剤で処
理する際における、キャリアを要因とする粒子や表面改
質剤に対する好ましくない反応(例えば、粒子表面の酸
化等)や作用等を排除することができるので、粒子表面
の性質を表面改質剤によってより一層充分に改質するこ
とができる。
【0043】粒子表面に付着した表面改質剤の膜は、時
間の経過と共に圧密していくので徐々に厚くなる。従っ
て、粒子の密度や過飽和蒸気の濃度、処理時間、処理温
度等の処理条件を適宜選択することにより、表面改質剤
の膜厚を調節することができる。また、粒子を表面改質
剤の過飽和蒸気と接触させる工程を複数回繰り返すこと
により、該粒子表面に、所望の厚さの表面改質剤の膜を
形成することができると共に、所望の粒子径の表面改質
粒子を得ることができる。即ち、表面改質剤の過飽和蒸
気の濃度が比較的低い場合には、1回の工程で以て所望
の厚さの表面改質剤の膜を形成することができないおそ
れがあるが、上記工程を複数回繰り返すことにより膜厚
を厚くすることができるので、該粒子表面に、所望の厚
さの表面改質剤の膜を形成することができる。一方、表
面改質剤の過飽和蒸気の濃度が比較的高い場合には、該
粒子表面に、1回の工程で以て所望の厚さの表面改質剤
の膜を形成することができる。
【0044】尚、本発明にかかる表面改質方法において
は、粒子表面が疎水性であり、表面改質剤として親水性
を有する化合物を用いる場合、或いは、粒子表面が親水
性であり、表面改質剤として疎水性を有する化合物を用
いる場合であっても、例えば、粒子を表面改質剤の過飽
和蒸気と接触させる工程を複数回繰り返すことにより、
該粒子表面に、所望の厚さの表面改質剤の膜を形成する
ことができる。
【0045】さらに、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と
接触させる上記複数回の工程のうち、少なくとも2回の
工程に、互いに組成の異なる表面改質剤を用いることに
より、該粒子表面に、互いに組成の異なる表面改質剤の
膜を順次積層させることができる。即ち、粒子表面の性
質を複数の表面改質剤によって改質することができるの
で、高機能を有する表面改質粒子を簡単に得ることがで
きる。
【0046】以上のように、本発明にかかる表面改質方
法は、表面の性質を改質すべき粒子を、常温・常圧で固
体である表面改質剤の過飽和蒸気と接触させて、粒子表
面に該表面改質剤を付着させる方法である。該方法によ
れば、表面改質剤の過飽和蒸気は、粒子と接触すると該
粒子を核として凝集し、粒子表面に付着して粒子表面の
性質を改質する。このため、撹拌翼等の撹拌装置を用い
て粒子を撹拌する従来の方法とは異なり、粒子表面に表
面改質剤を付着させる際に、該粒子が摩擦等によって帯
電するおそれが無い。そして、該表面改質剤は常温・常
圧で固体である。従って、該表面改質剤を用いて、粒子
を帯電させることなく、しかも、表面改質剤の過飽和蒸
気を発生させることのできる装置を用いるので、簡便な
装置および操作で短時間で処理することができる。即
ち、粒子表面に固体状の表面改質剤が付着した表面改質
粒子を、帯電させることなく、しかも、簡便な装置およ
び操作で短時間で製造することができる。
【0047】以上のように、本発明にかかる表面改質方
法は、上記粒子が常温・常圧で液体であり、該粒子表面
に表面改質剤の膜を形成する方法である。該方法によれ
ば、粒子表面に常温・常圧で固体である表面改質剤の膜
を形成するので、つまり、該粒子表面を被覆するように
表面改質剤を付着させるので、粒子が常温・常圧で液体
であっても、該膜がいわゆるカプセルとしての機能を備
えて液体状の粒子を封入することができる。即ち、常温
・常圧で液体である粒子を含む固体状の表面改質粒子を
得ることができるので、該粒子の表面を改質することが
できる。
【0048】以上のように、本発明にかかる表面改質方
法は、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接触させる工程
を複数回繰り返す方法である。これにより、表面改質剤
の膜厚を厚くすることができるので、粒子表面に、所望
の厚さの表面改質剤の膜を形成することができる。
【0049】以上のように、本発明にかかる表面改質方
法は、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接触させる上記
複数回の工程のうち、少なくとも2回の工程に、互いに
組成の異なる表面改質剤を用いる方法である。これによ
り、粒子表面に、互いに組成の異なる表面改質剤の膜を
順次積層させることができる。即ち、粒子表面の性質を
複数の表面改質剤によって改質することができるので、
高機能を有する表面改質粒子を簡単に得ることができ
る。
【0050】以上のように、本発明にかかる表面改質方
法は、上記粒子が複数の成分からなる方法である。これ
により、複数の機能を有する粒子を含む表面改質粒子を
簡単に得ることができる。
【0051】以上のように、本発明にかかる表面改質方
法は、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と不活性ガスの存
在下で接触させる方法である。該方法によれば、例え
ば、不活性ガスを粒子のキャリアとして用いることによ
り、粒子を表面改質剤で処理する際における、キャリア
を要因とする粒子や表面改質剤に対する好ましくない反
応や作用等を排除することができるので、粒子表面の性
質を表面改質剤によってより一層充分に改質することが
できる。
【0052】また、以上のように、本発明にかかる表面
改質粒子は、上記の方法によって得られる構成である。
これにより、粒子表面に常温・常圧で固体である表面改
質剤が付着してなる表面改質粒子を簡単に提供すること
ができる。そして、例えば粒子が常温・常圧で液体であ
っても、表面改質粒子が固体状であるので、簡便かつ容
易に取り扱うことができる。つまり、液体状の粒子を固
体として取り扱うことができる表面改質粒子を提供する
ことができる。また、所望の厚さの表面改質剤の膜が形
成された表面改質粒子、並びに、高機能を有する表面改
質粒子を提供することができる。本発明にかかる表面処
理粒子は、医薬品、化粧品、塗料、印刷インキ、トナー
(現像剤)、セラミックス、電子材料等の各種用途に好
適に用いられる。
【0053】上記構成の粒子並びに表面改質剤を用いた
表面改質方法に好適に供される表面改質装置の一例につ
いて、図1ないし図2に基づいて説明すれば、以下の通
りである。
【0054】図1に示すように、表面改質装置1は、基
台9上に立設された改質塔2を備えている。該改質塔2
は、上下方向に延びる細長い円柱形状をなし、セラミッ
クスや不織布等の多孔質材料からなる内壁部2aと、ス
テンレス等からなる外壁部2bとで構成されており、内
部が密閉可能な表面改質処理空間となっている。上記内
壁部2aには表面改質剤が予め付着または含浸されてお
り、これにより、内壁部2aは、改質塔2内部の温度並
びに圧力が調節されることにより、表面改質剤の過飽和
蒸気を発生するようになっている。尚、改質塔2の形状
は、特に限定されるものではないが、本表面改質装置を
用いて表面改質処理を効率的に行うには、横長形状より
も上記縦長形状であることがより好ましい。
【0055】改質塔2には、改質塔2内部に粒子を供給
する粒子供給管4、改質塔2内部から表面改質粒子を取
り出す粒子取出管5、および、改質塔2内部を加圧また
は減圧することによって所定の圧力に調節する圧力調節
管6が接続されている。粒子供給管4は、バルブ11を
介して図示しない粒子供給装置に接続されている。そし
て、粒子供給管4は、粒子と共に、必要に応じて不活性
ガスを改質塔2内部に供給するようになっている。粒子
取出管5は、バルブ13を介して図示しない粒子回収装
置に接続されている。圧力調節管6には、改質塔2内部
の圧力を測定する圧力計16が取り付けられている。圧
力調節管6は、バルブ15を介して図示しない加圧・減
圧装置に接続されている。
【0056】改質塔2の外周部には、改質塔2内部を加
熱するために、リボンヒータ等からなる加熱装置7が螺
旋状に巻回されて取り付けられている。また、改質塔2
の上方部には、改質塔2内部の温度を測定する温度計8
が取り付けられている。改質塔2の下方部には、改質塔
2内部の表面改質粒子の粒子径を光学的に測定する従来
周知の光学測定装置3が設けられている。従って、表面
改質装置1は、主に、上記の改質塔2、光学検出装置
3、図示しない粒子供給装置、粒子回収装置、加圧・減
圧装置等で構成されている。
【0057】上記の光学測定装置3は、筐体3hの内部
に、光源3a、レンズ3b・3c、遮光板3d、ガラス
等からなる改質塔2との仕切り板である透光板3e・3
f、光検出部3g等が配設されることによって構成され
ている。光学測定装置3は、光源3aから出射された光
を、レンズ3b・3c、遮光板3dの開口部、透光板3
e、改質塔2内部、および透光板3fを経て光検出部3
gに入射させるようになっている。光源3aから出射さ
れた光は、改質塔2内部の表面改質粒子によって散乱お
よび減光することにより、その光量が変化する。これに
より、光学測定装置3は、入射された光量に応じて光検
出部3gから出力される信号に基づいて、表面改質粒子
の粒子径を測定するようになっている。光学測定装置3
を用いて表面改質粒子の粒子径を測定することにより、
粒子表面に形成される表面改質剤の膜の厚さを制御する
ことができる。尚、上記の光学測定装置3は、光透析・
散乱法を採用して粒子径を測定する構成となっている
が、測定法は特に限定されるものではなく、例えば、X
線透過法、沈降法、レーザ回折・散乱法、動的散乱を利
用した光子相関法等を採用することもできる。また、光
学的に測定する方法以外に、光学顕微鏡や電子顕微鏡を
使用する画像処理解析法等を採用することもできる。
【0058】上記構成の表面改質装置1を用いて粒子の
表面改質を行うには、先ず、改質塔2を密閉して表面改
質処理空間を形成し、圧力調節管6を用いて改質塔2内
部を所定の圧力に調節した後、加熱装置7を用いて内壁
部2aに予め付着または含浸された表面改質剤の飽和蒸
気を発生させる。次に、改質塔2内部に粒子供給管4を
介して粒子を、必要に応じて不活性ガスをキャリアとし
て用いて供給(導入)する。次いで、圧力調節管6を用
いて改質塔2内部を減圧状態とすることにより、表面改
質剤の飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、
粒子表面に該表面改質剤を凝縮させる。そして、光学測
定装置3を用いて表面改質粒子の粒子径を測定すること
によって粒子表面に形成される表面改質剤の膜の厚さを
制御し、所望の厚さの該膜が形成された時点で、粒子取
出管5を介して改質塔2内部から表面改質粒子を取り出
す。これにより、所望の厚さの表面改質剤の膜が形成さ
れた表面改質粒子、即ち、本発明にかかる表面改質粒子
を簡単に製造することができる。上記の表面改質装置1
を用いて粒子の表面改質を行う際には、装置内を、例え
ばキャリアとして用いる不活性ガス等の清浄ガスで予め
置換しておくことが望ましい。
【0059】また、上記構成の表面改質装置1を使用し
て、例えば2種類の表面改質剤を用いて粒子表面の性質
を改質する場合、つまり、粒子表面に一方の表面改質剤
を付着させた後、他方の表面改質剤を付着させる場合に
は、該表面改質装置1を2つ使用すればよい。具体的に
は、図2に示すように、2つの表面改質装置1a・1b
を連結すればよい。即ち、第一の表面改質装置1aの粒
子取出管5と、第二の表面改質装置1bの粒子供給管4
とを連結して、第一の表面改質装置1aから取り出され
た第一の表面改質粒子を、第二の表面改質装置1bに供
給して第二の表面改質粒子を製造すればよい。これによ
り、2種類の表面改質剤を用いて改質された表面改質粒
子を簡単に製造することができる。上記の表面改質装置
1a・1bを用いて粒子の表面改質を行う際には、両装
置内を、例えばキャリアとして用いる不活性ガス等の清
浄ガスで予め置換しておくことが望ましい。
【0060】次に、上記構成の粒子並びに表面改質剤を
用いた表面改質方法に好適に供される表面改質装置の他
の例について、図3ないし図4に基づいて説明すれば、
以下の通りである。尚、説明の便宜上、前記の表面改質
装置1が備える構成と同一の機能を有する構成には、同
一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0061】図3に示すように、表面改質装置21は、
蒸気発生部22aおよび混合部22bからなる改質塔2
2、光学測定装置3・3を備えており、表面改質粒子を
連続的に製造することができるようになっている。該蒸
気発生部22aは、水平方向に延びる細長い円柱形状ま
たは角柱形状をなし、内壁部2aと外壁部2bとで構成
されており、内部が表面改質剤蒸気発生空間となってい
る。蒸気発生部22aの外周部には、加熱装置7が螺旋
状に巻回されて取り付けられている。また、蒸気発生部
22aの上方部には、温度計8が取り付けられている。
尚、蒸気発生部22aの形状は、特に限定されるもので
はないが、本表面改質装置を用いて表面改質処理を効率
的に行うには、縦長形状よりも上記横長形状であること
がより好ましい。
【0062】蒸気発生部22aの長手方向に延びる上記
の表面改質剤蒸気発生空間は、蒸気発生部22aの軸方
向に対して上下方向に傾斜した例えば円柱穴形に形成さ
れている。また、蒸気発生部22a内部における下方側
端部には、例えば加熱によって溶解した表面改質剤20
を貯留するための貯留部2cが形成されている。そし
て、蒸気発生部22a内部が傾斜しているので、内壁部
2aに予め付着または含浸されている表面改質剤20
は、過飽和蒸気を発生すると共に、溶解するとその一部
が貯留部2cに流れ込む。さらに、蒸気発生部22a内
部における下方側端部には、必要に応じて不活性ガス等
の清浄ガスを改質塔22内部に供給する清浄ガス供給管
2dが接続されている。清浄ガス供給管2dは、バルブ
2eを介して図示しない清浄ガス供給装置に接続されて
いる。尚、内壁部2aに表面改質剤を予め付着または含
浸させる代わりに、貯留部2cに表面改質剤を予め貯留
することもできる。
【0063】蒸気発生部22a内部における上方側端部
には、上下方向に延びる細長い円柱形状をなす混合部2
2bが接続されている。混合部22bは、ステンレス等
からなる混合管29と、該混合管29の外周部に設けら
れた冷却管30とで構成されており、内部が表面改質処
理空間となっている。表面改質処理空間は、表面改質剤
蒸気発生空間と連通している。混合部22bの上方部に
は、温度計8が取り付けられている。そして、蒸気発生
部22aと混合部22bとの接続部近傍には、粒子供給
管4がその開口部を上にした状態で混合管29に接続さ
れている。一方、混合部22bの上方側端部は、改質塔
22内部の表面改質粒子の粒子径を光学的に測定する光
学測定装置3、および粒子取出管5を介して図示しない
粒子回収装置に接続されている。
【0064】粒子供給管4は、改質塔22に供給される
粒子の粒子径を光学的に測定する光学測定装置3、およ
びバルブ2fを介して図示しない粒子供給装置に接続さ
れている。粒子供給管4には、温度計8と、粒子の温度
を調節するためのリボンヒータ等からなる加熱装置23
が螺旋状に巻回されて取り付けられている。尚、表面改
質装置21が備えるその他の構成は、前記の表面改質装
置1が備える構成と同一である。
【0065】上記構成の表面改質装置21を用いて粒子
の表面改質を行うには、先ず、改質塔22内に表面改質
剤蒸気発生空間を形成した後、加熱装置7を用いて内壁
部2aに予め付着または含浸された表面改質剤の飽和蒸
気を発生させる。蒸気発生部22aで発生した該飽和蒸
気は、表面改質剤蒸気発生空間と連通している表面改質
処理空間である混合管29内部に、清浄ガス供給管2d
から供給される清浄ガス(キャリア)によって導入され
る。次に、混合部22bにおける該混合管29内部に粒
子供給管4を介して粒子を、必要に応じて不活性ガスと
共に供給(導入)する。次いで、冷却管30を用いて混
合管29を冷却することにより、表面改質剤の飽和蒸気
を過冷却状態にして過飽和蒸気を形成し、粒子表面に該
表面改質剤を凝縮させる。そして、光学測定装置3を用
いて表面改質粒子の粒子径を測定することによって粒子
表面に形成される表面改質剤の膜の厚さを制御し、所望
の厚さの該膜が形成された時点で、粒子取出管5を介し
て混合管29から表面改質粒子を取り出す。粒子径、即
ち、表面改質剤の膜の厚さは、蒸気発生部22aの加熱
温度、清浄ガス(キャリア)の流速、粒子の温度、およ
び、混合部22bの温度等を適宜設定することによっ
て、容易に制御することができる。また、混合部22b
において、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気に曝す時間
は、清浄ガス(キャリア)の流速、および、混合管29
の長さ等を適宜設定することによって、容易に調節する
ことができる。
【0066】これにより、所望の厚さの表面改質剤の膜
が形成された表面改質粒子、即ち、本発明にかかる表面
改質粒子を簡単にかつ連続的に製造することができる。
上記の表面改質装置21を用いて粒子の表面改質を行う
際には、装置内を、例えばキャリアとして用いる不活性
ガス等の清浄ガスで予め置換しておくことが望ましい。
【0067】尚、上記構成の表面改質装置21を用いて
粒子の表面改質を行うに当たっては、混合管29内部に
粒子を供給した後、冷却管30を用いて混合管29を冷
却する代わりに、粒子を必要に応じて不活性ガスと共に
冷却して(飽和蒸気よりも低温にして)混合管29内部
に導入することにより、表面改質剤と粒子との温度差を
利用して粒子表面に該表面改質剤を凝縮させることもで
きる。
【0068】また、上記構成の表面改質装置21を使用
して、例えば2種類の表面改質剤を用いて粒子表面の性
質を改質する場合、つまり、粒子表面に一方の表面改質
剤を付着させた後、他方の表面改質剤を付着させる場合
には、該表面改質装置21を2つ使用すればよい。具体
的には、図4に示すように、2つの表面改質装置21a
・21bを連結すればよい。即ち、第一の表面改質装置
21aの粒子取出管5と、第二の表面改質装置21bの
粒子供給管4とを連結して、第一の表面改質装置21a
から取り出された第一の表面改質粒子を、第二の表面改
質装置21bに供給して第二の表面改質粒子を製造すれ
ばよい。これにより、2種類の表面改質剤を用いて改質
された表面改質粒子を連続的に製造することができる。
尚、2つの表面改質装置21a・21bを連結して使用
する場合には、両装置21a・21bの連結部位におけ
る光学測定装置3・3のうちの1つを省略することがで
きる。上記の表面改質装置21a・21bを用いて粒子
の表面改質を行う際には、両装置内を、例えばキャリア
として用いる不活性ガス等の清浄ガスで予め置換してお
くことが望ましい。
【0069】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0070】〔実施例1〕前記の表面改質装置1を用い
て表面改質粒子を製造した。即ち、改質塔2の内壁部2
aに表面改質剤としてのn−エイコサンを付着させた
後、改質塔2を密閉し、圧力調節管6を用いて内部を所
定の圧力に加圧した。次に、加熱装置7を用いて改質塔
2を250℃に加熱することにより、n−エイコサンの
飽和蒸気を発生させた。
【0071】次いで、一次粒子径0.5μmの酸化チタ
ン粒子を窒素ガス(不活性ガス)と共に、粒子供給管4
を介して改質塔2内部に供給した。そして、酸化チタン
粒子を供給した後、圧力調節管6を用いて改質塔2内部
を減圧状態とすることにより、n−エイコサンの飽和蒸
気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、酸化チタン粒
子表面にn−エイコサンを凝縮させた。
【0072】改質塔2内部を減圧状態とした時点から3
分間経過後、粒子取出管5を介して改質塔2内部から、
酸化チタン粒子表面がn−エイコサンにて被覆された表
面改質粒子を取り出した。即ち、本発明にかかる表面改
質粒子を得た。光学測定装置3によって測定された該表
面改質粒子の一次粒子径は0.8μmであり、大きさが
ほぼ均一であった。
【0073】〔実施例2〕前記の表面改質装置1を用い
て、実施例1と同様の操作を行い、表面改質粒子を製造
した。即ち、表面改質剤としてステアリン酸を用い、加
圧下で270℃に加熱することにより、ステアリン酸の
飽和蒸気を発生させた。
【0074】次いで、幾何平均粒子径0.5μmのカー
ボンブラック粒子を窒素ガスと共に改質塔2内部に供給
した後、改質塔2内部を減圧状態とすることにより、ス
テアリン酸の飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形
成し、カーボンブラック粒子表面にステアリン酸を凝縮
させた。
【0075】改質塔2内部を減圧状態とした時点から3
分間経過後、カーボンブラック粒子表面がステアリン酸
にて被覆された表面改質粒子を取り出した。即ち、本発
明にかかる表面改質粒子を得た。該表面改質粒子の一次
粒子径は1.0μmであり、大きさがほぼ均一であっ
た。
【0076】〔実施例3〕前記の表面改質装置1a・1
bを用いて表面改質粒子を製造した。即ち、先ず、第一
の表面改質装置1aにおいて実施例2と同様の操作を行
い、カーボンブラック粒子表面がステアリン酸にて被覆
された第一の表面改質粒子(一次粒子径1.0μm)を
得た。一方、第二の表面改質装置1bの改質塔2の内壁
部2aに表面改質剤としての1,2−ヘキサデカンジオ
ールを付着させた後、該改質塔2を密閉し、圧力調節管
6を用いて内部を所定の圧力に加圧した。次に、加熱装
置7を用いて改質塔2を230℃に加熱することによ
り、1,2−ヘキサデカンジオールの飽和蒸気を発生さ
せた。
【0077】次いで、上記第一の表面改質粒子を窒素ガ
スと共に、粒子供給管4を介して第二の表面改質装置1
bの改質塔2内部に供給した。そして、第一の表面改質
粒子を供給した後、圧力調節管6を用いて該改質塔2内
部を減圧状態とすることにより、1,2−ヘキサデカン
ジオールの飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成
し、第一の表面改質粒子表面に1,2−ヘキサデカンジ
オールを凝縮させた。
【0078】改質塔2内部を減圧状態とした時点から3
分間経過後、粒子取出管5を介して改質塔2内部から、
第一の表面改質粒子表面が1,2−ヘキサデカンジオー
ルにて被覆された第二の表面改質粒子を取り出した。即
ち、ステアリン酸および1,2−ヘキサデカンジオール
を用いて、カーボンブラック粒子をこれら化合物の過飽
和蒸気と接触させる工程を2回行うことにより、カーボ
ンブラック粒子表面がステアリン酸および1,2−ヘキ
サデカンジオールにて順次被覆された本発明にかかる表
面改質粒子を得た。光学測定装置3によって測定された
該表面改質粒子の一次粒子径は1.3μmであり、大き
さがほぼ均一であった。
【0079】〔実施例4〕前記の表面改質装置1a・1
bを用いて、実施例3と同様の操作を行い、表面改質粒
子を製造した。即ち、先ず、第一の表面改質装置1aに
おいて実施例2と同様の操作を行い、カーボンブラック
粒子表面がステアリン酸にて被覆された第一の表面改質
粒子(一次粒子径1.0μm)を得た。一方、第二の表
面改質装置1bの改質塔2において、表面改質剤として
ステアリン酸を用い、加圧下で270℃に加熱すること
により、ステアリン酸の飽和蒸気を発生させた。
【0080】次いで、上記第一の表面改質粒子を窒素ガ
スと共に、第二の表面改質装置1bの改質塔2内部に供
給した。そして、第一の表面改質粒子を供給した後、該
改質塔2内部を減圧状態とすることにより、ステアリン
酸の飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、第
一の表面改質粒子表面にステアリン酸を凝縮させた。
【0081】改質塔2内部を減圧状態とした時点から3
分間経過後、第一の表面改質粒子表面がステアリン酸に
て被覆された第二の表面改質粒子を取り出した。即ち、
ステアリン酸を用いて、カーボンブラック粒子をステア
リン酸の過飽和蒸気と接触させる工程を2回繰り返すこ
とにより、ステアリン酸の膜厚が第一の表面改質粒子の
当該膜厚よりも厚い、本発明にかかる表面改質粒子を得
た。該表面改質粒子の一次粒子径は1.3μmであり、
大きさがほぼ均一であった。
【0082】〔実施例5〕前記の表面改質装置21を用
いて表面改質粒子を製造した。即ち、蒸気発生部22a
の貯留部2cに表面改質剤としての1−エイコサノール
を貯留した後、改質塔22を閉じ、加熱装置7を用いて
蒸気発生部22aを常圧で230℃に加熱することによ
り、1−エイコサノールの飽和蒸気を発生させた。
【0083】次いで、染料であるCIアシッドレッド8
と、溶剤である水およびエチレングリコールとの混合物
からなる混合物粒子をアルゴンガス(不活性ガス)と共
に冷却し、該混合物粒子およびアルゴンガスを粒子供給
管4を介して混合管29内部に供給した。そして、混合
物粒子を供給した後、冷却管30を用いて混合管29を
冷却することにより、1−エイコサノールの飽和蒸気を
過冷却状態にして過飽和蒸気を形成し、混合物粒子表面
に1−エイコサノールを凝縮させた。
【0084】混合管29内部を過冷却状態とした時点か
ら1分間経過後、粒子取出管5を介して改質塔22内部
から、混合物粒子表面が1−エイコサノールにて被覆さ
れた表面改質粒子を取り出した。即ち、三種類の化合物
の混合物を粒子として含む、本発明にかかる表面改質粒
子を得た。該表面改質粒子の一次粒子径は1.0μmで
あり、大きさがほぼ均一であった。
【0085】〔実施例6〕前記の表面改質装置1を用い
て、実施例1と同様の操作を行い、表面改質粒子を製造
した。即ち、表面改質剤として疎水性を有する化合物で
あるテトラハイドロジシクロペンタジエンを用い、加圧
下で240℃に加熱することにより、テトラハイドロジ
シクロペンタジエンの飽和蒸気を発生させた。
【0086】次いで、粒子表面が疎水性である、一次粒
子径が凡そ40nmのポリスチレンラテックス粒子を窒
素ガスと共に改質塔2内部に供給した後、改質塔2内部
を減圧状態とすることにより、テトラハイドロジシクロ
ペンタジエンの飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を
形成し、ポリスチレンラテックス粒子表面にテトラハイ
ドロジシクロペンタジエンを凝縮させた。
【0087】改質塔2内部を減圧状態とした時点から4
分間経過後、ポリスチレンラテックス粒子表面がテトラ
ハイドロジシクロペンタジエンにて被覆された表面改質
粒子を取り出した。即ち、本発明にかかる表面改質粒子
を得た。該表面改質粒子の一次粒子径は0.8μmであ
り、大きさがほぼ均一であった。
【0088】〔実施例7〕前記の表面改質装置1を用い
て、実施例1と同様の操作を行い、表面改質粒子を製造
した。即ち、テトラハイドロジシクロペンタジエンを用
い、加圧下で240℃に加熱することにより、テトラハ
イドロジシクロペンタジエンの飽和蒸気を発生させた。
【0089】次いで、カーボンブラックと、スチレン−
アクリル酸共重合体との混練物からなる幾何平均粒子径
が凡そ2.0μmの混練物粒子を、窒素ガスと共に改質
塔2内部に供給した後、改質塔2内部を減圧状態とする
ことにより、テトラハイドロジシクロペンタジエンの飽
和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、混練物粒
子表面にテトラハイドロジシクロペンタジエンを凝縮さ
せた。
【0090】改質塔2内部を減圧状態とした時点から4
分間経過後、混練物粒子表面がテトラハイドロジシクロ
ペンタジエンにて被覆された表面改質粒子を取り出し
た。即ち、本発明にかかる表面改質粒子を得た。該表面
改質粒子の一次粒子径は2.5μmであり、大きさがほ
ぼ均一であった。
【0091】〔実施例8〕前記の表面改質装置1を用い
て、実施例1と同様の操作を行い、表面改質粒子を製造
した。即ち、表面改質剤としての1,4−ジアミノアン
トラキノンを用い、減圧下で260℃に加熱することに
より、1,4−ジアミノアントラキノンの飽和蒸気を発
生させた。
【0092】次いで、幾何平均粒子径が凡そ0.8μm
のポリ塩化ビニル樹脂粒子を、冷却したヘリウムガス
(不活性ガス)と共に改質塔2内部に供給した後、改質
塔2内部をさらに減圧状態とすることにより、1,4−
ジアミノアントラキノンの飽和蒸気を断熱膨張させて過
飽和蒸気を形成し、ポリ塩化ビニル樹脂粒子表面に1,
4−ジアミノアントラキノンを凝縮させた。
【0093】改質塔2内部をさらに減圧状態とした時点
から4分間経過後、ポリ塩化ビニル樹脂粒子表面が1,
4−ジアミノアントラキノンにて被覆された表面改質粒
子を取り出した。即ち、本発明にかかる表面改質粒子を
得た。該表面改質粒子の一次粒子径は1.0μmであ
り、大きさがほぼ均一であった。
【0094】〔実施例9〕前記の表面改質装置21を用
いて、実施例5と同様の操作を行い、表面改質粒子を製
造した。即ち、貯留部2cに表面改質剤としての[(1S)-
endo]-(-)-ボルネオールを貯留した後、改質塔22を閉
じて加圧下で240℃に加熱することにより、[(1S)-en
do]-(-)-ボルネオールの飽和蒸気を発生させた。
【0095】次いで、染料であるCIダイレクトブルー
199と、溶剤である水、エチレングリコールおよびグ
リセリンとの混合物からなる混合物粒子を窒素ガスと共
に冷却し、該混合物粒子および窒素ガスを混合管29内
部に供給した。そして、混合物粒子を供給した後、混合
管29を冷却することにより、[(1S)-endo]-(-)-ボルネ
オールの飽和蒸気を過冷却状態にして過飽和蒸気を形成
し、混合物粒子表面に[(1S)-endo]-(-)-ボルネオールを
凝縮させた。
【0096】混合管29内部を過冷却状態とした時点か
ら1分間経過後、混合物粒子表面が[(1S)-endo]-(-)-ボ
ルネオールにて被覆された表面改質粒子を取り出した。
即ち、四種類の化合物の混合物を粒子として含む、本発
明にかかる表面改質粒子を得た。該表面改質粒子の一次
粒子径は2.0μmであり、大きさがほぼ均一であっ
た。
【0097】〔実施例10〕前記の表面改質装置1を用
いて、実施例1と同様の操作を行い、表面改質粒子を製
造した。即ち、表面改質剤としての1,4−ナフトキノ
ンを用い、減圧下で220℃に加熱することにより、
1,4−ナフトキノンの飽和蒸気を発生させた。
【0098】次いで、幾何平均粒子径が凡そ0.8μm
のポリ塩化ビニル樹脂粒子を、冷却した窒素ガスと共に
改質塔2内部に供給した後、改質塔2内部をさらに減圧
状態とすることにより、1,4−ナフトキノンの飽和蒸
気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、ポリ塩化ビニ
ル樹脂粒子表面に1,4−ナフトキノンを凝縮させた。
【0099】改質塔2内部をさらに減圧状態とした時点
から4分間経過後、ポリ塩化ビニル樹脂粒子表面が1,
4−ナフトキノンにて被覆された表面改質粒子を取り出
した。即ち、本発明にかかる表面改質粒子を得た。該表
面改質粒子の一次粒子径は1.1μmであり、大きさが
ほぼ均一であった。
【0100】〔実施例11〕前記の表面改質装置1を用
いて、実施例1と同様の操作を行い、表面改質粒子を製
造した。即ち、表面改質剤として疎水性を有する化合物
であるn−エイコサンを用い、加圧下で270℃に加熱
することにより、n−エイコサンの飽和蒸気を発生させ
た。
【0101】次いで、粒子表面が疎水性である、幾何平
均粒子径が凡そ1.0μmのポリエチレン樹脂粒子を窒
素ガスと共に改質塔2内部に供給した後、改質塔2内部
を減圧状態とすることにより、n−エイコサンの飽和蒸
気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、ポリエチレン
樹脂粒子表面にn−エイコサンを凝縮させた。
【0102】改質塔2内部を減圧状態とした時点から4
分間経過後、ポリエチレン樹脂粒子表面がn−エイコサ
ンにて被覆された表面改質粒子を取り出した。即ち、本
発明にかかる表面改質粒子を得た。該表面改質粒子の一
次粒子径は1.3μmであり、大きさがほぼ均一であっ
た。
【0103】〔実施例12〕前記の表面改質装置1を用
いて、実施例1と同様の操作を行い、表面改質粒子を製
造した。即ち、表面改質剤として親水性を有する化合物
であるグリオキシル酸一水和物を用い、加圧下で180
℃に加熱することにより、グリオキシル酸一水和物の飽
和蒸気を発生させた。
【0104】次いで、粒子表面が疎水性である、幾何平
均粒子径が凡そ1.0μmのポリエチレン樹脂粒子を窒
素ガスと共に改質塔2内部に供給した後、改質塔2内部
を減圧状態とすることにより、グリオキシル酸一水和物
の飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、ポリ
エチレン樹脂粒子表面にグリオキシル酸一水和物を凝縮
させた。
【0105】改質塔2内部を減圧状態とした時点から4
分間経過後、ポリエチレン樹脂粒子表面がグリオキシル
酸一水和物にて被覆された表面改質粒子を取り出した。
即ち、本発明にかかる表面改質粒子を得た。該表面改質
粒子の一次粒子径は1.1μmであり、大きさがほぼ均
一であった。
【0106】〔実施例13〕前記の表面改質装置1を用
いて、実施例1と同様の操作を行い、表面改質粒子を製
造した。即ち、表面改質剤として親水性を有する化合物
であるグリオキシル酸一水和物を用い、加圧下で180
℃に加熱することにより、グリオキシル酸一水和物の飽
和蒸気を発生させた。
【0107】次いで、粒子表面が親水性である、幾何平
均粒子径が凡そ2.0μmのビス(ヒドロキシメチル)
マロン酸ジエチル粒子を窒素ガスと共に冷却し、該粒子
および窒素ガスを改質塔2内部に供給した後、改質塔2
内部を減圧状態とすることにより、グリオキシル酸一水
和物の飽和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、
ビス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチル粒子表面に
グリオキシル酸一水和物を凝縮させた。
【0108】改質塔2内部を減圧状態とした時点から4
分間経過後、ビス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチ
ル粒子表面がグリオキシル酸一水和物にて被覆された表
面改質粒子を取り出した。即ち、本発明にかかる表面改
質粒子を得た。該表面改質粒子の一次粒子径は2.5μ
mであり、大きさがほぼ均一であった。
【0109】〔実施例14〕前記の表面改質装置1を用
いて、実施例1と同様の操作を行い、表面改質粒子を製
造した。即ち、表面改質剤として疎水性を有する化合物
であるn−エイコサンを用い、加圧下で270℃に加熱
することにより、n−エイコサンの飽和蒸気を発生させ
た。
【0110】次いで、粒子表面が親水性である、幾何平
均粒子径が凡そ2.0μmのビス(ヒドロキシメチル)
マロン酸ジエチル粒子を窒素ガスと共に冷却し、該粒子
および窒素ガスを改質塔2内部に供給した後、改質塔2
内部を減圧状態とすることにより、n−エイコサンの飽
和蒸気を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、ビス(ヒ
ドロキシメチル)マロン酸ジエチル粒子表面にn−エイ
コサンを凝縮させた。
【0111】改質塔2内部を減圧状態とした時点から4
分間経過後、ビス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチ
ル粒子表面がn−エイコサンにて被覆された表面改質粒
子を取り出した。即ち、本発明にかかる表面改質粒子を
得た。該表面改質粒子の一次粒子径は2.1μmであ
り、大きさがほぼ均一であった。
【0112】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の表面改質方法
は、以上のように、表面の性質を改質すべき粒子を、常
温・常圧で固体である表面改質剤の過飽和蒸気と接触さ
せて、粒子表面に該表面改質剤を付着させる方法であ
る。
【0113】これにより、粒子表面に固体状の表面改質
剤が付着した表面改質粒子を、帯電させることなく、し
かも、簡便な装置および操作で短時間で製造することが
できるという効果を奏する。
【0114】本発明の請求項2記載の表面改質方法は、
以上のように、上記粒子が常温・常圧で液体であり、該
粒子表面に表面改質剤の膜を形成する方法である。
【0115】これにより、粒子が常温・常圧で液体であ
っても、表面改質剤の膜がいわゆるカプセルとしての機
能を備えて液体状の粒子を封入することができる。即
ち、常温・常圧で液体である粒子を含む固体状の表面改
質粒子を得ることができるので、該粒子の表面を改質す
ることができるという効果を奏する。
【0116】本発明の請求項3記載の表面改質方法は、
以上のように、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接触さ
せる工程を複数回繰り返す方法である。
【0117】これにより、表面改質剤の膜厚を厚くする
ことができるので、粒子表面に、所望の厚さの表面改質
剤の膜を形成することができるという効果を奏する。
【0118】本発明の請求項4記載の表面改質方法は、
以上のように、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接触さ
せる上記複数回の工程のうち、少なくとも2回の工程
に、互いに組成の異なる表面改質剤を用いる方法であ
る。
【0119】これにより、粒子表面に、互いに組成の異
なる表面改質剤の膜を順次積層させることができる。即
ち、粒子表面の性質を複数の表面改質剤によって改質す
ることができるので、高機能を有する表面改質粒子を簡
単に得ることができるという効果を奏する。
【0120】本発明の請求項5記載の表面改質方法は、
以上のように、上記粒子が複数の成分からなる方法であ
る。
【0121】これにより、複数の機能を有する粒子を含
む表面改質粒子を簡単に得ることができるという効果を
奏する。
【0122】本発明の請求項6記載の表面改質方法は、
以上のように、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と不活性
ガスの存在下で接触させる方法である。
【0123】これにより、キャリアを要因とする粒子や
表面改質剤に対する好ましくない反応や作用等を排除す
ることができるので、粒子表面の性質を表面改質剤によ
ってより一層充分に改質することができるという効果を
奏する。
【0124】本発明の請求項7記載の表面改質粒子は、
以上のように、請求項1ないし6の何れか1項に記載の
方法によって得られる構成である。
【0125】これにより、粒子表面に常温・常圧で固体
である表面改質剤が付着してなる表面改質粒子を簡単に
提供することができるという効果を奏する。そして、例
えば粒子が常温・常圧で液体であっても、表面改質粒子
が固体状であるので、簡便かつ容易に取り扱うことがで
きる。つまり、液体状の粒子を固体として取り扱うこと
ができる表面改質粒子を提供することができる。また、
所望の厚さの表面改質剤の膜が形成された表面改質粒
子、並びに、高機能を有する表面改質粒子を提供するこ
とができるという種々の効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる表面改質方法に好適に供される
表面改質装置の概略の構成を示す断面図である。
【図2】上記表面改質装置が2つ連結された状態を示す
概略の断面図である。
【図3】本発明にかかる表面改質方法に好適に供される
他の表面改質装置の概略の構成を示す断面図である。
【図4】図3の表面改質装置が2つ連結された状態を示
す概略の断面図である。
【符号の説明】
1 表面改質装置 1a 表面改質装置 1b 表面改質装置 2 改質塔 2a 内壁部 2b 外壁部 3 光学測定装置 4 粒子供給管 5 粒子取出管 6 圧力調節管 7 加熱装置 21 表面改質装置 21a 表面改質装置 21b 表面改質装置 22 改質塔 22a 蒸気発生部 22b 混合部 29 混合管 30 冷却管

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面の性質を改質すべき粒子を、常温・常
    圧で固体である表面改質剤の過飽和蒸気と接触させて、
    粒子表面に該表面改質剤を付着させることを特徴とする
    表面改質方法。
  2. 【請求項2】上記粒子が常温・常圧で液体であり、該粒
    子表面に表面改質剤の膜を形成することを特徴とする請
    求項1記載の表面改質方法。
  3. 【請求項3】粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接触させ
    る工程を複数回繰り返すことを特徴とする請求項1また
    は2記載の表面改質方法。
  4. 【請求項4】粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接触させ
    る上記複数回の工程のうち、少なくとも2回の工程に、
    互いに組成の異なる表面改質剤を用いることを特徴とす
    る請求項3記載の表面改質方法。
  5. 【請求項5】上記粒子が複数の成分からなることを特徴
    とする請求項1、2、3または4記載の表面改質方法。
  6. 【請求項6】粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と不活性ガ
    スの存在下で接触させることを特徴とする請求項1、
    2、3、4または5記載の表面改質方法。
  7. 【請求項7】請求項1ないし6の何れか1項に記載の方
    法によって得られる表面改質粒子。
JP34545697A 1997-12-15 1997-12-15 表面改質方法および表面改質粒子 Pending JPH11169705A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34545697A JPH11169705A (ja) 1997-12-15 1997-12-15 表面改質方法および表面改質粒子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34545697A JPH11169705A (ja) 1997-12-15 1997-12-15 表面改質方法および表面改質粒子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11169705A true JPH11169705A (ja) 1999-06-29

Family

ID=18376723

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34545697A Pending JPH11169705A (ja) 1997-12-15 1997-12-15 表面改質方法および表面改質粒子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11169705A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105001677A (zh) * 2015-08-13 2015-10-28 重庆元和精细化工股份有限公司 一种硝酸锶改性方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105001677A (zh) * 2015-08-13 2015-10-28 重庆元和精细化工股份有限公司 一种硝酸锶改性方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0916394B1 (en) Method of manufacturing modified particles and manufacturing device therefor
Bai et al. Large‐scale noniridescent structural color printing enabled by infiltration‐driven nonequilibrium colloidal assembly
JP3435091B2 (ja) 黄色系記録液の製造方法
EP0224659A2 (en) Method of improving quality of surface of solid particles and apparatus thereof
US7152819B2 (en) High pressure media mill
WO2006057374A1 (ja) 複合微粒子の製造方法
JP2019108256A (ja) 多層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブの製造方法
JP5849943B2 (ja) 脂肪酸金属塩粒子の製造方法、脂肪酸金属塩粒子
JPH11169705A (ja) 表面改質方法および表面改質粒子
CA2367076C (en) Production process of colored fine particulate resins, colored fine particulate resins, and coloring process of articles
JP3069537B2 (ja) 機能性化合物の分散体の製造方法
JPH1147681A (ja) 超臨界流体を用いた微粒子のコーティング方法及び塗装物
CN105675579B (zh) 银立方纳米颗粒-聚乙烯柔性透明膜及其制备方法和用途
JP3539544B2 (ja) 表面改質方法および表面改質粒子
WO2018168833A1 (ja) 多層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブの製造方法、分散液、樹脂組成物、および塗膜
EP3617681A1 (en) Stimuli-responsive composite particles and manufacturing method for same
JPS62140636A (ja) 固体粒子表面の成膜方法
JPH11335466A (ja) 表面改質粒子の製造方法
JP2004143405A (ja) 樹脂微粒子の製造方法
JP2008074638A (ja) ハイブリッド型有機超微粒子、該微粒子の製造方法および該微粒子の分散組成物
JPH11169704A (ja) 粒子改質方法および粒子改質装置
JP3961389B2 (ja) アミノ樹脂架橋粒子の製造方法
JPH11197496A (ja) 改質粒子の製造方法および製造装置
JP5736867B2 (ja) 粒子の製造方法
JP2011140557A (ja) ロイコ染料発色体分散液