JPH11335466A - 表面改質粒子の製造方法 - Google Patents

表面改質粒子の製造方法

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JPH11335466A
JPH11335466A JP14470298A JP14470298A JPH11335466A JP H11335466 A JPH11335466 A JP H11335466A JP 14470298 A JP14470298 A JP 14470298A JP 14470298 A JP14470298 A JP 14470298A JP H11335466 A JPH11335466 A JP H11335466A
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JP
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particles
monomer component
modified
vapor
chloride
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JP14470298A
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English (en)
Inventor
Kiyobumi Morimoto
清文 森本
Takahiro Horiuchi
貴洋 堀内
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒子を帯電させることなく、しかも、簡便な
装置および操作で短時間の処理で該粒子表面に重合体か
らなる表面改質剤の膜を形成することができる表面改質
粒子の製造方法を提供する。 【解決手段】 第一のモノマー成分を含有させた表面の
性質を改質すべき粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸
気と接触させることにより、粒子表面に該第二のモノマ
ー成分を付着させ、これによって上記第一のモノマー成
分と第二のモノマー成分とを重合させて、粒子表面に重
合体膜を形成する。上記第一のモノマー成分および第二
のモノマー成分の一方にスルホン酸ハライド基を2つ以
上有する化合物を用いる。この方法によれば、重合体膜
で被覆された表面改質粒子を従来よりもより効率的に製
造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子表面の性質を
改質すべく、粒子表面に表面改質剤を付着させることに
より表面改質粒子を製造する表面改質粒子の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種粒子表面の性質を改質す
べく、該粒子を表面改質剤で処理することによって粒子
表面に表面改質剤の膜を形成する表面改質方法、すなわ
ち、粒子表面を表面改質剤にて被覆した表面改質粒子の
製造方法が種々実施されている。上記表面改質粒子の製
造方法としては、乾式法、混練法、媒体を用いた撹拌法
(液相中にて表面改質を行う方法)、気相中にて表面改
質を行う方法、スプレードライ法などが知られている。
【0003】たとえば、「粉体工学便覧」(粉体工学会
編集;日刊工業新聞社発行)や、「微粒子ハンドブッ
ク」(神保元二等編集;株式会社朝倉書店発行;1991年
9月1日初版第一刷)383頁〜394頁には、混練粉
砕法、スプレードライ法などを用いた表面改質粒子の製
造方法が記載されている。また、たとえば、「微粒子工
学−分散の基礎と応用−」(社団法人日本粉体工業技術
協会編集;株式会社朝倉書店発行;1994年6月25日初版
第一刷)123頁〜136頁には、高速回転式衝撃粉砕
機や摩砕式ミル、ボールミル、ロールミル、媒体撹拌型
粉砕機、ジェットミルなどの乾式粉砕機を用いて、粉体
状の粒子表面に粉体状の異種成分(表面改質剤)を結合
させることにより、該粒子表面の性質が改質された被覆
型複合粒子を製造する方法が記載されている。
【0004】また、上記表面改質粒子の製造方法のう
ち、気相中にて表面改質を行う方法としては、表面改質
剤の蒸気を粒子表面上で凝縮させて被覆する方法があ
る。このような方法としては、たとえば、特開昭52−
9182号公報に開示されている集塵装置に用いられて
いる粉塵粒子の補集方法や、特開昭62−225926
号公報に開示されている粒子計測方法などが挙げられ、
さらに、特開平7−83820号公報にも同様の方法が
開示されている。上記各方法では、大きさがほぼ均一と
なった球状の表面改質粒子を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の表面改質粒子の製造方法では、粒子を表面改質剤で
処理する際に、撹拌翼などの撹拌装置を用いて粒子を撹
拌するので、該粒子が摩擦などによって帯電してしま
う。このため、得られる表面改質粒子の取り扱いが困難
となる。また、上記従来の表面改質粒子の製造方法で
は、表面改質処理に非常に長時間を要する。さらに、表
面改質処理を行う際の操作が煩雑であり、かつ、高価な
装置を用いなければならないという問題点を有してい
る。
【0006】また、上記気相中にて表面改質を行う方法
では、粒子径を単に増大させることを主たる目的として
おり、このため、常温で液体である水やアルコールを表
面改質剤として用いている。しかも、該表面改質粒子の
製造方法では、常温・常圧で固体である表面改質剤を粒
子表面に凝縮させることについては、特に考慮がなされ
ておらず、表面改質剤を必ず気化しなければならない。
そのため、表面改質剤としては、樹脂(重合体)などと
いった気化しない材質を用いることができず、用いる材
質が限定されるという問題点を招来している。
【0007】このように、上記従来の表面改質粒子の製
造方法では、常温・常圧で固体である表面改質剤を用い
て、粒子を帯電させることなく、しかも、簡便な装置お
よび操作で短時間で該粒子表面を処理することができな
い。それゆえ、常温・常圧で固体である表面改質剤を用
いて粒子を簡単に処理することができる表面改質粒子の
製造方法が嘱望されている。
【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、粒子を帯電させることな
く、しかも、簡便な装置および操作で短時間の処理で該
粒子表面に重合体からなる表面改質剤の膜を形成するこ
とができる表面改質粒子の製造方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
表面改質粒子の製造方法は、上記の課題を解決するため
に、表面の性質を改質すべき粒子に第一のモノマー成分
を含有させるとともに、上記第一のモノマー成分を含有
させた粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触
させることにより、粒子表面に該第二のモノマー成分を
付着させることによって、上記第一のモノマー成分と第
二のモノマー成分とを重合させて、粒子表面に重合体膜
を形成する表面改質粒子の製造方法であって、上記第一
のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方にスル
ホン酸ハライド基を2つ以上有する化合物を用いること
を特徴としている。
【0010】本発明の請求項2記載の表面改質粒子の製
造方法は、上記の課題を解決するために、表面の性質を
改質すべき粒子に第一のモノマー成分を含有させるとと
もに、上記第一のモノマー成分を含有させた粒子を、第
二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させることによ
り、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させること
によって、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成
分とを重合させて、粒子表面に重合体膜を形成する表面
改質粒子の製造方法であって、上記第一のモノマー成分
および第二のモノマー成分の一方にスルホン酸ハライド
基を2つ以上有する化合物を用いるとともに、他方にヒ
ドロキシル基を2つ以上有する化合物を用いることを特
徴としている。
【0011】本発明の請求項3記載の表面改質粒子の製
造方法は、上記の課題を解決するために、表面の性質を
改質すべき粒子に第一のモノマー成分を含有させるとと
もに、上記第一のモノマー成分を含有させた粒子を、第
二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させることによ
り、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させること
によって、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成
分とを重合させて、粒子表面に重合体膜を形成する表面
改質粒子の製造方法であって、上記第一のモノマー成分
および第二のモノマー成分の一方にスルホン酸ハライド
基を2つ以上有する化合物を用いるとともに、他方にメ
ルカプト基を2つ以上有する化合物を用いることを特徴
としている。
【0012】本発明の請求項4記載の表面改質粒子の製
造方法は、上記の課題を解決するために、表面の性質を
改質すべき粒子に第一のモノマー成分を含有させるとと
もに、上記第一のモノマー成分を含有させた粒子を、第
二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させることによ
り、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させること
によって、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成
分とを重合させて、粒子表面に重合体膜を形成する表面
改質粒子の製造方法であって、上記第一のモノマー成分
および第二のモノマー成分の一方にスルホン酸ハライド
基を2つ以上有する化合物を用いるとともに、他方に第
1級のアミノ基および/または第2級のアミノ基を2つ
以上有する化合物を用いることを特徴としている。
【0013】本発明の請求項5記載の表面改質粒子の製
造方法は、上記の課題を解決するために、表面の性質を
改質すべき粒子に第一のモノマー成分を含有させるとと
もに、上記第一のモノマー成分を含有させた粒子を、第
二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させることによ
り、粒子表面に該第二のモノマー成分を付着させること
によって、上記第一のモノマー成分と第二のモノマー成
分とを重合させて、粒子表面に重合体膜を形成する表面
改質粒子の製造方法であって、上記第一のモノマー成分
および第二のモノマー成分の一方にスルホン酸ハライド
基を2つ以上有する化合物を用いるとともに、他方に、
ヒドロキシル基、メルカプト基、第1級のアミノ基、お
よび第2級のアミノ基からなる群より選ばれる2種以上
の置換基をそれぞれ少なくとも1つ有する化合物を用い
ることを特徴としている。
【0014】上記請求項1ないし5に記載の方法によれ
ば、第二のモノマーの過飽和蒸気は、粒子と接触する
と、該粒子を核として凝集し、粒子表面に付着する。こ
こで、上記粒子はあらかじめ第一のモノマー成分を含有
しているため、表面を改質すべき該粒子の表面上には、
第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とが存在して
いることになる。これら第一のモノマー成分と第二のモ
ノマー成分とが互いに接触すると粒子表面上において重
合反応するため、上記粒子表面上には、第一および第二
のモノマー成分の重合体膜が形成され、表面の改質がな
される。
【0015】すなわち、上記方法では、撹拌翼などの撹
拌装置を用いて粒子を撹拌する従来の方法とは異なり、
粒子表面に表面改質剤を付着させる際に、該粒子が摩擦
などによって帯電するおそれがない。しかも、表面改質
剤である重合体膜の形成は、粒子を第二のモノマー成分
の過飽和蒸気と接触させることにより行うことができ
る。換言すれば、粒子表面上に表面改質剤(重合体)の
膜の形成を気相中で行うことができる。そのため、従来
の方法と比較して、粒子表面の改質をより簡便な操作で
かつ短時間に行うことができる。
【0016】従って、第一および第二のモノマー成分を
重合してなる重合体からなる表面改質剤の膜を粒子表面
に形成した表面改質粒子を簡単に製造することができ
る。また、例えば、粒子が常温・常圧で液体であって
も、簡便かつ容易に取り扱うことができる固体状の表面
改質粒子が得られる。つまり、液体状の粒子から固体と
して取り扱うことができる表面改質粒子を製造すること
ができる。
【0017】さらに、モノマー成分を適宜選択すること
によって、得られる表面改質粒子の使用目的に応じた表
面改質剤(重合体)の膜を形成することもできる。ま
た、所望の厚さの表面改質剤(重合体)の膜が形成され
た表面改質粒子を製造することができる。
【0018】その上、表面を改質すべき上記粒子の表面
上にて重合反応可能なモノマーであれば、さまざまな種
類のモノマーを選択することもできるので、表面改質剤
としてさまざまな種類の重合体を形成することが可能で
ある。従って、高機能を有する表面改質粒子を製造する
ことができる。
【0019】さらに、上記請求項1に記載の方法では、
第一のモノマー成分あるいは第二のモノマー成分に、反
応性に優れたスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化
合物を用いるので、他のモノマーよりも重合反応を迅速
化させることができるとともに、粒子表面上に、より簡
単に重合体膜を形成することができる。
【0020】その上、上記請求項2ないし5に記載の方
法では、上記第一のモノマー成分および第二のモノマー
成分の一方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化
合物を用いるとともに、他方に、スルホン酸ハライド基
との反応性に優れた置換基であるヒドロキシル基、メル
カプト基、第1級のアミノ基、および第2級のアミノ基
からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を合計
2つ以上有する化合物を用いる。
【0021】それゆえ、上記方法では、第一のモノマー
成分の官能基と第二のモノマー成分の官能基との反応性
に優れているため、他のモノマー同士の場合よりも重合
反応を迅速化させることができるとともに、粒子表面上
に、より簡単に重合体膜を形成することができる。
【0022】本発明の請求項6記載の表面改質粒子の製
造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1ない
し5の何れか1項に記載の方法において、粒子に第一の
モノマー成分を含有させる方法として、該粒子を第一の
モノマー成分の過飽和蒸気と接触させる方法を用いるこ
とを特徴としている。
【0023】上記請求項6記載の方法によれば、第一の
モノマー成分および第二のモノマー成分のどちらも過飽
和蒸気とし、それぞれの成分を粒子に接触させて凝縮さ
せることになる。そのため、従来の方法と比較して、粒
子表面上に重合体膜を形成する表面改質を、より簡便な
操作でかつ短時間に行うことができるとともに、性質を
改質すべき粒子の表面の状態にかかわらず好適に表面改
質剤となる重合体膜を形成することができる。
【0024】本発明の請求項7記載の表面改質粒子の製
造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1から
6の何れか1項に記載の方法において、上記第一または
第二のモノマー成分のうち、少なくとも第二のモノマー
成分が常温・常圧で液体であることを特徴としている。
【0025】上記請求項7記載の方法によれば、少なく
とも第二のモノマー成分が常温・常圧で液体であるた
め、第二のモノマー成分を過飽和蒸気とし易くすること
ができるとともに、表面改質を行う表面改質装置内に第
二のモノマー成分を導入し易くすることができる。
【0026】一方、第一のモノマー成分も常温・常圧で
液体であれば、第一のモノマー成分を粒子に含有させ易
くすることができるとともに、上記請求項6の方法のよ
うに、第一のモノマー成分を過飽和蒸気とする場合に、
蒸気化をし易くすることができる。
【0027】本発明の製造方法では、上記粒子が常温・
常圧で液体であり、該粒子表面に重合体膜を形成するこ
とが望ましい。これによれば、粒子表面上で第一のモノ
マー成分と第二のモノマー成分とを重合反応させて、該
粒子表面を被覆する重合体膜を形成することにより表面
改質を行う。そのため、該重合体膜がいわゆるカプセル
としての機能を備えることになるため、粒子が常温・常
圧で液体であっても、該粒子を封入することができる。
すなわち、常温・常圧で液体である粒子を含む固体状の
表面改質粒子を得ることができる。
【0028】本発明の製造方法では、粒子表面に重合体
膜を形成する上記工程を複数回繰り返すことが望まし
い。これによれば、重合体膜を形成する工程を繰り返す
ことにより、重合体膜の膜厚をより厚くすることができ
る。また、上記工程の繰り返し回数を適宜選択すること
により、重合体膜の膜厚を調節し、所望の膜厚の重合体
膜を形成することができる。
【0029】粒子表面に重合体膜を形成する上記複数回
の工程では、少なくとも2回の工程に、互いに異なる種
類のモノマーを用いてもよい。これによれば、粒子表面
に、互いに組成の異なる重合体膜を順次積層することが
できる。すなわち、粒子表面の性質を複数の表面改質剤
(重合体膜)にて改質することができるので、高機能を
有する表面改質粒子をより簡単に得ることができる。
【0030】本発明の製造方法では、上記粒子が第一の
モノマー成分のみからなっていてもよい。これによれ
ば、改めて表面を改質する粒子を用いなくても第一のモ
ノマー成分と第二のモノマー成分との重合体のみからな
る表面改質粒子を得ることができる。また、得られる表
面改質粒子はより均質な球状となるため、上記重合体か
らなる球状樹脂粒子をより簡単に得ることができる。
【0031】本発明の製造方法では、上記粒子が複数の
成分からなっていてもよい。これによれば、粒子が固体
・液体に関わらず複数の成分からなっているため、この
成分を適宜選択することにより、得られる表面改質粒子
の使用目的に応じた複数の機能を、該表面改質粒子に対
して簡単に付与することができる。
【0032】本発明の製造方法では、粒子を第一のモノ
マー成分または第二モノマー成分の過飽和蒸気と不活性
ガスとの存在下で接触させることが望ましい。これによ
れば、たとえば、不活性ガスを粒子のキャリアとして用
いることにより、該粒子の表面に重合体膜を形成する際
における、キャリアを要因とする粒子やモノマーの重合
反応に対する好ましくない反応や作用などを排除するこ
とができる。そのため、粒子表面の性質を表面改質剤
(重合体膜)によって、より一層充分に改質することが
できる。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明にかかる表面改質粒子の製
造方法は、第一のモノマー成分を含む粒子を第二のモノ
マー成分の過飽和雰囲気に曝し、該粒子に第二のモノマ
ー成分を凝縮させて粒子表面上で重合反応させることに
より重合体膜を形成することによって表面改質を行う方
法である。また、本発明にかかる表面改質粒子は、上記
の方法によって得られる構成である。
【0034】本発明にかかる粒子としては、特に限定さ
れるものではなく、無機化合物からなる粒子であっても
よく、有機化合物からなる粒子であってもよい。上記粒
子の形態としては、具体的には、たとえば、エアロゾル
粒子、ミスト粒子、ヒュームなどが挙げられるが、特に
限定されるものではない。なお、本実施の形態では、説
明の便宜上、表面改質がなされる上記粒子を被改質粒子
と称し、この被改質粒子の表面が改質されることによっ
て得られる本発明にかかる表面改質粒子と明確に区別す
る。
【0035】無機化合物からなる被改質粒子としては、
具体的には、たとえば、水からなる粒子(水滴);酸化
チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、シリ
カ、アルミナ、カオリン、硫化亜鉛、硫酸バリウム、水
酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、オーカー(黄
土)、黄鉛、紺青、群青、金、銀、銅、アルミニウム、
ステンレスなどの合金、マグネタイトブラックなどの、
金属または金属化合物からなる粒子;カーボンブラッ
ク、ガラスビーズ、セラミックスなどの無機化合物から
なる粒子;などが挙げられる。なお、カーボンブラック
は、コンタクト法やファーネス法、サーマル法などの方
法によって製造される。
【0036】有機化合物からなる被改質粒子としては、
たとえば、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水
素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽和
複素環式化合物、不飽和複素環式化合物などの有機化合
物からなる粒子;アゾレーキ顔料,不溶性アゾ顔料,縮
合アゾ顔料,キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロ
シアニン顔料,ペリレン顔料,ペリノン顔料,アントラ
キノン顔料,キナクリドン顔料,ジオキサジン顔料,チ
オインジゴ顔料,イソインドリノン顔料,キノフタロン
顔料などの多環式顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、ア
ニリンブラック、酸性染料型レーキ,塩基性染料型レー
キなどの染料レーキ、などの顔料からなる粒子;酸性染
料、塩基性染料、直接染料、反応性染料、分散性染料、
油性染料、食品用色素(着色料)、蛍光増白染料などの
染料からなる粒子;ポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ尿素樹脂、ポリウレタン
樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリス
チレン樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリアク
リル酸メチル樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合体、
ポリメタクリル酸メチル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ
樹脂、シリコーン樹脂などの合成樹脂からなる粒子;ア
スピリン、インドメタシン、イソプロテレノールなどの
医薬品からなる粒子;各種ラテックス、コーンスターチ
などのデンプン、α−ラクトースなどの糖類、グリセリ
ン、各種鉱油、カルナバワックスなどのパラフィン(ワ
ックス)類、などからなる粒子;などが挙げられる。
【0037】上記の飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族
炭化水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水
素、飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物
は、アミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、カルボニル
基、カルボキシル基、アルデヒド基、ハロゲン基、ハロ
ゲン化アシル基、イソシアネート基、ニトロ基、スルホ
ン酸基などの官能基;エステルなどの結合;を有してい
てもよく、また、カルボキシル基を複数有する場合に
は、酸無水物となっていてもよい。さらに、飽和複素環
式化合物、並びに不飽和複素環式化合物は、多環式化合
物であってもよい。
【0038】飽和脂肪族炭化水素としては、具体的に
は、たとえば、n−エイコサン、1−エイコサノール、
アセトアミド、アセチルアセトアミド、アセトキシ酢
酸、N−アセチルエチレンジアミン、1,4−シクロオ
クタンジオール、1,10−デカンジカルボン酸、1,
2−デカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、
デカン酸、ブタン二酸、グリオキシル酸1水和物、テト
ラハイドロジシクロペンタジエン、ステアリン酸、トリ
コサン酸メチル、1,3−ジクロロアセトン、ミリスチ
ン酸イソプロピル、[(1S)-endo]-(-)-ボルネオール、ビ
ス(ヒドロキシメチル)マロン酸ジエチルなどが挙げら
れる。不飽和脂肪族炭化水素としては、具体的には、た
とえば、2−ノルボルネンなどのオレフィン類が挙げら
れる。
【0039】飽和芳香族炭化水素としては、具体的に
は、たとえば、2−アセトナフトン、4−アセチルベン
ゾニトリル、2−アミノビフェニル、2−アミノ−
2’,5−ジクロロベンゾフェノン、デカフルオロベン
ゾフェノン、デカノフェノン、ナフタレン、2,4−ジ
ブロモアニリン、1,4−ナフトキノン、1,4−ジア
ミノアントラキノン、1−ナフトール、安息香酸、フル
オレンなどが挙げられる。不飽和芳香族炭化水素として
は、具体的には、たとえば、アセナフチレンなどが挙げ
られる。
【0040】飽和複素環式化合物としては、具体的に
は、たとえば、2−アセチル−5−ブロモチオフェン、
3−アセチル−2,4−ジメチルピロール、3−アミノ
−2−クロロピリジン、3−ヒドロキシ−2−ニトロピ
リジン、フルフリルスルフィド、2−焦性粘液酸、1,
2,4−トリアゾール、2−チオフェン酢酸、1−フェ
ニルピロールなどの、芳香族性を有する複素環式化合
物;3−アセチルクマリン、2−アミノベンゾチアゾー
ル、ジベンゾフラン、1,7−フェナントロリン、7,
8−ベンゾキノリン、ベンズイミダゾール、ベンゾフラ
ン−2−イル・メチルケトン、2−クロロキノリン、キ
ノキサリン、フェノチアジンなどの、多環式化合物;な
どが挙げられる。
【0041】要するに、たとえば、エアロゾル粒子やミ
スト粒子などの形態にすることができる有機化合物であ
れば、その構造に関わらず、本発明にかかる有機化合物
からなる被改質粒子として用いることができる。なお、
上記有機化合物において、「飽和」とは、芳香環および
複素環以外の炭素−炭素不飽和結合が存在しないことを
示し、「不飽和」とは、芳香環および複素環以外の炭素
−炭素不飽和結合が存在することを示す。
【0042】上記の化合物は、一種類のみを被改質粒子
として用いてもよく、また、二種類以上を被改質粒子と
して併用してもよい。本発明にかかる表面改質粒子の製
造方法においては、被改質粒子は、常温・常圧で固体で
あってもよく、液体であってもよい。つまり、本発明に
かかる表面改質粒子の製造方法においては、常温・常圧
で液体である化合物を被改質粒子として用いることがで
きる。それゆえ、固体・液体に関わらず、被改質粒子の
表面の性質を改質することができる。なお、本発明にお
いて「常温・常圧」とは、20℃・1気圧を示すことと
する。
【0043】上記被改質粒子が常温・常圧で液体である
場合であっても、該被改質粒子が固体である場合と同様
に、粒子表面上で第一のモノマー成分と第二のモノマー
成分とを重合反応させて、該粒子表面を被覆する重合体
膜を形成することにより表面改質を行うことができる。
そのため、該重合体膜がいわゆるカプセルとしての機能
を備えることになるため、常温・常圧で液体の被改質粒
子を封入した固体状の表面改質粒子を得ることができ
る。
【0044】本発明にかかる表面改質粒子においては、
後述する第一のモノマー成分のみを被改質粒子として用
いることができる。また、上述したように、被改質粒子
として二種類以上の化合物を併用してもよいため、表面
改質粒子の用途に応じて、上記第一のモノマー成分に対
して上記の化合物を適宜添加してもよい。このように、
被改質粒子を複数の成分で構成することにより、すなわ
ち、たとえば、二種類以上の化合物の混合物を被改質粒
子として用いるなど、被改質粒子として二種類以上の化
合物を併用することにより、複数の機能を有する化合物
を含む表面改質粒子を簡単に得ることができる。
【0045】また、二種類以上の化合物を併用する場合
においては、少なくとも一種類の化合物として水を用い
ることにより、水を含む表面改質粒子を得ることができ
る。さらに、二種類以上の化合物を併用する場合におい
ては、少なくとも一種類の化合物として顔料または染料
を用いることにより、所望の色に着色された表面改質粒
子を得ることができる。
【0046】なお、被改質粒子の一次粒子径や幾何平均
粒子径は、特に限定されるものではない。また、二種類
以上の化合物の混合物を被改質粒子として用いる場合に
おいては、該化合物は、固体同士の組み合わせであって
もよく、液体同士の組み合わせであってもよく、固体と
液体との組み合わせであってもよい。
【0047】上記化合物(または複数の化合物の混合
物)の被改質粒子を形成する方法としては、具体的に
は、たとえば、粉砕した後、分級する方法、溶剤
(後述する)に溶解させた後、該溶液をエアロゾル粒子
またはミスト粒子にする方法、溶剤に分散させた後、
該分散液をエアロゾル粒子またはミスト粒子とする方
法、気化させた後、該ガス(蒸気)を凝集させてヒュ
ームとする方法、などが挙げられるが、特に限定される
ものではない。
【0048】本発明にかかる表面改質粒子では、後述す
る第一のモノマー成分のみからなる被改質粒子を用いる
ことが可能であるが、この場合、上記第一のモノマー成
分が常温・常圧である場合、第一のモノマー成分のみか
らなる被改質粒子を形成する方法としては上記の方法
が好適に用いられる。しかしながら、第一のモノマー成
分を含む二種類以上の化合物を用いて被改質粒子を形成
する場合には、第一のモノマー成分以外の化合物の種類
に応じて、上記〜の方法を含む被改質粒子の形成方
法を適宜選択して用いることができる。
【0049】上記・の方法における溶剤としては、
具体的には、たとえば、水;メチルアルコール、エチル
アルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールな
どのアルコール類;グリセリン、エチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロ
ピレングリコールなどの多価アルコール類;メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;N
−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、γ−
ブチロラクトンなどの含窒素複素環式化合物;ヘキサ
ン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、
キシレンなどの芳香族炭化水素;N−メチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジ
エチルエーテルなどのエーテル類;ジエチルアミン、ト
リエチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルホキシド
などの含硫黄化合物;などが挙げられるが、特に限定さ
れるものではない。これら溶剤は、一種類のみを用いて
もよく、また、二種類以上を併用してもよい。なお、こ
れら溶剤は、被改質粒子を構成する化合物である。つま
り、本発明にかかる表面改質粒子の製造においては、こ
れら溶剤を含む混合物を被改質粒子として取り扱う。
【0050】本発明にかかる表面改質粒子は、上記被改
質粒子に第一のモノマー成分を含有させた後に、該被改
質粒子の表面上に第二のモノマー成分を凝縮させて樹脂
製の表面改質剤の膜を形成してなるものである。すなわ
ち、本発明にかかる表面改質粒子の製造方法は、2種類
のモノマー成分を用いて、該モノマー成分を被改質粒子
の表面で重合させることによって表面改質剤の重合体膜
を形成するものである。
【0051】上記表面改質粒子の製造方法では、被改質
粒子が摩擦などによって帯電するおそれがない上に、被
改質粒子の表面改質を気相中で行うことができる。その
ため、従来の方法と比較して、粒子表面の改質をより簡
便な操作でかつ短時間に行うことができる。
【0052】また、モノマー成分を適宜選択することに
よって、得られる表面改質粒子の使用目的に応じた表面
改質剤(重合体)の膜を形成することもできる。さら
に、上記被改質粒子の表面上にて重合反応可能なモノマ
ーであれば、さまざまな種類のモノマーを選択すること
もできるので、表面改質剤としてさまざまな種類の重合
体を形成することが可能である。
【0053】特に、上記被改質粒子としては、上述した
ように、第一のモノマー成分のみからなるものを用いる
ことができる。この場合、改めて被改質粒子として他の
化合物を用いなくても第一のモノマー成分と第二のモノ
マー成分との重合体のみからなる表面改質粒子を得るこ
とができる。また、得られる表面改質粒子はより均質な
球状となるため、上記重合体からなる球状樹脂粒子をよ
り簡単に得ることができる。
【0054】ここで、上記第一のモノマー成分とは、被
改質粒子に含有されているモノマー成分のことを示す。
また、第二のモノマー成分とは、上記第一のモノマー成
分を含有させた被改質粒子の表面上に凝縮させるモノマ
ー成分のことを示す。
【0055】本発明の表面改質粒子の製造方法では、上
記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方
に、スルホン酸ハライド基を2つ以上有する化合物を用
いる。第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の
他方に用いる化合物としては、被改質粒子の表面上にお
いてスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化合物と重
合可能な化合物であれば特に限定されるものではない
が、スルホン酸ハライド基と縮合反応し得る官能基を2
つ以上有する化合物であることが好ましい。
【0056】さらに、(1)上記第一のモノマー成分お
よび第二のモノマー成分の一方がスルホン酸ハライド基
を2つ以上有する化合物であり、他方がヒドロキシル基
を2つ以上有する化合物である組み合わせ(以下、組み
合わせAとする)、(2)上記第一のモノマー成分およ
び第二のモノマー成分の一方がスルホン酸ハライド基を
2つ以上有する化合物であり、他方がメルカプト基を2
つ以上有する化合物である組み合わせ(以下、組み合わ
せBとする)、(3)上記第一のモノマー成分および第
二のモノマー成分の一方がスルホン酸ハライド基を2つ
以上有する化合物であり、他方が第1級のアミノ基およ
び/または第2級のアミノ基を2つ以上有する化合物で
ある組み合わせ(以下、組み合わせCとする)、およ
び、(4)上記第一のモノマー成分および第二のモノマ
ー成分の一方がスルホン酸ハライド基を2つ以上有する
化合物であり、他方が、ヒドロキシル基、メルカプト
基、第1級のアミノ基、および第2級のアミノ基からな
る群より選ばれる2種以上の置換基をそれぞれ少なくと
も1つ有する化合物である組み合わせ(以下、組み合わ
せDとする)のいずれかであることが特に好ましい。
【0057】なお、本明細書において、「スルホン酸ハ
ライド基」とは、化学式−SO2 X(Xは、ハロゲン原
子、すなわち、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、また
はヨウ素を示す)で表される1価の基を指すものとす
る。従って、スルホン酸ハライド基を有する化合物は、
スルホン酸ハライドであるとも言える。
【0058】また、「第1級のアミノ基および/または
第2級のアミノ基を2つ以上有する化合物」とは、
(1)第1級のアミノ基を2つ以上有する化合物、
(2)第2級のアミノ基を2つ以上有する化合物、およ
び(3)第1級のアミノ基を少なくとも1つ有するとと
もに第2級のアミノ基を少なくとも1つ有する、つま
り、第1級のアミノ基と第2級のアミノ基とをそれぞれ
少なくとも1つ以上有する化合物の、計3種類の化合物
のことを指すものとする。
【0059】さらに、「第1級のアミノ基」とは、化学
式−NH2 で表される1価の基、すなわち、通常、単に
アミノ基と呼ばれている官能基を指すものとする。一
方、「第2級のアミノ基」とは、化学式−NHR(Rは
アルキル基などの置換基を示す)で表される1価の基を
指すものとする。すなわち、「第2級のアミノ基」と
は、第1級のアミノ基の2つの窒素−水素結合のうち、
1つの窒素−水素結合における水素がアルキル基などの
置換基に置換された官能基を示す。従って、第1級のア
ミノ基を有する化合物および第2級のアミノ基を有する
化合物は、それぞれ、第1級アミンおよび第2級アミン
であるとも言える。
【0060】上記スルホン酸ハライド基を2つ以上有す
る化合物(以下、化合物Sとする)としては、具体的に
は、たとえば、1,2−エタンジスルホニルクロライ
ド、1,3−プロパンジスルホニルクロライド、1,4
−ブタンジスルホニルクロライド、アセトンジスルホニ
ルクロライド、1,3−ベンゼンジスルホニルクロライ
ド、4,4’−ビフェニルジスルホニルクロライド、
4,4’−スチルベンジスルホニルクロライド、ピペラ
ジン−1,4−ビス(2−エタンスルホニルクロライ
ド)、2,4−メシチレンジスルホニルクロライド、
2,7−ジヒドロキシナフタレン−3,6−ジスルホニ
ルクロライド、ナフタレン−1,3,6−トリスルホニ
ルクロライド、2,4,5,6−テトラメチルベンゼン
ジスルホニルクロライド、ピペラジン−1,4−ビス
(2−ヒドロキシプロパンジスルホニルクロライド)な
どが挙げられる。
【0061】上記ヒドロキシル基を2つ以上有する化合
物(以下、化合物Aとする)としては、具体的には、た
とえば、エチレングリコール、グリセロール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ハイ
ドロキノン、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノー
ルA、2,5−ジヒドロキシトルエン、4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニル、1,4−ブタンジオールなどが挙
げられる。
【0062】上記メルカプト基を2つ以上有する化合物
(以下、化合物Bとする)としては、エタンジチオー
ル、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタンジチ
オール、1,10−デカンジチオール、1,4−ベンゼ
ンジチオール、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、
1,5−ジメルカプトナフタレン、2,3−ジメルカプ
トコハク酸、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チア
ジアゾール、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼ
ンなどが挙げられる。
【0063】上記第1級のアミノ基および/または第2
級のアミノ基を2つ以上有する化合物(以下、化合物C
とする)としては、具体的には、たとえば、1,3−ジ
アミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン、1,4−
ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、ジメチルピペラ
ジン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノ
ドデカン、尿素、チオ尿素、1,2−フェニレンジアミ
ン、1,2,4−トリアミノベンゼン、2,4−ジアミ
ノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、3,3’−ジ
アミノベンジジン、3,3’−ジアミノベンゾフェノ
ン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンなどが
挙げられる。
【0064】上記のヒドロキシル基、メルカプト基、第
1級のアミノ基、および第2級のアミノ基からなる群よ
り選ばれる2種以上の置換基をそれぞれ少なくとも1つ
有する化合物(以下、化合物Dとする)としては、具体
的には、たとえば、1,4−ジメルカプト−2,3−ブ
タンジオール、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジ
チオール、2−アミノ−4−クレゾール、4−アミノシ
クロヘキサノール、2−アミノエタンチオール、2−
(2−アミノエチルアミノ)エタノール、6−アミノ−
2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノ−5−メ
ルカプト−1,3,4−チアジアゾール、メルカプトエ
タノール、2−アミノベンゼンチオール、2−アミノフ
ェノールなどが挙げられる。
【0065】なお、化合物CおよびDにおける第2級の
アミノ基としては、モノアルキルアミノ基が特に好まし
い。モノアルキルアミノ基とは、第1級のアミノ基の2
つの窒素−水素結合のうち、1つの窒素−水素結合にお
ける水素がアルキル基に置換された官能基である。
【0066】また、上記化合物S、A、B、およびC
は、それぞれ、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化
水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、飽
和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物の何れ
かの化合物に対して、上述したスルホン酸ハライド基、
ヒドロキシル基、メルカプト基、またはハロゲン化アシ
ル基の各官能基をそれぞれ2つ以上導入した構造を有す
る化合物であってもよい。
【0067】同様に、上記化合物Dは、飽和脂肪族炭化
水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽和芳香族炭化水素、不
飽和芳香族炭化水素、飽和複素環式化合物、並びに不飽
和複素環式化合物の何れかの化合物に対して、ヒドロキ
シル基、メルカプト基、第1級のアミノ基、および第2
級のアミノ基からなる群より選ばれる2種以上の置換基
をそれぞれ少なくとも1つ導入した構造を有する化合物
であってもよい。
【0068】上記飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭
化水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香族炭化水素、
飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環式化合物は、
アミド基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシ
ル基、ハロゲン基、ニトロ基、スルホン酸基などの官能
基;エステルなどの結合;を有していてもよい。
【0069】なお、本明細書において、「炭化水素」と
は、一般に炭化水素と呼ばれている炭素原子および水素
原子のみからなる化合物(以下、純炭化水素と称する)
だけでなく、純炭化水素の誘導体を含むものとする。従
って、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、飽
和芳香族炭化水素、および不飽和芳香族炭化水素には、
一般に、飽和脂肪族炭化水素、不飽和脂肪族炭化水素、
飽和芳香族炭化水素、および不飽和芳香族炭化水素と呼
ばれる純炭化水素の誘導体、例えば、上記純炭化水素の
水素原子をアミド基、ヒドロキシル基、カルボニル基、
カルボキシル基、ハロゲン基、ニトロ基、スルホン酸基
などの官能基で置換した化合物;上記純炭化水素(但
し、2つ以上の炭素原子を有する)の炭素−炭素結合間
にエステル結合などの結合を挿入した化合物なども含ま
れる。
【0070】飽和脂肪族炭化水素としては、具体的に
は、たとえば、メタン、エタン、プロパン、2−プロパ
ノール、ブタン、2−ブタノン、ヘキサン、シクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサン、2−ヘキサノン、シクロ
ペンタノール、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、
ドデカン、ジプロピルアミン、酪酸、ペンタン酸、ピペ
ラジン、マレノニトリルなどが挙げられる。不飽和脂肪
族炭化水素としては、具体的には、たとえば、1,3−
シクロペンタジエン、シクロヘキセン、1−ヘプテンな
どが挙げられる。
【0071】飽和芳香族炭化水素としては、具体的に
は、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロ
ベンゼン、ニトロベンゼン、ベンゼンスルホン酸、エチ
ルベンゼン、3,3’−ジメチルビフェニル、ナフタレ
ン、ニトロトルエン、オクタフルオロビフェニル、フェ
ノール、ブロモベンゼン、トリフェニルメタン、ベンゾ
フェノン、アントラキノン、ジフェニルアミンサルフェ
ート、アニソール、安息香酸、安息香酸エチル、ジフェ
ニルメタン、フルオレン、ベンゾキノン、ベンズアミ
ド、チオベンズアミド、クメン、フェナントレン、6−
フェニルフェナントレン、スチルベン、ベンジジン、ズ
レン、フルオレン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、
ジフェニルスルホン、ベンゾイレン尿素などが挙げられ
る。
【0072】飽和複素環式化合物としては、具体的に
は、たとえば、1,2,4−トリアゾール、ベンゾチア
ゾール、ベンゾトリアゾール、フラン、アクリジン、プ
リン、2,4−ジヒドロキシピリミジンサルフェート、
2,6−ジメルカプトピリミジン、6−ヒドロキシ−2
−メルカプトピリミジン、5−ヒドロキシピラゾール、
ピリジン、6,7−ジイソプロピルプテリジンフォスフ
ェート、チオフェン、チオウラシル、1,3−ジメチル
ウラシル水和物などが挙げられる。
【0073】ここで、上述した飽和脂肪族炭化水素、不
飽和脂肪族炭化水素、飽和芳香族炭化水素、不飽和芳香
族炭化水素、飽和複素環式化合物、並びに不飽和複素環
式化合物がその構造に上記各官能基を含有している場合
は、該官能基を含めて構造中に2つ以上の官能基が含有
されているような構造であればよい。
【0074】たとえば、化合物Aについて考えると、該
化合物Aとしては、1,2−プロパンジオール、および
グリセロールを挙げることができる。これら各化合物
は、構造上、炭素数3の飽和脂肪族炭化水素である2−
プロパノールを基本構造としており、この2−プロパノ
ールの3つの炭素の何れか(または全て)にさらにヒド
ロキシル基が導入されていると考えることができる。換
言すれば、飽和脂肪族炭化水素である2−プロパノール
に対して、位置番号1の炭素に1つのヒドロキシル基が
新たに導入されたものが1,2−プロパンジオールであ
り、位置番号1および3の炭素にそれぞれ1つずつ、計
2つのヒドロキシル基が新たに導入されたものがグリセ
ロールであると見なすことができる。
【0075】また、例えば、化合物Cについて考える
と、該化合物Cとしては、1,2−フェニレンジアミ
ン、および1,2,4−トリアミノベンゼンを挙げるこ
とができる。これら各化合物は、構造上、炭素数6の飽
和芳香族炭化水素であるアニリンを基本構造としてお
り、このアニリンの6つの炭素の何れか(または全て)
にさらにヒドロキシル基が導入されていると考えること
ができる。換言すれば、飽和芳香族炭化水素であるアニ
リンに対して、位置番号2の炭素に1つのアミノ基(第
1級のアミノ基)が新たに導入されたものが1,2−フ
ェニレンジアミンであり、位置番号2および4の炭素に
それぞれ1つずつ、計2つのアミノ基(第1級のアミノ
基)が新たに導入されたものが1,2,4−トリアミノ
ベンゼンであると見なすことができる。
【0076】さらに、例えば、化合物Dについて考える
と、該化合物Dとしては、2−アミノベンゼンチオー
ル、および2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオ
ールを挙げることができる。これら各化合物は、構造
上、炭素数6の飽和芳香族炭化水素であるチオフェノー
ルを基本構造としており、このチオフェノールの6つの
炭素の何れか(または全て)にさらにアミノ基(第1級
のアミノ基)およびメルカプト基が導入されていると考
えることができる。換言すれば、飽和芳香族炭化水素で
あるチオフェノールに対して、位置番号2の炭素に1つ
のアミノ基(第1級のアミノ基)が新たに導入されたも
のが2−アミノベンゼンチオールであり、位置番号2お
よび5の炭素にそれぞれ1つずつ、計2つのアミノ基
(第1級のアミノ基)が新たに導入されるとともに、位
置番号4の炭素に1つのメルカプト基が新たに導入され
たものが2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオー
ルであると見なすことができる。
【0077】ただし、上記官能基を導入するという表現
は、付加反応や転移反応などにより、実際に上述した飽
和脂肪族炭化水素などの化合物の構造に化学反応的に官
能基を導入することではない。つまり、上述した化合物
に官能基を導入するという表現は、上記化合物S、A、
B、C、およびDの構造をより詳細に説明するための便
宜上の表現である。
【0078】なお、上記化合物S、A、B、C、および
Dとして用いられる化合物を製造するに当たり、上記飽
和脂肪族炭化水素などの化合物に上記官能基を導入する
ことが反応上可能であり、かつ、該官能基の導入による
化合物の製造において製造コストの低減や高品質の化合
物を得ることができるなどといった工業上有利な点があ
る場合は、上述した化合物に官能基を導入するという製
造方法が好適に用いられることは言うまでもない。
【0079】上記組み合わせA・B・C・Dにおける化
合物Sと化合物A・B・C・Dとは、どちらが第一のモ
ノマー成分であっても構わない。言い換えると、上記組
み合わせA・B・C・Dにおける化合物Sは、第一のモ
ノマー成分および第二のモノマー成分のいずれであって
もよい。上記第一および第二のモノマー成分の組み合わ
せとして、化合物Sと化合物A・B・C・Dとがそれぞ
れ用いられることによって、本発明にかかる表面改質粒
子を得ることができる。
【0080】なお、上記化合物S、A、B、C、および
Dとして挙げている化合物は、一種類のみをモノマー成
分として用いてもよく、また、二種類以上を用いてもよ
い。すなわち、第一および第二のモノマー成分を重合す
ることによって得られる表面改質剤の膜は、三種類以上
の化合物の重合によって得られる共重合体であってもよ
い。ただし、上記三種類以上の化合物は、第一のモノマ
ー成分および第二のモノマー成分のいずれかであるとと
もに、上記の2つの組み合わせA、B、C、またはDに
該当するものでなければならない。
【0081】本発明にかかる表面改質粒子の製造方法で
は、第一および第二のモノマー成分が、上記組み合わせ
A、B、C、またはDの化合物を用いている。そのた
め、第一のモノマー成分の官能基と第二のモノマー成分
の官能基との反応性が向上するので、他のモノマー同士
の場合よりも重合反応を迅速化することができるととも
に、被改質粒子の表面上に、より簡単に重合体膜を形成
することができる。
【0082】上記第一および第二のモノマー成分は常温
・常圧で液体であることが好ましい。これにより、モノ
マー成分を過飽和蒸気とし易くすることができるととも
に、表面改質を行う表面改質装置内にモノマー成分を導
入し易くすることができる。特に、第二のモノマーの場
合は、必ず過飽和蒸気とするために、常温・常圧で液体
であることが好ましい。また、第一のモノマー成分も常
温・常圧で液体であれば、第一のモノマー成分を被改質
粒子に含有させ易くすることができるという利点があ
る。
【0083】上記第一および第二のモノマー成分におい
ては、互いのモノマー成分が接触することによって重合
反応が進行するが、重合反応が進行しにくい場合には、
適宜触媒を用いて構わない。このように触媒を用いるこ
とで、重合反応を速やかに進行させることが可能とな
る。このときの触媒としては、常温・常圧で固体のもの
でも液体のものでも適宜選択して使用することができ
る。
【0084】上記触媒を、第一および第二のモノマー成
分の重合反応系に添加する手法としては、特に限定され
るものではないが、あらかじめ被改質粒子に含有させて
おく手法を用いることができる。この手法としては、上
述した、第一のモノマー成分を被改質粒子に含有させる
各方法を用いることができる。
【0085】上記第一および第二のモノマー成分の重合
反応では、上記触媒を用いることが好ましい。このとき
用いられる触媒としては、重合反応を阻害せず、かつ、
反応速度を増大させる正触媒であれば特に限定されるも
のではないが、たとえば、有機系の触媒としては、トリ
エチルアミン、トリエチレンジアミン、トリエタノール
アミンなどのアミン類;ピリジン、2,6−ジメチルピ
リジン、2,3,5,6−テトラメチルピリジン、ピラ
ジンなどの窒素含有複素環式化合物;などを挙げること
ができる。また、無機系の触媒としては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナト
リウム、酢酸カリウム、tert−ブトキシカリウムな
どのアルカリ金属塩;などを挙げることができる。
【0086】本発明にかかる表面改質粒子の製造方法で
は、上記被改質粒子に第一のモノマー成分を含有させる
が、この第一のモノマー成分の被改質粒子への添加方法
としては、たとえば、被改質粒子の表面上に第一のモノ
マー成分を凝縮させておき、さらに、第一のモノマー成
分が凝縮した被改質粒子の表面上に第二のモノマー成分
を凝縮させる凝縮法、および、固体または液体からなる
被改質粒子となる1種類以上の化合物に対して、第一の
モノマー成分を混合して混合物とし、この混合物を粒子
状に形成して被改質粒子とする混合法などが挙げられ
る。しかしながら、第一のモノマー成分の添加方法とし
ては、上記2つの方法に限定されるものではなく、被改
質粒子に重合可能な状態であるように第一のモノマー成
分が含まれる方法であればよい。
【0087】上記各添加方法のうち、凝縮法では、被改
質粒子上に第一のモノマー成分を凝縮させるため、被改
質粒子の表面の状態にかかわらず好適に表面改質剤とな
る重合体膜を形成することができる。しかしながら、第
二のモノマー成分も被改質粒子の表面上に凝縮させる必
要があるため、モノマー成分を凝縮させるための表面改
質装置が2つ必要となる。一方、混合法では、第二のモ
ノマー成分のみを凝縮させるため上記表面改質装置は1
つでよいが、被改質粒子となる化合物によっては第一の
モノマー成分を混合できない場合がある。そのため、第
一のモノマー成分を被改質粒子に添加する方法は、被改
質粒子として用いられる化合物の種類や得られる表面改
質粒子の使用用途などによって適宜選択すればよい。
【0088】上記被改質粒子を第一および/または第二
のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させて、被改質粒子
の表面に該モノマー成分を付着させる方法は特に限定さ
れるものではないが、被改質粒子をモノマー成分の過飽
和蒸気に曝すことによって被改質粒子の表面に該モノマ
ー成分を凝縮させる方法が好適である。具体的には、た
とえば、モノマー成分の飽和蒸気を満たした表面改質装
置内に被改質粒子を導入した後、該飽和蒸気を断熱膨
張させて過飽和蒸気を形成し、被改質粒子の表面に該モ
ノマー成分を凝縮させる方法、該飽和蒸気を過冷却状
態にして過飽和蒸気を形成し、被改質粒子の表面に該モ
ノマー成分を凝縮させる方法、或いは、モノマー成分
の飽和蒸気を満たした表面改質装置内に、冷却した(飽
和蒸気よりも低温の)被改質粒子を導入することによ
り、モノマー成分と被改質粒子との温度差を利用して被
改質粒子の表面に該モノマー成分を凝縮させる方法、な
どが挙げられるが、被改質粒子同士の凝集や、被改質粒
子の変質などを生じない条件下であればよく、特に限定
されるものではない。これにより、該被改質粒子の表面
に凝縮したモノマー成分の膜が形成される。
【0089】なお、このモノマー成分の膜が第一のモノ
マー成分の膜である場合、この第一のモノマー成分が被
改質粒子の表面に付着している状態としては、第一のモ
ノマー成分が後に凝縮する第二のモノマー成分と重合反
応できる状態である限り限定されるものではない。しか
しながら、第一のモノマー成分は粒子表面に単に付着し
ている状態が好ましい。第一のモノマー成分が反応など
によって結合している場合には、第二のモノマー成分と
の重合反応を阻害するおそれがあるので好ましくない。
【0090】そして、上記モノマー成分として、上述し
た組み合わせA・B・C・Dの選択、および組み合わせ
A、B、C、またはD内においての具体的な化合物の選
択により、得られる表面改質粒子に対して、種々の機能
を付与することができる。なお、被改質粒子の表面に常
温・常圧で固体である表面改質剤の重合体膜を形成する
ので、つまり、該粒子表面を被覆するように表面改質剤
の重合体膜を付着させるので、被改質粒子が常温・常圧
で液体であっても、該重合体膜がいわゆるカプセルとし
ての機能を備えて液体状の粒子を封入することができ
る。すなわち、常温・常圧で液体である粒子の表面を改
質することができる。
【0091】モノマー成分の過飽和蒸気を満たした表面
改質装置内に粒子を導入する方法は特に限定されるもの
ではないが、不活性ガスをキャリアとして用い、該不活
性ガスと共に被改質粒子を吹き込む方法が簡便である。
つまり、本発明にかかる表面改質粒子の製造方法におい
ては、被改質粒子をモノマー成分の過飽和蒸気と不活性
ガスとの存在下で接触させることができる。
【0092】該不活性ガスとしては、具体的には、たと
えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙
げられるが、特に限定されるものではなく、本発明にか
かる表面改質方法において用いる被改質粒子およびモノ
マー成分に対して不活性なガスであればよい。不活性ガ
スを被改質粒子のキャリアとして用いることにより、被
改質粒子の表面を改質する際における、キャリアを要因
とする被改質粒子やモノマー成分に対する好ましくない
反応(たとえば、被改質粒子の表面の酸化やモノマー成
分の変質など)や作用などを排除することができるの
で、被改質粒子の表面の性質をより一層良好に改質する
ことが可能となる。
【0093】被改質粒子の表面に付着した表面改質剤の
重合体膜は、表面改質処理の時間の経過と共に徐々に厚
くなる。したがって、被改質粒子の密度や過飽和蒸気の
濃度、処理時間、処理温度などの処理条件を適宜選択す
ることにより、上記重合体膜の厚さを調節することがで
きる。また、被改質粒子をモノマー成分の過飽和蒸気と
接触させる工程を複数回繰り返すことにより、該被改質
粒子の表面に、所望の厚さの表面改質剤の膜を形成する
ことができると共に、所望の粒子径の表面改質粒子を得
ることができる。すなわち、モノマー成分の過飽和蒸気
の濃度が比較的低い場合には、1回の工程で以て所望の
厚さの重合体膜を形成することができないおそれがある
が、上記工程を複数回繰り返すことにより膜厚を厚くす
ることができる。一方、表面改質剤の過飽和蒸気の濃度
が比較的高い場合には、該被改質粒子の表面に、1回の
工程で以て所望の厚さの表面改質剤の膜を形成すること
ができる。
【0094】また、粒子を表面改質剤の過飽和蒸気と接
触させる上記複数回の工程のうち、少なくとも2回の工
程に、互いに組成の異なる表面改質剤を用いることによ
り、該粒子表面に、互いに組成の異なる表面改質剤の膜
を順次積層させることができる。すなわち、粒子表面の
性質を複数の表面改質剤によって改質することができる
ので、高機能を有する表面改質粒子を簡単に得ることが
できる。
【0095】以上のように、本発明にかかる表面改質粒
子の製造方法は、被改質粒子に第一のモノマー成分を含
有させるとともに、上記第一のモノマー成分を含有させ
た被改質粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接
触させることにより、該被改質粒子の表面に該第二のモ
ノマー成分を付着させることによって、上記第一のモノ
マー成分と第二のモノマー成分とを重合させて、該被改
質粒子の表面に重合体膜を形成する工程を含む方法であ
る。
【0096】上記方法によれば、第二のモノマーの過飽
和蒸気は、被改質粒子と接触すると、該被改質粒子を核
として凝集し、その表面に付着する。ここで、上記被改
質粒子はあらかじめ第一のモノマー成分を含有している
ため、該被改質粒子の表面上には、第一のモノマー成分
と第二のモノマー成分とが存在している。上記各モノマ
ー成分は被改質粒子の表面上において重合反応するた
め、被改質粒子の表面上には、第一および第二のモノマ
ー成分の重合体膜が形成され、表面の改質がなされる。
【0097】すなわち、上記方法では、撹拌翼などの撹
拌装置を用いて被改質粒子を撹拌する従来の方法とは異
なり、被改質粒子の表面に表面改質剤を付着させる際
に、該被改質粒子が摩擦などによって帯電するおそれが
ない。しかも、表面改質剤である重合体膜の形成は、被
改質粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気と接触させ
ることにより行うことができる。そのため、従来の方法
と比較して、被改質粒子の表面の改質をより簡便な操作
でかつ短時間に行うことができる。
【0098】また、モノマー成分を適宜選択することに
よって、得られる表面改質粒子の使用目的に応じた表面
改質剤(重合体)の膜を形成することもできる。さら
に、被改質粒子の表面上にて重合反応可能なモノマーで
あれば、さまざまな種類のモノマーを選択することもで
きるので、表面改質剤としてさまざまな種類の重合体を
形成することが可能である。
【0099】上記表面改質粒子の製造方法においては、
(1)上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成
分の一方がスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化合
物であり、他方がヒドロキシル基を2つ以上有する化合
物である組み合わせA、(2)上記第一のモノマー成分
および第二のモノマー成分の一方がスルホン酸ハライド
基を2つ以上有する化合物であり、他方がメルカプト基
を2つ以上有する化合物である組み合わせB、(3)上
記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一方
がスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化合物であ
り、他方が第1級のアミノ基および/または第2級のア
ミノ基を2つ以上有する化合物である組み合わせC、お
よび、(4)上記第一のモノマー成分および第二のモノ
マー成分の一方がスルホン酸ハライド基を2つ以上有す
る化合物であり、他方が、ヒドロキシル基、メルカプト
基、第1級のアミノ基、および第2級のアミノ基からな
る群より選ばれる2種以上の置換基をそれぞれ少なくと
も1つ有する化合物である組み合わせDのいずれかであ
ることが好ましい。
【0100】第一および第二のモノマー成分の組み合わ
せが上記何れかの組み合わせであれば、第一のモノマー
成分の官能基と第二のモノマー成分の官能基との反応性
が向上する。そのため、他のモノマー同士の場合よりも
重合反応を迅速化することができるとともに、被改質粒
子の表面上に、より簡単に重合体膜を形成することがで
きる。特に、上記各モノマー成分が液体であれば、蒸気
化したり、被改質粒子に含有させ易くしたりすることが
できるため好ましい。
【0101】さらに、上記被改質粒子が常温・常圧で液
体であってもよく、第一のモノマー成分のみからなって
いてもよい。さらに、被改質粒子は複数の成分からなっ
ていてもよい。本発明にかかる表面改質粒子の製造方法
では、被改質粒子としてさまざまな物質を用いることが
可能であるため、使用目的に応じた機能を備える表面改
質粒子を簡単に得ることができる。
【0102】加えて、本発明にかかる表面改質粒子の製
造方法は、重合体膜を形成する工程を複数回繰り返すこ
とが可能である。それゆえ、重合体膜を形成する工程の
繰り返し回数を適宜選択することにより、重合体膜の膜
厚を調節し、所望の膜厚の重合体膜を形成することがで
きる。また、工程毎に異なる種類のモノマーを用いれ
ば、被改質粒子の表面の性質を複数の表面改質剤(重合
体膜)にて改質することができるので、高機能を有する
表面改質粒子をより簡単に得ることができる。
【0103】また、以上のように、本発明にかかる表面
改質粒子は、上記の方法によって得られる構成である。
これにより、第一および第二のモノマー成分を重合して
なる重合体からなる表面改質剤の膜を被改質粒子の表面
に形成した表面改質粒子を簡単に提供することができ
る。また、たとえば、被改質粒子が常温・常圧で液体で
あっても、表面改質粒子が固体状であるので、簡便かつ
容易に取り扱うことができる。つまり、液体状の被改質
粒子を固体として取り扱うことができる表面改質粒子を
提供することができる。また、所望の厚さの表面改質剤
(重合体)の膜が形成された表面改質粒子、並びに、高
機能を有する表面改質粒子を提供することができる。
【0104】本発明にかかる表面改質粒子は、医薬品、
化粧品、塗料、印刷インキ、トナー(現像剤)、セラミ
ックス、電子材料などの各種用途に好適に用いられる。
【0105】上記構成の被改質粒子並びに表面改質剤を
用いた表面改質粒子の製造方法に好適に供される表面改
質装置の一例について、図1ないし図2に基づいて説明
すれば、以下の通りである。
【0106】図1に示すように、表面改質装置1は、基
台9上に立設された改質塔2を備えている。該改質塔2
は、上下方向に延びる細長い円柱形状をなし、セラミッ
クスや不織布などの多孔質材料からなる内壁部2aと、
ステンレスなどからなる外壁部2bとで構成されてお
り、内部が密閉可能な表面改質処理空間となっている。
上記内壁部2aにはモノマー成分があらかじめ付着また
は含浸されており、これにより、内壁部2aは、改質塔
2内部の温度並びに圧力が調節されることにより、モノ
マー成分の過飽和蒸気を発生するようになっている。な
お、改質塔2の形状は、特に限定されるものではない
が、本表面改質装置を用いて表面改質処理を効率的に行
うには、横長形状よりも上記縦長形状であることがより
好ましい。
【0107】改質塔2には、改質塔2内部に被改質粒子
を供給する粒子供給管4、改質塔2内部から表面改質粒
子を取り出す粒子取出管5、および、改質塔2内部を加
圧または減圧することによって所定の圧力に調節する圧
力調節管6が接続されている。粒子供給管4は、バルブ
11を介して図示しない粒子供給装置に接続されてい
る。そして、粒子供給管4は、被改質粒子と共に、必要
に応じて不活性ガスを改質塔2内部に供給するようにな
っている。粒子取出管5は、バルブ13を介して図示し
ない粒子回収装置に接続されている。圧力調節管6に
は、改質塔2内部の圧力を測定する圧力計16が取り付
けられている。圧力調節管6は、バルブ15を介して図
示しない加圧・減圧装置に接続されている。
【0108】改質塔2の外周部には、改質塔2内部を加
熱するために、リボンヒータなどからなる加熱装置7が
螺旋状に巻回されて取り付けられている。また、改質塔
2の上方部には、改質塔2内部の温度を測定する温度計
8が取り付けられている。改質塔2の下方部には、改質
塔2内部の表面改質粒子の粒子径を光学的に測定する従
来周知の光学測定装置3が設けられている。したがっ
て、表面改質装置1は、主に、上記の改質塔2、光学測
定装置3、図示しない粒子供給装置、粒子回収装置、加
圧・減圧装置などで構成されている。
【0109】上記の光学測定装置3は、筐体3hの内部
に、光源3a、レンズ3b・3c、遮光板3d、ガラス
などからなる改質塔2との仕切り板である透光板3e・
3f、光検出部3gなどが配設されることによって構成
されている。光学測定装置3は、光源3aから出射され
た光を、レンズ3b・3c、遮光板3dの開口部、透光
板3e、改質塔2内部、および透光板3fを経て光検出
部3gに入射させるようになっている。光源3aから出
射された光は、改質塔2内部の表面改質粒子によって散
乱および減光することにより、その光量が変化する。こ
れにより、光学測定装置3は、入射された光量に応じて
光検出部3gから出力される信号に基づいて、表面改質
粒子の粒子径を測定するようになっている。光学測定装
置3を用いて表面改質粒子の粒子径を測定することによ
り、被改質粒子の表面に形成される重合体からなる重合
体の膜の厚さを制御することができる。なお、上記の光
学測定装置3は、光透析・散乱法を採用して粒子径を測
定する構成となっているが、測定法は特に限定されるも
のではなく、たとえば、X線透過法、沈降法、レーザ回
折・散乱法、動的散乱を利用した光子相関法などを採用
することもできる。また、光学的に測定する方法以外
に、光学顕微鏡や電子顕微鏡を使用する画像処理解析法
などを採用することもできる。
【0110】上記構成の表面改質装置1を用いて被改質
粒子の表面改質を行うには、まず、改質塔2を密閉して
表面改質処理空間を形成し、圧力調節管6を用いて改質
塔2内部を所定の圧力に調節した後、加熱装置7を用い
て内壁部2aにあらかじめ付着または含浸された第二の
モノマー成分の飽和蒸気を発生させる。次に、改質塔2
内部に粒子供給管4を介して被改質粒子を、必要に応じ
て不活性ガスをキャリアとして用いて供給(導入)す
る。次いで、圧力調節管6を用いて改質塔2内部を減圧
状態とすることにより、第二のモノマー成分の飽和蒸気
を断熱膨張させて過飽和蒸気を形成し、被改質粒子の表
面に該第二のモノマー成分を凝縮させて、被改質粒子に
含有されている第一のモノマー成分と重合させる。そし
て、光学測定装置3を用いて表面改質粒子の粒子径を測
定することによって被改質粒子の表面に形成される重合
体の膜の厚さを制御し、所望の厚さの該膜が形成された
時点で、粒子取出管5を介して改質塔2内部から表面改
質粒子を取り出す。これにより、所望の厚さの重合体の
膜が形成された表面改質粒子、すなわち、本発明にかか
る表面改質粒子を簡単に製造することができる。上記の
表面改質装置1を用いて被改質粒子の表面改質を行う際
には、装置内を、たとえばキャリアとして用いる不活性
ガスなどの清浄ガスであらかじめ置換しておくことが望
ましい。
【0111】また、第一のモノマー成分も過飽和蒸気と
して被改質粒子の表面上に凝集させる場合は、上記構成
の表面改質装置1を2つ使用すればよい。具体的には、
図2に示すように、2つの表面改質装置1a・1bを連
結すればよい。すなわち、第一の表面改質装置1aの粒
子取出管5と、第二の表面改質装置1bの粒子供給管4
とを連結して、第一の表面改質装置1aから取り出され
た第一のモノマー成分が凝縮した被改質粒子を、第二の
表面改質装置1bに供給して第二のモノマー成分を凝縮
させて重合し、表面改質粒子を製造すればよい。これに
より、表面改質粒子をより簡単に製造することができ
る。上記の表面改質装置1a・1bを用いて被改質粒子
の表面改質を行う際には、両装置内を、たとえばキャリ
アとして用いる不活性ガスなどの清浄ガスであらかじめ
置換しておくことが望ましい。
【0112】次に、上記構成の被改質粒子並びに第一・
第二のモノマー成分を用いた表面改質粒子の製造方法に
好適に供される表面改質装置の他の例について、図3な
いし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。な
お、説明の便宜上、前記の表面改質装置1が備える構成
と同一の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、
その説明を省略する。
【0113】図3に示すように、表面改質装置21は、
蒸気発生部22aおよび混合部22bからなる改質塔2
2、光学測定装置3・3を備えており、表面改質粒子を
連続的に製造することができるようになっている。該蒸
気発生部22aは、水平方向に延びる細長い円柱形状ま
たは角柱形状をなし、内壁部2aと外壁部2bとで構成
されており、内部がモノマー成分蒸気発生空間となって
いる。蒸気発生部22aの外周部には、加熱装置7が螺
旋状に巻回されて取り付けられている。また、蒸気発生
部22aの上方部には、温度計8が取り付けられてい
る。なお、蒸気発生部22aの形状は、特に限定される
ものではないが、本表面改質装置21を用いて表面改質
処理を効率的に行うには、縦長形状よりも上記横長形状
であることがより好ましい。
【0114】蒸気発生部22aの長手方向に延びる上記
のモノマー成分蒸気発生空間は、蒸気発生部22aの軸
方向に対して上下方向に傾斜したたとえば円柱穴形に形
成されている。また、蒸気発生部22a内部における下
方側端部には、たとえば加熱によって溶解したモノマー
成分20を貯留するための貯留部2cが形成されてい
る。そして、蒸気発生部22a内部が傾斜しているの
で、内壁部2aにあらかじめ付着または含浸されている
モノマー成分20は、過飽和蒸気を発生すると共に、溶
解するとその一部が貯留部2cに流れ込む。さらに、蒸
気発生部22a内部における下方側端部には、必要に応
じて不活性ガスなどの清浄ガスを改質塔22内部に供給
する清浄ガス供給管2dが接続されている。清浄ガス供
給管2dは、バルブ2eを介して図示しない清浄ガス供
給装置に接続されている。なお、内壁部2aにモノマー
成分をあらかじめ付着または含浸させる代わりに、貯留
部2cにモノマー成分をあらかじめ貯留することもでき
る。
【0115】蒸気発生部22a内部における上方側端部
には、上下方向に延びる細長い円柱形状をなす混合部2
2bが接続されている。混合部22bは、ステンレスな
どからなる混合管29と、該混合管29の外周部に設け
られた冷却管30とで構成されており、内部が表面改質
処理空間となっている。表面改質処理空間は、モノマー
成分蒸気発生空間と連通している。混合部22bの上方
部には、温度計8が取り付けられている。そして、蒸気
発生部22aと混合部22bとの接続部近傍には、粒子
供給管4がその開口部を上にした状態で混合管29に接
続されている。一方、混合部22bの上方側端部は、改
質塔22内部の表面改質粒子の粒子径を光学的に測定す
る光学測定装置3、および粒子取出管5を介して図示し
ない粒子回収装置に接続されている。
【0116】粒子供給管4は、改質塔22に供給される
被改質粒子の粒子径を光学的に測定する光学測定装置
3、およびバルブ2fを介して図示しない粒子供給装置
に接続されている。粒子供給管4には、温度計8と、被
改質粒子の温度を調節するためのリボンヒータなどから
なる加熱装置23が螺旋状に巻回されて取り付けられて
いる。なお、表面改質装置21が備えるその他の構成
は、前記の表面改質装置1が備える構成と同一である。
【0117】上記構成の表面改質装置21を用いて被改
質粒子の表面改質を行うには、まず、改質塔22内に第
二のモノマー成分の蒸気を発生させる空間を形成した
後、加熱装置7を用いて内壁部2aにあらかじめ付着ま
たは含浸された第二のモノマー成分の飽和蒸気を発生さ
せる。蒸気発生部22aで発生した該飽和蒸気は、第二
のモノマー成分蒸気発生空間と連通している表面改質処
理空間である混合管29内部に、清浄ガス供給管2dか
ら供給される清浄ガス(キャリア)によって導入され
る。次に、混合部22bにおける該混合管29内部に粒
子供給管4を介して被改質粒子を、必要に応じて不活性
ガスと共に供給(導入)する。次いで、冷却管30を用
いて混合管29を冷却することにより、第二のモノマー
成分の飽和蒸気を過冷却状態にして過飽和蒸気を形成
し、被改質粒子の表面に該モノマー成分を凝縮させ、被
改質粒子に含有されている第一のモノマー成分と重合さ
せる。そして、光学測定装置3を用いて表面改質粒子の
粒子径を測定することによって被改質粒子の表面に形成
される重合体の膜の厚さを制御し、所望の厚さの該膜が
形成された時点で、粒子取出管5を介して混合管29か
ら表面改質粒子を取り出す。粒子径、すなわち、重合体
の膜の厚さは、蒸気発生部22aの加熱温度、清浄ガス
(キャリア)の流速、被改質粒子の温度、および、混合
部22bの温度などを適宜設定することによって、容易
に制御することができる。また、混合部22bにおい
て、被改質粒子を第二のモノマー成分の過飽和蒸気に曝
す時間は、清浄ガス(キャリア)の流速、および、混合
管29の長さなどを適宜設定することによって、容易に
調節することができる。
【0118】これにより、所望の厚さの重合体の膜が形
成された表面改質粒子、すなわち、本発明にかかる表面
改質粒子を簡単にかつ連続的に製造することができる。
上記の表面改質装置21を用いて被改質粒子の表面改質
を行う際には、装置内を、たとえばキャリアとして用い
る不活性ガスなどの清浄ガスであらかじめ置換しておく
ことが望ましい。
【0119】なお、上記構成の表面改質装置21を用い
て被改質粒子の表面改質を行うに当たっては、混合管2
9内部に被改質粒子を供給した後、冷却管30を用いて
混合管29を冷却する代わりに、被改質粒子を必要に応
じて不活性ガスと共に冷却して(飽和蒸気よりも低温に
して)混合管29内部に導入することにより、モノマー
成分と被改質粒子との温度差を利用して被改質粒子の表
面に該モノマー成分を凝縮させることもできる。
【0120】また、第一のモノマー成分も過飽和蒸気と
して被改質粒子の表面上に凝集させる場合は、上記構成
の表面改質装置21を2つ使用すればよい。具体的に
は、図4に示すように、2つの表面改質装置21a・2
1bを連結すればよい。すなわち、第一の表面改質装置
21aの粒子取出管5(図4には図示せず)と、第二の
表面改質装置21bの粒子供給管4とを連結して、第一
の表面改質装置21aから取り出された第一のモノマー
成分が凝縮した被改質粒子を、第二の表面改質装置21
bに供給して表面改質粒子を製造すればよい。これによ
り、表面改質粒子を連続的に製造することができる。な
お、2つの表面改質装置21a・21bを連結して使用
する場合には、両装置21a・21bの連結部位におけ
る光学測定装置3・3のうちの1つを省略することがで
きる。上記の表面改質装置21a・21bを用いて被改
質粒子の表面改質を行う際には、両装置内を、たとえば
キャリアとして用いる不活性ガスなどの清浄ガスであら
かじめ置換しておくことが望ましい。
【0121】さらに、図2または図4に示すような表面
改質装置1または21を2つ連結させたものを1つのユ
ニットとし、さらに、このユニットを複数連結してもよ
い。このとき、各ユニットにおいては、それぞれ異なる
モノマー成分を用いてもよいし、同一のモノマー成分を
用いてもよい。異なるモノマー成分を用いる場合では、
被改質粒子の表面上に複数の重合体の膜を形成すること
ができる。一方、同一のモノマー成分を用いる場合で
は、重合体の膜厚をより厚くすることが可能である。
【0122】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0123】〔実施例1〕第一のモノマー成分として、
1,4−ブタンジスルホニルクロライドを図2に示す表
面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6によ
って加圧後、加熱装置7で473Kまで加熱して1,4
−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被改
質粒子としては、1次粒子径が0.5μmの酸化チタン
粒子を用い、この被改質粒子を窒素ガスとともに粒子供
給管4から改質塔2内の1,4−ブタンジスルホニルク
ロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内に
おいて、1,4−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を
断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に
曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,4−
ブタンジスルホニルクロライドを凝縮させた。
【0124】一方、第二のモノマー成分として、1,6
−ヘキサンジオールを図2に示す表面改質装置1bの改
質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装
置7で453Kまで加熱して1,6−ヘキサンジオール
蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記1,4−ブ
タンジスルホニルクロライドを表面上に凝縮させた被改
質粒子を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から
改質塔2内の1,6−ヘキサンジオール蒸気雰囲気中に
導入した。次に、改質塔2内において、1,6−ヘキサ
ンジオール蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を
15分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子
の表面上で1,4−ブタンジスルホニルクロライドと
1,6−ヘキサンジオールとの間に重合反応が生じ、
1,4−ブタンジスルホニルクロライド−1,6−ヘキ
サンジオール共重合体の膜が形成された。
【0125】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(1)を得た。この表面改質粒子
(1)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、
1次粒子径が2μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子
であった。
【0126】〔実施例2〕まず、第一のモノマー成分と
して1,4−ベンゼンチオールを用い、該1,4−ベン
ゼンチオールと触媒としてのトリエチルアミンとを混合
して幾何平均粒子径1μmの被改質粒子を形成した。次
に、第二のモノマー成分として、1,4−ブタンジスル
ホニルクロライドを図1に示す表面改質装置1の改質塔
2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7
で473Kまで加熱して1,4−ブタンジスルホニルク
ロライド蒸気を生成した。そして、上記被改質粒子をア
ルゴンガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,
4−ブタンジスルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入
した。次に、改質塔2内において、1,4−ブタンジス
ルホニルクロライド蒸気を断熱膨張させ、導入した被改
質粒子を15分間該蒸気中に曝した。これによって、被
改質粒子の表面上に1,4−ブタンジスルホニルクロラ
イドを凝縮させた。
【0127】凝縮した1,4−ブタンジスルホニルクロ
ライドと被改質粒子に含有されている1,4−ベンゼン
チオールとの間に、該被改質粒子中に含有されているト
リエチルアミンを触媒として重合反応が生じ、被改質粒
子の表面上に1,4−ベンゼンチオール−1,4−ブタ
ンジスルホニルクロライド共重合体の膜が形成された。
この共重合体の膜の形成により、本発明にかかる表面改
質粒子(2)を得た。この表面改質粒子(2)の粒子径
を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が
1.5μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であっ
た。
【0128】〔実施例3〕まず、第一のモノマー成分と
して4,4’−スチルベンジスルホニルクロライドを用
い、該4,4’−スチルベンジスルホニルクロライドと
フタロシアニン顔料であるC.I.Pigment Blue 199(商品
名、日本チバガイギー株式会社製)とを混合して幾何平
均粒子径1μmの被改質粒子を形成した。次に、第二の
モノマー成分として、ジエチレングリコールを図2に示
す表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6
によって加圧後、加熱装置7で443Kまで加熱してジ
エチレングリコール蒸気を生成した。
【0129】そして、上記被改質粒子を窒素ガスととも
に粒子供給管4から改質塔2内のジエチレングリコール
蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、
ジエチレングリコール蒸気を断熱膨張させ、導入した被
改質粒子を15分間該蒸気中に曝した。これによって、
被改質粒子の表面上にジエチレングリコールを凝縮させ
た。
【0130】一方、触媒としてのトリエチルアミンを図
2に示す表面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調
節管6によって加圧後、加熱装置7で353Kまで加熱
してトリエチルアミン蒸気を生成した。そして、ジエチ
レングリコールを表面上に凝縮させた上記被改質粒子
を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔
2内のトリエチルアミン蒸気雰囲気中に導入した。次
に、改質塔2内において、トリエチルアミン蒸気を断熱
膨張させ、導入した被改質粒子を20分間該蒸気中に曝
した。これによって、ジエチレングリコールを表面上に
凝縮させた上記被改質粒子の表面上にトリエチルアミン
を凝縮させた。
【0131】これにより、被改質粒子の表面上に凝縮し
たジエチレングリコールと被改質粒子に含有されている
4,4’−スチルベンジスルホニルクロライドとの間
に、被改質粒子の表面上に凝縮したトリエチルアミンを
触媒として重合反応が生じ、C.I.Pigment Blue 199 粒
子の表面上に4,4’−スチルベンジスルホニルクロラ
イド−ジエチレングリコール共重合体の膜が形成され
た。この共重合体の膜の形成により、本発明にかかる表
面改質粒子(3)を得た。すなわち、上記実施例1と同
様の方法で表面改質粒子(3)を得た。この表面改質粒
子(3)の粒子径を光学測定装置3にて測定したとこ
ろ、1次粒子径が2μmでほぼ大きさがそろった均質な
粒子であった。
【0132】〔実施例4〕まず、第一のモノマー成分と
しての1,4−ハイドロキノンとトリエチレンジアミン
とをエタノールに溶解した溶液を用いて幾何平均粒子径
1μmの被改質粒子を形成した。次に、第二のモノマー
成分として、1,3−プロパンジスルホニルクロライド
を図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力
調節管6によって加圧後、加熱装置7で463Kまで加
熱して1,3−プロパンジスルホニルクロライド蒸気を
生成した。そして、上記被改質粒子をアルゴンガスとと
もに粒子供給管4から改質塔2内の1,3−プロパンジ
スルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、
改質塔2内において、1,3−プロパンジスルホニルク
ロライド蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を1
5分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の
表面上に1,3−プロパンジスルホニルクロライドを凝
縮させた。
【0133】凝縮した1,3−プロパンジスルホニルク
ロライドと被改質粒子に含有されている1,4−ハイド
ロキノンとの間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面上
に1,4−ハイドロキノン−1,3−プロパンジスルホ
ニルクロライド共重合体の膜が形成された。この共重合
体の膜の形成により、本発明にかかる表面改質粒子
(4)を得た。この表面改質粒子(4)の粒子径を光学
測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が1.7μ
mでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0134】〔実施例5〕第一のモノマー成分として、
1,4−ブタンジスルホニルクロライドを図2に示す表
面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6によ
って加圧後、加熱装置7で473Kまで加熱して1,4
−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被改
質粒子としては、上記実施例1で得られた表面改質粒子
(1)(1次粒子径が2μm)を用い、この表面改質粒
子(1)を窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2
内の1,4−ブタンジスルホニルクロライド蒸気雰囲気
中に導入した。次に、改質塔2内において、1,4−ブ
タンジスルホニルクロライド蒸気を断熱膨張させ、導入
した表面改質粒子(1)を2分間該蒸気中に曝した。こ
れによって、表面改質粒子(1)の表面上にさらに1,
4−ブタンジスルホニルクロライドを凝縮させた。
【0135】一方、第二のモノマー成分として、1,6
−ヘキサンジオールを図2に示す表面改質装置1bの改
質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装
置7で453Kまで加熱して1,6−ヘキサンジオール
蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記1,4−ブ
タンジスルホニルクロライドを表面上に凝縮させた表面
改質粒子(1)を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給
管4から改質塔2内の1,6−ヘキサンジオール蒸気雰
囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、1,6
−ヘキサンジオール蒸気を断熱膨張させ、導入した表面
改質粒子(1)を18分間該蒸気中に曝した。これによ
って、表面改質粒子(1)の表面上で、さらに、1,4
−ブタンジスルホニルクロライドと1,6−ヘキサンジ
オールとの間に重合反応が生じ、1,4−ブタンジスル
ホニルクロライド−1,6−ヘキサンジオール共重合体
の膜が形成された。
【0136】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(5)を得た。すなわち、上記実施
例1と同様の方法で表面改質粒子(5)を得た。この表
面改質粒子(5)の粒子径を光学測定装置3にて測定し
たところ、1次粒子径が3.5μmでほぼ大きさがそろ
った均質な粒子であった。
【0137】〔実施例6〕第一のモノマー成分として、
2,4−メシチレンジスルホニルクロライドを図2に示
す表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6
によって加圧後、加熱装置7で493Kまで加熱して
2,4−メシチレンジスルホニルクロライド蒸気を生成
した。被改質粒子としては、上記実施例3で得られた表
面改質粒子(3)(1次粒子径が2μm)を用い、この
表面改質粒子(3)を窒素ガスとともに粒子供給管4か
ら改質塔2内の2,4−メシチレンジスルホニルクロラ
イド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内におい
て、2,4−メシチレンジスルホニルクロライド蒸気を
断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(3)を3分間該
蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子(3)の
表面上にさらに2,4−メシチレンジスルホニルクロラ
イドを凝縮させた。
【0138】一方、第二のモノマー成分として、1,4
−ベンゼンチオールを図2に示す表面改質装置1bの改
質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装
置7で463Kまで加熱して1,4−ベンゼンチオール
蒸気を生成した。粒子としては、上記2,4−メシチレ
ンジスルホニルクロライドを表面上に凝縮させた粒子
を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔
2内の1,4−ベンゼンチオール蒸気雰囲気中に導入し
た。次に、改質塔2内において、1,4−ベンゼンチオ
ール蒸気を断熱膨張させ、導入した粒子を30分間該蒸
気中に曝した。これによって、表面改質粒子(3)の表
面上で、さらに、2,4−メシチレンジスルホニルクロ
ライドと1,4−ベンゼンチオールとの間に重合反応が
生じ、2,4−メシチレンジスルホニルクロライド−
1,4−ベンゼンチオール共重合体の膜が形成された。
【0139】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(6)を得た。すなわち、上記実施
例1と同様の方法で表面改質粒子(6)を得た。この表
面改質粒子(6)の粒子径を光学測定装置3にて測定し
たところ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさがそろった
均質な粒子であった。
【0140】〔実施例7〕第二のモノマー成分として、
1,4−ブタンジスルホニルクロライドを図3に示す表
面改質装置21の改質塔22の貯留部2cに入れ、加熱
装置23で常圧下463Kまで加熱して1,4−ブタン
ジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被改質粒子と
しては、アゾ顔料であるC.I.Acid Red 8(商品名、東
京化成工業株式会社製)と、触媒としてのトリエチレン
ジアミンと、第一のモノマー成分であるジ(2−メルカ
プトエチル)エーテルと、それらを溶解させる水との混
合物を用いた。なお、この被改質粒子の幾何平均粒子径
は3μmであった。この被改質粒子をヘリウムガスとと
もに冷却して粒子供給管4から改質塔22内の1,4−
ブタンジスルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入し
た。次に、改質塔22内の混合管29において、1,4
−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を冷却し、導入し
た被改質粒子を該蒸気中に10分間曝した。これによっ
て、被改質粒子の表面上にジ(2−メルカプトエチル)
エーテルと1,4−ブタンジスルホニルクロライドとの
間に重合反応が生じ、ジ(2−メルカプトエチル)エー
テル−1,4−ブタンジスルホニルクロライド共重合体
の膜が形成された。
【0141】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(7)を得た。この表面改質粒子
(7)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、
1次粒子径が4μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子
であった。
【0142】〔実施例8〕第一のモノマー成分として、
1,4−ブタンジスルホニルクロライドを図4に示す表
面改質装置21aの改質塔22の貯留部2cに入れ、加
熱装置23で常圧下463Kまで加熱して1,4−ブタ
ンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被改質粒子
としては、カーボンブラックとポリスチレン樹脂との混
合物を用いた。なお、この被改質粒子の幾何平均粒子径
は1.5μmであった。この被改質粒子をアルゴンガス
とともに冷却して粒子供給管4から1,4−ブタンジス
ルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改
質塔22内の混合管29において、1,4−ブタンジス
ルホニルクロライド蒸気を冷却し、導入した被改質粒子
を該蒸気中に5分間曝した。これによって、被改質粒子
の表面上に1,4−ブタンジスルホニルクロライドを凝
縮させた。
【0143】一方、第二のモノマー成分としてエチレン
グリコールを用い、このエチレングリコールと触媒とし
てのトリエチルアミンとを体積比で95対5の比率で混
合して混合物とした。この混合物を図4に示す表面改質
装置21bの改質塔22の貯留部2cに入れ、加熱装置
23で常圧下403Kまで加熱してエチレングリコール
およびトリエチルアミン混合蒸気を生成した。被改質粒
子としては、上記1,4−ブタンジスルホニルクロライ
ドを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのままアルゴ
ンガスとともに冷却して粒子供給管4からエチレングリ
コールおよびトリエチルアミン混合蒸気雰囲気中に導入
した。次に、改質塔22内の混合管29において、エチ
レングリコールおよびトリエチルアミン混合蒸気を冷却
し、導入した被改質粒子を該蒸気中に15分間曝した。
これによって、被改質粒子の表面上で1,4−ブタンジ
スルホニルクロライドとエチレングリコールとの間に重
合反応が生じ、1,4−ブタンジスルホニルクロライド
−エチレングリコール共重合体の膜が形成された。
【0144】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(8)を得た。この表面改質粒子
(8)の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、
1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子
であった。
【0145】〔実施例9〕第二のモノマー成分として、
2,4−メシチレンジスルホニルクロライドを図4に示
す表面改質装置21aの改質塔22の貯留部2cに入
れ、加熱装置23で常圧下493Kまで加熱して2,4
−メシチレンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。
被改質粒子としては、アゾ顔料であるC.I.Acid Blue 9
2(商品名、東京化成工業株式会社製)と、水酸化ナトリ
ウムと、第一のモノマー成分としてのビスフェノールA
と、それらを溶解させる水との混合物を用いた。なお、
この被改質粒子の幾何平均粒子径は2.0μmであっ
た。この被改質粒子をアルゴンガスとともに冷却して粒
子供給管4から2,4−メシチレンジスルホニルクロラ
イド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔22内の混
合管29において、2,4−メシチレンジスルホニルク
ロライド蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該蒸気中
に10分間曝した。これによって、被改質粒子の表面上
に2,4−メシチレンジスルホニルクロライドを凝縮さ
せた。
【0146】一方、第二のモノマー成分として、1,4
−ブタンジスルホニルクロライドを図4に示す表面改質
装置21bの改質塔22の貯留部2cに入れ、加熱装置
23で常圧下463Kまで加熱して1,4−ブタンジス
ルホニルクロライド蒸気を生成した。被改質粒子として
は、上記2,4−メシチレンジスルホニルクロライドを
表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのままアルゴンガ
スとともに冷却して粒子供給管4から1,4−ブタンジ
スルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、
改質塔22内の混合管29において、1,4−ブタンジ
スルホニルクロライド蒸気を冷却し、導入した被改質粒
子を該蒸気中に15分間曝した。これによって、被改質
粒子の表面上で、2,4−メシチレンジスルホニルクロ
ライドおよび1,4−ブタンジスルホニルクロライドと
ビスフェノールAとの間に重合反応が生じ、2,4−メ
シチレンジスルホニルクロライドおよび1,4−ブタン
ジスルホニルクロライドとビスフェノールAとの共重合
体の膜が形成された。
【0147】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(9)を得た。すなわち、上記実施
例8と同様の方法で表面改質粒子(9)を得た。この表
面改質粒子(9)の粒子径を光学測定装置3にて測定し
たところ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった
均質な粒子であった。
【0148】〔実施例10〕第一のモノマー成分とし
て、1,4−ブタンジスルホニルクロライドを図2に示
す表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6
によって加圧後、加熱装置7で473Kまで加熱して
1,4−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を生成し
た。被改質粒子としては、1次粒子径が0.5μmの酸
化チタン粒子を用い、この被改質粒子を窒素ガスととも
に粒子供給管4から改質塔2内の1,4−ブタンジスル
ホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質
塔2内において、1,4−ブタンジスルホニルクロライ
ド蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該
蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に
1,4−ブタンジスルホニルクロライドを凝縮させた。
【0149】一方、第二のモノマー成分として、1,6
−ジアミノヘキサンを図2に示す表面改質装置1bの改
質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装
置7で423Kまで加熱して1,6−ジアミノヘキサン
蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記1,4−ブ
タンジスルホニルクロライドを表面上に凝縮させた被改
質粒子を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から
改質塔2内の1,6−ジアミノヘキサン蒸気雰囲気中に
導入した。次に、改質塔2内において、1,6−ジアミ
ノヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を
3分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子の
表面上で1,4−ブタンジスルホニルクロライドと1,
6−ジアミノヘキサンとの間に重合反応が生じ、1,4
−ブタンジスルホニルクロライド−1,6−ジアミノヘ
キサン共重合体の膜が形成された。
【0150】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(10)を得た。この表面改質粒子
(10)の粒子径を光学測定装置3にて測定したとこ
ろ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な
粒子であった。
【0151】〔実施例11〕まず、第一のモノマー成分
として1,3−ベンゼンジスルホニルクロライドとカー
ボンブラックとを混合して幾何平均粒子径1.5μmの
被改質粒子を形成した。次に、第二のモノマー成分とし
て、1,6−ジアミノヘキサンを図1に示す表面改質装
置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧
後、加熱装置7で423Kまで加熱して1,6−ジアミ
ノヘキサン蒸気を生成した。そして、上記被改質粒子を
窒素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,6
−ジアミノヘキサン蒸気雰囲気中に導入した。次に、改
質塔2内において、1,6−ジアミノヘキサン蒸気を断
熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸気中に曝
した。これによって、被改質粒子の表面上に1,6−ジ
アミノヘキサンを凝縮させた。
【0152】凝縮した1,6−ジアミノヘキサンと被改
質粒子に含有されている1,3−ベンゼンジスルホニル
クロライドとの間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面
上に1,3−ベンゼンジスルホニルクロライド−1,6
−ジアミノヘキサン共重合体の膜が形成された。この共
重合体の膜の形成により、本発明にかかる表面改質粒子
(11)を得た。この表面改質粒子(11)の粒子径を
光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が2μ
mでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0153】〔実施例12〕まず、第一のモノマー成分
として4,4’−スチルベンジスルホニルクロライドと
フタロシアニン顔料であるC.I.Pigment Blue 199(商品
名、日本チバガイギー株式会社製)とを混合して幾何平
均粒子径1μmの被改質粒子を形成した。次に、第二の
モノマー成分として、ピペラジンを図1に示す表面改質
装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧
後、加熱装置7で443Kまで加熱してピペラジン蒸気
を生成した。そして、上記被改質粒子を窒素ガスととも
に粒子供給管4から改質塔2内のピペラジン蒸気雰囲気
中に導入した。次に、改質塔2内において、ピペラジン
蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を3分間該蒸
気中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上にピ
ペラジンを凝縮させた。
【0154】凝縮したピペラジンと被改質粒子に含有さ
れている4,4’−スチルベンジスルホニルクロライド
との間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面上に4,
4’−スチルベンジスルホニルクロライド−ピペラジン
共重合体の膜が形成された。この共重合体の膜の形成に
より、本発明にかかる表面改質粒子(12)を得た。す
なわち、上記実施例11と同様の方法で表面改質粒子
(12)を得た。この表面改質粒子(12)の粒子径を
光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径が2μ
mでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0155】〔実施例13〕まず、第一のモノマー成分
として、そのまま被改質粒子に用いることができる幾何
平均粒子径1μmの粒子である1,3−プロパンジスル
ホニルクロライドを用いた。次に、第二のモノマー成分
として、1,3−ジアミノプロパンを図1に示す表面改
質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加
圧後、加熱装置7で373Kまで加熱して1,3−ジア
ミノプロパン蒸気を生成した。そして、上記被改質粒子
をアルゴンガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の
1,3−ジアミノプロパン蒸気雰囲気中に導入した。次
に、改質塔2内において、1,3−ジアミノプロパン蒸
気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を2分間該蒸気
中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,
3−ジアミノプロパンを凝縮させた。
【0156】凝縮した1,3−ジアミノプロパンと被改
質粒子である1,3−プロパンジスルホニルクロライド
との間に重合反応が生じ、被改質粒子の表面上に1,3
−プロパンジスルホニルクロライド−1,3−ジアミノ
プロパン共重合体の膜が形成された。この共重合体の膜
の形成により、本発明にかかる表面改質粒子(13)を
得た。すなわち、上記実施例11と同様の方法で表面改
質粒子(13)を得た。この表面改質粒子(13)の粒
子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒子径
が2μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であった。
【0157】〔実施例14〕第一のモノマー成分とし
て、1,4−ブタンジスルホニルクロライドを図2に示
す表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6
によって加圧後、加熱装置7で473Kまで加熱して
1,4−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を生成し
た。被改質粒子としては、上記実施例10で得られた表
面改質粒子(10)(1次粒子径が3μm)を用い、こ
の表面改質粒子(10)を窒素ガスとともに粒子供給管
4から改質塔2内の1,4−ブタンジスルホニルクロラ
イド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内におい
て、1,4−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を断熱
膨張させ、導入した表面改質粒子(10)を2分間該蒸
気中に曝した。これによって、表面改質粒子(10)の
表面上にさらに1,4−ブタンジスルホニルクロライド
を凝縮させた。
【0158】一方、第二のモノマー成分として、1,6
−ジアミノヘキサンを図2に示す表面改質装置1bの改
質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装
置7で423Kまで加熱して1,6−ジアミノヘキサン
蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記1,4−ブ
タンジスルホニルクロライドを表面上に凝縮させた表面
改質粒子(10)を、そのまま窒素ガスとともに粒子供
給管4から改質塔2内の1,6−ジアミノヘキサン蒸気
雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、1,
6−ジアミノヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入した表
面改質粒子(10)を2分間該蒸気中に曝した。これに
よって、表面改質粒子(10)の表面上で、さらに、
1,4−ブタンジスルホニルクロライドと1,6−ジア
ミノヘキサンとの間に重合反応が生じ、1,4−ブタン
ジスルホニルクロライド−1,6−ジアミノヘキサン共
重合体の膜が形成された。
【0159】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(14)を得た。すなわち、上記実
施例10と同様の方法で表面改質粒子(14)を得た。
この表面改質粒子(14)の粒子径を光学測定装置3に
て測定したところ、1次粒子径が5μmでほぼ大きさが
そろった均質な粒子であった。
【0160】〔実施例15〕第一のモノマー成分とし
て、2,4−メシチレンジスルホニルクロライドを図2
に示す表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節
管6によって加圧後、加熱装置7で493Kまで加熱し
て2,4−メシチレンジスルホニルクロライド蒸気を生
成した。被改質粒子としては、上記実施例11で得られ
た表面改質粒子(11)(1次粒子径が2μm)を用
い、この表面改質粒子(11)を窒素ガスとともに粒子
供給管4から改質塔2内の2,4−メシチレンジスルホ
ニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔
2内において、2,4−メシチレンジスルホニルクロラ
イド蒸気を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(1
1)を2分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改
質粒子(11)の表面上にさらに2,4−メシチレンジ
スルホニルクロライドを凝縮させた。
【0161】一方、第二のモノマー成分として、1,4
−ジアミノシクロヘキサンを図2に示す表面改質装置1
bの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加圧後、
加熱装置7で433Kまで加熱して1,4−ジアミノシ
クロヘキサン蒸気を生成した。粒子としては、上記2,
4−メシチレンジスルホニルクロライドを表面上に凝縮
させた粒子を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4
から改質塔2内の1,4−ジアミノシクロヘキサン蒸気
雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内において、1,
4−ジアミノシクロヘキサン蒸気を断熱膨張させ、導入
した粒子を2分間該蒸気中に曝した。これによって、表
面改質粒子(11)の表面上で、さらに、2,4−メシ
チレンジスルホニルクロライドと1,4−ジアミノシク
ロヘキサンとの間に重合反応が生じ、2,4−メシチレ
ンジスルホニルクロライド−1,4−ジアミノシクロヘ
キサン共重合体の膜が形成された。
【0162】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(15)を得た。すなわち、上記実
施例10と同様の方法で表面改質粒子(15)を得た。
この表面改質粒子(15)の粒子径を光学測定装置3に
て測定したところ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさが
そろった均質な粒子であった。
【0163】〔実施例16〕第二のモノマー成分とし
て、1,4−ブタンジスルホニルクロライドを図3に示
す表面改質装置21の改質塔22の貯留部2cに入れ、
加熱装置23で常圧下443Kまで加熱して1,4−ブ
タンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被改質粒
子としては、アゾ顔料であるC.I.Acid Red 8(商品
名、東京化成工業株式会社製)と、該顔料を溶解させる
水、エチレングリコールおよび第一のモノマー成分であ
る1,6−ジアミノヘキサンの混合溶媒との混合物を用
いた。なお、この被改質粒子の幾何平均粒子径は3μm
であった。この被改質粒子をヘリウムガスとともに冷却
して粒子供給管4から改質塔22内の1,4−ブタンジ
スルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、
改質塔22内の混合管29において、1,4−ブタンジ
スルホニルクロライド蒸気を冷却し、導入した被改質粒
子を該蒸気中に5分間曝した。これによって、被改質粒
子の表面上に1,6−ジアミノヘキサンと1,4−ブタ
ンジスルホニルクロライドとの間に重合反応が生じ、
1,6−ジアミノヘキサン−1,4−ブタンジスルホニ
ルクロライド共重合体の膜が形成された。
【0164】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(16)を得た。この表面改質粒子
(16)の粒子径を光学測定装置3にて測定したとこ
ろ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさがそろった均質な
粒子であった。
【0165】〔実施例17〕第一のモノマー成分とし
て、1,4−ブタンジスルホニルクロライドを図4に示
す表面改質装置21aの改質塔22の貯留部2cに入
れ、加熱装置23で常圧下443Kまで加熱して1,4
−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被改
質粒子としては、カーボンブラックとポリスチレン樹脂
との混合物を用いた。なお、この被改質粒子の幾何平均
粒子径は2μmであった。この被改質粒子をアルゴンガ
スとともに冷却して粒子供給管4から1,4−ブタンジ
スルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、
改質塔22内の混合管29において、1,4−ブタンジ
スルホニルクロライド蒸気を冷却し、導入した被改質粒
子を該蒸気中に3分間曝した。これによって、被改質粒
子の表面上に1,4−ブタンジスルホニルクロライドを
凝縮させた。
【0166】一方、第二のモノマー成分として、1,1
0−ジアミノデカンを図4に示す表面改質装置21bの
改質塔22の貯留部2cに入れ、加熱装置23で常圧下
453Kまで加熱して1,10−ジアミノデカン蒸気を
生成した。被改質粒子としては、上記1,4−ブタンジ
スルホニルクロライドを表面上に凝縮させた被改質粒子
を、そのままアルゴンガスとともに冷却して粒子供給管
4から1,10−ジアミノデカン蒸気雰囲気中に導入し
た。次に、改質塔22内の混合管29において、1,1
0−ジアミノデカン蒸気を冷却し、導入した被改質粒子
を該蒸気中に5分間曝した。これによって、被改質粒子
の表面上で1,4−ブタンジスルホニルクロライドと
1,10−ジアミノデカンとの間に重合反応が生じ、
1,4−ブタンジスルホニルクロライド−1,10−ジ
アミノデカン共重合体の膜が形成された。
【0167】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(17)を得た。この表面改質粒子
(17)の粒子径を光学測定装置3にて測定したとこ
ろ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な
粒子であった。
【0168】〔実施例18〕第一のモノマー成分とし
て、1,12−ジアミノドデカンを図4に示す表面改質
装置21aの改質塔22の貯留部2cに入れ、加熱装置
23で常圧下463Kまで加熱して1,12−ジアミノ
ドデカン蒸気を生成した。被改質粒子としては、アゾ顔
料であるC.I.Acid Blue 92(商品名、東京化成工業株式
会社製)と、該顔料を溶解させる水との混合物を用い
た。なお、この被改質粒子の幾何平均粒子径は2μmで
あった。この被改質粒子をアルゴンガスとともに冷却し
て粒子供給管4から1,12−ジアミノドデカン蒸気雰
囲気中に導入した。次に、改質塔22内の混合管29に
おいて、1,12−ジアミノドデカン蒸気を冷却し、導
入した被改質粒子を該蒸気中に10分間曝した。これに
よって、被改質粒子の表面上に1,12−ジアミノドデ
カンを凝縮させた。
【0169】一方、第二のモノマー成分として、1,3
−プロパンジスルホニルクロライドを図4に示す表面改
質装置21bの改質塔22の貯留部2cに入れ、加熱装
置23で常圧下453Kまで加熱して1,3−プロパン
ジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被改質粒子と
しては、上記1,12−ジアミノドデカンを表面上に凝
縮させた被改質粒子を、そのままアルゴンガスとともに
冷却して粒子供給管4から1,3−プロパンジスルホニ
ルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2
2内の混合管29において、1,3−プロパンジスルホ
ニルクロライド蒸気を冷却し、導入した被改質粒子を該
蒸気中に10分間曝した。これによって、被改質粒子の
表面上で1,12−ジアミノドデカンと1,3−プロパ
ンジスルホニルクロライドとの間に重合反応が生じ、
1,12−ジアミノドデカン−1,3−プロパンジスル
ホニルクロライド共重合体の膜が形成された。
【0170】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(18)を得た。すなわち、上記実
施例17と同様の方法で表面改質粒子(18)を得た。
この表面改質粒子(18)の粒子径を光学測定装置3に
て測定したところ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさが
そろった均質な粒子であった。
【0171】〔実施例19〕第一のモノマー成分とし
て、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンチオールを図
2に示す表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調
節管6によって加圧後、加熱装置7で530Kまで加熱
して2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンチオール蒸気
を生成した。被改質粒子としては、1次粒子径が0.5
μmの酸化チタン粒子を用い、この被改質粒子を窒素ガ
スとともに粒子供給管4から改質塔2内の2,5−ジア
ミノ−1,4−ベンゼンチオール蒸気雰囲気中に導入し
た。次に、改質塔2内において、2,5−ジアミノ−
1,4−ベンゼンチオール蒸気を断熱膨張させ、導入し
た被改質粒子を3分間該蒸気中に曝した。これによっ
て、被改質粒子の表面上に2,5−ジアミノ−1,4−
ベンゼンチオールを凝縮させた。
【0172】一方、第二のモノマー成分として、1,4
−ブタンジスルホニルクロライドを図2に示す表面改質
装置1bの改質塔2に供給し、圧力調節管6によって加
圧後、加熱装置7で473Kまで加熱して1,4−ブタ
ンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被改質粒子
としては、上記2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンチ
オールを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのまま窒
素ガスとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,4−
ブタンジスルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入し
た。次に、改質塔2内において、1,4−ブタンジスル
ホニルクロライド蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質
粒子を8分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質
粒子の表面上で2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンチ
オールと1,4−ブタンジスルホニルクロライドとの間
に重合反応が生じ、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼ
ンチオール−1,4−ブタンジスルホニルクロライド共
重合体の膜が形成された。
【0173】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(19)を得た。この表面改質粒子
(19)の粒子径を光学測定装置3にて測定したとこ
ろ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な
粒子であった。
【0174】〔実施例20〕まず、第一のモノマー成分
として6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾールを
用い、該6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール
と触媒としてのトリエチルアミンとを混合して幾何平均
粒子径1.5μmの被改質粒子を形成した。次に、第二
のモノマー成分として、1,4−ブタンジスルホニルク
ロライドを図1に示す表面改質装置1の改質塔2に供給
し、圧力調節管6によって加圧後、加熱装置7で473
Kまで加熱して1,4−ブタンジスルホニルクロライド
蒸気を生成した。そして、上記被改質粒子をアルゴンガ
スとともに粒子供給管4から改質塔2内の1,4−ブタ
ンジスルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次
に、改質塔2内において、1,4−ブタンジスルホニル
クロライド蒸気を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を
15分間該蒸気中に曝した。これによって、被改質粒子
の表面上に1,4−ブタンジスルホニルクロライドを凝
縮させた。
【0175】凝縮した1,4−ブタンジスルホニルクロ
ライドと被改質粒子に含有されている6−アミノ−2−
メルカプトベンゾチアゾールとの間に、該被改質粒子中
に含有されているトリエチルアミンを触媒として重合反
応が生じ、被改質粒子の表面上に6−アミノ−2−メル
カプトベンゾチアゾール−1,4−ブタンジスルホニル
クロライド共重合体の膜が形成された。この共重合体の
膜の形成により、本発明にかかる表面改質粒子(20)
を得た。この表面改質粒子(20)の粒子径を光学測定
装置3にて測定したところ、1次粒子径が3μmでほぼ
大きさがそろった均質な粒子であった。
【0176】〔実施例21〕まず、第一のモノマー成分
として4,4’−スチルベンジスルホニルクロライドを
用い、該4,4’−スチルベンジスルホニルクロライド
とフタロシアニン顔料であるC.I.Pigment Blue 199(商
品名、日本チバガイギー株式会社製)とを混合して幾何
平均粒子径1μmの被改質粒子を形成した。次に、第二
のモノマー成分として、4−アミノシクロヘキサノール
を図2に示す表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧
力調節管6によって加圧後、加熱装置7で503Kまで
加熱して4−アミノシクロヘキサノール蒸気を生成し
た。
【0177】そして、上記被改質粒子を窒素ガスととも
に粒子供給管4から改質塔2内の4−アミノシクロヘキ
サノール蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内に
おいて、4−アミノシクロヘキサノール蒸気を断熱膨張
させ、導入した被改質粒子を7分間該蒸気中に曝した。
これによって、被改質粒子の表面上に4−アミノシクロ
ヘキサノールを凝縮させた。
【0178】一方、触媒としてのトリエチルアミンを図
2に示す表面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調
節管6によって加圧後、加熱装置7で353Kまで加熱
してトリエチルアミン蒸気を生成した。そして、4−ア
ミノシクロヘキサノールを表面上に凝縮させた上記被改
質粒子を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から
改質塔2内のトリエチルアミン蒸気雰囲気中に導入し
た。次に、改質塔2内において、トリエチルアミン蒸気
を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を15分間該蒸気
中に曝した。これによって、4−アミノシクロヘキサノ
ールを表面上に凝縮させた上記被改質粒子の表面上にト
リエチルアミンを凝縮させた。
【0179】これにより、被改質粒子の表面上に凝縮し
た4−アミノシクロヘキサノールと被改質粒子に含有さ
れている4,4’−スチルベンジスルホニルクロライド
との間に、被改質粒子の表面上に凝縮したトリエチルア
ミンを触媒として重合反応が生じ、C.I.Pigment Blue
199 粒子の表面上に4,4’−スチルベンジスルホニル
クロライド−4−アミノシクロヘキサノール共重合体の
膜が形成された。この共重合体の膜の形成により、本発
明にかかる表面改質粒子(21)を得た。すなわち、上
記実施例19と同様の方法で表面改質粒子(21)を得
た。この表面改質粒子(21)の粒子径を光学測定装置
3にて測定したところ、1次粒子径が2μmでほぼ大き
さがそろった均質な粒子であった。
【0180】〔実施例22〕まず、第一のモノマー成分
としての2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チ
アジアゾールとトリエチレンジアミンとをエタノールに
溶解した溶液を用いて幾何平均粒子径1.5μmの被改
質粒子を形成した。次に、第二のモノマー成分として、
1,3−プロパンジスルホニルクロライドを図1に示す
表面改質装置1の改質塔2に供給し、圧力調節管6によ
って加圧後、加熱装置7で463Kまで加熱して1,3
−プロパンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。そ
して、上記被改質粒子をアルゴンガスとともに粒子供給
管4から改質塔2内の1,3−プロパンジスルホニルク
ロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内に
おいて、1,3−プロパンジスルホニルクロライド蒸気
を断熱膨張させ、導入した被改質粒子を10分間該蒸気
中に曝した。これによって、被改質粒子の表面上に1,
3−プロパンジスルホニルクロライドを凝縮させた。
【0181】凝縮した1,3−プロパンジスルホニルク
ロライドと被改質粒子に含有されている2−アミノ−5
−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールとの間に重
合反応が生じ、被改質粒子の表面上に2−アミノ−5−
メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−1,3−プ
ロパンジスルホニルクロライド共重合体の膜が形成され
た。この共重合体の膜の形成により、本発明にかかる表
面改質粒子(22)を得た。この表面改質粒子(22)
の粒子径を光学測定装置3にて測定したところ、1次粒
子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な粒子であっ
た。
【0182】〔実施例23〕第一のモノマー成分とし
て、1,4−ブタンジスルホニルクロライドを図2に示
す表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節管6
によって加圧後、加熱装置7で473Kまで加熱して
1,4−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を生成し
た。被改質粒子としては、上記実施例19で得られた表
面改質粒子(19)(1次粒子径が3μm)を用い、こ
の表面改質粒子(19)を窒素ガスとともに粒子供給管
4から改質塔2内の1,4−ブタンジスルホニルクロラ
イド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内におい
て、1,4−ブタンジスルホニルクロライド蒸気を断熱
膨張させ、導入した表面改質粒子(19)を4分間該蒸
気中に曝した。これによって、表面改質粒子(19)の
表面上にさらに1,4−ブタンジスルホニルクロライド
を凝縮させた。
【0183】一方、第二のモノマー成分として、2,5
−ジアミノ−1,4−ベンゼンチオールを図2に示す表
面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調節管6によ
って加圧後、加熱装置7で453Kまで加熱して2,5
−ジアミノ−1,4−ベンゼンチオール蒸気を生成し
た。被改質粒子としては、上記1,4−ブタンジスルホ
ニルクロライドを表面上に凝縮させた表面改質粒子(1
9)を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改
質塔2内の2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンチオー
ル蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔2内におい
て、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンチオール蒸気
を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(19)を18
分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質粒子
(19)の表面上で、さらに、1,4−ブタンジスルホ
ニルクロライドと2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼン
チオールとの間に重合反応が生じ、1,4−ブタンジス
ルホニルクロライド−2,5−ジアミノ−1,4−ベン
ゼンチオール共重合体の膜が形成された。
【0184】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(23)を得た。すなわち、上記実
施例19と同様の方法で表面改質粒子(23)を得た。
この表面改質粒子(23)の粒子径を光学測定装置3に
て測定したところ、1次粒子径が5μmでほぼ大きさが
そろった均質な粒子であった。
【0185】〔実施例24〕第一のモノマー成分とし
て、2,4−メシチレンジスルホニルクロライドを図2
に示す表面改質装置1aの改質塔2に供給し、圧力調節
管6によって加圧後、加熱装置7で493Kまで加熱し
て2,4−メシチレンジスルホニルクロライド蒸気を生
成した。被改質粒子としては、上記実施例21で得られ
た表面改質粒子(21)(1次粒子径が2μm)を用
い、この表面改質粒子(21)を窒素ガスとともに粒子
供給管4から改質塔2内の2,4−メシチレンジスルホ
ニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔
2内において、2,4−メシチレンジスルホニルクロラ
イド蒸気を断熱膨張させ、導入した表面改質粒子(2
1)を3分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改
質粒子(21)の表面上にさらに2,4−メシチレンジ
スルホニルクロライドを凝縮させた。
【0186】一方、第二のモノマー成分として2−メル
カプトエタノールを用い、この2−メルカプトエタノー
ルと触媒としてのトリエタノールアミンとを体積比で5
対1の比率で混合して混合物とした。この混合物を図2
に示す表面改質装置1bの改質塔2に供給し、圧力調節
管6によって加圧後、加熱装置7で453Kまで加熱し
て2−メルカプトエタノールとトリエタノールアミンと
の混合蒸気を生成した。粒子としては、上記2,4−メ
シチレンジスルホニルクロライドを表面上に凝縮させた
粒子を、そのまま窒素ガスとともに粒子供給管4から改
質塔2内の2−メルカプトエタノールとトリエタノール
アミンとの混合蒸気雰囲気中に導入した。次に、改質塔
2内において、2−メルカプトエタノールとトリエタノ
ールアミンとの混合蒸気を断熱膨張させ、導入した粒子
を30分間該蒸気中に曝した。これによって、表面改質
粒子(21)の表面上で、さらに、2,4−メシチレン
ジスルホニルクロライドと2−メルカプトエタノールと
の間に重合反応が生じ、2,4−メシチレンジスルホニ
ルクロライド−2−メルカプトエタノール共重合体の膜
が形成された。
【0187】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(24)を得た。すなわち、上記実
施例19と同様の方法で表面改質粒子(24)を得た。
この表面改質粒子(24)の粒子径を光学測定装置3に
て測定したところ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさが
そろった均質な粒子であった。
【0188】〔実施例25〕第二のモノマー成分とし
て、1,4−ベンゼンジスルホニルクロライドを図3に
示す表面改質装置21の改質塔22の貯留部2cに入
れ、加熱装置23で常圧下493Kまで加熱して1,4
−ベンゼンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被
改質粒子としては、アゾ顔料であるC.I.Acid Red 8
(商品名、東京化成工業株式会社製)と、触媒としての
トリエチレンジアミンと、第一のモノマー成分である4
−アミノシクロヘキサノールと、それらを溶解させる水
との混合物を用いた。なお、この被改質粒子の幾何平均
粒子径は4μmであった。この被改質粒子をヘリウムガ
スとともに冷却して粒子供給管4から改質塔22内の
1,4−ベンゼンジスルホニルクロライド蒸気雰囲気中
に導入した。次に、改質塔22内の混合管29におい
て、1,4−ベンゼンジスルホニルクロライド蒸気を冷
却し、導入した被改質粒子を該蒸気中に10分間曝し
た。これによって、被改質粒子の表面上に4−アミノシ
クロヘキサノールと1,4−ベンゼンジスルホニルクロ
ライドとの間に重合反応が生じ、4−アミノシクロヘキ
サノール−1,4−ベンゼンジスルホニルクロライド共
重合体の膜が形成された。
【0189】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(25)を得た。この表面改質粒子
(25)の粒子径を光学測定装置3にて測定したとこ
ろ、1次粒子径が5μmでほぼ大きさがそろった均質な
粒子であった。
【0190】〔実施例26〕第一のモノマー成分とし
て、1,4−ベンゼンジスルホニルクロライドを図4に
示す表面改質装置21aの改質塔22の貯留部2cに入
れ、加熱装置23で常圧下493Kまで加熱して1,4
−ベンゼンジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被
改質粒子としては、カーボンブラックとポリスチレン樹
脂との混合物を用いた。なお、この被改質粒子の幾何平
均粒子径は2μmであった。この被改質粒子をアルゴン
ガスとともに冷却して粒子供給管4から1,4−ベンゼ
ンジスルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。次
に、改質塔22内の混合管29において、1,4−ベン
ゼンジスルホニルクロライド蒸気を冷却し、導入した被
改質粒子を該蒸気中に10分間曝した。これによって、
被改質粒子の表面上に1,4−ベンゼンジスルホニルク
ロライドを凝縮させた。
【0191】一方、第二のモノマー成分として2−メル
カプトエタノールを用い、この2−メルカプトエタノー
ルと触媒としてのトリエタノールアミンとを体積比で5
対1の比率で混合して混合物とした。この混合物を図4
に示す表面改質装置21bの改質塔22の貯留部2cに
入れ、加熱装置23で常圧下453Kまで加熱して2−
メルカプトエタノールおよびトリエタノールアミン混合
蒸気を生成した。被改質粒子としては、上記1,4−ベ
ンゼンジスルホニルクロライドを表面上に凝縮させた被
改質粒子を、そのままアルゴンガスとともに冷却して粒
子供給管4から2−メルカプトエタノールおよびトリエ
タノールアミン混合蒸気雰囲気中に導入した。次に、改
質塔22内の混合管29において、2−メルカプトエタ
ノールおよびトリエタノールアミン混合蒸気を冷却し、
導入した被改質粒子を該蒸気中に10分間曝した。これ
によって、被改質粒子の表面上で1,4−ベンゼンジス
ルホニルクロライドと2−メルカプトエタノールとの間
に重合反応が生じ、1,4−ベンゼンジスルホニルクロ
ライド−2−メルカプトエタノール共重合体の膜が形成
された。
【0192】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(26)を得た。この表面改質粒子
(26)の粒子径を光学測定装置3にて測定したとこ
ろ、1次粒子径が3μmでほぼ大きさがそろった均質な
粒子であった。
【0193】〔実施例27〕第二のモノマー成分とし
て、2,4−メシチレンジスルホニルクロライドを図4
に示す表面改質装置21aの改質塔22の貯留部2cに
入れ、加熱装置23で常圧下493Kまで加熱して2,
4−メシチレンジスルホニルクロライド蒸気を生成し
た。被改質粒子としては、アゾ顔料であるC.I.Acid Bl
ue 92(商品名、東京化成工業株式会社製)と、水酸化ナ
トリウムと、第一のモノマー成分としての1,4−ジメ
ルカプト−2,3−ブタンジオールと、それらを溶解さ
せる水との混合物を用いた。なお、この被改質粒子の幾
何平均粒子径は2.5μmであった。この被改質粒子を
アルゴンガスとともに冷却して粒子供給管4から2,4
−メシチレンジスルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導
入した。次に、改質塔22内の混合管29において、
2,4−メシチレンジスルホニルクロライド蒸気を冷却
し、導入した被改質粒子を該蒸気中に15分間曝した。
これによって、被改質粒子の表面上に2,4−メシチレ
ンジスルホニルクロライドを凝縮させた。
【0194】一方、第二のモノマー成分として、1,3
−プロパンジスルホニルクロライドを図4に示す表面改
質装置21bの改質塔22の貯留部2cに入れ、加熱装
置23で常圧下463Kまで加熱して1,3−プロパン
ジスルホニルクロライド蒸気を生成した。被改質粒子と
しては、上記2,4−メシチレンジスルホニルクロライ
ドを表面上に凝縮させた被改質粒子を、そのままアルゴ
ンガスとともに冷却して粒子供給管4から1,3−プロ
パンジスルホニルクロライド蒸気雰囲気中に導入した。
次に、改質塔22内の混合管29において、1,3−プ
ロパンジスルホニルクロライド蒸気を冷却し、導入した
被改質粒子を該蒸気中に15分間曝した。これによっ
て、被改質粒子の表面上で、2,4−メシチレンジスル
ホニルクロライドおよび1,3−プロパンジスルホニル
クロライドと1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジ
オールとの間に重合反応が生じ、2,4−メシチレンジ
スルホニルクロライドおよび1,3−プロパンジスルホ
ニルクロライドと1,4−ジメルカプト−2,3−ブタ
ンジオールとの共重合体の膜が形成された。
【0195】上記共重合体の膜の形成により、本発明に
かかる表面改質粒子(27)を得た。すなわち、上記実
施例26と同様の方法で表面改質粒子(27)を得た。
この表面改質粒子(27)の粒子径を光学測定装置3に
て測定したところ、1次粒子径が4μmでほぼ大きさが
そろった均質な粒子であった。
【0196】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の表面改質粒子の
製造方法は、以上のように、表面の性質を改質すべき粒
子に第一のモノマー成分を含有させるとともに、上記第
一のモノマー成分を含有させた粒子を、第二のモノマー
成分の過飽和蒸気と接触させることにより、粒子表面に
該第二のモノマー成分を付着させることによって、上記
第一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ
て、粒子表面に重合体膜を形成する表面改質粒子の製造
方法であって、上記第一のモノマー成分および第二のモ
ノマー成分の一方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有
する化合物を用いる方法である。
【0197】本発明の請求項2記載の表面改質粒子の製
造方法は、以上のように、表面の性質を改質すべき粒子
に第一のモノマー成分を含有させるとともに、上記第一
のモノマー成分を含有させた粒子を、第二のモノマー成
分の過飽和蒸気と接触させることにより、粒子表面に該
第二のモノマー成分を付着させることによって、上記第
一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ
て、粒子表面に重合体膜を形成する表面改質粒子の製造
方法であって、上記第一のモノマー成分および第二のモ
ノマー成分の一方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有
する化合物を用いるとともに、他方にヒドロキシル基を
2つ以上有する化合物を用いる方法である。
【0198】本発明の請求項3記載の表面改質粒子の製
造方法は、以上のように、表面の性質を改質すべき粒子
に第一のモノマー成分を含有させるとともに、上記第一
のモノマー成分を含有させた粒子を、第二のモノマー成
分の過飽和蒸気と接触させることにより、粒子表面に該
第二のモノマー成分を付着させることによって、上記第
一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ
て、粒子表面に重合体膜を形成する表面改質粒子の製造
方法であって、上記第一のモノマー成分および第二のモ
ノマー成分の一方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有
する化合物を用いるとともに、他方にメルカプト基を2
つ以上有する化合物を用いる方法である。
【0199】本発明の請求項4記載の表面改質粒子の製
造方法は、以上のように、表面の性質を改質すべき粒子
に第一のモノマー成分を含有させるとともに、上記第一
のモノマー成分を含有させた粒子を、第二のモノマー成
分の過飽和蒸気と接触させることにより、粒子表面に該
第二のモノマー成分を付着させることによって、上記第
一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ
て、粒子表面に重合体膜を形成する表面改質粒子の製造
方法であって、上記第一のモノマー成分および第二のモ
ノマー成分の一方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有
する化合物を用いるとともに、他方に第1級のアミノ基
および/または第2級のアミノ基を2つ以上有する化合
物を用いる方法である。
【0200】本発明の請求項5記載の表面改質粒子の製
造方法は、以上のように、表面の性質を改質すべき粒子
に第一のモノマー成分を含有させるとともに、上記第一
のモノマー成分を含有させた粒子を、第二のモノマー成
分の過飽和蒸気と接触させることにより、粒子表面に該
第二のモノマー成分を付着させることによって、上記第
一のモノマー成分と第二のモノマー成分とを重合させ
て、粒子表面に重合体膜を形成する表面改質粒子の製造
方法であって、上記第一のモノマー成分および第二のモ
ノマー成分の一方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有
する化合物を用いるとともに、他方に、ヒドロキシル
基、メルカプト基、第1級のアミノ基、および第2級の
アミノ基からなる群より選ばれる2種以上の置換基をそ
れぞれ少なくとも1つ有する化合物を用いる方法であ
る。
【0201】それゆえ、上記請求項1ないし5に記載の
方法では、上記粒子表面上には、第一および第二のモノ
マー成分の重合体膜が形成されることにより表面の改質
がなされる。そのため、上記方法では、従来の方法とは
異なり、粒子表面に表面改質剤を付着させる際に、該粒
子が摩擦などによって帯電するおそれがない。しかも、
粒子表面上に表面改質剤(重合体)の膜の形成を気相中
で行うことができるため、従来の方法と比較して、粒子
表面の改質をより簡便な操作でかつ短時間に行うことが
できる。
【0202】従って、上記請求項1ないし5に記載の方
法は、第一および第二のモノマー成分を重合してなる重
合体からなる表面改質剤の膜を粒子表面に形成した表面
改質粒子を簡単に製造することができるという効果を奏
する。
【0203】また、上記請求項1ないし5に記載の方法
は、例えば、粒子が常温・常圧で液体であっても、簡便
かつ容易に取り扱うことができる固体状の表面改質粒子
を製造することができるという効果も奏する。
【0204】さらに、上記請求項1ないし5に記載の方
法は、モノマー成分を適宜選択することによって、得ら
れる表面改質粒子の使用目的に応じてさまざまな種類の
表面改質剤(重合体)の膜を形成することができるの
で、高機能を有する表面改質粒子を製造することができ
るという効果も奏する。
【0205】その上、上記請求項1ないし5に記載の方
法は、他のモノマー同士の場合よりも重合反応を迅速化
することができるとともに、粒子表面上に、より簡単に
重合体膜を形成することができるという効果も奏する。
【0206】本発明の請求項6記載の表面改質粒子の製
造方法は、以上のように、請求項1ないし5の何れか1
項に記載の方法において、粒子に第一のモノマー成分を
含有させる方法として、該粒子を第一のモノマー成分の
過飽和蒸気と接触させる方法を用いる方法である。
【0207】それゆえ、上記方法は、従来の方法と比較
して、粒子表面上に重合体膜を形成する表面改質を、よ
り簡便な操作でかつ短時間に行うことができるととも
に、性質を改質すべき被改質粒子の表面の状態にかかわ
らず好適に表面改質剤となる重合体膜を形成することが
できるという効果を奏する。
【0208】本発明の請求項7記載の表面改質粒子の製
造方法は、以上のように、請求項1から6の何れか1項
に記載の方法において、上記第一または第二のモノマー
成分のうち、少なくとも第二のモノマー成分が常温・常
圧で液体である方法である。
【0209】それゆえ、上記方法は、少なくとも第二の
モノマー成分が常温・常圧で液体であるため、第二のモ
ノマー成分を過飽和蒸気とし易くすることができるとと
もに、表面改質を行う表面改質装置内に第二のモノマー
成分を導入し易くすることができるという効果を奏す
る。
【0210】一方、第一のモノマー成分も常温・常圧で
液体であれば、第一のモノマー成分を粒子に含有させ易
くすることができるとともに、上記請求項6の方法のよ
うに、第一のモノマー成分を過飽和蒸気とする場合に、
蒸気化をし易くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる表面改質粒子の製造方法に好適
に供される表面改質装置の概略の構成を示す断面図であ
る。
【図2】図1の表面改質装置が2つ連結された状態を示
す概略の断面図である。
【図3】本発明にかかる表面改質粒子の製造方法に好適
に供される他の表面改質装置の概略の構成を示す断面図
である。
【図4】図3の表面改質装置が2つ連結された状態を示
す概略の断面図である。
【符号の説明】
1 表面改質装置 1a 表面改質装置 1b 表面改質装置 2 改質塔 2a 内壁部 2b 外壁部 3 光学測定装置 4 粒子供給管 5 粒子取出管 6 圧力調節管 7 加熱装置 21 表面改質装置 21a 表面改質装置 21b 表面改質装置 22 改質塔 22a 蒸気発生部 22b 混合部 29 混合管 30 冷却管

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面の性質を改質すべき粒子に第一のモノ
    マー成分を含有させるとともに、上記第一のモノマー成
    分を含有させた粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸
    気と接触させることにより、粒子表面に該第二のモノマ
    ー成分を付着させることによって、上記第一のモノマー
    成分と第二のモノマー成分とを重合させて、粒子表面に
    重合体膜を形成する表面改質粒子の製造方法であって、 上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一
    方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化合物を用
    いることを特徴とする表面改質粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】表面の性質を改質すべき粒子に第一のモノ
    マー成分を含有させるとともに、上記第一のモノマー成
    分を含有させた粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸
    気と接触させることにより、粒子表面に該第二のモノマ
    ー成分を付着させることによって、上記第一のモノマー
    成分と第二のモノマー成分とを重合させて、粒子表面に
    重合体膜を形成する表面改質粒子の製造方法であって、 上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一
    方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化合物を用
    いるとともに、他方にヒドロキシル基を2つ以上有する
    化合物を用いることを特徴とする表面改質粒子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】表面の性質を改質すべき粒子に第一のモノ
    マー成分を含有させるとともに、上記第一のモノマー成
    分を含有させた粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸
    気と接触させることにより、粒子表面に該第二のモノマ
    ー成分を付着させることによって、上記第一のモノマー
    成分と第二のモノマー成分とを重合させて、粒子表面に
    重合体膜を形成する工程を含む表面改質粒子の製造方法
    であって、 上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一
    方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化合物を用
    いるとともに、他方にメルカプト基を2つ以上有する化
    合物を用いることを特徴とする表面改質粒子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】表面の性質を改質すべき粒子に第一のモノ
    マー成分を含有させるとともに、上記第一のモノマー成
    分を含有させた粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸
    気と接触させることにより、粒子表面に該第二のモノマ
    ー成分を付着させることによって、上記第一のモノマー
    成分と第二のモノマー成分とを重合させて、粒子表面に
    重合体膜を形成する工程を含む表面改質粒子の製造方法
    であって、 上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一
    方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化合物を用
    いるとともに、他方に第1級のアミノ基および/または
    第2級のアミノ基を2つ以上有する化合物を用いること
    を特徴とする表面改質粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】表面の性質を改質すべき粒子に第一のモノ
    マー成分を含有させるとともに、上記第一のモノマー成
    分を含有させた粒子を、第二のモノマー成分の過飽和蒸
    気と接触させることにより、粒子表面に該第二のモノマ
    ー成分を付着させることによって、上記第一のモノマー
    成分と第二のモノマー成分とを重合させて、粒子表面に
    重合体膜を形成する工程を含む表面改質粒子の製造方法
    であって、 上記第一のモノマー成分および第二のモノマー成分の一
    方にスルホン酸ハライド基を2つ以上有する化合物を用
    いるとともに、他方に、ヒドロキシル基、メルカプト
    基、第1級のアミノ基、および第2級のアミノ基からな
    る群より選ばれる2種以上の置換基をそれぞれ少なくと
    も1つ有する化合物を用いることを特徴とする表面改質
    粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】粒子に第一のモノマー成分を含有させる方
    法として、該粒子を第一のモノマー成分の過飽和蒸気と
    接触させる方法を用いることを特徴とする請求項1ない
    し5の何れか1項に記載の表面改質粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】上記第一または第二のモノマー成分のう
    ち、少なくとも第二のモノマー成分が常温で液体である
    ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の
    表面改質粒子の製造方法。
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EP98309282A EP0916394B1 (en) 1997-11-14 1998-11-12 Method of manufacturing modified particles and manufacturing device therefor

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