JP3530333B2 - 帯電防止性を有するポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造法 - Google Patents

帯電防止性を有するポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造法

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JP3530333B2
JP3530333B2 JP2371697A JP2371697A JP3530333B2 JP 3530333 B2 JP3530333 B2 JP 3530333B2 JP 2371697 A JP2371697 A JP 2371697A JP 2371697 A JP2371697 A JP 2371697A JP 3530333 B2 JP3530333 B2 JP 3530333B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は予備発泡粒子を閉鎖
しうるが密閉しえない型内に充填したのち、水蒸気など
の加熱媒体を用いて加熱成形することにより成形体とす
る方法に適したポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製
造法に関する。さらに詳しくは、予備発泡粒子表面に残
存するリン酸カルシウム塩の量がきわめて少ないため、
非常に成形性が良好で帯電防止性能にすぐれたポリプロ
ピレン系樹脂予備発泡粒子の製造法に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子を用
いた成形品は、基材樹脂の性質上、絶縁性にすぐれるた
め帯電しやすく、ほこりなどが付着しやすいため、電子
機器部品・一般機器部品・液晶ガラスなどの緩衝包装材
として利用されにくいのが実情である。このため帯電防
止性能を有するポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子から
なる成形品の開発が望まれている。 【0003】本発明者らは、特開平8−12798号公
報において、一般式(I): 【0004】 【化2】 【0005】(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル
基)で表わされるヒドロキシアルキルモノエタノールア
ミンを含有するポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内
で揮発性発泡剤、分散剤および分散助剤の存在下で水中
に分散させて分散液とし、該樹脂粒子の融点−20℃〜
融点+20℃の範囲の温度で加熱して、該樹脂粒子内に
発泡剤を含有せしめ、該耐圧容器の一端を開放して発泡
剤を含有せしめた樹脂粒子と水とを同時に耐圧容器より
も低圧の雰囲気下に放出してえられる予備発泡粒子およ
びその製法を開示している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ポリオレフィン系樹脂
の中でも、ポリエチレン系樹脂のばあいには、分散剤と
してリン酸カルシウム塩を使用しても予備発泡粒子表面
に残存するリン酸カルシウム塩の量は極めて少なく、成
形時ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子同士の融着が良好
な成形品がえられるが、対照的にポリプロピレン系樹脂
のばあいには、予備発泡粒子表面に残存するリン酸カル
シウム塩の量がきわめて多くなり、成形時にポリプロピ
レン系樹脂予備発泡粒子同士の融着性が低下する問題が
残されている。 【0007】この表面に残存するリン酸カルシウムを除
去するための方法として、特開平8−92408号公報
に開示されているように、予備発泡粒子を塩酸、硝酸な
どの酸水溶液で洗浄する方法が知られている。 【0008】しかしながら、このような塩酸、硝酸など
の酸水溶液で洗浄するばあいには、設備の腐食問題や排
水の中和設備の設置などが必要となり設備費増や製造プ
ロセス工程が煩雑となる問題がある。 【0009】 【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、前
記従来技術に鑑みて、塩酸、硝酸などの酸水溶液で洗浄
しなくても予備発泡粒子表面に残存するリン酸カルシウ
ム塩を減少させる方法について鋭意研究を重ねた結果、
かかるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造法をよ
うやく見出し、本発明を完成するに至った。 【0010】すなわち、本発明は、ポリプロピレン系樹
脂100部(重量部、以下同様)に対し、一般式
(I): 【0011】 【化3】 【0012】(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル
基)で表わされるヒドロキシアルキルモノエタノールア
ミン0.5〜3部を含有するポリプロピレン系樹脂組成
物からの粒子を耐圧容器内で揮発性発泡剤、分散剤およ
び分散助剤の存在下で水中に分散させて分散液とし、該
粒子の融点−20℃〜融点+20℃の範囲の温度で加熱
して、該粒子内に発泡剤を含有せしめ、該耐圧容器の一
端を開放して発泡剤を含有せしめた粒子と水とを同時に
耐圧容器よりも低圧の雰囲気下に放出して予備発泡粒子
を製造する方法であって、該分散剤としてリン酸カルシ
ウム塩を該樹脂粒子100部に対して0.7〜5.0
部、該分散助剤としてアニオン性界面活性剤を式:0.
045X≦Y≦0.15X(式中、Xはリン酸カルシウ
ム塩の部数、Yはアニオン界面活性剤の部数を示す)を
満足する量用いることを特徴とする帯電防止性を有する
ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造法に関する。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明においては、ポリプロピレ
ン系樹脂100部に対し、一般式(I): 【0014】 【化4】 【0015】(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル
基)で表わされるヒドロキシアルキルモノエタノールア
ミン0.5〜3部を含有するポリプロピレン系樹脂組成
物からの粒子(以下、樹脂粒子ともいう)が使用され
る。 【0016】前記ポリプロピレン系樹脂は、本発明によ
り製造されるポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子のベー
ス樹脂として使用されるものであり、該予備発泡粒子の
発泡のしやすさ、成形時の融着性などの特性をきめると
ともに、えられる成形体として耐熱性、寸法安定性、強
度などのバランスが良い成形体がえられる。 【0017】前記ポリプロピレン系樹脂としては、通
常、プロピレン単量体単位を70%(重量%、以下同
様)以上、さらには85%以上で100%以下含有する
樹脂であって、メルトインデックス(MI)が0.5〜
20g/10分、さらには1〜15g/10分のものが
使用される。前記プロピレン単量体単位の含有率が70
%未満になると、プロピレン系樹脂としての特性が充分
にえられなくなる傾向が生じる。また、メルトインデッ
クス(MI)が0.5g/10分未満になると、発泡性
が低下してくるとともに、成形時に充分な融着性がえら
れにくく、割れ易くなり、20g/10分をこえると発
泡粒子の独立気泡率が低下し、充分な強度がえられなく
なる傾向が生じる。 【0018】前記ポリプロピレン系樹脂が共重合体であ
るばあいの共重合成分としては、エチレン、ブテン、酢
酸ビニル、アクリル酸などがあげられる。これらは単独
で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。2種以上の組合せとしては、エチレンとブテン、エ
チレンと酢酸ビニル、エチレンとアクリル酸などの組合
せがあげられる。これらのうちではエチレン、ブテン、
エチレンとブテンとの組合せが発泡性、成形性の点から
好ましい。 【0019】前記プロピレン系樹脂の具体例としては、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロック共重合
体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、ブテン−
プロピレンランダム共重合体、ブテン−プロピレンブロ
ック共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン三元共重
合体、エチレン−酢酸ビニル−プロピレン三元共重合
体、エチレン−アクリル酸−プロピレン三元共重合体な
どがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上
を組み合わせて用いてもよい。 【0020】一般式(I)で表わされるヒドロキシアル
キルモノエタノールアミンはえられる予備発泡粒子の表
面に付着するリン酸カルシウム塩(分散剤)を少なく
し、型内発泡成形性をよくし、型内発泡成形品の帯電防
止性を良好にするために使用される成分である。 【0021】一般式(I)中のRの炭素数は8〜22、
さらには10〜16であるが、8未満のばあい、あるい
は22をこえるばあい、予備発泡粒子の表面に付着する
リン酸カルシウム塩の減少、さらに帯電防止効果が不充
分となり好ましくない。 【0022】一般式(I)中のRの具体例としては、た
とえばオクチル基、ノニル基、ペンタデシル基、ヘキサ
デシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基のごとき直
鎖のアルキル基などが好ましい例としてあげられるが、
これらに限定されるものではない。 【0023】本発明におけるポリプロピレン系樹脂10
0部に対する一般式(I)で表わされるヒドロキシアル
キルモノエタノールアミン(以下、帯電防止剤(I)と
もいう)の添加量は0.5〜3部、さらには0.8〜2
部である。前記添加量が0.5部未満のばあい、帯電防
止能が不充分であり、一方、3部をこえるばあい、ブリ
ードが多すぎてべとつきが生じる。 【0024】帯電防止剤(I)は、他の帯電防止剤(I
I)(たとえばグリセリン脂肪酸エステル、アルキルジ
エタノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステルなどのノ
ニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤あるいは両性界
面活性剤などの帯電防止剤)と併用して使用しても差し
支えない。併用するばあい、帯電防止剤(I)を全帯電
防止剤中の50%以上、さらには70%以上になるよう
に含有させるのが、予備発泡粒子表面に残存するリン酸
カルシウム塩を減少させる点から好ましい。 【0025】ポリプロピレン系樹脂と帯電防止剤(I)
との混合順序、混合の仕方などにはとくに限定はない
が、ポリプロピレン系樹脂の一部と帯電防止剤(I)と
から、まず、帯電防止剤(I)含有率の高いマスターバ
ッチ、たとえば帯電防止剤(I)の含有率が5〜20%
のマスターバッチを調製し、これとのこりのポリプロピ
レン系樹脂とを混合する方法が帯電防止剤(I)を均一
に分散させやすいという点から好ましい。なお、帯電防
止剤(I)と帯電防止剤(II)とを併用するばあいのマ
スターバッチの製造は、帯電防止剤(I)とともに帯電
防止剤(II)をポリプロピレン系樹脂と混合することに
より行なえばよい。 【0026】本発明に用いる前記ポリプロピレン系樹脂
と帯電防止剤(I)とからなるポリプロピレン系樹脂組
成物には、要すれば有機顔料、無機顔料や難燃剤などを
加えてもよい。 【0027】前記有機顔料としては、たとえばフタロシ
アニン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリド
ン系などの多環式顔料があげられる。前記無機顔料とし
ては、たとえばアセチレンブラック、チャンネルブラッ
ク、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックなどが
あげられるが、これらに限定されるものではない。 【0028】前記有機顔料の添加量はポリプロピレン系
樹脂100部に対し、0.005〜5部である。前記添
加量が0.005部未満になると色むらを生じ易くな
り、5部をこえると予備発泡粒子の気泡径が細かくな
り、型どうりの成形品がえられにくくなる傾向にある。 【0029】前記ポリプロピレン系樹脂と有機顔料、無
機顔料との混合順序、混合の仕方などにはとくに限定は
ないが、前記ポリプロピレン系樹脂と帯電防止剤
((I)または(I)および(II))のばあいと同様、
まず顔料含有率の高いマスターバッチ、たとえば顔料含
有率が0.5〜35%のマスターバッチを調製し、これ
にのこりのポリプロピレン系樹脂を混合する方法が顔料
を均一に分散させやすいという点から好ましい。 【0030】前記難燃剤としては、たとえばデカブロモ
ジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、
ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)テトラブロ
モビスフェノールS、エチレンビスペンタブロモジフェ
ニルなどのハロゲン系難燃剤や、水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウムなどの水和金属酸化物、ポリリン酸
アンモニウム、ポリリン酸アミドなどの縮合ポリリン酸
エステル化合物などの非ハロゲン系難燃剤があげられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。また、これらは前記有機顔料、無機
顔料(着色剤)、帯電防止剤(II)などと併用しても差
し支えない。 【0031】前記難燃剤の添加量はポリプロピレン系樹
脂100部に対し、1〜30部が好ましい。前記添加量
が1部未満になると難燃性付与効果がえられにくくな
り、30部をこえると予備発泡粒子の気泡径が細かくな
り、型どうりの成形品がえられにくくなる傾向にある。 【0032】本発明におけるポリプロピレン系樹脂予備
発泡粒子は、前記のごときポリプロピレン系樹脂、帯電
防止剤(I)および要すれば使用される有機顔料、無機
顔料、難燃剤、帯電防止剤(II)などからなる組成物か
らの粒子(樹脂粒子)を予備発泡させた帯電防止性を有
する予備発泡粒子である。 【0033】前記樹脂粒子の大きさは一般に0.5〜1
0mg/粒程度のものであり、本発明の予備発泡粒子は
このような粒子を、通常5〜60倍程度、好ましくは1
0〜40倍程度に予備発泡させたものである。 【0034】前記樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂、
一般式(I)で表わされるヒドロキシアルキルモノエタ
ノールアミンおよび要すれば使用される有機顔料など
(マスターバッチとして加えられるばあいを含む)を押
出機内で溶融混練したのち、複数個の開口部を通してス
トランド状に押し出し、空中または水中で冷却後、スト
ランドをカットして造粒することにより製造される。 【0035】なお、有機顔料などのマスターバッチも同
様にして製造すればよい。 【0036】つぎに本発明のポリプロピレン系樹脂予備
発泡粒子の製造法について説明する。 【0037】一般式(I)で表わされるヒドロキシアル
キルモノエタノールアミンおよび要すれば使用される有
機顔料などを含有するポリプロピレン系樹脂組成物から
の粒子と、揮発性発泡剤とを分散剤および分散助剤の存
在下で水中に分散させ、該樹脂粒子の融点−20℃〜融
点+20℃の範囲の温度に加熱して、該樹脂粒子に加圧
下、揮発性発泡剤を含浸させ、えられた水分散物を容器
内よりも低圧の雰囲気下に放出することにより、予備発
泡粒子が製造される。 【0038】前記揮発性発泡剤としては、沸点が−50
〜+120℃の炭化水素類またはハロゲン化炭化水素類
など、たとえばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、モノ
クロロメタン、ジクロロメタン、モノクロロエタン、ト
リクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロエタ
ン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロ
エタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテト
ラフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などが使
用される。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み
合わせて用いてもよい。 【0039】前記揮発性発泡剤の使用量は、発泡剤の種
類、所望する発泡倍率、容器内の樹脂粒子量と容器内空
間容積との比率を考慮して、該樹脂粒子中の樹脂に対し
て5〜40%含浸されるようにするのが好ましい。 【0040】前記分散剤としては、リン酸カルシウム
塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、塩基性炭酸マグネ
シウム、ピロリン酸マグネシウム、カオリンなどがあげ
られる。これらのうちでは樹脂粒子の付着阻止の点から
リン酸カルシウム塩が好ましい。前記分散剤として、リ
ン酸カルシウム塩が含まれるように1種以上で用いられ
る。 【0041】前記リン酸カルシウム塩とは、リン酸と塩
基性カルシウム化合物(たとえば水酸化カルシウム、炭
酸カルシウム、ホウ酸カルシウムなど)とからの正塩、
酸性塩、塩基性塩のことであり、その具体例としては、
微粉末状またはスラリー状のたとえばCa3(P
42、3[Ca3(PO42]・Ca(OH)2、Ca
10(PO46・(OH)2などがあげられる。これらは
単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。なかでも3[Ca3(PO42]・Ca(OH)
が好ましい。 【0042】前記リン酸カルシウム塩の形態としては、
平均粒径0.001〜30μmの微粉末状またはスラリ
ー状のものが樹脂粒子の付着防止の点から好ましい。 【0043】前記リン酸カルシウム塩の使用量は前記樹
脂粒子100部に対して0.7〜5.0部、好ましくは
1.0〜3.0部、さらに好ましくは1.5〜2部であ
る。前記使用量が0.7部未満のばあいには、加熱時に
樹脂粒子同士の凝集がおこり、5.0部をこえるばあい
には、予備発泡粒子の表面上に残存するリン酸カルシウ
ム塩の量が増加して型内成形する際の予備発泡粒子間の
融着が阻害されて成形体の強度が低下する。 【0044】前記分散助剤としては、アニオン界面活性
剤が好適である。 【0045】前記アニオン界面活性剤の例としては、た
とえばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オ
レフィンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウムなどのスルホン酸型塩などがあげられ
る。 【0046】前記アニオン界面活性剤の使用量は、式:
0.045X≦Y≦0.15X(式中、Xはリン酸カル
シウム塩の部数、Yはアニオン界面活性剤の部数を示
す)を満足するのが好ましい。前記使用量が前記範囲よ
りも少ないばあいには、予備発泡粒子表面に付着するリ
ン酸カルシウム塩の量が増加する。また、前記範囲より
も多いばあいには、リン酸カルシウム塩とアニオン界面
活性剤とのバランスがわるくなり、加熱時に樹脂粒子同
士の凝集がおこりやすくなる。また、耐圧容器の一端を
開放して予備発泡粒子をうる際に、リン酸カルシウム塩
を含んだ大量の気泡が発生し、予備発泡後の耐圧容器内
に残存している発泡剤を回収する際に該気泡が回収ライ
ンに入り込んで発泡剤の回収時間を遅延させるため、生
産性の点からも不利である。 【0047】通常、帯電防止剤を添加しないポリオレフ
ィン系樹脂粒子から予備発泡粒子を製造するばあいに
は、アニオン界面活性剤の使用量は、式:0.005X
≦Y≦0.04X(式中、Xはリン酸カルシウム塩の部
数、Yはアニオン界面活性剤の部数を示す)を満足する
量が好ましいことが特開平4−246433号公報に開
示されている。しかしながら、帯電防止剤(I)を含有
する系においては、樹脂粒子中からブリードした帯電防
止剤(I)とアニオン界面活性剤がある量において、相
互に作用して予備発泡粒子表面に付着したリン酸カルシ
ウム塩を減少させる特徴があるようである。 【0048】本発明において、前記樹脂粒子〜分散助剤
を分散させる分散媒体として水が用いられるが、その使
用量はポリプロピレン系樹脂粒子100部に対し、10
0〜300部であるのが分散安定性および生産性の点か
ら好ましい。 【0049】また、前記加熱温度としては、前記樹脂粒
子の融点−20℃〜融点+20℃、好ましくは融点−1
5℃〜融点+15℃が採用される。たとえば融点145
℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン
3.2%含有)を用いたばあいには、加熱温度は125
〜165℃、好ましくは130〜160℃である。前記
加熱温度が融点−20℃未満のばあいには、発泡倍率が
著しく低下し、また融点+20℃をこえるばあいには、
えられる予備発泡粒子の独立気泡率が低下する。なお、
前記樹脂粒子はポリプロピレン系樹脂に帯電防止剤など
が少量入ったものであるが、この程度他のものが入って
もポリプロピレン系樹脂の融点はかわらないので、樹脂
粒子の融点はポリプロピレン系樹脂の融点と同じであ
る。 【0050】なお、前記融点は、セイコー電子工業
(株)製のDSC220を用い、昇温速度が10℃/分
の条件で測定した融点を基準にした温度である。 【0051】また、前記樹脂粒子に揮発性発泡剤を含浸
させるときの圧力としては、10〜50kg/cm
範囲である。 【0052】また、前記容器内より低圧の雰囲気下とし
ては、予備発泡粒子を製造する際に容器中の水分散物を
放出する低圧の雰囲気として採用される条件であるかぎ
りとくに制限はないが、たとえば大気中に放出する際に
は大気下、揮発性発泡剤を回収するために密閉系内に放
出するばあいには密閉系内の圧力下のことである。 【0053】前記水分散物を容器内より放出する際に、
温度、圧力を一定に保つのが、予備発泡粒子の発泡倍率
を一定に保つ点から好ましい。前記温度は、発泡温度−
2〜発泡温度+2℃、さらには発泡温度−1〜発泡温度
+1℃に保つのが好ましく、また、前記圧力は、発泡圧
力−2〜発泡圧力+2kg/cm2G、さらには発泡圧
力−1〜発泡圧力+1kg/cm2Gに保つのが好まし
い。前記圧力は、耐圧容器内に、揮発性発泡剤を供給す
ることにより保持させるのが発泡倍率を一定に保つうえ
で好ましい。なお、前記発泡温度は前記樹脂粒子の加熱
温度であり、前記発泡圧力は、樹脂粒子に発泡剤を含浸
させたのちの一定になったときの圧力である。 【0054】さらに、容器内より低圧雰囲気下に放出し
た水分散物を、冷水または温水を多数個の口径ノズル
(1〜10mmφ)などから流量100〜500リット
ル/minで噴射した領域に通過させるなどして、予備
発泡粒子を洗浄するのが好ましい。 【0055】以上のようにしてえられた予備発泡粒子
は、発泡倍率5〜60倍、連泡率0.5〜5%、平均気
泡径200〜450μm、予備発泡粒子表面に残存する
リン酸カルシウム塩が300〜900ppmのものであ
る。発泡粒子中の発泡剤を空気と置換したのち、必要に
応じ内圧付与をするか、もしくはそのまま内圧付与をし
ないで成形型内に充填し2.5〜3.5kg/cm2
程度の水蒸気で粒子同士を融着させ、金型から取り出し
たのち、60℃〜80℃の乾燥室で24時間養生させる
ことにより成形品がえられる。 【0056】 【実施例】以下本発明を実施例に基づきさらに詳細に説
明する。 【0057】実施例1〜7および比較例1〜7 エチレン−プロピレンランダム共重合体(樹脂密度0.
9g/cm3、メルトフローインデックス6g/10
分、エチレン含有量3.2%、融点145℃)100部
と表1に示す量の帯電防止剤(I)(一般式(I)の中
のRが炭素数12のものと炭素数14のものとが重量比
で56:44の混合物であるミヨシ油脂(株)製のダス
パー125B)および(または)帯電防止剤(II)(グ
リセリン脂肪酸エステル、花王(株)製のGS−90)
とを混合し、50mm押出機で混練(230℃)して樹
脂粒子(1.8mg/粒)を製造した。 【0058】つぎに、200リットル耐圧容器内に、水
300部、えられた樹脂粒子ペレット100部、分散剤
として第三リン酸カルシウム(太平化学産業(株)製)
と分散助剤としてノルマルパラフィンスルホン酸ソーダ
(花王(株)製)とを表1に示す量仕込み、さらにイソ
ブタンを11部仕込み、撹拌下、表1に示す温度および
内圧で30分間保持したのち、容器内をイソブタンで前
記内圧に保持しながら容器の下部に設けた4mmφオリ
フィスを通して予備発泡させた。このとき、オリフィス
板出口付近でシャワーノズルから180L/minの流
量で60℃の温水を予備発泡粒子に噴射させた。えられ
た粒子を乾燥させたのち予備発泡粒子の表面に付着した
リン酸カルシウム塩の量および発泡倍率を下記方法によ
り測定した。結果を表1に示す。 【0059】つぎに、えられた予備発泡粒子を1m3
圧容器に仕込み、8kg/cm2Gに加圧し、2時間保
持して予備発泡粒子の内圧を1kg/cm2Gに高めた
のち450mm×300mm×50mmの金型に充填
し、発泡粒子同士を3kg/cm2Gの水蒸気にて加
熱、融着させ、型内成形品をえ、金型から取り出した。
えられた成形品の融着性、帯電防止性およびベタツキを
下記方法により評価した。結果を表1に示す。 【0060】(表面残存リン酸カルシウム塩量)メタバ
ナジン酸アンモニウム0.022%、モリブテン酸アン
モニウム0.54%および硝酸3%を含む水溶液(比色
液)50.0mLとW(g)の予備発泡粒子をコニカル
ビーカーに採り、1分間撹拌したのち10分間放置し
た。えられた液相を光路長1.0cmの石英セルに採
り、分光光度計により410nmでの吸光度Aを測定し
た。 【0061】同一の比色液について、予め測定しておい
たリン酸カルシウム塩の410nmでの吸光度係数ε
(g/L・cm)を用いて、式: 【0062】 【化5】 【0063】からリン酸カルシウム塩量X(ppm)を
求めた。 【0064】(発泡倍率)予備発泡粒子の発泡倍率を
式: 発泡倍率=発泡前の樹脂密度(g/cm3)÷予備発泡粒
子の密度(g/cm3) により求めた。 【0065】(融着性)成形品を破断させて断面を観察
し、下記基準にしたがって評価した。 【0066】 ○:粒子が破断している割合が60%以上 ×:粒子が破断している割合が60%未満 (帯電防止性)成形品を温度23℃、湿度50%の室内
に48時間保存して状態調整したのち、アドバンテスト
(株)製の超絶抵抗計TR8601を用いて測定し、下
記基準にしたがって評価した。 【0067】 ○:1×1012Ω未満 ×:1×1012Ω以上 (ベタツキ)成形品のベタツキを指触してしらべ、下記
基準にしたがい評価した。 【0068】 ○:べたつきがほとんどない ×:べたつきが大きい 【0069】 【表1】 【0070】 【発明の効果】本発明のポリプロピレン系樹脂予備発泡
粒子を用いて成形品を製造すると、帯電防止性がすぐ
れ、粒子間の融着性が良好な成形品をうることができ
る。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/18 C08L 23/10

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂100重量部に対
    し、一般式(I): 【化1】 (式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基)で表わされ
    るヒドロキシアルキルモノエタノールアミン0.5〜3
    重量部を含有するポリプロピレン系樹脂組成物からの粒
    子を耐圧容器内で揮発性発泡剤、分散剤および分散助剤
    の存在下で水中に分散させて分散液とし、該粒子の融点
    −20℃〜融点+20℃の範囲の温度で加熱して、該粒
    子内に発泡剤を含有せしめ、該耐圧容器の一端を開放し
    て発泡剤を含有せしめた粒子と水とを同時に耐圧容器よ
    りも低圧の雰囲気下に放出して予備発泡粒子を製造する
    方法であって、該分散剤としてリン酸カルシウム塩を該
    粒子100重量部に対して0.7〜5.0重量部、該分
    散助剤としてアニオン界面活性剤を式:0.045X≦
    Y≦0.15X(式中、Xはリン酸カルシウム塩の重量
    部数、Yはアニオン界面活性剤の重量部数を示す)を満
    足する量用いることを特徴とする帯電防止性を有するポ
    リプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造法。
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