JPH10147661A - 難燃性ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子およびそれを用いた型内発泡成形体の製法 - Google Patents

難燃性ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子およびそれを用いた型内発泡成形体の製法

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JPH10147661A
JPH10147661A JP8308198A JP30819896A JPH10147661A JP H10147661 A JPH10147661 A JP H10147661A JP 8308198 A JP8308198 A JP 8308198A JP 30819896 A JP30819896 A JP 30819896A JP H10147661 A JPH10147661 A JP H10147661A
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resin
flame retardant
polyolefin
flame
melting peak
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JP8308198A
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English (en)
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Ryoji Nakayama
亮二 中山
Tadayuki Ichimura
忠行 市村
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた難燃性を有し、かつ複雑な形状を有す
る発泡体を製造することができる難燃性ポリオレフィン
系樹脂予備発泡粒子を提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂、難燃剤および難
燃相乗剤を含む樹脂組成物からなり、示差走査熱量計法
による測定で2つの融解ピーク温度を有し、該2つの融
解ピーク温度のうち高温側の融解ピーク熱量QHが1.
5〜25.0J/gであることを特徴とする難燃性ポリ
オレフィン系樹脂予備発泡粒子を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は難燃性ポリオレフィ
ン系樹脂予備発泡粒子を製造し、製造された難燃性ポリ
オレフィン系樹脂予備発泡粒子を用いて型内発泡成形体
を製造する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィン系樹脂発泡体は、ポリス
チレン発泡体などと比較して、耐薬品性、耐熱性、圧縮
後の歪み回復率などが優れている。また、ポリオレフィ
ン系樹脂予備発泡粒子を金型内で成形することによりえ
られる型内発泡成形体は、複雑な形状の製品がえられる
などの利点があるため、緩衝包装材、通い箱、車のバン
パー用芯材など、多岐にわたる分野に利用されている。
【0003】しかしながら、一般的にポリオレフィン系
樹脂は前記のような優れた特性を有する反面、燃焼しや
すいという欠点を有する。とくに、発泡成形体は非発泡
成形体と比較して燃焼性が高く、容易に燃焼してしまう
という欠点を有する。
【0004】近年、自動車部材や建築材料に、難燃性や
自己消化性を有することが要望されており、これらの要
望に応えるべく難燃性を付与した発泡成形体をうる研究
が広く行なわれている。
【0005】発泡体に難燃性を付与する方法として、無
機系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、燐系難燃剤などを樹脂
中に混練し、熱分解型発泡剤の分解温度以下の温度で溶
融混練してシート状などの形状に成形したのち、該発泡
剤の分解温度以上に加熱して発泡させる方法がある。
【0006】また、型内発泡成形体に難燃性を付与する
方法として、予備発泡粒子の表面に難燃剤を塗布する方
法がある。
【0007】さらに、難燃剤を含むポリオレフィン系樹
脂から予備発泡粒子を製造し、型内発泡成形体を製造す
る方法も試みられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記発泡体に難燃性を
与える方法において、分解型発泡剤を使用する方法では
複雑な形状の発泡体が得難く、さらに高倍率の発泡体が
得難いという欠点がある。
【0009】また、予備発泡粒子の表面に難燃剤を塗布
する方法では、予備発泡粒子表面に難燃剤を塗布するた
めに工程が増え、複雑になるばかりでなく、表面に難燃
剤が付着することによって成形の際の予備発泡粒子同士
の融着がわるくなるなどの問題がある。
【0010】さらに、難燃剤を含むポリオレフィン系樹
脂から予備発泡粒子を製造し、型内発泡成形体を製造す
るばあい、所望の難燃レベルまで難燃剤を添加すると機
械的強度や熱変形温度の低下を招くなどの問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、優れた難
燃性を有し、かつ複雑な形状を有する発泡体を製造する
ことができる難燃性ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子
および該予備発泡粒子からなる型内発泡成形体をうるた
めに鋭意検討を重ねた結果、難燃剤および難燃相乗剤を
含み、かつ特定の融解ピーク温度パターンおよび特定の
融解ピーク熱量を有する予備発泡粒子を金型内に充填し
て成形するばあいには前記課題を解決しうることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は、ポリオレフィン系樹
脂、難燃剤および難燃相乗剤を含む樹脂組成物からな
り、示差走査熱量計による測定で2つの融解ピーク温度
を有し、該2つの融解ピーク温度のうちの高温側の融解
ピーク熱量QHが1.5〜25.0J/gであることを
特徴とする難燃性ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子
(請求項1)、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン
系樹脂であり、前記融解ピーク熱量QHが1.5〜2
0.0J/gである請求項1記載の難燃性ポリオレフィ
ン系樹脂予備発泡粒子(請求項2)、ポリオレフィン系
樹脂がポリエチレン系樹脂であり、前記融解ピーク熱量
QHが3.0〜25.0J/gである請求項1記載の難
燃性ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子(請求項3)、
難燃剤がエチレンビスペンタブロモジフェニルまたはエ
チレンビステトラブロモフタルイミドであり、難燃相乗
剤が酸化アンチモンである請求項1、2または3記載の
難燃性ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子(請求項
4)、ポリオレフィン系樹脂100部(重量部、以下同
様)に対して、難燃剤1〜30部および難燃相乗剤0.
5〜15部を含有する請求項1、2、3または4記載の
難燃性ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子(請求項
5)、ポリオレフィン系樹脂、難燃剤および難燃相乗剤
を含む樹脂組成物からなり、示差走査熱量計による測定
で2つの融解ピーク温度を有し、該2つの融解ピーク温
度のうちの高温側の融解ピーク熱量QHが1.5〜2
5.0J/gである難燃性ポリオレフィン系樹脂予備発
泡粒子を閉鎖しうるが密閉しえない金型に充填し、水蒸
気で加熱し、融着させて型通りに成形することを特徴と
する型内発泡成形体の製法(請求項6)、ポリオレフィ
ン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、前記融解ピー
ク熱量QHが1.5〜20.0J/gである請求項6記
載の型内発泡成形体の製法(請求項7)、ポリオレフィ
ン系樹脂がポリエチレン系樹脂であり、前記融解ピーク
熱量QHが3.0〜25.0J/gである請求項6記載
の型内発泡成形体の製法(請求項8)、難燃剤がエチレ
ンビスペンタブロモジフェニルまたはエチレンビステト
ラブロモフタルイミドであり、難燃相乗剤が酸化アンチ
モンである請求項6、7または8記載の型内発泡成形体
の製法(請求項9)およびポリオレフィン系樹脂100
部に対して、難燃剤1〜30部および難燃相乗剤0.5
〜15部を含有する請求項6、7、8または9記載の型
内発泡成形体の製法(請求項10)に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるポリオレフィ
ン系樹脂は、ポリスチレンのばあいと比較して耐薬品
性、耐熱性、圧縮後の歪回復率などに優れ、複雑な形状
の型内発泡成形体がえられるなどの利点を有する予備発
泡粒子の基体となる成分であり、オレフィン系単量体7
5〜100%(重量%、以下同様)、さらには80〜9
9%およびオレフィン系単量体と共重合性を有するその
他の単量体0〜25%、さらには1〜15%を重合させ
た樹脂である。オレフィン系単量体の割合が75%未満
になると用いたオレフィン系単量体の特性が充分に保持
されなくなる傾向が生じる。
【0014】前記オレフィン系単量体の具体例として
は、たとえばエチレン、プロピレン、ブテン−1、イソ
ブテン、ペンテン−1、3−メチル−ブテン−1、ヘキ
セン−1、4−メチル−ペンテン−1、3,4−ジメチ
ル−ブテン−1、へプテン−1、3−メチル−ヘキセン
−1、オクテン−1、デセン−1などの炭素数2〜12
のα−オレフィンなどがあげられる。これらは単独で用
いてもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0015】また、前記オレフィン系単量体と共重合性
を有するその他の単量体の具体例としては、たとえばシ
クロペンテン、ノルボルネン、1,4,5,8−ジメタ
ノ−1,2,3,4,4a,8,8a−6−オクタヒド
ロナフタレンなどの環状オレフィン、5−メチレン−2
−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、
1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエ
ン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエンな
どがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上
組み合わせて用いてもよい。
【0016】前記のごときオレフィン系単量体およびこ
れらと共重合性を有するその他の単量体から形成される
オレフィン系樹脂の具体例としては、たとえば高密度ポ
リエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのエチレン単独重合
体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重
合体(エチレン含有率1〜15%、プロピレン含有率8
5〜99%)、エチレンおよび(または)プロピレンと
他の単量体との共重合体であるプロピレン−ブテン共重
合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレ
ン−プロピレン−ジエン共重合体などがあげられる。こ
れらのうちでは低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリ
エチレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体(エ
チレン含有率1〜15%、プロピレン含有率85〜99
%)が均一かつ独立な気泡構造をもつ予備発泡粒子が容
易にえられるという点から好ましい。
【0017】前記ポリオレフィン系樹脂は無架橋のもの
がコスト面、リサイクル面および工程の簡略化などの点
から好ましいが、パーオキサイドや放射線などにより架
橋させたものであってもよい。
【0018】これらのポリオレフィン系樹脂は単独で用
いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】前記ポリオレフィン系樹脂は、MI(溶融
粘度)0.1〜50g/10分、さらには0.3〜40
g/10分であるものが好ましい。ポリオレフィン系樹
脂のMIが0.1g/10分未満になると該樹脂の発泡
時の流動性がとぼしくなり、発泡が困難となり、50g
/10分をこえると該樹脂は逆に過度に高い流動性を示
し、高度に発泡しにくくなり、また発泡後に収縮しやす
くなる傾向が生じる。
【0020】前記ポリオレフィン系樹脂には、必要に応
じてポリオレフィン系樹脂と混合使用可能な他の熱可塑
性樹脂、たとえばポリスチレン、アイオノマーなどをポ
リオレフィン系樹脂の性質が失われない範囲で混合使用
してもよい。
【0021】本発明に使用される難燃剤としては、ポリ
オレフィン系樹脂に添加可能な難燃剤であれば使用しう
るが、比較的少量の添加量で所望の難燃性が付与できる
などの点からハロゲン系難燃剤が好ましい。
【0022】前記好ましいハロゲン系難燃剤の具体例と
しては、たとえばエチレンビスペンタブロモジフェニル
(EBPBD)、エチレンビステトラブロモフタルイミ
ド(EBTBI)、テトラブロモビスフェノールA(T
BA)、ヘキサブロモシクロドデカン、TBAエポキシ
オリゴマーなどがあげられる。これらのうち、EBPB
DおよびEBTBIはともに融点(EBPBD:345
℃、EBTBI:450℃)および分解温度(EBPB
D:370℃、EBTBI:450℃)が高いため、成
形温度および予備発泡温度で溶融したり分解することが
なく、また、加熱変形温度の高い成形品がえられる点か
ら好ましい。さらに、臭素含有率が高く(EBPBD:
82%、EBTBI:66%)、比較的少量の添加で良
好な難燃性を付与することができる点からも好ましい。
【0023】前記難燃剤は単独で用いてもよく2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0024】前記難燃剤の添加量はポリオレフィン系樹
脂100部に対して1〜30部、さらに1〜20部であ
るのが好ましい。難燃剤の添加量が1部未満では充分な
難燃性がえられず、30部をこえると、えられる予備発
泡粒子が連続気泡化するとともに成形性が低下し、えら
れる型内発泡成形体の物性が低下する傾向が生じる。
【0025】本発明に使用される難燃相乗剤は、前記難
燃剤ととも併用することにより難燃化効果を向上させる
成分である。
【0026】前記難燃相乗剤としては、ハロゲン系難燃
剤と組み合わせて使用することによって好ましい効果が
えられる酸化アンチモン、とくに三酸化アンチモンが好
ましい。
【0027】前記難燃相乗剤の添加量はポリオレフィン
系樹脂100部に対して0.5〜15部、さらに0.5
〜10部であるのが好ましく、通常、難燃剤と難燃相乗
剤との添加量の比は、重量比で2〜3:1であるのが好
ましい。
【0028】本発明の難燃性ポリオレフィン系樹脂予備
発泡粒子は、前記ポリオレフィン系樹脂、難燃剤および
難燃相乗剤を含む樹脂組成物からの予備発泡粒子である
が、前記樹脂組成物には、さらに必要に応じて難燃相乗
剤以外の難燃助剤やフィラー、他の添加剤、たとえば安
定剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤などを
加えてもよい。
【0029】本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒
子は、前記のごときポリオレフィン系樹脂、難燃剤、難
燃相乗剤、必要により加えられる成分を含む組成物から
形成された予備発泡粒子である。
【0030】前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子
は、示差走査熱量計による測定(DSC法)で2つの融
解ピーク温度を有し、該2つの融解ピーク温度のうちの
高温側の融解ピーク熱量QHが1.5〜25.0J/g
である。該融解ピーク熱量QHが1.5J/g未満にな
ると、成形体の寸法収縮が大きくなり、また成形体の圧
縮強度などの機械的物性が低下する。また、25.0J
/gをこえると、成形体の表面性がわるくなるとともに
内部融着性がわるくなり、機械的物性が低下する。とく
にポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂のばあ
いには、融解ピーク熱量QHは1.5〜20.0J/
g、さらに5.0〜18.0J/g、とくに8.0〜1
4.0J/gであるのが好ましい。また、ポリオレフィ
ン系樹脂がポリエチレン系樹脂のばあい、3.0〜2
5.0J/g、さらに7.0〜22.0J/g、とくに
14.0〜20.0J/gであるのが好ましい。
【0031】融解ピーク熱量QHは樹脂の分子構造など
によって変わるが、一般に予備発泡温度を高くすると小
さくなる。
【0032】前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の
高温側の融解ピーク熱量QHは、通常の示差走査熱量計
(たとえばセイコー電子工業(株)製のSSC5200
H型)を用いて昇温速度10℃/分の速度で3〜10m
gのポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を用いてDSC
法により温度−吸熱カーブを求め、求められた2つの融
解ピーク温度において、図1に示すように低温側のピー
ク温度と高温側のピーク温度との間のグラフの勾配が0
になる点から高温側のピークが終わる側のグラフに接す
る直線Pを引き、直線Pと高温側のグラフとでかこまれ
た部分の熱量から求められる。
【0033】なお、図1は、エチレン含有率3.2%の
プロピレン−エチレンランダムコポリマーを基材樹脂と
する予備発泡粒子6mgを示差走査熱量計(セイコー電
子工業(株)製のSSC5200H型)を用いて昇温速
度10℃/分で測定したDSC法によるグラフである。
【0034】前記2つの融解ピーク温度の関係について
はとくに限定はないが、2つの融解ピーク温度の差が1
0〜25℃であるのが成形加熱時の融着がしやすくなる
という点から好ましい。2つの融解ピーク温度は樹脂の
分子構造、樹脂の熱履歴、発泡剤量、発泡温度、発泡圧
力などによって変わるが、高温側で予備発泡させると2
つの融解ピーク温度の差は大きくなる。
【0035】2つの融解ピークは、予備発泡させる際に
基材樹脂の融点付近まで加熱したのち急冷することによ
り結晶状態が変化するために生じ、その結果2つの融解
ピークを有する予備発泡粒子がえられる。
【0036】前記予備発泡粒子の密度は、要すれば使用
される充填剤の有無、樹脂密度などによっても異なる
が、通常0.01〜0.3kg/cm3、さらには0.
015〜0.18kg/cm3程度であり、発泡倍率は
通常3〜90倍、さらには5〜60倍程度である。
【0037】また、該予備発泡粒子の独立気泡率は65
%以上、さらには80%以上であるのが好ましく、平均
気泡径は50〜1000μm、さらには100〜800
μmであるのが好ましい。前記独立気泡率が65%未満
になると成形体が収縮し易くなるばかりでなく、成形す
る際の膨張圧が充分でないため融着性が低下し、また成
形体の外観が損われ、緩衝性も低下する傾向が生じる。
さらに、前記平均気泡径が50μm未満になると、成形
体に充分な強度を持たすことが困難となり、表面性が低
下し、1000μmをこえると成形体の緩衝性が低下
し、成形体の表面性が低下する傾向にある。
【0038】つぎに、本発明のポリオレフィン系樹脂予
備発泡粒子の製法について説明する。
【0039】ポリオレフィン系樹脂は、通常、予備発泡
に利用されやすいように、あらかじめ押出機、ニーダ
ー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて溶融し、
円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状などの所望
の粒子形状で、その粒子の平均粒径が0.1〜10m
m、好ましくは0.7〜5mmになるように形成加工さ
れる。難燃剤、難燃相乗剤および必要により加えられる
成分は、通常、樹脂粒子の製造過程において溶融した樹
脂中に添加される。
【0040】本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒
子を製造する方法にはとくに限定はないが、たとえば耐
圧容器中でポリオレフィン系樹脂粒子を水中に分散さ
せ、撹拌しながら発泡剤を含浸させ、所定の圧力、温度
まで加熱したのち、該水分散物を低圧域に放出するなど
の方法により製造される。
【0041】前記発泡剤としては、たとえばプロパン、
ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭
化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキ
サンなどの脂環式炭化水素類;クロロジフルオロメタ
ン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロ
ロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロ
メタン、ジクロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリ
フルオロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフ
ルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラ
フルオロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエ
タン、トリフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエ
タン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフ
ルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲ
ン化炭化水素類などの揮発性発泡剤や、二酸化炭素、チ
ッ素、空気などの無機ガス、さらには水などがあげられ
る。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせ
て用いてもよい。
【0042】前記発泡剤の使用量にはとくに限定はな
く、所望のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の発泡度
に応じて適宜使用すればよいが、たとえば脂肪族炭化水
素類、脂環式炭化水素類およびハロゲン化炭化水素類の
ばあい、通常、ポリオレフィン系樹脂粒子100部に対
して5〜50部である。
【0043】前記水分散物の調製の際に、分散剤とし
て、たとえば第3リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネ
シウム、炭酸カルシウムなどや、分散助剤として、少量
の界面活性剤、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ソ
ーダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、α−オレフィ
ンスルホン酸ソーダなどが使用される。これらはそれぞ
れ単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0044】前記分散剤や界面活性剤の使用量は、その
種類や用いるポリオレフィン系樹脂粒子の種類と使用量
などによって異なるが、通常、水100部に対して分散
剤のばあい0.2〜3部、分散助剤のばあい0.001
〜0.1部である。
【0045】前記ポリオレフィン系樹脂粒子は、水中で
の分散性を良好なものとするために、通常、水100部
に対して20〜100部添加されるのが好ましい。
【0046】前記水分散物はあらかじめ前記のように耐
圧容器中で所定の圧力、温度まで加熱されるが、加熱温
度は用いるポリオレフィン系樹脂粒子の種類、目的とす
るポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の有するDSC法
で測定される高温側の融解ピーク熱量QHを1.5〜2
5.0J/gのどの値にするかなどによって変わってく
るので一義的には定められないが、用いたポリオレフィ
ン系樹脂粒子のDSC法によって測定された融点(融解
ピーク温度)をTm℃としたとき、ほぼ(Tm−20)
〜(Tm+10)℃の範囲から決定される。予備発泡温
度が前記範囲内であれば、えられる予備発泡粒子はDS
C法で2つの融解ピーク温度を有し、融解ピーク熱量Q
Hが1.5〜25.0J/gの予備発泡粒子が容易にえ
られる。
【0047】なお、前記ポリオレフィン系樹脂粒子の融
点(融解ピーク温度)Tm℃は、ポリオレフィン系樹脂
粒子1〜10mgを用いて示差走査熱量計(たとえばセ
イコー電子工業(株)製のSSC5200H型)で10
℃/分の昇温速度で測定することにより求められる。図
2は、ポリオレフィン系樹脂粒子としてエチレン含有率
3.2%のプロピレン−エチレンランダムコポリマー粒
子5.5mgを用いて融点(Tm)を測定した例であ
る。
【0048】また、発泡圧力は主に所定の発泡倍率によ
り選択されるが、おおむね0.98〜4.90MPaで
ある。
【0049】前記耐圧容器にはとくに限定はなく、前記
圧力および温度に耐えられるものであればいずれのもの
でも使用しうる。前記耐圧容器の具体例としては、たと
えばオートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
【0050】水分散物は加圧下で加熱されたのち、2〜
10mmφの開口オリフィスを通して低圧域に放出さ
れ、ポリオレフィン系樹脂が予備発泡せしめられ、本発
明のポリオレフィン系予備発泡粒子がえられる。
【0051】本発明の予備発泡粒子から型内発泡成形体
をうる方法としては、予備発泡粒子を閉鎖しうるが密閉
しえない金型内に充填し水蒸気などにより加熱し粒子同
士を融着させ型どおりに成形する公知の方法が採用され
る。
【0052】たとえば、本発明の予備発泡粒子を必要に
応じて内圧付与をするかもしくはそのまま内圧付与をし
ないで成形型内に充填し、0.06〜0.42MPa程
度の水蒸気で粒子同士を融着させることにより所望の型
内発泡成形体をうることができる。
【0053】こうしてえられた型内発泡成形体は、優れ
た難燃性を有し、表面外観もよく、緩衝性や耐衝撃性な
どの機械的強度に優れており、各種用途に使用しうるが
自動車部材や建築材料など、難燃性や自己消化性の必要
とされる分野に好適に使用される。
【0054】本発明の予備発泡粒子として、ポリオレフ
ィン系樹脂、難燃剤および難燃相乗剤を含む樹脂組成物
からなり、示差走査熱量計による測定で2つの融解ピー
ク温度を有し、該2つの融解ピーク温度のうちの高温側
の融解ピーク熱量QHが1.5〜25.0J/gである
請求項1記載の予備発泡粒子を使用するばあいには、優
れた難燃性を有し、表面性や緩衝性、機械的強度などに
優れた型内発泡成形体を容易に製造しうる。
【0055】前記請求項1におけるポリオレフィン系樹
脂をポリプロピレン系樹脂とし、前記融解ピーク熱量Q
Hが1.5〜20.0J/gである請求項2記載の予備
発泡粒子を使用するばあいには、優れた難燃性を有し、
とくに機械的強度などの優れた型内発泡成形体を製造し
うる。
【0056】前記請求項1におけるポリオレフィン系樹
脂をポリエチレン系樹脂とし、前記融解ピーク熱量QH
が3.0〜25.0J/gである請求項3記載の予備発
泡粒子を使用するばあいには、優れた難燃性を有し、と
くに緩衝性の優れた型内発泡成形体を製造しうる。
【0057】前記請求項1、2または3における難燃剤
としてエチレンビスペンタブロモジフェニルまたはエチ
レンビステトラブロモフタルイミドを使用し、難燃相乗
剤として酸化アンチモンを使用する請求項4記載の予備
発泡粒子を使用するばあいには、機械的強度および熱変
形温度の低下の少ない型内発泡成形体を製造しうる。
【0058】前記請求項1、2、3または4における樹
脂組成物がポリオレフィン系樹脂100部に対して、難
燃剤1〜30部および難燃相乗剤0.5〜15部を含有
する請求項5記載の予備発泡粒子を使用するばあいに
は、充分な難燃性がえられ、かつ成形性および物性の低
下の少ない型内発泡成形体を製造しうる。
【0059】
【実施例】つぎに、本発明を実施例および比較例に基づ
き説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定され
るものではない。
【0060】なお、実施例および比較例における評価は
下記方法によって行なった。
【0061】(融点)示差走査熱量計(セイコー電子工
業(株)製のSSC5200H型)を用いて昇温速度1
0℃/分で、ポリオレフィン系樹脂粒子1〜10mgの
融点(Tm)を測定する。
【0062】(融解ピーク熱量QH)示差走査熱量計
(セイコー電子工業(株)製のSSC5200H型)を
用いて昇温速度10℃/分で、ポリオレフィン系樹脂予
備発泡粒子3〜10mgのDSC法による温度−吸熱カ
ーブを求め、求められた融解ピーク温度において、図1
に示すように低温側のピーク温度と高温側のピーク温度
との間のグラフの勾配が0になる点から高温側のピーク
が終わる側のグラフに接する直線Pを引き、直線Pと高
温側のグラフとでかこまれた部分の吸熱量を求め、1g
あたりの吸熱量を求める。
【0063】(密度)約2gの予備発泡粒子をとり、該
予備発泡粒子を水で洗浄し、乾燥させたのち予備発泡粒
子の重量W(g)およびエタノール水没体積V(c
3)を求め、予備発泡粒子の密度D(g/cm3)を次
式から求める。
【0064】
【数1】
【0065】(発泡倍率)樹脂組成物の密度d(g/c
3)および予備発泡粒子の密度D(g/cm3)から次
式により求める。
【0066】
【数2】
【0067】(独立気泡率)空気比較式比重計(たとえ
ば東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計930
型)を用いて測定した予備発泡粒子の真の体積v(cm
3)、予備発泡粒子の重量W(g)、樹脂組成物の密度
d(g/cm3)および予備発泡粒子のエタノール水没
体積V(cm3)から次式により求める。
【0068】
【数3】
【0069】(平均気泡径)予備発泡粒子10粒につ
き、それぞれ気泡径を測定し、10粒の平均値を求め
る。
【0070】(融着率)成形体を破断させ、その断面を
観察し、断面の粒子の全個数に対する破断粒子数の割合
を求め、以下の基準で評価する。 ◎:破断粒子の割合が80%以上 ○:破断粒子の割合が60〜80%未満 ×:破断粒子の割合が60%未満 通常、成形体として満足すべき融着率の水準は少なくと
も60%である。
【0071】(寸法収縮率)成形体寸法をノギスで測定
して、金型寸法に対する収縮率を計算する。 ○:収縮率3%未満 △:収縮率3〜5%未満 ×:収縮率5%以上
【0072】(表面外観)成形体表面を目視で観察し、
下記の基準で評価する。 ○:表面に凹凸がなく、各粒子間隙もほとんどない ×:表面に凹凸がなく、各粒子間隙がきわめて大きい
【0073】(難燃性)UL−94水平試験法に準じて
評価を行ない、下記の基準で評価する。 ○:HF−2に合格 ×:HF−2に不合格
【0074】実施例1〜5および比較例1〜3 エチレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン含有
率3.2%、MI 6g/10分)100部と、エチレ
ンビスペンタブロモジフェニル(EBPBD)および三
酸化アンチモンの表1に示す量とを混合し、50mmφ
短軸押出機で混練したのち造粒し、樹脂粒子(1.8m
g/粒)を製造した。
【0075】えられたポリオレフィン系樹脂粒子の融点
は145.1℃であった。
【0076】該樹脂粒子100部およびイソブタン11
部を、分散媒(パウダー状塩基性第3リン酸カルシウム
2部およびn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.05部
を含む水300部)とともに10リットル耐圧容器に仕
込み、該容器内部を所定温度に加熱した。ついで、容器
内圧力をイソブタンを圧入して所定発泡圧力(1.37
〜2.45MPa)に調整した。そののち、容器内圧力
をチッ素で保持しつつ、耐圧容器下部のバルブを開いて
水分散物を開孔径4.0mmφのオリフィス板を通して
大気圧下に放出することによって表1に記載の特性を有
する予備発泡粒子をえた。
【0077】
【表1】
【0078】えられた予備発泡粒子を290mm×27
0mm×40mmの金型に充填し、予備発泡粒子同士を
表2に記載の圧力(0.24〜0.41MPa)の水蒸
気で10秒間加熱、融着させ、表2に記載の特性を有す
る型内発泡成形体をえた。
【0079】
【表2】
【0080】実施例6〜10および比較例4〜6 実施例1〜5および比較例1〜3で用いたエチレンビス
ペンタブロモジフェニル(EBPBD)をエチレンビス
テトラブロモフタルイミド(EBTBI)にかえた以外
は実施例1〜5および比較例1〜3と同様にして表3に
記載の特性を有する予備発泡粒子および型内発泡成形体
をえた。
【0081】
【表3】
【0082】実施例11〜16および比較例7〜12 直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.93g/cm3
MI 2g/10分)100部と表3に記載の難燃剤お
よび三酸化アンチモンを混合し、50mmφ単軸押出機
で混練したのち造粒し、樹脂粒子(4.5mg/粒)を
製造した。えられたポリオレフィン系樹脂粒子の融点は
124.2℃であった。
【0083】該樹脂粒子100部およびイソブタン15
部を、分散媒(パウダー状塩基性第3リン酸カルシウム
2部およびn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.05部
を含む水300部)とともに10リットル耐圧容器に仕
込み、該容器内部を所定温度に加熱した。ついで、容器
内圧力をイソブタンを圧入して所定発泡圧力(1.18
〜2.16MPa)に調整した。そののち、容器内圧力
をチッ素で保持しつつ、耐圧容器下部のバルブを開いて
水分散物を開孔径4.4mmφのオリフィス板を通して
大気圧下に放出することによって表4に記載の特性を有
する予備発泡粒子をえた。
【0084】
【表4】
【0085】えられた予備発泡粒子を290mm×27
0mm×40mmの金型に充填し、予備発泡粒子同士を
表5に記載の圧力(0.06〜0.20MPa)の水蒸
気で10秒間加熱、融着させ、表5に記載の特性を有す
る型内発泡成形体をえた。
【0086】
【表5】
【0087】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡
粒子を用いて型内発泡させることにより、優れた難燃性
を有し、かつ融着率が高く、寸法収縮率が小さく、表面
外観性にも優れた型内発泡成形体をうることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の
1例をDSC法で測定したばあいの温度−吸熱曲線を示
すグラフである。
【図2】図1記載の予備発泡粒子の製造に使用したポリ
オレフィン系樹脂粒子を測定したばあいの温度−吸熱曲
線を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23/08 C08L 23/08 23/10 23/10 C09K 21/02 C09K 21/02 21/08 21/08 21/10 21/10 // B29K 105:04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂、難燃剤および難
    燃相乗剤を含む樹脂組成物からなり、示差走査熱量計に
    よる測定で2つの融解ピーク温度を有し、該2つの融解
    ピーク温度のうちの高温側の融解ピーク熱量QHが1.
    5〜25.0J/gであることを特徴とする難燃性ポリ
    オレフィン系樹脂予備発泡粒子。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン
    系樹脂であり、前記融解ピーク熱量QHが1.5〜2
    0.0J/gである請求項1記載の難燃性ポリオレフィ
    ン系樹脂予備発泡粒子。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系
    樹脂であり、前記融解ピーク熱量QHが3.0〜25.
    0J/gである請求項1記載の難燃性ポリオレフィン系
    樹脂予備発泡粒子。
  4. 【請求項4】 難燃剤がエチレンビスペンタブロモジフ
    ェニルまたはエチレンビステトラブロモフタルイミドで
    あり、難燃相乗剤が酸化アンチモンである請求項1、2
    または3記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒
    子。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系樹脂100重量部に対
    して、難燃剤1〜30重量部および難燃相乗剤0.5〜
    15重量部を含有する請求項1、2、3または4記載の
    難燃性ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子。
  6. 【請求項6】 ポリオレフィン系樹脂、難燃剤および難
    燃相乗剤を含む樹脂組成物からなり、示差走査熱量計に
    よる測定で2つの融解ピーク温度を有し、該2つの融解
    ピーク温度のうちの高温側の融解ピーク熱量QHが1.
    5〜25.0J/gである難燃性ポリオレフィン系樹脂
    予備発泡粒子を閉鎖しうるが密閉しえない金型に充填
    し、水蒸気で加熱し、融着させて型通りに成形すること
    を特徴とする型内発泡成形体の製法。
  7. 【請求項7】 ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン
    系樹脂であり、前記融解ピーク熱量QHが1.5〜2
    0.0J/gである請求項6記載の型内発泡成形体の製
    法。
  8. 【請求項8】 ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系
    樹脂であり、前記融解ピーク熱量QHが3.0〜25.
    0J/gである請求項6記載の型内発泡成形体の製法。
  9. 【請求項9】 難燃剤がエチレンビスペンタブロモジフ
    ェニルまたはエチレンビステトラブロモフタルイミドで
    あり、難燃相乗剤が酸化アンチモンである請求項6、7
    または8記載の型内発泡成形体の製法。
  10. 【請求項10】 ポリオレフィン系樹脂100重量部に
    対して、難燃剤1〜30重量部および難燃相乗剤0.5
    〜15重量部を含有する請求項6、7、8または9記載
    の型内発泡成形体の製法。
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