JP3523082B2 - 樹脂組成物及びそれを用いた接着方法 - Google Patents

樹脂組成物及びそれを用いた接着方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気または電子機器
等の部品の接着に使用する樹脂組成物に関し、特に耐熱
性と絶縁性が要求されるコイル用絶縁電線の接着あるい
はコイル支持部材との接着など高温環境下での接着力の
維持が必要な機器用部品の接着に好適な樹脂組成物、及
び該樹脂組成物を用いた接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年電気、電子機器類の小型化高性能化
はめざましいものがあり、それに用いられる部品類も高
い性能が要求されている。特に樹脂材料に対しては高絶
縁性、高耐熱性が求められている。電線の分野では、導
体上に絶縁被膜を介して融着塗料を塗布焼き付けた自己
融着性マグネットワイヤが、溶媒処理または加熱処理に
より、融着被膜が容易に溶解、膨潤または溶融し、線間
相互を融着固化せしめうることから、比較的簡単にフラ
ットコイル、偏向ヨークコイル、ボイスコイル等の自己
支持型コイルを作ることが可能であり、複雑な形状のコ
イル巻線に広く利用されている。このコイルの製造方法
としては、自己融着性マグネットワイヤを溶媒で処理し
て溶解、膨潤させて接着する溶媒接着型と、自己融着性
マグネットワイヤの融着被膜を熱風等により加熱処理し
て溶融後接着する熱接着型がある。コイル巻線の際、自
己融着性マグネットワイヤを溶媒処理するか、加熱処理
するかは融着被膜の特性で決まる。融着塗料の主成分樹
脂に用いる樹脂としては従来からポリビニルブチラール
樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド樹脂等が知られてい
るが、接着特性、電気特性等を考慮して溶媒接着型ワイ
ヤ及び熱接着型ワイヤともポリアミド樹脂が比較的多用
されている。溶媒接着型ワイヤの製造は、融着被膜を形
成する樹脂の良溶媒で有れば溶媒の種類に制限はない
が、その取り扱い性を考慮してアルコール溶媒を使用し
たアルコール巻線型が良く用いられる。このアルコール
巻線型の融着被膜に用いる樹脂としてアルコール可溶性
のポリアミド樹脂が多用されている。アルコール可溶性
ポリアミド樹脂としては、6−10ナイロンと6または
6,6−ナイロン等の共重合体である、ウルトラミッド
1C(BASF社製)、プラタボンドMX1603(日
本リルサン社製)、アミランCM40(東レ社製)等が
知られている。
【0003】一方、熱接着型ワイヤは、融着被膜に用い
る樹脂として、アルコール不溶性ポリアミド樹脂、例え
ばグリルアミドELY60(エムスジャパン社製)、ダ
イアミドL1801(ダイセル社製)、プラタボンドM
1426(日本リルサン社製)等を用いることが可能で
ある。しかしながら、これらの脂肪族ポリアミド樹脂は
熱可塑性であり、高融点の樹脂を使用することによっ
て、ある程度耐熱性の改善は可能であるが、150℃以
上の高温環境下では接着性の低下によるコイルの歪みや
融着面のズレの発生が避けられなかった。そのため、耐
熱性を向上させ、高温環境下での接着性を改善するた
め、これらのポリアミド樹脂に熱硬化樹脂、例えばエ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂などを混合し、巻線後に加
熱硬化させる試みがなされている。しかしながら、これ
らの熱硬化性樹脂は被膜とした場合の可撓性が乏しく、
多量の添加では巻線時に被膜がひび割れする等の問題で
添加量に制限があり、少量の添加では充分な耐熱性が得
られなかった。また、熱硬化性樹脂は塗料を被着材上に
塗布乾燥させる工程において加熱硬化が起こり、熱接着
型ではその後の加熱接着工程において被膜の溶融流動性
が不充分となり満足な接着強度が得られない場合があっ
た。一方、アルコール巻線型では硬化が進むとアルコー
ルへの再溶解性が悪くなり、その後の溶媒接着時に充分
な接着性が得られない問題が生じていた。
【0004】熱接着型ワイヤは、整列巻線性において溶
剤接着型ワイヤより優れており、寸法精度の良いコイル
を得ることができるため汎用性が高く、工程の自動化も
容易なため広範囲に使用されている。一方、溶剤接着型
ワイヤは、溶剤に可溶であれば高融点の樹脂でも用いる
ことが可能なため、耐熱性の要求される分野のコイルの
製造に適用されている。しかし前述のように、従来のコ
イルの製造においては、どちらの接着方法にいても充
分な耐熱性を有し、接着強度の良好なコイル被覆塗料と
接着方法がなかった。したがって、どちらのプロセスに
も適用可能な高耐熱、高絶縁性で接着強度の強い被覆材
料と接着方法が求められていた。
【0005】また、積層板製造の分野では、金属箔の一
面に耐熱性絶縁樹脂溶液を塗布し、乾燥硬化せしめた耐
熱絶縁層つき金属箔を得、該金属箔の絶縁コート層を内
面にしてプリプレグを挟み込みこれを熱圧して一体積層
化する製造方法が従来から知られている。この積層板の
耐熱性を向上させるため、各種の耐熱性樹脂を用いた金
属張り板が使用されている。例えば、ポリイミド樹脂系
銅張り板、ポリスルフォン樹脂系銅張り板、フッ素樹脂
系銅張り板等がある。しかしながらこれらの耐熱基板
は、一体積層化に際して、高温をかけた状態での熱圧が
必要になるため特殊な高温プレスが必要となることや素
材が高価であること等から経済的に乏しい基板にならざ
るを得ないという問題がある。さらに金属板との密着性
が悪いため、特殊な処理銅箔を用いる必要があったり、
耐熱性樹脂をエポキシ樹脂等で変性する等の方法が用い
られたりしている。このように、種々の煩雑な手法が用
いられているが、充分実用特性の満足できる耐熱性積層
板は得られていない。したがって、できるだけ低温の熱
圧処理で充分な接着性が得られ、しかも、耐熱性を有す
る積層板の製造が可能な高耐熱性塗料と接着方法が求め
られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する問題点を解決するためになされたものであ
り、特に耐熱性が要求されるコイル等の巻線や積層板の
製造、その他の電気、電子部品同士の接着において、溶
媒接着型または熱接着型のどちらでも容易に接着可能な
樹脂組成物及びそれを用いた接着方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の樹脂組成物は、
少なくとも、フェノール性水酸基を有する芳香族ポリア
ミド樹脂(以下、アラミド樹脂)と、アミド基の一部を
メトキシメチル化した線状ポリアミド樹脂とを含有する
樹脂組成物である。また、この樹脂組成物を用いた本発
明の接着方法は、第1の方法として本発明の樹脂組成物
を被着材A表面に塗布乾燥して樹脂被膜を形成させ
る工程;該樹脂被膜を加熱する工程;及び、該加熱され
ている樹脂被膜の表面に被着材Bを重ね合わせて接着す
る工程;よりなることを特徴とする接着方法である。第
2の方法として、本発明の樹脂組成物を被着材A表面
に塗布乾燥して樹脂被膜を形成させる工程;該樹脂被
の表面に被着体Bを重ね合わせる工程;及び、前記樹
脂被膜を加熱して被着材Aと被着材Bを接着する工程;
よりなることを特徴とする接着方法である。
【0008】第3の方法として、本発明の樹脂組成物を
被着材A表面に塗布乾燥して樹脂被膜を形成させる
工程;該樹脂被膜表面に樹脂被膜を溶解可能な溶媒を
塗布する工程;及び、前記樹脂被膜の表面に被着材Bを
重ね合わせて接着する工程;よりなることを特徴とする
接着方法である。第4の方法として本発明の樹脂組成物
を被着材A表面に塗布乾燥して樹脂被膜を形成させ
る工程;該樹脂被膜表面に樹脂被膜を溶解可能な溶媒
を塗布する工程;及び、前記樹脂被膜の表面に被着材B
を重ね合わせた後、加熱して接着する工程;よりなるこ
とを特徴とする接着方法である。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明
は、少なくとも耐熱性の良好なフェノール性水酸基を有
するアラミド樹脂と、自己融着性の良好なアミド基の一
部をメトキシメチル化した線状ポリアミド樹脂とを含有
させることで、高温での接着力低下が少なく自己融着性
を有する耐熱性に優れた樹脂組成物を提供する。本発明
の樹脂組成物におけるアラミド樹脂の割合は、アラミド
樹脂と線状ポリアミド樹脂を足した樹脂成分を100重
量部としたときに、好ましくは1〜70重量部、さらに
好ましくは10〜50重量部である。
【0010】芳香族ポリアミド樹脂は芳香族ジカルボン
酸と芳香族ジアミンとの縮合反応によって合成される。
本発明で使用するフェノール性水酸基を有する芳香族ポ
リアミド樹脂も同様に、少なくとも一方の成分、すなわ
ち、少なくともフェノール性水酸基含有芳香族ジカルボ
ン酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成
分、芳香族ジカルボン酸成分と少なくともフェノール性
水酸基含有芳香族ジアミン成分を含む芳香族ジアミン成
分、または少なくともフェノール性水酸基含有芳香族ジ
カルボン酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と少なくとも
フェノール性水酸基含有芳香族ジアミンを含む芳香族ジ
アミン成分を用い、これらの成分のカルボキシル基とア
ミノ基との縮合反応によって製造される。本発明に使用
されるこれらの成分は何ら制限はなく、本発明の目的に
使用することができる。
【0011】本発明で使用されるフェノール性水酸基を
有する芳香族ポリアミド樹脂を合成するための芳香族ジ
カルボン酸を次に例示する。例えば、イソフタル酸、テ
レフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,
3’−メチレン二安息香酸、4,4’−メチレン二安息
香酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−チオ二
安息香酸、3,3’−カルボニル二安息香酸、4,4’
−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルホニル二安息
香酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフ
タレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、フェニルマロン酸、ベンジルマロン酸、フェニルス
クシン酸、フェニルグルタル酸、ホモフタル酸、1,3
−フェニレン二酢酸、1,4−フェニレン二酢酸、4−
カルボキシフェニル酢酸、5−ブロモ−N−(カルボメ
チル)アントラニル酸、3,3’−ビス(4−カルボキ
シルフェニル)プロパン、ビス(4−カルボキシルフェ
ニル)メタン、3,3’−ビス(4−カルボキシルフェ
ニル)ヘキサフルオロプロパン、3,5−ジカルボキシ
ベンゼンスルホン酸、3,4−ジカルボキシベンゼンス
ルホン酸等が挙げられ、これらは単独でもまた複数混合
しても使用することができる。
【0012】フェノール性水酸基を有する芳香族ジカル
ボン酸の例としては、5−ヒドロキシイソフタル酸、4
−ヒドロキシイソフタル酸、2−ヒドロキシイソフタル
酸、2−ヒドロキシテレフタル酸、2,3−ジヒドロキ
シテレフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、
およびその誘導体等が挙げられ、これらは単独でもまた
複数混合しても使用することができる。
【0013】更に、本発明で使用するフェノール性水酸
基を有する芳香族ポリアミド樹脂を合成するための芳香
族ジアミンを次に例示する。例えば、m−フェニレンジ
アミン、p−フェニレンジアミン、m−トリレンジアミ
ン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′
−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジ
アミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェ
ニルチオエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジ
アミノジフェニルチオエーテル、3,3′−ジエトキシ
−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ナ
フタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,
6−ナフタレンジアミン、ベンジジン、3,3′−ジメ
チルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、
3,3′−ジヒドロキシ−4,4′−ジアミノビフェニ
ル、3,3′−ジアミノビフェニル、m−キシリレンジ
アミン、p−キシリレンジアミン、1,3−ビス(メタ
アミノフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシ
ロキサン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホキシ
ド、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′
−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、
4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルス
ルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、1,
3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′
−ビス(アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4′
−ビス(アミノフェニルメルカプト)ベンゾフェノン、
2,2′−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,
2′−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2′
−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2′−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス(4
−ヒドロキシ−3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプ
ロパン、2,2′−ビス(4−(2−トリフルオロメチ
ル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロ
プロパン、2,2′−ビス(4−(2−トリフルオロメ
チル−5−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオ
ロプロパン、2,2′−ビス(4−(3−トリフルオロ
メチル−4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフル
オロプロパン、2,2′−ビス(4−(3−トリフルオ
ロメチル−5−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフ
ルオロプロパン、2,2′−ビス(4−(4−トリフル
オロメチル−5−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサ
フルオロプロパン、2,2′−ビス(4−(2−ノナフ
ルオロブチル−5−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキ
サフルオロプロパン、2,2′−ビス(4−(4−ノナ
フルオロブチル−5−アミノフェノキシ)フェニル)ヘ
キサフルオロプロパン、4,4′−ジアミノジフェニル
メタン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノジ
フェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタ
ン、2,5−ジアミノピリジン等が挙げられ、これらは
単独でもまた複数混合しても使用することができる。
【0014】フェノール性水酸基を有する芳香族ジアミ
ンの例としては、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、ビス(3−アミノ−5−ヒドロキシフ
ェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフ
ェニル)ケトン、3,3’−ビス(4−アミノ−3−ヒ
ドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’
−ビス(3−アミノ−5−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ
フェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−5−ヒドロキ
シフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロ
キシフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−5−ヒ
ドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノ−
3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミ
ノ−5,5’−ジヒドロキシビフェニル、1,2’−ジ
アミノ−4,6’−ジヒドロキシベンゼン等が挙げら
れ、これらは単独でもまた複数混合しても使用すること
ができる。
【0015】本発明では特に末端アミノアリール基のオ
ルト位に少なくとも一個のアルキル基を有する芳香族ジ
アミン化合物と、フェノール性水酸基を有する芳香族ジ
カルボン酸との反応により得られる下記一般式(1)で
示される繰り返し構造単位5〜100モル%と、フェノ
ール性水酸基を有さない芳香族ジカルボン酸を用いた下
記一般式(2)で示される繰り返し構造単位0〜95モ
ル%とから構成されるアラミド樹脂を用いることが好ま
しく、特に一般式(1)及び(2)で示される繰り返し
構造単位が不規則に結合しているものが好ましい。該ア
ラミド樹脂は良好な溶媒溶解性と反応性を有し、接着性
と耐熱性をより良好にすることができる。
【化2】 (上記一般式において、Arは2価の芳香族基を示し、
R、R1は、Hまたは炭素数1〜4までのアルキル基を
示すが、同時にHであることは無い。また、R2はフッ
素原子で置換されても良い炭素数1から3までのアルキ
レン基を示し、nは1または2を示す)
【0016】上記の一般式(1)及び(2)におけるA
rである2価の芳香族基としては、下記式(3)〜
(5)で示されるものが例示される。
【化3】 (ただし、−X−は直接結合、−CH2−、−O−、−
S−、−CO−、または、−SO2−を示す。) なお、前記一般式(1)の場合はこれらArに少なくと
も1個の−OH基を有するものである。また、前記一般
式(1)及び(2)のどちらの場合も、式(3)〜
(5)においてベンゼン環及びナフタレン環にはアルキ
ル基、ハロゲン、ニトロ基、スルホン酸基等の置換基を
有していても良い。かかる芳香族ジカルボン酸の具体例
としては、前記の芳香族ジカルボン酸及びフェノール性
水酸基を有する芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
【0017】末端アミノアリール基のオルト位に少なく
とも一個のアルキル基を有する芳香族ジアミン化合物と
しては、例えば、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニ
ル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェ
ニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチルフェニ
ル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジエチルフェ
ニル)メタン、ビス(4−アミノ−3エチル−5−メ
チルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−プロピ
ルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ3,5−ジプ
ロピルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3−イソ
プロピルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5
−ジイソプロピルフェニル)メタン、2,2′−ビス
(4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス
(3,5−ジメチル−4−アミノフェニル)プロパン、
2,2′−ビス(3,5−ジエチル−4−アミノフェニ
ル)プロパン、2,2′−ビス(3,5−ジイソプロピ
ル−4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス
(4−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロプロパン、2,2′−ビス(3,5−ジメ
チル−4−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス(3,5−
ジエチル−4−アミノフェニル)1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2′−ビス
(3,5−ジイソプロピル−4−アミノフェニル)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が
ある。これらの単量体は単独で使用しても良いし、複数
種類を混合して使用しても良い。
【0018】上記の構造を有する溶媒溶解性の良好なア
ラミド樹脂は、熱接着型、溶剤接着型ともに好適に用い
ることができる。さらに、前記一般式(1)及び(2)
のジアミン化合物のアルキル基の炭素数が多くなるほど
アルコール溶媒への溶解性が良好となるので、特にアル
コールを溶媒とする溶媒接着に用いるアラミド樹脂とし
ては少なくとも炭素数が2以上のアルキル基を1個以上
有する芳香族ジアミンを用いることが特に好ましい。
【0019】このようなフェノール性水酸基を有するア
ラミド樹脂は高温で加熱することにより自己架橋し、飛
躍的に耐熱性が向上する。さらに反応性の高いフェノー
ル性水酸基が線状ポリアミド樹脂のメトキシメチル基と
縮合反応することにより、自己融着性と耐熱性の両立を
図ることが可能となる。
【0020】本発明で使用するアラミド樹脂は、まず、
ピリジン誘導体を含む有機溶媒、例えばN−メチルピロ
リドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒中に亜
リン酸エステルを添加する。その後、ジカルボン酸類と
ジアミン類を添加し、窒素等の不活性雰囲気下で加熱攪
拌することにより得ることができる。反応終了後、反応
液をそのまま用いても良いが、副生成物や無機塩類等を
除去する必要がある場合には、反応液をメタノール等の
非溶媒中に投入し、生成重合体を分離した後、再沈殿法
によって精製し、高純度のアラミド重合体を得ることが
できる。
【0021】また本発明の樹脂組成物では接着力を向上
させるために、アミド基の一部がメトキシメチル化され
た線状ポリアミド樹脂を使用する必要がある。線状ポリ
アミド樹脂の種類は、6−ナイロン、12−ナイロン、
6,6−ナイロン等の一般的なものから、それらが共重
合されたものまで制限はないが、要求される耐熱性に応
じて、樹脂の軟化点または融点をコントロールする必要
があり、耐熱性を良好にするためには、軟化温度が10
0℃以上のものを用いることが好ましい。更にメトキシ
メチル化率は、アルコールに対する溶解力、融着工程に
おける線状ポリアミド樹脂同士の自己架橋および前記ア
ラミド樹脂との架橋反応に寄与することが可能であるた
め、かかる樹脂のアミド結合の水素が好ましくは5〜9
0%、さらに好ましくは10〜60%メトキシメチル化
されている必要がある。
【0022】100℃以上の軟化温度をもち、メトキシ
メチル化率が30%程度の線状ポリアミド樹脂として
は、例えばFINE RESIN FR−101、FR
−104、FR−105(鉛市社製、軟化点120〜1
30℃)が挙げられる。前記線状ポリアミド樹脂はアル
コールに可溶であるため、溶剤接着型、特にアルコール
接着型の方法を採用する場合には好ましく使用される。
【0023】本発明の樹脂組成物は以上説明した如きア
ラミド樹脂と、アミド基の一部がメトキシメチル化され
た線状ポリアミド樹脂を少なくとも含有するものであ
り、これらの樹脂が混合された固体状のものでも、適当
な溶媒に溶解もしくは分散された塗料でもよく、その形
状は特に限定されるものではない。この他、目的に応じ
て他の樹脂材料、あるいは無機化合物や有機化合物の添
加剤を樹脂組成物に添加することも可能である。
【0024】本発明の接着方法は、まず少なくとも前記
の如きアラミド樹脂とアミド基の一部がメトキシメチル
化された線状ポリアミド樹脂を溶媒に溶解した塗料とし
ての本発明の樹脂組成物を調製する。この際、塗布に最
適な粘度になるよう固形分を調整する。使用する溶媒は
樹脂組成物を溶解できるものであれば特に制限はない
が、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセト
アミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DM
F)、m−クレゾール、ベンジルアルコール等の高沸点
溶媒を用いると塗料の継時安定性、脱溶媒後の被膜の表
面状態が良好となるため好ましい。線状ポリアミド樹脂
がアルコールに可溶の場合はアルコール類と共に、上記
溶媒を併用する塗料化方法も可能である。かかる塗料を
被着材A表面に塗布した後、熱風乾燥機等を使用して脱
溶媒し、被着材A上に被膜を形成する。樹脂被膜の厚さ
は目的の接着層の厚みに応じて調整されるが、おおよそ
5〜200μmの範囲である。この場合、被膜を目的の
厚みに均一に形成するためには、2回以上の多数回の塗
布を実施することも好ましい方法である。脱溶媒後の被
膜中の残留溶媒は被膜形成後の被膜のブロッキング性を
解消するためには極力少ないことが望ましく、通常は3
wt%以下とされる。更に好ましくは1wt%以下であ
る。
【0025】次に、加熱接着する場合には、本発明の第
1の方法として、樹脂被膜を加熱し、該加熱状態の樹脂
被膜面に被着材Bを重ね合わせる。また、第2の方法は
先に樹脂被膜面に被着材Bを重ね合わせた後、被着材A
側または被着材B側から、もしくは全体を加熱するもの
である。ここで、被着材Bとして樹脂被膜を形成した被
着体Aを用いる場合、つまり被着材A同士を接着する場
合には樹脂被膜側を内側にして合わせるとより優れた接
着強度が達成される。加熱条件は必要に応じて接着面に
一定の荷重をかけながら加熱炉中で、所定温度、所定時
間熟成し接着する。ここで温度としては、例えば樹脂の
軟化点以上の温度が好ましく、50〜300℃程度であ
り、また、時間としては樹脂組成と被着材の材質により
適宜設定されるもので、例えば、30秒以上であり、作
業効率等を考慮すれば長くても5時間程度までが好まし
い。
【0026】また、溶剤接着の場合である第3及び第4
の方法においては、樹脂被膜にスプレー法あるいは浸漬
法等によって被膜を溶解できる溶媒を塗布した後、樹脂
被膜面に被着材Bを重ね合わせ、本発明の第3の接着方
法の場合は、そのまま常温で風乾して接着する。又、第
4の接着方法の場合は、被着材Bを重ね合わせた後、さ
らに熱風等により加熱して乾燥し接着する。これら第3
及び第4の方法においても被着材Bとして樹脂被膜を形
成した被着材Aを用いる場合、つまり被着材A同士を接
着する時は樹脂被膜面同士を合わせるとより優れた接着
強度が得られることから好ましい。また、アルコール可
溶性の樹脂被膜の場合にはアルコール系溶媒、例えばメ
タノール、エタノール等を用いて実施することができ
る。
【0027】本発明の接着方法における被着材A及び被
着材Bは固体であればその材質、形状等は特に限定され
るものではなく、例えば、銅、鉄、アルミニウム、亜
鉛、チタン等の金属及びその化合物、ガラス、セラミッ
クス、シリコン化合物、ステンレス鋼等の無機材料、ポ
リイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ
酢酸ビニル、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等のフィル
ム及び成型体、紙、合成紙、織布、不織布等の繊維系材
料等が挙げられ、これらの中で同一のもの同士でも、異
種のものとの接着でもよい。なお、被着材が導体である
場合には、本発名の樹脂組成物をそのまま被着材上に塗
布接着しても良いが、接着後のより優れた絶縁性を達成
するために、他の樹脂等の絶縁層を介して樹脂被膜を形
成させることも効果的である。この場合の絶縁層として
は、一般の油性エナメル塗料、ホルマール塗料、ポリエ
ステル塗料、ポリウレタン塗料、ポリイミド塗料、ポリ
アミドイミド塗料等を用いることができるが、耐熱性を
要求される分野ではポリイミド塗料やポリアミドイミド
塗料を用いることが好ましい。
【0028】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
なお、実施例において部とは重量部を示す。 合成例1 メカニカルスターラ、還流冷却器、温度計、塩化カルシ
ウム管、および窒素道入管を取り付けた容量300ml
の三口丸底フラスコに、ビス(4−アミノ−3−エチル
−5−メチルフェニル)メタン(イハラケミカル製、商
品名:キュアハードMED)11.30g(40mmo
l)、5−ヒドロキシイソフタル酸(日本化薬社製)
7.28g(40.0mmol)、安定化剤として塩化
カルシウム2.02g、塩化リチウム0.66g、およ
び縮合剤としてN−メチル−2−ピロリドン120g、
ピリジン4.0g、亜りん酸トリフェニル24.82g
(80.0mmol)、を投入した。ついで、フラスコ
をオイルバスで120℃に加温しながら窒素雰囲気下4
時間撹拌した。撹拌後、反応液を室温まで冷却し、溶液
(水/メタノール=1/1)4リットルに滴下して樹脂
を析出させた。これを吸引濾過し、溶液(水/メタノー
ル=9/1)で2回洗浄し、乾燥して収率98%でフェ
ノール性水酸基を有したアラミド樹脂を得た。得られた
アラミド樹脂の固有粘度(η)は、0.63dl/g
(溶媒:N,N−ジメチルアセトアミド、濃度:0.5
g/dl、温度:30℃)であり、アルコール系溶媒に
不溶であった。
【0029】合成例2合成 例1のビス(4−アミノ−3−エチル−5−メチル
フェニル)メタン(イハラケミカル製、商品名:キュア
ハードMED)11.30g(40mmol)をビス
(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン(日
本化薬社製、商品名:KAYABOND C−300
S)12.42g(40.0mmol)に変更する以外
合成例1と同様に合成して目的とするフェノール性水
酸基を有するアラミド樹脂を得た。得られたフェノール
性水酸基を有したアラミド樹脂の固有粘度(η)は、
0.60dl/g(溶媒:N,N−ジメチルアセトアミ
ド、濃度:0.5g/dl、温度:30℃)であり、ア
ルコール系溶媒に可溶であった。
【0030】合成例3合成 例1のビス(4−アミノ−3−エチル−5−メチル
フェニル)メタン(イハラケミカル製、商品名:キュア
ハードMED)11.30g(40mmol)をビス
(4−アミノ3,5−ジイソプロピルフェニル)メタ
ン(日本化薬社製、商品名:C−400)14.64g
(40mmol)に変更する以外は合成例1と同様に合
成して目的とするフェノール性水酸基を有するアラミド
樹脂を得た。得られたフェノール性水酸基を有するアラ
ミド樹脂の固有粘度(η)は、0.54dl/g(溶
媒:N,N−ジメチルアセトアミド、濃度:0.5g/
dl、温度:30℃)であり、アルコール系溶媒に可溶
であった。
【0031】合成例4合成 例1のビス(4−アミノ−3−エチル−5−メチル
フェニル)メタン(イハラケミカル製、商品名:キュア
ハードMED)11.30g(40mmol)を3,
4′−ジアミノジフェニルエーテル(三井化学社製、商
品名:3,4′−DAPE)8.01g(40mmo
l)に変更する以外は合成例1と同様に合成して目的と
するフェノール性水酸基を有するアラミド樹脂を得た。
得られたフェノール性水酸基を有するアラミド樹脂の固
有粘度(η)は、0.60dl/g(溶媒:N,N−ジ
メチルアセトアミド、濃度:0.5g/dl、温度:3
0℃)であり、アルコール系溶媒に可溶であった。
【0032】合成例5合成 例1のビス(4−アミノ−3−エチル−5−メチル
フェニル)メタン(イハラケミカル製、商品名:キュア
ハードMED)11.30g(40mmol)をビス
(4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン(日
本化薬社製、商品名:KAYABOND C−300
S)10.87g(35.0mmol)とイソフタル酸
(AGI社製)0.83gに変更する以外は合成例1と
同様に合成して目的とするフェノール性水酸基を有する
アラミド樹脂を得た。得られたフェノール性水酸基を有
したアラミド樹脂の固有粘度(η)は、0.61dl/
g(溶媒:N,N−ジメチルアセトアミド、濃度:0.
5g/dl、温度:30℃)であり、アルコール系溶媒
に可溶であった。
【0033】実施例1 合成例2で得られたアルコール可溶性アラミド樹脂50
部とメトキシメチル化率30%の線状ポリアミド樹脂
(鉛市社製、商品名:FR−101)50部に、メタノ
ール/N,N−ジメチルホルムアミド=1/1(重量
比)の混合溶媒300部を加え、室温で溶解し、本発明
の樹脂組成物を得た。 実施例2 合成例2で得られたアルコール可溶性アラミド樹脂30
部とメトキシメチル化率30%の線状ポリアミド樹脂
(鉛市社製、商品名:FR−101)70部に、メタノ
ール/N,N−ジメチルホルムアミド=1/1(重量
比)の混合溶媒300部を加え、室温で溶解し、本発明
の樹脂組成物を得た。
【0034】実施例3 合成例2で得られたアルコール可溶性アラミド樹脂20
部とメトキシメチル化率30%の線状ポリアミド樹脂
(鉛市社製、商品名:FR−101)80部に、メタノ
ール/N,N−ジメチルホルムアミド=1/1(重量
比)の混合溶媒300部を加え、室温で溶解し、本発明
の樹脂組成物を得た。 実施例4 合成例1で得られたアラミド樹脂30部とメトキシメチ
ル化率30%の線状ポリアミド樹脂(鉛市社製、商品
名:FR−104)70部に、メタノール/N,N−ジ
メチルホルムアミド=1/1(重量比)の混合溶媒30
0部を加え、室温で溶解し、本発明の樹脂組成物を得
た。
【0035】実施例5 合成例3で得られたアルコール可溶性アラミド樹脂30
部とメトキシメチル化率30%の線状ポリアミド樹脂
(鉛市社製、商品名:FR−105)70部に、メタノ
ール/N,N−ジメチルホルムアミド=1/1(重量
比)の混合溶媒300部を加え、室温で溶解し、本発明
の樹脂組成物を得た。 実施例6 合成例4で得られたアラミド樹脂30部とメトキシメチ
ル化率30%の線状ポリアミド樹脂(鉛市社製、商品
名:FR−105)70部に、メタノール/N,N−ジ
メチルホルムアミド=1/1(重量比)の混合溶媒30
0部を加え、室温で溶解し、本発明の樹脂組成物を得
た。 実施例7 合成例5で得られたアルコール可溶性アラミド樹脂30
部とメトキシメチル化率30%の線状ポリアミド樹脂
(鉛市社製、商品名:FR−101)70部に、メタノ
ール/N,N−ジメチルホルムアミド=1/1(重量
比)の混合溶媒300部を加え、室温で溶解し、本発明
の樹脂組成物を得た。
【0036】比較例1 合成例2で得られたアルコール可溶性アラミド樹脂10
0部に、メタノール/N,N−ジメチルホルムアミド=
1/1(重量比)の混合溶媒300部を加え、室温で溶
解し、比較用の樹脂組成物を得た。 比較例2 合成例2で得られたアルコール可溶性アラミド樹脂70
部とアルコール可溶性熱可塑性ポリアミド共重合体(B
ASF社製、商品名:ウルトラミッド1C、メトキシメ
チル化率0%の線状ポリアミド樹脂)30部に、メタノ
ール/N,N−ジメチルホルムアミド=1/1(重量
比)の混合溶媒300部を加え、室温で溶解し、比較用
の樹脂組成物を得た。
【0037】比較例3 メトキシメチル化率30%の線状ポリアミド樹脂(鉛市
社製、商品名:FR−105)100部に、メタノール
/N,N−ジメチルホルムアミド=1/1(重量比)の
混合溶媒300部を加え、室温で溶解し、比較用の樹脂
組成物を得た。 比較例4 3,4’−ジアミノジフェニルエーテルとイソフタル酸
から合成したフェノール性水酸基を有さない芳香族ポリ
アミド樹脂70部とメトキシメチル化率30%の線状ポ
リアミド樹脂(鉛市社製、商品名:FR−105)30
部に、メタノール/N,N−ジメチルホルムアミド=1
/1(重量比)の混合溶媒300部を加え、室温で溶解
し、比較用の樹脂組成物を得た。
【0038】次に前記実施例及び比較例の樹脂組成物に
ついて接着試験をおこなった。 1.試験片の作成 1)試験片(1) 実施例1〜7、比較例1〜4の樹脂組成物をそれぞれ3
5μmの銅箔(被着材Aに相当)上に10μmの膜厚で
塗布し、200℃、1min.温風乾燥機中で溶媒量が
1wt%以下になるように脱溶媒し、銅箔に樹脂被膜を
形成させた。この樹脂被膜付き銅箔を5cm×1cmに
裁断し接着試験用のサンプルとした。
【0039】2)試験片(2) 4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと無水トリメリ
ット酸から合成した極性溶媒可溶性芳香族ポリアミドイ
ミド樹脂100部にN−メチル−2−ピロリドン450
部を加えて溶解した。得られたポリアミドイミド塗料を
35μmの銅箔上に20μmの膜厚で塗布し、200
℃、2min.温風乾燥機中で溶媒量が1wt%以下に
なるように脱溶媒し、銅箔に被膜を形成させた。この被
膜を形成した銅箔(被着材Aに相当)のポリアミドイミ
ド被膜面に、実施例2の樹脂組成物を10μmの膜厚で
塗布し、200℃、1min.温風乾燥機中で溶媒量が
1wt%以下になるように脱溶媒し、アルコール可溶性
アラミド樹脂を含有する被膜を形成させた。この樹脂被
膜付き銅箔を5cm×1cmに裁断し接着試験用のサン
プルとした。
【0040】2.試験片の接着 1)熱接着法 前記で作成した各サンプル同士で樹脂被膜側を内側とし
て重ね合わせ、卓上用テストプレス(神藤金属工業製)
を用いて10Kg/cm2になるようにセットし、18
0℃で30分プレスして接着した。 2)溶媒接着法 前記で作成した各サンプルを表2に記載の溶媒に約1秒
間浸漬した後、該各サンプル同士で樹脂被膜側を内側と
して重ね合わせ、5Kg/cm2になるように重りを乗
せて、熱風乾燥機中180℃で1時間放置して接着し
た。
【0041】3、接着強度の試験 テンシロンUCT−500型(オリエンテック社製)を
用いて、上記の接着したサンプルについて下記条件で1
80度剥離強度を測定した。かかる測定データ5回の平
均値をもとめ接着強度とした。 ヘッドスピード:5mm/min. 測定温度:25℃における接着強度をA、180℃にお
ける接着強度をBとした。 また、以下の計算式によ
り、180℃環境下における接着強度の保持率を求め
た。 接着強度保持率(%)=B÷A×100
【0042】上記のような試験によって得られた各実施
例及び比較例の結果は、表1及び表2に示す通りであっ
た。
【表1】
【表2】
【0043】表1及び表2の結果より明らかな通り、本
発明の実施例1〜7の樹脂組成物では熱接着、溶媒接着
何れの方法においても常温での接着強度が充分得られ、
180℃の高温下でも接着強度の保持率が80%以上で
あり、良好な接着性を示した。更に実施例1〜3、実施
例5及び実施例7の樹脂組成物ではアルコールによる溶
媒接着が可能であり、作業環境の改善に大きく貢献する
ことが可能である。これに対し、比較例2〜4の樹脂組
成物では常温での接着性は充分あるものの、180℃の
高温下での接着強度が低く、保持率も70%以下であり
不充分であった。また、比較例1の樹脂組成物は保持率
は高いものの、接着強度が不充分であり、実用上問題を
有するものであった。
【0044】
【発明の効果】このように、少なくともフェノール性水
酸基を有する芳香族ポリアミド樹脂と、アミド基の一部
をメトキシメチル化した線状ポリアミド樹脂とを含有す
る樹脂組成物を用いると、良好な接着強度を有し、高温
環境下でも接着強度の低下が少ない優れた絶縁性と耐熱
性を有する接着層を形成することができる。また、被着
材に被覆したのち接着する接着方法を用いることによ
り、電気または電子機器等の部品の接着へ適用可能であ
り、機器の使用温度環境の拡大や信頼性の向上等の効果
を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−143661(JP,A) 特開 昭51−44136(JP,A) 特開 平7−182928(JP,A) 特開 平11−106712(JP,A) 特開 平10−330480(JP,A) 特開 平7−62229(JP,A) 特開 平3−14833(JP,A) 特公 昭47−28904(JP,B1) 塚田邦夫,接着技術マニュアル,株式 会社テクノ,1976年 9月 1日,139 −142 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 177/00 - 201/10 C08L 77/00 - 101/16

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、フェノール性水酸基を有す
    る芳香族ポリアミド樹脂と、アミド基の一部をメトキシ
    メチル化した線状ポリアミド樹脂とを含有する樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 少なくとも下記一般式(1)で示される
    繰り返し構造単位5〜100モル%と、下記一般式
    (2)で示される繰り返し構造単位0〜95モル%とか
    ら構成されるフェノール性水酸基を有する芳香族ポリア
    ミド樹脂と、アミド基の一部をメトキシメチル化した線
    状ポリアミド樹脂とを含有する樹脂組成物。 【化1】 (上記一般式において、Arは2価の芳香族基を示し、
    R、R1は、H又は炭素数1〜4までのアルキル基を示
    すが、同時にHであることは無い。また、R2はフッ素
    原子で置換されても良い炭素数1から3までのアルキレ
    ン基を示し、nは1又は2を示す)
  3. 【請求項3】 フェノール性水酸基を有する芳香族ポリ
    アミド樹脂およびアミド基の一部をメトキシメチル化し
    た線状ポリアミド樹脂がアルコール可溶性であることを
    特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の樹脂組成物を被着材A
    表面に塗布乾燥して樹脂被膜を形成させる工程;該樹
    脂被膜を加熱する工程;及び、該加熱されている樹脂
    の表面に被着材Bを重ね合わせて接着する工程;より
    なることを特徴とする接着方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の樹脂組成物を被着材A
    表面に塗布乾燥して樹脂被膜を形成させる工程;該樹
    脂被膜の表面に被着体Bを重ね合わせる工程;及び、前
    記樹脂膜を加熱して被着材Aと被着材Bを接着する工
    程;よりなることを特徴とする接着方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の樹脂組成物を被着材A
    表面に塗布乾燥して樹脂被膜を形成させる工程;該樹
    脂被膜表面に樹脂被膜を溶解可能な溶媒を塗布する工
    程;及び、前記樹脂被膜の表面に被着材Bを重ね合わせ
    て接着する工程;よりなることを特徴とする接着方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の樹脂組成物を被着材A
    表面に塗布乾燥して樹脂被膜を形成させる工程;該樹
    脂被膜表面に樹脂被膜を溶解可能な溶媒を塗布する工
    程;及び、前記樹脂被膜の表面に被着材Bを重ね合わせ
    た後、加熱して接着する工程;よりなることを特徴とす
    る接着方法。
  8. 【請求項8】 前記溶媒としてアルコール系溶媒を用い
    ることを特徴とする請求項6又は7に記載の接着方法。
  9. 【請求項9】 被着材Aが導体であり直接または他の絶
    縁物を介して樹脂被膜を形成させたことを特徴とする請
    求項4乃至8のいずれかに記載の接着方法。
  10. 【請求項10】 被着材Bが樹脂被膜を形成された被着
    材Aと同じであり、樹脂被膜面同士を重ね合わせて接着
    することを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載
    の接着方法。
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