JPH07304895A - ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法

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JPH07304895A
JPH07304895A JP11951794A JP11951794A JPH07304895A JP H07304895 A JPH07304895 A JP H07304895A JP 11951794 A JP11951794 A JP 11951794A JP 11951794 A JP11951794 A JP 11951794A JP H07304895 A JPH07304895 A JP H07304895A
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 帯電防止剤を含有しているにもかかわらず、
発泡粒子を型内で成型する際に、粒子の融着性が良好
で、帯電防止能に優れた発泡成型体が得られるポリプロ
ピレン系樹脂発泡粒子及びその製造方法の提供。 【構成】 帯電防止能を有する平均分子量200〜10
00のノニオン系界面活性剤を0.1〜5.0重量%含
有し、且つDSC曲線における融解熱量が50〜95J
/gのポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子
を発泡して得られる発泡粒子で、特定の結晶構造を有
し、且つ該高温ピークの熱量が10〜30J/gの発泡
粒子である。また製造方法は、上記ノニオン系界面活性
剤を含有するポリプロピレン系樹脂粒子を、密閉容器内
で無機ガス系発泡剤の存在下に分散媒に分散させて樹脂
粒子が軟化する温度以上の温度に加熱し、次いで樹脂粒
子と分散媒とを容器内より低圧下に放出して樹脂粒子を
発泡させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリプロピレン系樹脂発
泡粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ポリプ
ロピレン系樹脂発泡体は、緩衝性、断熱性等の物性に優
れるため、包装材、緩衝材、断熱材、建築部材等の種々
の分野で利用されている。ポリプロピレン系樹脂発泡体
は利用目的に応じた形状に形成して使用されている。所
望の形状の発泡体を得る方法として、発泡粒子を金型内
に充填し、水蒸気等で加熱して発泡粒子相互を融着せし
めて所定形状の発泡体を得る型内成型法は、複雑な形状
の製品であっても比較的容易に得ることができる好まし
い方法であり、型内成型法で得られる型内発泡成型体は
多くの用途に利用されている。
【0003】ところで、ポリプロピレン系樹脂型内発泡
成型体は、静電気が帯電し易い性質がある。しかしなが
ら近年、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成型体の利用分
野が広がるにつれ、用途によっては発泡成型体への静電
気の帯電が大きな問題となっており、発泡成型体に帯電
防止能を付与する必要性が生じている。
【0004】このため、ポリプロピレン系樹脂発泡成型
体の製造に用いる発泡粒子に、帯電防止剤を含浸させた
り、発泡粒子表面に帯電防止剤を噴霧塗布して発泡粒子
に帯電防止能を付与することが試みられている。しかし
ながら帯電防止剤を含浸させたり噴霧塗布する場合、帯
電防止剤は粒子表面付近に含浸されているか、表面に付
着しているに過ぎないため、帯電防止剤量は充分な量と
は言い難く、このような発泡粒子を用いて得た発泡成型
体は、帯電防止能の持続性が乏しいとともに、発泡粒子
に帯電防止剤を含浸させたり噴霧塗布するための煩雑な
作業が必要となるという欠点があった。
【0005】一方、発泡粒子の製造原料である樹脂粒子
中に帯電防止剤を含有させておくことも試みられてい
る。樹脂粒子を製造するには、一般に、基材樹脂を押出
機内で溶融した後、押出機からストランド状に押出し、
次いでこれを切断する方法が採用されており、樹脂粒子
中に帯電防止剤を含有させる場合、押出機内で基材樹脂
を溶融した際に同時に帯電防止剤を練り込めば良いた
め、作業工程が煩雑となる虞れがないとともに、樹脂粒
子中に多量の帯電防止剤を含有させることができるた
め、帯電防止能の持続性も優れる利点がある。
【0006】しかしながら、帯電防止剤を発泡粒子の製
造原料樹脂中に予め練り込んだ場合、従来は、 表面固有抵抗値が1×1012Ω以下という優れた帯電
防止能を有する発泡粒子を得難い。 特に無架橋のポリプロピレン系樹脂の場合、成型時に
発泡粒子相互の融着性が低下し、発泡成型体中で粒子の
融着不良を生じ易い。 発泡成型体を包装材等として用いる場合、発泡成型体
をカットして凹部を形成し、その凹部に被包装製品を収
納することが多いが、発泡成型体の表面部においてはあ
る程度の帯電防止効果を得ることができても、発泡成型
体の切断面では帯電防止効果が期待できなかったり、あ
る程度の帯電防止能が発揮されるまでにきわめて長時間
を要する。等の問題があった。
【0007】上記の問題が生じるのは、主として発泡粒
子内に含有されている帯電防止剤の、発泡粒子表面への
ブリード性が原因している。樹脂中に練り込んだ帯電防
止剤は、樹脂に対して適度な相溶性を有している必要が
あり、帯電防止剤の樹脂に対する相溶性が良すぎる(高
すぎる)と、帯電防止剤がブリードし難くなって帯電防
止効果が発揮されなくなる。逆に帯電防止剤の樹脂に対
する相溶性が悪すぎる(低すぎる)と、帯電防止剤が短
時間で多量にブリードし、帯電防止能の持続性低下や発
泡粒子、発泡成型体表面のベタツキを生じたり、発泡粒
子を成型する際の粒子の融着性が低下する等の問題を生
じる。
【0008】発泡成型体に帯電防止性能を付与するとい
う目的から、発泡粒子内に含有されている帯電防止剤が
ブリードしてくるのは、発泡粒子を成型した後で良く、
発泡粒子の状態で多量の帯電防止剤がブリードした場
合、上記したように発泡粒子を成型する際の融着性を阻
害する等の不利益を生じることはあっても、好ましい結
果を生じることはない。従って、発泡粒子を成型する迄
の間に、多量の帯電防止剤がブリードすることがなく、
成型後に充分な帯電防止能を発揮できる程度の必要最少
量の帯電防止剤がブリードしてくるようなブリード速度
となるように、帯電防止剤の樹脂に対する相溶性をコン
トロールすることが好ましい。しかしながら、従来は帯
電防止剤が樹脂に対して適度な相溶性を有するようにコ
ントロールすることは困難であった。
【0009】本発明者等は上記課題を解決するために鋭
意研究した結果、特定量のノニオン系界面活性剤を含有
し、特定の結晶構造を有するポリプロピレン系樹脂から
得られる発泡粒子であり、且つ該発泡粒子も特定の結晶
構造を有するものとすることにより、帯電防止剤が適度
な速度でブリードし、該発泡粒子から得られる発泡成型
体は優れた帯電防止能を長期間に亘って発揮し得るとと
もに、成型時に発泡粒子の融着性を阻害することがな
く、粒子の融着性に優れた発泡成型体を得ることができ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち本発明のポリオレフ
ィン系樹脂発泡粒子は、帯電防止能を有する平均分子量
200〜1000のノニオン系界面活性剤を0.1〜
5.0重量%含有し、且つ示差走査熱量測定によって得
られるDSC曲線(但し、樹脂粒子2〜6mgを示差走査
熱量計によって10℃/分で220℃まで昇温した時に
得られるDSC曲線)における融解熱量が50〜95J
/gのポリプロピレン系樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子
を発泡して得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子であ
って、該発泡粒子は示差走査熱量測定によって得られる
DSC曲線(但し、発泡粒子2〜6mgを示差走査熱量計
によって10℃/分で220℃まで昇温した時に得られ
るDSC曲線)に、固有ピークとともに、該固有ピーク
より高温側に高温ピークが現れる結晶構造を有し、且つ
該高温ピークの熱量が10〜30J/gであることを特
徴とする。
【0011】また本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒
子の製造方法は、平均分子量200〜1000の帯電防
止能を有するノニオン系界面活性剤を0.1〜5.0重
量%含有し、且つ示差走査熱量測定によって得られるD
SC曲線(但し、樹脂粒子2〜6mgを示差走査熱量計に
よって10℃/分で220℃まで昇温した時に得られる
DSC曲線)における融解熱量が50〜95J/gのポ
リプロピレン系樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子を、密閉
容器内で無機ガス系発泡剤の存在下に分散媒に分散させ
て樹脂粒子が軟化する温度以上の温度にて発泡剤を含浸
した樹脂粒子と分散媒とを容器内より低圧下に放出して
樹脂粒子を発泡させ、示差走査熱量測定によって得られ
るDSC曲線(但し、発泡粒子2〜6mgを示差走査熱量
計によって10℃/分で220℃まで昇温した時に得ら
れるDSC曲線)に、固有ピークとともに、該固有ピー
クより高温側に高温ピークが現れる結晶構造を有し、且
つ該高温ピークの熱量が10〜30J/gである発泡粒
子を得ることを特徴とする。
【0012】本発明において、ノニオン系界面活性剤と
しては、高級脂肪酸グリセリンエステルまたは高級アル
キルアミンが好ましい。
【0013】本発明の発泡粒子は、ポリプロピレン系樹
脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡させることにより得ら
れる。基材樹脂であるポリプロピレン系樹脂としては、
例えば、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンブロッ
ク共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、
ブテン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−ブテ
ン−プロピレンランダム共重合体等が挙げられるが、な
かでも特にエチレン−プロピレンランダム共重合体、エ
チレン−ブテン−プロピレンランダム共重合体が好まし
い。これらの樹脂は無架橋のものでも架橋したものでも
良いが、リサイクルの面からは無架橋のものが好まし
い。
【0014】上記ポリプロピレン系樹脂粒子は、示差走
査熱量測定によって得られるDSC曲線における融解熱
量が50〜95J/gのものである。このDSC曲線と
は、、樹脂粒子2〜6mgを示差走査熱量計によって10
℃/分の昇温速度で220℃まで昇温して測定した時に
得られるDSC曲線であり、融解熱量とは図1に示すよ
うに、80℃から融解終了温度:Te(DSC曲線が高
温側でベースラインに戻った時の温度)まで間の、DS
C曲線とベースラインとに囲まれた部分(斜線の部分)
に相当する熱量である。
【0015】上記ポリプロピレン系樹脂粒子には、帯電
防止能を有する平均分子量200〜1000のノニオン
系界面活性剤が0.1〜5.0重量%、好ましくは0.
3〜3.0重量%含有されている。ノニオン系界面活性
剤はカチオン系や両性のものに比べて熱安定性に優れ、
150〜220℃の高温で樹脂を溶融して樹脂中に練り
込んだり、発泡粒子を金型内に充填して加熱成型する際
の熱によって帯電防止能が劣化したり、樹脂が着色した
りすることがない。またアニオン系界面活性剤に比べて
帯電防止能が優れ、しかもアニオン系、カチオン系、両
性の界面活性剤に比べ、ノニオン系界面活性剤は樹脂中
から水中へ溶出し難い。このため、界面活性剤を練り込
んだ樹脂をストランド状に水中に押出して冷却する際
や、樹脂粒子の発泡に際し、樹脂粒子と発泡剤とを密閉
容器内で水等の分散媒に分散させ、樹脂粒子に発泡剤を
含浸させた後、樹脂粒子を容器内から放出して発泡する
等の方法を採用した場合でも樹脂から界面活性剤が溶出
して帯電防止能が低下する虞れがない。
【0016】上記ノニオン系界面活性剤としては下記化
1で示されるN,N−(2−ヒドロキシエチル)アルキ
ルアミン、下記化2で示されるモノグリセリンの高級脂
肪酸エステル、下記化3で示されるジグリセリンの高級
脂肪酸エステル、下記化4、又は化5で示されるソルビ
タン高級脂肪酸エステル、下記化6で示されるアルキル
ジエタノールアミドが好ましく、特に高級アルキルアミ
ン、高級脂肪酸グリセリンエステルが好ましい。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】上記界面活性剤は単独又は2種以上を組み
合わせて使用することができる。ノニオン系界面活性剤
として、平均分子量200未満のものを使用すると、帯
電防止能の持続性が乏しくなり、平均分子量1000を
超えるものを使用すると帯電防止能を発現するために必
要な時間が2週間以上と長くなるため好ましくない。界
面活性剤の樹脂粒子中における含有量は0.1〜5.0
重量%であり、0.1重量%未満であると充分な帯電防
止能が付与されず、5重量%を超える量の帯電防止剤が
含有されると発泡粒子の融着性が不良となり、良好な発
泡成型体が得られなくなる場合が多い。
【0024】上記界面活性剤を含有する樹脂粒子として
は、直径(D)が0.5〜2mm、長さ(L)が0.5〜
3mmで、且つ長さと直径の比(L/D)が1.5〜2.
5程度のものが好ましい。
【0025】界面活性剤を含有する樹脂粒子を得る方法
としては、ポリプロピレン系樹脂とノニオン系界面活性
剤とを押出機内で溶融混練し、次いで溶融混練物を押出
機からストランド状に押出し、冷却後にストランドをカ
ットして粒状とする方法が挙げられる。具体的には樹脂
に対してノニオン系界面活性剤を2〜20重量%の割合
で加え、三本ロール、ニーダー、押出機等によって10
0〜250℃に加熱し、溶融混練してマスターバッチを
作成し、次いで界面活性剤の最終的な含有量が0.1〜
5.0重量%となるように、上記マスターバッチと界面
活性剤を含有しないポリプロピレン系樹脂とを溶融混合
して上記したように押出機からストランド状に押出して
カットして樹脂粒子を得ることができる。上記方法(マ
スターバッチ法)によれば、界面活性剤を樹脂粒子中に
均一に分散して含有させることができる。尚、必要によ
り、樹脂粒子を製造する際に界面活性剤とともに顔料等
の着色剤や各種添加剤を添加することもできる。
【0026】本発明の発泡粒子は、発泡粒子2〜6mgを
示差走査熱量計によって10℃/分の昇温速度で220
℃まで昇温した時に得られるDSC曲線に、図2に示す
ようにポリプロピレン系樹脂に固有の固有ピーク1と、
該固有ピーク1より高温側の高温ピーク2とが現れ、該
高温ピーク2の熱量(図2の斜線の部分に相当する熱
量)が10〜30J/gである結晶構造を有する。
【0027】上記固有ピーク1と高温ピーク2とは上記
条件で第1回目の測定を行って得たDSC曲線(図2)
と、第1回目の測定終了後、室温付近まで冷却した後、
同様の条件で第2回目の測定を行って得たDSC曲線
(図示せず)を比較することにより区別できる。固有ピ
ーク1とは、発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂
固有の吸熱ピークであり、固有ピーク1は第1回目のD
SC曲線にも、第2回目のDSC曲線にも現れるピーク
である(但し、ピークの頂点の温度は、第1回目と第2
回目とで多少異なる場合がある。)。
【0028】一方、高温ピーク2とは、第1回目のDS
C曲線において固有ピーク1よりも高温側に現れる吸熱
ピークであり、第2回目のDSC曲線には現れない。第
1回目のDSC曲線に高温ピーク2が現れない発泡粒子
は型内で発泡成型する際の成型性が悪く、性状の良好な
発泡成型体を得ることが困難となる。尚、第1回目のD
SC曲線に現れる高温ピーク2の頂点の温度と、第2回
目のDSC曲線における固有ピークの頂点の温度との差
は大きいことが望ましく、両者の差は5℃以上、好まし
くは10℃以上である。
【0029】上記DSC曲線に高温ピーク2が現れるポ
リプロピレン系樹脂発泡粒子には、高温ピーク2が現れ
ない発泡粒子とは異なる結晶構造が存在する。上記した
ように固有ピーク1は第1回目のDSC曲線にも第2回
目のDSC曲線にも略同様に現れるのに対し、高温ピー
ク2は第1回目のDSC曲線にだけ現れ、同一条件で測
定を行った第2回目のDSC曲線には現れないことか
ら、高温ピーク2が現れる結晶構造とは、基材樹脂自体
の結晶構造等に起因するものではなく、発泡粒子として
の形態におけるポリプロピレン系樹脂発泡粒子が有する
結晶構造に起因するものと考えられる。固有ピーク1と
ともに高温ピーク2を有するポリプロピレン系樹脂発泡
粒子は、発泡温度や発泡温度での保持時間等の発泡条件
を調節することにより得られる。
【0030】本発明の発泡粒子は、前記した如き方法等
で製造した、界面活性剤を含有する樹脂粒子を、密閉容
器内で発泡剤の存在下に分散媒に分散させ、該樹脂粒子
が軟化する温度以上の温度(発泡温度)に保持して樹脂
粒子内に発泡剤を含浸させ、次いで容器の一端を開放し
て樹脂粒子と分散媒とを容器内よりも低圧の雰囲気下
(通常は大気圧下)に放出して樹脂粒子を発泡させる方
法により得ることができる。
【0031】上記発泡方法において、樹脂粒子を発泡温
度まで加熱する際に、樹脂粒子の融解終了温度:Te
(℃)以上に昇温することなく、発泡温度を樹脂の融
点:Tm(℃)−20℃以上、融解終了温度:Te
(℃)未満の温度とし、発泡温度までの昇温速度を適宜
調節することにより、上記した固有ピーク1と高温ピー
ク2とを有する発泡粒子を得ることができる。また、上
記発泡温度を上記の範囲内で適宜調節したり、樹脂粒子
を発泡温度に加熱する迄の間に、Te未満で且つTe付
近の温度にて充分な時間(通常、5〜45分程度)かけ
て一旦保持することにより、高温ピークの融解エネルギ
ーの値を調整することができる。尚、高温ピークの熱量
の値は、Te付近での保持時間よりも発泡温度に、より
大きく影響される。
【0032】尚、上記融点:Tmとは、樹脂粒子のDS
C曲線に現れる固有ピークの頂点の温度であり、融解終
了温度:Teとは、樹脂粒子のDSC曲線に現れる固有
ピークの裾が、高温側でベースラインの位置に戻った時
の温度である。尚、発泡粒子の第2回目のDSC曲線
と、樹脂粒子のDSC曲線の示すTm及びTeは略同じ
温度であり、融解熱量も略同じ値を示すため、発泡粒子
の第2回目のDSC曲線より樹脂粒子のDSC曲線の示
す、Tm、Te及び融解熱量の近似値が得られる。
【0033】発泡粒子を得るために用いる発泡剤として
は、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブ
タン、シクロペンタン、シクロヘキサン、トリクロロフ
ロロメタン、ジクロロジフロロメタン、クロロフロロメ
タン、トリフロロメタン、1,2,2,2-テトラフロロエタ
ン、1-クロロ-1,1- ジフロロエタン、1,1-ジフロロエタ
ン、1-クロロ-1,2,2,2- テトラフロロエタン等の揮発性
発泡剤や、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等の無機
ガス発泡剤等が用いられるが、なかでもオゾン層破壊の
虞れがなく、安価な無機ガスを主成分とする無機ガス系
発泡剤が好ましい。無機ガス系発泡剤としては特に窒
素、空気、二酸化炭素が特に好ましく、また無機ガス発
泡剤を主成分として、それに揮発性発泡剤を混合したも
のも使用できる。
【0034】発泡剤の使用量は、窒素、空気以外の発泡
剤では、樹脂粒子100重量部当たり、1〜50重量部
程度であり、窒素、空気を発泡剤として用いる場合、2
0〜60kgf/cm2 Gの圧力で密閉容器内に圧入する。発
泡剤の実際の使用量は、得ようとする発泡粒子の嵩密度
と発泡温度との関係や、融解熱量等を考慮して選択す
る。
【0035】密閉容器内において樹脂粒子を分散させる
ための分散媒としては、樹脂粒子を溶解させないもので
あれば良い。このような分散媒としては、例えば水、エ
チレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノー
ル等が挙げられるが、通常は水が用いられる。
【0036】分散媒に分散せしめた樹脂粒子を発泡温度
に加熱するに際し、樹脂粒子相互の融着を防止するた
め、融着防止剤を分散媒に添加して用いることができ
る。融着防止剤としては水等の分散媒に溶解せず、加熱
によって溶融しないものであれば無機系、有機系を問わ
ず使用可能であるが、一般には無機系の融着防止剤が好
ましい。無機系の融着防止剤としては、カオリン、タル
ク、マイカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化ア
ルミニウム等の粉体が好適である。また分散助剤として
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナ
トリウム等のアニオン系界面活性剤を用いることが好ま
しい。
【0037】上記融着防止剤は、平均粒径0.001〜
100μm、特に0.001〜30μmのものが好まし
い。融着防止剤の添加量は樹脂粒子100重量部当たり
に対し、通常0.01〜10重量部が好ましい。また界
面活性剤は樹脂粒子100重量部当たりに対し、通常
0.001〜5重量部添加することが好ましい。
【0038】
【実施例】以下、実施例、比較例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。 実施例1〜5、比較例1〜7 表1に示すポリプロピレン系樹脂に、同表に示す界面活
性剤を5重量%添加し、140〜150℃に加熱した加
圧ニーダーで充分混練した後、冷却し、次いで角ペレタ
イザーにより造粒し、粒状の界面活性剤のマスターバッ
チとした。また同様に水酸化アルミニウムのマスターバ
ッチも造粒した。次にこれらのマスターバッチと、界面
活性剤を含有しない同種の樹脂とを、水酸化アルミニウ
ムの含有量が0.05重量%、界面活性剤の含有量が表
1に示す値となるような割合で混合し、押出機内で20
0〜220℃に加熱溶融して混練した後、ストランド状
に押出し、次いでペレタイザーで造粒し、直径(D)が
1mm、長さ(L)が2mmのポリプロピレン系樹脂粒子を
得た。
【0039】
【表1】
【0040】上記のようにして得た界面活性剤を含有す
る樹脂粒子1kgを、内容積5リットルの密閉容器内で、
融着防止剤としてカオリン4g、分散助剤としてドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.3gを配合した3
000ccの水に分散させ、容器内に発泡剤として二酸化
炭素をドライアイスで40〜90g使用し、攪拌しなが
ら樹脂の融解終了温度以上の温度に昇温することなく、
138〜151℃の保持温度で15分間保持した。その
後、更に発泡温度である143〜156℃まで昇温して
15分間保持した後、二酸化炭素を容器内に導入して発
泡剤の平衡蒸気圧に等しい背圧をかけ、容器内圧を一定
に保持するようにして容器の一端を開放し、樹脂粒子と
分散媒とを同時に大気圧下に放出し、樹脂粒子を発泡せ
しめた。
【0041】得られた発泡粒子の性状を表2に示す。ま
たこの発泡粒子を常温、常圧下で48時間放置して熟成
した後、金型に充填して水蒸気で加熱成型した。得られ
た発泡成型体の性状を表2にあわせて示す。
【0042】
【表2】
【0043】※2:発泡粒子の粒子状態は、発泡粒子の
形状の良否、収縮の有無、粒子中の気泡の大きさ等を観
察し、以下の基準で判定した。 ○・・・形状の変形、収縮、気泡の微細化がみられな
い。 △・・・変形、収縮、気泡の微細化の生じた粒子が多少
存在する。 ×・・・変形、収縮、気泡の微細化の生じた粒子がきわ
めて多く存在する。
【0044】※3:発泡成型体の表面平滑性は、発泡成
型体表面を観察し、 ○・・・表面平滑で凹凸、皺が少ない。 ×・・・表面平滑性に劣り、凹凸、皺が大きい。 として評価した。
【0045】※4:発泡成型体における粒子の融着性
は、成型体を長さ150mm、幅50mm、厚さ10mmに切
り取った試験片を、引張試験機にて500mm/分の速度
で引っ張って破断させ、その破断面の状態を観察し、 ○・・・材質間の破壊が生じ、粒子間の切断が殆どな
い。 ×・・・粒子間で切断されている。 として評価した。
【0046】※5:成型体のスキン層の表面抵抗値は、
成型体を成型後、温度20℃、相対湿度65%の条件下
で1日養生した後に測定した。
【0047】※6:成型体のカット面の表面固有抵抗値
は、成型体をカット後、温度20℃、相対湿度65%の
条件下で10日間養生した後に測定した。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明のポリプロピ
レン系樹脂発泡粒子は、分子量200〜1000の帯電
防止能を有するノニオン系界面活性剤を特定の割合で含
有し、且つ特定の融解熱量を有するポリプロピレン系樹
脂粒子よりなる発泡粒子であり、また発泡粒子の示差走
査熱量測定で得られるDSC曲線に固有ピークと高温ピ
ークとが現れ、該高温ピークの融解エネルギーが特定の
範囲となる結晶構造を有することにより、本発明の発泡
粒子は成型時の融着性に優れるとともに、本発明発泡粒
子から得られた発泡成型体は、優れた帯電防止能を有
し、また帯電防止能の持続性にも優れる効果がある。本
発明によれば、発泡粒子に帯電防止剤を含有させた場
合、成型時の発泡粒子の融着性を確保することと、得ら
れた発泡成型体に優れた帯電防止能を付与することとを
両立することが困難であったポリプロピレン系樹脂発泡
粒子において、両課題を同時に満足することができる。
【0049】また本発明方法によれば、無機ガス系発泡
剤を使用する際の発泡倍率のバラツキの問題もなく、倍
率向上、気泡径の均一化等の効果も期待でき、優れたポ
リプロピレン系樹脂発泡粒子を確実に製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】界面活性剤を含む発泡前の樹脂粒子の示差走査
熱量測定によって得られたDSC曲線を示す。
【図2】発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られた
DSC曲線を示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯電防止能を有する平均分子量200〜
    1000のノニオン系界面活性剤を0.1〜5.0重量
    %含有し、且つ示差走査熱量測定によって得られるDS
    C曲線(但し、樹脂粒子2〜6mgを示差走査熱量計によ
    って10℃/分で220℃まで昇温した時に得られるD
    SC曲線)における融解熱量が50〜95J/gのポリ
    プロピレン系樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子を発泡して
    得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、該発
    泡粒子は示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線
    (但し、発泡粒子2〜6mgを示差走査熱量計によって1
    0℃/分で220℃まで昇温した時に得られるDSC曲
    線)に、固有ピークとともに、該固有ピークより高温側
    に高温ピークが現れる結晶構造を有し、且つ該高温ピー
    クの熱量が10〜30J/gであることを特徴とするポ
    リプロピレン系樹脂発泡粒子。
  2. 【請求項2】 ノニオン系界面活性剤が高級脂肪酸グリ
    セリンエステルである請求項1記載のポリプロピレン系
    樹脂発泡粒子。
  3. 【請求項3】 ノニオン系界面活性剤が高級アルキルア
    ミンである請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒
    子。
  4. 【請求項4】 平均分子量200〜1000の帯電防止
    能を有するノニオン系界面活性剤を0.1〜5.0重量
    %含有し、且つ示差走査熱量測定によって得られるDS
    C曲線(但し、樹脂粒子2〜6mgを示差走査熱量計によ
    って10℃/分で220℃まで昇温した時に得られるD
    SC曲線)における融解熱量が50〜95J/gのポリ
    プロピレン系樹脂を基材樹脂とする樹脂粒子を、密閉容
    器内で無機ガス系発泡剤の存在下に分散媒に分散させて
    樹脂粒子が軟化する温度以上の温度にて発泡剤を含浸し
    た樹脂粒子と分散媒とを容器内より低圧下に放出して樹
    脂粒子を発泡させ、示差走査熱量測定によって得られる
    DSC曲線(但し、発泡粒子2〜6mgを示差走査熱量計
    によって10℃/分で220℃まで昇温した時に得られ
    るDSC曲線)に、固有ピークとともに、該固有ピーク
    より高温側に高温ピークが現れる結晶構造を有し、且つ
    該高温ピークの熱量が10〜30J/gである発泡粒子
    を得ることを特徴とする、ポリプロピレン系樹脂発泡粒
    子の製造方法。
  5. 【請求項5】 ノニオン系界面活性剤が高級脂肪酸グリ
    セリンエステルである請求項4記載のポリプロピレン系
    樹脂発泡粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 ノニオン系界面活性剤が高級アルキルア
    ミンである請求項4記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒
    子の製造方法。
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